説明

ゴルフクラブを使用するための方法

【課題】プレーヤーが、インパクト時にボールに望ましくない速度要素を付与しているのでないか分析できるパット練習具を提供する。
【解決手段】クラブヘッド2は少なくとも一つの打撃面4と、後面10と側面6,8あるいは端部32を有し、所定厚さの本体12を限定しており、本体にはシャフトが取り付けられている。ヘッドの本体内には、ヘッドの後面に開いている形の凹部14、あるいは本体により完全に限定されている孔14を有し、孔は通常の寸法のゴルフボールよりも限界的に大きい寸法を有し、かつ通常の寸法のゴルフボールなどの対象を受け入れるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブに関し、より詳しくは、これに限定されるものではないが、グリーン面に沿ってボールを打つためのゴルフ競技に使用されるパターに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフは一般的には18ホールあるいは9ホールを有するコースでプレーされ、ホールの一端でティーからボールがプレーヤーにより打球され、また別端で一つのホールをその中に有するグリーンが設けられている。ティーとグリーンはフェアウエイにより分離されており、ゴルフゲームの全体的な原理は、ボールの打数をできるだけ少なくしてグリーン上のホールにボールを落としこむようにするものである。
【0003】
パターは一般的にはグリーン上あるいはグリーンを取り巻く周辺で使用され、ゴルフボールをホールに向けて打ちボールが前記ホールに落とし込むようにする。ホールは僅かに直径12センチメートルのオーダーであり、パット(これはパターを用いて打球することを一般的にいう)はしばしば12メートル(40フィート)を超えるように行われるのであるから、打球後のボールの位置がたとえホールの中ではないとしても少なくとも近接していることを確実にするためには、きわめて正確であることが要求される。一般に、ホールからのボールの距離は、パットのミスの可能性に比例し、ボールをホールに落とし込むためにはさらにパットが必要である。
【0004】
ゴルフ競技では、職業的な競技の相当部分がパッティングに集まっており、パットの下手なプレーヤーはほとんど成功した結果を得ることはない。実際等しい「ティーからグリーン」の能力が等しいが、パット能力に差があるプレーヤーのスコアの差は直ちに明らかになる。
【0005】
現在比較的わずかのパター練習具しか得られないことは、特にパットは競技の実質的要素となることを考えた場合、驚くべきことである。得ることのできる一つの練習具は、慣用的には室内用のものであるが、U字型に傾斜した溝を有するプラスティックトレーからなり、前記溝はその長さ方向を狭くしており、その一端は閉止され、練習具の実質的に中心かつ基盤の上に位置しており、他端は開いていて基盤レベルに近接している。溝は典型的には練習具中に一体的に形成され、カーペットなどに練習具を置くと、溝の広く開いた端部が練習具の外周と一致して、前記カーペット上の急な下端を構成する。溝は広く開いた端部から練習具本体中にある閉止端に向かって上方に傾斜している。また練習具の中には電池により作動するエジェクタ機構がある。
【0006】
使用時には、練習具はカーペット上に配置され、自分のパットの練習をしたいユーザーは、練習具からいくらか離れたところにたってボールを練習具にむけてパット打ちする。練習具は溝の開いた端部がユーザーの方に向くよう配置されている。カーペット上に置かれた溝の鋭角下端により、前記カーペットに沿って正確に打球されたボールは、溝に向かい練習具に設けられている溝の閉止端に誘導される。正しい荷重及び練習具にむけて正確な方向にパターで打ったボールはそれ自身で、小さな凹部を有しゴルフボールの球形に形成されている閉止端に向かう。ついでバッテリ駆動エジェクタ機構が、溝閉止端におけるボールの存在を検出して傾斜した溝を通してボールを排出し、かくしてプレーヤーは再びボールを前記正しい重量及び方向にパットすることができる。よいパターでは、ボールが狭い溝に受け入れられその閉止端の凹部に受け入れられることにより、繰り返し打球することが可能になることが理解されるべきである。
【0007】
