説明

ゴルフクラブシャフト

【課題】長さを調整できるゴルフクラブシャフトを提供する。
【解決手段】エンドポイント344を備えたグリップ部分を有する長さ可調整ゴルフクラブシャフト300を開示する。係止素子314はグリップ部分内に位置し、係止素子に摩擦接触する内側表面を有する下方シャフト328も開示する。係止素子は下方シャフトの内側表面に係合するように形状づけられる。ゴルフクラブシャフトの全長は少なくとも1インチ(約25.4mm)の距離ずつ調整でき、重量区域内のゴルフクラブシャフトの全重量は110グラム以下である。重量区域はゴルフクラブシャフトの中心軸線に沿ってシャフトの先端部分に向かってグリップ部分のエンドポイントから11インチ(約279.4mm)延びる区域として定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブシャフトに関する。特に、本発明は調整可能なゴルフクラブシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフは、多くの種類のクラブを使用してプレーヤーがゴルフコースの各ホールにおいてできる限り最少ストローク(打数)でボールを打つゲームである。ボールを長距離飛ばすために、典型的にはティーグラウンドで金属ウッドを使用する。
【0003】
典型的な金属ウッドのシャフトは一定の長さであって、調整できない。典型的な金属ウッドシャフトのグリップはクラブヘッドに関して静止しており、使用者は、シャフトを一層短くするためにシャフトを切断するか、または、長さを増大させるために別のシャフトを購入する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施の形態においては、この開示はヒール部分と、トウ部分と、クラウンと、ソールと、フェースとを有するゴルフクラブヘッドを説明する。
本発明の1つの態様によれば、係合機構と、ドライブシャフトと、係止素子と、下方シャフトとを有する調整可能な長さの(長さ可調整)ゴルフクラブが提供される。ドライブシャフトは係合機構に接続され、係合機構による運動時に回転するように形状づけられる。本発明の1つの例においては、長さ可調整ゴルフクラブシャフトはグリップ部分を含んだものとして説明する。グリップ部分はエンドポイントを含む端区域を有する。グリップ部分内に位置する係止素子も説明する。内側表面を有する下方のシャフトは係止素子と摩擦接触する。係止素子は下方のシャフトの内側表面に係合するように形状づけられる。ゴルフクラブシャフトの全長は少なくとも1インチ(約25.4mm)の距離調整でき、重量区域におけるゴルフクラブシャフトの全重量は110グラム以下である。重量区域はゴルフクラブシャフトの中央軸線に沿ってシャフトの先端部分の方へグリップのエンドポイントから11インチ(約279.4mm)延びるゴルフクラブシャフトの領域として定義される。
【0005】
グリップ部分は下方シャフトに関して調整可能であり、ストッパは、下方シャフトがグリップ部分から完全に離脱するのを阻止する。ゴルフクラブシャフトの全長は少なくとも2インチ(約50.8mm)、3インチ(約76.2mm)又は4インチ(約101.6mm)の距離調整できる。
【0006】
重量区域におけるゴルフクラブシャフトの全重量は85グラム以下か、75グラム以下か、65グラム以下か又は55グラム以下である。
更に別の例においては、係止素子は少なくとも2000Nの軸方向の荷重中にグリップ部分と下方シャフトとの間の軸方向運動を阻止する。
【0007】
別の例においては、第1のキー構造部分は中央軸線のまわりで対称的である。第1のキー部分は少なくとも1つのスプライン又は3つのスプラインを含むことができる。少なくとも1つの第1のキー部分は下方シャフトに沿った少なくとも2つのキー区域を含むことができる。
【0008】
1つの例においては、グリップ部分は少なくとも1つの第1のキー構造部分と係合するように形状づけられた少なくとも1つの第2のキー構造部分を含む。
更に別の例においては、ゴルフクラブの全長は約40インチ(約1016mm)と約48インチ(約1219.2mm)との間にある。グリップ部分は0.700インチ(約17.78mm)よりも小さな外径を有する上方シャフト部分を含み、下方シャフトは0.450インチ(約11.43mm)よりも大きな外径を有する。
【0009】
1つの例においては、グリップ部分は0.650インチ(約16.51mm)よりも小さな外径を有する上方シャフト部分を含み、下方シャフトは0.500インチ(約12.7mm)よりも大きな外径を有する。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、下方部分と、係合機構に接続されたグリップ部分とを有する長さ可調整ゴルフクラブシャフトを説明する。グリップ部分は0.700インチよりも小さな外径を有する上方シャフト部分を含む。シャフトは係合機構に接続され、係合機構による運動時に回転するように形状づけられる。係止素子はシャフトに接続される。係止素子は少なくとも1つの係止インサートと、少なくとも1つの係止インサート上に位置する少なくとも1つの係止カラーとを含む。少なくとも1つの係止インサートは軸方向の運動時に少なくとも1つの係止カラーと係合するように形状づけられる。少なくとも1つの係止カラーに摩擦接触する内側表面を有する下方シャフトも説明する。下方シャフトは0.450インチよりも大きな外径を有する。シャフトによる第1の回転方向における第1の回転運動は少なくとも1つの係止インサートを少なくとも1つの係止カラーに係合させて、少なくとも1つの係止カラーと下方シャフトの内側表面との間で摩擦係止係合を生じさせる。
【0011】
更に別の実施の形態においては、ゴルフクラブシャフトの全長は少なくとも1インチの距離調整でき、重量区域内でのゴルフクラブシャフトの全重量は110グラムよりも小さい。重量区域はゴルフクラブシャフトの中央軸線に沿ってグリップ部分のエンドポイントから11インチだけ延びるゴルフクラブシャフトの区域として定義される。係止素子に摩擦接触する内側表面を有する下方シャフトも説明する。シャフトによる第1の回転方向における第1の回転運動は係止素子を下方シャフトの内側表面に係合させ、シャフトによる第2の回転方向における第2の回転運動は係止素子を下方シャフトの内側表面から係合解除させる。
【0012】
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点は添付図面を参照して行う以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1はこの開示に係るゴルフクラブの実施の形態を示す。
【図2】図2は第1の実施の形態に係る調整可能なシャフトの分解部品組立て図である。
【図3A】図3Aは係止位置における調整可能なシャフトの断面組立て図である。
【図3B】図3Bは非係止位置における調整可能なシャフトの断面組立て図である。
