説明

ゴム配合組成物の製造装置及び製造方法

【課題】安価で且つ省スペースな設備によって、ゴムの混練とシランカップリング剤の反応を効率的に行わせることを可能にするゴム配合組成物の製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】投入口3から投入された材料を密閉された混練室5内で攪拌する攪拌ロータ6と、攪拌ロータ6の回転速度を自動制御する制御部11と、混練室5内の温度を検出し、検出された実測温度に関する情報を制御部11に出力する温度センサ13と、を備え、制御部11は、少なくともゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤が前記混練室内に存在する状態下において、設定された制御時間が経過するまでの間、前記実測温度に関する情報及び設定された目標温度に関する情報に基づき、前記実測温度を前記目標温度とするためのPID制御によって前記回転速度を自動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム配合組成物の製造装置及び製造方法に関し、特に、ゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤を混練することでゴム配合組成物を生成する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴム補強用充填剤として、カーボンブラックに代えてシリカが使用されるようになってきている。しかし、シリカはカーボンブラックに比べるとゴムに対する補強性が弱いため、この補強性を高めるべく、シリカをゴム成分に配合する際にシランカップリング剤を添加するのが一般的である。シランカップリングを配合剤として添加することで、カップリング反応によってシランカップリング剤がシリカに固定化され、更にゴム成分がシランカップリング剤と反応するため、シリカのゴムへの分散性が向上して補強性が高まる。
【0003】
ところで、シリカとシランカップリング剤との反応を効率良く行わせるためには、特定の温度で長時間混練することが望ましい。低温環境下ではシリカとシランカップリング剤のカップリング反応は起こりづらく、かといってあまりに高温になると、ゴムの橋かけ反応が起こり、粘度が急激に上昇してゲル化してしまう。
【0004】
ゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤を存在させた状態でミキサにて混練を行うと、ゴムの粘性流動による発熱、及びカップリング反応に伴う発熱に起因して、ミキサ内の温度が上昇する。このため、短時間のうちにゲル化される温度まで上昇してしまい、カップリング反応の時間を十分に取れないという問題がある。
【0005】
特許文献1には、分散用の混練ステップを密閉式のバンバリーミキサで行い、シランカップリング剤を添加した後のカップリング反応については、密閉されていない別のミキサで行う方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、ゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤を存在させた状態で密閉式のバンバリーミキサで混練した後、カップリング反応に適した温度範囲よりも少し低い温度状態で、生成されたゴム組成物を一対の混練ロールの上に搬送し、混練ロールから与えられる剪断力で自己発熱させながらカップリング反応を行わせる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−352831号公報
【特許文献2】特開2007−8112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び2の方法によれば、いずれもカップリング反応のための専用のミキサやロールを必要とするため、設置スペースが増大し、また生産コストが大幅に増加するという問題がある。
【0009】
本発明は、安価で且つ省スペースな設備によって、ゴムの混練とシランカップリング剤の反応を効率的に行わせることを可能にするゴム配合組成物の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明に係るゴム配合組成物の製造装置は、
材料を投入する投入口と、
前記投入口から投入された材料を密閉された混練室内で攪拌する攪拌ロータと、
前記攪拌ロータの回転速度を自動制御する制御部と、
前記混練室内の温度を検出し、検出された実測温度に関する情報を前記制御部に出力する温度センサと、を備え、
前記制御部は、少なくともゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤が前記混練室内に存在する状態下において、設定された制御時間が経過するまでの間、前記実測温度に関する情報及び設定された目標温度に関する情報に基づき、前記実測温度を前記目標温度とするためのPID制御によって前記回転速度を自動制御することを特徴とする。
【0011】
なお、より具体的には、前記制御部が、攪拌ロータを回転駆動するためのモータの回転速度を自動制御する構成としてもよい。
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明に係るゴム配合組成物の製造方法は、
制御部によって回転速度の自動制御が可能な攪拌ロータを備え、内部の温度を検出して出力することが可能な密閉された混練室内に、少なくともゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤を混在させるステップと、
前記制御部に対して制御時間及び目標温度に関する設定を行うステップと、
