説明

コールセンター評価システム、コールセンター評価方法、コールセンター評価プログラム及び記憶媒体

【課題】複数のコールセンターの業務評価を行うことができるコールセンター評価システム、コールセンター評価方法、コールセンター評価プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】コールセンターを評価するためのコールセンターシステム1において、統計サーバ30は、コールセンターCのフォーキャスト件数を記憶するフォーキャスト記憶部と、フォーキャスト件数に対する達成度と、コールセンターCの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた評価マトリクスを記憶するROMと、評価対象のコールセンターの応答率を取得するとともに、達成度と応答率とに基づき、評価マトリクスを用いて前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行うCPUとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンター評価システム、コールセンター評価方法、コールセンター評価プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンターは、例えば事業者が扱う商品に対する顧客からの問い合わせ、商品の注文といった顧客に対する電話応対業務を専門に行う部門であり、最近は、各種照会、手続等、対応分野も多岐に亘っている。従来は、事業者が自社のコールセンターを設置することが多かったが、最近では人員の確保、コスト削減等を目的として、電話対応業務のアウトソーシングが増える傾向にある。或いは自社のコールセンターを異なる拠点に分散して、顧客からの電話を各拠点に自動分配することもある。
【0003】
例えば特許文献1には、分散型コールセンターシステムが記載されている。
【特許文献1】特開2005−340912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、コールセンターを複数の拠点に分散させる場合、各拠点のオペレータ数、処理能力等に合わせて、電話応対の目標件数を各拠点に予め割り振る必要がある。この割り振りを行うためには、各拠点のコールセンターの処理能力等を予めそれぞれ評価し、その評価に基づき割り振る件数を決定する必要がある。
【0005】
尚、特許文献1に記載されたコールセンターシステムでは、応答率を向上するためのシステムが記載されているが、各コールセンターを評価する構成については、開示されていない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コールセンターの業務評価を行うことができるコールセンター評価システム、コールセンター評価方法、コールセンター評価プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コールセンターを評価するためのコールセンター評価システムにおいて、コールセンターの電話応対予定件数を記憶する予定件数記憶手段と、前記電話応対予定件数に対する達成度と、コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた評価マトリクスを記憶するマトリクス記憶手段と、評価対象のコールセンターの前記応答率を取得する応答率取得手段と、前記電話応対予定件数に対する達成度と前記応答率とに基づき、前記評価マトリクスを用いて前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行う評価判定手段とを備えた。
【0008】
この発明によれば、評価マトリクスに基づきコールセンターを評価するので、コールセンターの実績を簡単に評価することができる。また、評価マトリクスは、電話応対予定件数に対する達成度と、応答率とに応じた評価値とを関連付けられたものであるため、応答件数を電話応対予定件数に近い件数とし、且つ顧客満足度とを両立できるコールセンターを高く評価することができる。
【0009】
このコールセンター評価システムにおいて、前記応答件数と前記電話応対予定件数との差分を、該電話応対予定件数で除算して、該電話応対予定件数に対する達成度を算出する達成度算出手段をさらに備えた。
【0010】
この発明によれば、電話応対予定件数と応答件数とに基づき、達成度を算出するので、電話応対予定件数に対する実績の偏りを評価することができる。
