説明

コードレス電話システム、及び停電判定方法

【課題】実際の停電状態を判定し、停電時のみ子機に設けられたライトを点灯させること。
【解決手段】親機110は終了処理手段1112を備え、親機110において正常に終了処理を行った場合にその旨を子機120に通知し、正常終了フラグ記憶部1251に記憶させる。子機120において、電力供給監視手段1211が外部電源からの電力供給が停止したことを検出すると、親機正常終了判定手段1212がメモリ部1250を参照することによって親機110における電源が正常に切断処理されたか否かを判定するとともに親機問合せ手段1213が親機110に問合せを行い、親機110において電源が正常に切断されず、且つ前記親機から応答信号を受信しない場合に、電源部1230が内蔵バッテリの電力をライト1270に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機と子機を備えて構成されるコードレス電話システム、及びそのシステムにおける停電判定方法に関するもので、特に、停電状態を判定し、停電している場合には子機に取付けられたライトを点灯させることによって非常灯且つ懐中電灯として利用できるようにしたコードレス電話システム、及び停電判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、親機と子機とが無線接続可能なコードレス電話システムの子機は、通常は充電台上に載置されて商用電源等の外部電源によって電力供給を受けるとともに、充電台から持上げれば携帯することが可能であり、携帯時には内蔵されたバッテリからの電力供給を受けることができる。従って、子機にライトを取付ければ、必要時に内蔵バッテリからの電力供給を受けることができ、且つ携帯することができるので、非常灯また懐中電灯として利用することができる。
【0003】
下記特許文献1(特開2010−093355号公報)は、停電時に子機を懐中電灯として使用可能な「コードレス電話装置の子機」を開示している。この子機は、充電状態から非充電状態になると親機に無線接続を要求する信号を送信し、親機からACK信号を受信できないときに、ライト(LED)を点灯させ、懐中電灯モードとなる。
【0004】
この下記特許文献1のコードレス電話装置の子機によれば、子機に対する電力供給がなくなることと親機からの応答信号がないこととを検出することによって停電状態を判定でき、ライトを点灯させることで懐中電灯として利用できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−093355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のコードレス電話装置の子機においては、停電時以外にも子機のライトが点灯してしまうという問題があった。つまり、停電以外の要因、例えば、電話装置を移動させたり配線の処理をしたりするために親機の電源プラグをコンセントから抜いているといった要因のために親機に対する電力供給が行われない場合がある。そのときに子機を充電台から持上げたり子機の充電台の電源プラグをコンセントから抜いたりすると、子機は誤って停電状態であると判定し、ライトを点灯させてしまう。
【0007】
さらに、事務所や事業所にコードレス電話機を設置した場合、帰宅時に利用者が親機と子機に対して電力供給を行う分電盤の電源を落とすと、子機が誤って停電状態であると判定し、ライトを点灯させてしまう。
【0008】
このように、実際は停電していないにも関わらず、子機のライトが点灯してしまうと、利用者は子機のライトを消灯するための操作を行わなければならず、余計な手間がかかり、利用者にとっては不都合である。特に、複数の子機が親機に登録されている場合や、事務所や事業所等のように複数の電話装置(親機及び子機)が設置されている場合には、上記の問題は顕著になる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、親機と子機を備えて構成されるコードレス電話システムにおいて、実際の停電状態を判定し、停電時のみ子機に設けられたライトを点灯させることによって利用者の利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のコードレス電話システムは、親機と子機を備え、前記親機は、親機の電源を正常に切断処理するとともにその旨を前記子機に通知する終了処理手段と、前記子機からの問合せに対して応答信号を通知する子機応答手段と、を備え、前記子機は、外部電源又は内蔵バッテリの電力を前記子機各部に供給する電源部と、前記