【図3C】図3Cは図3Bから取った係止素子の詳細断面図である。
【図3D】図3Dは図3Bから取ったストッパの詳細図である。
【図3E】図3Eは図3Bの3E−3E線における断面図である。
【図4】図4は別の実施の形態に係る断面図を示す。
【図5】図5は別の実施の形態に係る断面図を示す。
【図6A】図6Aは1つの実施の形態に係る係止素子の斜視図を示す。
【図6B】図6Bは係止素子の断面図を示す。
【図6C】図6Cは係止素子の底面図を示す。
【図7A】図7Aはキー部分を有する下方のャフトを示す。
【図7B】図7Bは上方のシャフトと一緒に組立てられた下方のャフトを示す。
【図8】図8は多数のキー部分を備えた下方のャフトを示す。
【図9】図9Aは別の実施の形態に係る断面組立て図を示し、図9Bは別の実施の形態に係る係止素子の斜視図を示す。
【図10】図10は別の実施の形態に係る断面組立て図を示す。
【図11】図11は別の実施の形態に係る断面組立て図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に述べる詳細を参照して本発明の種々の実施の形態及び態様を説明し、添付図面は種々の実施の形態を示す。以下の説明及び図面は本発明を示すものであって、本発明を限定するものと解釈すべきではない。多数の特定の詳細は本発明の種々の実施の形態の完全な理解を提供するために説明する。しかし、ある例においては、本発明の実施の形態の精確な説明を提供するために周知の詳細又は従来の詳細は説明しない。
【0015】
図1はグリップ部分102と、下方のャフト104と、クラブヘッド106とを有するゴルフクラブ100を示す。図1に示す実施の形態においては、ゴルフクラブ100は金属ウッド形式のクラブヘッドであるが、ここで述べる調整可能なシャフトはパター及びアイアンを含む任意の形式のゴルフクラブに適用することができる。クラブヘッド106はヒール108と、トウ110と、ソール112とを含む。下方シャフト104はゴルフクラブ100のシャフトの全長及び軸方向中心線に沿って延びる中心軸線114を含む。第1の軸方向116はクラブヘッド106の方に向かいシャフト軸線114に平行な方向へ延びるものとして示す。さらに、図1はさらにクラブヘッド106から離れるように向かい第1の軸方向116の方向とは反対の方向に延びる第2の軸方向118を示す。第2の軸方向118はまたシャフト軸線114に平行である。ゴルフクラブ100はさらに中心軸線114に沿ってクラブヘッド106から離れる方向における最も遠い地点であるエンドポイント124を含む。
【0016】
クラブヘッド106はフェース部分120と、フェース部分120の幾何学的中心として定義される中心フェースポイント122とを含む。中心フェースポイント122は2005年3月25日発行のUSGA「ゴルフクラブヘッドの撓みを測定する手順」(Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubhead)の改訂版2.0に従って画定される。
【0017】
図2は1つの実施の形態に従った例示的な調整可能なゴルフクラブシャフト200の分解部品組立て図を示す。調整可能なゴルフクラブシャフト200はグリップカバー204と、グリップ端開口202と、上方ハウジング部分208と、下方ハウジング部分210と、ドライブボルト206と、ドライブシャフト212と、ストッパ216と、係止素子即ち機構214と、プラグ218と、上方シャフト222と、上方シャフトキー部分220と、ストッパ224と、下方シャフト228と、下方シャフトキー部分226と、中心軸線230とを含む。(モールド成形されたグリップである)グリップカバー204及び上方シャフト222はここでは「グリップ部分」として参照する。
【0018】
図3Aは図2に示すようなシャフトと同様の調整可能なゴルフクラブシャフト300の組立て断面図を示す。グリップカバー304は上方シャフト322の外表面を囲む。上方シャフト322は中心軸線330のまわりで下方シャフト328と同軸的に整合する。上方シャフト322及び下方シャフト328は重なり区域を有し、この区域では、上方シャフト322は下方シャフト328を入れ子式に受け入れる。下方シャフト328は、上方シャフト322に関して下方シャフト328の長さを調整できるように、上方シャフト322と摺動係合する。しかし、係合したキー区域320は、下方シャフト328のキー部分が下方シャフトのまわりでの上方シャフトの回転を阻止するように上方シャフト322のキー部分と係合するのを許容する。これについては後に更に詳細に示す。
【0019】
1つの実施の形態においては、上方シャフト322はグラファイト又は炭素複合材料で構成され、一方、下方シャフト328もまたグラファイト又は複合材料で構成される。上方シャフト322及び下方シャフト328の軽量構成は、調整可能なクラブの重量が重量しきい値よりも小さくなるのを許容する。
【0020】
図3Aは上述したようなグリップカバー304、グリップ端開口302、上方ハウジング部分308、下方ハウジング部分310、ドライブボルト306、ドライブシャフト312、ストッパ316、係止素子314、プラグ318、上方シャフト322、上方シャフトキー部分320、ストッパ324、下方シャフト328、下方シャフトキー部分326及び中心軸線330を示す。上方シャフトキー部分320はキー接面区域で下方シャフトキー部分326と係合する。図3Aにおいて、係止素子314は係止位置において示す。
【0021】
さらに、上方ハウジング部分308及び下方ハウジング部分310は係合区域336でネジ係合する。下方ハウジング部分310は、上方ハウジング部分308を下方ハウジング部分310に固定する前に、ドライブボルト306を受け入れる。ドライブボルト306はさらにハウジング部分308、310内でドライブボルト306を保持する棚部分を有する。ドライブボルト306の棚部分は上方ワッシャ332と下方ワッシャ334との間に位置する。
【0022】
ドライブボルト306は6点駆動である駆動部分を含む。駆動部分は六角ソケット、フィリップス、溝穴、TORX(登録商標名)、スプライン、または、駆動工具を受け入れることのできる他の既知の駆動形状とすることができることを理解されたい。
【0023】
ある実施の形態においては、上方ワッシャ332はナイロン6/6のようなポリマー材料又は熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、PVC、ABS、ポリカーボネート、ポリウレタン、酸化ポリフェニレン(PPO)、硫化ポリフェニレン(PPS)、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン及びエンジニアリング熱可塑性材)で構成される。上方ワッシャ332の一層小さな摩擦及び僅かな可撓性は、中心軸線330のまわりでのドライブボルト306の回転をも許容しながら、上方ハウジング308と下方ハウジング310との間の固定係合を保証する。
【0024】