前記2つのステップの完了後、前記制御時間が経過するまでの間、前記混練室内の実測温度に関する情報及び前記目標温度に基づき、前記制御部によって前記実測温度を前記目標温度とするためのPID制御によって前記回転速度を自動制御しながら前記混練室内を攪拌するステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
この時、前記目標温度としては、ゴム成分がゲル化する下限温度より低く、且つシリカとシランカップリング剤のカップリング反応が生じる下限温度より高い温度に設定するのが好適である。ゴム成分がゲル化する下限温度、シリカとシランカップリング剤のカップリング反応が生じる下限温度は、夫々混練に際して採用される材料に応じて決定される。このため、当該材料に応じて適切な温度環境下で混練処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制御部によって攪拌ロータの回転速度がPID制御による自動制御がなされることで、一定の時間にわたって、混練室内の温度を一定の範囲内に留めることができる。これにより、温度を維持しながら一定時間にわたって混練室内で攪拌・混練することができるので、ある温度以上に達した段階でゴム配合物を排出していた従来の構成と比較して、良好な特性を示すゴム配合物を製造することができる。
【0015】
また、シリカとゴム成分を混練する装置と、カップリング反応を生じさせるための装置を同じ装置で実現できるため、安価で且つ省スペースな設備によって良好な特性を示すゴム配合物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る混練装置の概略構造図である。
【図2】本装置で行われるゴム加工方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】本装置において制御部からのPID制御の下での、混練室内の実測温度及びモータの回転数の変化を経時的に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に本発明に係る製造装置(以下、「本装置」という。)の模式図を示す。図1に示す本装置1は、密閉式のミキサであり、ラム4の昇降に用いられるシリンダ2、加工材料を投入するための投入口3、材料を混練するための混練室5、混練されたゴムを排出するためのドロップドア7を備える。ラム4は、昇降によって混練室5内の圧力を調整するために配置されている。
【0018】
混練室5には、材料を攪拌するための一対の攪拌ロータ6が備えられ、この撹拌ロータ6はモータ(不図示)によって回転軸12を中心に回転駆動される。また、混練室5には、同室内の温度を検出するための温度センサ13が備えられている。この温度センサ13は、例えばドロップドア7の内側に設置されるものとしても構わない。
【0019】
攪拌ロータ6を回転させるモータは、制御部11からの制御信号に基づいて回転速度が調整される。制御部11は、温度センサ13から送られる混練室5内の温度情報に基づき、モータの回転速度の制御を行う。モータは制御部11によって回転速度を自在に変化できる構成であれば良く、例えばインバータモータで構成される。
【0020】
より具体的には、モータの回転速度は、制御部11の内部に設けられるPID演算処理部によって、温度センサ13が検出する混練室5内の実測温度Tpと目標温度Tsとの偏差から、比例(P)、積分(I)、及び微分(D)の演算の実行に基づくPID制御を実行する。即ち、前記PID演算処理部は、温度センサ13が検出する混練室5内の実測温度Tpと目標温度Tsとの差(偏差e)に比例して制御量を算出する比例(P)動作、偏差eを時間軸方向に積分した積分値により制御量を算出する積分(I)動作、及び偏差eの変化の傾きすなわち微分値より制御量を算出する微分(D)動作によって得られる各制御量の合算値により、モータの回転速度を決定する。
【0021】
図2に、本装置1で行われるゴム加工方法の流れをフローチャートとして図示している。装置1内に、ゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤が投入されると(ステップS1)、ステップS2において入力された目標温度Ts及び制御設定時間tmの値に基づき、制御部11によってモータへのPID制御が開始される(ステップS3)。即ち、制御部11からの制御信号に基づきモータの回転速度が決定され、これによって撹拌ロータ6の回転速度(すなわち攪拌速度)が決定される。目標温度Ts,制御設定時間tmに関する情報は、ステップS1以前の段階で予め制御部11側に与えられているものとしても構わない。
【0022】
なお、ステップS1では、ゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤の夫々を独立して装置1内に投入する態様としても構わないし、ゴム成分及びシリカを投入した後、一定の攪拌処理を施した後にシランカップリング剤を投入する態様としても構わない。
【0023】
制御部11は、制御開始時刻からの経過時間tが制御設定時間tm以上になるまでの間(ステップS4においてNo)、モータの回転速度に対するPID制御を行う。具体的な制御内容については、上述したように、温度センサ13から送られる混練室5内の実測温度Tpと目標温度Tsの偏差、偏差の積分値、偏差の微分値に基づき、回転速度を小刻みに変化させる。
【0024】
なお、目標温度Tsの値については、ゴム成分がゲル化を開始する下限温度よりも微小温度だけ低く設定するのが好適である。なぜなら、制御部11はPID制御を行う構成であるが、制御過程において一時的に目標温度Tsを少し上回る場合も想定されるためである。つまり、制御過程において混練室5内の実測温度Tpが一時的に目標温度Tsを少し上回ることが許容されるよう、目標温度Tsの値を設定するのが好適である。また、目標温度Tsは、シリカとシランカップリング剤のカップリング反応が生じる下限温度よりは高い値に設定される。