親機における正常切断処理を記憶するメモリ部と、ライトと、前記子機における前記外部電源からの電力供給の有無を監視する電力供給監視手段と、親機正常終了判定手段と、親機問合せ手段と、を備え、前記子機において、前記電力供給監視手段が前記外部電源からの電力供給が停止したことを検出すると、前記親機正常終了判定手段が前記メモリ部を参照することによって前記親機における電源が正常に切断処理されたか否かを判定するとともに前記親機問合せ手段が前記親機に問合せを行い、前記親機において電源が正常に切断されず、且つ前記親機から応答信号を受信しない場合に、前記電源部が前記内蔵バッテリの電力を前記ライトに供給することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のコードレス電話システムの一態様において、前記メモリ部は、前記親機において電源が正常に切断処理されたことをフラグとして保持することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、終了処理手段と子機応答手段とを有する親機と、外部電源又は内蔵バッテリの電力を前記子機各部に供給する電源部とライトと外部電源からの電力供給の有無を監視する電力供給監視手段と親機正常終了判定手段と親機問合せ手段とを有する子機と、を備えるコードレス電話システムにおけるライト点灯方法であって、(1)前記親機の前記終了処理手段は、親機の電源を正常に切断処理した場合にその旨を前記子機に通知するステップと、(2)前記子機が前記親機の終了処理の状態を記憶するステップと、(3)前記子機の電力供給監視手段が前記外部電源から前記子機に対する電源供給が停止したことを検出するステップと、を有し、前記(3)のステップにおいて前記子機に対する電源供給が停止したことが検出された場合には、さらに、(4)前記親機正常終了判定手段が前記親機における終了状態を判定するステップと、(5)前記親機問合せ手段が前記親機に問合せを行うステップと、を有し、前記親機において電源が正常に切断されず、且つ前記親機から応答信号を受信しない場合には、(6)前記電源部が内蔵バッテリの電力を前記ライトに供給するステップを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の手段により、本発明は下記の優れた効果を発揮する。すなわち、本発明のコードレス電話システムによれば、子機において外部電源からの電力供給が停止した場合に、親機における電源が正常に切断処理されたか否かを判定するとともに親機に対して問い合わせを行い、親機において電源が正常に切断されず、且つ親機から応答信号を受信しない場合にのみ、子機のライトが点灯するようになる。これにより、親機の電源が意図的に停止されている場合を停電状態と判定しないようにでき、停電状態をより正確に判定することができるようになる。
【0014】
また、本発明のコードレス電話システムの一態様によれば、子機のメモリに親機の電源が正常に切断処理された状態をフラグとして保持する。これにより、親機の電源が正常に切断処理された場合を、子機はフラグを参照することで容易に把握することができ、停電状態を誤って判定することがなくなる。
【0015】
さらに、コードレス電話システムにおけるライト点灯方法の発明によれば、子機において外部電源からの電力供給が停止した場合に、親機における電源が正常に切断処理されたか否かを判定するとともに親機に対して問い合わせを行い、親機において電源が正常に切断されず、且つ親機から応答信号を受信しない場合にのみ、子機のライトが点灯するようになる。これにより、親機の電源が意図的に停止されている場合を停電状態と判定しないようにでき、停電状態をより正確に判定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のコードレス電話システムの親機と子機の内部ブロック図を示す。
【図2】実施例のコードレス電話システムの子機における停電判定処理のフローチャートである。
【図3】親機110における起動処理のフローチャートである。
【図4】親機110における終了処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例と共に図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのコードレス電話システムを例示して説明するものであって、本発明をこのコードレス電話システムに特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他のコードレス電話システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0018】
