説明

コードストッパー

【課題】ケース部からキャップ部が外れることを抑えることの可能なコードストッパーを提供する。
【解決手段】ケース部10の外周壁を貫通して先端開口部12の孔に連通し、先端開口部12の筒端面から基端開口部11側へ延びる一つのガイドスリット13を備え、ガイドスリット13における基端開口部11側の端部には、該端部から先端開口部12側へ延びる帯状のヒンジ部20が連結され、キャップ部30の全体が、先端開口部12の孔、及びガイドスリット13に嵌め込まれ、キャップ部30のうち先端開口部12の孔を塞ぐ外表面33Sが、先端開口部12の筒端面と面一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類や収納袋などの紐通しに通された紐の端部に取り付けられるコードストッパーに関し、特に紐の端部に形成された結び部を収容する筒状のケース部がキャップ部によって閉じられるコードストッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のように、衣類や収納袋などの紐通しに通された紐の一端に取り付けられる樹脂製のコードストッパーが知られている。図5(a)(b)は、コードストッパーにおける内部の断面構造を示す断面図であって、コードストッパーが紐の端部に取り付けされる過程を示す図である。
【0003】
図5(a)に示されるように、コードストッパーにおける円筒状のケース部50には、帯状のヒンジ部60を介して、キャップ部70が一体的に成形されている。ケース部50における下方の筒端には、ケース部50の筒内に紐Kが挿入されるための基端開口部51が形成され、また、ケース部50における上方の筒端には、ケース部50の筒内から紐Kが引き出されるための円形孔状の先端開口部52が形成されている。先端開口部52の内径Ra1は、基端開口部51の内径Ra2よりも大きく、先端開口部52から引き出された紐Kの結び部Kaは、基端開口部51から引き戻される際に、先端開口部52を通り、基端開口部51で係止される。
【0004】
先端開口部52の外周壁53には、該外周壁53の欠肉部54から延びる可撓性を有した帯状のヒンジ部60が連結され、該ヒンジ部60の先端には、有蓋円錐台状のキャップ部70が連結されている。キャップ部70を構成する円盤状の閉塞部71には、上記外周壁53の外径Rb1と略同じ外径からなる外表面71Sが形成され、該閉塞部71の外表面71Sには、ヒンジ部60の先端が連結されている。また、閉塞部71において先端開口部52と向かい合う面である閉塞端面72Sには、先端開口部52の内径Ra1よりも小さい外径を有する円錐台形状のガイド突部72が突設されている。
【0005】
このような構成によれば、紐Kの先端にコードストッパーが取り付けられる際に、まず、図5(a)に示されるように、先端開口部52が開けられた状態から、紐Kの先端が基端開口部51と先端開口部52とを通じてケース部50の外側へ引き出される。次いで、紐Kの先端に結び部Kaが形成され、その後、紐Kが基端開口部51から引き戻される。これによって、紐Kの結び部Kaが、ケース部50内の段差部55に当接して基端開口部51から引き出し不能になる。続いて、閉塞端面72Sが先端開口部52の筒端面に当接するまで、ヒンジ部60を介してキャップ部70が回転すると、図5(b)に示されるように、ガイド突部72が先端開口部52に摺接しながら、ガイド突部72が先端開口部52内に入り込む。これによって、ケース部50の先端開口部52は、キャップ部70の閉塞部71によって閉ざされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−99008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したコードストッパーでは、先端開口部52の全体がキャップ部70の閉塞部71に覆われ、これにより、先端開口部52がキャップ部70で閉ざされている。それゆえに、先端開口部52がキャップ部70で閉ざされた状態では、キャップ部70のガイド突部72のみがケース部50の内側に嵌め込まれ、それ以外の部分であるキャップ部70の閉塞部71がケース部50の外側に突出することになる。