説明

ゴミの空気輸送設備

【目的】 ゴミ貯留排出装置自体の排出能力を変更せずにそれぞれの建物内に位置する大径の輸送管に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置を同時に稼動させても輸送管がゴミで閉塞されず、ゴミの空気輸送設備の収集能力を大幅に向上させ、収集時間の短縮化と運転費の軽減を図ること。
【構成】 ゴミの空気輸送設備における各建物内に位置する輸送管7に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置21はその投入シュート23或いは排出シュート25の少なくともいずれか一方に破砕機27を設けるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴミの空気輸送設備のゴミ貯留排出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は従来のゴミの空気輸送設備の概略を示す系統図である。図において、1は回転ドラム式のゴミ貯留排出装置で、それぞれの建物内に複数設けられたゴミ投入口2に設けられた投入シュート3と、投入シュート3に接続され、図示しない駆動源によって回転させられて一旦貯留したゴミを排出する回転ドラム4と、回転ドラム4から排出されたゴミを受け取る排出シュート5と、排出シュート5と輸送支管7aとの連結部分に設けられた排出弁6とから構成されている。このゴミ貯留排出装置1の排出弁6は輸送支管7aを介して例えば300mm〜600mmの大径の輸送管7と連通している。輸送管7の上流側には吸気弁8が設けられており、輸送管7の下流側は切替装置9を介して収集センタ10に接続されている。収集センタ10は輸送管7内に空気流をつくるブロワ11と、ゴミと空気とを分離する分離機12と、分離機12で分離されない微細なダストをゴミから分離する集塵機13と、ブロワ11の騒音を防止する消音器14と、ゴミと共に輸送されてきた空気の脱臭を行う脱臭装置15と、脱臭された空気を大気に逃がす排気ダクト16と、分離機12で分離されたゴミを貯留排出するゴミ排出装置17と、集塵機13で分離されたタストをゴミ排出装置17に搬送する搬送装置18とから構成されている。19はゴミの空気輸送設備の制御装置である。
【0003】従来のゴミの空気輸送設備は上記のように構成され、例えば、それぞれの建物内に複数設けられたゴミ投入口2に投入されたゴミは収集時間がくるまで各ゴミ投入口2に設けられたゴミ貯留排出装置1に1時貯留される。各ゴミ貯留排出装置1に貯留されたゴミは収集時間になると、収集センタ10のブロワ11が起動し、切替装置9によって収集しようとする建物内に位置する輸送管7の上流側に設けられている吸気弁8を開き、その輸送管7内に空気流が作られる。次に、その輸送管7の上流側に設けられているゴミ貯留排出装置1の回転ドラム4を回転させると共に排出弁6を開く。そうすると、回転ドラム4に貯留されているゴミは排出シュート5に排出され、排出弁6及び輸送支管7aを通って輸送管7に供給され、収集センタ10の分離機12まで運ばれる。そして、その建物における最初のゴミ貯留排出装置1のゴミの排出が終れば、順次次のゴミ貯留排出装置1のゴミの排出を行い、その建物のゴミの排出が終れば、切替装置9によって次の建物の輸送管7内に空気流を作り、次の建物のゴミの排出について輸送管7の上流側のゴミ貯留排出装置1によりゴミの排出を順次行っていく。
【0004】分離機12ではゴミと空気とを分離し、ゴミはゴミ排出装置17に送られ、ゴミ排出装置17からは例えばコンテナ輸送方式によってゴミ焼却場20等に輸送される。なお、分離機12で分離されない微細なダストは集塵機13で分離され、搬送装置18により分離機12の下部に送られる。一方、集塵機13を出た空気は消音器14、脱臭装置15、排出ダスト16を経て大気に放出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のゴミの空気輸送設備はゴミ投入口2に投入されたゴミをゴミ貯留排出装置1の回転ドラム4で一旦貯留し、収集時間がきたときに回転ドラム4を回転させて排出シュート5に排出し、排出弁6及び輸送支管7aを介して空気流が作られた大径の輸送管7に供給して収集センタ10に運ばれるようにしており、大きなゴミがゴミ投入口2に投入された場合には2台以上のゴミ貯留排出装置1を同時に稼動させて同時に輸送管7にゴミを排出させると、輸送管7と他の輸送支管7aとの合流部7bでゴミによって輸送管7が閉塞されてしまうという問題点があった。