ある実施の形態においては、下方ワッシャ334はドライブボルト306の棚部分との低摩擦係合を許容し、それによってドライブボルト306の低摩擦回転を許容するように、銅、錫、青銅、黄銅、鋼又はアルミニウムのような任意の金属材料で構成される。
【0025】
上方ワッシャ332及び下方ワッシャ334はここで述べた材料の任意のもので作ることができることを理解されたい。
ドライブボルト306の下方部分はドライブシャフト312の上方端部内に挿入される。1つの実施の形態においては、ドライブボルト306は接面表面338に沿って接着性エポキシによりドライブシャフト312に接着固定される。接面表面338の量はドライブボルト306の長さに依存する。他の実施の形態においては、ドライブボルト306は、ドライブボルト306がドライブシャフト312と同じ量だけ同時に回転するのを保証するように、機械的なファスナーによりドライブシャフト312に機械的に取り付け又はピン止めできるか又はキー止めできる。
【0026】
さらに、ドライブボルト306は、使用者がグリップの端部の開口302を通してドライブボルト306と一緒に係合工具を挿入するときに自由に回転できるような状態で、上方及び下方のハウジング308、310により軸方向で拘束される。換言すれば、使用者の工具はグリップの基端部を通してドライブボルト306と係合する。ある実施の形態においては、ドライブボルト306はアクセスを容易にするためグリップの端部の約25.4mm(1インチ)内に位置する。1つの実施の形態においては、上方ハウジング308及び/又は下方ハウジング310は上方シャフト322の上方端部の内側表面にボンド付け、溶接付け、機械的取り付け又は接着取り付けされる。
【0027】
図3Aはさらにドライブシャフト312の下方端部に位置するストッパ316を示す。ストッパ316はドライブシャフト312内に部分的に挿入され、係止素子がストッパ316に直接隣接する非係止位置に移動したときに係止素子314の過剰係合を阻止するように作用する。ストッパ316の存在が無い場合、係止素子314が第2の軸方向118において中心線330に沿って完全に係合解除された位置へ移動するときに、係止素子314が不当に停滞することがある。換言すれば、ストッパ316は、非係止位置へ完全に移動したときに係止素子314が動かなくなる即ち「固着する」のを阻止する補助を行う。図3Aに示すように、係止素子314は完全に係止した位置に位置し、この位置においては、係止素子314の部分即ちフィンガ/アームはプラグ318と下方シャフト328の内部表面との間で楔着される。これについては更に詳細に説明する。プラグ318は係止素子314のネジ区域に係合するネジ部分340を有する。
【0028】
1つの実施の形態においては、ストッパ324は上方シャフト322の下方端部に位置し、上方シャフト322と下方シャフト328との間の円滑な係合を保証するように作用する。ストッパ324はまた下方シャフト328からの上方シャフト322の完全な係合解除を阻止する。
【0029】
ある実施の形態においては、重量区域は重量区域距離dだけ中心軸線330に沿ってエンドポイント344から測定される片寄り(オフセット)平面346により画定される。重量区域距離dは中心軸線330に沿って測定した場合約279.4mm(11インチ)である。
【0030】
片寄り平面346は中心軸線330に対して垂直である。下方シャフト328が上方シャフト322内へ完全に挿入された(即ち引き込まれた)場合、重量区域は上述のようなエンドポイント344と片寄り平面346との間を延びる。完全に引き込まれた位置においては、重量区域は最も重い重量形状を有する。それゆえ、重量区域内の素子はゴルファーのスイング時の役に立たない衝撃を回避するためにある重量以下にしなければならない。重量区域内のクラブ(重量区域内のすべての部品及び材料を含む)の全重量が重過ぎる場合、ゴルファーは所望の感触及び実技を体験できないことがある。
【0031】
ある実施の形態においては、重量区域内のクラブの全重量は110グラム以下又は約110グラムと約15グラムとの間である。いくつかの実施の形態においては、重量区域内のクラブの全重量は85グラム以下又は約85グラムと約20グラムとの間である。1つの実施の形態においては、重量区域内のクラブの全重量は75グラム以下又は約75グラムと約25グラムとの間である。いくつかの実施の形態においては、重量区域内のクラブの全重量は65グラム以下又は約65グラムと約25グラムとの間である。さらに、ある実施の形態においては、重量区域内のクラブの全重量は55グラム以下又は約55グラムと約25グラムとの間である。
【0032】
図3Bは上述の素子及び非係止位置での係止素子314を有する図3Aに示す同じ実施の形態を示す。
図3Cは図3Bから取ったような非係止位置における係止素子314の詳細図を示す。プラグ本体318はプラグ318の全重量を減少させる中空の区域342を有する。さらに、プラグ318は係止素子314を受け入れるネジ区域340を有する。非係止位置においては、係止素子は第2の軸方向118に移動し、係止素子の頂部はストッパ316に当接するか又はこれと直接接触する。先に述べたように、ストッパ316はネジ区域340上での係止素子314の過剰締め付けを阻止する。係止素子314のフィンガ又は突起350はプラグの表面348と下方シャフト328の内部壁354との間でもはや楔着又は係合していない。それゆえ、上方シャフト322、ドライブシャフト312及び係止素子314とプラグ318とを含む係止組立体は下方シャフト328に関して第1の軸方向116又は第2の軸方向118のいずれかに移動することができる。
【0033】
使用において、1つの実施の形態においては、ドライブボルト306及びドライブシャフト312による第1の回転運動はプラグ318を回転させ、一方、係止素子314は内部壁354との摩擦係合接面352(又は更に詳細に説明する他の手段)により回転的に拘束されるか又は静止状態を維持する。プラグ318が回転し、ネジ部分340を介して係止素子314に係合すると、係止素子314は第1の軸方向116へ移動する。係止素子314が回転的に拘束されている場合でさえ、係止素子314は、回転的に拘束されたままで、中心軸線330に平行に軸方向へ移動することができる。第1の軸方向116への係止素子314の運動は下方シャフト328の内側表面とプラグ318との間で係止素子314の部分を係合又は楔着させ、係止位置にする。回転中にプラグ318のネジ区域340と係止素子314との間に生じる摩擦は、係止素子314の外側表面と下方シャフト328の内側表面354との間の摩擦に比べて、比較的小さい。したがって、係止後、調整可能なゴルフクラブシャフト300は使用の準備が整う。換言すれば、使用者により上方シャフト322又は下方シャフト328のいずれかに適用される力は、係止素子314が係合しているため、上方シャフト322と下方シャフト328との間でいかなる回転又は軸方向運動をも生じさせない。
【0034】