そして、ヒンジ部60を介してキャップ部70が回転しやすくなる結果、キャップ部70によるケース部50の閉塞が容易に解除されることとなる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケース部からキャップ部が外れることを抑えることの可能なコードストッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、互いに向い合う一対の開口部で孔の大きさが互いに異なる筒状のケース部と、前記一対の開口部のうち大きい孔を有した大開口部を閉じるキャップ部とを備え、前記ケース部と前記キャップ部とが、可撓性のヒンジ部を介して一体的に形成され、前記一対の開口部のうち小さい孔を有した小開口部が、前記ケース部の内部に収容される紐の結び部を前記ケース部の内部から引き出し不能にする樹脂製のコードストッパーであって、前記ケース部の外周壁を貫通して前記大開口部の孔に連通し、前記大開口部の筒端面から前記小開口部側へ延びる一つのスリットをさらに備え、前記スリットにおける前記小開口部側の端部には、該端部から前記大開口部側へ延びる帯状の前記ヒンジ部が連結され、該ヒンジ部における前記大開口部側には、前記キャップ部が連結され、前記キャップ部の全体が、前記大開口部の孔、及び前記スリットに嵌め込まれ、前記キャップ部のうち前記大開口部の孔を塞ぐ外表面は、前記大開口部の筒端面と面一であることを要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、大開口部の孔とスリットとにキャップ部の全体が嵌め込まれ、この大開口部の孔では、該孔を塞ぐキャップ部の外表面と大開口部の筒端面とが面一となる。それゆえに、キャップ部のうち、ケース部の外側に露出する部分が、ケース部の外側で物に引っ掛かったり、指などの触覚によって認識されたりすることを抑えること、ひいてはケース部に嵌め込まれたキャップ部がケース部から外れることを抑えることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記キャップ部では、前記ヒンジ部に連結される部分である基端部が、前記スリットに嵌め込まれ、前記基端部のうち前記スリットを塞ぐ外表面は、前記ケース部の外周面と面一であることを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ケース部の外周壁に形成されたスリット内にキャップ部の基端部が嵌め込まれ、スリットを塞ぐ基端部の外表面とケース部の外周面とが面一になる。それゆえに、キャップ部のうちケース部の外側に露出する部分が、ケース部の外側で物に引っ掛かったり、指などの触覚によって認識されたりすることを、より抑えることが可能になる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記大開口部の孔が、前記スリットから前記ケース部の内側へ拡開された孔であり、前記キャップ部は、前記スリットの幅よりも小さい幅を先端に有した先細り形状であることを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、キャップ部の先端は、スリットに挿入可能な先細り形状である。そのため、キャップ部を大開口部に嵌め込む際には、ケース部の先端をスリットから大開口部へ嵌め込むことが容易なものになる。このような構成であれば、大開口部の孔の延びる方向にキャップ部が嵌め込まれる場合と比較して、ヒンジ部の折り曲げられる角度を小さくすることが可能である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記ケース部が、前記大開口部の孔における内面と前記スリットの内面との段差からなる係止部を有し、前記キャップ部の先端部が、前記キャップ部の基端部から前記段差の方向に拡幅され、前記キャップ部が、前記キャップ部の先端部と前記キャップ部の基端部との段差からなる被係止部を有し、前記キャップ部が前記大開口部の孔に嵌め込まれることで、前記係止部と前記被係止部とは係合することを要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、キャップ部が大開口部の孔に嵌め込まれることで、ケース部の係止部とキャップ部の被係止部とが係合する。