コージェネレーションシステム
【課題】レジオネラ菌を死滅可能なコージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】湯水を貯留する貯留タンク15と、湯水が通過する複数の流路を有し、前記流路には、発電ユニット2の熱によって加熱された湯水を貯留タンク15に供給する際に水流が生じる熱回収用回路12と、貯留タンク15に貯留された湯水をシステム外に排出する際に水流が発生する給湯経路21と、加熱された湯水を貯留タンク15に供給する際においても、貯留タンク15に貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路があるコージェネレーションシステム1において、発電ユニット2が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電ユニット2の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク15内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行う。
【解決手段】湯水を貯留する貯留タンク15と、湯水が通過する複数の流路を有し、前記流路には、発電ユニット2の熱によって加熱された湯水を貯留タンク15に供給する際に水流が生じる熱回収用回路12と、貯留タンク15に貯留された湯水をシステム外に排出する際に水流が発生する給湯経路21と、加熱された湯水を貯留タンク15に供給する際においても、貯留タンク15に貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路があるコージェネレーションシステム1において、発電ユニット2が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電ユニット2の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク15内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を使用したコージェネレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電機で電力を発電すると共に、その際に発生する排熱を給湯や暖房等に利用できるコージェネレーションシステムが知られている。そして、この種のシステムに採用される発電機としては、燃料電池によるものや、ガスエンジンによるものがある。近年では、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCとも言う)が実用化されている(例えば、特許文献1)。このSOFCは、ガスエンジンとは異なり、二酸化炭素を排出せず、ガスエンジンや公知の他の種類の燃料電池(例えば、溶融炭酸塩形燃料電池、リン酸形燃料電池、固体高分子形燃料電池)よりも高い発電効率を有するという利点がある。
【0003】
SOFCは、他の形式の燃料電池の種類よりも、作動に適した温度(作動温度)が摂氏700度〜摂氏1,000度と高温であるため、作動温度を確保するために比較的長い準備期間を要する。また、一般的にこのような燃料電池には、この作動温度が外乱などによって乱れないように、保温部材等によって覆われた構成とされている。
【0004】
そのため、SOFCを用いたコージェネレーションシステムは、SOFCを一度稼働させると、給湯運転や追い焚き運転、暖房運転といった要求がない場合でも、1ヶ月程度連続的に運転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−151384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家庭用のコージェネレーションシステムは、電力と熱とを同時に発生させるものである。ここで、電力については、発生させる時刻と消費すべき時刻が概ね合致している。また、発電量と消費量についてもある程度のバランスがとれている。
これに対して熱は、発生する時刻と、消費する時刻が甚だしくずれている場合が多い。また単位時間あたりにおける発熱能力と、消費時における単位時間当たりの熱の必要量は大きく相違する。
即ち、家庭において、熱を消費する時刻は限られている。また、家庭において、熱需要が最も高いのは風呂であり、風呂では短時間の間に大きな熱量を消費する。
【0007】
そこで、家庭用のコージェネレーションシステムでは、貯留タンクを設け、発生した熱によって湯を作り、この湯を貯留タンクに溜置く構成が採用されている。
即ち、家庭用のコージェネレーションシステムでは、発電部と貯留タンクとを備え、両者の間を環状に結ぶ熱回収用回路が設けられている。そして発電部で発生した熱によって熱回収用回路を流れる湯水を昇温し、貯留タンクに溜める(以下、蓄熱運転ともいう)。
また、家庭用のコージェネレーションシステムでは、湯水が保有する熱を利用するための流路として、風呂を追い焚きするための流路や、暖房器に熱を供給する流路等を備えているものが多い。
これらの熱を利用するための流路は、多くの場合、蓄熱運転の際に水流が発生しない。即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステムでは、SOFCが稼働していても、湯水が循環せず、湯水が滞留する流路(以下、滞留流路とも言う)がある。
そのため、SOFCを用いたコージェネレーションシステムを長時間使用すると、滞留流路内で湯水の滞留状態が続き、滞留流路内の湯水の温度が下がる。そのため、温度が低下した滞留流路内にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。
【0008】
また、SOFCを用いたコージェネレーションシステムは、上記したように給湯運転や追い焚き運転、暖房運転を行わない場合であっても、運転を継続し続けなければならず、蓄熱運転を維持し続ける。即ち、蓄熱運転に使用する回路(以下、熱回収用回路とも言う)においては、水流が生じており、湯水が高温となっているが、蓄熱運転に使用する回路以外の流路については、湯水が滞留しており、この滞留状態を維持している。即ち、この滞留状態を長時間継続すると、流路内の湯水の温度が下がり、それらの流路にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、レジオネラ菌を死滅させることのできるコージェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部を有し、前記発電部で発生させた熱によって湯水を加熱するコージェネレーションシステムであって、湯水を貯留する貯留タンクと、湯水が通過する複数の流路を有し、前記流路には、発電部の熱によって加熱された湯水を貯留タンクに供給する際に水流が生じる貯湯時水流発生流路と、貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際に水流が発生する給湯時水流発生流路と、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際においても貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路があるコージェネレーションシステムにおいて、発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行うことを特徴とするコージェネレーションシステムである。
【0011】
かかる構成によれば、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際においても貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路を有している。即ち、滞留流路は、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際や貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際といった通常運転時に水流が生じないため、温度が下がっている時間が長く、レジオネラ菌が繁殖しやすい場所といえる。
本発明では、発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行う構成としている。
例えば、定期的に前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の加熱された湯水を循環させることで、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させることが可能である。
また、発電部の運転を維持したままの状態で湯水強制循環動作を行うため、貯留タンクへの蓄熱を維持できる。
また、燃料電池を利用したコージェネレーションシステムでは、急な熱需要に備えて、バーナ等の補助熱源を備えているものがあるが、本発明によると、貯留タンクの湯水を利用して、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させるので、給湯時にシステム内のバーナ等の補助熱源を燃焼させ循環させるなどの衛生対応が不要となる。即ち、バーナ等の補助熱源を使用する必要がなく、余分なガス等の消費を抑えることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、滞留流路内の湯水の温度を検知する滞留水温度検知手段を有し、滞留水温度検知手段の検知温度が一定以下を維持したままの状態が一定時間に渡って続いていることを条件の一つとして湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーションシステムである。
【0013】
かかる構成によれば、滞留水温度検知手段の検知温度が一定以下を維持したままの状態が一定時間に渡って続いていることを条件の一つとして湯水強制循環動作を行う。
例えば、滞留水温度検知手段の検知温度がレジオネラ菌の至適温度(摂氏36度)より高い温度を基準とし、滞留水温度検知手段の検知温度が基準よりも高い温度の場合には、湯水強制循環動作を行わないという設定を行うことによって、湯水強制循環動作時に消費するエネルギーを押さえることが可能である。
【0014】
また、上記構成において、2以上の滞留流路を有し、水流を生じさせる滞留流路を切り替えて湯水強制循環動作を行うことが好ましい(請求項3)。
【0015】
請求項4に記載の発明は、1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行い、その後に一定時間を経た後で他の1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコージェネレーションシステムである。
【0016】
1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行い、その後に一定時間を経た後で他の1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行うため、貯留タンクに温度が安定した湯水を常時導入しておくことが可能である。
【0017】
ところで、燃料電池を用いたコージェネレーションシステムの一形態として、貯留タンクに温度成層を形成させるものが知られている。
この形式のコージェネレーションシステムでは、貯留タンクと発電部とを繋ぐ熱回収用回路を有し、貯留タンク及び熱回収用回路内は常に湯水で満たされている。そして蓄熱運転の際には、貯留タンクの下部から湯水を取り出し、発電部を経由して貯留タンクに湯水を戻す。
その結果、高温の湯水が貯留タンクに対し貯留タンクの上部から供給される。ここで、周知の通り、高温の湯水は、低温の湯水よりも密度が低いので、貯留タンクに高温の湯水を供給すると、高温の湯水は上方に溜まり、低温の湯水は底側にたまる。そのため、仮に高温の湯水を貯留タンクの下部側から供給すると、貯留タンク内で対流が生じ、内部の湯水の温度は一様になる。
【0018】
これに対して、高温の湯水を貯留タンクの上部側から供給すると、貯留タンク内に対流は起きない。そのため、高温の湯水を貯留タンクの上部側から供給すると貯留タンクの上部側に高温の湯水が溜まり、貯留タンクの下部に低温の湯水が残る。
即ち、高温の湯水を貯留タンクの上部側から供給すると、貯留タンク内で高温の湯水が溜まった領域と、低温の湯水が溜まった領域とに明確に分かれる。
【0019】
そして、貯留タンク内の湯水を使用する場合には、貯留タンクに対し貯留タンクの下部から新たに低温の湯水を供給する。その結果、貯留タンクの上部に溜まっている高温の湯水が押し出され、所望の用途に供される。
高温の湯水を使用することなく、貯留タンクの上部から高温の湯水を供給し続けると、貯留タンク内における高温の湯水が占める領域が増加し、遂には貯留タンク内が高温の湯水で満たされることとなる。
即ち、高温の湯水を使用することなく、貯留タンクの上部から高温の湯水を供給し続けると、貯留タンク内における高温層と低温層との境界が次第に下がり、遂には貯留タンク内が高温の湯水でいっぱいになる。
そこで本発明者らは、この様な貯留タンク内が高温の湯水で満たされた場合には、貯留タンクの下部からでも高温の湯水が取り出せることに注目し、貯留タンクの下部から高温の湯水を取り出して滞留流路に流すことを思いついた。
【0020】
上記した知見を基に導き出された請求項5に記載の発明は、貯留タンクと発電部とを環状につなぐ熱回収用回路を有し、貯留タンクの下部から排出させた湯水を発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水を上部側から貯留タンクに戻すことによって貯留タンク内に温度成層を形成させるものであり、湯水強制循環動作の際には貯留タンクの下部側から湯水を排出させて滞留流路に流し、発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水と滞留流路を通過した湯水の双方を同時に貯留タンクに戻すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコージェネレーションシステムである。
【0021】
かかる構成によれば、湯水強制循環動作の際には貯留タンクの下部側から湯水を排出させて滞留流路に流す。
即ち、長時間蓄熱運転を維持し続けた後に、湯水強制循環動作を行った場合は、上記したように貯留タンクの下部側であっても、レジオネラ菌を殺菌可能な温度に達しているため、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させることが可能である。
そして、例え、貯留タンクの下部側の温度が低く、レジオネラ菌を殺菌可能な温度に達していなかったとしても、発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水と滞留流路を通過した湯水の双方を同時に貯留タンクに戻すため、貯留タンクの上部側の高温の湯水によって、滞留流路内のレジオネラ菌を貯留タンクの上部側に押し出して死滅させることが可能である。
【0022】
本発明によると、湯水強制循環動作によって滞留流路内の湯水が貯留タンク内の湯水と置換される。
ところで、本発明で採用する様な温度成層を形成させるタイプのコージェネレーションシステムでは、貯留タンクに対し高温の湯水だけを貯留タンクの上部側から供給することが必須であり、低温の湯水を貯留タンクの上部側から供給することは許されない。
即ち、仮に貯留タンクの上部に高温の湯水が溜まっている状態のときに、貯留タンクの上部から低温の湯水を供給すると、供給された低温の湯水が下に沈み、貯留タンク内に対流を生じさせてしまう。その結果、貯留タンク内の温度成層が乱れ、貯留タンク内の湯水の温度が一様なものとなってしまう。
本発明の作用の説明に戻ると、本発明では、湯水強制循環動作によって滞留流路内の湯水が貯留タンク内の湯水と置換され、且つ滞留流路内の湯水は温度が低いから、滞留流路内の低温の湯水が、貯留タンクの上部側から供給されることとなる。
しかしながら、本発明では、湯水強制循環動作は、「発電部の運転を維持したままの状態で」湯水強制循環動作を行うから、貯留タンクの上部側から供給される湯水は、滞留流路内の湯水だけではない。
即ち、本発明では、発電部で加熱された湯水と、滞留流路内に残っていた湯水の双方が同時に貯留タンクの上部に戻される。そのため、貯留タンク内に大きな対流が生じず、温度成層が維持される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行う構成としている。
例えば、定期的に前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の加熱された湯水を循環させることで、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させることが可能である。
また、発電部の運転を維持したままの状態で湯水強制循環動作を行うため、貯留タンクへの蓄熱を維持できる。
また、貯留タンクの湯水を利用して、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させるので、給湯時にバーナを燃焼させ循環させるなどの衛生対応が不要となる。即ち、余分なガス等の消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るコージェネレーションシステムを示す作動原理図である。
【図2】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、熱回収用回路を黒塗りで示した図である。
【図3】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、給湯経路を黒塗りで示した図である。
【図4】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、熱供給経路を黒塗りで示した図である。
【図5】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、通常の蓄熱運転モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。
【図6】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、燃料電池が低温時の蓄熱運転モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。