図1を参照して本実施例のコードレス電話システムについて説明する。なお、図1は、実施例のコードレス電話システムを構成する親機と子機の内部ブロック図を示す。
【0019】
本実施例のコードレス電話システムは、親機110と子機120とを備えて構成され、親機110と子機120は無線によって接続されている。また、本実施例では親機110と子機120は共通の外部電源(商用電源)に接続されており、外部電源から親機110に対する電力供給が停止した場合には、外部電源から子機120に対しても電力供給が停止される。
【0020】
親機110は、制御部1110、表示・操作部1120、電源部1130、ダイヤラ部1140、NCU部1150、音声入出力部1160、無線制御部1170、メモリ部1180を備えて構成される。
【0021】
制御部1110はCPU(図示せず)を含むマイクロプロセッサを中心に構成され、メモリ部1180に格納されている各種制御プログラムを読み出してCPUにおいてこの制御プログラムを実行することにより親機の各種制御を行う。また、制御部1110は、起動処理手段1111、終了処理手段1112、子機応答手段1113を備える。
【0022】
起動処理手段1111は、外部電源から電源部1130に対して電力供給が行われている際に(つまり、親機110が外部電源に接続され、電力供給を受けている場合に)ユーザが表示・操作部1120又はそれらとは別に設けられた電源スイッチ(図示せず)を操作することによって制御部1110に電源オンの指示がある場合、或いは、電力供給が停止していた外部電源から電源部1130に対して電力供給が開始された場合に、メモリ部1180に記憶されているプログラムを読込み、それに従って起動処理を行う。また、起動処理手段1111は、親機110が正常に起動した場合には、正常起動したことを子機120に対して通知する。
【0023】
終了処理手段1112は、外部電源から電源部1130に対して電力供給が行われている際にユーザが表示・操作部1120又は電源スイッチ(図示せず)を操作することによって終了指示が行った場合に、制御部1110において現在実行中のプログラムを終了させたり、メモリ1180において一時的に記憶されて使用されているデータ等をメモリ部1180の非揮発性メモリに書出したりした後に電源部1130から親機110の各部に対する電力供給を停止させる。また、終了処理手段1112は、親機110が正常に電源をオフされる旨を、子機120に対して通知する。
【0024】
子機応答手段1113は、子機120から問合せ信号を受信した際に肯定応答、つまりACK信号を生成して送信させる。
【0025】
表示・操作部1120は、液晶パネルなどから構成される表示ユニットと入力や親機110を操作するためのダイヤルボタン部から構成される。表示ユニットは、制御部1110からの制御信号に応じて、電話帳から読み出した電話番号や相手先の名称、通話時間、通話料金などのテキストデータ、画像データを液晶画面に各種表示を行う。ダイヤルボタン部は、数字や文字の入力などを行うテンキー、発呼および通話の開始などを操作する通話キー、通話の終了などを操作する終話キー、電話帳の登録・検索を操作する電話帳キー、各種モードを設定するための操作を行うモード設定キーなどからなり、ユーザはテンキーや操作キーを操作し、発呼操作や各種データの入力を行う。また、ダイヤルボタン部には電源ボタン(スイッチ)が設けられる。
【0026】
電源部1130は、例えばACアダプタを備えており、外部電源(商用電源)からの交流電力を直流の所定電圧の電力に変換し親機110の各部に電源を供給する。また、本実施例において電源部1130は子機120と同じ系統の外部電源(商用電源)に接続されているものとする。
【0027】
ダイヤラ部1140は制御部1110からの指示に基づいて所定の電話番号をNCU部1150に出力し、電話回線への発信を指示する。NCU部1150はダイヤラ部1140から所定の電話番号を受信すると、通話相手先を呼出すために所定電話番号のダイヤル信号を生成して送出したり、回線の接続、切断等の制御信号を生成して電話回線に送出したりする。
【0028】
音声入出力部1160はコーデック部1161、マイクアンプ部1162、マイク1163、スピーカアンプ部1164、スピーカ1165、スピーチネットワーク部1166、受話器1167を備えて構成される。コーデック部1161は、マイク1163及びマイクアンプ部1162を介して入力される音声をディジタル信号に変換するとともに圧縮して制御部1110に出力する。また、コーデック部1161は、制御部1110から出力されたディジタル信号を解凍しアナログ信号に変換する。アナログ信号は、次いで、スピーカアンプ部1164を介して増幅されスピーカ1165から音声として出力される。