そのため、キャップ部が大開口部の孔に嵌め込まれた状態にて、キャップ部がケース部から外れることを、より抑えることが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記ケース部の内部に嵌合凹部を有し、前記キャップ部の先端部に嵌合凸部を有し、前記キャップ部が前記大開口部の孔に嵌め込まれることで、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とは嵌合することを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、キャップ部が大開口部の孔に嵌め込まれた状態で、ケース部の嵌合凹部とキャップ部の嵌合凸部とが嵌合するため、ケース部に嵌め込まれたキャップ部が該ケース部から外れることを、より抑えることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記ヒンジ部の厚さが一定であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明によれば、ヒンジ部の厚さが一定であるため、ヒンジ部が折り曲げられる際に、ヒンジ部における一部が局所的に大きく折り曲げられることが抑えられる。それゆえに、ヒンジ部の機械的な耐久性を高めることが可能である。
【0019】
請求項7に記載の発明は、前記ケース部は、前記小開口部の孔から前記ケース部の内側へ拡開されて前記大開口部の孔に連通する内部空間を有することを要旨とする。
請求項7に記載の発明によれば、ケース部の内部に、該ケース部が有する内部空間と小開口部の孔との段差が形成される。これにより、ケース部が有する内部空間と小開口部の孔との段差に紐の結び部が係止されやすくなる。それゆえに、ケース部内に収容された紐の結び部がケース部内から抜け出ることを、より抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態におけるコードストッパーの斜視構造を示す図であって、ケース部内にキャップ部が嵌め込まれる前のコードストッパーを該コードストッパーの基端側から見た斜視図。
【図2】同じくコードストッパーの斜視構造を示す図であって、ケース部にキャップ部が嵌め込まれる前のコードストッパーを該コードストッパーの先端側から見た斜視図。
【図3】同じくコードストッパーの内部構造を示す図であって、図1におけるA−A線断面図。
【図4】同じくコードストッパーの内部構造を示す図であって、(a)ケース部にキャップ部が嵌め込まれる前の状態を示す図、(b)ケース部にキャップ部の一部が嵌め込まれた状態を示す図、(c)ケース部にキャップ部の全体が嵌め込まれた状態を示す図。
【図5】従来例におけるコードストッパーの断面構造を示す図であって、(a)ケース部にキャップ部が嵌め込まれる前の状態を示す図、(b)ケース部にキャップ部が嵌め込まれた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のコードストッパーを具体化した一実施形態について、図1を参照して説明する。図1に示されるように、樹脂製のコードストッパーでは、楕円筒状をなすケース部10にヒンジ部20を介してキャップ部30が一体的に成形されている。
【0022】
ケース部10における一方の筒端には、ケース部10の筒内にコードを挿入するための小開口部としての円形孔状の基端開口部11が形成されている。一方、ケース部10における他方の筒端には、ケース部10の筒内からコードを引き出すための大開口部としての矩形孔状の先端開口部12が、基端開口部11と互いに向い合うように形成されている。先端開口部12は、基端開口部11から挿入されるコードの先端をケース部10から引き出す際に用いられる。こうした先端開口部12のサイズは、引き出されたコードの結び部が挿通するように、基端開口部11よりも大きく形成されている。
【0023】
ケース部10の周壁のうち左側の壁であるキャップ連結壁10Sには、先端開口部12の筒端面から基端開口部11に向けて延びるガイドスリット13が、キャップ連結壁10Sの外表面と直交する方向である横方向に貫通している。ガイドスリット13の延びる方向である延設方向において、ガイドスリット13の長さであるスリット長L1は、ケース部10の長さであるケース長L2の半分以上である。また、延設方向及び横方向と直交する方向である縦方向において、ガイドスリット13の幅であるスリット幅HB1は、ガイドスリット13の延設方向の全体にわたり一定である。
【0024】