【図7】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、貯留タンク内の湯水を用いて給湯運転を行う場合の湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図8】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、貯留タンク内の湯水を用いて追い焚き用熱交換器に湯水を供給する際の湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図9】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、貯留タンク内の湯水を用いて熱器具用熱交換器に湯水を供給する際の湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図10】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転1モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図11】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転2モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図12】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転3モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図13】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転4モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図14】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第1実施形態)。
【図15】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第2実施形態)。
【図16】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第3実施形態)。
【図17】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第4実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の第1実施形態に係るコージェネレーションシステム1について説明する。
本発明のコージェネレーションシステム1は、発電ユニット2と、熱回収装置3とを組み合わせたものであり、これらを往復配管5によって接続して形成されている。
まず、コージェネレーションシステム1における主要な部品に注目して説明する。
【0026】
発電ユニット2は、主たる構成要素である燃料電池6と、燃料電池6を冷却する冷却手段7とを備えている。
燃料電池6は、高温で作動する燃料電池を使用しており、本実施形態では、固体酸化物形燃料電池(所謂SOFC)が採用されている。
冷却手段7は、湯水が流れる発電側流路8と、その発電側流路8に配された発電側熱交換器10及び発電側循環ポンプ11を有する。
発電側循環ポンプ11は、往復配管5を構成要素に持つ熱回収用回路12(図2)に湯水を循環させるための装置である。
即ち、発電ユニット2は、外部に設けられた電力負荷に対して、電力を供給するための発電デバイスとしての機能と、その電力供給に伴って発生する熱によって、発電側熱交換器10を通過する湯水を加熱する熱エネルギー発生デバイスとしての機能も備えた構成である。
【0027】
一方、熱回収装置3は、主要な構成要素として、貯留タンク15と、補助熱源機16と、熱量を外部に供給可能な二つの熱供給用熱交換器17,18を備えている。
二つの熱供給用熱交換器は、具体的には熱器具用熱交換器17と風呂追い焚き用熱交換器18である。
またコージェネレーションシステム1は、発電ユニット2と熱回収装置3内の機器を結ぶ主要な流路として、熱回収用回路12(図2)と、給湯経路21(図3)と、熱供給経路22(図4)を構成しており、さらにこれらの流路を相互に連通する複数の短絡路が設けられている。以下、熱回収装置3を構成する主要機器について説明する。
【0028】
貯留タンク15は、湯水を貯留するための密閉タンクであり、その内部において湯水の温度成層を形成することができる。そして、貯留タンク15は、頂部に設けられた頂部接続部25,26と、底部に設けられた底部接続部27,28に対して、熱回収用回路12(図2)、給湯経路21(図3)及び熱供給経路22(図4)を構成する配管を接続している。なお、頂部接続部25,26及び底部接続部27,28は、本実施形態の様にそれぞれ2口設けられていることが推奨されるが、それぞれ1口であってもよい。
【0029】
さらに貯留タンク15は、内部に貯留される湯水の水位上昇方向(高さ方向)に複数(本実施形態では4つ)のタンク温度センサ30a〜30dを配した構成とされている。タンク温度センサ30a〜30dは、それぞれ貯留タンク15内の湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、貯留タンク15内に所定温度あるいは所定の温度範囲の湯水の残留量を検知するための残量検知手段としての役割も果たす。
【0030】
ここで、一般的に貯留タンク内に湯水を貯留する場合、その湯水の温度差が所定の閾値(摂氏約10度程度)以上であると、湯水が温度ごとに層状に分かれる。そのため、熱回収用回路12を通過する湯水が、貯留タンク15内の湯水の温度に対して前記閾値温度以上の高温に加熱され、貯留タンク15内の湯水を掻き乱さない程度にゆっくりと戻されると、貯留タンク15内に貯留されている湯水が温度ごとに層状に分かれる(温度成層)。即ち、貯留タンク15内の上部に蓄積した高温層と下部に蓄積した低温層が形成される。
従って、貯留タンク15に設置されたタンク温度センサ30a〜30dの検知温度を調べることにより、貯留タンク15内に所望の温度範囲に加熱された湯水がどれだけ貯留されているかを検知することができる。
【0031】
本実施形態のコージェネレーションシステム1では、貯留タンク15の底部から取り出された低温の湯水が熱回収用回路12に排出され、発電ユニット2の発電側熱交換器10を通過することによって熱交換・加熱され、貯留タンク15の頂部側にゆっくりと戻される構成とされている。
【0032】
補助熱源機16は、従来公知の給湯器と同様である。補助熱源機16は、ガスや灯油等の燃料を燃焼するためのバーナ31と補助熱源側熱交換器32とを内蔵しており、燃料の燃焼により発生した熱エネルギーを利用して湯水を加熱するものである。
補助熱源機16は、発電ユニット2の燃料電池6よりも湯水の加熱能力が高い。補助熱源機16は、通常、貯留タンク15から排出される湯水の温度が低い等の特別の場合に限って燃焼動作を行い、補助的な熱源として機能する。
熱器具用熱交換器17は、二次側に暖房循環流路36が接続され、暖房回路を流れる熱媒体を加熱するものである。
風呂追い焚き用熱交換器18は、二次側に追い焚き循環流路35が接続され、風呂の浴槽内の湯水の温度を昇温するものである。
【0033】
次に、本実施形態のコージェネレーションシステム1における主要な流路について説明する。
コージェネレーションシステム1には、前記した様に、主に熱回収用回路12、給湯経路21及び熱供給経路22が備えられている。以下、各流路について説明する。
【0034】
まず、熱回収用回路12について説明する。
熱回収用回路12は、図2の黒塗りに示すように、発電ユニット2内の発電側循環ポンプ11及び発電側熱交換器10と、熱回収装置3内の貯留タンク15を含んだ環状に結ばれた流路であり、発電側熱交換器10と貯留タンク15との間で湯水を循環可能な流路である。具体的には、熱回収用回路12は、貯留タンク15から発電側熱交換器10に向かって湯水が流れる熱回収往き流路37と、発電側熱交換器10から貯留タンク15に向かって湯水が流れる熱回収戻り流路38と、貯留タンク15を迂回する熱回収バイパス流路40を有する。
即ち、熱回収往き流路37の上流側が貯留タンク15の底部接続部27に接続され、熱回収戻り流路38の下流側が貯留タンク15の頂部接続部25に接続されている。さらに両者の中間部分を短絡するように熱回収バイパス流路40が接続されて熱回収用回路12が形成されている。
【0035】
また、熱回収往き流路37には、中途に流路の切り替えを可能とした流路切り替え手段たる三方弁41と、湯水の温度を検知するラジエター用温度センサ47、放熱手段たるラジエター42と、湯水の温度を検知する往き側温度センサ43が設けられている。
三方弁41は、3つのポート41a〜41cを有し、2経路に流路を切り換えることができるものである。即ち、この三方弁41は、ポート41aとポート41cが連通すると他のポート41bが閉塞し、熱回収往き流路37を流通可能状態にすることができる。また、三方弁41は、ポート41bとポート41cが連通すると他のポート41aが閉塞し、熱回収バイパス流路40を流通可能状態にすることができる。
ラジエター42は、ファン45を備えており、空冷効果で通過する湯水の温度を降下させるものが採用されている。ラジエター42は、ラジエター用温度センサ47の検知温度からファン45の動力が制御される。
往き側温度センサ43は、発電ユニット2に導入される直前の温度を検知するものである。
【0036】
熱回収戻り流路38には、中途に戻り側温度センサ46が設けられている。戻り側温度センサ46は、熱回収戻り流路38に接続された熱回収バイパス流路40の接続部よりも上流側(発電側熱交換器10側)に配されており、発電ユニット2で加熱された直後の湯水の温度を検知することができる。
【0037】
続いて、給湯経路21について説明する。
給湯経路21は、外部に所望の温度の湯水を出湯するための流路である。即ち、給湯経路21は、図3の黒塗りに示すように、給水源を基準に、貯留タンク15よりも上流側に位置する給水流路50と、貯留タンク15よりも下流側に位置する出湯流路51で構成されている。
給水流路50は、貯留タンク15の底部接続部28に接続されている。これにより、コージェネレーションシステム1は、外部から供給される低温の湯水を貯留タンク15の底部側から導入可能な構成とされている。
給水流路50の中途には、給水源側から順に、外部から供給された湯水の温度を検知する給水温度センサ52と、逆止弁53と、流路切り替え手段たる三方弁55が設けられている。
三方弁55は、前記した熱回収用回路12(図2参照)における三方弁41の構造とほぼ同様であり、3つのポート55a〜55cを有する。即ち、この三方弁55は、ポート55aとポート55bが連通すると他のポート55cが閉塞し、給水流路50の上流側(給水源側)に位置する上流側給水流路50aと、給水流路50の下流側(貯留タンク15側)に位置する下流側給水流路50bとの流通を可能とする。また、ポート55aとポート55cが連通すると他のポート55bが閉塞し、上流側給水流路50aとタンク迂回流路56の流通を可能とする。
【0038】
出湯流路51は、貯留タンク15の頂部接続部26に接続されて、給湯栓あるいは追い焚き循環流路35に導く流路である。即ち、出湯流路51の中途には、追い焚き循環流路35に連通した風呂側分岐路57が接続されている。
また、出湯流路51の中途には、上流側から順に、高温側温度センサ58と、3つのポートを備えた湯水混合弁60と、流量センサ61と、比例弁62と、出湯温度センサ63が設けられている。なお、湯水混合弁60には、給水流路50から分岐した給水分岐路65が接続されている。給水分岐路65は、出湯流路51を流れる湯水に外部から供給される湯水を合流させるための流路である。
給水分岐路65の中流には、出湯流路51側から給水源側に向けて湯水が逆流するのを防止するための逆止弁66が設けられている。その下流で、湯水混合弁60に接続している。
即ち、出湯流路51を通過する湯水は、湯水混合弁60で高温の湯水と低温の湯水が混ざって所望の温度に調整され、比例弁62で所望の流量に制御される。
【0039】
続いて、熱供給経路22について説明する。
熱供給経路22は、図4の黒塗りに示すように、熱器具用熱交換器17を設けた熱器具用流路67と、風呂追い焚き用熱交換器18を設けた風呂追い焚き用流路68とを含むように形成された循環流路である。
具体的には、熱供給経路22は、前記した出湯流路51(図3参照)から分岐した流路で、出湯分岐流路70と、熱交往き流路71と、熱交往き流路71から分岐した熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68と、熱交戻り流路72とによって形成された流路である。より分かり易く説明するため、熱供給経路22を流れる湯水に注目すれば、貯留タンク15の頂部接続部26から排出された湯水は、出湯流路51から分岐部54を介して、出湯分岐流路70に導入され、合流部92を通過して熱交往き流路71に導入される。そして、熱交往き流路71から分岐部82で分岐して、熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68を通過する。その後、合流部83で合流し、熱交戻り流路72を介して、再び貯留タンク15に導入される。
【0040】
出湯分岐流路70には、中途に上流側(貯留タンク15側)から順番に、流路切り替え手段たる三方弁73と、循環ポンプ76と、補助熱源入水温度センサ77と、補助熱源流量センサ78と、補助熱源用三方弁80と、補助熱源出湯温度センサ81が設けられている。
循環ポンプ76は、熱供給経路22に湯水を循環させる際に起動されるものであり、補助熱源入水温度センサ77及び補助熱源流量センサ78は、補助熱源機16に入水する湯水の温度及び流量を検知するものであり、補助熱源出湯温度センサ81は、補助熱源機16から出湯した湯水の温度を検知するものである。即ち、これらの各センサで検知された情報に基づいて、補助熱源機16の燃焼量が決定される。
三方弁73は、3つのポート73a〜73cを有し、貯留タンク15の湯水を出湯分岐流路70側に流す流路を開放したり、タンク迂回流路56の湯水を出湯分岐流路70内に流す流路を開放したりすることができる。同様に、補助熱源用三方弁80も、3つのポート80a〜80cを有し、出湯分岐流路70内の湯水を補助熱源機16側に流す流路を開放したり、補助熱源機16を迂回する流路を開放したりすることができる。
【0041】
熱交往き流路71は、出湯分岐流路70の下流側端部に接続された合流部92から熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68への分岐部82までの流路である。
熱器具用流路67は、分岐部82から熱器具用熱交換器17を通って、熱交戻り流路72への合流部83までの流路である。熱器具用流路67は、熱器具用熱交換器17の下流側に電磁弁85が設けられている。
風呂追い焚き用流路68は、分岐部82から風呂追い焚き用熱交換器18を通って、熱交戻り流路72への合流部83までの流路である。風呂追い焚き用流路68は、風呂追い焚き用熱交換器18の下流側に電磁弁86が設けられている。
熱交戻り流路72は、合流部83から貯留タンク15までの流路である。
熱交戻り流路72は、中途に温度センサ93と、流量センサ95と、前記した三方弁55が設けられている。
出湯分岐流路70の三方弁73,80、熱器具用流路67の電磁弁85、風呂追い焚き用流路68の電磁弁86、並びに熱交戻り流路72における三方弁55のそれぞれの開閉状態が制御されると共に、循環ポンプ76の動作が制御されることで、熱供給経路22内における水流が制御される。
【0042】
また、本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した流路の他、図1のように貯留タンク15を迂回するタンク迂回流路56や、熱供給経路22から分岐した分岐路87を有する。
タンク迂回流路56は、給水流路50から分岐した流路で、三方弁55のポート55cを通過した湯水が、出湯分岐流路70に設けられた三方弁73のポート73cに通じる流路である。即ち、タンク迂回流路56を通過した湯水は、貯留タンク15に導入されることなく出湯分岐流路70に流入することができる。
タンク迂回流路56の中途には、温度センサ101が設けられている。
分岐路87は、補助熱源出湯温度センサ81よりも下流側に接続されており、具体的には出湯分岐流路70と熱交往き流路71の接続部分である合流部92に接続されている。また、分岐路87の中途には、合流部92側から順に、温度センサ102と比例弁91が設けられている。
【0043】
また、コージェネレーションシステム1は、図示しない制御手段によって動作が制御されている。この制御手段に具備された部品は、従来公知のコージェネレーションシステムが備えているものと同様であり、例えばCPUや所定の制御プログラムが内蔵されたメモリなどを備えた構成とすることができる。制御手段は、各部に設けられたセンサ類の検知信号や、メモリに記憶されているデータ等に基づいて、コージェネレーションシステム1の各部に設けられた弁や発電ユニット2、補助熱源機16等の動作を制御し、コージェネレーションシステム1の総合エネルギー効率の最適化を図る構成とされている。
【0044】
続いて、本実施形態のコージェネレーションシステム1の通常の運転モードにおける動作について説明する。なお、本実施形態のコージェネレーションシステム1の通常の運転動作は、公知技術とほぼ同様であるため、簡単に説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から選択される熱消費のための動作運転モードと、を選択して運転を行うことができる。
以下に各運転モードについて説明する。
【0045】
(蓄熱運転モード)
蓄熱運転モードは、発電側循環ポンプ11を作動させることにより、熱回収用回路12内に水流を発生させ、発電ユニット2の動作に伴って発生する排熱を回収して湯水を加熱し、この湯水を貯留タンク15に貯留する蓄熱運転を行う運転モードである。即ち、動作運転の要求がない場合に、蓄熱運転を単独で行う運転モードである。言い換えると、待機モードと言える。
即ち、コージェネレーションシステム1が蓄熱運転モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、三方弁41が熱回収バイパス流路40に対して閉じ(ポート41bを閉じる)、熱回収往き流路37及び熱回収戻り流路38に対して開いた状態に制御される。そのため、熱回収用回路12内においては、図5の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部27を始点として、発電ユニット2を介して貯留タンク15の頂部接続部25に向かうように湯水の循環流が発生する。一方、発電ユニット2では、燃料電池6が発電することで発熱するため、発電側熱交換器10が昇温する。即ち、発電ユニット2に導入された湯水は、燃料電池6の排熱によって加熱され、その加熱された湯水は熱回収戻り流路38を通過して、貯留タンク15の上部側(頂部接続部25)に戻される。そして、このような動作が連続的に行われることで、貯留タンク15に加熱された湯水が徐々に貯留される。
