説明

コンロ用五徳

【課題】調理容器をバーナ直上位置から横方向にずれた位置にも載置可能なコンロ用五徳であって、コンロバーナに対する位置相関を確保できると共に過熱による劣化も防止できるようにする。
【解決手段】五徳は、コンロバーナの外周に装着するバーナリング21に外嵌する五徳枠31と、五徳枠31の横方向中央の前後2箇所と、横方向中央から離れた横方向各側の前後2箇所とに放射状に固定されたコ字状の計6個の五徳爪32と、バーナリング21の外周面に形成した凹部21aに係合する突部33とを備える。横方向各側の前後2個の五徳爪32は、横方向外方にのびる延長部34を備えている。両延長部34には、その外端部から下方に屈曲して天板に着座する脚部341と、両脚部341の下端部間を結ぶ前後方向に長手の連結部342と、連結部342の前後方向中央部から立ち上がって横方向内方にのびる補助五徳爪343とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロの天板上に、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に露出するコンロバーナを囲うようにして設置するコンロ用五徳であって、鍋等の調理容器をバーナ直上位置から横方向にずれた位置にも載置可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の五徳として、天板の周縁部に形成した段差部に係合する係合部を有する方形の外枠と、外枠からコンロバーナに向けて内方にのびる複数の五徳爪とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、外枠の上縁の高さは、五徳爪の上縁に近い高さとしており、コンロバーナからの熱が天板の外方に及ぶことを抑制する遮熱効果が外枠で得られるようにしている。
【0003】
ところで、五徳は、コンロバーナに対し正規の位置関係で設置する必要がある。上記従来例のものでは、天板に対する五徳の位置相関は確保できるが、コンロバーナや天板の設置位置のずれで天板とコンロバーナの位置相関が狂うと、コンロバーナに対する五徳の位置相関も狂ってしまう。また、五徳に大型の調理容器を載置した場合、コンロバーナからの燃焼ガスが外枠に当って外方にスムーズに抜け出なくなり、外枠の過熱を生じて五徳が早期に劣化してしまう。
【0004】
また、従来、コンロの奥行き方向を前後方向、コンロの幅方向を横方向として、コンロバーナに外嵌させた状態でバーナ用開口を覆うようにして天板上に設置されるバーナリングに外嵌する環状の五徳枠と、五徳枠の横方向中央の前後2箇所と、横方向中央から離れた横方向各側の前後2箇所との計6箇所に放射状に固定された6個の五徳爪と、バーナリングの外周面に形成した凹部に係合する突部とを備える五徳も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これによれば、コンロバーナに対する位置相関が確保されるバーナリングに五徳枠が外嵌することで、コンロバーナに対し五徳が芯決めされ、更に、バーナリングの外周面の凹部に突部を係合させることで、コンロバーナに対し五徳が位相決めされ、コンロバーナに対する五徳の位置相関が確保される。また、外枠が設けられていないため、外枠の過熱による劣化も生じない。
【0006】
ここで、特許文献2に記載の五徳の各五徳爪は、五徳枠から外方にのびる下辺部と、下辺部の外端の立上り部と、立上り部の上端から内方にのびる上辺部とを有するコ字状に形成されている。そして、全ての五徳爪が同じ大きさであるため、調理容器をバーナ直上位置から横方向にずらすと、横方向各側の五徳爪から調理容器がはみ出してしまい、調理容器をバーナ直上位置から横方向にずれた位置に載置することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−303796号公報