本発明は、コールセンターの電話応対予定件数を記憶する予定件数記憶手段と、コールセンターを評価するための評価マトリクスを記憶したマトリクス記憶手段と、コンピュータとを用いて評価を行うコールセンター評価方法であって、前記コンピュータが、コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率を取得し、前記電話応対予定件数に対する達成度と、前記応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた前記評価マトリクスを用いて、評価対象のコールセンターの前記達成度及び前記応答率に基づき、前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行う。
【0011】
この発明によれば、評価マトリクスに基づきコールセンターを評価するので、コールセンターの実績を簡単に評価することができる。また、評価マトリクスは、電話応対予定件数に対する達成度と、応答率とに応じた評価値とを関連付けられたものであるため、応答件数を電話応対予定件数に近い件数とし、且つ顧客満足度とを両立できるコールセンターを高く評価することができる。
【0012】
本発明は、コールセンターの電話応対予定件数を記憶する予定件数記憶手段と、コールセンターを評価するための評価マトリクスを記憶したマトリクス記憶手段と、コンピュータとを用いてコールセンターの評価を行うコールセンター評価プログラムであって、前記コンピュータを、コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率を取得する応答率取得手段と、前記電話応対予定件数に対する達成度と、前記応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた前記評価マトリクスを用いて、評価対象のコールセンターの前記達成度及び前記応答率に基づき、前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行う評価判定手段として機能させる。
【0013】
この発明によれば、評価プログラムに従って、評価マトリクスに基づきコールセンターを評価するので、コールセンターの実績を簡単に評価することができる。また、評価マトリクスは、電話応対予定件数に対する達成度と、応答率とに応じた評価値とを関連付けられたものであるため、応答件数を電話応対予定件数に近い件数とし、且つ顧客満足度とを両立できるコールセンターを高く評価することができる。
【0014】
本発明は、コールセンターを評価するための評価マトリクスを記憶した記憶媒体であって、コールセンターの電話応対予定件数に対する達成度と、該コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とを関連付けた前記評価マトリクスを記憶した。
【0015】
この発明によれば、評価マトリクスは、達成度と応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とを関連付けているので、コールセンターの処理能力だけでなく、電話応対予定件数とのずれを考慮した評価を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、複数のコールセンターCと、各コールセンターC及び統括本部Uの間で行われる発注及び受注のフローを示す説明図である。
【0017】
統括本部Uは、予め算出した評価に基づき、各コールセンターCに対し発注を行う。即
ち、応対予定件数(以下、フォーキャスト件数)を単位期間である一日毎に算出し、該フォーキャスト件数を各コールセンターCに通知する。各コールセンターCは、通知されたフォーキャスト件数に基づき、フォーキャスト件数に応じたオペレータを確保し、フォーキャスト件数から大きく乖離しないように顧客からの着呼に応対する。
【0018】
一日の電話応対業務が終了すると、コールセンターCは、その日の応答件数を含む実績を統括本部Uに通知する。統括本部Uのシステムは、この実績を統計処理して、各コールセンターCのその日の評価を算出する。
【0019】
また、統括本部Uは、例えば、支払単位期間内(例えば一ヶ月)毎に、応答件数に単価を乗算し、各コールセンターに対して支払いを行う(月単位の支払料金=月単位の応答件数×単価)。或いは、一日の応答件数が所定範囲内に含まれる場合には予め設定した基本料金を支払い、所定範囲を超えた場合には超過した件数分の料金を支払ってもよい。即ち、コールセンターCが、フォーキャスト件数を超過して顧客からの電話に応対した場合には、統括本部Uの支払いが予想よりも超過する。また、応答件数がフォーキャスト件数よりも下回った場合には、顧客満足度が低下する。従って、コールセンターCは、顧客満足度を適切な範囲に維持し、且つ応答件数がフォーキャスト件数から大きく乖離しないように調節することが望ましい。
(コールセンターシステム)
