説明

ゴミ取り装置

【課題】回転体を移動させてしまっても、当該回転体に対する粘着ローラの押圧力の調整を容易に行うことができるゴミ取り装置を提供する。
【解決手段】ゴム胴203を支持する偏心軸受205に設けられてゴム胴203の移動と共に移動するカム241と、支持フレーム234に設けられてゴム胴203に対する粘着ローラ230の対接に伴ってカム241のカム面241aに当接するカムフォロア242と、ゴム胴203に対して粘着ローラ230を対接離反移動させるようにブラケット232等を移動させると共にゴム胴203に対する粘着ローラ230の対接に伴ってカムフォロア242をカム241のカム面241aに対して弾性的に押し付けるように係合させるエアシリンダ240等と、支持フレーム234に設けられてゴム胴203に対する粘着ローラ230の押圧力を調整する偏心軸受244等とを備えるゴミ取り装置200とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されているシート又はウエブに付着しているゴミを除去するゴミ取り装置に関し、特に、印刷機の印刷ユニットに給紙される枚葉紙やウエブに付着している紙粉や裏移り防止用のパウダ等のゴミを取り除く場合に適用すると有効である。
【背景技術】
【0002】
印刷機の印刷ユニットに給紙される枚葉紙に付着している紙粉や裏移り防止用のパウダ等のゴミを取り除くゴミ取り装置としては、例えば、下記特許文献1等に記載されているように、印刷機の枚葉紙流通方向最上流側に位置する印刷ユニットのゴム胴のブランケット面に湿し水のみを供給することにより、当該ゴム胴の当該ブランケット面に上記ゴミを付着させて、粘着ローラで粘着性の表面に転移させて除去するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平07−037871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1等に記載されているゴミ取り装置においては、中央部分を揺動可能に支持されて先端側で粘着ローラを支持するレバーの基端側を調整ナット及び圧縮コイルばねで挟んで保持することにより、粘着ローラをゴム胴に接触させるようにしているため、枚葉紙の厚さや質等の特性の変更に対応して、枚葉紙に対するゴム胴の押圧力を変更するように当該ゴム胴を移動させると、当該ゴム胴に対する粘着ローラの押圧力も変化してしまうことから、当該ゴム胴の移動量によっては前記圧縮コイルばねを変更する必要を生じてしまい、ゴム胴に対する粘着ローラの押圧力の調整を容易に行うことができなかった。
【0005】
このような問題は、枚葉紙に印刷を施す枚葉印刷機に限らず、ウエブに印刷を施すウエブ印刷機はもちろんのこと、搬送されているシート又はウエブに付着しているゴミを回転体に付着させて当該回転体から粘着ローラにゴミを転移させて取り除くゴミ取り装置であれば、前述した場合と同様にして生じ得ることである。
【0006】
このようなことから、本発明は、回転体を移動させてしまっても、当該回転体に対する粘着ローラの押圧力の調整を容易に行うことができるゴミ取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、本発明に係るゴミ取り装置は、搬送されているシート又はウエブに付着しているゴミを付着させるように当該シート又は当該ウエブに接触する回転体と、外周面に粘着性を有して前記回転体に付着している前記ゴミを転移させるように当該回転体に対接する粘着ローラとを備えているゴミ取り装置において、前記シート又は前記ウエブに対して前記回転体を接触離反方向へ移動できるように当該回転体を支持する回転体支持手段と、前記回転体に対して前記粘着ローラを対接離反方向へ移動できるように当該粘着ローラを支持する粘着ローラ支持手段と、前記回転体支持手段に設けられて前記回転体の移動と共に移動する係合部材と、前記粘着ローラ支持手段に設けられて前記回転体に対する前記粘着ローラの対接に伴って前記係合部材に係合する被係合部材と、前記回転体に対して前記粘着ローラを対接離反方向へ移動させるように前記粘着ローラ支持手段を移動させると共に当該回転体に対する当該粘着ローラの対接に伴って前記被係合部材を前記係合部材に対して弾性的に押し付けるように係合させる粘着ローラ押圧手段と、前記粘着ローラ支持手段に設けられて前記回転体に対する前記粘着ローラの押圧力を調整する粘着ローラ押圧力調整手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るゴミ取り装置は、上述したゴミ取り装置において、前記粘着ローラ押圧力調整手段が、前記粘着ローラ支持手段に回動可能に設けられて前記粘