【0029】
受話器1167は、受話部(スピーカ)と送話部(マイク)を備えて構成されている。スピーチネットワーク部1166は、送話部で受信した音声信号を増幅してコーデック部1161に出力するとともにコーデック部1161から受話信号のみを取出して増幅し受話部に出力する。なお、通話音声は、ユーザが表示・操作部1120を操作することによって受話器1167を使用して入出力するようにしてもよいし、マイク1163とスピーカ1165を使用して入出力するようにしてもよい。
【0030】
無線制御部1170は、アンテナを介して子機120との間に無線による通話リンクを確立させて、子機120に対して信号の送受信を行う。
【0031】
メモリ部1180には、親機110を制御するための制御プログラムが記憶され、この制御プログラムを制御部1110において実行することにより、親機110の各部の動作が制御・統括される。
【0032】
子機120は、制御部1210、表示・操作部1220、電源部1230、無線制御部1240、メモリ1250、音声入出力部1260、ライト1270を備えて構成される。
【0033】
制御部1210は、CPUを含むマイクロプロセッサを中心に構成され、メモリ1250に格納されている制御プログラムを読み出してCPUにおいて実行することにより、以下の各手段として機能する。即ち、制御部1210は、電力供給監視手段1211、親機正常終了判定手段1212、親機問合せ手段1213の各手段として機能する。
【0034】
電力供給監視手段1211は、電源部1230に対して外部電源からの電力供給が行われているか否かを監視する。
【0035】
親機正常終了判定手段1212は、親機110において電源が正常に終了したか否かを判定する。親機正常終了判定手段1212は、後述するが、メモリ1250に記憶された親機110の終了状態に基づいて、親機110の電源が正常に終了した否かを判定する。
【0036】
親機問合せ手段1213は、電力供給監視手段1211が電源部1230に対する外部電源からの電力供給が停止したと判定し、また、親機正常終了判定手段1212が親機110において電源が正常終了しているわけではないと判定した場合に、親機110に対して電源が入っているか否か(正常に動作しているか否か)の問合せ信号を生成し、無線制御部1240を介して親機110に送信させる。
【0037】
表示・操作部1220は液晶パネルなどから構成される表示ユニットと入力を行うためのダイヤルボタン部から構成される。表示ユニットは、制御部1210からの制御信号に応じて、電話帳から読み出した電話番号や相手先の名称、通話時間、通話料金などのテキストデータ、画像データを液晶画面に各種表示を行う。ダイヤルボタン部は、数字や文字の入力などを行うテンキー、発呼および通話の開始などを操作する通話キー、通話の終了などを操作する終話キー、電話帳の登録・検索を操作する電話帳キー、各種モードを設定するための操作を行うモード設定キーなどからなり、ユーザはテンキーや操作キーを操作し、発呼操作や各種データの入力を行う。
【0038】
電源部1230は、この子機120が充電台(図示せず)に載置された際に、充電台から供給される電源を子機120の各部に供給するための電力供給回路、子機120に内蔵された充電式のバッテリ、バッテリを充電するための充電回路を備えて構成される。電力供給回路は、充電台から電力が供給されるときには充電台からの電力を子機120の各部に供給し、充電台からの電力が供給されないときにはバッテリの電力を子機120の各部に供給する。なお、充電台は親機110と電源系統が同一の外部電源(商用電源)に接続される。
【0039】
無線制御部1240は、アンテナを介して親機110との間に無線による通話リンクを確立させて、親機110に対して信号の送受信を行う。
【0040】
メモリ1250は正常終了フラグ記憶部1251を備える。正常終了フラグ記憶部1251は、親機110における終了状態をフラグとして記憶するものである。具体的には、親機110において電源が正常終了した場合には、親機110の終了処理手段1112が正常終了の通知を子機120に対して行うが、これを子機120が受信すると、正常終了フラグ記憶部1251に「真(TRUE)」の値を記憶する。また、親機110において電源が正常起動した場合には、親機110の起動処理手段1111が正常起動の通知を子機120に対して行うが、これを子機120が受信すると、正常終了フラグ記憶部1251に「偽(FALSE)」の値を記憶する。
