説明

コードレス電話機

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、親機と子機とが無線回線を介して接続されたコードレス電話機に係り、より詳細には、通話中に親機からの受信電波が通話圏外となったことを子機が検出したときに、該子機において圏外警告音を発生するように構成したコードレス電話機に関する。
(従来の技術)
コードレス電話機においては、通常一定の箇所に固定的に設置される親機と可搬式の子機との距離は、子機の移動に伴って変化する。子機が親機から離れるにつれて、子機と親機との間で授受される電波の強さが弱くなり、相対的にノイズ成分が増加するため、S/N比が悪化して通話品質が低下してくる。このため、通話中に常時的に電波の状態を監視し、電波の強さがある基準レベル以下になると(又はノイズが基準レベルを超えると)、通話圏外であることを知らせる圏外警告音を発するように構成している。
上記のような圏外警告式のコードレス電話機の従来例を第2図に示す。
このコードレス電話機は、図示しない相手側端末機に対して電話回線1を介して双方向性に接続された親機2と、この親機2との間で無線回線3を介して双方向性に接続された子機4とからなる。
まず、親機2の構成について説明する。
相手側端末機に対して通話回線1を介して有線電話機部6が双方向性に接続されている。この有線電話機部6は、制御部8に対して双方向性に接続されるとともに、その音声信号出力端が受話音声ミュート部10の入力端に接続されている。受話音声ミュート部10の出力端は送信路スイッチ部12を介して送信機部14に接続され、送信機部14の出力端はアンテナ16に接続されている。また、このアンテナ16は受信機部18の入力端にも接続されており、受信機部18の出力端は送話音声ミュート部20に接続され、送話音声ミュート部20の出力端は有線電話機部6の音声信号入力端に接続されている。
制御部8は、送信データ部22を介して送信路スイッチ部12に接続されるとともに、送信用シンセサイザ部24及び受信用シンセサイザ部26に接続されており、また受話音声ミュート部10及び送話音声ミュート部20にも接続されている。そして、送信用シンセサイザ部24は送信機部14に接続され、受信用シンセサイザ部26は受信機部18に接続されている。また、送話音声ミュート部20に接続された受信機部18の出力端は受信データ部28にも接続されており、これとは別の受信機部18の出力端はキャリアセンス部30及び圏外検出部32に接続されている。そして、受信データ部28、キャリアセンス部30及び圏外検出部32の各出力端はそれぞれ制御部8に接続されている。
有線電話機部6は、2線−4線変換部、着信検出部、ダイヤラー部、保留部、オフフック部などを備えており、着信検出部は、電話回線1を介して相手側端末機から送信されてきた着信信号を検出して、その着信検出信号を制御部8に送信する機能を有する。また2線−4線変換部は、親機2と子機4とが無線回線3を介して無線通話チャンネルを確立した後において、相手側端末機から電話回線1を介して送信されてきた音声信号を非動作状態にある受話音声ミュート部10及び送信路スイッチ部12を介して送信機部14に送出したり、子機4から送信されてきた音声信号を受信機部18及び非動作状態にある送話音声ミュート部20を介して受け取り、電話回線1を介して相手側端末機に送出する機能を有する。
受信データ部28及び送信データ部22は、親機2と子機4との間の無線通話チャンネルが確立されてアナログ通話の状態となるまで、デジタル信号のやりとりを子機4との間で行うためのものである。例えば子機4からのオフフック信号が無線回線3を介して親機2の受信機部18に送られてくると、受信機部18から発呼要求有りのデータが出力され、これを受信データ部28が受け取って制御部8に送出したり、相手側端末機から電話回線1及び有線電話機部6を介して送られてきた着信信号を制御部8が受け取ることにより、この制御部8からの指令によって送信データ部22から子機4に対しアラームの起動信号を出力したりする。
送信路スイッチ部12は、親機2と子機4との間の無線通話チャンネルが確立されてアナログ通話の状態となるまでは送信データ部22を送信機部14に接続し、アナログ通話路が確立された後は受話音声ミュート部10を介して有線電話機部6を送信機部14に接続するように切り換える切換えスイッチである。