【0046】
なお、本実施形態の蓄熱運転モードにおいては、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が所定温度以上であることを条件として実施される蓄熱運転を行う運転モードであるが、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が低い場合には、貯留タンク15内の温度成層が乱れることを防止するため、三方弁41の開放するポートを切り換えて、熱回収戻り流路38から熱回収バイパス流路40側に湯水が流れるように制御する。即ち、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が低い場合には、図6の黒塗りに示すように、熱回収往き流路37における三方弁41よりも上流側の水流を停止し、熱回収用回路12の流路であって貯留タンク15を迂回した流路に湯水を流して、さらに発電ユニット2で湯水を加熱する。そして、このような動作は、戻り側温度センサ46が所定の温度以上を検知するまで継続される。
【0047】
(給湯運転モード)
給湯運転モードは、図7のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
そして、給湯運転モードは、蓄熱運転に加えて、上記した蓄熱運転によって貯留タンク15内に貯留された高温の湯水を利用して給湯を行う給湯運転を行う場合と、蓄熱運転に加えて、補助熱源機16を用いた給湯運転を行う場合があるが、コージェネレーションシステムではエネルギーの効率化の観点から、前者を通常運転としているため、前者の動作に注目して説明する。
即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が給湯運転モードで動作する場合、蓄熱運転と給湯運転の両方の運転が行われる。
そして、コージェネレーションシステム1が給湯運転モードで動作する場合、給湯栓等が操作されると、制御手段が三方弁55のポート55a、55bを開き、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部が給水流路50に供給される。
【0048】
また、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部は、給水流路50を介して、貯留タンク15の底部接続部28から流入する。これにより、貯留タンク15の頂部に滞留する高温の湯水が、出湯流路51に排出される。
一方、外部の給水源から供給された低温の湯水の残部は、給水分岐路65に流れ込み、湯水混合弁60を介して出湯流路51に導入される。
即ち、給湯運転モードにおいては、図7の黒塗りに示すように、蓄熱運転に加えて、貯留タンク15に貯留された高温の湯水と、給水分岐路65を通過した低温の湯水とが合流するように水流を形成し、所定の温度に調整されて給湯栓(浴槽への落とし込みも含む)から給湯される。
【0049】
(追い焚き運転モード)
追い焚き運転モードは、図8のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
追い焚き運転モードは、蓄熱運転に加えて、上記した蓄熱運転によって貯留タンク15内に貯留された高温の湯水を追い焚き用熱交換器18に供給する追い焚き運転と、補助熱源機16を用いて湯水を加熱しその湯水を追い焚き用熱交換器18に供給する追い焚き運転があるが、給湯運転モードと同様の理由から、前者の動作に注目して説明する。
即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が追い焚き運転モードで動作する場合、蓄熱運転に加えて、前記した風呂追い焚き用流路68に湯水が流れるように、制御手段が風呂追い焚き用流路68の電磁弁86と、三方弁55、73及び補助熱源用三方弁80の開度を調整し、その状態で循環ポンプ76を作動する。これにより、図8の黒塗りに示すように、貯留タンク15と追い焚き用熱交換器18との間に水流が生じる。
【0050】
また、追い焚き循環流路35に設けられた風呂ポンプ88を起動し、追い焚き循環流路35内に湯水の循環流を発生させる。これにより、追い焚き用熱交換器18において、追い焚き循環流路35を循環する湯水と、熱供給経路22(風呂追い焚き用流路68)を循環する湯水とが熱交換する。即ち、熱供給経路22内の湯水が持つ熱量が放出され、その熱量を追い焚き循環流路35内の湯水が回収するため、結果的に浴槽内の湯水が所望の温度まで加熱される。
【0051】
(暖房運転モード)
暖房運転モードは、図9のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
暖房運転モードは、蓄熱運転に加えて、上記した蓄熱運転によって貯留タンク15内に貯留された高温の湯水を熱器具用熱交換器17に供給する暖房運転と、補助熱源機16を用いて湯水を加熱しその湯水を熱器具用熱交換器17に供給する暖房運転があるが、給湯運転モードと同様の理由から、前者の動作に注目して説明する。
即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が暖房運転モードで動作する場合、蓄熱運転に加えて、前記した熱器具用流路67に湯水が流れるように、制御手段が熱器具用流路67の電磁弁85と、三方弁55、73及び補助熱源用三方弁80の開度を調整し、その状態で循環ポンプ76を作動する。これにより、図9の黒塗りに示すように、貯留タンク15と熱器具用熱交換器17との間に水流が生じる。
【0052】
また、暖房循環流路36に設けられた暖房ポンプ90を起動し、暖房循環流路36内に湯水の循環流を発生させる。これにより、熱器具用熱交換器17において、暖房循環流路36を循環する湯水と、熱供給経路22(熱器具用流路67)を循環する湯水とが熱交換する。即ち、熱供給経路22内の湯水が持つ熱量が放出され、その熱量を暖房循環流路36内の湯水が回収するため、結果的に暖房内の湯水が所望の温度まで加熱される。
以上が通常の熱消費のための運転モードの動作の説明である。
【0053】
ところで、コージェネレーションシステム1は、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、熱消費のための動作運転モード(給湯運転や追い焚き運転、暖房運転)のいずれの運転モード時においても、湯水が循環せず、湯水が滞留した流路(例えば、タンク迂回流路56や分岐路87)が存在する。この滞留状態を継続すると、温度が下がり、それらの流路にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。なお、本実施形態における滞留流路はタンク迂回流路56と分岐路87を指す。
また、給湯運転や追い焚き運転、暖房運転等の熱消費のための動作運転モードを行わない場合、燃料電池6を使用しているため、燃料電池6の発電は継続し続けなければならず、蓄熱運転を維持し続ける。即ち、蓄熱運転に使用する熱回収用回路12以外の流路については、滞留状態を維持している。即ち、この滞留状態を長時間継続すると、温度が下がり、それらの流路にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。
【0054】
そこで、本実施形態のコージェネレーションシステム1は、貯留タンク15内の温度成層のバランスを利用して滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク15内の湯水を循環させることによって、レジオネラ菌を殺菌する殺菌機能を有する。
【0055】
以下、本発明の特徴たる殺菌機能について説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転モードを切り替えることによって殺菌運転を行うことができる。
以下に各殺菌運転モードについて説明する。
【0056】
(殺菌運転1モード)
殺菌運転1モードは、図10のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転1モードは、蓄熱運転に加えて、循環ポンプ76を作動させることにより、滞留流路たるタンク迂回流路56、分岐路87内に水流を発生させ、貯留タンク15の下部側(底部接続部28)から貯留タンク15の内部の湯水を抜き出し、タンク迂回流路56、分岐路87に循環させる運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転1モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、三方弁55が給水流路50上流側に対して閉じ(ポート55aを閉じる)、下流給水流路50b及びタンク迂回流路56に対して開いた状態に制御される。また、同様に、三方弁73が上流出湯分岐流路70aに対して閉じ(ポート73aを閉じる)、タンク迂回流路56及び下流出湯分岐流路70bに対して開いた状態に制御される。同様に、補助熱源用三方弁80は、下流出湯分岐流路70bが開いた状態に制御される。また、分岐路87の比例弁91は開いた状態に制御される。この時、電磁弁85,86は閉じた状態となっている。
そのため、図10の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。
ここで、循環する湯水の流量は、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
具体的には、流速は10〜300ml/minとなるように制御されている。流速は50〜100ml/minとなるように制御することが好ましい。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(タンク迂回流路56や分岐路87)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0057】
(殺菌運転2モード)
殺菌運転2モードは、図11のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転2モードは、循環ポンプ76を作動させることにより、殺菌運転1モードの湯水の流路に加えて、長時間蓄熱運転モードを継続した際に、滞留流路となる熱交往き流路71、熱器具用流路67、熱交戻り流路72内に水流を発生させ、貯留タンク15の下部側(底部接続部28)から貯留タンク15の内部の湯水を抜き出し、熱交往き流路71、熱器具用流路67、熱交戻り流路72に循環させる運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転2モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、電磁弁85は開いた状態となる。
そのため、図11の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。さらに湯水は合流部92から熱交往き流路71側にも流れ、当該湯水は、熱器具用流路67、熱交戻り流路72を介して、流量センサ95の下流にある合流部96でタンク迂回流路56に合流する。
ここで、循環する湯水の流量は、殺菌運転1モードと同様、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(熱交往き流路71、熱器具用流路67、熱交戻り流路72)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0058】
(殺菌運転3モード)
殺菌運転3モードは、図12のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転3モードは、循環ポンプ76を作動させることにより、殺菌運転1モードの湯水の流路に加えて、長時間蓄熱運転モードを継続した際に、滞留流路となる熱交往き流路71、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72内に水流を発生させ、貯留タンク15の下部側(底部接続部28)から貯留タンク15の内部の湯水を抜き出し、熱交往き流路71、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72に循環させる運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転3モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、電磁弁86は開いた状態となる。
そのため、図12の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。さらに湯水は合流部92から熱交往き流路71側にも流れ、当該湯水は、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72を介して、流量センサ95の下流にある合流部96でタンク迂回流路56に合流する。
即ち、殺菌運転2モードが熱器具用流路67を循環するのに対して、殺菌運転3モードは風呂追い焚き用流路68を循環する点で異なる。
ここで、循環する湯水の流量は、殺菌運転1モードと同様、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(熱交往き流路71、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0059】
(殺菌運転4モード)
殺菌運転4モードは、図13のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転4モードは、循環ポンプ76を作動させることにより、殺菌運転1モードの湯水の流路に加えて、長時間蓄熱運転モードを継続した際に、滞留流路となる上流出湯分岐流路70aに水流を発生させる。即ち、分岐部54から上流出湯分岐流路70aに流しこむ運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転4モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、三方弁73のポート73a〜73cのすべてを開状態にする。この時、電磁弁85,86は閉じた状態となっている。
そのため、図13の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。さらに湯水は分岐路54から上流出湯分岐流路70aにも流れ、当該湯水は、三方弁73で下流出湯分岐流路70bに合流する。
ここで、循環する湯水の流量は、殺菌運転1モードと同様、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(上流出湯分岐流路70a)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0060】
以下、本発明の特徴たる湯水強制循環機能について説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した4つの殺菌運転モード群から殺菌運転モードを選択して運転を行うことができる。本実施形態のコージェネレーションシステム1は、図14のフローチャートに示すような湯水強制循環機能の動作が実行される。
【0061】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ1)。この時、制御手段によって、蓄熱運転の開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ2)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうかを監視する(ステップ3)。即ち、制御手段によって、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から熱消費のための動作運転モードを行う命令がなされているかどうかが確認される。
この時、熱消費のための動作運転命令がなされていない場合には、待機運転となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ4)、蓄熱積算のカウントをリセットし(蓄熱積算タイマーリセット)(ステップ5)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され、選択された殺菌運転モードが開始される(ステップ6)。この時、制御手段によって、殺菌運転モードの種類と殺菌運転モードの開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ7)。
【0062】
なお、ステップ4で設定される経過時間は、特に限定されないが、本実施形態では20時間〜40時間程度とされている。
また、必要な経過時間は、任意に設定されるが、経過時間を決定する上での指針は、次の2点である。
(1)レジオネラ菌の増殖が起きない期間であること
本発明は、レジオネラ菌の増殖を抑えることが目的であるから、レジオネラ菌の増殖が起きない範囲の時間間隔で、殺菌運転を行う必要がある。
本項目は、経過時間の上限を規定するものであり、概ね50時間以内である。
(2)貯留タンク15が満蓄状態となり、貯留タンク15の下部に高温の湯水が存在するのに十分な時間であること。
即ち、本実施形態では、殺菌運転モードの際に、湯水を貯留タンク15の下部から取り出す。このときに貯留タンク15の下部に高温の湯水が存在していなければならない。
本項目は、経過時間の下限を規定するものであり、概ね10時間以上である。
なお、満蓄条件は貯留タンク15の下部に設けた温度センサで検知してもよい。例えば、貯留タンク15のタンク温度センサ30dの温度が、摂氏60度以上になることを条件に満蓄条件とみなしてもよい。
【0063】
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ(ステップ8)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ9)、殺菌積算タイマーをリセットし(ステップ10)、殺菌運転モードを終了する(ステップ11)。そして、制御手段によって、殺菌運転モードの終了時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ2)。その後、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードが開始される。熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ2からステップ11を繰り返す。以下、このステップ2からステップ11を1サイクルとする。
なお、ステップ9で設定される経過時間は、特に限定されないが、本実施形態では5分〜20分程度とされている。