【0041】
音声入出力部1260は、コーデック部1261、マイクアンプ部1262、マイク1263、レシーバアンプ部1264、レシーバ1265、スピーカアンプ1266、スピーカ1267を備えて構成されている。
【0042】
コーデック部1261は、マイク1271及びマイクアンプ1270を介して入力される音声をディジタル信号に変換するとともに圧縮して制御部1210に出力する。また、コーデック部1261は、制御部1210から出力されたディジタル信号を解凍してアナログ信号に変換する。アナログ信号は、次いで、レシーバアンプ部1264及び/又はスピーカアンプ部1266において増幅され、レシーバ1265及び/又はスピーカ1267から音声として出力される。
【0043】
マイク1271は子機120を使用するユーザの通話音声を集音し、電気信号に変換する。通常ユーザが自身の口をマイク1271に接近させて話すことによって通話音声が集音されるが、本実施例では、子機120の周辺の音も集音する。マイク1271によって集音された音声は、マイクアンプ部1270において増幅され、コーデック1261に出力される。
【0044】
レシーバアンプ部1264は、音声通話時に制御部1210から出力される通話音声を増幅し、レシーバ1265に出力する。レシーバ1265は、子機120の受話口(図示せず)付近に内蔵される。レシーバ1265は、増幅された通話音声を音声に変換し出力する。ユーザが自身の耳を受話口に近接すると、出力される音声を聞き取ることができる。
【0045】
スピーカアンプ部1266は、音声再生制御手段1214からの指示によって制御部1210から出力される音声メッセージや音楽を増幅し、スピーカ1267に出力する。スピーカ1267は、子機120の受話口とは離れた位置に設けられており、上記の音声メッセージや音楽をユーザが耳を近接させずとも聞き取れる大きさで出力する。
【0046】
ライト1270は、例えば、子機120のハウジングの上部に設置される。ライト1270は、例えば、白色発光ダイオード等の消費電力の少ないものを採用することによって、バッテリの電力消費を低減させることが可能となる。なお、ライト1270は子機120のハウジング上部以外のどの場所に設置してもよいし、発光手段も白色発光ダイオードに限られず、他の発光手段、例えば、EL(エレクトロルミネセンス)を利用したものであってもよい。
【0047】
次に、図2を参照して、本実施例のコードレス電話システムにおける停電判定方法について説明する。なお、図2は、本実施例のコードレス電話システムの子機における停電判定処理のフローチャートである。
【0048】
子機120の電力供給監視手段1211は、外部電源から電源部1230に対して電力供給が行われているか否かを監視しており、ステップS201において、外部電源から電源部1230に対する電力供給が停止したか否かを判定する。電力供給が停止しておらず、電力供給が継続して行われていると判定された場合は、ステップS201の処理を継続して行い、電力供給の監視を継続する。
【0049】
ステップS201において外部電源から電源部1230に対する電力供給が停止したと判定された場合、電源部1230は子機120の各部に対する電力供給をバッテリに切替えて行う。
【0050】
ステップS202において、親機正常終了判定手段1212がメモリ1250の正常終了フラグ記憶部1251を参照することによって親機110の終了状態を判定する。正常終了フラグ記憶部1251における正常終了フラグが「真(TRUE)」の値である場合、親機正常終了判定手段1212は親機110において電源が正常に終了されていると判定し、処理を終了する。これは、親機110の電源が正常に終了処理された後に子機120の外部電源も切断されたような場合、或いは、親機110の電源が正常に終了処理された後に子機120がユーザによって充電台から持上げられたような場合に当てはまる。
【0051】
正常終了フラグ記憶部1251における正常終了フラグが「偽(FALSE)」の値である場合、親機正常終了判定手段1212は親機110において電源が正常に終了されずに停止したと判定し、ステップS203の処理に進む。
【0052】
ステップS203において、親機問合せ手段1213は、親機110に対して電源が入っているか否か(正常に動作しているか否か)の問合せ信号を生成し、無線制御部1240を介して親機110に送信させる。
【0053】