【特許文献2】特開2010−2104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、調理容器をバーナ直上位置から横方向にずれた位置にも載置可能なコンロ用五徳であって、特許文献2記載の技術を利用して、コンロバーナに対する位置相関を確保できると共に過熱による劣化も防止できるようにしたものを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロの天板上に、天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に露出するコンロバーナを囲うようにして設置するコンロ用五徳であって、コンロの奥行き方向を前後方向、コンロの幅方向を横方向として、コンロバーナに外嵌させた状態でバーナ用開口を覆うようにして天板上に設置されるバーナリングに外嵌する環状の五徳枠と、五徳枠の横方向中央の前後2箇所と、横方向中央から離れた横方向各側の前後2箇所との計6箇所に放射状に固定された6個の五徳爪と、バーナリングの外周面に形成した凹部に係合する突部とを備え、各五徳爪は、五徳枠から外方にのびる、天板に着座する下辺部と、下辺部の外端の立上り部と、立上り部の上端から内方にのびる上辺部とを有するコ字状に形成されるものにおいて、横方向各側の前後2個の五徳爪は、上辺部に連続して立上り部よりも横方向外方にのびる延長部を備え、前記2個の五徳爪の両延長部は、両延長部間の前後方向間隔が横方向外方に向けて広がるように横方向に対し傾いた方向に沿って外方にのびる部分を有し、両延長部に、その横方向外端部から下方に屈曲して天板に着座する第1脚部と、両第1脚部の下部間を結ぶ前後方向に長手の第1連結部と、第1連結部の前後方向中央部から立ち上がって横方向内方にのびる補助五徳爪とが設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、調理容器をバーナ直上位置から横方向にずれた位置に載置しても、横方向各側の前後2個の五徳爪の両延長部と補助五徳爪とにより調理容器を支持できる。即ち、両延長部間の前後方向間隔が横方向外方に向けて広がるため、比較的大きな調理容器もバーナ直上位置から横方向にずれた位置に両延長部で安定に支持でき、また、両延長部の横方向外端部間の前後方向中央に補助五徳爪が設けられるため、両延長部の横方向外端部間の前後方向距離より直径が小さな調理容器もバーナ直上位置から横方向にずれた位置に両延長部の前後方向距離が狭い部分と補助五徳爪とで安定に支持できる。更に、各延長部は、立上り部と第1脚部とにより両端支持されるから、延長部の支持剛性が確保され、調理容器が重くてもこれを安定して支持できる。
【0011】
また、特許文献2記載のものと同様に、バーナリングに外嵌する五徳枠と、バーナリングの外周面の凹部に係合する突部とにより、五徳をコンロバーナに対し芯決め及び位相決めできるため、コンロバーナに対する五徳の位置相関を確保できる。更に、第1連結部の上方に第1脚部と補助五徳爪との間の空間が確保されるため、五徳に大型の調理容器を載置した場合にも、コンロバーナから調理容器の底面に沿って横方向外方に流れる燃焼ガスは上記空間を通して外方にスムーズに抜け出るようになり、過熱による五徳の劣化も防止できる。
【0012】
また、本発明においては、横方向一側の前後2個の五徳爪の両延長部と横方向他側の前後2個の五徳爪の両延長部とを五徳枠の環状中心に関して点対称になるように形成することが望ましい。これによれば、五徳を左右に180°反転した状態でも使用でき、そのため、五徳を左右や前後の方向性を気にすることなく天板上に設置できて、使い勝手が良好になる。
【0013】
ところで、天板後部の横方向中央部に開設したバーナ用開口を通して天板上に露出するコンロバーナを囲うようにして天板上に設置する五徳において、横方向各側の前後2個の五徳爪の両延長部を天板の側端部近傍に達するように長く形成すれば、天板前部の左右に位置する各コンロバーナの直上位置から後方にずれた位置にも調理容器を載置でき、便利である。然し、これでは、五徳が長くなり過ぎてシンクや食器洗浄機に入らず、五徳を丸洗いできなくなる。そのため、両延長部を、上辺部寄りの両第1延長部と、両第1延長部よりも横方向外方に位置し、横方向外端部に前記第1脚部と前記第1連結部と前記補助五徳爪とが設けられた両第2延長部とに2分割することが望まれる。
【0014】
この場合、両第1延長部に、その横方向外端部から下方に屈曲して天板に着座する第2脚部と、両第2脚部の横方向外方の側縁の下部間を結ぶ前後方向に長手の第2連結部とを設けると共に、両第2延長部に、その横方向内端部から下方に屈曲して天板に着座する、第2脚部に内接可能な第3脚部と、第2連結部よりも上方位置で両第3脚部から横方向外方に突出する突起部と、両突起部を結ぶ前後方向に長手の第3連結部とを設け、第3連結部に、第2連結部を第3脚部との間に横方向から挟む挟み部を形成することが望ましい。これによれば、第1延長部が対応する五徳爪の立上り部と第2脚部とで両端支持されると共に、第2延長部が第1脚部と第3脚部とで両端支持されることになって、第1と第2の各延長部の支持剛性が確保される。更に、第3脚部を第2脚部に内接させることで第2延長部を第1延長部に対し前後方向に位置決めできると共に、第3脚部と挟み部との間に第2連結部を挟むことで第2延長部を第1延長部に対し横方向にも位置決めできる。