このような練習具の主たるかつ全体的な難点は、プレーヤーのパット打ちにしばしば生じる無数の不完全さのいずれも解決するものでないことである。ゴルフボールをパターで正しい方向に打つためには、円滑で的確なスイングが必要である。特に、“バックスイング”中に静止ボールからパターヘッドが離れる際に描く弧、パターヘッドがボールを打つためボールに戻ったときに描く弧、及びボールを打った後に描く弧、すなわちフォロースルー、は、中心がほぼゴルファーの両肩の間にある想像上の円の一部である。更に、ボールを打つことが望ましい方向にある前記円の直径は、プレーヤーの足を含む面に平行でなければならない。そうでない場合、プレーヤーのパットは、上から見た場合上からのインパクト時にボールをスライスするか、下からボールを押すことになる。いずれにせよ、望ましくない速度要素がフェイスによるインパクト時にボールに付与される。インパクト時に理想的にボールに付与される唯一の速度要素は望ましい打撃方向にあるものである。この場合、ボールは単にそれが打たれた方向へころがる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一つの目的は、プレーヤーが、インパクト時にボールに望ましくない速度要素を付与しているのでないか分析できるパット練習具を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、好ましくはパター構造に関する現行の規則を侵すことなく、従って競技に、また非公式なゲーム及び/あるいは練習に使用することができるパターを提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、プレーヤーのパットの正確さを直ちに表示するいくつもの方法を使用できるパターを提供することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、練習に使用される時には、パターヘッドの弓形回転路が上記理論的最適軌跡に対応することを確実にすることにより、特にプレーヤーのバックスイング及びフォロースルーがインパクト前及び後の記載された最適軌跡に対応するようにすることにより、プレーヤーのパットを“習慣化”することができるパターを提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、インパクトの実際の時点にのみユーザーの心を集中させることなく、打撃中、スイングの特定の弧にユーザーがより大きく集中できるような練習具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、その第一の局面では、ヘッドを有するゴルフクラブであって、ヘッドは少なくとも一つの打撃面と、後面あるいは端部と側面あるいは端部を有し、これらは湾曲しており、前記夫々の端部あるいは面はヘッドを所定の厚さに規定しており、クラブをスイングするためのシャフトが前記ヘッドに取り付けられており、前記ヘッドは少なくとも一つの別の弓形面あるいは端部もしくは別の平板面あるいは端部であって、側面または端部の間に少なくとも一つの凹部を規定しており、前記別の面あるいは端部で規定される前記少なくとも一つの凹部は、ヘッドの打撃面の後ろで対象あるいは物体を受け入れるようにしたゴルフクラブ、が提供される。
典型的には、前記少なくとも一つの凹部はゴルフクラブヘッドの厚さ方向を通っている。
【0014】
ある実施態様では、前記対象あるいは物体はヘッドに対して移動可能であるが、ユーザーによりクラブがスイングされている間にボールが前記別の面あるいは端部と接触すると、ヘッドはその移動を打撃面にたいして平行方向に限定するように作用する。
【0015】
ゴルフクラブは、典型的には本発明の実施に特に適しているパターであり、本発明においてはパターに言及する。
シャフトは本発明においてはキーとなる特徴を有するものではなく、本発明の別の局面では、その特徴が記載されるゴルフクラブヘッドに関わる。
凹部に受け入れられる対象あるいは物体は凹部に適合する形状あるいは寸法を有し、ボール、より特定すると通常のゴルフボールが好ましい態様として適したものである。
本発明の第一の態様では、凹部は、パターの後面あるいは端部に開いており、第二の代替態様では、凹部は閉じていてパター本体中に孔を形成している。孔は好ましくは円形でありその直径は通常のゴルフボールの直径より限界的に(marginally)大きい。
好ましくは、前記第一の態様における凹部は、本体の別の面あるいは端部により二つの側面に規定され、前記別の面あるいは端部の分離は、使用時に凹部に受け入れられる物体より限界的に大きくなるように設定される。
前記の実施態様において、前記別の面あるいは端部は相互に平行で打撃面に対して垂直であることが好ましい。更に、前記別の面あるいは端部は打撃面の中心から実質的に等距離に設けられており、従って整合手段として補足的な機能を有することが好ましい。
いずれにしろこのパターのヘッドには補足的な整合手段が設けられていることが望ましく、これは、パターのユーザーに対し打球後ボールの望ましい移動方向に、打撃面を正面から向けさせる手段である。
【0016】
好ましくは、補足的な荷重素子がパターヘッド本体中の凹部の両側に設けられ、“トウ/ヒール”荷重配置にバランスがとれているようにする。パターヘッドのトウ及びヒールは、打撃面の先端に向かう位置にあり、打撃面を横切る荷重配置により、ボールとのインパクト点が打撃面から離れた時パターヘッドに加えられるねじりモーメントを減少させるように設けられている。