ガイドスリット13における基端開口部11側のスリット基端13Nには、延設方向に延びる帯状のヒンジ部20が連結されている。ヒンジ部20の横方向における幅である肉厚Wは、ヒンジ部20における延設方向の全体にわたり一定である。一方、ヒンジ部20の縦方向における幅であるヒンジ幅は、スリット幅HB1よりも小さく、且つヒンジ部20の延設方向の全体にわたり一定である。そして、ヒンジ部20の全体の形状、及び大きさは、該ヒンジ部20がガイドスリット13に収容されることの可能なものである。
【0025】
ヒンジ部20の先端には、キャップ部30の基端部である帯状の連結曲部31が連結されている。連結曲部31は、ヒンジ部20の外表面と連続する外表面を有するとともに、該連結曲部31における基端側と連結曲部31における先端側とで挟まれる角度が約90°となるように、ヒンジ部20の先端から緩やかに折れ曲がっている。この連結曲部31の横方向における肉厚は、同じくヒンジ部20における横方向の肉厚Wと同じであって、この連結曲部31の縦方向における幅である連結幅HC1は、上述したスリット幅HB1と略同じである。さらに、連結曲部31の縦方向における外縁である連結部輪郭31Eは、ガイドスリット13の内縁であるスリット輪郭13Eに倣うかたちに形成されている。すなわち、連結曲部31の全体の形状、及び大きさは、ガイドスリット13に該連結曲部31の全体が嵌め込まれることの可能なものである。そして、連結曲部31がガイドスリット13に嵌め込まれることで、上述したスリット輪郭13Eと連結部輪郭31Eとが互いに一致し、これにより、連結曲部31のうちガイドスリット13を塞ぐ外表面とケース部10の外周面とが面一となる。
【0026】
連結曲部31の内表面には、連結曲部31の内側に広がる三角板状の連結突片32が突設されている。こうした連結突片32が形成されることによって、連結曲部31の曲げ剛性が機械的に補強され、延設方向や横方向への外力に対し、連結曲部31の曲げ剛性がヒンジ部20の曲げ剛性よりも大きくなる。
【0027】
連結曲部31の先端、及び連結突片32の先端には、キャップ部30を構成する直方体形状の閉塞部33が連結されている。閉塞部33の縦方向における幅であるキャップ幅HC2は、上述した連結幅HC1よりも大きく、且つ先端開口部12の幅である開口幅HB2と略同じである。そして、閉塞部33の全体の形状、及び大きさは、先端開口部12の孔に該閉塞部33の全体が嵌め込まれることの可能なものである。
【0028】
キャップ部30の先端部である閉塞部33は、キャップ部30の基端部である連結曲部31、及び連結突片32から縦方向へ拡幅されている。そして、閉塞部33の基端側には、連結曲部31の先端、及び連結突片32の先端から縦方向に広がる平面状の被係止部としての被係止面33aが形成されている。これにより、閉塞部33の被係止面33aと連結曲部31の内表面との間には、連結突片32、及び連結曲部31と閉塞部33との段差からなる肉抜き30Cが形成されている。
【0029】
図2に示されるように、閉塞部33の外表面33Sの外縁である閉塞部輪郭33Eは、先端開口部12の内縁である先端開口輪郭12Eに倣うかたちに形成されている。このような構成によれば、閉塞部33が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、上述した先端開口輪郭12Eと閉塞部輪郭33Eとが互いに一致し、閉塞部33のうち先端開口部12の孔を塞ぐ外表面33Sと先端開口部12における筒端面とが面一となる。
【0030】
閉塞部33におけるケース部10側には、閉塞部33の先端であって、ケース部10の内側に向けて先細りした四角錐台状の挿入部34が形成されている。挿入部34の先端における縦方向の幅である挿入幅HAは、上述したスリット幅HB1よりも小さい。このような構成によれば、キャップ部30の先端形状が、ガイドスリット13に挿入可能な先細り形状であるため、閉塞部33が先端開口部12の孔に嵌め込まれる際には、閉塞部33の先端部である挿入部34がガイドスリット13からスライドして先端開口部12へ入り込むことが容易なものとなる。
【0031】
閉塞部33における縦方向の両側面には、該閉塞部33の長手方向に沿って、三角柱状をなす上下一対の嵌合凸部35が突設されている。嵌合凸部35におけるケース部10側の面には、挿入部34におけるケース部10側と面一となる挿入面35aが形成されている。そして、上述した挿入部34が先端開口部12の孔に嵌め込まれると、このような形状からなる嵌合凸部35では、挿入部34に摺接する先端開口輪郭12Eが挿入部34から嵌合凸部35にかけて連続的に摺動することになる。これにより、挿入部34の全体が先端開口部12の内部に進入することが容易なものとなる。