送信機部14は、送信路スイッチ部12を介して入力された送信データ部22からの送信データや電話回線1からの音声信号を入力して搬送波をFM変調し、高周波電力増幅した後、アンテナ16に送出する機能を有する。アンテナ16は、送信機部14から送出されたデータ又は音声信号を無線回線3を介して子機4側に送出したり、無線回線3を介して子機4から送出されてきた電波(FM変調波)を受信し、受信したデータ又は音声信号を受信機部18に出力する機能を有する。
受信機部18は、アンテナ16により子機4から受信したデータ又は音声信号を入力し、図示していないが内蔵しているRFアンプ部、ミキサー部、IFアンプ部、リミッタ部、検波部などを介して復調する。そして、復調したデータを受信データ部28に出力するとともに、復調した音声信号を非動作状態にある送話音声ミュート部20を介して有線電話機部6に出力し、また受信電波の強さを検波してDCレベルでキャリアセンス部30や圏外検出部32に出力する機能を有する。
送信用シンセサイザ部24は、制御部8が送信状態を検出したときに、制御部8からの指令によって電源が投入されるとともに、チャンネルデータを受け取って、送信機部14をそのチャンネルにロックする機能を有する。また受信用シンセサイザ部26は、制御部8が受信状態を検出したときに、制御部8からのチャンネルデータを受け取って、受信機部18をそのチャンネルにロックする機能を有する。
キャリアセンス部30は、受信電波の強さのレベルを検出して、そのレベルがある基準レベルを超えているときには、そのチャンネルが使用されていると判定し、基準レベル以下のときには、そのチャンネルは空きチャンネルであると判定し、その判定結果を制御部8に送出する機能を有する。圏外検出部32は、受信電波の強さのレベルを検出して、電波の強さが良好でない通話品質の状態になっているかどうか、すなわち通話圏外かどうかを判定し、その判定結果を制御部8に送出する機能を有する。
制御部8は、有線電話機部6の構成要素である着信検出部から着信検出信号が入力されると、送信データ部22に対して子機4へのアラームの起動信号を出力するとともに、子機4からのオフフック信号を受けた受信機部18からの発呼要求有りのデータが、受信データ部28を介して入力される等して、親機2と子機4との間の無線のやりとりの制御を行う。そして、無線回線3による無線通話チャンネルが確立されると、その無線回線3と有線回線とを締結するための制御信号を送出する機能を有する。また、送信状態を検出したときに送信用シンセサイザ部24の電源を投入するとともに、チャンネルデータを送信用シンセサイザ部24に送出する機能や、受信状態を検出したときにチャンネルデータを受信用シンセサイザ部26に送出したりする機能も有する。さらに、キャリアセンス部30から使用チャンネルの判定信号が入力されたときにはそのチャンネルでの電波の送出は行わず、空きチャンネルの判定信号が入力されたときにはそのチャンネルで電波を送出する機能や、圏外検出部32からの通話圏外であることを示す判定信号が入力されたときには受話音声ミュート部10及び送話音声ミュート部20を動作状態に切り換えて、受話音声信号及び送話音声信号をミュートするといった機能を有する。
次に、子機4の構成について説明する。
送話器部40の出力端が送信路スイッチ部42を介して送信機部44に接続され、送信機部44の出力端は、親機2側のアンテナ16との間で双方向性の無線回線3を形成するアンテナ46に接続されている。またアンテナ46は受信機部48の入力端に接続されており、受信機部48の出力端は受話器部50に接続されている。また、キー入力部52の出力端は制御部56に接続され、リンガー部54の入力端は制御部56に接続されている。
制御部56は、送信データ部58を介して送信路スイッチ部42に接続されるとともに、送信用シンセサイザ部60及び受信用シンセサイザ部62に接続されている。そして、送信用シンセサイザ部60は送信機部44に接続され、受信用シンセサイザ部62は受信機部48に接続されている。受話器部50に接続された受信機部48の出力端は受信データ部64にも接続されており、これとは別の受信機部48の出力端はキャリアセンス部66及び圏外検出部68に接続されている。そして、受信データ部64、キャリアセンス部66及び圏外検出部68の各出力端はそれぞれ制御部56に接続されている。また、圏外警告音発生部70の入力端は制御部56に接続され、出力端はリンガー部54に接続されている。