着ローラを回転可能に支持する偏心軸受と、前記偏心軸受を回動させる偏心軸受回動手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るゴミ取り装置は、上述したゴミ取り装置において、前記偏心軸受回動手段が、前記偏心軸受に一端側を連結されたアームと、前記偏心軸受の軸方向へ軸心を向けるようにして前記アームの他端側に回動可能に支持されてねじ穴を形成された係合ピンと、前記粘着ローラ支持手段に対して回転可能に支持されて前記係合ピンの前記ねじ穴に螺合する調整ねじと、基端側に把持可能な把持部を有して前記調整ねじの頭部と着脱可能に係合する係合部を先端に有すると共に、装置の外部で前記把持部を把持して当該装置の外部から前記調整ねじの前記頭部に前記係合部を係合させて当該装置の外部から当該調整ねじの回転を可能とする長さを有する操作工具とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るゴミ取り装置は、上述したゴミ取り装置において、前記係合部材が、カムであり、前記被係合部材が、前記回転体に対する前記粘着ローラの対接に伴って前記カムのカム面に当接するカムフォロアであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るゴミ取り装置は、上述したゴミ取り装置において、前記粘着ローラを前記回転体に対して対接させているときに、当該回転体の移動に伴って当該粘着ローラを当該回転体の外周面に一定の押圧力で対接させたまま当該回転体の移動に追従させて移動させるように、前記カムが前記カム面で前記カムフォロアを移動させるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るゴミ取り装置によれば、粘着ローラ押圧力調整手段により回転体の外周面に対する粘着ローラの押圧力を容易に調整することができ、さらに、回転体支持手段で当該回転体を移動させると、当該回転体の移動に伴って係合部材も移動し、被係合部材が粘着ローラ移動手段の弾性的な付勢力(押し付け力)に抗しつつ係合部材と共に移動することにより、粘着ローラが当該回転体の外周面に一定の押圧力で対接したまま当該回転体の移動に追従するように移動するので、当該回転体の移動によらず、調整された押圧力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るゴミ取り装置を適用した枚葉印刷機の主な実施形態の全体概略構成図である。
【図2】図1のゴミ取り装置の要部の抽出拡大図である。
【図3】図1のゴミ取り装置の他の要部の抽出拡大図である。
【図4】図2の矢線IV方向からみた一部破断図である。
【図5】図2のゴミ取り装置の操作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るゴミ取り装置の実施形態を図面に基づいて以下に説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0015】
[主な実施形態]
本発明に係るゴミ取り装置を枚葉印刷機に適用した場合の主な実施形態を図1〜4に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、給紙装置100には、給紙台101上に積載されたシートである枚葉紙1を一枚ずつ送り出すフィーダボード102の基端側が連絡している。このフィーダボード102の先端側には、フィーダボード102上の枚葉紙1を渡胴201に一枚ずつ受け渡すスイング装置103が配設されている。
【0017】
前記渡胴201には、ゴミ取り装置200の圧胴202が対接している。この圧胴202には、回転体であるゴム胴203が対接している。前記圧胴202の前記ゴム胴203との対接位置よりも当該圧胴202の回転方向下流側には、渡胴301が対接している。この渡胴301には、第一印刷ユニット300の圧胴302が対接している。この圧胴302には、ゴム胴303が対接している。このゴム胴303には、版胴304が対接している。この版胴304の近傍には、当該版胴304へ第一のインキを供給する第一のインキ供給装置(図示省略)及び当該版胴304へ湿し水を供給する給水装置(図示省略)がそれぞれ配設されている。
【0018】
前記圧胴302の前記ゴム胴303との対接位置よりも当該圧胴302の回転方向下流側には、渡胴401が対接している。この渡胴401には、第二印刷ユニット400の圧胴402が対接している。この圧胴402には、ゴム胴403が対接している。このゴム胴403には、版胴404が対接している。この版胴404の近傍には、当該版胴404へ第二のインキを供給する第二のインキ供給装置(図示省略)及び当該版胴404へ湿し水を供給する給水装置(図示省略)がそれぞれ配設されている。