【0032】
ケース部10における先端開口部12の孔は、ガイドスリット13からケース部10の内側に向けて拡開された孔であり、ケース部10の内部に、先端開口部12の孔における内面とガイドスリット13の内面との段差からなる係止部としての係止面13aを形成している。この係止面13aは、上述した閉塞部33が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、上述した被係止面33aと係合する。
【0033】
また、ケース部10の周壁のうち縦方向の両側壁には、縦方向に延びる上下一対の嵌合凹部15が貫通している。これら上下一対の嵌合凹部15の各々は、上述した閉塞部33が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、上述した上下一対の嵌合凸部35と嵌合する。
【0034】
図3に示されるように、ケース部10の内部には、基端開口部11の孔からケース部10の内側へ拡開されて先端開口部12の孔に連通する内部空間Sが形成されている。そして、こうした形状からなる内部空間Sが形成されることで、該内部空間Sと基端開口部11の孔とによる段差部16が、ケース部10の周方向の全体にわたり形成されている。このような構成によれば、ケース部10が有する内部空間Sと基端開口部11の孔との段差に紐の結び部が係止されやすくなる。それゆえに、ケース部10内に収容された紐の結び部がケース部10内から抜け出ることを、より抑えることが可能である。
次に、上述した構成からなるコードストッパーの作用について以下に説明する。
【0035】
コードストッパーが紐の端部に取り付けられる場合には、まず、図4(a)に示されるように、ヒンジ部20がガイドスリット13の外側に折り曲げられて、キャップ部30がガイドスリット13の外側に配置される。この状態から、図示されない紐の先端が、基端開口部11と先端開口部12とを通じてケース部10の外側へ引き出される。次いで、紐の先端に結び部が形成され、その後、紐が基端開口部11から引き戻される。これによって、紐の結び部がケース部10内の段差部16に当接して基端開口部11から引き出し不能になる。
【0036】
次いで、キャップ部30の閉塞部33からケース部10に向く外力が、利用者の指などを通して、閉塞部33に対して加えられる。そして、このような外力が閉塞部33に作用すると、該外力が連結曲部31を介してヒンジ部20に作用し、これにより、ケース部10の内側に向けてヒンジ部20が折れ曲る。
【0037】
この際、図4(b)に示されるように、ケース部10の内側に向けてヒンジ部20が折れ曲がることによって、まず、キャップ部30の挿入部34が、略横方向にスライドしてガイドスリット13に入り込む。このとき、上述したように、挿入部34が先細り形状に形成されることから、挿入部34がガイドスリット13へ入り込むことが容易なものとなる。続いて、挿入部34がガイドスリット13にさらに進入すると、ガイドスリット13の幅が挿入部34によって押し広げられ、その後、閉塞部33と連結曲部31とが、ガイドスリット13に入り込む。
【0038】
そして、閉塞部33と連結曲部31との接続部位である被係止面33aがガイドスリット13を通過して係止面13aに到達すると、図4(c)に示されるように、連結曲部31がガイドスリット13に嵌め込まれる。これにより、スリット輪郭13Eと連結部輪郭31Eとが互いに一致し、そして、連結曲部31のうちガイドスリット13を塞ぐ外表面とケース部10の外周面とが面一となる。その結果、ケース部10の外周面と連結曲部31の外表面との間にケース部10の外側から異物が入り込む場合には、こうした異物の入り込む方向と連結曲部31の嵌め込まれる方向とが等しくなる。それゆえに、ケース部10の外周面と連結曲部31の外表面との間に異物が入り込むことでキャップ部30が外れることを抑えることが可能となる。
【0039】