一方、ステップ3、ステップ8において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ12に移行して、蓄熱積算タイマー及び殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ13)。その後、ステップ2に戻る。
ここで、ステップ6について詳説すると、ステップ6では、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され開始されるが、この選択される殺菌運転モードは、1サイクル毎に異なる。即ち、1サイクル目に殺菌運転1モード、2サイクル目に殺菌運転2モード、3サイクル目に殺菌運転3モード、4サイクル目に殺菌運転4モード、5サイクル目に殺菌運転1モード・・・のように1サイクル毎に異なる殺菌運転モードを行う。この殺菌運転モードの順番は特に限定されない。即ち、1サイクル目に殺菌運転2モード、2サイクル目に殺菌運転1モード、3サイクル目に殺菌運転2モード、4サイクル目に殺菌運転4モード、5サイクル目に殺菌運転3モード・・・のようにランダムに行ってもよいが、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードがローテーションして行われることが好ましい。
また、湯水強制循環機能の動作を行う直前の動作運転モードによって、殺菌運転モードを選択することが好ましい。
具体的には、湯水強制循環機能の動作を行う直前の動作運転モードが、追い焚き運転モードであれば、1サイクル目は、殺菌運転1モード又は殺菌運転2モードを行うことが好ましい。同様に、湯水強制循環機能の動作を行う直前の動作運転モードが、暖房運転モードであれば、1サイクル目は、殺菌運転1モード又は殺菌運転3モードを行うことが好ましい。
【0064】
続いて、以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0065】
第2実施形態のコージェネレーションシステムは、湯水強制循環機能の動作が異なる。
第2実施形態のコージェネレーションシステムは、図15のフローチャートに示すような湯水強制循環機能の動作が実行される。
【0066】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ21)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうか確認される(ステップ22)。即ち、制御手段によって、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から動作運転モードを行う命令がなされているかどうかを確認される。
この時、熱消費のための動作運転命令がなされていない場合には、待機状態となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しながら、タンク迂回流路56に設けられた温度センサ101と、分岐路87に設けられた温度センサ102を監視し、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下となっているかどうか確認する(ステップ23)。
熱消費のための動作運転命令がないまま、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下になったことを検知すると、制御手段によって、この検知時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ24)。
なお、ステップ23で設定される基準温度は、至適温度である摂氏36度以上であれば特に限定されないが、本実施形態では摂氏45度から摂氏55度程度とされている。
そして、所定時間が経過すると(ステップ25)、蓄熱積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ26)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され、選択された殺菌運転モードが開始される(ステップ27)。この時、制御手段によって、殺菌運転モードの種類と殺菌運転モードの開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ28)。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視し(ステップ29)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ30)、殺菌積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ31)、殺菌運転モードを終了する(ステップ32)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうか確認される(ステップ22)。この時、熱消費のための動作運転命令が行われていない場合には、待機運転となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。そして、熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ22からステップ32を繰り返す。
一方、ステップ22、ステップ29において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ33に移行して、蓄熱積算タイマー及び殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ34)。その後、ステップ22に戻る。
【0067】
上記した実施形態では、殺菌運転モードにおいて、貯留タンク15から取り出した湯水が滞留流路内に行き渡っているかどうかは、時間の経過によって判断しているが、直接検知してもよい。即ち、殺菌運転モードの際の循環ポンプ76の使用によって生じる流水の乱れによって検知してもよい。
具体的には、以下に第3実施形態として説明する。なお、第1,2実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0068】
第3実施形態のコージェネレーションシステムは、湯水強制循環機能の動作が異なる。
第3実施形態のコージェネレーションシステムは、図16のフローチャートに示すような湯水強制循環機能の動作が実行される。
【0069】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ41)。熱消費のための動作運転命令が行われているかどうか確認される(ステップ42)。即ち、制御手段によって、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から動作運転モードを行う命令がなされているかどうかを確認される。
この時、熱消費のための動作運転命令がなされていない場合には、待機状態となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか確認しながら、タンク迂回流路56に設けられた温度センサ101と、分岐路87に設けられた温度センサ102を監視し、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下となっているかどうか確認する(ステップ43)。
熱消費のための動作運転命令がないまま、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下になったことを検知すると、制御手段によって、この検知時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ44)。
【0070】
そして、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ45)、蓄熱積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ46)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され開始される(ステップ47)。
熱消費のための動作運転命令がないまま(ステップ48)、補助熱源流量センサ78によって、下流出湯分岐流路70bの流量が安定したことを検知すると(ステップ49)、制御手段によって、この流量の安定を検知した検知時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ50)。なお、ここでいう「流量が安定した」とは、流量の変化が25%以内に収まった状態を表す。
なお、流量は循環ポンプ76の回転数によって検知してもよい。
【0071】
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ(ステップ51)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ52)、殺菌積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ53)、殺菌運転モードを終了する(ステップ54)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうかを確認する(ステップ42)。この時、熱消費のための動作運転命令が行われていない場合には、待機運転となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードを開始する。そして、熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ42からステップ54を繰り返す。
【0072】
一方、ステップ42、ステップ48、ステップ51において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ55に移行して、蓄熱積算タイマー及び殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ56)。その後、ステップ42に戻る。
【0073】
第3実施形態のコージェネレーションシステムであれば、流量の安定によって検知するため、貯留タンク15から取り出した湯水が滞留流路内に行き渡っているかどうかを確認でき、レジオネラ菌を確実に殺菌できる。
【0074】
上記した実施形態では、熱消費のための動作運転を実行する度に蓄熱積算タイマーをリセットしたが、熱消費のための動作運転の要求如何に係わらず、蓄熱積算タイマーの計時を続けてもよい。
即ち、熱消費のための動作運転が実行されても、水流が生じ無い流路があり、この流路ではレジオネラ菌が増殖しえる。
例えば先の実施形態では、風呂の追い焚きが実行された場合には、蓄熱積算タイマーがリセットされるが、風呂の追い焚きが実行されても熱器具用流路67には水流が生じず、熱器具用熱交換器17内でレジオネラ菌が増殖しえる。そのため風呂の追い焚きだけが何回も繰り返されると、いつまでたっても蓄熱積算タイマーが所定時間の経過を計時することができない。
そのため熱器具用熱交換器17内でレジオネラ菌が増殖してしまう懸念がある。
また、熱消費のための動作運転が給湯運転モードである場合には、滞留流路のいずれにも水流が生じないので、滞留流路内の殺菌を行うことができないこととなってしまう。
そこで、熱消費のための動作運転の要求如何に係わらず、蓄熱積算タイマーの計時を続け、殺菌運転モードが実行されている間に、熱消費のための動作運転があれば、殺菌運転モードを一時的に停止して熱消費のための動作運転を実行する構成を採用してもよい。
言い換えると、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モード時の熱消費のための動作運転命令の監視を省略してもよい。
具体的には、第4実施形態として説明する。図17は、本発明の第4実施形態の湯水強制循環機能の動作であり、上記した趣旨にのっとり、熱消費のための動作運転の要求如何に係わらず、蓄熱積算タイマーの計時を続け、熱消費のための動作運転があれば、殺菌運転モードを一次的に停止して熱消費のための動作運転を実行するものである。
【0075】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ61)。この時、制御手段によって、蓄熱運転の開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ62)。所定時間が経過すると(ステップ63)、蓄熱積算のカウントをリセットし(蓄熱積算タイマーリセット)(ステップ64)、貯湯タンク15の下部の温度を温度センサ30dで検知し、所定温度以上であれば(ステップ65)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され、選択された殺菌運転モードが開始される(ステップ66)。この時、制御手段によって、殺菌運転モードの種類と殺菌運転モードの開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ67)。
【0076】
なお、ステップ65で設定される基準温度は、本実施形態では摂氏50度以上とされている。好ましくは、摂氏60度以上であり、さらに好ましくは摂氏70度以上となっている。
【0077】
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ(ステップ68)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ69)、殺菌積算タイマーをリセットし(ステップ70)、殺菌運転モードを終了する(ステップ71)。そして、制御手段によって、殺菌運転モードの終了時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ62)。熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ62からステップ71を繰り返す。
一方、ステップ68において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ72に移行して、殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ73)。その後、ステップ62に戻る。
【0078】
上記した第4実施形態では、ステップ73の後、ステップ62に戻ったが、ステップ65に戻ってもよい。
【0079】
上記した第1実施形態では、滞留流路に関わらずコージェネレーションシステム全体で蓄熱積算タイマーの計時を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、滞留流路毎に蓄熱積算タイマーの計時を行ってもよい。例えば、滞留流路毎の対応する弁の閉鎖を基準として蓄熱積算タイマーの計時を行い、所定時間を経過すると、その滞留流路に対応した殺菌運転モードを行う。なお、殺菌運転モードと監視する弁の対応関係は、殺菌運転1モードと比例弁91、殺菌運転2モードと電磁弁85、殺菌運転3モードと電磁弁86、殺菌運転4モードと三方弁73のポート73a、となっている。当該動作の一例を挙げると、三方弁73のポート73aが閉鎖状態となることを基準として、蓄熱積算タイマーの計時を行い、所定時間を経過すると、殺菌運転4モードを行う。
【0080】
上記した実施形態では、殺菌運転モードにおいて、循環する湯水の流量を制御し、循環する湯水の流速が低速になるように制御したが、本発明はこれに限定されるものではなく、循環する湯水の流速が高速になるように制御してもよい。循環する湯水の流速が高速になるように制御した場合、滞留流路(タンク迂回流路56や分岐路87)内の湯水が押しやられ、レジオネラ菌とともに、貯留タンク15の上部に流入し、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0081】
上記した実施形態では、蓄熱運転モード→殺菌運転モード→蓄熱運転モード→・・・の順に蓄熱運転モードと殺菌運転モードを交互に繰り返したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蓄熱運転モード→殺菌運転1モード→殺菌運転2モード→殺菌運転3モード→殺菌運転4モード→蓄熱運転モード→・・・のように連続的に殺菌運転モードを行ってもよい。
【0082】
また、上記した各々の実施形態の湯水強制循環機能の動作フローは組み合わせてもよい。
【0083】
上記した実施形態では、それぞれの殺菌運転モードを単独で行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の殺菌運転モードを組み合わせてもよい。例えば、殺菌運転2モードと殺菌運転3モードの2つの殺菌運転モードを同時に行ってもよいし、殺菌運転2モードと殺菌運転3モードと殺菌運転4モードの3つの殺菌運転モードを同時に行ってもよい。また、殺菌運転モードの組み合わせは限定されない。
【符号の説明】
【0084】
1 コージェネレーションシステム
2 発電ユニット(発電部)
12 熱回収用回路(貯湯時水流発生流路)
15 貯留タンク
21 給湯経路(給湯時水流発生流路)
101,102 温度センサ(滞留水温度検知手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を使用したコージェネレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電機で電力を発電すると共に、その際に発生する排熱を給湯や暖房等に利用できるコージェネレーションシステムが知られている。そして、この種のシステムに採用される発電機としては、燃料電池によるものや、ガスエンジンによるものがある。近年では、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCとも言う)が実用化されている(例えば、特許文献1)。このSOFCは、ガスエンジンとは異なり、二酸化炭素を排出せず、ガスエンジンや公知の他の種類の燃料電池(例えば、溶融炭酸塩形燃料電池、リン酸形燃料電池、固体高分子形燃料電池)よりも高い発電効率を有するという利点がある。
【0003】
SOFCは、他の形式の燃料電池の種類よりも、作動に適した温度(作動温度)が摂氏700度〜摂氏1,000度と高温であるため、作動温度を確保するために比較的長い準備期間を要する。また、一般的にこのような燃料電池には、この作動温度が外乱などによって乱れないように、保温部材等によって覆われた構成とされている。
【0004】