【0019】
前記圧胴402の前記ゴム胴403との対接位置よりも当該圧胴402の回転方向下流側には、渡胴501が対接している。この渡胴501には、第三印刷ユニット500の圧胴502が対接している。この圧胴502には、ゴム胴503が対接している。このゴム胴503には、版胴504が対接している。この版胴504の近傍には、当該版胴504へ第三のインキを供給する第三のインキ供給装置(図示省略)及び当該版胴504へ湿し水を供給する給水装置(図示省略)がそれぞれ配設されている。
【0020】
前記圧胴502の前記ゴム胴503との対接位置よりも当該圧胴502の回転方向下流側には、渡胴601が対接している。この渡胴601には、第四印刷ユニット600の圧胴602が対接している。この圧胴602には、ゴム胴603が対接している。このゴム胴603には、版胴604が対接している。この版胴604の近傍には、当該版胴604へ第四のインキを供給する第四のインキ供給装置(図示省略)及び当該版胴604へ湿し水を供給する給水装置(図示省略)がそれぞれ配設されている。
【0021】
前記圧胴602の前記ゴム胴603との対接位置よりも当該圧胴602の回転方向下流側には、排紙装置700の排紙胴701が対接している。この排紙胴701には、スプロケット(図示省略)が同軸上に設けられている。このスプロケットには、くわえ爪を有するくわえ竿(図示省略)を所定の間隔で複数取り付けられたエンドレス型の排紙チェーン704が掛けられている。この排紙チェーン704は、スプロケット703に掛け渡されている。上記排紙チェーン704の下方には、排紙台705が複数配設されている。
【0022】
そして、図2〜4に示すように、前記ゴミ取り装置200の前記ゴム胴203は、軸受204を介して偏心軸受205に回転可能に支持されている。前記偏心軸受205は、印刷機のフレーム10に対して回動可能に支持されている。前記偏心軸受205には、アーム205aが突設されている。前記偏心軸受205の前記アーム205aの先端側には、リンクプレート206の一端側がピン結合されている。
【0023】
前記リンクプレート206の他端側には、L字型をなすレバー207の一端側がピン結合されており、当該レバー207は、L字状の曲折部分が、印刷機のフレームに支持された支持軸208に回動可能に支持されている。前記レバー207の他端側には、ロッド209aを軸方向に沿って移動させるステッピングモータ209の当該ロッド209aの先端側が回動可能に連結されている。前記ステッピングモータ209の基端側は、印刷機のフレーム10に支持されている。
【0024】
つまり、前記ステッピングモータ209を作動させて前記ロッド209aを軸方向に移動させると、前記レバー207が揺動して、前記リンクプレート206を介して前記偏心軸受205の前記アーム205aが揺動することにより、当該偏心軸受205が回動して、前記圧胴202の外周面に対して前記ゴム胴203を対接離反させることができるようになっているのである。
【0025】
図2,4に示すように、前記ゴム胴203の外周面の近傍には、前記フレーム10に対して回動可能に支持された回動軸231が配設されている。この回動軸231には、略L字型をなす一対のブラケット232の一端側がそれぞれ固定支持されている。対をなす前記ブラケット232の対向面側には、前記ゴム胴203の径方向に沿って長手方向を向けた切欠き溝232aが形成されている。
【0026】
前記ブラケット232の近傍には、前記ゴム胴203の軸方向へ長手方向を向けた支持ステー233の両端に連結されている支持フレーム234が配設されている。前記支持フレーム234の前記ブラケット232との対面側には、当該ブラケット232の前記切欠き溝232a内に係合する係合ローラ235及び係合バー236が支持部材235a,236aを介してそれぞれ取り付けられており、当該支持フレーム234は、当該ブラケット232に対して、当該係合ローラ235及び当該係合バー236を介して当該切欠き溝232aの長手方向に沿ってスライド移動できるように支承されている。
【0027】
対をなす前記支持フレーム234の先端側(前記ゴム胴203側の端部側)には、本発明に係る偏心軸受244が対をなすようにしてそれぞれ回動可能に支持されている。前記偏心軸受244には、前記ゴム胴203の軸方向へ軸方向を向けるように配向されて外周面に粘着性を有する粘着ローラ230の軸端が軸受245を介してそれぞれ回転可能に支持されている。
【0028】