ステップS204において、親機問合せ手段1213は、親機110からステップS203の問合せに対する肯定応答、つまりACK信号を受信したか否かを判定する。親機110からACK信号を受信した場合、子機120に対する外部電源からの電力供給は停止している一方で親機110に対する外部電源からの電力供給は正常に行われていることになるので、処理を終了する。なお、これは、親機110及び子機120両方に対する電力供給は正常に行われている状態で子機120が充電台から持上げられたような場合、或いは、親機110に対しては正常に電力供給が行われていて、子機120のみに対する外部電源からの電力供給が停止したような場合が該当する。
【0054】
ステップS204において、親機110からACK信号を受信できない場合、ステップS205の処理に進み、電源部1230がライト1270に対する電力供給を開始し、ライト1270が点灯する。これは、親機110が正常に終了せずに電力供給が停止し、且つ子機120に対する電力供給も停止した場合に相当する。この場合、これらコードレス電話システムに対して電力供給を行っている電源系統が電力供給を停止した状態となっており、子機120のライト1270が自動的に点灯することになるので、ライト1270は非常灯として機能する。また、子機120を充電台より持上げて持ち歩けば懐中電灯としても使用することができる。
【0055】
次に、図3を参照して、親機110における起動処理について説明する。なお、図3は、親機110における起動処理のフローチャートである。
【0056】
外部電源から電源部1130に対して電力供給が行われている際に(つまり、親機110が外部電源に接続され、電力供給を受けている場合に)ユーザが表示・操作部1120又はそれらとは別に設けられた電源スイッチ(図示せず)を操作することによって制御部1110に電源オンの指示がある場合、或いは、電力供給が停止していた外部電源から電源部1130に対して電力供給が開始された場合に、ステップS301において、起動処理手段1111は、メモリ部1180に記憶されているプログラムを読込み、それに従って通常の起動処理を行う。
【0057】
ステップS302において、起動処理手段1111は親機110が正常に起動した場合に、正常起動したことを子機120に通知し、起動処理を終了する。この通知は、正常終了フラグとして「偽(FALSE)」の値を子機120に送信することによって行う。
【0058】
子機120は親機110からの正常起動の通知を受信すると、その旨をメモリ1250の正常終了フラグ記憶部1251に記憶する。なお、正常終了フラグが「偽(FALSE)」の状態というのは、親機110が正常終了したわけではないすべての状態が含まれており、親機110に対する外部電源からの電力供給が正常に行われている場合も含まれている。
【0059】
次に、図4を参照して、親機110における終了処理について説明する。なお、図4は、親機110における終了処理のフローチャートである。
【0060】
外部電源から親機110の電源部1130に対して正常に電力供給が行われている際にユーザが表示・操作部1120又は電源スイッチ(図示せず)を操作することによって終了指示を行った場合に、終了処理手段1112は、表示・操作部1120に「電源を落としますか」、「はい」、「いいえ」といったメッセージを表示させ、ユーザが操作部を操作することによって「はい」を選択した場合に、以下のステップS401から始まる正常終了処理を実行する。
ステップS401において、制御部1110において現在実行中のプログラムを終了させたり、メモリ部1180において一時的に記憶されているデータ等をメモリ部1180の非揮発性メモリに書出したりする。
【0061】
また、ステップS402において、終了処理手段1112は、親機110が正常に電源をオフされる旨を、子機120に対して通知する。この通知は、正常終了フラグとして「真(TRUE)」の値を子機120に送信することによって行う。
【0062】
子機120は親機110からの正常終了の通知を受信すると、その旨をメモリ1250の正常終了フラグ記憶部1251に記憶する。
【0063】
ステップS403において、電源部1130から親機110の各部に対する電力供給を停止させる。
【0064】
以上、説明したように、子機に対する電力供給が停止した際に、親機からの応答を確認することに加えて、親機が正常終了したか否かを判定し、正常終了しなかった場合であって且つ親機からの応答がない場合にのみ子機120のバッテリによってライトを点灯させれば、意図的な電力停止の場合にライトが誤点灯することを防止させることが可能となる。
【0065】