そのため、SOFCを用いたコージェネレーションシステムは、SOFCを一度稼働させると、給湯運転や追い焚き運転、暖房運転といった要求がない場合でも、1ヶ月程度連続的に運転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−151384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家庭用のコージェネレーションシステムは、電力と熱とを同時に発生させるものである。ここで、電力については、発生させる時刻と消費すべき時刻が概ね合致している。また、発電量と消費量についてもある程度のバランスがとれている。
これに対して熱は、発生する時刻と、消費する時刻が甚だしくずれている場合が多い。また単位時間あたりにおける発熱能力と、消費時における単位時間当たりの熱の必要量は大きく相違する。
即ち、家庭において、熱を消費する時刻は限られている。また、家庭において、熱需要が最も高いのは風呂であり、風呂では短時間の間に大きな熱量を消費する。
【0007】
そこで、家庭用のコージェネレーションシステムでは、貯留タンクを設け、発生した熱によって湯を作り、この湯を貯留タンクに溜置く構成が採用されている。
即ち、家庭用のコージェネレーションシステムでは、発電部と貯留タンクとを備え、両者の間を環状に結ぶ熱回収用回路が設けられている。そして発電部で発生した熱によって熱回収用回路を流れる湯水を昇温し、貯留タンクに溜める(以下、蓄熱運転ともいう)。
また、家庭用のコージェネレーションシステムでは、湯水が保有する熱を利用するための流路として、風呂を追い焚きするための流路や、暖房器に熱を供給する流路等を備えているものが多い。
これらの熱を利用するための流路は、多くの場合、蓄熱運転の際に水流が発生しない。即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステムでは、SOFCが稼働していても、湯水が循環せず、湯水が滞留する流路(以下、滞留流路とも言う)がある。
そのため、SOFCを用いたコージェネレーションシステムを長時間使用すると、滞留流路内で湯水の滞留状態が続き、滞留流路内の湯水の温度が下がる。そのため、温度が低下した滞留流路内にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。
【0008】
また、SOFCを用いたコージェネレーションシステムは、上記したように給湯運転や追い焚き運転、暖房運転を行わない場合であっても、運転を継続し続けなければならず、蓄熱運転を維持し続ける。即ち、蓄熱運転に使用する回路(以下、熱回収用回路とも言う)においては、水流が生じており、湯水が高温となっているが、蓄熱運転に使用する回路以外の流路については、湯水が滞留しており、この滞留状態を維持している。即ち、この滞留状態を長時間継続すると、流路内の湯水の温度が下がり、それらの流路にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、レジオネラ菌を死滅させることのできるコージェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部を有し、前記発電部で発生させた熱によって湯水を加熱するコージェネレーションシステムであって、湯水を貯留する貯留タンクと、湯水が通過する複数の流路を有し、前記流路には、発電部の熱によって加熱された湯水を貯留タンクに供給する際に水流が生じる貯湯時水流発生流路と、貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際に水流が発生する給湯時水流発生流路と、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際においても貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路があるコージェネレーションシステムにおいて、発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行うことを特徴とするコージェネレーションシステムである。
【0011】
かかる構成によれば、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際においても貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路を有している。即ち、滞留流路は、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際や貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際といった通常運転時に水流が生じないため、温度が下がっている時間が長く、レジオネラ菌が繁殖しやすい場所といえる。
本発明では、発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行う構成としている。
例えば、定期的に前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の加熱された湯水を循環させることで、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させることが可能である。
また、発電部の運転を維持したままの状態で湯水強制循環動作を行うため、貯留タンクへの蓄熱を維持できる。
また、燃料電池を利用したコージェネレーションシステムでは、急な熱需要に備えて、バーナ等の補助熱源を備えているものがあるが、本発明によると、貯留タンクの湯水を利用して、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させるので、給湯時にシステム内のバーナ等の補助熱源を燃焼させ循環させるなどの衛生対応が不要となる。即ち、バーナ等の補助熱源を使用する必要がなく、余分なガス等の消費を抑えることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、滞留流路内の湯水の温度を検知する滞留水温度検知手段を有し、滞留水温度検知手段の検知温度が一定以下を維持したままの状態が一定時間に渡って続いていることを条件の一つとして湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーションシステムである。
【0013】
かかる構成によれば、滞留水温度検知手段の検知温度が一定以下を維持したままの状態が一定時間に渡って続いていることを条件の一つとして湯水強制循環動作を行う。
例えば、滞留水温度検知手段の検知温度がレジオネラ菌の至適温度(摂氏36度)より高い温度を基準とし、滞留水温度検知手段の検知温度が基準よりも高い温度の場合には、湯水強制循環動作を行わないという設定を行うことによって、湯水強制循環動作時に消費するエネルギーを押さえることが可能である。
【0014】
また、上記構成において、2以上の滞留流路を有し、水流を生じさせる滞留流路を切り替えて湯水強制循環動作を行うことが好ましい(請求項3)。
【0015】
請求項4に記載の発明は、1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行い、その後に一定時間を経た後で他の1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコージェネレーションシステムである。
【0016】
1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行い、その後に一定時間を経た後で他の1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行うため、貯留タンクに温度が安定した湯水を常時導入しておくことが可能である。
【0017】
ところで、燃料電池を用いたコージェネレーションシステムの一形態として、貯留タンクに温度成層を形成させるものが知られている。
この形式のコージェネレーションシステムでは、貯留タンクと発電部とを繋ぐ熱回収用回路を有し、貯留タンク及び熱回収用回路内は常に湯水で満たされている。そして蓄熱運転の際には、貯留タンクの下部から湯水を取り出し、発電部を経由して貯留タンクに湯水を戻す。
その結果、高温の湯水が貯留タンクに対し貯留タンクの上部から供給される。ここで、周知の通り、高温の湯水は、低温の湯水よりも密度が低いので、貯留タンクに高温の湯水を供給すると、高温の湯水は上方に溜まり、低温の湯水は底側にたまる。そのため、仮に高温の湯水を貯留タンクの下部側から供給すると、貯留タンク内で対流が生じ、内部の湯水の温度は一様になる。
【0018】
これに対して、高温の湯水を貯留タンクの上部側から供給すると、貯留タンク内に対流は起きない。そのため、高温の湯水を貯留タンクの上部側から供給すると貯留タンクの上部側に高温の湯水が溜まり、貯留タンクの下部に低温の湯水が残る。
即ち、高温の湯水を貯留タンクの上部側から供給すると、貯留タンク内で高温の湯水が溜まった領域と、低温の湯水が溜まった領域とに明確に分かれる。
【0019】
そして、貯留タンク内の湯水を使用する場合には、貯留タンクに対し貯留タンクの下部から新たに低温の湯水を供給する。その結果、貯留タンクの上部に溜まっている高温の湯水が押し出され、所望の用途に供される。
高温の湯水を使用することなく、貯留タンクの上部から高温の湯水を供給し続けると、貯留タンク内における高温の湯水が占める領域が増加し、遂には貯留タンク内が高温の湯水で満たされることとなる。
即ち、高温の湯水を使用することなく、貯留タンクの上部から高温の湯水を供給し続けると、貯留タンク内における高温層と低温層との境界が次第に下がり、遂には貯留タンク内が高温の湯水でいっぱいになる。
そこで本発明者らは、この様な貯留タンク内が高温の湯水で満たされた場合には、貯留タンクの下部からでも高温の湯水が取り出せることに注目し、貯留タンクの下部から高温の湯水を取り出して滞留流路に流すことを思いついた。
【0020】
上記した知見を基に導き出された請求項5に記載の発明は、貯留タンクと発電部とを環状につなぐ熱回収用回路を有し、貯留タンクの下部から排出させた湯水を発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水を上部側から貯留タンクに戻すことによって貯留タンク内に温度成層を形成させるものであり、湯水強制循環動作の際には貯留タンクの下部側から湯水を排出させて滞留流路に流し、発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水と滞留流路を通過した湯水の双方を同時に貯留タンクに戻すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコージェネレーションシステムである。
【0021】
かかる構成によれば、湯水強制循環動作の際には貯留タンクの下部側から湯水を排出させて滞留流路に流す。
即ち、長時間蓄熱運転を維持し続けた後に、湯水強制循環動作を行った場合は、上記したように貯留タンクの下部側であっても、レジオネラ菌を殺菌可能な温度に達しているため、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させることが可能である。
そして、例え、貯留タンクの下部側の温度が低く、レジオネラ菌を殺菌可能な温度に達していなかったとしても、発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水と滞留流路を通過した湯水の双方を同時に貯留タンクに戻すため、貯留タンクの上部側の高温の湯水によって、滞留流路内のレジオネラ菌を貯留タンクの上部側に押し出して死滅させることが可能である。
【0022】
本発明によると、湯水強制循環動作によって滞留流路内の湯水が貯留タンク内の湯水と置換される。
ところで、本発明で採用する様な温度成層を形成させるタイプのコージェネレーションシステムでは、貯留タンクに対し高温の湯水だけを貯留タンクの上部側から供給することが必須であり、低温の湯水を貯留タンクの上部側から供給することは許されない。
即ち、仮に貯留タンクの上部に高温の湯水が溜まっている状態のときに、貯留タンクの上部から低温の湯水を供給すると、供給された低温の湯水が下に沈み、貯留タンク内に対流を生じさせてしまう。その結果、貯留タンク内の温度成層が乱れ、貯留タンク内の湯水の温度が一様なものとなってしまう。
本発明の作用の説明に戻ると、本発明では、湯水強制循環動作によって滞留流路内の湯水が貯留タンク内の湯水と置換され、且つ滞留流路内の湯水は温度が低いから、滞留流路内の低温の湯水が、貯留タンクの上部側から供給されることとなる。
しかしながら、本発明では、湯水強制循環動作は、「発電部の運転を維持したままの状態で」湯水強制循環動作を行うから、貯留タンクの上部側から供給される湯水は、滞留流路内の湯水だけではない。
即ち、本発明では、発電部で加熱された湯水と、滞留流路内に残っていた湯水の双方が同時に貯留タンクの上部に戻される。そのため、貯留タンク内に大きな対流が生じず、温度成層が維持される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行う構成としている。
例えば、定期的に前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の加熱された湯水を循環させることで、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させることが可能である。
また、発電部の運転を維持したままの状態で湯水強制循環動作を行うため、貯留タンクへの蓄熱を維持できる。
また、貯留タンクの湯水を利用して、滞留流路内のレジオネラ菌を死滅させるので、給湯時にバーナを燃焼させ循環させるなどの衛生対応が不要となる。即ち、余分なガス等の消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るコージェネレーションシステムを示す作動原理図である。
【図2】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、熱回収用回路を黒塗りで示した図である。
【図3】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、給湯経路を黒塗りで示した図である。
【図4】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、熱供給経路を黒塗りで示した図である。
【図5】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、通常の蓄熱運転モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。
【図6】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、燃料電池が低温時の蓄熱運転モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。
【図7】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、貯留タンク内の湯水を用いて給湯運転を行う場合の湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図8】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、貯留タンク内の湯水を用いて追い焚き用熱交換器に湯水を供給する際の湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図9】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、貯留タンク内の湯水を用いて熱器具用熱交換器に湯水を供給する際の湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図10】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転1モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図11】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転2モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図12】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転3モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図13】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、殺菌運転4モードにおける湯水の流れを黒塗りで示した図である。なお、蓄熱運転における湯水の流れをハッチングで表し、区別している。
【図14】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第1実施形態)。
【図15】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第2実施形態)。
【図16】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第3実施形態)。
【図17】図1のコージェネレーションシステムの湯水強制循環機能の動作を示すフローチャートである(第4実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の第1実施形態に係るコージェネレーションシステム1について説明する。
本発明のコージェネレーションシステム1は、発電ユニット2と、熱回収装置3とを組み合わせたものであり、これらを往復配管5によって接続して形成されている。
まず、コージェネレーションシステム1における主要な部品に注目して説明する。
【0026】
発電ユニット2は、主たる構成要素である燃料電池6と、燃料電池6を冷却する冷却手段7とを備えている。
燃料電池6は、高温で作動する燃料電池を使用しており、本実施形態では、固体酸化物形燃料電池(所謂SOFC)が採用されている。
冷却手段7は、湯水が流れる発電側流路8と、その発電側流路8に配された発電側熱交換器10及び発電側循環ポンプ11を有する。
発電側循環ポンプ11は、往復配管5を構成要素に持つ熱回収用回路12(図2)に湯水を循環させるための装置である。
即ち、発電ユニット2は、外部に設けられた電力負荷に対して、電力を供給するための発電デバイスとしての機能と、その電力供給に伴って発生する熱によって、発電側熱交換器10を通過する湯水を加熱する熱エネルギー発生デバイスとしての機能も備えた構成である。
【0027】
一方、熱回収装置3は、主要な構成要素として、貯留タンク15と、補助熱源機16と、熱量を外部に供給可能な二つの熱供給用熱交換器17,18を備えている。