前記支持フレーム234の前記ブラケット232との対向面側の前記偏心軸受244の近傍には、径方向へ貫通する貫通穴246aを先端側に形成された支持ピン246の基端側が当該先端側を突出させるようにして回動可能に取り付けられている。前記支持ピン246の前記貫通穴246aには、調整ねじ247の円筒部が周方向に回動可能となるように差し込まれている。前記調整ねじ247の円筒部には、前記支持ピン246の前記貫通穴246aに対する当該調整ねじ247の軸方向への移動を規制する抜け止め247aが取り付けられている。
【0029】
前記偏心軸受244には、アーム248の一端側が連結されている。前記アーム248の他端側には、軸方向を径方向に向けたねじ穴249aを形成された円柱型の係合ピン249が前記偏心軸受244の軸方向へ軸心を向けるようにして、言い換えれば、前記偏心軸受244の軸方向と直交する方向へ前記ねじ穴249aの軸方向を向けるようにして回動可能に支持されている。前記係合ピン249の前記ねじ穴249aには、前記調整ねじ247のねじ部が螺合している。
【0030】
つまり、前記調整ねじ247を回転させると、当該調整ねじ247のねじ部に沿って前記係合ピン249が移動し、当該係合ピン249の移動に伴って、前記アーム248が揺動して、前記偏心軸受244が回動することにより、前記支持フレーム234に対して前記粘着ローラ230を移動させることができるようになっているのである。なお、図2中、20は、ゴミ取り装置200に開閉可能に設けられたカバーである。
【0031】
前記支持フレーム234の基端側には、前記粘着ローラ230の軸方向へ軸方向を向けた止めピン237が当該支持フレーム234に対して軸方向で摺動移動できるように貫通支持されている。前記ブラケット232の基端側には、前記止めピン237の先端側と着脱可能に嵌合する嵌合穴232bが形成されている。前記支持フレーム234と前記止めピン237との間には、当該支持フレーム234に対して当該止めピン237の先端側を突出させる方向へ付勢する圧縮コイルばね238が設けられている。
【0032】
つまり、前記ブラケット232の前記切欠き溝232aに前記係合ローラ235及び前記係合バー236を載せるように前記支持フレーム234を配設して、当該ブラケット232の当該切欠き溝232aの先端側の端部にまで当該係合ローラ235を当接させるように当該支持フレーム234を当該切欠き溝232aに沿ってスライド移動させることにより、当該ブラケット232に対して、当該支持フレーム234、すなわち、前記粘着ローラ230を規定の位置に位置決めすることができ、当該ブラケット232の前記嵌合穴232b内に前記止めピン237を嵌合させることにより、当該ブラケット232に対して、当該支持フレーム234、すなわち、前記粘着ローラ230を規定の位置に固定することができる一方、前記圧縮コイルばね238の付勢力に抗して前記止めピン237を前記ブラケット232の前記嵌合穴232bから引き抜いて、当該ブラケット232から前記支持フレーム234を離反させるように前記係合ローラ235及び前記係合バー236を当該ブラケット232の前記切欠き溝232a上で移動させることにより、当該ブラケット232に対して前記粘着ローラ230を前記支持フレーム234等と共に取り外すことができるようになっているのである。
【0033】
前記回動軸231には、レバー239の一端側が連結固定されている。前記レバー239の他端側には、エアシリンダ240の先端側がピン結合されている。前記エアシリンダ240の基端側は、前記フレーム10に対して支持されている。
【0034】
つまり、前記エアシリンダ240を伸縮させると、前記レバー239を介して前記回動軸231が回動して、前記ブラケット232が揺動し、前記支持フレーム234を介して前記粘着ローラ230を前記ゴム胴203の外周面に対して対接離反させることができるようになっているのである。
【0035】
また、前記偏心軸受205には、前記回動軸231側へカム面241aを向けた係合部材であるカム241が取り付けられている。前記ブラケット232の曲折部分には、支持プレート243の基端側が先端側を当該ブラケット232から突出させるようにして固定されている。前記支持プレート243の先端側には、前記カム241の前記カム面241aと当接可能な被係合部材であるカムフォロア242が取り付けられている。
【0036】
なお、図5中、符号30は、軸部31の基端側に把持可能な把持部32を有して前記調整ねじ247の頭部と着脱可能に係合する係合部33を軸部31の先端に有すると共に、ゴミ取り装置200の外部で前記把持部32を把持して当該装置200の外部から前記調整ねじ247の前記頭部に前記係合部33を係合させて当該装置200の外部から当該調整ねじ247の回転を可能とする長さを有する操作工具である。
【0037】