また、閉塞部33が先端開口部12の孔に嵌め込まれて、先端開口輪郭12Eと閉塞部輪郭33Eとが互いに一致し、そして、閉塞部33のうち先端開口部12の孔を塞ぐ外表面33Sと先端開口部12における端面とが面一となる。その結果、閉塞部33の外表面33Sと先端開口部12の筒端面との間に異物が入り込むことでキャップ部30が外れることを抑えることが可能となる。その結果、キャップ部30のうち、ケース部10の外側に露出する部分が、ケース部10の外側で物に引っ掛かったり、指などの触覚によって認識されたりすることを抑えること、ひいてはケース部10に嵌め込まれたキャップ部30がケース部10から外れることを抑えることが可能となる。
【0040】
なお、この際、被係止面33aが係止面13aに到達すると、被係止面33aと係止面13aとが係合して、被係止面33aがケース部10の外側へ移動することが係止される。また、上下一対の嵌合凹部15の各々に上下一対の嵌合凸部35が嵌合する。このような構成によれば、キャップ部30が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、ケース部10の係止面13aとキャップ部30の被係止面33aとが係合し、且つケース部10の嵌合凹部15とキャップ部30の嵌合凸部35とが嵌合する。そのため、ケース部10に嵌め込まれたキャップ部30が該ケース部10から外れることを、より抑えることが可能となる。
以上、本実施形態によれば以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0041】
(1)先端開口部12の孔に閉塞部33が嵌め込まれ、ガイドスリット13に連結曲部31が嵌め込まれる。すなわち、先端開口部12の孔とガイドスリット13とにキャップ部30の全体が嵌め込まれる。そして、先端開口部12の孔では、閉塞部33のうち該孔を塞ぐ外表面33Sと先端開口部12の筒端面とが面一となる。
【0042】
それゆえに、キャップ部30のうち先端開口部12の外側に露出する部分が、ケース部10の外側で物に引っ掛かったり、指などの触覚によって認識されたりすることを抑えること、ひいてはケース部10に嵌め込まれたキャップ部30がケース部10から外れることを抑えることが可能となる。
【0043】
(2)また、連結曲部31のうちガイドスリット13を塞ぐ外表面とケース部10の外周面とが面一になる。それゆえに、キャップ部30のうちガイドスリット13の外側に露出する部分が、ケース部10の外側で物に引っ掛かったり、指などの触覚によって認識されたりすることを、より抑えることが可能になる。
【0044】
(3)キャップ部30の先端である挿入部34が、ガイドスリット13に挿入可能な先細り形状である。そのため、キャップ部30を先端開口部12に嵌め込む際には、挿入部34をガイドスリット13から先端開口部12へ嵌め込むことが容易なものになる。ひいては、先端開口部12の孔が延びる方向に沿ってキャップ部30が該先端開口部12に嵌め込まれる場合と比較して、キャップ部30が先端開口部12に嵌め込まれる際には、ヒンジ部20の折り曲げられる角度を小さくすることが可能である。
【0045】
(4)キャップ部30が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、ケース部10の係止面13aとキャップ部30の被係止面33aとが係合する。そのため、キャップ部30がケース部10から外れることを、より抑えることが可能となる。
【0046】
(5)キャップ部30が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、ケース部10の嵌合凹部15とキャップ部30の嵌合凸部35とが嵌合する。そのため、ケース部10に嵌め込まれたキャップ部30が該ケース部10から外れることを、より抑えることが可能となる。
【0047】
(6)ヒンジ部20の肉厚Wが一定であることから、ヒンジ部20の一部が局所的に折り曲げられることを抑えることが可能であり、折り曲げに対するヒンジ部20の機械的な耐性を高めることが可能である。
【0048】
(7)ケース部10の内部には、該ケース部10が有する内部空間Sと基端開口部11の孔との段差部16が形成される。これにより、ケース部10が有する内部空間Sと基端開口部11の孔との段差部16に紐の結び部が係止されやすくなる。それゆえに、ケース部10内に収容された紐の結び部がケース部10内から抜け出ることを、より抑えることが可能である。