【0015】
また、横方向一側の前後2個の五徳爪の両第1延長部及び両第2延長部と横方向他側の前後2個の五徳爪の両第1延長部及び両第2延長部とを夫々五徳枠の環状中心に関して点対称になるように形成することが望ましい。これによれば、五徳を第2延長部を含めて左右に180°反転した状態でも使用でき、そのため、五徳及び第2延長部を左右や前後の方向性を気にすることなく天板上に設置できて、使い勝手が良好になる。更に、横方向一側の第2延長部と横方向他側の第2延長部とが同一部品となり、部品共通化によるコストダウンを図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の第1乃至第3の3個の五徳を具備するコンロの斜視図。
【図2】第1五徳を示す斜視図。
【図3】第3五徳を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すコンロは、システムキッチンのカウンタトップCPに開設したコンロ開口に図示省略したコンロ本体を落とし込むようにして設置するビルトイン式コンロであり、コンロ本体の上面を覆うようにしてカウンタトップCP上に設置されるガラス製の天板1を備えている。
【0018】
コンロの奥行き方向を前後方向、コンロの幅方向を横方向として、天板1には、その前部の横方向に離隔した左右2箇所と後部の横方向中央との計3箇所にバーナ用開口が開設されている。コンロは、これらバーナ用開口を通して天板1上に露出する第1乃至第3の3個のコンロバーナ2,2,2を備えており、天板1上に、これらコンロバーナ2,2,2を囲うようにして第1乃至第3の3個の五徳3,3,3を設置している。
【0019】
尚、天板1の最後部には、コンロに組み込んだグリルの排気口を覆う排気ガード11が設けられている。また、天板1には、その周縁を囲う額縁状の飾り枠12と、排気ガード11の前側の仕切り枠13とが取り付けられている。
【0020】
天板1上には、更に、各コンロバーナ2,2,2に外嵌させた状態で、各バーナ用開口を覆う各バーナリング21が設置され、煮こぼれがバーナ用開口からコンロ本体内に落下することを防止できるようにしている。また、各コンロバーナ2,2,2には、各五徳3,3,3に載置する調理容器の底面に当接してその温度を検出する鍋底温度センサ22と、バーナリング21に形成した孔21b及び切欠き21c(図2、図3参照)を通して上方に突出する点火プラグ23及び熱電対24とが付設されている。尚、各バーナリング21は、孔21b及び切欠き21cに点火プラグ23及び熱電対24を挿通することで、各コンロバーナ2,2,2に対し回り止めされる。
【0021】
天板1前部の左方に位置する第1コンロバーナ2に対応する第1五徳3と、天板1前部の右方に位置する第2コンロバーナ2に対応する第2五徳3は形状、大きさが同一である。図1、図2を参照して、これら第1と第2の各五徳3,3は、バーナリング21に外嵌する環状の五徳枠31と、五徳枠31の横方向中央の前後2箇所と、横方向中央から離れた横方向各側の前後2箇所との計6箇所に放射状に固定された6個の五徳爪32と、バーナリング21の外周面に形成した凹部21aに係合する突部33とを備えている。各五徳爪32は、五徳枠31から外方にのびる、天板1に着座する下辺部321と、下辺部321の外端の立上り部322と、立上り部322の上端から内方にのびる上辺部323とを有するコ字状に形成されている。
【0022】
尚、下辺部321をそのほぼ全長に亘って天板1に着座させることも可能であるが、本実施形態では、下辺部321の下縁外端部に下方への張出し部321aを形成して、下辺部321がこの張出し部321aで天板1に着座するようにしている。この場合、常時は張出し部321aが天板1から僅かに浮き、ある程度以上の荷重がかかったときに張出し部321aが天板1に着座するようにしてもよい。
【0023】
凹部21aは、バーナリング21の横方向中央の前後2箇所の外周面の部分に形成されている。また、横方向中央の前後2個の各五徳爪32に、その下辺部321の内端部に位置させて、五徳枠31の内周面から内方に張出す部分を形成し、この部分で前記突部33を構成している。
【0024】