対照的に、第1の回転運動方向とは逆の方向におけるドライブシャフト312による第2の回転運動は係止素子314を下方シャフト328の内側表面354及びプラグ318から係合解除させる。それゆえ、係止素子314は下方シャフト328に関して第2の軸方向118へ移動する。したがって、係止解除後、調整可能なゴルフクラブシャフト300は、係止素子314の再係合前に、使用者により所望の位置へ調整できる。
【0035】
ある実施の形態においては、上方シャフト322は少なくとも76.2mm(3インチ)又は101.6mm(4インチ)運動することができる。他の実施の形態においては、上方シャフト322は約101.6mm(4インチ)と254mm(10インチ)との間で運動することができる。シャフトの形式に応じて、上方シャフト322は下方シャフト328に関して254mm(10インチ)以上運動することができる。
【0036】
図3Dは図3Bから取った上方シャフト322の端部に位置するストッパ324の詳細図を示す。いくつかの実施の形態においては、ストッパ324は、下方シャフト328が第1の軸方向116において上方シャフト322から完全に離脱するのを阻止するストッパとして作用することができる。1つの実施の形態においては、ストッパ324は下方シャフト328の外径表面と直接係合する。下方シャフト328のキー部分320はストッパ324の内径よりも大きな外径を有する。下方シャフト328のキー無し部分と上方シャフトの内径との間に、小さなギャップ356が存在する。それゆえ、上方シャフト322が第2の軸方向118へ完全に延びたとき、下方シャフト328のキー部分320はストッパ324の突出する棚と係合し、完全な係合解除を阻止する。
【0037】
図3Eは図3Bの3E−3E断面線における断面を示す。1つの実施の形態においては、キー部分320、326は相互係止するスプラインとして示す。1つの例においては、下方シャフト328のキー部分320はおよそ8個のスプラインを含む。1個のスプラインないし6個のスプラインのような任意の数のスプラインを使用できることを理解されたい。上方シャフト322のキー部分326は下方シャフト328のキー部分320と適合するように形状づけられる。相互係止するキー部分320、326は2つのシャフト間での回転運度が阻止されることを保証する。キー部分320、326は中心軸線330のまわりで対称的である。
【0038】
1つの実施の形態においては、下方シャフト328のキー部分320は下方シャフト328の外径を増大させるように複数の複合層即ち「蓄層」を適用することにより生じさせる。引き続いて、キー部分320は下方シャフト328の区分に沿ってスプライン歯を形成するように中心軸線330に平行に溝穴を切削又は機械加工することにより生じさせる。溝穴はまた中心軸線330に関して半径方向において切削される。
【0039】
下方シャフト328の内径358は、係止素子314の外側表面と下方シャフト328の内側表面354との間でいかに多くの摩擦係合を生じさせることができるかについて、重要な影響を有する。いくつかの実施の形態においては、内径358は約0.400インチ(10.16mm)ないし約0.550インチ(13.97mm)の間であり、好ましくは約0.440インチ(11.18mm)ないし約0.530インチ(13.46mm)の間である。
【0040】
図4は別の実施の形態に係る例示的な断面図を示す。グリップカバー404、中心軸線430、下方シャフトキー部分420、上方シャフトキー部分426、下方シャフト428及び上方シャフト422を示す。1つの実施の形態においては、3つの等間隔のスプラインは中心軸線430のまわりで対称的になっている状態で示す。
【0041】
図5は別の実施の形態に係る例示的な断面図を示す。グリップカバー504、中心軸線530、下方シャフトキー部分520、上方シャフトキー部分526、下方シャフト528及び上方シャフト522も示す。1つの実施の形態においては、キー部分は八角形状を形成する。いくつかの実施の形態においては、キー部分として作用するために他の幾何学形状を形成することができる。たとえば、三角形、六角形、五角形、切頭円、四角形又はD字形状の輪郭を下方シャフトの外側表面上に使用することができる。選択された幾何学形状はゴルフのUSGA規格に適合する。キー部分526、520により形成された幾何学形状は上方シャフト522に関する下方シャフト528の回転を阻止する。
【0042】
図6Aは端区域内に4つの膨張可能な部材即ちフィンガ602を有する係止素子600の例示的な実施の形態を示す。係止素子600は係止素子600の下方端部上に4つのタブ即ちフィンガ部分602を有する。フィンガ部分602は係止素子600の円周のまわりで互いに等間隔離れた4つの溝穴604により形成される。ある実施の形態は、本発明の要旨から逸脱することなく、3個以上の溝穴又は少なくとも4つの膨張可能なフィンガ部分を有することができることを理解されたい。少なくとも4つの膨張可能なフィンガ部分602を有することの少なくとも1つの利点は、係止位置で係合している状態で、係止素子600の円周及びプラグのまわりにおいて等間隔で分布する力を提供することである。ある実施の形態においては、フィンガ部分602は、フィンガ部分が上述のプラグの係合表面に係合するように、中心軸線606から外方へ離れるように偏倚することができる。
【0043】
随意には、係止素子は係止素子600の外側表面に適用できる摩擦コーティング608を含むことができる。1つの実施の形態においては、摩擦コーティング608はウレタン又はポリウレタンのコーティングである。摩擦コーティング608は係止素子600のベースシリンダの外側表面又はフィンガ部分602の外側表面に適用できる。さらに、摩擦コーティング608はフィンガ部分602及びベース部分を含む係止素子600の全体の外側表面に適用できることを理解されたい。
【0044】
図6Bはボア穴610、フィンガ部分602、中心線606、溝穴604、ネジ部分614及びベース部分612を有する係止素子600の断面図を示す。係止素子600はさらにフィンガ部分602に接続されているベース部分612を含む。ベース部分612及びフィンガ部分602の外径は上述のように下方シャフトの内径に摩擦係合する。
【0045】
本発明を適正に機能させるためには、係止素子600は、中心軸線606に沿っての軸方向の運動を許容しながら、プラグの回転中に下方シャフト内で回転的に拘束しなければならない。それゆえ、係止素子600とプラグとの間の摩擦係数は係止素子600と下方シャフト表面との間の摩擦係数よりも小さい。
【0046】