二つの熱供給用熱交換器は、具体的には熱器具用熱交換器17と風呂追い焚き用熱交換器18である。
またコージェネレーションシステム1は、発電ユニット2と熱回収装置3内の機器を結ぶ主要な流路として、熱回収用回路12(図2)と、給湯経路21(図3)と、熱供給経路22(図4)を構成しており、さらにこれらの流路を相互に連通する複数の短絡路が設けられている。以下、熱回収装置3を構成する主要機器について説明する。
【0028】
貯留タンク15は、湯水を貯留するための密閉タンクであり、その内部において湯水の温度成層を形成することができる。そして、貯留タンク15は、頂部に設けられた頂部接続部25,26と、底部に設けられた底部接続部27,28に対して、熱回収用回路12(図2)、給湯経路21(図3)及び熱供給経路22(図4)を構成する配管を接続している。なお、頂部接続部25,26及び底部接続部27,28は、本実施形態の様にそれぞれ2口設けられていることが推奨されるが、それぞれ1口であってもよい。
【0029】
さらに貯留タンク15は、内部に貯留される湯水の水位上昇方向(高さ方向)に複数(本実施形態では4つ)のタンク温度センサ30a〜30dを配した構成とされている。タンク温度センサ30a〜30dは、それぞれ貯留タンク15内の湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、貯留タンク15内に所定温度あるいは所定の温度範囲の湯水の残留量を検知するための残量検知手段としての役割も果たす。
【0030】
ここで、一般的に貯留タンク内に湯水を貯留する場合、その湯水の温度差が所定の閾値(摂氏約10度程度)以上であると、湯水が温度ごとに層状に分かれる。そのため、熱回収用回路12を通過する湯水が、貯留タンク15内の湯水の温度に対して前記閾値温度以上の高温に加熱され、貯留タンク15内の湯水を掻き乱さない程度にゆっくりと戻されると、貯留タンク15内に貯留されている湯水が温度ごとに層状に分かれる(温度成層)。即ち、貯留タンク15内の上部に蓄積した高温層と下部に蓄積した低温層が形成される。
従って、貯留タンク15に設置されたタンク温度センサ30a〜30dの検知温度を調べることにより、貯留タンク15内に所望の温度範囲に加熱された湯水がどれだけ貯留されているかを検知することができる。
【0031】
本実施形態のコージェネレーションシステム1では、貯留タンク15の底部から取り出された低温の湯水が熱回収用回路12に排出され、発電ユニット2の発電側熱交換器10を通過することによって熱交換・加熱され、貯留タンク15の頂部側にゆっくりと戻される構成とされている。
【0032】
補助熱源機16は、従来公知の給湯器と同様である。補助熱源機16は、ガスや灯油等の燃料を燃焼するためのバーナ31と補助熱源側熱交換器32とを内蔵しており、燃料の燃焼により発生した熱エネルギーを利用して湯水を加熱するものである。
補助熱源機16は、発電ユニット2の燃料電池6よりも湯水の加熱能力が高い。補助熱源機16は、通常、貯留タンク15から排出される湯水の温度が低い等の特別の場合に限って燃焼動作を行い、補助的な熱源として機能する。
熱器具用熱交換器17は、二次側に暖房循環流路36が接続され、暖房回路を流れる熱媒体を加熱するものである。
風呂追い焚き用熱交換器18は、二次側に追い焚き循環流路35が接続され、風呂の浴槽内の湯水の温度を昇温するものである。
【0033】
次に、本実施形態のコージェネレーションシステム1における主要な流路について説明する。
コージェネレーションシステム1には、前記した様に、主に熱回収用回路12、給湯経路21及び熱供給経路22が備えられている。以下、各流路について説明する。
【0034】
まず、熱回収用回路12について説明する。
熱回収用回路12は、図2の黒塗りに示すように、発電ユニット2内の発電側循環ポンプ11及び発電側熱交換器10と、熱回収装置3内の貯留タンク15を含んだ環状に結ばれた流路であり、発電側熱交換器10と貯留タンク15との間で湯水を循環可能な流路である。具体的には、熱回収用回路12は、貯留タンク15から発電側熱交換器10に向かって湯水が流れる熱回収往き流路37と、発電側熱交換器10から貯留タンク15に向かって湯水が流れる熱回収戻り流路38と、貯留タンク15を迂回する熱回収バイパス流路40を有する。
即ち、熱回収往き流路37の上流側が貯留タンク15の底部接続部27に接続され、熱回収戻り流路38の下流側が貯留タンク15の頂部接続部25に接続されている。さらに両者の中間部分を短絡するように熱回収バイパス流路40が接続されて熱回収用回路12が形成されている。
【0035】
また、熱回収往き流路37には、中途に流路の切り替えを可能とした流路切り替え手段たる三方弁41と、湯水の温度を検知するラジエター用温度センサ47、放熱手段たるラジエター42と、湯水の温度を検知する往き側温度センサ43が設けられている。
三方弁41は、3つのポート41a〜41cを有し、2経路に流路を切り換えることができるものである。即ち、この三方弁41は、ポート41aとポート41cが連通すると他のポート41bが閉塞し、熱回収往き流路37を流通可能状態にすることができる。また、三方弁41は、ポート41bとポート41cが連通すると他のポート41aが閉塞し、熱回収バイパス流路40を流通可能状態にすることができる。
ラジエター42は、ファン45を備えており、空冷効果で通過する湯水の温度を降下させるものが採用されている。ラジエター42は、ラジエター用温度センサ47の検知温度からファン45の動力が制御される。
往き側温度センサ43は、発電ユニット2に導入される直前の温度を検知するものである。
【0036】
熱回収戻り流路38には、中途に戻り側温度センサ46が設けられている。戻り側温度センサ46は、熱回収戻り流路38に接続された熱回収バイパス流路40の接続部よりも上流側(発電側熱交換器10側)に配されており、発電ユニット2で加熱された直後の湯水の温度を検知することができる。
【0037】
続いて、給湯経路21について説明する。
給湯経路21は、外部に所望の温度の湯水を出湯するための流路である。即ち、給湯経路21は、図3の黒塗りに示すように、給水源を基準に、貯留タンク15よりも上流側に位置する給水流路50と、貯留タンク15よりも下流側に位置する出湯流路51で構成されている。
給水流路50は、貯留タンク15の底部接続部28に接続されている。これにより、コージェネレーションシステム1は、外部から供給される低温の湯水を貯留タンク15の底部側から導入可能な構成とされている。
給水流路50の中途には、給水源側から順に、外部から供給された湯水の温度を検知する給水温度センサ52と、逆止弁53と、流路切り替え手段たる三方弁55が設けられている。
三方弁55は、前記した熱回収用回路12(図2参照)における三方弁41の構造とほぼ同様であり、3つのポート55a〜55cを有する。即ち、この三方弁55は、ポート55aとポート55bが連通すると他のポート55cが閉塞し、給水流路50の上流側(給水源側)に位置する上流側給水流路50aと、給水流路50の下流側(貯留タンク15側)に位置する下流側給水流路50bとの流通を可能とする。また、ポート55aとポート55cが連通すると他のポート55bが閉塞し、上流側給水流路50aとタンク迂回流路56の流通を可能とする。
【0038】
出湯流路51は、貯留タンク15の頂部接続部26に接続されて、給湯栓あるいは追い焚き循環流路35に導く流路である。即ち、出湯流路51の中途には、追い焚き循環流路35に連通した風呂側分岐路57が接続されている。
また、出湯流路51の中途には、上流側から順に、高温側温度センサ58と、3つのポートを備えた湯水混合弁60と、流量センサ61と、比例弁62と、出湯温度センサ63が設けられている。なお、湯水混合弁60には、給水流路50から分岐した給水分岐路65が接続されている。給水分岐路65は、出湯流路51を流れる湯水に外部から供給される湯水を合流させるための流路である。
給水分岐路65の中流には、出湯流路51側から給水源側に向けて湯水が逆流するのを防止するための逆止弁66が設けられている。その下流で、湯水混合弁60に接続している。
即ち、出湯流路51を通過する湯水は、湯水混合弁60で高温の湯水と低温の湯水が混ざって所望の温度に調整され、比例弁62で所望の流量に制御される。
【0039】
続いて、熱供給経路22について説明する。
熱供給経路22は、図4の黒塗りに示すように、熱器具用熱交換器17を設けた熱器具用流路67と、風呂追い焚き用熱交換器18を設けた風呂追い焚き用流路68とを含むように形成された循環流路である。
具体的には、熱供給経路22は、前記した出湯流路51(図3参照)から分岐した流路で、出湯分岐流路70と、熱交往き流路71と、熱交往き流路71から分岐した熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68と、熱交戻り流路72とによって形成された流路である。より分かり易く説明するため、熱供給経路22を流れる湯水に注目すれば、貯留タンク15の頂部接続部26から排出された湯水は、出湯流路51から分岐部54を介して、出湯分岐流路70に導入され、合流部92を通過して熱交往き流路71に導入される。そして、熱交往き流路71から分岐部82で分岐して、熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68を通過する。その後、合流部83で合流し、熱交戻り流路72を介して、再び貯留タンク15に導入される。
【0040】
出湯分岐流路70には、中途に上流側(貯留タンク15側)から順番に、流路切り替え手段たる三方弁73と、循環ポンプ76と、補助熱源入水温度センサ77と、補助熱源流量センサ78と、補助熱源用三方弁80と、補助熱源出湯温度センサ81が設けられている。
循環ポンプ76は、熱供給経路22に湯水を循環させる際に起動されるものであり、補助熱源入水温度センサ77及び補助熱源流量センサ78は、補助熱源機16に入水する湯水の温度及び流量を検知するものであり、補助熱源出湯温度センサ81は、補助熱源機16から出湯した湯水の温度を検知するものである。即ち、これらの各センサで検知された情報に基づいて、補助熱源機16の燃焼量が決定される。
三方弁73は、3つのポート73a〜73cを有し、貯留タンク15の湯水を出湯分岐流路70側に流す流路を開放したり、タンク迂回流路56の湯水を出湯分岐流路70内に流す流路を開放したりすることができる。同様に、補助熱源用三方弁80も、3つのポート80a〜80cを有し、出湯分岐流路70内の湯水を補助熱源機16側に流す流路を開放したり、補助熱源機16を迂回する流路を開放したりすることができる。
【0041】
熱交往き流路71は、出湯分岐流路70の下流側端部に接続された合流部92から熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68への分岐部82までの流路である。
熱器具用流路67は、分岐部82から熱器具用熱交換器17を通って、熱交戻り流路72への合流部83までの流路である。熱器具用流路67は、熱器具用熱交換器17の下流側に電磁弁85が設けられている。
風呂追い焚き用流路68は、分岐部82から風呂追い焚き用熱交換器18を通って、熱交戻り流路72への合流部83までの流路である。風呂追い焚き用流路68は、風呂追い焚き用熱交換器18の下流側に電磁弁86が設けられている。
熱交戻り流路72は、合流部83から貯留タンク15までの流路である。
熱交戻り流路72は、中途に温度センサ93と、流量センサ95と、前記した三方弁55が設けられている。
出湯分岐流路70の三方弁73,80、熱器具用流路67の電磁弁85、風呂追い焚き用流路68の電磁弁86、並びに熱交戻り流路72における三方弁55のそれぞれの開閉状態が制御されると共に、循環ポンプ76の動作が制御されることで、熱供給経路22内における水流が制御される。
【0042】
また、本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した流路の他、図1のように貯留タンク15を迂回するタンク迂回流路56や、熱供給経路22から分岐した分岐路87を有する。
タンク迂回流路56は、給水流路50から分岐した流路で、三方弁55のポート55cを通過した湯水が、出湯分岐流路70に設けられた三方弁73のポート73cに通じる流路である。即ち、タンク迂回流路56を通過した湯水は、貯留タンク15に導入されることなく出湯分岐流路70に流入することができる。
タンク迂回流路56の中途には、温度センサ101が設けられている。
分岐路87は、補助熱源出湯温度センサ81よりも下流側に接続されており、具体的には出湯分岐流路70と熱交往き流路71の接続部分である合流部92に接続されている。また、分岐路87の中途には、合流部92側から順に、温度センサ102と比例弁91が設けられている。
【0043】
また、コージェネレーションシステム1は、図示しない制御手段によって動作が制御されている。この制御手段に具備された部品は、従来公知のコージェネレーションシステムが備えているものと同様であり、例えばCPUや所定の制御プログラムが内蔵されたメモリなどを備えた構成とすることができる。制御手段は、各部に設けられたセンサ類の検知信号や、メモリに記憶されているデータ等に基づいて、コージェネレーションシステム1の各部に設けられた弁や発電ユニット2、補助熱源機16等の動作を制御し、コージェネレーションシステム1の総合エネルギー効率の最適化を図る構成とされている。
【0044】
続いて、本実施形態のコージェネレーションシステム1の通常の運転モードにおける動作について説明する。なお、本実施形態のコージェネレーションシステム1の通常の運転動作は、公知技術とほぼ同様であるため、簡単に説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から選択される熱消費のための動作運転モードと、を選択して運転を行うことができる。
以下に各運転モードについて説明する。
【0045】
(蓄熱運転モード)
蓄熱運転モードは、発電側循環ポンプ11を作動させることにより、熱回収用回路12内に水流を発生させ、発電ユニット2の動作に伴って発生する排熱を回収して湯水を加熱し、この湯水を貯留タンク15に貯留する蓄熱運転を行う運転モードである。即ち、動作運転の要求がない場合に、蓄熱運転を単独で行う運転モードである。言い換えると、待機モードと言える。
即ち、コージェネレーションシステム1が蓄熱運転モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、三方弁41が熱回収バイパス流路40に対して閉じ(ポート41bを閉じる)、熱回収往き流路37及び熱回収戻り流路38に対して開いた状態に制御される。そのため、熱回収用回路12内においては、図5の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部27を始点として、発電ユニット2を介して貯留タンク15の頂部接続部25に向かうように湯水の循環流が発生する。一方、発電ユニット2では、燃料電池6が発電することで発熱するため、発電側熱交換器10が昇温する。即ち、発電ユニット2に導入された湯水は、燃料電池6の排熱によって加熱され、その加熱された湯水は熱回収戻り流路38を通過して、貯留タンク15の上部側(頂部接続部25)に戻される。そして、このような動作が連続的に行われることで、貯留タンク15に加熱された湯水が徐々に貯留される。
【0046】
なお、本実施形態の蓄熱運転モードにおいては、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が所定温度以上であることを条件として実施される蓄熱運転を行う運転モードであるが、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が低い場合には、貯留タンク15内の温度成層が乱れることを防止するため、三方弁41の開放するポートを切り換えて、熱回収戻り流路38から熱回収バイパス流路40側に湯水が流れるように制御する。即ち、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が低い場合には、図6の黒塗りに示すように、熱回収往き流路37における三方弁41よりも上流側の水流を停止し、熱回収用回路12の流路であって貯留タンク15を迂回した流路に湯水を流して、さらに発電ユニット2で湯水を加熱する。そして、このような動作は、戻り側温度センサ46が所定の温度以上を検知するまで継続される。
【0047】
(給湯運転モード)
給湯運転モードは、図7のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
そして、給湯運転モードは、蓄熱運転に加えて、上記した蓄熱運転によって貯留タンク15内に貯留された高温の湯水を利用して給湯を行う給湯運転を行う場合と、蓄熱運転に加えて、補助熱源機16を用いた給湯運転を行う場合があるが、コージェネレーションシステムではエネルギーの効率化の観点から、前者を通常運転としているため、前者の動作に注目して説明する。
即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が給湯運転モードで動作する場合、蓄熱運転と給湯運転の両方の運転が行われる。
そして、コージェネレーションシステム1が給湯運転モードで動作する場合、給湯栓等が操作されると、制御手段が三方弁55のポート55a、55bを開き、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部が給水流路50に供給される。
【0048】
また、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部は、給水流路50を介して、貯留タンク15の底部接続部28から流入する。これにより、貯留タンク15の頂部に滞留する高温の湯水が、出湯流路51に排出される。
一方、外部の給水源から供給された低温の湯水の残部は、給水分岐路65に流れ込み、湯水混合弁60を介して出湯流路51に導入される。
即ち、給湯運転モードにおいては、図7の黒塗りに示すように、蓄熱運転に加えて、貯留タンク15に貯留された高温の湯水と、給水分岐路65を通過した低温の湯水とが合流するように水流を形成し、所定の温度に調整されて給湯栓(浴槽への落とし込みも含む)から給湯される。
【0049】
(追い焚き運転モード)
追い焚き運転モードは、図8のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
追い焚き運転モードは、蓄熱運転に加えて、上記した蓄熱運転によって貯留タンク15内に貯留された高温の湯水を追い焚き用熱交換器18に供給する追い焚き運転と、補助熱源機16を用いて湯水を加熱しその湯水を追い焚き用熱交換器18に供給する追い焚き運転があるが、給湯運転モードと同様の理由から、前者の動作に注目して説明する。