また、第1と第2の各五徳3,3は、調理容器をバーナ直上位置から横方向にずれた位置にも載置できるように、以下の如く構成されている。即ち、第1と第2の各五徳3,3の横方向各側の前後2個の五徳爪32,32は、上辺部323に連続して立上り部322よりも横方向外方にのびる両延長部34,34を備えている。尚、これら両延長部34,34は、両延長部34,34間の前後方向間隔が横方向外方に向けて広がるように、立上り部322から横方向に対し傾いた方向(対応する五徳爪32の上辺部323と同一方向)に沿って外方にのび、横方向外端部寄りの部分で横方向と平行に外方にのびる形状に形成されている。
【0025】
尚、各五徳3,3の横方向一側の前後2個の五徳爪32,32の両延長部34,34と横方向他側の前後2個の五徳爪32,32の両延長部34,34とは五徳枠31の環状中心に関して点対称になるように形成されている。また、各延長部34の長さは、第1五徳3の右側の五徳爪32の延長部34と第2五徳3の左側の五徳爪32の延長部34とが天板1の横方向中央部で近接対向するように設定され、第1五徳3の左側の五徳爪32の延長部34と第2五徳3の右側の五徳爪32の延長部34とが夫々天板1の左右の側端部近傍に達する。
【0026】
横方向各側の前後2個の五徳爪32,32の両延長部34,34には、その横方向外端部から下方に屈曲して天板1に着座する第1脚部341,341と、両第1脚部341,341の下部間を結ぶ前後方向に長手の第1連結部342と、第1連結部342の前後方向中央部から立ち上がって横方向内方にのびる逆L字状の補助五徳爪343とが設けられている。
【0027】
以上の構成によれば、調理容器を第1と第2の各コンロバーナ2,2の直上位置から横方向にずれた位置に載置しても、第1と第2の各五徳3,3の横方向各側の前後2個の五徳爪32の両延長部34,34と補助五徳爪343とにより調理容器を支持できる。即ち、両延長部34,34間の前後方向間隔が横方向外方に向けて広がるため、比較的大きな調理容器もバーナ直上位置から横方向にずれた位置に両延長部34,34で安定に支持でき、また、両延長部34,34の横方向外端部間の前後方向中央に補助五徳爪343が設けられるため、両延長部34,34の横方向外端部間の前後方向距離より直径が小さな調理容器もバーナ直上位置から横方向にずれた位置に両延長部34,34の前後方向距離が狭い部分と補助五徳爪343とで安定に支持できる。更に、各延長部34は、立上り部322と第1脚部341とにより両端支持されるから、各延長部34の支持剛性が確保され、調理容器が重くてもこれを安定して支持できる。
【0028】
また、各コンロバーナ2,2に対する位置相関が確保されるバーナリング21に五徳枠31を外嵌させることで、各コンロバーナ2,2に対し各五徳3,3が芯決めされると共に、バーナリング21の外周面の凹部21aに突部33を係合させることで、各コンロバーナ2,2に対し各五徳3,3が位相決めされる。従って、各コンロバーナ2,2に対する各五徳3,3の位置相関が正確に確保される。更に、第1連結部342の上方に第1脚部341と補助五徳爪343との間の空間が確保され、且つ、補助五徳爪343が第1と第2の各コンロバーナ2,2の中心方向に向いているため、第1と第2の各五徳3,3に大型の調理容器を載置した場合にも、第1と第2の各コンロバーナ2,2から調理容器の底面に沿って横方向外方に流れる燃焼ガスは上記空間から補助五徳爪343に妨げられることなく外方にスムーズに抜け出るようになり、過熱による五徳の劣化も防止できる。
【0029】
また、各五徳3,3の横方向一側の前後2個の五徳爪32,32の両延長部34,34と横方向他側の前後2個の五徳爪32,32の両延長部34,34とを五徳枠31の環状中心に関して点対称になるように形成しているため、各五徳3,3を左右に180°反転した状態でも使用できる。従って、第1と第2の各五徳3,3を左右や前後の方向性を気にすることなく天板1上に設置でき、使い勝手が良好になる。更に、第1五徳3と第2五徳3は形状、大きさが同じ同一部品であるため、部品共通化によるコストダウンを図ることができると共に、五徳3,3を左右入れ換えて使用することもでき、使い勝手が一層向上する。
【0030】