1つの実施の形態においては、係止素子600又はプラグは約0.252又はそれ以下の静摩擦係数値を有するガラス充填ポリカーボネート又はナイロン材料で構成される。別の実施の形態においては、係止素子600は約0.05又はそれ以下の摩擦係数値を有する(テフロン(登録商標名)のような)ポリ(テトラフルオロエチレン)材料、または、約0.192又はそれ以下の摩擦係数を有する(デルリン(登録商標名)のような)ポリオキシメチレン材料で構成される。好ましい実施の形態においては、約0.5以下の摩擦係数を有する材料が好ましい。他の好ましい実施の形態においては、係止素子600又はプラグに対して約0.3以下の摩擦係数が好ましい。別の例示的な実施の形態においては、係止素子600はアルミニウム又は低摩擦研磨金属材料で構成することができる。本発明の要旨を逸脱することなく、ここで述べた任意の低摩擦材料を使用できることを理解されたい。
【0047】
更なる実施の形態においては、係止素子600はベース部分612の外側表面及び/又は高摩擦コーティング又はスプレーで覆われたフィンガ部分を有する上述の低摩擦材料で構成される。摩擦コーティング又はスプレーは、軸方向に沿ってのカラーの自由摺動を許容しながら、増大した回転摩擦を生じさせるために提供される。1つの実施の形態においては、下方シャフトの内側表面は約0.80又はそれ以上の静摩擦係数を有する。
【0048】
1つの実施の形態においては、フィンガ部分602の端部は係止素子600と下方シャフトの内側表面との間の接触表面積の量を増大させる平坦部分616を有する。存在する接触表面積が大きいほど、係止素子が係止位置へ移動したときの摩擦係合が一層大きくなる。1つの実施の形態においては、(フィンガ部分602の外側表面から離れるような)平坦部分616のテーパ角度は約10ないし20度又はそれ以上である。
【0049】
図6Cは上述の素子を含む係止素子600の底面斜視図である。他の実施の形態においては、ドライブシャフトの回転時に係合する二重楔係止機構を含むKomperdell(登録商標名)Duo係止機構のような異なる形式の係止素子を使用できる。
【0050】
図9Aは別の実施の形態900に係る例示的な断面組立て図を示す。グリップカバー904、中心軸線930、下方シャフトキー部分920、上方シャフトキー部分926、下方シャフト928及び上方シャフト922を示す。1つの実施の形態においては、下方シャフトキー部分920は中心軸線930のまわりで対称的な4つの等間隔のスプラインを含む。
【0051】
図9Aはさらに(係止素子918のベース部分側から見たような)下方シャフト928内に位置する係止素子918を示す。係止素子918は、中心軸線930のまわりで等間隔かつ対称的に離間し、係止素子918のベース部分の外側表面上に位置するリブ即ちデテント910、911、912、914を含む。リブ即ちデテント910、911、912、914はドライブシャフトの回転中の係止素子918の回転を阻止するために4つの対称的に離間した切欠き又は溝902、906、907、908に係合するように形状づけられる。係止素子918は上述のようなネジ開口924及び係止フィンガ916を含む。1つの実施の形態においては、切欠き又は溝902、906、907、908は各々下方シャフト928の構造的な剛性を維持するために4つの位置において対応する下方シャフトキー部分920の区域に位置する。下方シャフトキー部分920の肉厚区域における切欠き又は溝902、906、907、908の配置はまた、下方シャフト928の壁が薄くなり過ぎ、機械的な故障を受けることを阻止する。
【0052】
図9Bは上述のようなベース部分932、フィンガ部分916及びリブ910、911、912、914及びネジ開口924を含む例示的な係止素子918の斜視図を示す。リブ910、911、912、914は各フィンガ部分916間に位置する溝穴913と整合するように位置決めされる。それゆえ、下方シャフト928の対応する溝902、906、907、908はまた溝穴913と整合する。したがって、フィンガ部分916は一層大きな摩擦接触を保証するように下方シャフト928の溝穴の無い表面とのみ係合する。
【0053】
図10は別の実施の形態に係る断面組立て図を示す。グリップカバー1004、中心軸線1030、下方シャフトキー部分1020、上方シャフトキー部分1026、係止素子1018、フィンガ部分1016、フィンガ部分溝穴1012、ネジ開口1024、下方シャフト1028及び上方シャフト1022を示す。
【0054】
さらに、フィンガ部分1016は第1のフィンガ1002と、第2のフィンガ1008と、第3のフィンガ1006と、第4のフィンガ1010とを有する。各フィンガは下方シャフト1028の内部表面1032と係合するように形状づけられた幾何学的表面を有する。1つの実施の形態においては、各フィンガは頂部即ち隆起部1014を形成する少なくとも2つの平坦表面を含む。各フィンガ部分1002、1008、1006、1010の頂部即ち隆起部1014はドライブシャフトの回転時の係止素子1018の回転を阻止するように下方シャフト1028の内部表面1032と係合する。
【0055】
1つの実施の形態においては、下方シャフト1028の内部表面1032は八角形形状を有するが、フィンガの数及び対応する表面幾何学形状に応じて、多くの異なる形状を使用することができる。先に述べたリブ即ちデテント及び対応する溝は図10の実施の形態において履行することができることを理解されたい。
【0056】
図11は別の実施の形態1100に係る別の断面組立て図を示す。グリップカバー1104、中心軸線1130、下方シャフトキー部分1120、上方シャフトキー部分1126、係止素子1118、フィンガ部分1116、ネジ開口1124、下方シャフト1128及び上方シャフト1122を示す。係止素子1118は先に述べたベース部分上に第1のリブ1110と、第2のリブ1112と、第3のリブ1114と、第4のリブ1111とを有する。リブ1110、1111、1112、1114は対応する下方シャフト1128の第1の係合溝1102、第2の係合溝1106、第3の係合溝1108及び第4の係合溝113によりそれぞれ受け入れられる。
【0057】
さらに、上方シャフト1122は各シャフトキー部分1126間に位置する少なくとも1つの中間溝1132、1133、1134、1136を有する。1つの実施の形態においては、4つの中間溝1132、1133、1134、1136が設けられる。中間溝1132、1133、1134、1136は、剛直で耐久性ある構造を維持しながら、重量区域内の重量を減少させるために上方シャフト1122から重量を除去するように形状づけられる。上方シャフトキー部分1126は回転を阻止するために下方シャフトキー部分1120と係合するように形状づけられた2つの突出部1125により形成される。中間溝1132、1133、1134、1136は上方シャフト1122の突出部1125間に位置する。
【0058】
上方シャフトの選択的な部分は上述の質量節約構造を含むことができることを理解されたい。たとえば、上方シャフト1122の中心軸線に沿った2又はそれ以上の区分は中間溝1132、1133、1134、1136を含むことができ、一方、上方シャフト1122の他の区分は一定の薄壁直径を有するか又は中間溝を有しない。
【0059】