つまり、前記エアシリンダ240の作動による前記ゴム胴203の外周面への前記粘着ローラ230の対接に伴って、前記カムフォロア242が前記カム241の前記カム面241aに弾性的に押し付けられるように当接することにより、前記粘着ローラ230が上記エアシリンダ240の付勢力(押し付け力)に抗して当該ゴム胴203の外周面に対して一定の押圧力で対接できると共に、この状態で前記ステッピングモータ209を作動させて、前記レバー207、前記リンクプレート206等を介して前記偏心軸受205を回動させると、当該偏心軸受205の回動に伴って前記ゴム胴203と共に前記カム241が移動して、前記エアシリンダ240の付勢力(押し付け力)に抗しつつ前記カムフォロア242が前記カム241の前記カム面241aに沿って移動することにより、前記支持プレート243、前記ブラケット232、前記支持フレーム234等を介して前記粘着ローラ230が上記カム241の上記カム面241aに沿って移動、すなわち、当該粘着ローラ230を前記ゴム胴203の外周面に押圧力を変えることなく一定の押圧力で対接させたまま当該ゴム胴203の移動に追従させるように移動させることができ、さらに、前記操作工具30で前記調整ねじ247を回転させて、前記係合ピン249、前記アーム248、前記偏心軸受244等を介して前記粘着ローラ230を前記支持フレーム234に対して移動させることにより、前記ゴム胴203の外周面に対する前記粘着ローラ230の押圧力を調整することができるようになっているのである。
【0038】
このような本実施形態においては、前記軸受204、前記偏心軸受205等により、回転体支持手段を構成し、前記リンクプレート206、前記レバー207、前記支持軸208、前記ステッピングモータ209等により、回転体移動手段を構成し、前記回動軸231、前記ブラケット232、前記支持ステー233、前記支持フレーム234、前記係合ローラ235、前記係合バー236、前記止めピン237、前記圧縮コイルばね238、支持プレート243等により、粘着ローラ支持手段を構成し、前記レバー239、前記エアシリンダ240等により、粘着ローラ押圧手段を構成し、前記支持ピン246、前記調整ねじ247、前記アーム248、前記係合ピン249、前記操作工具30等により、偏心軸受回動手段を構成し、当該偏心軸受回動手段、前記偏心軸受244、前記軸受245等により、粘着ローラ押圧力調整手段を構成している。
【0039】
次に、上述したようなゴミ取り装置200を備えた本実施形態に係る枚葉印刷機の作動を説明する。
【0040】
前記給紙装置100の給紙台101上の枚葉紙1をフィーダボード102上に一枚ずつ給紙してスイング装置103で前記渡胴201に一枚ずつ受け渡すと、当該枚葉紙1は、当該渡胴201から前記ゴミ取り装置200の前記圧胴202に受け渡され、当該圧胴202と前記ゴム胴203との対接位置を通過することにより、紙粉や裏移り防止用のパウダ等のゴミが前記ゴム胴203に付着して取り除かれた後、渡胴301を介して第一印刷ユニット300の圧胴302に受け渡され、版胴304に供給された第一のインキがゴム胴303を介して転写されて印刷される。
【0041】
続いて、上記枚葉紙1は、渡胴401を介して第二印刷ユニット400の圧胴402に受け渡され、版胴404に供給された第二のインキがゴム胴403を介して転写されて印刷され、渡胴501を介して第三印刷ユニット500の圧胴502に受け渡され、版胴504に供給された第三のインキがゴム胴503を介して転写されて印刷され、渡胴601を介して第四印刷ユニット600の圧胴602に受け渡され、版胴604に供給された第四のインキがゴム胴603を介して転写されて印刷された後、排紙装置700の排紙胴701に受け渡され、排紙チェーンの前記くわえ竿にくわえ替えされて搬送され、排紙台705上に排紙される。
【0042】
他方、上記枚葉紙1から前記ゴミを除去した前記ゴミ取り装置200は、前記ゴム胴203に付着した前記ゴミが前記粘着ローラ230の外周面に転移することにより、当該ゴム胴203が再生されて、新たに送給される枚葉紙1に付着している前記ゴミを再び付着させて取り除く。
【0043】
このようにして枚葉紙1に付着している前記ゴミを取り除きながら印刷を行って、前記粘着ローラ230による前記ゴム胴203からの前記ゴミの転移回収能力が低下したら、印刷終了後、前記粘着ローラ230を上記ゴム胴203から離反させるように前記エアシリンダ240を伸長した後、前記カバー20を開けて、前記止めピン237を前記ブラケット232の前記嵌合穴232bから引き抜いて、当該ブラケット232から前記支持フレーム234を離反させるように前記係合ローラ235及び前記係合バー236を当該ブラケット232の前記切欠き溝232a上で移動させて、当該ブラケット232から前記支持フレーム234等と共に前記粘着ローラ230を取り外すことにより、当該粘着ローラ230を洗浄して粘着性能を回復させる。