次に、図1、図3を参照して、天板1後部の横方向中央に位置する第3コンロバーナ2に対応する第3五徳3について説明する。第3五徳3は、上記第1、第2五徳3,3と同様に、バーナリング21に外嵌する環状の五徳枠31と、五徳枠31の横方向中央の前後2箇所と、横方向中央から離れた横方向各側の前後2箇所との計6箇所に放射状に固定された、下辺部321と立上り部322と上片部323とを有するコ字状の6個の五徳爪32と、バーナリング21の外周面に形成した凹部21aに係合する突部33とを備えている。更に、横方向各側の前後2個の五徳爪32,32は、上辺部323に連続して立上り部322よりも横方向外方にのびる両延長部34,34を備えており、この点も上記第1、第2五徳3,3と同様である。但し、第3五徳3の延長部34は、天板1の横方向中央部から天板1の側端部近傍に達するように長く形成されている。そのため、第1と第2の各コンロバーナ2,2の直上位置から後方にずれた位置に調理容器を載置することができる。然し、このような長い延長部34を第3五徳3と一体に形成すると、第3五徳3が長くなり過ぎてシンクや食器洗浄機に入らず、第3五徳3を丸洗いできなくなる。
【0031】
そこで、第3五徳3においては、横方向各側の前後2個の五徳爪32,32の両延長部34,34を、上辺部323寄りの両第1延長部34、34と、両第1延長部34、34よりも横方向外方に位置し、横方向外端部に上記第1、第2五徳3,3と同様の第1脚部341,341と第1連結部342と補助五徳爪343とが設けられた両第2延長部34、34とに2分割している。
【0032】
両第1延長部34,34は、横方向各側の前後2個の五徳爪32,32の立上り部322,322から横方向に平行に外方にのびている。また、両第1延長部34,34には、その横方向外端部から下方に屈曲して天板1に着座する第2脚部344,344と、両第2脚部344,344の横方向外方の側縁の下部間を結ぶ前後方向に長手の第2連結部345とが設けられている。
【0033】
両第2延長部34,34は、横方向に平行に外方にのびてから、両第2延長部34,34間の前後方向間隔が横方向外方に向けて広がるように横方向に対し傾いた方向に沿って外方にのびている。また、両第2延長部34,34には、その横方向内端部から下方に屈曲して天板1に着座する、第2脚部344,344に内接可能(第2脚部344,344の前後方向に対向する面に当接可能)な第3脚部346,346と、第2連結部345よりも上方位置で両第3脚部346,346から横方向外方に突出する突起部346a,346aと、両突起部346a,346aを結ぶ前後方向に長手の第3連結部347とが設けられている。第3連結部347には、第2連結部345の上縁よりも下方に張り出して、第2連結部345を第3脚部346との間に横方向から挟む挟み部347aが形成されている。
【0034】
以上の構成によれば、第3五徳3から第2延長部34を分離できるため、これらをシンクや食器洗浄機に入れて丸洗いすることができる。また、第1延長部34が立上り部322と第2脚部344とで両端支持されると共に、第2延長部34が第1脚部341と第3脚部346とで両端支持されることになって、第1と第2の各延長部34,34の支持剛性が確保される。更に、第3脚部346を第2脚部344に内接させることで第2延長部34を第1延長部34に対し前後方向に位置決めできると共に、第3脚部346と挟み部347aとの間に第2連結部345を挟むことで第2延長部34を第1延長部34に対し横方向にも位置決めできる。
【0035】
また、第3五徳3の横方向一側の前後2個の五徳爪32,32の両第1延長部34,34及び両第2延長部34,34と横方向他側の前後2個の五徳爪32,32の両第1延長部34,34及び両第2延長部34,34とは夫々五徳枠31の環状中心に関して点対称になるように形成されている。そのため、第3五徳3を第2延長部34も含めて左右に180°反転した状態でも使用できる。従って、第3五徳3及び第2延長部34を左右や前後の方向性を気にすることなく天板1上に設置でき、使い勝手が良好になる。更に、横方向一側の第2延長部34と横方向他側の第2延長部34とが同一部品となり、部品共通化によるコストダウンを図ることもできる。
【0036】
ところで、第1と第2の各五徳3,3から第3五徳3の延長部34に調理容器をずらすと、延長部34に作用する後方への押し力で第3五徳3が回転変位し、バーナリング21も第3五徳3に追従して回転変位する。そして、バーナリング21がある程度以上回転変位すると、これに挿通する点火プラグ23等に無理な力がかかってしまう。ここで、本実施形態では、第3五徳3の後側の第2延長部34が横方向に対し後方に傾いた方向に沿って外方にのびる部分を有しているため、この第2延長部34の横方向外端部に設けられた第1脚部341が天板1上の仕切り枠13の近傍に位置する。