図2に、コールセンター評価システムとしてのコールセンターシステム1の概要を示す。コールセンターシステム1は、各コールセンターC内に設置されたコールセンター管理システム2と、統括本部Uが有する統括システム3とを有している。尚、図2には、便宜上一つのコールセンターCのみを示したが、コールセンターCは複数あるものとする。
【0020】
コールセンター管理システム2は、PBX(構内交換機:Private Branch eXchange)
装置10、コールセンター管理サーバ(以下、センター管理サーバという)11、データベース(DB)サーバ12を有している。PBX装置10、センター管理サーバ11、データベースサーバ12はLAN(Local Area Network)13を介してデータを送受信可能に接続されている。また、LAN13には、顧客からの電話に応対するオペレータが用いる複数のオペレータ端末14が接続されている。
【0021】
PBX装置10は、公衆電話回線網N1を介して、顧客の電話機(以下、顧客電話機という)6と接続されている。また、PBX装置10は、オペレータが用いる各電話機15と接続されている。各電話機15の操作部には、ログインボタンB1、保留ボタンB2、準備中ボタンB3が設けられている。ログインボタンB1は、電話機15で着呼を受けるためのボタンである。保留ボタンB2は、接続中の電話を保留させるためのボタンであり、準備中ボタンB3は、単なる待機ではなく、電話応対の準備に掛かっているときにオン操作される。
【0022】
センター管理サーバ11は、CPU、RAM、ROM等を備え、CTI(Computer Telephony Integration)機能を有し、コールセンターCへの電話着信及びコールセンターCからの電話の発信を処理するサーバである。具体的には、センター管理サーバ11は、ACD(着信呼自動分配 Automatic Call Distribution)機能、IVR(音声自動応答 Interactive Voice Response)機能を有し、PBX装置10の制御を行う。
【0023】
尚、ACDとは、コールセンターCにかかってきた電話を待機中のオペレータに自動的に割り振る機能である。電話応対を行うオペレータの選出を行ったセンター管理サーバ11は、PBX装置10に対し、電話を該オペレータの電話機15に接続するように接続要求を出力する。また、IVRとは、音声による自動応答機能であって、顧客電話機6のダイヤル操作に合わせて、あらかじめ録音してある音声を再生する。
【0024】
また、センター管理サーバ11は、図示しないメモリに、各オペレータに対応する待機判定フラグを格納している。このフラグの数値は、各ボタンB1〜B3のいずれもオン操作されていない場合に「待機中」を示す値となり、各ボタンB1〜B3のいずれかがオン操作されている場合に「待機解除」を示す値となる。
【0025】
データベースサーバ12は、図3及び図4に示す着呼データベース20、実績データベース21を有している。他にも、オペレータに関する情報を記憶したオペレータデータベース、顧客に関する情報を記憶した顧客データベースを有している(図示略)。また、商品に関する情報をオペレータが検索するための商品データベース、各オペレータの作業履歴を示す作業履歴データベース等(図示略)を有している。オペレータ端末14は、オペレータの操作に従って、このデータベースサーバ12から要求されたデータを読み出し、ディスプレイDの画面に表示する。
【0026】
図3に示すように、着呼データベース20は、該コールセンターCの着呼データ20Aを記憶している。この着呼データ20Aは、着呼毎に生成される。着呼データ20Aは、日時20a、着呼ID20b、通話開始時間20c、通話終了時間20d、商品コード20e、問い合わせ内容20f、顧客ID20g、保留履歴20h等を有している。日時20aは、着呼があった日時であって、着呼ID20bは、着呼毎に付与されるIDである。通話開始時間20c及び通話終了時間20dは、PBX装置10から取得したデータに基づく時間であって、通話開始時間20cは、オペレータがログインボタンB1をオン操作した時刻を示し、通話終了時間20dは、オペレータがログインボタンB1のオン操作状態を解除した時刻を示す。
【0027】
また、商品コード20eは問い合わせがあった商品の識別子であって、問い合わせ内容20fは、その着呼における顧客の問い合わせ内容である。顧客ID20gは、問い合わせをした顧客の識別子であって、保留履歴20hは、保留回数、保留時刻等の履歴データである。
【0028】