【0017】
ある実施態様では、凹部における物体または対象は、使用時に「固定した(fixed)」位置に配置されるようにすることもでき、それによりゴルフクラブの使用に選択された効果が得られるようにする。ある実施態様では、物体または対象は、適当な係合手段により凹部に固定される場合クラブの特徴を変える荷重または荷重配置を有する。
ゴルフクラブヘッドは適当な形状であってよく、例えばマレット(mallet: 打球槌)型あるいはブレード(刃: blade)型ヘッドであってよい。
【0018】
好ましくはパターは、英国ゴルフ協会[Royal and Ancient (R&A) Golf Association]のパターに関する規則に一致するようにする。この場合には本発明のパターは競技に使うことができる。他の練習具は競技につかうことができないか、あるいはR&Aの規則に一致しない。この後練習中に得たパットの均一性はゴルフコースでプレイする場合に、ゴルフプロによる現在の訓練手段の場合にそうであるように、直ちには失われない。
【0019】
パターヘッド中に孔の形で凹部が設けられている場合、その厚さ全体は前記別の面あるいは端部により規定されていることが好ましく、孔は全体としてみた場合パターヘッドの実質的に中央に設けられている。しかし個人的な好みにより、あるいは特別な練習技法などにより孔の異なる場所に設けられていてもよい。
孔の位置とは別に、トウ−ヒール荷重配置は自動的に得られる。なぜなら記載したようにヘッドから物体が放出されることにより、打撃面先端に向かう相対的な荷重が自動的に増加するからである。
【0020】
孔がパターヘッドの本体後部に向かって設けられているなら、大きな“スイートスポット”(インパクトがあったときにパターヘッドの本体内に共鳴力学を生じさせる打撃面の域)が得られる。実験により、特定のヘッド構成についてもっとも大きなスイートスポットを生じさせる前記孔の正確な位置を規定することができる。
本発明の別の態様では、凹部は対象あるいは物体を受け入れるほか、スリーブの形の挿入体を受け入れることができる。
【0021】
ある実施態様では、スリーブは、対象あるいは物体が配置される凹部の寸法及び/あるいは形状を変えるために設けられる。更に、あるいはこれとは別に挿入体は凹部中に設けられ、それにより対象あるいは物体がその中に配置されたあと、挿入体は凹部内に対象あるいは物体を保持あるいはより確実に保持するよう、及び/あるいはヘッドと共に対象の移動を誘導するように、設けられる。
【0022】
ある実施態様では、挿入体はヘッド及び凹部に対して位置的に移動できる。ある態様では、対象あるいは物体も凹部にある時は、挿入体は対象あるいは物体の位置を凹部中で調整するよう移動でき、それにより凹部中に物体のために複数の場所が設けられるようにできる。
あるいは挿入体それ自体が選択できる物体あるいは対象であり、凹部に対して位置的に移動可能であって、その機能がいろいろとなるようにする。
別の実施態様では、凹部を規定するクラブヘッドの壁が特定の要件を満たすように形成されており、例えば凹型あるいは凸型であって、物体を保持あるいは凹部から管理された形で放出しうるものであってよい。
本発明の一つの態様では、ヘッドは複数の凹部をその中に有していてもよく、少なくともその一つは物体を受け入れるために設けられており、その物体は、プレーヤーがゴルフクラブスイングする際に放出できる。
【0023】
典型的には前記物体はゴルフボールであり、ある実施態様では、凹部それぞれがその中に物体を受け入れられるようになっている。凹部それぞれは互いに望ましい構成に配置されていてよいが、二つの特に有効な構成は、複数の凹部がクラブヘッドの打撃面に対して実質的に垂直である軸に沿うように配置するか、あるいは、もしくはこれに加えて、複数の凹部がクラブヘッドの打撃面と実質的に平行である軸線に沿って配置するものである。凹部を様々に構成することにより、スイング弧、移動時のヘッドの正確さおよび/あるいはクラブグリップなど、ゴルフクラブスイングの種々のまた選ばれた特性を観察することが可能になる。
【0024】
種々の特性を選んで観察することが可能であるよう、夫々の物体がゴルフクラブスイングの相異なる点で夫々の凹部から解放され、解放された物体はその後解放時のスイングの特徴を示すように、凹部を形成してもよい。このことは、それぞれの凹部を異なる形の壁で形成するか、及び/もしくは夫々の凹部の深さを変えることにより可能になる。
【0025】