図7Aは上述のような中心軸線708、キー部分長さ706、キー部分710及び溝穴712を含む例示的な下方シャフト700を示す。さらに、下方シャフト700は第1の外径714を有するキー部分706及び第2の外径を有するキー無し部分716を含む。キー無し部分716はまたシャフト壁厚さ704を有する。いくつかの実施の形態においては、シャフト壁厚さ704は約0.5mmないし1.5mmの間にあり、好ましくは約1mmである。
【0060】
いくつかの実施の形態においては、第1の外径714は約0.500インチ(約12.7mm)ないし約0.700インチ(約17.78mm)の間にある。1つの実施の形態においては、第1の外径714は約0.600インチ(約15.24mm)又は約0.680インチ(約17.27mm)である。
【0061】
キー部分710の長さ706は約101.6mm(4インチ)ないし約279.4mm(11インチ)の間の軸方向長さである。1つの実施の形態においては、キー部分706は約254mm(10インチ)又は約148mm(5.8インチ)の軸方向長さを有する。キー部分710は複数のセグメントとして提供することができることを理解されたい。たとえば、上述のキー部分長さ706内で、2個、3個又はそれ以上のキー部分710を下方シャフト700上で間欠的に設けることができる。図面を簡略化するため、1個のみのキー部分710を図7Aに示す。
【0062】
しかし、図8は代わりの実施の形態を示し、この実施の形態では、キー部分の複数の区分804、808が複数のキー部分804、808間の少なくとも1つの間欠的なキー無し部分806と一緒に設けられる。少なくとも1つの間欠的なキー無し部分806を設けることはまた、シャフトの重量区域部分内の重量を減少させる補助を行うことができる。
【0063】
図7Bはグリップカバーを取り付ける前の上方シャフト720に対する下方シャフト700の組立て図722を示す。上方シャフト720は約0.600インチ(約15.24mm)ないし0.700インチ(17.78mm)の間の上方シャフト外径718を有する。いくつかの実施の形態においては、上方シャフト720の端部区域724における下方シャフト700の第2の外径702は約0.450インチ(約11.43mm)ないし0.600インチの間である。上方シャフト720が終端724となる軸方向位置における、下方シャフト700のキー無し部分716の第2の外径702は、下方シャフト700と上方シャフト720との間の段の量を減少させるのに十分な大きさにすべきである。1つの実施の形態においては、第2の外径702は、上方シャフト720が第1の軸方向に完全に係合したときに、端部区域724において下方シャフト700上で測定される。
【0064】
換言すれば、上方シャフト720は完全に引き込まれ、最大重なり寸法726を有する。重なり寸法726は、上方シャフト720がキー無し部分716と重なる軸方向の距離として定義される。重なり寸法726はまた、下方シャフト700のキー部分710が望ましくない状態で露出する前に、使用者により可能な調整の量を表すことができる。重なり寸法726は約1インチ(約25.4mm)ないし約11インチ(約279.4mm)の間とすることができる。1つの実施の形態においては、重なり寸法は約3インチ(約76.2mm)ないし10インチ(約254mm)の間である。
【0065】
調整可能なシャフト組立体に対して、使用者に「正常である」と感じさせるためには、上方シャフト720の外径718とキー無し部分716の第2の外径702との間の差を最少にすべきである。換言すれば、端部区域724の軸方向位置での上方シャフト外径718と(下方シャフトの)第2の外径702との間の相対直径における遷移部は比較的小さな段を含む。上方シャフトがテーパ(傾斜)しているような実施の形態においては、外径718は上方シャフト720の端部区域724で測定される。
【0066】
下方シャフトの第2の外径702と上方シャフト720の外径718との間の関係は、ゴルフクラブシャフトが伝統的な調整不能シャフトと同じ感触を有するか否かに影響を及ぼす。たとえば、大き過ぎる上方シャフト720の外径718はゴルファーの握り及び感触に悪影響を及ぼす。したがって、0.700インチ(約17.78mm)よりも小さい上方シャフト720の外径718(一定の直径)が望ましい。
【0067】
表1は約4インチ(約101.6mm)の重なり寸法726を有する例示的な実施の形態を示す。各例示的な実施の形態は端部区域724の軸方向での特定な上方シャフト720の外径718及び対応する下方シャフトの第2の外径702を示す。
【0068】
【表1】

【0069】
表1に示す例示的な実施の形態により示されるように、上方シャフト720の外径718は望ましくは示したしきい値以下である。一層小さな上方シャフト720の外径718の場合、一層伝統的な上方シャフト感触が使用者に提供される。
【0070】
さらに、上方シャフト720の端部区域74の位置での下方シャフトの第2の外径702は、上方シャフト720から下方シャフト716への円滑な遷移部又は小さな段遷移部の外観を提供するように、上に示したしきい値よりも十分に大きくすべきである。
【0071】
ここで述べた実施の形態の1つの利点は、ゴルファーのための伝統的な感触及び握りを提供しながら、大きな量の回転力又は軸方向の力を取り扱うことのできるシャフト内で有効な係止素子が提供されることである。いくつかの実施の形態においては、シャフトの長手軸線に適用された場合の少なくとも500N又は2000Nの軸方向の力は上方及び下方シャフト間にいかなる運動をも生じさせない。さらに、上方及び下方のシャフトは、2つのシャフト間のいかなる運動をも許容することなく、少なくとも5N−mないし10N−mの捩り力に耐えることができる。いくつかの実施の形態においては、上方及び下方シャフトは破損することなく600N−m又は700N−mまで耐えることができる。
本発明の実施の形態の別の利点は、上述の係止素子を係止及び係止解除するために、使用者が比較的少ない旋回数しか必要としないことである。ある実施の形態においては、上方及び下方のシャフトを係止又は係止解除するためには、1回転以下で済む。したがって、使用者は多大な努力を必要とせずにシャフトの長さを容易かつ迅速に調整することができる。
【0072】
本発明の実施の形態の別の利点は、上方及び下方のシャフトを効率的に係止及び係止解除するために、信頼ある有効な構成が提供されることである。上方シャフトが複合材料で構成されるような実施の形態においては、軽量で調整可能なグリップ部分をここで説明する。さらに、ここで述べる素子は、使用者にとって望ましくなくなることのあるガタつき及び騒音を無くすように製造され、組立てられる。
【0073】
さらに、本発明の実施の形態の別の利点は、外観で使用者にとって普通に美的に見える調整可能なシャフトが提供されることである。調整可能なシャフトはまた、元のグリップが擦り減ったり又はもはや望まなくなったりした後に、標準の又は過大寸法の交換グリップで付け替えることができる。
【0074】