そのため、第3五徳3の若干の回転変位で第1脚部341が仕切り枠13に当接して、第3五徳3はそれ以上回転変位しなくなり、点火プラグ23等に無理な力がかかることを有効に防止できる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、第3五徳3の第2延長部34に、横方向に対し傾斜した方向に沿って外方にのびる部分を形成しているが、この部分を第1延長部34に形成することも可能である。この場合、第2連結部345の前後方向中央部に第2の補助五徳爪を設けることが望ましい。また、バーナリング21の外周面の凹部21aに係合する突部33を五徳枠31に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…天板、2,2,2…コンロバーナ、21…バーナリング、21a…凹部、3,3,3…五徳、31…五徳枠、32…五徳爪、321…下辺部、322…立上り部、323…上辺部、33…突部、34…延長部、34…第1延長部、34…第2延長部、341…第1脚部、342…第1連結部、343…補助五徳爪、344…第2脚部、345…第2連結部、346…第3脚部、346a…突起部、347…第3連結部、347a…挟み部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロの天板に開設したバーナ用開口を通して天板上に露出するコンロバーナを囲うようにして天板上に設置するコンロ用五徳であって、
コンロの奥行き方向を前後方向、コンロの幅方向を横方向として、コンロバーナに外嵌させた状態でバーナ用開口を覆うようにして天板上に設置されるバーナリングに外嵌する環状の五徳枠と、五徳枠の横方向中央の前後2箇所と、横方向中央から離れた横方向各側の前後2箇所との計6箇所に放射状に固定された6個の五徳爪と、バーナリングの外周面に形成した凹部に係合する突部とを備え、各五徳爪は、五徳枠から外方にのびる、天板に着座する下辺部と、下辺部の外端の立上り部と、立上り部の上端から内方にのびる上辺部とを有するコ字状に形成されるものにおいて、
横方向各側の前後2個の五徳爪は、上辺部に連続して立上り部よりも横方向外方にのびる延長部を備え、前記2個の五徳爪の両延長部は、両延長部間の前後方向間隔が横方向外方に向けて広がるように横方向に対し傾いた方向に沿って外方にのびる部分を有し、
両延長部に、その横方向外端部から下方に屈曲して天板に着座する第1脚部と、両第1脚部の下部間を結ぶ前後方向に長手の第1連結部と、第1連結部の前後方向中央部から立ち上がって横方向内方にのびる補助五徳爪とが設けられることを特徴とするコンロ用五徳。
【請求項2】
横方向一側の前後2個の五徳爪の前記両延長部と横方向他側の前後2個の五徳爪の前記両延長部とが前記五徳枠の環状中心に関して点対称になるように形成されることを特徴とする請求項1記載のコンロ用五徳。
【請求項3】
コンロの天板後部の横方向中央部に開設したバーナ用開口を通して天板上に露出するコンロバーナを囲うようにして天板上に設置する請求項1記載のコンロ用五徳であって、横方向各側の前後2個の五徳爪の前記両延長部が天板の側端部近傍に達する長さに形成されるものにおいて、
両延長部は、前記上辺部寄りの両第1延長部と、両第1延長部よりも横方向外方に位置し、横方向外端部に前記第1脚部と前記第1連結部と前記補助五徳爪とが設けられた両第2延長部とに2分割され、
両第1延長部に、その横方向外端部から下方に屈曲して天板に着座する第2脚部と、両第2脚部の横方向外方の側縁の下部間を結ぶ前後方向に長手の第2連結部とが設けられ、
両第2延長部に、その横方向内端部から下方に屈曲して天板に着座する、第2脚部に内接可能な第3脚部と、第2連結部よりも上方位置で両第3脚部から横方向外方に突出する突起部と、両突起部を結ぶ前後方向に長手の第3連結部とが設けられ、第3連結部に、第2連結部を第3脚部との間に横方向から挟む挟み部が形成されることを特徴とするコンロ用五徳。
【請求項4】
横方向一側の前後2個の五徳爪の前記両第1延長部及び前記両第2延長部と横方向他側の前後2個の五徳爪の前記両第1延長部及び前記両第2延長部とが夫々前記五徳枠の環状中心に関して点対称になるように形成されることを特徴とする請求項3記載のコンロ用五徳。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−96677(P2013−96677A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242295(P2011−242295)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)