【0044】
上記粘着ローラ230の洗浄を終えたら、前記ブラケット232の前記切欠き溝232aに前記係合ローラ235及び前記係合バー236を載せるように前記支持フレーム234を再び配設して、当該ブラケット232の当該切欠き溝232aの先端側の端部にまで当該係合ローラ235を当接させるように当該支持フレーム234を当該切欠き溝232aに沿ってスライド移動させて、前記粘着ローラ230を規定の位置に位置決めし、当該ブラケット232の前記嵌合穴232b内に前記止めピン237を嵌合させて、前記粘着ローラ230を規定の位置に固定した後、前記カバー20を閉じて、前記エアシリンダ240を収縮させると、前記ゴム胴203の外周面へ前記粘着ローラ230が対接すると共に、前記カムフォロア242が前記カム241の前記カム面241aに弾性的に押し付けられるように当接することにより、当該粘着ローラ230が当該エアシリンダ240の付勢力(押し付け力)に抗して当該ゴム胴203の外周面に対して一定の押圧力で対接し、当初の状態に簡単に復帰する。
【0045】
そして、先に印刷していた枚葉紙1と異なる特性(厚さや質等)の枚葉紙1を印刷する場合には、前記圧胴202と前記ゴム胴203との対接位置のニップ量を当該枚葉紙1の当該特性に対応させるように、前記ステッピングモータ209を作動させて前記偏心軸受205を回動させることにより、前記ゴム胴203を移動させる。
【0046】
このとき、前記ゴム胴203の移動に伴って前記カム241も移動し、前記エアシリンダ240の付勢力(押し付け力)に抗しつつ前記カムフォロア242が上記カム241の前記カム面241aに沿って移動するので、前記粘着ローラ230が上記カム241の上記カム面241aに沿って移動、すなわち、当該粘着ローラ230が前記ゴム胴203の外周面に押圧力を変えることなく一定の押圧力で対接したまま当該ゴム胴203の移動に追従するように移動する。このため、上記粘着ローラ230は、上記ゴム胴203が移動しても、調整された押圧力をそのまま維持することができる。
【0047】
続いて、前記カバー20を開けて、前記操作工具30の前記把持部32を把持してゴミ取り装置200の外部から係合部31を挿入して前記調整ねじ247の頭部に係合させた後、前記軸部31を回転させて当該調整ねじ247を回転させると、前記係合ピン249、前記アーム248、前記偏心軸受244等を介して前記粘着ローラ230が前記支持フレーム234に対して移動することにより、上記枚葉紙1の上記特性に対応するように、当該粘着ローラ230と前記ゴム胴203との対接位置のニップ量に調整して、当該ゴム胴203の外周面に対する当該粘着ローラ230の押圧力を調整することができる。
【0048】
したがって、本実施形態によれば、前記ゴム胴203を移動させてしまっても、当該ゴム胴203に対する前記粘着ローラ230の押圧力の調整を容易に行うことができる。
【0049】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、枚葉紙1に印刷を施す枚葉印刷機に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、ウエブに印刷を施すウエブ印刷機に適用することができるのはもちろんのこと、搬送されているシート又はウエブに付着しているゴミを回転体に付着させて当該回転体から粘着ローラにゴミを転移させて取り除くゴミ取り装置であれば、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るゴミ取り装置は、回転体を移動させてしまっても、当該回転体に対する粘着ローラの押圧力の調整を容易に行うことができるので、印刷産業を始めとする各種産業において極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 枚葉紙
10 フレーム
20 カバー
30 操作工具
31 軸部
32 把持部
33 係合部
100 給紙装置
101 給紙台
102 フィーダボード
103 スイング装置
200 ゴミ取り装置
201 渡胴
202 圧胴
203 ゴム胴
204 軸受
205 偏心軸受
205a アーム
206 リンクプレート
207 レバー
208 支持軸
209 ステッピングモータ
209a ロッド
230 粘着ローラ
231 回動軸
232 ブラケット
232a 切欠き溝
232b 嵌合穴
233 支持ステー
234 支持フレーム
235 係合ローラ