ここで述べた実施の形態の別の重要な利点は、グリップが、軽量の係止システムを提供しながら、外観及び重量において「正常に」見えることである。重量の最小化は有利であり、それゆえ、強度及び耐久性の要求が許容される場合は、炭素繊維、アルミニウム、チタン、マグネシウム及びプラスチックが使用される。本実施の形態はグリップ内に一体的に組み込まれた回転防止又はキー構造を有することにより全重量を最小にする。アンダーリスティング(underlisting)形式のグリップを使用する場合、剛直なプラスチック又はモールド成形した複合片を回転防止構造と一緒に作ることができ、付加的な摺動チューブは必要なくなる。したがって、全体の部品数及び重量は重量区域内で減少する。
【0075】
ここで述べた実施の形態のうちの任意のものは任意のクラブ全長を有するように形状づけることができる。たとえば、ここで述べた実施の形態のクラブ全長は約1092.2mm(43 インチ)、1117.6mm(44インチ)、1143mm(45インチ)、1168.4mm(46インチ)、1193.8mm(47インチ)又は1219.2mm(48インチ)に調整することができる。1つの実施の形態においては、クラブの長さは約38インチ(約965.2mm)ないし48インチ(約1219.2mm)の範囲の長さとすることができる。
【0076】
ここで述べた実施の形態の下方シャフトは、その全体を参照としてここに組み込む米国特許出願番号第12/346,747号及び同第12/474,973号各明細書に記載されたようなシャフト先端部及びホセル(hosel)インサート構造を含むことができる。特に、下方シャフトのシャフト先端部は、クラブヘッドから取り外すことができ、クラブヘッドのロフト、ライ又はフェース角度の変更を生じさせるように再位置決めできるホセルインサートを含む。
【0077】
クラブの長さは、その全体を参照そしてここに組み込む、ゴルフのUSGA規格の「長さ」という名称の付録IIに従って測定される。特に、ウッド及びアイアンに対しては、長さの測定は、クラブが水平面上に横たわり、クラブヘッドのソールが60度の平面に接して設定された状態で、行われる。長さは2つの面(水平面及び60度の面)間の交点からグリップの頂部までの距離として定義される。
【0078】
材料
この明細書で開示した上述の素子は任意の種々の適当な金属、金属合金、ポリマー、複合体又はその種々の組み合わせから形成することができる。
【0079】
上述のものに加えて、接続組立体の素子を形成するために使用できる金属及び金属合金のいくつかの例は、これらに限定されないが、炭素鋼(例えば1020又は8620炭素鋼)、ステンレス鋼(例えば304又は410ステンレス鋼)、PH(沈降硬化可能)合金(例えば17−4、C450又はC455合金)、チタン合金(例えば3−2.5、6−4、SP700、15−3−3−3、10−2−3又は他のアルファ/近アルファ、アルファ・ベータ及びベータ/近ベータチタン合金)、アルミニウム/アルミニウム合金(例えば3000シリーズ合金、5000シリーズ合金、6061−T6のような6000シリーズ合金及び7075のような7000シリーズ合金)、マグネシウム合金、銅合金及びニッケル合金を含む。
【0080】
素子を形成するために使用できる複合体のいくつかの例は、これらに限定されないが、ガラス繊維補強ポリマー(GFRP)、炭素繊維補強ポリマー(CFRP)、金属マトリックス複合体(MMC)、セラミックマトリックス複合体(CMC)及び天然複合体(例えば木複合体)を含む。
【0081】
素子を形成するために使用できるポリマーのいくつかの例は、これらに限定されないが、熱可塑性材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、PVC、ABS、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリオキシメチレン、酸化ポリフェニレン(PPO)、硫化ポリフェニレン(PPS)、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン及びエンジニアリング熱可塑性材)、熱硬化性材料(例えばポリウレタン、エポキシ及びポリエステル)、コーポリマー及びエラストマー(例えば天然又は合成ゴム、EPDM及びテフロン(登録商標名))を含む。さらに、上述の素子の任意のものはナイロン又はガラス充填ナイロン材料で作ることができ、ここで述べた素子の任意のものを製造するのに射出成形工程を利用することができる。
【0082】
開示した発明の原理を適用できる多くの可能な実施の形態に鑑み、図示の実施の形態は本発明の単なる好ましい例であり、本発明の要旨の限定ととるべきではないことを認識すべきである。たとえば、金属ウッドシャフトを特に上述したが、本発明はパター又はアイアンを含む他のゴルフクラブシャフトに適用できることを理解されたい。説明した本発明の広範囲の精神及び要旨から逸脱することなく、種々の修正を行うことができることは明らかである。したがって、明細書及び図面は図示の意味であって、限定の意味ではないものと考えるべきである。
【符号の説明】
【0083】
100 ゴルフクラブ
102 グリップ部分
104 下方シャフト
114 中心軸線
124、344 エンドポイント
200、300 ゴルフクラブシャフト
204、304、404、504、904、1004、1104 グリップカバー
214、314、600、918、1018、1118 係止素子
222、322、422、522、720、922、1022、1122 上方シャフト
228、328、428、528、700、928、1028、1128 下方シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ可調整ゴルフクラブシャフトにおいて、
エンドポイントを含む端区域と、上方シャフト及びグリップカバーとを有するグリップ部分と;
上記グリップ部分内に位置する係止素子と;
上記係止素子に摩擦接触する内側表面を有する下方シャフトと;
を有し、
上記係止素子が上記下方シャフトの上記内側表面に係合するように形状づけられ、上記ゴルフクラブシャフトの全長が少なくとも1インチ(約25.4mm)の距離調整でき、重量区域における当該ゴルフクラブシャフトの全重量が110グラムよりも小さく、上記重量区域が該ゴルフクラブシャフトの中心軸線に沿って該シャフトの先端部分に向かって上記グリップ部分の上記エンドポイントから11インチ(約279.4mm)延びる該ゴルフクラブシャフトの領域として定義される;
ことを特徴とする長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項2】
上記グリップ部分が上記下方シャフトに関して調整でき、ストッパが当該グリップ部分からの当該下方シャフトの完全な離脱を阻止することを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項3】
上記ゴルフクラブシャフトの全長が少なくとも2インチ(約50.8mm)の距離調整できることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項4】