送信機部44は、送信路スイッチ部42を介して入力された送信データ部58からの送信データや、送話器部40からの音声信号によって搬送波をFM変調し、高周波電力増幅した後、アンテナ46に送出する機能を有する。アンテナ46は、無線回線3を介して親機2から送出されてきた電波(FM変調波)を受信し、受信したデータ又は音声信号を受信機部48に出力する機能を有する。
受信機部48は、アンテナ46によって受信した親機2からのデータ又は音声信号を、図示していないが内蔵しているRFアンプ部、ミキサー部、IFアンプ部、リミッタ部、検波部などを介して復調し、復調したデータを受信データ部64に出力するとともに、復調した音声信号を受信器部50に出力し、また受信電波の強さを検波してDCレベルでキャリアセンス部66や圏外検出部68に出力する機能を有する。
受信データ部64及び送信データ部58は、子機4と親機2との間の無線通話チャンネルが確立されてアナログ通話の状態となるまで、デジタル信号のやりとりを親機2との間で行うためのものである。例えば親機2からのアラームの起動信号が無線回線3を介して子機4の受信機部48に送られてきて、受信機部48から呼出要求有りのデータが出力されると、これを受信データ部64が受け取り、制御部56に送出する。
送信路スイッチ部42は、子機4と親機2との間の無線通話チャンネルが確立されてアナログ通話の状態となるまでは送信データ部58を送信機部44に接続し、アナログ通話路が確立された後は送話器部40を送信機部44に接続するように切り換える切換えスイッチである。
送信用シンセサイザ部60は、制御部56が送信状態を検出したときに、制御部56からの指令によって電源が投入されるとともに、チャンネルデータを受け取って、送信機部44をそのチャンネルにロックする機能を有する。また受信用シンセサイザ部62は、制御部56が受信状態を検出したときに、チャンネルデータを受け取って受信機部48をそのチャンネルにロックする機能を有する。
キャリアセンス部66は、受信電波の強さのレベルを検出して、そのレベルが基準レベルを超えているときには、そのチャンネルが使用されていると判定し、基準レベル以下のときには、そのチャンネルは空きチャンネルであると判定し、その判定結果を制御部56に送出する機能を有する。圏外検出部68は、受信電波の強さのレベルを検出して、電波の強さが良好でない通話品質の状態になっているかどうか、すなわち通話圏外かどうかを判定し、その判定結果を制御部56に送出する機能を有する。
制御部56は、子機4と親機2との間の無線のやりとりの制御を行った後、無線回線3による無線通話チャンネルが確立されると、その無線回線3と有線回線とを締結するための制御信号を送出する機能や、送信状態を検出したときに送信用シンセサイザ部60の電源を投入するとともに、受け取ったチャンネルデータを送信用シンセサイザ部60に送出する機能や、受信状態を検出したときに受け取ったチャンネルデータを受信用シンセサイザ部62に送出する機能や、キャリアセンス部66から使用チャンネルの判定信号が入力されたときにはそのチャンネルでの電波の送出は行わず、空きチャンネルの判定信号が入力されたときにはそのチャンネルで電波を送出する機能や、圏外検出部68から通話圏外の判定信号が入力されたときには圏外警告音発生部70を制御してリンガー部54を動作させる機能等を有する。
以上のように構成された従来のコードレス電話機における圏外警告動作を次に説明する。
通話中において、子機4のアンテナ46から発せられた電波が無線回線3を介して親機2のアンテナ16で受信され、その受信した電波の強さが受信機部18を介して圏外検出部32に与えられる。そして、子機4の移動によって子機4と親機2との距離が増大した結果、親機2が受信する電波の強さのレベルが基準レベル以下になると、圏外検出部32が通話圏外と判定し、その判定信号を制御部8に出力する。制御部8は、通話圏外の判定信号が入力されると、受信音声ミュート部10及び送話音声ミュート部20を動作させ、受話音声信号及び送話音声信号をミュートする。この音声信号のミューティングによって、子機4側の通話者に、親機2から離れ過ぎであることを警告する。そのため、通話者が子機4を持って親機2に近づくと、親機2が受信する電波の強さのレベルが基準レベルを超えるまで回復し、ミューティングが解除されて通話が再開できるようになる。