235a 支持部材
236 係合バー
236a 支持部材
237 止めピン
238 圧縮コイルばね
239 レバー
240 エアシリンダ
241 カム
241a カム面
242 カムフォロア
243 支持プレート
244 偏心軸受
245 軸受
246 支持ピン
246a 貫通穴
247 調整ねじ
247a 抜け止め
248 アーム
249 係合ピン
249a ねじ穴
300 第一印刷ユニット
301 渡胴
302 圧胴
303 ゴム胴
304 版胴
400 第二印刷ユニット
401 渡胴
402 圧胴
403 ゴム胴
404 版胴
500 第三印刷ユニット
501 渡胴
502 圧胴
503 ゴム胴
504 版胴
600 第四印刷ユニット
601 渡胴
602 圧胴
603 ゴム胴
604 版胴
700 排紙装置
701 排紙胴
703 スプロケット
704 排紙チェーン
705 排紙台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されているシート又はウエブに付着しているゴミを付着させるように当該シート又は当該ウエブに接触する回転体と、
外周面に粘着性を有して前記回転体に付着している前記ゴミを転移させるように当該回転体に対接する粘着ローラと
を備えているゴミ取り装置において、
前記シート又は前記ウエブに対して前記回転体を接触離反方向へ移動できるように当該回転体を支持する回転体支持手段と、
前記回転体に対して前記粘着ローラを対接離反方向へ移動できるように当該粘着ローラを支持する粘着ローラ支持手段と、
前記回転体支持手段に設けられて前記回転体の移動と共に移動する係合部材と、
前記粘着ローラ支持手段に設けられて前記回転体に対する前記粘着ローラの対接に伴って前記係合部材に係合する被係合部材と、
前記回転体に対して前記粘着ローラを対接離反方向へ移動させるように前記粘着ローラ支持手段を移動させると共に当該回転体に対する当該粘着ローラの対接に伴って前記被係合部材を前記係合部材に対して弾性的に押し付けるように係合させる粘着ローラ押圧手段と、
前記粘着ローラ支持手段に設けられて前記回転体に対する前記粘着ローラの押圧力を調整する粘着ローラ押圧力調整手段と
を備えていることを特徴とするゴミ取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゴミ取り装置において、
前記粘着ローラ押圧力調整手段が、
前記粘着ローラ支持手段に回動可能に設けられて前記粘着ローラを回転可能に支持する偏心軸受と、
前記偏心軸受を回動させる偏心軸受回動手段と
を備えていることを特徴とするゴミ取り装置。
【請求項3】
請求項2に記載のゴミ取り装置において、
前記偏心軸受回動手段が、
前記偏心軸受に一端側を連結されたアームと、
前記偏心軸受の軸方向へ軸心を向けるようにして前記アームの他端側に回動可能に支持されてねじ穴を形成された係合ピンと、
前記粘着ローラ支持手段に対して回転可能に支持されて前記係合ピンの前記ねじ穴に螺合する調整ねじと、
基端側に把持可能な把持部を有して前記調整ねじの頭部と着脱可能に係合する係合部を先端に有すると共に、装置の外部で前記把持部を把持して前記調整ねじの前記頭部に前記係合部を係合させて当該装置の外部から当該調整ねじの回転を可能とする長さを有する操作工具と
を備えていることを特徴とするゴミ取り装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のゴミ取り装置において、
前記係合部材が、カムであり、
前記被係合部材が、前記回転体に対する前記粘着ローラの対接に伴って前記カムのカム面に当接するカムフォロアである
ことを特徴とするゴミ取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載のゴミ取り装置において、
前記粘着ローラを前記回転体に対して対接させているときに、当該回転体の移動に伴って当該粘着ローラを当該回転体の外周面に一定の押圧力で対接させたまま当該回転体の移動に追従させて移動させるように、前記カムが前記カム面で前記カムフォロアを移動させるものである
ことを特徴とするゴミ取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−18639(P2013−18639A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155375(P2011−155375)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000184735)株式会社小森コーポレーション (403)
【Fターム(参考)】