図4に示すように、実績データベース21には、一日毎に、各コールセンターCの実績データ21Aが記憶されている。この実績データ21Aは、一日の電話応対業務が終了した後、各コールセンターCのセンター管理サーバ11から送信されるデータである。実績データ21Aは、コールセンターID21a、日時21b、その日(日時21b)の応答件数21c、着信件数21dを有している。この実績データ21Aは、センター管理サーバ11が、一日の電話応対業務の終了後の所定時刻に、着呼データ20Aを統計処理することにより生成及び登録される。また、センター管理サーバ11は、PBX装置10が計数した着信件数を取得し、実績データ21Aに含める。尚、着信件数の算出方法は、コールセンターシステム1の構成に応じて決定してもよい。例えば、顧客からの電話を一括して受け、各コールセンターCに分配する中継装置がある場合、該中継装置が受信した全ての着信件数を予め定められた配分によって分配し、分配した件数を、各コールセンターCの着信件数としてもよい。さらに、センター管理サーバ11は、実績データ21Aを生成すると、該実績データ21Aをセンター管理サーバ11に送信する。
【0029】
次に、統括本部Uが管理する統括システム3について説明する。図2に示すように、統括システム3は、統計サーバ30と、統括本部Uの担当者が用いる担当者端末50とを備えている。
【0030】
図5に示すように、統計サーバ30は、応答率取得手段、評価判定手段、達成度算出手段としてのCPU31、RAM32、マトリクス記憶手段、記憶媒体としてのROM33、通信インターフェース(I/F)34を有するコンピュータを有している。また、予定
件数記憶手段としてのフォーキャスト記憶部36、実績データ記憶部37、評価データ記憶部38を有している。
【0031】
CPU31は、通信インターフェース34を介して、各コールセンターCに設置されたセンター管理サーバ11に対してWAN等のネットワークN2(図2参照)を介してデータを送受信する。また、ROM33には評価プログラムや、評価マトリクス45(図8参照)が格納され、CPU31は、評価プログラムに従い、評価マトリクス45を用いて各コールセンターの評価を行う。
【0032】
また、フォーキャスト記憶部36には、フォーキャストデータ40がコールセンターC毎及び日毎に記憶されている。フォーキャストデータ40は、統括本部Uが各コールセンターCに対して依頼する電話応答予定件数(以下、フォーキャスト件数という)を示し、フォーキャスト件数は一日毎に設定される。
【0033】
図6に示すように、フォーキャストデータ40は、コールセンターID40a、日時40b、フォーキャスト件数40cを有している。コールセンターID40aは、各コールセンターCの識別子であって、日時40bは、依頼対象日を示す。統括本部Uの担当者は、予め算出した各コールセンターCの評価に基づき、フォーキャスト件数40cを設定する。従って、フォーキャスト件数40cは、各コールセンターC毎に異なるとともに、一つのコールセンターC内であっても、日毎に異なる(図1参照)。
【0034】
実績データ記憶部37には、各コールセンターCのセンター管理サーバ11から取得した実績データ21Aが格納されている。統計サーバ30のCPU31は、各センター管理サーバ11からその日の実績データ21Aを取得すると、実績データ記憶部37に実績データ21Aを記憶する。また、記憶した各実績データ21Aを読み出し、実績データ21Aに基づき評価を行う。
【0035】
評価データ記憶部38には、一日毎に各コールセンターCの評価データ42が記憶されている。評価データ42は、コールセンターC毎及び日毎に、各コールセンターCを評価したデータであって、該評価は、今後依頼するフォーキャスト件数40cに反映する。図7に示すように、評価データ42は、コールセンターID42a、日時42b及び評価42cを有している。また、評価42cは、「0」〜「3」までの整数であって、「0」が最も評価が低く、「3」が最も評価が高い。例えば、評価42cが「3」等の高評価であった場合、統括本部Uは、そのコールセンターCの処理能力が高いと判断して、翌日以降のフォーキャスト件数40cを増加させるか、現状のまま維持する。一方、評価42cが「0」等の低評価であった場合、翌日以降のフォーキャスト件数40cを減少させるか、現状のまま維持する。
【0036】
次に、この評価データ42を作成するための評価マトリクス45について、図8に従って説明する。評価マトリクス45は、評価値を、フォーキャスト達成度と、応答率とによって2次元的に示したマップである。
【0037】
フォーキャスト達成度は、各コールセンターCのフォーキャスト件数に対する達成度を示す値であって、統計サーバ30のCPU31が、以下の式1に従って算出した数値である。即ち、CPU31は、応答件数とフォーキャスト件数との差を、フォーキャスト件数で除算して、百分率でフォーキャスト達成度を示している。尚、Fpはフォーキャスト達成度、Nは応答件数、Fはフォーキャスト件数である。
【0038】
Fp={(N−F)/F}×100・・・(式1)