また、親機2のアンテナ16が発せられた電波が無線回線3を介して子機4のアンテナ46で受信され、その受信した電波の強さが受信機部48を介して圏外検出部68に与えられる。そして、子機4の移動によって子機4と親機2との距離が増大した結果、子機4が受信する電波の強さのレベルが基準レベル以下になると、圏外検出部68が通話圏外と判定し、その判定信号を制御部56に出力する。制御部56は、通話圏外の判定信号が入力されると、圏外警告音発生部70を動作させ、圏外警告信号をリンガー部54に出力し、これを入力したリンガー部54は、圏外警告音(例えばピーピーといった音)を発する。この圏外警告音によって、子機4側の通話者に、親機2から離れ過ぎであることを警告する。圏外警告音を開いた通話者が子機4を持って親機2に近づくと、子機4が受信する電波の強さのレベルが基準レベルを超えるまで回復し、圏外警告音は停止する。
以上のように、子機4側だけでなく親機2側でも圏外検出を行っているのは、親機2と子機4とでは、その受信電波の周波数帯が同じではなく、また、アンテナ16,46を含めた受信機部18,48の感度も互いに相違するので、同じ条件下においても親機2の圏外検出部32が通話圏外と判定しているのに、子機4の圏外検出部68は通話圏外とは判定しないという状況が通常的に起こり得るからである。
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、親機2で通話圏外と判定した場合には、受話及び送話の音声信号をミュートするので、子機4側の通話者も相手側端末機の通話者も突然音声が聞こえなくなって奇異に感じるだけでなく、そのことが通話圏外であることを警告しているかどうかの判断に直接的に結びつかないという問題があった。
本発明は上記課題を解決するために創案されたものであり、その目的は、通話中において子機が通話圏外を検出していない状態で親機が通話圏外を検出した場合においても、子機側の通話者に通話圏外となったことを警告音をもって確実に警告することができるコードレス電話機を提供することにある。
(課題を解決するための手段)
上記課題を解決するため、本発明のコードレス受話器は、親機と子機とが無線回線を介して接続されており、通話中に親機からの受信電波が通話圏外となったことを子機が検出をしたときに子機において圏外警告音を発生するように構成したコードレス電話機において、前記親機に、通話中に子機からの受信電波が通話圏外となったことを検出する圏外検出部と、この圏外検出部の検出動作に基いて警告音を発生する圏外警告音発生部と、子機側に送出する受話音声に前記警告音を混合する送信加算器部とを備え、前記子機は、前記送信加算器部によって混合された受話音声及び警告音を受信し、受話器部から受話音声とともに圏外警告音を送出する構成を採用する。
(作用)
通話中において、子機が通話圏外を検出していない状態で親機の圏外検出部が通話圏外を検出した場合でも、親機における圏外警告音発生部と送信加算器部とにより警告音を受信音声に混合して、これを子機に送出する。これにより、受信器部を通して受話音声とともに圏外警告音を発することが可能となる。
(実施例)
第1図は本発明の一実施例に係るコードレス電話機の電気的構成を示すブロック線図である。
同図において、1は電話回線、2は親機、3は無線回線、4は子機、6〜32は親機2の構成要素であり、6は有線電話機部、8は制御部、12は送信路スイッチ部、14は送信機部、16はアンテナ、18は受信機部、22は送信データ部、24は送信用シンセサイザ部、26は受信用シンセサイザ部、28は受信データ部、30はキャリアセンス部、32は圏外検出部である。また40〜70は子機4の構成要素であり、40は送話器部、42は送信路スイッチ部、44は送信機部、46はアンテナ、48は受信機部、50は受話器部、52はキー入力部、54はリンガー部、56は制御部、58は送信データ部、60は送信用シンセサイザ部、62は受信用シンセサイザ部、64は受信データ部、66はキャリアセンス部、68は圏外検出部、7は圏外警告音発生部であり、これらの構成は前記従来例と同様であるので、ここでは同符号を付して説明を省略する。