【0006】かかる問題点を解決するために、ゴミの空気輸送設備の収集能力を大きくすることが考えられる。しかし、その収集能力は収集センタ10の収集能力(即ち、一般にはブロワ11の吸引圧力)、輸送管7の輸送能力及びゴミ貯留排出装置1の排出能力により決定され、通常はゴミ貯留排出装置1の排出能力によって収集能力が決定されそれによって制限されるため、収集能力=排出能力となり、そのゴミ貯留排出装置1の排出能力は最大でも2〜3m3 /min で、これ以上排出能力を高めて収集能力を大きくすることは不可能であった。また、今以上にゴミ貯留排出装置1の排出能力を大きくすると、ごみの排出量の変動が大きくなって輸送管7内の圧力も大きく変動するため、ブロワ11の吸引力が結果的に小さくなって、輸送管7がゴミで閉塞され、ゴミの搬送を安定させて行うことができず、また、圧力変動に対処するために容量が大き目のブロワ11を使用すると電気代等の運転費が嵩むという新たな問題が生じていた。
【0007】本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、ゴミ貯留排出装置自体の排出能力を変更せずにそれぞれの建物内に位置して同一の吸気弁を使用する大径の輸送管に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置を同時に稼動させても、輸送管がゴミで閉塞されずにゴミの搬送を安定させて行うことができるゴミの空気輸送設備を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るゴミの空気輸送設備はそれぞれの建物内に位置して同一の吸気弁を使用する輸送管に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置が、ゴミ投入口に設けられた投入シュートと、ゴミ投入口から投入されたゴミを投入シュートを介して受け入れ、貯留排出する回転ドラムと、回転ドラムから排出されたゴミを受け取る排出シュートと、排出シュートと輸送管との間に設けられた排出弁と、投入シュート或いは排出シュートの少なくともいずれか一方に設けられた破砕機とを備えてなるようにしたものである。
【0009】
【作用】本発明においては、ゴミの空気輸送設備におけるそれぞれの建物内に位置して同一の吸気弁を使用する輸送管に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置はその投入シュート或いは排出シュートの少なくともいずれか一方に破砕機を設けるようにしたから、大きなゴミがゴミ投入口に投入されてもゴミ貯留排出装置から排出されて輸送管に供給されるゴミは破砕機により破砕されて形状が小さくなる。従って、各建物内に位置する輸送管に接続された2台以上の破砕機を有するゴミ貯留排出装置を同時に稼動させても輸送管と他の輸送支管との合流部でゴミによって輸送管が閉塞されことはなくなり、2台以上のゴミ貯留排出装置から同時に輸送管に対してゴミを排出することができるため、ゴミ貯留排出装置の排出能力は従来と同じでも収集能力を2〜5倍に大きくできることとなった。
【0010】
【実施例】図1は本発明の一実施例の要部を示す系統図である。図において、1は輸送管7上の下流に配置された従来例と同様な構成のゴミ貯留排出装置、7はある建物内に位置する輸送管、8は輸送管7の上流側に設けられた吸気弁、21は輸送管7上の上流側に配置された従来例と異なる構成のゴミ貯留排出装置である。このゴミ貯留排出装置21はゴミ投入口2に設けられた投入シュート23と、ゴミを投入シュート23を介して受け入れる回転ドラム24と、回転ドラム24から排出されたゴミを受け取る排出シュート25と、排出シュート25と輸送管7との連結部に設けられた排出弁26と、投入シュート23の途中に設けられた破砕機27とから構成されている。
【0011】上記のように構成されたゴミの空気輸送設備においては、それぞれの建物内に設けられたゴミ投入口2に投入されたゴミは収集時間がくるまで各ゴミ投入口2に設けられたゴミ貯留排出装置1,21に1時貯留される。このとき、輸送管7の上流側の2つのゴミ貯留排出装置21に貯留されるようにゴミ投入口2に投入されたゴミが大きなゴミのときには投入シュート23に設けられた破砕機27で破砕されて10cm角程度の小さなゴミとなる。各ゴミ貯留排出装置1,21に貯留されたゴミは収集時間になると、収集センタのブロワを起動し、輸送管7の上流側に設けられている吸気弁8を開いて輸送管7内に空気流が作られる。次に、輸送管7の上流側に設けられている2つのゴミ貯留排出装置21の各回転ドラム24を同時に回転させると共に各排出弁26を開く。そうすると、各回転ドラム24に貯留されている10cm角程度の小さなゴミは各排出シュート25に排出され、排出弁26を通って輸送管7に同時に供給され、輸送管7がゴミで閉塞されることなく、収集センタまで運ばれる。そして、2台のゴミ貯留排出装置21のゴミの排出が終れば、順次、輸送管7の下流側に設けられているゴミ貯留排出装置1によりゴミの排出を行っていく。