【0025】
そして、制御時間tが制御設定時間tm以上になった時点で(ステップS4においてYes)、制御部11はモータへのPID制御を終了し、ドロップドア7よりゴム配合組成物を排出する(ステップS5)。
【0026】
ここで、制御設定時間tmとしては、シリカとシランカップリング剤とのカップリング反応が十分実行されるのに必要な時間tcよりも長い時間とする。より具体的には、実測温度Tpが制御を開始してからカップリング反応に適した温度範囲内まで上昇するのに必要と予想される時間tiを考慮して、前記時間tcとtiを加算した時間以上とするのが好適である。
【0027】
図3は、本装置1において制御部11からのPID制御の下での、混練室5内の実測温度Tp及びモータの回転数の変化を経時的に示したグラフである。なお、(b)は、(a)における領域A部分の拡大図である。
【0028】
図3によれば、モータの回転速度を小刻みに変化(上昇又は下降)させることで混練室5内の実測温度Tpが長時間にわたって目標温度Tsにほぼ等しい値に維持できていることが分かる。よって、この温度を前記の時間tiより長く維持することで、混練室5内においてシランカップリング剤によるカップリング反応を十分実行させることができる。なお、図3の例では、目標温度Tsを155℃としてPID制御を行い、実測温度Tpは150℃〜158℃を維持することができた。
【0029】
なお、図2のフローチャートでは、シランカップリング剤の投入後に制御部11によるPID制御が必ず実行される構成としたが、実際には、PID制御を行うか否かを利用者によって選択できる構成としても構わない。
【0030】
また、投入されるゴム成分としては、変性前の数平均分子量が15万〜40万である末端変性ジエン系ゴムを含有するものである。かかる末端変性されるジエン系ゴムの種類としては、特に限定されないが、ブタジエンゴム(BR。例えば、シス−1,4結合90%以上のハイシスBR、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(SPB)含有BRなど)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンイソプレン共重合体ゴム、ブタジエンイソプレン共重合体ゴム等が挙げられ、より好ましくはBR、SBRであり、更に好ましくはSBRである。
【0031】
この末端変性ジエン系ゴムとしては、各種変性剤でポリマー末端が変性されたジエン系ゴムを用いることができ、変性方法も公知の種々の方法を用いることができる。具体的に、変性剤としては、スズ化合物、アミノベンゾフェノン化合物、イソシアネート化合物、ジグリシジルアミン化合物、環状イミン化合物、ハロゲン化アルコキシシラン化合物、グリシドキシプロピルメトキシシラン化合物、ネオジウム化合物、アルコキシシラン化合物、アミン化合物とアルコキシシラン化合物の併用などが挙げられる。
【0032】
また、混練時に用いられるシランカップリング剤としては、分子中に硫黄を含むものであれば特に限定されず、ゴム組成物においてシリカとともに配合される各種のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(例えば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して2〜25質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。
【0033】
本装置を用いることで、混練室5内の温度を一定時間にわたって保持できるため、良好なゴム配合組成物を生成することが可能となる。具体的な効果は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【実施例】
【0034】
本装置1によるPID制御の下で混練した場合を実施例1〜3,PID制御を行うことなく混練した場合を比較例1〜3として結果を下記表1に示す。なお、各値は、比較例1における値を基準(100)としたときの相対値で示している。また、各実施例及び比較例においては、以下の材料を用いた。
【0035】
(材料)
・変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR):JSR(株)製のHPR340(変性S−SBR、結合スチレン量:10質量%、アミン及びアルコキシルシランで変性)。
・未処理シリカ:東ソーシリカ工業(株)「ニプシールAQ」
・シランカップリング剤:ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、デグサ社製「Si−75」
・保護化メルカプトシラン:(C2n+1O)Si−C2m−S−CO−C2k+1で表されるカップリング剤(n=2,m=3,k=7)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「NXT」
・オイル:ジャパンエナジー(株)「プロセスX−140」
【0036】
なお、上記材料を採用した場合における、ゴム成分がゲル化する下限温度はおよそ170℃、シリカとシランカップリング剤のカップリング反応が生じる下限温度はおよそ130℃である。つまり、およそ130℃を超え、且つおよそ170℃を下回る温度範囲を保ちながら攪拌処理を行うことで、ゴム成分のゲル化を防ぎつつ、カップリング反応を十分に進行させることが可能になる。特に、140℃を超え、165℃を下回る温度範囲を保つのが好ましく、更に、145℃を超え、160℃を下回る温度範囲を保つのがより好ましい。下記実施例1〜3では、本装置1のPID制御により、混練室5内を前記の温度範囲内である150℃に保ちながら攪拌処理を行っている。