ただし、親機2においては、従来例における受話音声ミュート部10及び送話音声ミュート部20が省略されており、制御部8による両ミュート部10,20の制御も行われない。また、子機4においては、圏外警告音発生部70とリンガー部54との接続は行われていない。
本実施例においては、上記構成に加え、親機2においては、圏外検出部32から通話圏外の判定信号が入力された制御部8によって駆動される圏外警告音発生部34が設けられるとともに、この圏外警告音発生部34が出力した警告音を有線電話機部6から出力された受話音声に混合して送信路スイッチ部12に出力する送信加算器部36が設けられている。また、子機においては、圏外警告音発生部70が出力した警告音を受信機部48から出力された受話音声に混合して受話器部50に出力する受話加算器部72が設けられている。
次に、上記構成のコードレス電話機における圏外警告の動作を説明する。
通話中において、親機2のアンテナ16から発せられた電波が無線回線3を介して子機4のアンテナ46で受信され、その受信した電波の強さが受信機部48を介して圏外検出部68に与えられる。そして、子機4の移動によって子機4と親機2との距離が増大した結果、子機4が受信する電波の強さのレベルが基準レベル以下になると、圏外検出部68が通話圏外と判定し、その判定信号を制御部56に出力する。制御部56は、通話圏外の判定信号を入力すると、圏外警告音発生部70を動作させ、圏外警告信号を受話加算器部72に出力し、受信機部48からの受話音声と圏外警告音とが混合される。この混合信号は受話器部50に入力され、受話器部50は、相手側からの受話音声とともに圏外警告音(例えばピーピーといった音)を発する。この圏外警告音によって、子機4側の通話者に、親機2から離れ過ぎであることを警告する。圏外警告音を聞いた通話者が子機4を持って親機2に近づくと、子機4が受信する電波の強さのレベルが基準レベルを超えるまで回復して圏外警告音は停止し、受話器部50からは相手側からの受話音声のみが聞こえる。
また、通話中において、子機4のアンテナ46から発せられた電波が無線回線3を介して親機2のアンテナ16で受信され、その受信した電波の強さが受信機部18を介して圏外検出部32に与えられる。子機4の移動によって子機4と親機2との距離が増した結果、親機2が受信する電波の強さのレベルが基準レベル以下になると、圏外検出部32が通話圏外と判定し、その判定信号を制御部8に出力する。制御部8は、通話圏外の判定信号を入力すると、圏外警告音発生部34を動作させ、圏外警告音を送信加算器部36に出力し、有線電話機部6からの受話音声と圏外警告音とが混合される。この混合信号は送信路スイッチ部12を介して送信機部14に送出され、送信機部14でFM変調された後、アンテナ16を介して子機4に送出される。子機4では、その混合信号がアンテナ46を介して受信機部48に入力され、受信機部48で復調されて、受話器部50から相手側の受話音声とともに圏外警告音(例えばピーピーといった音)が発せられる。なお、このときは、受信機部48で復調された混合信号は受話加算器部72を単に通過するだけあって、圏外警告音発生部70からの圏外警告音を混合することはない。
受話器部50から発せられた圏外警告音によって、子機4を持って通話している通話者に、親機2から離れ過ぎであることを警告する。圏外警告音を聞いた通話者が親機2に近づくと、子機4が受信する電波の強さのレベルが基準レベルを超えるまで回復して圏外警告音は停止し、受話器部50からは相手側からの受話音声のみが聞こえる。
以上のように、本実施例におけるコードレス電話機は、子機4側で通話圏外を検出した場合はもちろん、子機4側では通話圏外を検出できず親機2側で通話圏外を検出した場合であっても、通話者は受話器部50を通して相手側の音声とともに圏外警告音を聞くことができ、現在位置が通話圏外であることを圏外警告音をもって直接的に正しく判断することができる。そして、子機4を持って通話圏内に移動することによって通話品質を良好に保つことができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されず、受話加算器部72を省略し、従来例と同様に、圏外警告音発生部70によってリンガー部54を動作させて圏外警告音を発生するように構成してもよい。また、制御部8,56を通じることなく、圏外検出部32,68から直接的に圏外警告音発生部34,70を動作させるように構成することも可能である。さらに、圏外検出部32,68としては、受信電波の強さが基準レベル以下になったことを検出する機能をもつものに代えて、通話帯域外のノイズレベルが基準レベルを超えたことを検出する機能をもつものに構成してもよい。