即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が追い焚き運転モードで動作する場合、蓄熱運転に加えて、前記した風呂追い焚き用流路68に湯水が流れるように、制御手段が風呂追い焚き用流路68の電磁弁86と、三方弁55、73及び補助熱源用三方弁80の開度を調整し、その状態で循環ポンプ76を作動する。これにより、図8の黒塗りに示すように、貯留タンク15と追い焚き用熱交換器18との間に水流が生じる。
【0050】
また、追い焚き循環流路35に設けられた風呂ポンプ88を起動し、追い焚き循環流路35内に湯水の循環流を発生させる。これにより、追い焚き用熱交換器18において、追い焚き循環流路35を循環する湯水と、熱供給経路22(風呂追い焚き用流路68)を循環する湯水とが熱交換する。即ち、熱供給経路22内の湯水が持つ熱量が放出され、その熱量を追い焚き循環流路35内の湯水が回収するため、結果的に浴槽内の湯水が所望の温度まで加熱される。
【0051】
(暖房運転モード)
暖房運転モードは、図9のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
暖房運転モードは、蓄熱運転に加えて、上記した蓄熱運転によって貯留タンク15内に貯留された高温の湯水を熱器具用熱交換器17に供給する暖房運転と、補助熱源機16を用いて湯水を加熱しその湯水を熱器具用熱交換器17に供給する暖房運転があるが、給湯運転モードと同様の理由から、前者の動作に注目して説明する。
即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が暖房運転モードで動作する場合、蓄熱運転に加えて、前記した熱器具用流路67に湯水が流れるように、制御手段が熱器具用流路67の電磁弁85と、三方弁55、73及び補助熱源用三方弁80の開度を調整し、その状態で循環ポンプ76を作動する。これにより、図9の黒塗りに示すように、貯留タンク15と熱器具用熱交換器17との間に水流が生じる。
【0052】
また、暖房循環流路36に設けられた暖房ポンプ90を起動し、暖房循環流路36内に湯水の循環流を発生させる。これにより、熱器具用熱交換器17において、暖房循環流路36を循環する湯水と、熱供給経路22(熱器具用流路67)を循環する湯水とが熱交換する。即ち、熱供給経路22内の湯水が持つ熱量が放出され、その熱量を暖房循環流路36内の湯水が回収するため、結果的に暖房内の湯水が所望の温度まで加熱される。
以上が通常の熱消費のための運転モードの動作の説明である。
【0053】
ところで、コージェネレーションシステム1は、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、熱消費のための動作運転モード(給湯運転や追い焚き運転、暖房運転)のいずれの運転モード時においても、湯水が循環せず、湯水が滞留した流路(例えば、タンク迂回流路56や分岐路87)が存在する。この滞留状態を継続すると、温度が下がり、それらの流路にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。なお、本実施形態における滞留流路はタンク迂回流路56と分岐路87を指す。
また、給湯運転や追い焚き運転、暖房運転等の熱消費のための動作運転モードを行わない場合、燃料電池6を使用しているため、燃料電池6の発電は継続し続けなければならず、蓄熱運転を維持し続ける。即ち、蓄熱運転に使用する熱回収用回路12以外の流路については、滞留状態を維持している。即ち、この滞留状態を長時間継続すると、温度が下がり、それらの流路にレジオネラ菌が発生するおそれがあった。
【0054】
そこで、本実施形態のコージェネレーションシステム1は、貯留タンク15内の温度成層のバランスを利用して滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク15内の湯水を循環させることによって、レジオネラ菌を殺菌する殺菌機能を有する。
【0055】
以下、本発明の特徴たる殺菌機能について説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転モードを切り替えることによって殺菌運転を行うことができる。
以下に各殺菌運転モードについて説明する。
【0056】
(殺菌運転1モード)
殺菌運転1モードは、図10のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転1モードは、蓄熱運転に加えて、循環ポンプ76を作動させることにより、滞留流路たるタンク迂回流路56、分岐路87内に水流を発生させ、貯留タンク15の下部側(底部接続部28)から貯留タンク15の内部の湯水を抜き出し、タンク迂回流路56、分岐路87に循環させる運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転1モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、三方弁55が給水流路50上流側に対して閉じ(ポート55aを閉じる)、下流給水流路50b及びタンク迂回流路56に対して開いた状態に制御される。また、同様に、三方弁73が上流出湯分岐流路70aに対して閉じ(ポート73aを閉じる)、タンク迂回流路56及び下流出湯分岐流路70bに対して開いた状態に制御される。同様に、補助熱源用三方弁80は、下流出湯分岐流路70bが開いた状態に制御される。また、分岐路87の比例弁91は開いた状態に制御される。この時、電磁弁85,86は閉じた状態となっている。
そのため、図10の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。
ここで、循環する湯水の流量は、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
具体的には、流速は10〜300ml/minとなるように制御されている。流速は50〜100ml/minとなるように制御することが好ましい。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(タンク迂回流路56や分岐路87)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0057】
(殺菌運転2モード)
殺菌運転2モードは、図11のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転2モードは、循環ポンプ76を作動させることにより、殺菌運転1モードの湯水の流路に加えて、長時間蓄熱運転モードを継続した際に、滞留流路となる熱交往き流路71、熱器具用流路67、熱交戻り流路72内に水流を発生させ、貯留タンク15の下部側(底部接続部28)から貯留タンク15の内部の湯水を抜き出し、熱交往き流路71、熱器具用流路67、熱交戻り流路72に循環させる運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転2モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、電磁弁85は開いた状態となる。
そのため、図11の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。さらに湯水は合流部92から熱交往き流路71側にも流れ、当該湯水は、熱器具用流路67、熱交戻り流路72を介して、流量センサ95の下流にある合流部96でタンク迂回流路56に合流する。
ここで、循環する湯水の流量は、殺菌運転1モードと同様、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(熱交往き流路71、熱器具用流路67、熱交戻り流路72)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0058】
(殺菌運転3モード)
殺菌運転3モードは、図12のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転3モードは、循環ポンプ76を作動させることにより、殺菌運転1モードの湯水の流路に加えて、長時間蓄熱運転モードを継続した際に、滞留流路となる熱交往き流路71、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72内に水流を発生させ、貯留タンク15の下部側(底部接続部28)から貯留タンク15の内部の湯水を抜き出し、熱交往き流路71、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72に循環させる運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転3モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、電磁弁86は開いた状態となる。
そのため、図12の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。さらに湯水は合流部92から熱交往き流路71側にも流れ、当該湯水は、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72を介して、流量センサ95の下流にある合流部96でタンク迂回流路56に合流する。
即ち、殺菌運転2モードが熱器具用流路67を循環するのに対して、殺菌運転3モードは風呂追い焚き用流路68を循環する点で異なる。
ここで、循環する湯水の流量は、殺菌運転1モードと同様、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(熱交往き流路71、風呂追い焚き用流路68、熱交戻り流路72)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0059】
(殺菌運転4モード)
殺菌運転4モードは、図13のハッチングのように、蓄熱運転が常時行われている。
殺菌運転4モードは、循環ポンプ76を作動させることにより、殺菌運転1モードの湯水の流路に加えて、長時間蓄熱運転モードを継続した際に、滞留流路となる上流出湯分岐流路70aに水流を発生させる。即ち、分岐部54から上流出湯分岐流路70aに流しこむ運転モードである。
即ち、コージェネレーションシステム1が殺菌運転4モードで動作する場合、図示しない制御手段から発信される制御信号に基づいて、三方弁73のポート73a〜73cのすべてを開状態にする。この時、電磁弁85,86は閉じた状態となっている。
そのため、図13の黒塗りに示すように、貯留タンク15の底部接続部28を始点として、タンク迂回流路56を通過し、下流出湯分岐流路70b、合流部92、分岐路87を介して、貯留タンク15の頂部接続部26に流入する。さらに湯水は分岐路54から上流出湯分岐流路70aにも流れ、当該湯水は、三方弁73で下流出湯分岐流路70bに合流する。
ここで、循環する湯水の流量は、殺菌運転1モードと同様、補助熱源流量センサ78によって検知され、所定の流速になるように制御されている。即ち、循環する湯水の流速は、熱回収用回路内12の湯水の流速よりも低速になるように制御している。
流速を低速にしているため、循環した湯水が貯留タンク15の頂部接続部26に流入しても貯留タンク15の上部の温度は低下しない。即ち、再出湯時に補助熱源機16の燃焼が必要ない。また、高温の湯水が、滞留流路(上流出湯分岐流路70a)を通過するため、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0060】
以下、本発明の特徴たる湯水強制循環機能について説明する。
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した4つの殺菌運転モード群から殺菌運転モードを選択して運転を行うことができる。本実施形態のコージェネレーションシステム1は、図14のフローチャートに示すような湯水強制循環機能の動作が実行される。
【0061】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ1)。この時、制御手段によって、蓄熱運転の開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ2)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうかを監視する(ステップ3)。即ち、制御手段によって、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から熱消費のための動作運転モードを行う命令がなされているかどうかが確認される。
この時、熱消費のための動作運転命令がなされていない場合には、待機運転となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ4)、蓄熱積算のカウントをリセットし(蓄熱積算タイマーリセット)(ステップ5)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され、選択された殺菌運転モードが開始される(ステップ6)。この時、制御手段によって、殺菌運転モードの種類と殺菌運転モードの開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ7)。
【0062】
なお、ステップ4で設定される経過時間は、特に限定されないが、本実施形態では20時間〜40時間程度とされている。
また、必要な経過時間は、任意に設定されるが、経過時間を決定する上での指針は、次の2点である。
(1)レジオネラ菌の増殖が起きない期間であること
本発明は、レジオネラ菌の増殖を抑えることが目的であるから、レジオネラ菌の増殖が起きない範囲の時間間隔で、殺菌運転を行う必要がある。
本項目は、経過時間の上限を規定するものであり、概ね50時間以内である。
(2)貯留タンク15が満蓄状態となり、貯留タンク15の下部に高温の湯水が存在するのに十分な時間であること。
即ち、本実施形態では、殺菌運転モードの際に、湯水を貯留タンク15の下部から取り出す。このときに貯留タンク15の下部に高温の湯水が存在していなければならない。
本項目は、経過時間の下限を規定するものであり、概ね10時間以上である。
なお、満蓄条件は貯留タンク15の下部に設けた温度センサで検知してもよい。例えば、貯留タンク15のタンク温度センサ30dの温度が、摂氏60度以上になることを条件に満蓄条件とみなしてもよい。
【0063】
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ(ステップ8)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ9)、殺菌積算タイマーをリセットし(ステップ10)、殺菌運転モードを終了する(ステップ11)。そして、制御手段によって、殺菌運転モードの終了時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ2)。その後、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードが開始される。熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ2からステップ11を繰り返す。以下、このステップ2からステップ11を1サイクルとする。
なお、ステップ9で設定される経過時間は、特に限定されないが、本実施形態では5分〜20分程度とされている。
一方、ステップ3、ステップ8において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ12に移行して、蓄熱積算タイマー及び殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ13)。その後、ステップ2に戻る。
ここで、ステップ6について詳説すると、ステップ6では、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され開始されるが、この選択される殺菌運転モードは、1サイクル毎に異なる。即ち、1サイクル目に殺菌運転1モード、2サイクル目に殺菌運転2モード、3サイクル目に殺菌運転3モード、4サイクル目に殺菌運転4モード、5サイクル目に殺菌運転1モード・・・のように1サイクル毎に異なる殺菌運転モードを行う。この殺菌運転モードの順番は特に限定されない。即ち、1サイクル目に殺菌運転2モード、2サイクル目に殺菌運転1モード、3サイクル目に殺菌運転2モード、4サイクル目に殺菌運転4モード、5サイクル目に殺菌運転3モード・・・のようにランダムに行ってもよいが、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードがローテーションして行われることが好ましい。
また、湯水強制循環機能の動作を行う直前の動作運転モードによって、殺菌運転モードを選択することが好ましい。
具体的には、湯水強制循環機能の動作を行う直前の動作運転モードが、追い焚き運転モードであれば、1サイクル目は、殺菌運転1モード又は殺菌運転2モードを行うことが好ましい。同様に、湯水強制循環機能の動作を行う直前の動作運転モードが、暖房運転モードであれば、1サイクル目は、殺菌運転1モード又は殺菌運転3モードを行うことが好ましい。
【0064】
続いて、以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0065】
第2実施形態のコージェネレーションシステムは、湯水強制循環機能の動作が異なる。
第2実施形態のコージェネレーションシステムは、図15のフローチャートに示すような湯水強制循環機能の動作が実行される。
【0066】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ21)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうか確認される(ステップ22)。即ち、制御手段によって、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から動作運転モードを行う命令がなされているかどうかを確認される。
この時、熱消費のための動作運転命令がなされていない場合には、待機状態となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しながら、タンク迂回流路56に設けられた温度センサ101と、分岐路87に設けられた温度センサ102を監視し、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下となっているかどうか確認する(ステップ23)。
熱消費のための動作運転命令がないまま、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下になったことを検知すると、制御手段によって、この検知時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ24)。