即ち、応答件数Nがフォーキャスト件数Fに近い程好ましいので、フォーキャスト達成
度Fpが「0」に近い値である程好ましい。また、応答件数Nが、フォーキャスト件数Fよりも大きければ(即ち、N>F)、フォーキャスト達成度Fpは正となり、応答件数Nが、フォーキャスト件数Fよりも小さければ(即ち、N<F)、フォーキャスト達成度Fpは負となる。そして、応答件数Nとフォーキャスト件数Fとの差が大きければ、フォーキャスト達成度Fpの絶対値が大きくなり、フォーキャスト件数Fからの乖離度が大きいことを示している。
【0039】
評価マトリクス45の縦軸は、このフォーキャスト達成度Fpであって、上から「フォーキャスト達成度<−5%」、「−5%≦フォーキャスト達成度≦0%」、「0%<フォーキャスト達成度≦5%」、「フォーキャスト達成度>5%」といった4つの区分に分けられている。
【0040】
また、評価マトリクスの横軸は、各コールセンターCへの着呼に対する応答率Rである。統計サーバ30のCPU31は、応答率Rを、式2によって算出する。尚、Rは応答率、Nは応答件数、NRは着信件数である。着信件数NRは、各センター管理サーバ11から取得する。
【0041】
R=(N/NR)×100・・・(式2)
即ち、CPU31は、コールセンターCが応答した応答件数Nを、該コールセンターCに対する全ての着信件数NRによって除算し、百分率(%)として算出する。
【0042】
評価マトリクス45の横軸は、応答率が「45%未満」、「45%以上、55%以下」、「55%未満」といった3つの区分に分けられている。その結果、評価マトリクス45は、フォーキャスト達成度Fpの4区分と応答率との3区分によって、「Case1」〜「Case12」までの12の区分に区画され、各区分には「0」〜「3」までの評価数値がそれぞれ格納されている。尚、本実施形態では、正の整数をマッピングしたが、負の整数を含むようにしてもよいし、整数でなくてもよく、記号やアルファベット等でもよい。また、評価マトリクス45は12の区分に区画するようにしたが、これ以外の数に区画するようにしてもよい。
【0043】
フォーキャスト達成度が低く、且つ応答率が低い領域の「Case1」及び「Case2」には、依頼したフォーキャスト件数が処理能力を超えているか、フォーキャスト件数は適切であるが、処理能力が多少不足しているとして、「0」及び「1」をそれぞれマッピングしている。
【0044】
フォーキャスト達成度が高く、且つ応答率も高い領域の「Case11」及び「Case12」では、応答率が高いことから顧客満足度を向上できるものの、設定したフォーキャスト件数が少なすぎるか又はオペレータ数が多く、統括本部Uのコスト増となる。従って、フォーキャスト件数の調整が必要であるとして、「1」及び「0」がそれぞれマッピングされている。
【0045】
さらに、フォーキャスト達成度が比較的高く、且つ応答率は比較的低い領域の「Case3」では、以下のような状況が想定される。即ち、フォーキャスト件数に反して着呼が多く、フォーキャスト件数を超えて電話応対を行っても、応答率がさほど上がらなかった場合である。従って「Case3」には、このような状況に的確に対応する処理能力があるとして、「2」がマッピングされている。
【0046】
フォーキャスト達成度が比較的低く、且つ応答率は比較的高い領域の「Case10」では、以下のような状況が想定される。即ち、フォーキャスト件数に反して着呼が少なく、応答率を比較的高い範囲に維持して顧客満足度に貢献したが、フォーキャスト達成度が
低い場合である。このため「Case10」には、「2」がマッピングされている。
【0047】
また、フォーキャスト達成度が比較的低く、且つ応答率が中程度である「Case5」では、以下のような状況が想定される。即ち、応答率を適正なレベルに維持したにも関わらず、統括本部Uが設定したフォーキャスト件数が多すぎた場合である。このため、「Case5」には「2」がマッピングされている。
【0048】
フォーキャスト達成度が比較的高く、且つ応答率が中程度である「Case8」では、フォーキャスト件数に反して、着呼が多かったにも関わらず、応答率を適正なレベルに維持したとして「2」がマッピングされている。
【0049】
さらに、フォーキャスト達成度が比較的低く、且つ応答率が比較的高い「Case9」では、以下のような状況が想定される。即ち、実際の着呼がフォーキャスト件数に反して少ないため、コールセンターCが自主的に、応答率を高いレベルに維持しながら、応答件数をフォーキャスト件数よりも少なくなるように調整し統括本部Uのコスト削減を図るような場合である。このため、「Case9」には「3」がマッピングされる。
【0050】