(発明の効果)
本発明のコードレス電話機は、通話中に、子機において通話圏外を検出した場合に子機側の通話者に圏外警告音を発することができるのはもちろん、親機において通話圏外を検出したときにも、圏外警告音発生部と送信加算器部とにより警告音を受話音声に混合して、この混合信号を子機に送出するように構成したので、子機側の通話者は受話器部によって受話音声とともに圏外警告音を聞くことができる。したがって、親機と子機との受信電波の周波数帯や受信感度が同一でなく、通話圏外検出レベルが異なっているために、親機が通話圏外の検出をしているにもかかわらず子機では通話圏外の検出が行われていない場合であっても、従来例のように両通話者に奇異な感じを与える音声のミュートをすることなく、受話器部を通した圏外警告音をもって子機側の通話者に通話圏外となったことを確実に警告することができる。また、親機側において警告音を発生させ、受話音と混合して子機側へ送信することにより、子機側では新たな回路を付加することなく警告音を聞くことができるので、子機側における回路構成の増大を防止できる。つまり、子機の大型化、重量化を防止することができる。また、警告音を受話音と混合して子機側へ送信するので、例えば警告のためのデータを子機側に送信し、子機側で警告データを処理する場合に比べて、データ転送によるノイズの発生を防止できる。すなわち、データ転送によるノイズによって受話音が聞き取りにくくなるといったことが防止できるといった種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るコードレス電話機の電気的構成を示すブロック線図、第2図は従来技術のコードレス電話機の電気的構成を示すブロック線図である。
2……親機
3……無線回線
4……子機
6……有線電話機部
8……親機側の制御部
14……親機側の送信機部
16……親機側のアンテナ
18……親機側の受信機部
32……親機側の圏外検出部
34……親機側の圏外警告音発生部
36……送信加算器部
40……送話器部
44……子機側の送信機部
46……子機側のアンテナ
48……子機側の受信機部
50……受話器部
54……リンガー部
56……子機側の制御部
68……子機側の圏外検出部
70……子機側の圏外警告音発生部
72……受話加算器部

【特許請求の範囲】
【請求項1】親機と子機とが無線回線を介して接続されており、通話中に親機からの受信電波が通話圏外となったことを子機が検出したときに、該子機において圏外警告音を発生するように構成されたコードレス電話機において、前記親機に、通話中に子機からの受信電波が通話圏外となったことを検出する圏外検出部と、この圏外検出部の検出動作に基いて警告音を発生する圏外警告音発生部と、子機側に送出する受話音声に前記警告音を混合する送信加算器部とを備え、前記子機は、前記送信加算器部によって混合された受話音声及び警告音を受信し、受話器部から受話音声とともに警告音を送出することを特徴とするコードレス電話機。

【第1図】
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【第2図】
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【特許番号】第2768757号
【登録日】平成10年(1998)4月10日
【発行日】平成10年(1998)6月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−252979
【出願日】平成1年(1989)9月27日
【公開番号】特開平3−114338
【公開日】平成3年(1991)5月15日
【審査請求日】平成8年(1996)1月29日
【出願人】(999999999)シャープ株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平1−208944(JP,A)
【文献】特開 平1−98334(JP,A)