【0012】このように、各建物内に位置する輸送管7に接続された例えば2台のゴミ貯留排出装置21が投入シュート23の途中に破砕機27が設けられて形成され、投入シュート23にゴミ投入口2より受け入れた大きなゴミをその破砕機27によって例えば10cm角の小さなゴミとなるようにしたので、これらゴミ貯留排出装置21を同時に稼動しても、輸送管7がゴミで閉塞されることなく、輸送管7に同時にゴミを排出することが可能となり、ゴミ貯留排出装置21のゴミ収集時間当りの排出能力は従来と同じでも収集能力は2倍に向上した。また、破砕機27を有するゴミ貯留排出装置21が3台となれば収集能力は3倍となる。
【0013】また、ゴミ貯留排出装置21の1台当りの排出能力を小さくし、数台のゴミ貯留排出装置21から同時にゴミを輸送管7に排出するようにしても、ゴミの収集能力は変化せず、輸送管7がゴミで閉塞されることなくゴミの排出を安定させて行うことができる。
【0014】例えば、輸送管7が500mmの大径管とした場合の収集ゴミ量が30t/日のゴミの空気輸送設備において、2台のゴミ貯留排出装置21で同時にゴミを排出するようにしたことにより、収集時間を5時間から3時間に短縮できた。また、電力消費量も約250,000kWh /年削減された。
【0015】また、それぞれの建物内に設けられている輸送管に対応させて1つの収集センタを設けて1系統となし、例えば4系統からなるゴミの空気輸送設備を必要としていた場合に、破砕機27を有するゴミ貯留排出装置21を用いて収集能力を向上させることにより、2つの建物にそれぞれ設けられている2つの輸送管に対して1つの収集センタを設けて1系統となし、全体として2系統からなるゴミの空気輸送設備とすることで足り、設備費、運転費及びスペースの削除を可能にすることもできる。
【0016】なお、この実施例のゴミ貯留排出装置21は投入シュート23に破砕機27を設けているが、排出シュート25に破砕機27を設けるようにしても同様の作用・効果を有することは勿論である。
【0017】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、ゴミの空気輸送設備におけるそれぞれの建物内に位置して同一の吸気弁を使用する輸送管に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置は、その投入シュート或いは排出シュートの少なくともいずれか一方に破砕機を設け、これらゴミ貯留排出装置から排出されて輸送管に落されるゴミの形状が小さくなるようにしたので、建物の各階に位置する輸送管上に配置された少なくとも2台以上の破砕機を有するゴミ貯留排出装置を同時に稼動させても輸送管の他の輸送支管との合流部で輸送管がゴミによって閉塞されることはなくなり、ゴミの収集を安定させて行うことができ、更に各ゴミ貯留排出装置の排出能力は同じであってもゴミの空気輸送設備における収集能力を2〜5倍に向上させ、収集時間の短縮及び電気代等の運転費の軽減が図れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部を示す系統図である。
【図2】従来のゴミの空気輸送設備の概略を示す系統図である。
【符号の説明】
1 ゴミ貯留排出装置
2 ゴミ投入口
7 輸送管
21 ゴミ貯留排出装置
23 投入シュート
24 回転ドラム
25 排出シュート
26 排出弁
27 破砕機

【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれの建物内に設けられた複数のゴミ投入口から投入されたゴミを各ゴミ投入口に設けられたゴミ貯留排出装置を介して内部に空気流が作られた大径の輸送管により収集センタに収集するようにしたゴミの空気輸送設備において、各建物内に位置して同一の吸気弁を使用する輸送管に接続された少なくとも2台以上のゴミ貯留排出装置はゴミ投入口に設けられた投入シュートと、ゴミ投入口から投入されたゴミを投入シュートを介して受け入れ、貯留排出する回転ドラムと、回転ドラムから排出されたゴミを受け取る排出シュートと、排出シュートと輸送管との間に設けられた排出弁と、投入シュート或いは排出シュートの少なくともいずれか一方に設けられた破砕機とを備えてなることを特徴とするゴミの空気輸送設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−132107
【公開日】平成5年(1993)5月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−296761
【出願日】平成3年(1991)11月13日
【出願人】(000004123)日本鋼管株式会社 (1,044)