一方、フォーキャスト達成度Fpが高く、且つ応答率Rが低い「Case4」では、以下のような状況が想定される。即ち、実際の着呼がフォーキャスト件数に反して多いにも関わらず、コールセンターCが自主的に、応答件数Nを適切なレベルに維持して顧客満足度に貢献した場合である。このため、「Case4」には「3」がマッピングされる。
【0051】
フォーキャスト達成度Fp及び応答率Rが好ましい範囲である「Case6」及び「Case7」には、「2」がマッピングされる。
このように、評価マトリクス45では、フォーキャスト達成度と応答率とによって、評価数値をマッピングしているため、各コールセンターCの処理能力を評価するだけでなく、統括本部Uが設定したフォーキャスト件数と、実際の状況との間にずれが生じても、そのずれを考慮した評価を行うことができる。即ち、フォーキャスト達成度が過小又は過大であっても、応答率が適正な範囲であれば、フォーキャスト件数が誤っていたとして、評価を大きくすることができる。逆に、例えば「Case4」や「Case9」のように、フォーキャスト達成度と応答率とが相反するような場合にも、フォーキャスト件数が誤っていたとして、評価を大きくすることができる。
【0052】
従って、評価マトリクス45を用いることで、統括本部Uの予測の精度、コールセンターCの能力等に応じた評価を簡単に行うことができるため、毎日行う評価作業の効率を向上することができる。また、評価マトリクス45は、修正の必要が生じた場合には、各Caseの評価数値を修正するだけでよいため、簡単に修正することができる。
【0053】
統計サーバ30のCPU31は、コールセンターCの実績である応答件数を取得すると、この応答件数とフォーキャスト件数と着信件数とに基づき、フォーキャスト達成度及び応答率を算出する。また、上記評価マトリクス45を読み出して、算出したフォーキャスト達成度及び応答に該当する評価数値を取得して、評価データ42に格納する。統括本部Uの担当者が用いる担当者端末50は、キーボード等の入力装置Iの操作により、統計サーバ30の評価データ記憶部38から評価データ42を読み出す。担当者端末50は、評価データ42を表又はグラフ化してディスプレイDに表示する。又は、プリンタ(図示略)によって印刷する。
(処理手順)
以下、本実施形態の処理手順について、図9及び図10に従って説明する。図9は、センター管理サーバ11の処理手順のフローチャートである。
【0054】
まずセンター管理サーバ11は、電話応対業務の開始を待機する(ステップS1−1)。センター管理サーバ11が、コールセンターCの管理者の操作又は内蔵時計に基づき、電話応対業務を開始すると判断した場合には(ステップS1−1においてYES)、顧客電話機6からの着呼の有無を判断する(ステップS1−2)。
【0055】
着呼があった場合には(ステップS1−2においてYES)、待機中のオペレータにその着呼を割り当てる(ステップS1−3)。尚、「待機中」は、電話機15のログインボタンB1、保留ボタンB2、準備中ボタンB3のいずれもオン操作されていない場合を指す。具体的には、センター管理サーバ11は、各ボタンB1〜B3の操作の有無を、各オペレータに対応する上記待機判定フラグのオン/オフによって判断することができる。待機中のオペレータに対する割り当てを行う際、センター管理サーバ11は、PBX装置10に接続要求を出力して、顧客電話機6とオペレータの電話機15とを接続する。また、センター管理サーバ11は、オペレータ端末14に接続し、着信通知、顧客情報等の各種画面をディスプレイDに表示する。オペレータは、電話機15のログインボタンB1をオン操作し、電話応対を行う。ログインボタンB1がオン操作されると、待機判定フラグは「待機解除」となる。
【0056】
センター管理サーバ11は、待機判定フラグが「待機解除」に設定されると、着呼データ20Aを生成し、着呼データベース20に登録する(ステップS1−4)。そして、電話機15の接続状態が切断されるまで、着呼データ20Aを更新し続ける。例えば、オペレータ端末14が、顧客の問い合わせ内容を入力すると、その問い合わせ内容を示すデータをセンター管理サーバ11に送信する。センター管理サーバ11は、そのデータを着呼データ20Aの問い合わせ内容20fに格納する。
【0057】
センター管理サーバ11は、着呼データ20Aを登録すると、業務終了であるか否かを判断する(ステップS1−5)。即ち、管理者の電話受付終了を示す所定操作の有無を判断したり、センター管理サーバ11が内蔵時計により、業務終了の時刻になったか否かを判断する。業務終了でない場合には(ステップS1−5においてNO)、ステップS2に戻り、着呼の有無を判断する。
【0058】