(8)キャップ部30が横方向にスライドしながらケース部10に嵌め込まれるため、ヒンジ部20における応力変形を少なくすることが可能である。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
【0049】
・ヒンジ部20の長さと連結曲部31の長さとの合計であるスリット長L1は、ケース長L2の半分未満であってもよく、ヒンジ部20や連結曲部31の形状、大きさ、材料に応じて、適宜選択されるものである。要は、キャップ部30の全体がケース部10に嵌め込まれた状態で、ヒンジ部20や連結曲部31の内部に応力が集中しない長さであればよい。
【0050】
・ヒンジ部20がガイドスリット13からはみ出す程度に十分に長い構成であれば、先端開口部12の孔が延びる方向に沿って、キャップ部30を先端開口部12の孔へ嵌め込むことが可能である。すなわち、キャップ部30を先端開口部12の孔へ嵌め込む態様は、ヒンジ部20の長さに応じて、キャップ部30を横方向にスライドさせる態様であってもよく、あるいはキャップ部30を延設方向にスライドさせる態様であってもよい。
【0051】
・ヒンジ部20における延設方向の長さは、ヒンジ部20における可撓性が十分に得られるという観点から、ヒンジ部20の肉厚Wの2倍以上であればよく、スリット長L1は、こうしたヒンジ部20の長さに応じて、ケース長L2の半分よりも小さくてもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(7)に準じた効果を得ることは可能である。
【0052】
・ケース部10の内部には、基端開口部11の孔と内部空間Sとの段差からなる段差部16が形成されているが、ケース部10の内部では、基端開口部11の孔と先端開口部12の孔とが連続面を形成して、上述した段差部16が割愛される構成であってもよい。要は、ケース部10が有する一対の開口部のうち小さい孔を有した小開口部が、ケース部の内部に収容される紐の結び部をケースの内部から引き出し不能にする構成であればよい。このような構成であっても、上記(1)〜(6)の効果を得ることは可能である。
【0053】
・ヒンジ部20の肉厚Wは、ヒンジ部20の基端からヒンジ部20の先端に向けて徐々に大きくなる構成であってもよく、あるいはヒンジ部20の先端からヒンジ部20の基端に向けて徐々に大きくなる構成であってもよい。ヒンジ部20の肉厚Wが一定、あるいは徐々に変化するものであれば、ヒンジ部20の曲げによってヒンジ部20が破断することを抑えることが可能であって、このような構成であっても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることが可能である。
【0054】
・嵌合凹部15の数量と嵌合凸部35との数量とは、それぞれ1つあるいは3つ以上であってもよく、このような構成であっても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることが可能である。なお、嵌合凹部15と嵌合凸部35とが割愛される構成であっても、上記(1)〜(4)に準じた効果を得ることは可能であって、嵌合凹部15と嵌合凸部35とが割愛されることにより、ケース部10の構造やキャップ部30の構造を簡素化することが可能でもある。
【0055】
・係止面13aの構造、及び被係止面33aの構造は、キャップ部30が先端開口部12の孔に嵌め込まれることで、これら係止面13aと被係止面33aとが係合する構造であればよい。例えば、ガイドスリット13の表面に対し係止面13aが凹状であって、連結曲部31の表面に対し被係止面33aが凸状であってもよい。また、これら係止部の数量、及び被係止部の数量も、2以上であってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(4)に準じた効果を得ることが可能である。なお、係止部と被係止部とが割愛される構成であっても、上記(1)〜(3)に準じた効果を得ることは可能であって、係止部と被係止部とが割愛されることにより、ケース部10の構造やキャップ部30の構造を簡素化することが可能でもある。
【0056】
・キャップ部30の先端である挿入部34は、横方向、及び延設方向に延びる平板状であってもよく、あるいは先太り形状であってもよい。要は、先端開口部12の孔、及びガイドスリット13に、キャップ部30の全体が嵌め込まれる形状であればよい。このような構成であっても、上記(1)及び(2)に準じた効果を得ることは可能である。また、ケース部10の内側に臨む部分が先太り形状であれば、先端開口部12の孔、及びガイドスリット13からキャップ部30が外れることが抑えられやすくもなる。