【0037】
【表1】

【0038】
なお、各項目については、下記に示す方法により値を測定し、比較例1に対する相対値を求めて得られたものである。
【0039】
(粘度)
ミキサから取り出したゴム配合組成物のムーニー粘度(ML1+4)を、JIS K6300に準拠してムーニー粘度計にてL型ロータを使用し、予熱時間を1分、ロータの回転時間を4分、温度を100℃、回転速度2rpmの条件で測定した。この指数が小さいほど成形加工性が優れることを意味する。
【0040】
(ペイン効果)
ミキサから取り出したゴム配合組成物の一部を試験片として採取し、ゴム加工解析装置を用いて、歪0.5%〜45%まで変化させたときの最大剪断力から最小剪断力を引いた値をもってペイン効果の値とした。なお、上述したように、比較例1に対する相対値として標記している。ペイン効果が小さいほどシリカの分散性が優れることを意味する。
【0041】
(転がり抵抗)
ミキサから取り出したゴム配合組成物を150℃で30分間加硫して得られたトレッド用ゴムを用いて試作タイヤを作製し、転がり抵抗性を評価した。転がり抵抗試験はJISD4234に準拠して、実施した。ここで、ドラム直径は、1708mmであり、雰囲気温度は25℃で、試験方法はフォース法とし、比較例1のタイヤを100とした指数で表示した。値が小さいほど、転がり抵抗が低く低燃費性に優れることを示す。
【0042】
(tanδ)
ミキサから取り出したゴム配合組成物を150℃で30分間加硫した所定形状の試験片を用い、UBM社製の粘弾性スペクトロメータを用いて、初期歪み15%、動的歪み±2.5%、周波数10Hz、温度60℃の条件下でJISK6394に準拠してtanδを測定した。比較例1の測定値を100として指数評価で表示し、数値が小さいほど低発熱性に優れることを意味する。
【0043】
表1によれば、実施例1〜3は、比較例1〜3に比べて、粘度及びペイン効果が低く、成形加工性及びシリカ分散性に優れていることが分かる。また、保持時間を長くするほど、転がり抵抗及びtanδの値が低下し、低燃費性及び低発熱性に優れていることが分かる。
【0044】
比較例1〜3によれば、混練室内の温度を高くするほどペイン効果の値が低くなり、シリカの分散性が増すことが分かる。しかしながら、転がり抵抗やtanδに関しては、温度を上昇させてもあまり効果が得られていない。更に、粘度が上昇しており、シリカが再凝集していることが伺える。これに対し、実施例1〜3によれば、保持時間を伸ばすことで粘度、転がり抵抗、tanδの値を全て低下させる効果が得られることが分かる。
【符号の説明】
【0045】
1: 本発明に係る混練装置
2: シリンダ
3: 投入口
4: ラム
5: 混練室
6: 攪拌ロータ
7: ドロップドア
11: 制御部
12: 回転軸
13: 温度センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を投入する投入口と、
前記投入口から投入された材料を密閉された混練室内で攪拌する攪拌ロータと、
前記攪拌ロータの回転速度を自動制御する制御部と、
前記混練室内の温度を検出し、検出された実測温度に関する情報を前記制御部に出力する温度センサと、を備え、
前記制御部は、少なくともゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤が前記混練室内に存在する状態下において、設定された制御時間が経過するまでの間、前記実測温度に関する情報及び設定された目標温度に関する情報に基づき、前記実測温度を前記目標温度とするためのPID制御によって前記回転速度を自動制御することを特徴とするゴム配合組成物の製造装置。
【請求項2】
ゴム配合組成物の製造方法であって、
制御部によって回転速度の自動制御が可能な攪拌ロータを備え、内部の温度を検出して出力することが可能な密閉された混練室内に、少なくともゴム成分、シリカ、及びシランカップリング剤を混在させるステップと、
前記制御部に対して制御時間及び目標温度に関する設定を行うステップと、
前記2つのステップの完了後、前記制御時間が経過するまでの間、前記混練室内の実測温度に関する情報及び前記目標温度に基づき、前記制御部によって前記実測温度を前記目標温度とするためのPID制御によって前記回転速度を自動制御しながら前記混練室内を攪拌するステップと、を有することを特徴とするゴム配合組成物の製造方法。
【請求項3】
前記目標温度は、ゴム成分がゲル化する下限温度より低く、且つシリカとシランカップリング剤のカップリング反応が生じる下限温度より高い温度であることを特徴とする請求項2に記載のゴム配合組成物の製造方法。
【請求項4】
ゴム成分が、アミン及びアルコキシランで変性された変性スチレンブタジエンゴムを含み、
シランカップリング剤が、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド又は保護化メルカプトシランを含むことを特徴とする請求項3に記載のゴム配合組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−18890(P2013−18890A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154066(P2011−154066)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【特許番号】特許第4909442号(P4909442)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】