本発明の別の局面によれば、ヘッドを有するゴルフクラブであって、ヘッドは少なくとも一つの打撃面と、後面あるいは端部と、側面あるいは端部を有し、前記夫々の面あるいは端部はクラブヘッド本体を規定しており、本体は所定の厚さを有し、前記ヘッドは少なくとも一つの別の弓形面あるいは端部、もしくは別の平板面あるいは端部を有し、これらは側面もしくは端部と本体厚さ全体との間に少なくとも一つの凹部を規定しており、前記別の面または端部により規定される少なくとも一つの凹部が、クラブヘッドの打撃面の後ろに対象あるいは物体を受け入れるように構成されているゴルフクラブ、が提供される。
【0026】
ある実施態様では、凹部は挿入体を有し、挿入体はゴルフボールの形の物体を表面部から拾い上げゴルフクラブユーザーにより解放されるまでゴルフクラブヘッドの凹部に保持する。この実施態様では、ゴルフクラブヘッドはゴルフボールを拾い上げる手段として使用され、それによりユーザーがこれを回収するためにかがむ必要をなくし、またゴルフクラブが練習で何度もスイングしゴルフボールの放出が本発明に従って行われる場合、次の練習のためボールを回収し所定位置に再び挿入することのできる能力は有用である。
別の実施態様では、凹部は挿入体を受け入れ、一方挿入体は、ゴルフクラブと共に使用する別の練習具を受け入れ配置させることができるようにしてもよい。このような練習具の例は整合具(alignment device)である。
【0027】
本発明の第三の局面によれば、パターヘッドに適当な手段により取り付けられているパターヘッド取付体であって、前記取付体は取付位置及び、少なくとも一つの凹部をその中に限定する少なくとも一つの弓形面あるいは端部もしくは別の平板面あるいは端部を規定し、前記凹部はパターヘッドの後ろに規定されており、ボールがユーザーによりパターをスイングする間前記面あるいは端部と接触しているとき、前記凹部は通常のゴルフボールの形の対象あるいは物体を受け入れ、その動きを打撃面と平行方向に限定するよう構成されている取付体、が提供される。
取付体は好ましくは取付位置後方に弓形の輪を有し、これを規定する端部または面は、通常のゴルフボールの直径より限界的に大きい分離部分(separation)を有する。
別の実施態様では、取付体には、取付体位置後方に実質的に平行に伸びる一対の離間した肢部が設けられ、肢部の分離部分は通常のゴルフボールの直径より限界的に大きい。
好ましくは取付手段は、均一で繰り返し使用可能な取付体を前記パターヘッドに確実に取り付ける。
【0028】
本発明の別の局面では、ゴルフボールをゴルフクラブヘッドに保持する手段を有するゴルフクラブを用いて、ゴルフスイングを改善する練習方法であって、前記ゴルフボールがクラブのスイング中、ゴルフクラブヘッドから離脱できるようにした方法において、前記練習方法が、ゴルフボールをゴルフクラブヘッドの保持位置に配置し、ゴルフクラブヘッドをスイングし、スイングするとスイング中にゴルフクラブヘッドから放出されたゴルフボールの軌道及び速度を観察すること、からなる方法が提供される。
本発明は、添付図面を参照しながら説明する以下の記載により、いっそう明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるパターの斜視図である。
【図2A】それぞれ本発明の範囲に入る改変したパターヘッド構造の平面図である。
【図2B】それぞれ本発明の範囲に入る改変したパターヘッド構造の平面図である。
【図2C】それぞれブレード(blade)パターヘッドに取り付けられた本発明の別の局面の取付体の平面図である。
【図2D】それぞれブレード(blade)パターヘッドに取り付けられた本発明の別の局面の取付体の平面図である。
【図3】それぞれ練習具としてのパターの使用態様の斜視図である。
【図4】それぞれ練習具としてのパターの使用態様の斜視図である。
【図5】それぞれ練習具としてのパターの使用態様の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
まず図1に関し、パターヘッド2が示されており、これは、打撃面4、側面6、8、後面10を有し、これらは全体的にパターヘッドの本体12を規定している。孔の形の凹部14が本体12中に設けられており、その厚さ方向全体にわたっている。孔14は、パターヘッド2の本体12の中に、横軸16および縦軸18を中心として実質的に対称的に配置されているけれども、孔の中心の正確な位置は本体12の中で異なっていてもよく、それにより、打撃面4の全体的に14で示されるスイートスポットの位置及び寸法に関する選択あるいは実験に従って、前記軸16,18のいずれかから分かれる。また、孔14の位置を変えることによりパターヘッドの動的、振動的特性が変わることが理解されるべきである。このような特性は、さらに、パターヘッド2のトウ位置24あるいはヒール位置26のトウ荷重20及び/あるいはヒール荷重22を設けることにより、変えられる。かくしてさまざまな変更及び改善を、望みに応じてパターヘッド2に加えることができる。そのような変更のひとつの例は、ゴルフクラブヘッドにひとつあるいは複数の孔を設けることであり、これは、単一の孔14に関して既に記載した機能と同様に機能する。