【符号の説明】
【0057】
K…紐、S…内部空間、W…肉厚、HA…挿入幅、L1…スリット長、L2…ケース長、HB1…スリット幅、HB2…開口幅、HC1…連結幅、HC2…キャップ幅、Ra1…内径、Ra2…内径、Rb1…外径、10…ケース部、10S…キャップ連結壁、11…基端開口部、11B…連結曲部、12…先端開口部、12E…先端開口輪郭、13…ガイドスリット、13a…係止面、13E…スリット輪郭、13N…基端、15…嵌合凹部、16…段差部、20…ヒンジ部、30…キャップ部、30C…肉抜き、31…連結曲部、31E…連結部輪郭、32…連結突片、33…閉塞部、33a…被係止面、33E…閉塞部輪郭、33S…外表面、34…挿入部、35…嵌合凸部、35a…挿入面、50…ケース部、51…基端開口部、52…先端開口部、53…外周壁、54…欠肉部、55…段差部、60…ヒンジ部、70…キャップ部、71…閉塞部、71S…外表面、72…ガイド突部、72S…閉塞端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向い合う一対の開口部で孔の大きさが互いに異なる筒状のケース部と、
前記一対の開口部のうち大きい孔を有した大開口部を閉じるキャップ部とを備え、
前記ケース部と前記キャップ部とが、可撓性のヒンジ部を介して一体的に形成され、
前記一対の開口部のうち小さい孔を有した小開口部が、前記ケース部の内部に収容される紐の結び部を前記ケース部の内部から引き出し不能にする
樹脂製のコードストッパーであって、
前記ケース部の外周壁を貫通して前記大開口部の孔に連通し、前記大開口部の筒端面から前記小開口部側へ延びる一つのスリットをさらに備え、
前記スリットにおける前記小開口部側の端部には、該端部から前記大開口部側へ延びる帯状の前記ヒンジ部が連結され、該ヒンジ部における前記大開口部側には、前記キャップ部が連結され、
前記キャップ部の全体が、前記大開口部の孔、及び前記スリットに嵌め込まれ、
前記キャップ部のうち前記大開口部の孔を塞ぐ外表面は、前記大開口部の筒端面と面一であることを特徴とするコードストッパー。
【請求項2】
前記キャップ部では、前記ヒンジ部に連結される部分である基端部が、前記スリットに嵌め込まれ、
前記基端部のうち前記スリットを塞ぐ外表面は、前記ケース部の外周面と面一である
請求項1に記載のコードストッパー。
【請求項3】
前記大開口部の孔が、前記スリットから前記ケース部の内側へ拡開された孔であり、
前記キャップ部は、前記スリットの幅よりも小さい幅を先端に有した先細り形状である
請求項2に記載のコードストッパー。
【請求項4】
前記ケース部が、前記大開口部の孔における内面と前記スリットの内面との段差からなる係止部を有し、
前記キャップ部の先端部が、前記キャップ部の基端部から前記段差の方向に拡幅され、
前記キャップ部が、前記キャップ部の先端部と前記キャップ部の基端部との段差からなる被係止部を有し、
前記キャップ部が前記大開口部の孔に嵌め込まれることで、前記係止部と前記被係止部とは係合する
請求項3に記載のコードストッパー。
【請求項5】
前記ケース部の内部に嵌合凹部を有し、
前記キャップ部の先端部に嵌合凸部を有し、
前記キャップ部が前記大開口部の孔に嵌め込まれることで、前記嵌合凹部と前記嵌合凸部とは嵌合する
請求項1〜4のいずれか一項に記載のコードストッパー。
【請求項6】
前記ヒンジ部の厚さが一定である
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコードストッパー。
【請求項7】
前記ケース部は、前記小開口部の孔から前記ケース部の内側へ拡開されて前記大開口部の孔に連通する内部空間を有する
請求項1〜6のいずれか一項に記載のコードストッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−217540(P2012−217540A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84316(P2011−84316)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)