なお、ステップ23で設定される基準温度は、至適温度である摂氏36度以上であれば特に限定されないが、本実施形態では摂氏45度から摂氏55度程度とされている。
そして、所定時間が経過すると(ステップ25)、蓄熱積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ26)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され、選択された殺菌運転モードが開始される(ステップ27)。この時、制御手段によって、殺菌運転モードの種類と殺菌運転モードの開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ28)。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視し(ステップ29)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ30)、殺菌積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ31)、殺菌運転モードを終了する(ステップ32)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうか確認される(ステップ22)。この時、熱消費のための動作運転命令が行われていない場合には、待機運転となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。そして、熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ22からステップ32を繰り返す。
一方、ステップ22、ステップ29において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ33に移行して、蓄熱積算タイマー及び殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ34)。その後、ステップ22に戻る。
【0067】
上記した実施形態では、殺菌運転モードにおいて、貯留タンク15から取り出した湯水が滞留流路内に行き渡っているかどうかは、時間の経過によって判断しているが、直接検知してもよい。即ち、殺菌運転モードの際の循環ポンプ76の使用によって生じる流水の乱れによって検知してもよい。
具体的には、以下に第3実施形態として説明する。なお、第1,2実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0068】
第3実施形態のコージェネレーションシステムは、湯水強制循環機能の動作が異なる。
第3実施形態のコージェネレーションシステムは、図16のフローチャートに示すような湯水強制循環機能の動作が実行される。
【0069】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ41)。熱消費のための動作運転命令が行われているかどうか確認される(ステップ42)。即ち、制御手段によって、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モードを含む運転モード群から動作運転モードを行う命令がなされているかどうかを確認される。
この時、熱消費のための動作運転命令がなされていない場合には、待機状態となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードとなる。
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか確認しながら、タンク迂回流路56に設けられた温度センサ101と、分岐路87に設けられた温度センサ102を監視し、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下となっているかどうか確認する(ステップ43)。
熱消費のための動作運転命令がないまま、滞留流路たるタンク迂回流路56と、分岐路87のいずれかの温度が所定の温度以下になったことを検知すると、制御手段によって、この検知時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ44)。
【0070】
そして、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ45)、蓄熱積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ46)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され開始される(ステップ47)。
熱消費のための動作運転命令がないまま(ステップ48)、補助熱源流量センサ78によって、下流出湯分岐流路70bの流量が安定したことを検知すると(ステップ49)、制御手段によって、この流量の安定を検知した検知時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ50)。なお、ここでいう「流量が安定した」とは、流量の変化が25%以内に収まった状態を表す。
なお、流量は循環ポンプ76の回転数によって検知してもよい。
【0071】
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ(ステップ51)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ52)、殺菌積算タイマーのカウントをリセットし(ステップ53)、殺菌運転モードを終了する(ステップ54)。そして、熱消費のための動作運転命令が行われているかどうかを確認する(ステップ42)。この時、熱消費のための動作運転命令が行われていない場合には、待機運転となり、蓄熱運転が単独で行われる蓄熱運転モードを開始する。そして、熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ42からステップ54を繰り返す。
【0072】
一方、ステップ42、ステップ48、ステップ51において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ55に移行して、蓄熱積算タイマー及び殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ56)。その後、ステップ42に戻る。
【0073】
第3実施形態のコージェネレーションシステムであれば、流量の安定によって検知するため、貯留タンク15から取り出した湯水が滞留流路内に行き渡っているかどうかを確認でき、レジオネラ菌を確実に殺菌できる。
【0074】
上記した実施形態では、熱消費のための動作運転を実行する度に蓄熱積算タイマーをリセットしたが、熱消費のための動作運転の要求如何に係わらず、蓄熱積算タイマーの計時を続けてもよい。
即ち、熱消費のための動作運転が実行されても、水流が生じ無い流路があり、この流路ではレジオネラ菌が増殖しえる。
例えば先の実施形態では、風呂の追い焚きが実行された場合には、蓄熱積算タイマーがリセットされるが、風呂の追い焚きが実行されても熱器具用流路67には水流が生じず、熱器具用熱交換器17内でレジオネラ菌が増殖しえる。そのため風呂の追い焚きだけが何回も繰り返されると、いつまでたっても蓄熱積算タイマーが所定時間の経過を計時することができない。
そのため熱器具用熱交換器17内でレジオネラ菌が増殖してしまう懸念がある。
また、熱消費のための動作運転が給湯運転モードである場合には、滞留流路のいずれにも水流が生じないので、滞留流路内の殺菌を行うことができないこととなってしまう。
そこで、熱消費のための動作運転の要求如何に係わらず、蓄熱積算タイマーの計時を続け、殺菌運転モードが実行されている間に、熱消費のための動作運転があれば、殺菌運転モードを一時的に停止して熱消費のための動作運転を実行する構成を採用してもよい。
言い換えると、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モード時の熱消費のための動作運転命令の監視を省略してもよい。
具体的には、第4実施形態として説明する。図17は、本発明の第4実施形態の湯水強制循環機能の動作であり、上記した趣旨にのっとり、熱消費のための動作運転の要求如何に係わらず、蓄熱積算タイマーの計時を続け、熱消費のための動作運転があれば、殺菌運転モードを一次的に停止して熱消費のための動作運転を実行するものである。
【0075】
まず、蓄熱運転を開始する(ステップ61)。この時、制御手段によって、蓄熱運転の開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ62)。所定時間が経過すると(ステップ63)、蓄熱積算のカウントをリセットし(蓄熱積算タイマーリセット)(ステップ64)、貯湯タンク15の下部の温度を温度センサ30dで検知し、所定温度以上であれば(ステップ65)、殺菌運転1モード、殺菌運転2モード、殺菌運転3モード、殺菌運転4モードの4つの殺菌運転の内、いずれかの殺菌運転モードが選択され、選択された殺菌運転モードが開始される(ステップ66)。この時、制御手段によって、殺菌運転モードの種類と殺菌運転モードの開始時間が記憶され、経過時間がカウントされる(殺菌積算タイマーON)(ステップ67)。
【0076】
なお、ステップ65で設定される基準温度は、本実施形態では摂氏50度以上とされている。好ましくは、摂氏60度以上であり、さらに好ましくは摂氏70度以上となっている。
【0077】
そして、熱消費のための動作運転命令がなされているか監視しつつ(ステップ68)、熱消費のための動作運転命令がないまま、所定時間が経過すると(ステップ69)、殺菌積算タイマーをリセットし(ステップ70)、殺菌運転モードを終了する(ステップ71)。そして、制御手段によって、殺菌運転モードの終了時間が記憶され、経過時間がカウントされる(蓄熱積算タイマーON)(ステップ62)。熱消費のための動作運転命令がなされない場合、ステップ62からステップ71を繰り返す。
一方、ステップ68において、熱消費のための動作運転命令がなされていた場合には、ステップ72に移行して、殺菌積算タイマーをリセットする。そして、熱消費のための動作運転モードとなり、給湯運転モードと追い焚き運転モードと暖房運転モード等の所望運転モードが実行され、終了する(ステップ73)。その後、ステップ62に戻る。
【0078】
上記した第4実施形態では、ステップ73の後、ステップ62に戻ったが、ステップ65に戻ってもよい。
【0079】
上記した第1実施形態では、滞留流路に関わらずコージェネレーションシステム全体で蓄熱積算タイマーの計時を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、滞留流路毎に蓄熱積算タイマーの計時を行ってもよい。例えば、滞留流路毎の対応する弁の閉鎖を基準として蓄熱積算タイマーの計時を行い、所定時間を経過すると、その滞留流路に対応した殺菌運転モードを行う。なお、殺菌運転モードと監視する弁の対応関係は、殺菌運転1モードと比例弁91、殺菌運転2モードと電磁弁85、殺菌運転3モードと電磁弁86、殺菌運転4モードと三方弁73のポート73a、となっている。当該動作の一例を挙げると、三方弁73のポート73aが閉鎖状態となることを基準として、蓄熱積算タイマーの計時を行い、所定時間を経過すると、殺菌運転4モードを行う。
【0080】
上記した実施形態では、殺菌運転モードにおいて、循環する湯水の流量を制御し、循環する湯水の流速が低速になるように制御したが、本発明はこれに限定されるものではなく、循環する湯水の流速が高速になるように制御してもよい。循環する湯水の流速が高速になるように制御した場合、滞留流路(タンク迂回流路56や分岐路87)内の湯水が押しやられ、レジオネラ菌とともに、貯留タンク15の上部に流入し、レジオネラ菌を死滅させることが可能である。
【0081】
上記した実施形態では、蓄熱運転モード→殺菌運転モード→蓄熱運転モード→・・・の順に蓄熱運転モードと殺菌運転モードを交互に繰り返したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蓄熱運転モード→殺菌運転1モード→殺菌運転2モード→殺菌運転3モード→殺菌運転4モード→蓄熱運転モード→・・・のように連続的に殺菌運転モードを行ってもよい。
【0082】
また、上記した各々の実施形態の湯水強制循環機能の動作フローは組み合わせてもよい。
【0083】
上記した実施形態では、それぞれの殺菌運転モードを単独で行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の殺菌運転モードを組み合わせてもよい。例えば、殺菌運転2モードと殺菌運転3モードの2つの殺菌運転モードを同時に行ってもよいし、殺菌運転2モードと殺菌運転3モードと殺菌運転4モードの3つの殺菌運転モードを同時に行ってもよい。また、殺菌運転モードの組み合わせは限定されない。
【符号の説明】
【0084】
1 コージェネレーションシステム
2 発電ユニット(発電部)
12 熱回収用回路(貯湯時水流発生流路)
15 貯留タンク
21 給湯経路(給湯時水流発生流路)
101,102 温度センサ(滞留水温度検知手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部を有し、前記発電部で発生させた熱によって湯水を加熱するコージェネレーションシステムであって、
湯水を貯留する貯留タンクと、
湯水が通過する複数の流路を有し、
前記流路には、発電部の熱によって加熱された湯水を貯留タンクに供給する際に水流が生じる貯湯時水流発生流路と、貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際に水流が発生する給湯時水流発生流路と、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際においても貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路があるコージェネレーションシステムにおいて、
発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行うことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項2】
滞留流路内の湯水の温度を検知する滞留水温度検知手段を有し、滞留水温度検知手段の検知温度が一定以下を維持したままの状態が一定時間に渡って続いていることを条件の一つとして湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
2以上の滞留流路を有し、水流を生じさせる滞留流路を切り替えて湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行い、その後に一定時間を経た後で他の1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
貯留タンクと発電部とを環状につなぐ熱回収用回路を有し、貯留タンクの下部から排出させた湯水を発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水を上部側から貯留タンクに戻すことによって貯留タンク内に温度成層を形成させるものであり、
湯水強制循環動作の際には貯留タンクの下部側から湯水を排出させて滞留流路に流し、発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水と滞留流路を通過した湯水の双方を同時に貯留タンクに戻すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項1】
燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部を有し、前記発電部で発生させた熱によって湯水を加熱するコージェネレーションシステムであって、
湯水を貯留する貯留タンクと、
湯水が通過する複数の流路を有し、
前記流路には、発電部の熱によって加熱された湯水を貯留タンクに供給する際に水流が生じる貯湯時水流発生流路と、貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際に水流が発生する給湯時水流発生流路と、加熱された湯水を貯留タンクに供給する際においても貯留タンクに貯留された湯水をシステム外に排出する際においても水流が生じない1又は2以上の滞留流路があるコージェネレーションシステムにおいて、
発電部が一定時間に渡って連続運転していることを条件の一つとして、発電部の運転を維持したままの状態で前記滞留流路のいずれかに強制的に貯留タンク内の湯水を循環させる湯水強制循環動作を行うことを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項2】
滞留流路内の湯水の温度を検知する滞留水温度検知手段を有し、滞留水温度検知手段の検知温度が一定以下を維持したままの状態が一定時間に渡って続いていることを条件の一つとして湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
2以上の滞留流路を有し、水流を生じさせる滞留流路を切り替えて湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行い、その後に一定時間を経た後で他の1又は一群の滞留流路に対して湯水強制循環動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
貯留タンクと発電部とを環状につなぐ熱回収用回路を有し、貯留タンクの下部から排出させた湯水を発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水を上部側から貯留タンクに戻すことによって貯留タンク内に温度成層を形成させるものであり、
湯水強制循環動作の際には貯留タンクの下部側から湯水を排出させて滞留流路に流し、発電部で発生させた熱によって加熱し、加熱された湯水と滞留流路を通過した湯水の双方を同時に貯留タンクに戻すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−24548(P2013−24548A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163266(P2011−163266)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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