一方、業務終了であると判断すると(ステップS1−5においてYES)、センター管理サーバ11は、着呼データ20Aに基づき実績データ21Aを生成する(ステップS1−6)。具体的には、着呼データ20Aを集計して、応答件数21cを算出する。そして、応答件数21cに、コールセンターID21aと日時21bとを付与して、実績データ21Aとする。さらに、センター管理サーバ11は、実績データ21Aを、統計サーバ30に送信する(ステップS1−7)。
【0059】
次に、統計サーバ30の処理手順について、図10に従って説明する。統計サーバ30は、各コールセンターCの業務終了後であって、予め定められた時刻に、各コールセンターCから収集した実績データ21Aに基づき、ROM33に格納された評価プログラムに従って評価を行う。
【0060】
まず、統計サーバ30のCPU31は、各センター管理サーバ11の実績データ21Aを、実績データ記憶部37から読み出して取得する(ステップS2−1)。また、統計サーバ30は、取得した実績データ21Aに基づき、フォーキャスト達成度を算出する(ステップS2−2)。即ち、フォーキャストデータ40のフォーキャスト件数40cと、実績データ21Aに含まれる応答件数21cに基づき、上記した式1に従って、フォーキャスト達成度を算出する。
【0061】
各コールセンターCのフォーキャスト達成度を算出すると、統計サーバ30のCPU3
1は、実績データ21Aに含まれる着信件数21d及び応答件数21cに基づいて応答率を算出する(ステップS2−3)。
【0062】
さらに、統計サーバ30のCPU31は、算出したフォーキャスト達成度及び応答率と、評価マトリクス45とに基づき、各コールセンターCに対する評価を行う(ステップS2−4)。即ち、評価マトリクス45のうち、算出したフォーキャスト達成度と応答率に該当する数値を評価マトリクス45から読み出す。例えば、フォーキャスト達成度が「−5%以上、0%以下」であって、応答率Rが45〜55%に含まれる場合、その領域に該当する「2」をそのコールセンターCの評価として取得する。
【0063】
評価数値を取得すると、統計サーバ30のCPU31は、評価データ42を生成し(ステップS2−5)、評価データ記憶部38に記憶する。
統括本部Uの担当者は、統計サーバ30によって、その日の評価データ42が生成された後、担当者端末50を用いて、統計サーバ30から評価データ42を取得する。担当者端末50は、取得した評価データ42を表又はグラフ化してディスプレイDに表示するか、或いはプリンタ(図示略)に出力する。担当者は、ディスプレイDに表示された画面又はプリンタによって出力された評価表に基づき、翌日以降のフォーキャスト件数を決定する。即ち、評価が高いコールセンターCに対しては、フォーキャスト件数を比較的高く設定し、評価が低いコールセンターCのフォーキャスト件数を見直す。
【0064】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、統計サーバ30は、各コールセンターCのフォーキャスト件数を記憶するフォーキャスト記憶部36と、フォーキャスト件数に対する達成度と、応答率とに応じた評価値を表にした評価マトリクス45を記憶したROM33を備えるようにした。また、CPU31は、コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づき応答率を算出するとともに、フォーキャスト達成度と応答率とに基づき、評価マトリクスを用いてコールセンターCの単位期間中の評価を行うようにした。このため、コールセンターの実績を簡単に評価することができるので、評価対象の期間が短い際には特に効果を発揮できる。また、評価マトリクス45は、フォーキャスト達成度と応答率とに応じた評価値を関連付けたものであるため、応答件数がフォーキャスト件数に近い件数であり、顧客満足度に貢献したコールセンターCを高く評価することができる。
【0065】
(2)上記実施形態では、応答件数からフォーキャスト件数を減算した件数を、フォーキャスト件数で除算することにより、フォーキャスト達成度を算出した。このため、フォーキャスト件数に対する実績の偏りを評価することができる。
【0066】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・統計サーバ30が記憶するフォーキャストデータ、実績データ、評価データは一つのデータ(ファイル)に格納してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、統計サーバ30が応答率を算出するようにしたが、センター管理サーバ11が算出し、統計サーバ30に送信するようにしてもよい。
・統計サーバ30は、コールセンターC内に設置するようにしてもよい。
【0068】
・センター管理サーバ11と、統計サーバ30を一つのサーバにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】コールセンターと統括本部Uとの間で行われる業務のフローを示す説明図。