例えば、電話装置を移動させたり配線の処理をしたりするために親機の電源プラグをコンセントから抜いたりする場合に、親機において正常終了処理を行っておけば、その旨が子機に通知され、親機及び子機に対する電力供給が停止したとしても誤ってライトが点灯してしまうという不都合を回避することが可能となる。
【0066】
また、親機の正常終了処理の指示操作を行う操作部を分電盤の付近に設置して遠隔操作できるようにし、分電盤の電源を落とす前に親機の正常終了を行えば、分電盤の電源が落とされたとしても子機が誤って停電状態であると判断してライトを点灯させてしまう事態を回避することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
110 親機
120 子機
1110 制御部
1111 起動処理手段
1112 終了処理手段
1113 子機応答手段
1120 表示・操作部
1130 電源部
1140 ダイヤラ部
1150 NCU部
1160 音声入出力部
1161 コーデック部
1162 マイクアンプ部
1163 マイク
1164 スピーカアンプ部
1165 スピーカ
1166 スピーチネットワーク部
1167 受話器
1170 無線制御部
1180 メモリ部
1210 制御部
1211 電力供給監視手段
1212 親機正常終了判定手段
1213 親機問合せ手段
1220 表示・操作部
1230 電源部
1240 無線制御部
1250 メモリ
1251 正常終了フラグ記憶部
1260 音声入出力部
1261 コーデック部
1262 マイクアンプ部
1263 マイク
1264 レシーバアンプ部
1265 レシーバ
1266 スピーカアンプ部
1267 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と子機を備えるコードレス電話システムであって、
前記親機は、親機の電源を正常に切断処理するとともにその旨を前記子機に通知する終了処理手段と、前記子機からの問合せに対して応答信号を通知する子機応答手段と、を備え、
前記子機は、外部電源又は内蔵バッテリの電力を前記子機各部に供給する電源部と、前記親機における正常切断処理を記憶するメモリ部と、ライトと、前記子機における前記外部電源からの電力供給の有無を監視する電力供給監視手段と、親機正常終了判定手段と、親機問合せ手段と、を備え、
前記子機において、前記電力供給監視手段が前記外部電源からの電力供給が停止したことを検出すると、前記親機正常終了判定手段が前記メモリ部を参照することによって前記親機における電源が正常に切断処理されたか否かを判定するとともに前記親機問合せ手段が前記親機に問合せを行い、前記親機において電源が正常に切断されず、且つ前記親機から応答信号を受信しない場合に、前記電源部が前記内蔵バッテリの電力を前記ライトに供給することを特徴とするコードレス電話システム。
【請求項2】
前記メモリ部は、前記親機において電源が正常に切断処理されたことをフラグとして保持することを特徴とする請求項1に記載のコードレス電話システム。
【請求項3】
終了処理手段と子機応答手段とを有する親機と、外部電源又は内蔵バッテリの電力を前記子機各部に供給する電源部とライトと外部電源からの電力供給の有無を監視する電力供給監視手段と親機正常終了判定手段と親機問合せ手段とを有する子機と、を備えるコードレス電話システムにおけるライト点灯方法であって、
(1)前記親機の前記終了処理手段は、親機の電源を正常に切断処理した場合にその旨を前記子機に通知するステップと、
(2)前記子機が前記親機の終了処理の状態を記憶するステップと、
(3)前記子機の電力供給監視手段が前記外部電源から前記子機に対する電源供給が停止したことを検出するステップと、を有し、
前記(3)のステップにおいて前記子機に対する電源供給が停止したことが検出された場合には、さらに、
(4)前記親機正常終了判定手段が前記親機における終了状態を判定するステップと、
(5)前記親機問合せ手段が前記親機に問合せを行うステップと、を有し、
前記親機において電源が正常に切断されず、且つ前記親機から応答信号を受信しない場合には、
(6)前記電源部が内蔵バッテリの電力を前記ライトに供給するステップを実行することを特徴とするライト点灯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81063(P2013−81063A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219855(P2011−219855)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】