【0031】
ヒール域26には更に位置(location)28が設けられており、これにはパターシャフトが接続されており、それにより、ユーザーがパターを振ることができる。このようなシャフトは図3−5の番号30に示されている。図1のパターヘッドはマレット(mallet: 打球槌)型のパターヘッドが示されているが、様々の形式のパターヘッドを採用することができ、本発明によれば他のゴルフクラブ、例えばドライバーあるいは“ウッド”ゴルフクラブであってもよい。図2のパターヘッドには、更に、溝つき域32が設けられ、これは端部34,36を有し、端部はトウ域及びヒール域24,26の上面から奥まっている。このような特徴は本発明には不可欠というわけではないが、この特徴を有するパターは、打撃面4で打たれたボールの38で示す望ましい飛行方向と整合することができる。なぜなら、前記溝端34,36が目立たない端部(discreet edges)40,42を規定しており、これは望ましい打撃方向38と実質的に平行であり、また打撃面4と垂直であるからである。
【0032】
次に図2A及び2Bに関し、パターヘッド2の択一的な構成が示されている。図2Bでは、パターヘッド50にはその後面にU字型凹部52が設けられている。パターの正確な整合は、凹部52を規定する別の内部面54、56により達成される。なぜならこれら内部面は、パターヘッドの一番上の面58の端部を規定し、これらは、望ましい打撃方向と平行であり、打撃面4と垂直であって、図1に関して説明した端部40、42と同様である。
別のパターヘッド60が図2bに示され、孔62が設けられており、その中心は横軸62及び縦軸64双方からそれている。整合手段66,68が、図1に関して説明した態様と同様な態様で設けられている。
【0033】
本発明の主たる特徴は、前記凹部がどのような形であれ、その中に収容される物体、例えば通常のゴルフボールの形の物体、の直径より限界的に大きい相対的寸法を有することが好ましく、従ってこのようなゴルフボールは前記孔及び凹部に許容差をもって受け入れられる。凹部52の場合、端部54と56との距離は通常のゴルフボールの直径より限界的に大きく、また円形孔14,62の場合その直径はゴルフボールの直径より限界的に大きい。従って、バックスイング及びパターを振り切る場合、前記孔及び凹部は、ゴルフボールが長手軸18,64の方向に大きく動くことがないようにし、図2aの場合には、軸船59の方向に大きく動くことがないようにする。この特徴は、図3−5に関してより詳細に説明される。
【0034】
図2C及び2Dに関し、代替となる実施態様が示されており、これによれば、取付手段72を有する取付体70が設けられ、これは理想的にはパターヘッド74の打撃面4を妨げることはない。この取付体は図1,2A及び2Bと関連して説明した孔14,62及び凹部52と広い意味で同様に機能する。図2C及び2Dの双方において、取付体70の相対的な寸法は通常のゴルフボールの直径より限界的に大きく、それによりゴルフボールは図2Cの場合には後方に伸びる一対の脚75,75’により規定される凹部76により、また図2Dの場合には円形輪の内側壁77により受け入れることができる。前記壁75,75’あるいは77は、パット(putting stroke)中、パターヘッドの打撃面4と平行である方向にゴルフボールが大きく動かないようにする。
【0035】
図3〜5に関し、図1と関連して記載したパターヘッド2がシャフト30と共に設けられ、シャフトはユーザー(図示せず)に握られ、望ましい打撃方向38に沿うよう、前記ユーザーにより整合される。この整合は正確なパットのためには重要であり、パターヘッド2の上面に設けた端部40,42により支援され、ユーザーは、望ましい打撃方向38にパターの打撃面4が向いているかどうかを確かめることができる。なおクラブヘッドの材料が記載されるような溝を設けることができないようなものである場合、端部40,42はクラブの上側面に適用される塗布線で代替されてもよい。
【0036】
凹部の壁も、ゴルフスイング中物体の保持及び放出の選ばれた瞬間を制御するように形成されている。例えば、壁は直線状、凸状あるいは凹状であってよく、ある実施例では、孔は挿入スリーブの列の一つを選択的にうけいれるように設けられており、スリーブのそれぞれは、相異なる内壁構成を持ち、それにより種々の練習目的に従って凹部の特性が変えられるようになっている。
ゴルフコースにおけるプレイ中では、望ましい打撃方向のマーキングがないことは明らかであり、ユーザーはパターの整合を支援するためには、整合端部40、42しかもっておらず、この場合打撃面4は、想像上の望ましい打撃方向に対して正確に垂直である。
