説明

コークス炉の操業方法

【課題】二台の装炭車のうち一台の装炭車が故障しても石炭の装入効率を低下させることなくコークス炉の操業を行うことのできるコークス炉の操業方法を提供する
【解決手段】コークス炉21の炉頂部上を走行する装炭車16からコークス炉21の炭化室に石炭を装入してコークスを生成するに際して、コークス炉21の炉端部近傍に予備装炭車20を配置しておき、故障した装炭車16を予備装炭車20と入れ替えてコークス炉21の操業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉、特に、蓄熱室の上部に多数の炭化室と燃焼室を交互に形成した室炉式コークス炉の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室炉式コークス炉は、図3に示すように、蓄熱室11の上部に多数の炭化室12と燃焼室13を交互に形成した構造となっており、各炭化室12には、炭槽14に貯蔵された石炭がコークス炉の炉頂部上に配設された軌道15上を走行する装炭車16から装入されるようになっている。そして、装炭車16から炭化室12に装入された石炭は燃焼室13で発生した熱により乾留されてコークスとなった後、押出し機17により炭化室12から押し出されるようになっている。なお、炭化室12から押し出されたコークスは押出し機17と反対側に配置されたガイド車18から消火車19に供給され、この消火車19で消火されるようになっている。
【0003】
ところで、このようなコークス炉の炭化室に石炭を装入してコークスを生成する場合、通常、二台の装炭車を使用してコークス炉の操業を行っている。そして、二台の装炭車のうち一方の装炭車が操業中に故障した場合は、特許文献1あるいは特許文献2に示唆されているように、故障した装炭車をコークス炉の炉端部に移動させた後、故障していないほうの装炭車を使用してコークス炉の炭化室に石炭を装入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−189186号公報
【特許文献2】特公昭62−48997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した方法によると、コークス炉の操業を停止することなく故障した装炭車の修理を行うことができる。しかしながら、故障した装炭車の修理が完了するまでは、一台の装炭車だけで石炭を装入しなければならないため、石炭の装入効率が大きく低下するという問題があった。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、二台の装炭車のうち一台の装炭車が故障しても石炭の装入効率を大きく低下させることなくコークス炉の操業を行うことのできるコークス炉の操業方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るコークス炉の操業方法は、コークス炉の炉頂部上を走行する装炭車からコークス炉の炭化室に石炭を装入してコークスを生成するに際して、前記コークス炉の炉端部近傍に予備装炭車を配置しておき、前記装炭車の故障時に当該装炭車を前記予備装炭車と入れ替えてコークス炉の操業を行う方法であって、前記予備装炭車は前記コークス炉の炉端部近傍に設けられた固定デッキ上に搭載され、前記予備装炭車と交換される装炭車を前記固定デッキと前記コークス炉の炉端部との間に設けられた上下二段の可動デッキの上側デッキ部または下側デッキ部上に移動させた後、前記可動デッキを上方または下方に所定位置まで移動させ、前記予備装炭車を前記固定デッキ上から前記可動デッキの下側デッキ部または上側デッキ部上に移動させて前記装炭車の入れ替えが行われることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、故障していない装炭車と予備装炭車の二台でコークス炉の炭化室に石炭を装入することが可能となるので、二台の装炭車のうち一台の装炭車が故障しても石炭の装入効率を大きく低下させることなくコークス炉の操業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコークス炉の操業方法を示す図である
【図2】本発明の第2の実施形態に係るコークス炉の操業方法を示す図である
【図3】コークス炉の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1及び図2を参照して本発明に係るコークス炉の操業方法について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るコークス炉の操業方法を示す図である。同図において符号20は予備装炭車を示し、この予備装炭車20はコークス炉21の炉端部近傍に設けられた固定デッキ22上に搭載されている。
固定デッキ22は装炭車16が走行するコークス炉21の炉頂部とほぼ同じ水平レベルでコークス炉21の炉端部近傍に設けられており、この固定デッキ22とコークス炉21の炉端部との間には、上下二段の可動デッキ23が上下方向に昇降可能に設けられている。
【0010】
これらの固定デッキ22および可動デッキ23を使用して故障した装炭車16を予備装炭車20と入れ替える場合は、まず、図1(b)に示すように、故障した装炭車16を可動デッキ23の下側デッキ部23a上に移動させる。次に、図1(c)に示すように、可動デッキ23の上側デッキ部23bが固定デッキ22と同じ水平レベルになるまで可動デッキ23を不図示の可動デッキ駆動装置により下方に駆動し、可動デッキ23の上側デッキ部23bが固定デッキ22と同じ水平レベルに達したならば可動デッキ23の下降動作を停止させる。そして、図1(d)に示すように、固定デッキ22上に搭載された予備装炭車20を可動デッキ23の上側デッキ部23b上に移動させ、さらに可動デッキ23の上側デッキ部23b上に移動した予備装炭車20をコークス炉21の炉頂部上に移動させる。
【0011】
上述した第1の実施形態のように、コークス炉21の炭化室に石炭を装炭車16から装入してコークスを生成するに際して、コークス炉21の炉端部近傍に予備装炭車20を配置しておき、装炭車16の故障時に故障した装炭車16を予備装炭車20と入れ替えると、故障していない装炭車と予備装炭車20の二台でコークス炉21の炭化室に石炭を装入することが可能となる。したがって、二台の装炭車16のうち一台の装炭車16が故障しても石炭の装入効率を低下させることなくコークス炉21の操業を行うことができる。
【0012】
上述した第1の実施形態では、故障した装炭車16を可動デッキ23の下側デッキ部23a上に移動させて予備装炭車20と入れ替えるようにしたが、図2に示す本発明の第2の実施形態のように、故障した装炭車16を可動デッキ23の上側デッキ部23b上に移動させた後、可動デッキ23の下側デッキ部23aが固定デッキ22と同じ水平レベルになるまで可動デッキ23を不図示の可動デッキ駆動装置により上方向に駆動し、予備装炭車20を固定デッキ22上から可動デッキ23の下側デッキ部23a上に移動させて故障した装炭車16を予備装炭車20と入れ替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0013】
11 蓄熱室
12 炭化室
13 燃焼室
14 炭槽
15 軌道
16 装炭車
17 押出し機
18 ガイド車
19 消火車
20 予備装炭車
21 コークス炉
22 固定デッキ
23 可動デッキ
23a 下側デッキ部
23b 上側デッキ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉の炉頂部上を走行する装炭車からコークス炉の炭化室に石炭を装入してコークスを生成するに際して、前記コークス炉の炉端部近傍に予備装炭車を配置しておき、前記装炭車の故障時に当該装炭車を前記予備装炭車と入れ替えてコークス炉の操業を行う方法であって、前記予備装炭車は前記コークス炉の炉端部近傍に設けられた固定デッキ上に搭載され、前記予備装炭車と交換される装炭車を前記固定デッキと前記コークス炉の炉端部との間に設けられた上下二段の可動デッキの上側デッキ部または下側デッキ部上に移動させた後、前記可動デッキを上方または下方に所定位置まで移動させ、前記予備装炭車を前記固定デッキ上から前記可動デッキの下側デッキ部または上側デッキ部上に移動させて前記装炭車の入れ替えが行われることを特徴とするコークス炉の操業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−140569(P2012−140569A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1241(P2011−1241)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)