【図2】コールセンターシステムの概略を示す概略図。
【図3】着呼データベースの説明図。
【図4】実績データベースの説明図。
【図5】統計サーバのブロック図。
【図6】フォーキャストデータの説明図。
【図7】評価データの説明図。
【図8】評価マトリクスの説明図。
【図9】センター管理サーバの処理手順を示すフローチャート。
【図10】統計サーバの処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
1…コールセンター評価システムとしてのコールセンターシステム、21c…応答件数、21d…着信件数、30…コールセンター評価システムとしての統計サーバ、31…応答率取得手段、評価判定手段、達成度算出手段、コンピュータとしてのCPU、32…コンピュータを構成するRAM、33…マトリクス記憶手段、記憶媒体としてのROM、40…予定件数記憶手段としてのフォーキャスト記憶部、45…評価マトリクス、C…コールセンター、F…電話応対予定件数としてのフォーキャスト件数、Fp…フォーキャスト達成度、N…応答件数、NR…着信件数、R…応答率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールセンターを評価するためのコールセンター評価システムにおいて、
コールセンターの電話応対予定件数を記憶する予定件数記憶手段と、
前記電話応対予定件数に対する達成度と、コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた評価マトリクスを記憶するマトリクス記憶手段と、
評価対象のコールセンターの前記応答率を取得する応答率取得手段と、
前記電話応対予定件数に対する達成度と前記応答率とに基づき、前記評価マトリクスを用いて前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行う評価判定手段と
を備えたことを特徴とするコールセンター評価システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコールセンター評価システムにおいて、
前記応答件数と前記電話応対予定件数との差分を、該電話応対予定件数で除算して、該電話応対予定件数に対する達成度を算出する達成度算出手段をさらに備えたことを特徴とするコールセンター評価システム。
【請求項3】
コールセンターの電話応対予定件数を記憶する予定件数記憶手段と、コールセンターを評価するための評価マトリクスを記憶したマトリクス記憶手段と、コンピュータとを用いて評価を行うコールセンター評価方法であって、
前記コンピュータが、
コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率を取得し、
前記電話応対予定件数に対する達成度と、前記応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた前記評価マトリクスを用いて、評価対象のコールセンターの前記達成度及び前記応答率に基づき、前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行うことを特徴とするコールセンター評価方法。
【請求項4】
コールセンターの電話応対予定件数を記憶する予定件数記憶手段と、コールセンターを評価するための評価マトリクスを記憶したマトリクス記憶手段と、コンピュータとを用いてコールセンターの評価を行うコールセンター評価プログラムであって、
前記コンピュータを、
コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率を取得する応答率取得手段と、
前記電話応対予定件数に対する達成度と、前記応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とが関連付けられた前記評価マトリクスを用いて、評価対象のコールセンターの前記達成度及び前記応答率に基づき、前記コールセンターの前記単位期間中の評価を行う評価判定手段として機能させることを特徴とするコールセンター評価プログラム。
【請求項5】
コールセンターを評価するための評価マトリクスを記憶した記憶媒体であって、
コールセンターの電話応対予定件数に対する達成度と、該コールセンターの単位期間あたりの着信件数及び応答件数に基づく応答率と、該達成度及び該応答率に応じた評価値とを関連付けた前記評価マトリクスを記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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