一つの凹部を有するパターヘッド2を用いて練習するためには、一対のゴルフボール80,82が設けられる。第一のゴルフボール80は打撃面4の前に配置され、第二のゴルフボール82はパターヘッド2の孔14中に配置される。本発明のパット練習具の目的は、打撃面4とボール80との間のインパクト中、打撃面4と望ましい打撃方向38とが正確に垂直になっていること、及びユーザーがすべてのパット打ちにおいて、正確なスイング弧を描くことができるようにすること、である。
【0037】
このことは、以下のようにして達成される:
図4では、パターヘッド2は、バックスイング弧84から図示の位置までボール80からしりぞいている。図からは、ボール82は練習を行う地面86のみにより支えられていることがわかる。従ってパターヘッドはバックスイング弧84を中心として回転し、地面86から上昇すると、ボール82は単純に重力により孔14から落ちるが、それにもかかわらず望ましい打撃方向38の線に沿うよう、ただし逆の態様でないように移動するよう限定される。図からは、ユーザーのバックスイングの終端では、パターはボール82が孔14から完全には放出されない厚さであって、ボールがパター2の下端面の壁に一部保持されていることがわかる。
【0038】
また正確な打撃方向を生じるスイング弧と対照的に、パット打ちにおいて手首を曲げること、インパクトの時にあまりにも的を絞って集中すること、パットが下手なことはプレーヤーの共通の欠点である。
【0039】
第一の欠点に関し、図には示されていないけれども、プレーヤーの腕及び手首がパット打ちの間を通じて理想的に固定した状態にあり、肩だけが打撃をすべく回っており、このようにして打撃の均一で正確な方向が得られる。(しかし)打撃中に手首が曲がると、パターヘッドがバックスイング及び振り切る際に、プレーヤーの腕及び手首が固定した状態にあるときよりも大きい程度に、地面の上に上昇する。本発明の練習具はパターの下手な人のこの欠陥を迅速に修正することを可能にする。なぜならボール82は、打撃中プレーヤーが手首を曲げると孔から放出され、一方正しく打撃を行った場合には、手首は曲がらず、パターヘッドは地面86の上にゆっくりとかつより小さい程度に上昇するだけであるからである。更に、本発明のパターは一個のみのボール82を用いる練習具として使用することもでき、そのような構成の場合、プレーヤーは打撃中いつでもボール82を孔14の中に保持するようにすることにより、パット打ちに磨きをかけるよう使用することができる。
【0040】
第二の欠陥について、本発明による練習具は、打撃面とボールとの間のインパクトにユーザーの精神を集中させない(defocusses the mind)ようにする。実際そのようなインパクトを実際に起こす必要はない(上述のようにパターにより打たれるべきボール80を設ける必要がないからである)。この形式の練習はプレーヤーに対して、打撃面のインパクトに的を絞って集中することなく“ボールを通じてプレーする(play through the ball)”を教える点で貴重である。あらゆるスポーツにおいて、実際にスポーツをおこなう上でメンタルなアプローチをすることは実際に求められており、例えば短距離走において、短距離走者がゴールラインを超える点に向かうメンタルなアプローチをすることは、すぐれた動作であることは明らかである。本発明の練習具はこれを達成する。
【0041】
パターヘッドが図4に示す位置からダウンスイングして図5に示す位置に達すると、ボール82は、地面86上のゴルフボール82の直径に少なくとも等しい距離分パターヘッド2が上昇するまで、捕捉される。この段階ではボール82は孔14から放出され、この時点におけるパターヘッド2の角速度の結果として、ボール82には前記パターヘッドの角速度に直接比例する前進速度が付与される。図4に示す位置から図3の静止位置にパターヘッド2が戻ると、打撃面4がボール80にインパクトを与え、それにより前進速度が前記ボールに与えられることに注意すべきである。このインパクトにより、またインパクト後のパターヘッドの角速度がインパクト時のそれよりも一般的に低いという事実により、ボール82はボール80よりも小さな角速度を与え、従って前記ボール80よりもいくらか遅れる。
【0042】
上記のパターヘッドは、パターヘッド2をもつパターのユーザーが、番号85で示されるユーザーのスイングでのフォロースルーの弧が正しい面にあるかどうかを確かめることができる点で、練習具として機能する。この場合、ボール82に付与される速度の方向は、ボール80が既に移動している方向と同じであり、理想的にはこれらの方向が共に、望ましい打撃方向38と同じである。
【0043】