上記ゴルフクラブシャフトの全長が少なくとも3インチ(約76.2mm)の距離調整できることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項5】
上記ゴルフクラブシャフトの全長が少なくとも4インチ(約101.6mm)の距離調整できることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項6】
上記重量区域内の上記ゴルフクラブシャフトの全重量が85グラム以下であることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項7】
上記重量区域内の上記ゴルフクラブシャフトの全重量が75グラム以下であることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項8】
上記重量区域内の上記ゴルフクラブシャフトの全重量が65グラム以下であることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項9】
上記重量区域内の上記ゴルフクラブシャフトの全重量が55グラム以下であることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項10】
上記係止素子が少なくとも2000Nの軸方向荷重中上記グリップ部分と上記下方シャフトとの間のいかなる軸方向運動をも阻止することを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項11】
上記下方シャフトが上記中心軸線のまわりで対称的な少なくとも1つの第1のキー構造部分を有することを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項12】
上記グリップ部分が上記少なくとも1つの第1のキー構造部分と係合するように形状づけられた少なくとも1つの第2のキー構造部分を有することを特徴とする請求項11に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項13】
上記少なくとも1つの第1のキー構造部分が少なくとも1つのスプラインを含むことを特徴とする請求項11に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項14】
上記少なくとも1つのスプラインが少なくとも3つのスプラインを含むことを特徴とする請求項11に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項15】
上記少なくとも1つのキー構造部分が上記下方シャフトに沿った少なくとも2つのキー区域を含むことを特徴とする請求項11に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項16】
ゴルフクラブの全長が約40インチ(約1016mm)ないし約48インチ(約1219.2mm)の間にあることを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項17】
上記グリップ部分が0.700インチ(約17.78mm)以下の外径を有する上方シャフト部分を含み、上記下方シャフトが0.450インチ(約11.43mm)よりも大きな外径を有することを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項18】
上記グリップ部分が0.650インチ(約16.51mm)以下の外径を有する上方シャフト部分を含み、上記下方シャフトが0.500インチ(約12.7mm)よりも大きな外径を有することを特徴とする請求項1に記載の長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項19】
長さ可調整ゴルフクラブシャフトにおいて、
係合機構と;
上記係合機構に接続し、0.700インチ(約17.78mm)以下の外径を有する上方シャフト部分を含むグリップ部分と;
上記係合機構に接続し、当該係合機構による運動時に回転するように形状づけられたシャフトと;
上記シャフトに接続し、少なくとも1つの係止インサートと、同少なくとも1つの係止インサート上に位置する少なくとも1つの係止カラーとを有する係止素子であって、上記少なくとも1つの係止インサートが軸方向運動中上記少なくとも1つの係止カラーに係合するように形状づけられているような係止素子と;
上記少なくとも1つの係止カラーに摩擦接触する内側表面を有し、0.450インチ(約11.43mm)よりも大きな外径を有する下方シャフトと;
を有し、
上記シャフトによる第1の回転方向における第1の回転運動が上記少なくとも1つの係止インサートを上記少なくとも1つの係止カラーに係合させて、当該少なくとも1つの係止カラーと上記下方シャフトの上記内側表面との間に摩擦係止係合を生じさせる;
ことを特徴とする長さ可調整ゴルフクラブシャフト。
【請求項20】
長さ可調整ゴルフクラブにおいて、
ゴルフクラブヘッドと;
上記ゴルフクラブヘッドに接続されたゴルフクラブシャフトと;
上記ゴルフクラブシャフトに接続された係合機構と;
上記係合機構に接続され、エンドポイントを含む端領域を有し、グリップカバー及び上方シャフトをも有するグリップ部分と;
上記係合機構に接続され、当該係合機構による運動時に回転するように形状づけられたドライブシャフトと;
上記ドライブシャフトに接続された係止素子と;
上記係止素子に摩擦接触する内側表面を有する下方シャフトと;
を有し、
上記ゴルフクラブシャフトの全長が少なくとも1インチ(約25.4mm)の距離調整可能であり、重量区域内の当該ゴルフクラブシャフトの全重量が110グラム以下であり、上記重量区域が該ゴルフクラブシャフトの中心軸線に沿って上記グリップ部分の上記エンドポイントから11インチ(約279.4mm)延びる該ゴルフクラブシャフトの区域として定義され;
上記ドライブシャフトによる第1の回転方向における第1の回転運動が上記係止素子を上記下方シャフトの上記内側表面に係合させ、当該ドライブシャフトによる第2の回転方向における第2の回転運動が当該係止素子を当該下方シャフトの当該内側表面から係合解除させる;
ことを特徴とする長さ可調整ゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−78768(P2011−78768A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−225555(P2010−225555)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(502330377)テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド (15)
【Fターム(参考)】