ゴルフボールのパターが下手な人の共通する欠点は、ボール80を打った後、本体方向にパターヘッドを引く傾向があることであり、このような状態の場合、パターヘッド2は全体的に点線88で示される路を辿る。パターヘッド2のスイング弧が習慣的に例えば88などの正しくない軌道に沿っている場合、そのプレーヤーの誤りは本発明の練習具を用いることにより直ちに明らかになる。なぜならボール80が少なくともある程度望ましい打撃方向38に沿って飛ぶとしても、第二のボール82が、パターヘッドの孔14の中から全体的に点線90で示される方向に放出されるからである。スイングの不正確なパット弧のこのような瞬間的な評価は、現在流通しているパット練習具では不可能であった。
【0044】
図2A及び2Cで示されるパターヘッドは、図1,2B及び2Dで示されるパターヘッドに対し、打撃面の前及びパターヘッド2の前及び後ろの双方に望ましい打撃方向38に沿って地面86にマークすることが必要、という点で、異なる作用をする。図2A及び2Bに示されたパターヘッドは、パットのスイング時に、プレーヤーのスイング弧を正しい理論的弧84に理想的に適合させる。以後は凹部52、76の中に配置されたボールは、バックスイングの先端に達したときにはパターヘッドからはなれてマークされた望ましい打撃方向38に沿って飛び、また図5の番号88で示されるようなスイングの正しくない弧がプレーヤーにより習慣的に得られる場合、パターヘッドからはなれたボールの飛行方向は、マークされた望ましい打撃方向38と競うことになる。かくして図1に示すパターヘッドを使用する練習方法を行うことができ、この場合その練習方法では、三個の通常のゴルフボールが使用され、その二つは図3のゴルフボール80,82の位置にあり、第三のゴルフボール(図示せず)が後面10のすぐ後ろであって望ましい打撃方向38を示すマークされた線のすぐ上にある。このような方法では、プレーヤーのバックスイング及び振り切りの双方は、番号84及び85で示される理論的に正しい弧にしたがうことになり、この場合、第二ゴルフボール82は、インパクト後ボール80がとる軌道を飛ぶこと、また第三のゴルフボールが望ましい打撃方向38を示すマークされた線の方向であるがボール80,82と逆の方向にとぶことを確かめる。
【0045】
図1,2A、2Bで示される構成を有するパターヘッドはいくつかの補足的な特徴を有し、特に孔14は複数設けることができ、その一つはパターヘッド2のトウ24に向いて設けられ、他方はヒール26方向に配置される。このような状態では、一対のゴルフボールはパターヘッドの二つの孔の中に配置され、練習具として使用する場合には、速度が望ましい打撃方向38の両側の、前記孔に配置された双方のゴルフボールに付与される。プレーヤーのスイング弧の欠点はパターヘッド2の場合よりも、より明瞭となり、またこのような修正されたパターヘッドは、インパクト時およびその後の打撃面の特定の方向付けを評価するために、使用することができる。
【0046】
種々の異なる挿入体あるいはプラグを設けることが提案されており、これらは、特定のプレーヤーに適した望ましい動的、振動的特徴を通常のプレイにおいて得たい場合、孔に挿入される。また溝つきの孔を設けることが提案されており、その直径はパターヘッドの厚さ方向に向かって変動し、特にパターヘッドの上面から下面に向かって孔の直径は大きくなり、このことは、ボール82の早い放出を可能にする。これによりプレーヤーの短いパットを試験する場合に有利であるか、あるいはプレーヤーのスイング弧がほぼ正しいかわずかな修正が必要な場合に有利である。
【0047】
別の提案は、孔14の内側面に弾性リングを設け、通常のプレイでパターを使用するプレーヤーがパターヘッドをボール上に単に駆り立ててボールが孔の中に位置し弾性リングと係合して保持されるよう、ボールを地面から持ち上げられるようにすることである。
パターヘッド2の全体的な美的概観を向上させるために、孔の上面及び/あるいは下面を覆うキャップを設けてもよく、このようなキャップは識別目的に用いることもでき、あるいはキャップに更に調節手段を取り付けてパターヘッドとプレーヤーとの調節能力を高めるようにしてもよい。
【0048】
キャップと挿入体、あるいは孔を有するプラグは透明にしてもよく、実際のところパターヘッド全体を透明材料で形成してもよい。
更に別の挿入体を凹部に受け入れるために設けてもよく、荷重として使用できる。挿入体はまたそれぞれ異なる荷重部分及び/あるいは一個または数個の凹部をその一番上の面に設け、パター及び挿入体のユーザーが、クラブヘッドに対して挿入体の位置を典型的には回転により変えることができること、従って、孔の中に配置したときには荷重配分を変えプレーヤーの特定の好みに適合するよう動的及び振動的特徴を変えたパターヘッドを得るようにする。ある実施態様では、前記荷重の望ましくない移動あるいは回転は、簡単なロック具により容易に防止することができ、これは例えば、パターヘッドの孔に好適に配置されたアレンキー(allen key)を用いた荷重表面を締めることができるグラブねじ(grub screw)により行われる。
当業者には本発明の精神から逸脱することなく、本発明について様々の変更や修正を行うことができることは理解されるべきであろう。
【符号の説明】
【0049】
2,50,60,74 パターヘッド
4 打撃面
6、8 側面
10 後面
12 本体
14、52、62 凹部、孔
24 トウ(位置)
26 ヒール(位置)
30 シャフト
32 端部34,36を有する溝つき域
38 望ましい飛行方向
70 取付体
80,82 ゴルフボール
84 正しい理論的弧
88 正しくない軌道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファーのパットのスイングを改善するための練習の補助手段として、それに固定されている取付体を有するゴルフクラブを使用するための方法であって、前記ゴルフクラブがヘッドを有し、前記取付体が前記ヘッドに固定されるための取付位置を有し、その中に少なくとも一つの孔を規定している少なくとも一つの面を有し、前記方法が、スイングを始める前にゴルフクラブヘッドが静止し、地面と接している状態で、前記孔内の保持位置内に第一のゴルフボールを置くステップと、前記クラブヘッドが地面上の前記第一のゴルフボールの直径に少なくとも等しい距離より高く上がらないように、前記ゴルフクラブヘッドでバックスイングを行うステップと、前記ゴルフヘッドが、地面上の前記ゴルフボールの直径に少なくとも等しい距離だけ上がる時間まで、前記第一のゴルフボールが前記孔内に保持されたままの状態になるように前記スイングを行うステップと、前記第一のゴルフボールが前記孔から離れ、前記ゴルフヘッドの速度に正比例する放出速度が与えられ、打撃方向及びスイングの弧が正しい方向にあるかどうかを確かめるために、スイングの間前記第一のゴルフボールが前記孔から離れる時に、前記第一のゴルフボールの方向及び/または速度を監視する方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの孔は、前記ゴルフヘッドのボールを打つ面及び前記取付体の後方に規定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第二のゴルフボールが地面上のボールを打つ面の前に位置していて、前記第二のゴルフボールが前記スイング中に打たれ、前記ボールに前方への速度が与えられる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第一のゴルフボールに与えられた前記放出速度が、前記第二のゴルフボールに与えられた前方への速度より小さい、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記スイングが正しい方向及び面内で行われた場合には、前記第一のボールに与えられた速度の方向が、すでに飛んでいる前記第二のゴルフボールの速度の方向にほぼ等しい、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記第一および第二のゴルフボールの速度の方向が、前記第二のゴルフボールを飛ばすべき望ましい打撃方向にほぼ等しい、請求項2記載の方法。
【請求項7】
第三のゴルフボールが、前記ゴルフクラブヘッドの後面の後に隣接して配置され、前記第三のゴルフボールが、バックスイングのスタート時に打たれる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記スイングが正しい方向及び面内で行われた場合に、前記第三のゴルフボールが前記第一および第二のゴルフボールとは反対方向および望ましい打撃方向に飛ぶ、請求項7記載の方法。
【請求項9】
孔がヘッドにおいて規定され、前記ゴルフヘッドが、地面上の前記ゴルフボールの直径に少なくとも等しい距離だけ上がる時間までスイングを始める前に前記ゴルフクラブヘッドが静止し、地面と接している状態で、前記ヘッドの前記孔内に更なるゴルフボールが保持され、前記第一のゴルフボール及び前記更なるゴルフボールが前記孔から離れ、前記ゴルフヘッドの速度に正比例する放出速度が与えられる、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−152427(P2011−152427A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−43317(P2011−43317)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【分割の表示】特願2002−583043(P2002−583043)の分割
【原出願日】平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願人】(503384694)ゼン コーポレイション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】