説明

ゴルフクラブヘッドの模様付け方法

【課題】簡単にゴルフクラブヘッドの表面に模様付けをすることができる方法を提供する。
【解決手段】ゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を形成するステップ1と、レーザービームの照射により前記プライマー層を部分的に剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成するステップ2とからなるゴルフクラブヘッドの模様付け方法である。またステップ1のプライマー層形成において、ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成し、ステップ2において、レーザービームの照射により前記プライマー層の異なる箇所をそれぞれ上面から異なる深さまでに剥がしゴルフクラブヘッドに模様付けする。ステップ2の後、前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成するステップ3を有するゴルフクラブヘッドの模様付け方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドの模様付け方法に関するものであり、詳しくは、ゴルフクラブヘッドの表面に予定されたパターンを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブヘッドには、時々文字や図形などの装飾が付されている。その装飾は、通常、彫刻によらなければならないので、精巧な模様なら、手間がかなりかかり、また、色付けをすることができないため、模様付けも著しくなく、到底装飾の効果が良くない。
【0003】
前記欠点を解消するために、レーザービームを利用する模様付け方法が出て来ている。例えば、特開2005−224383号には、ゴルフクラブヘッドの金属表面に遮蔽層を塗布するマスキング段階と、レーザービームを利用して上記遮蔽層を照射することにより、予定されたパターンに対応した露出窓口を形成するレーザービーム照射段階と、化学エッチングを利用して露出窓口に対応した金属表面を腐食的に彫刻することにより、予定されたパターンをエッチングするエッチング段階と、上記遮蔽層を除去する遮蔽層除去段階とを含む方法(特許文献1を参照)が開示されており、特開2004−142343号には、レーザービームの周波数、アンペア数、パワー、移動速度及び光点の移動経路を制御して、ゴルフクラブヘッドのチタン合金表面を異なる酸化状態に生じさせ、着色する方法(特許文献2を参照)が開示されている。
【0004】
しかし、前者は、エッチングを利用してゴルフクラブヘッドの金属表面に彫刻をすること自体がやはり面倒臭い上、ゴルフクラブヘッドの材料にも破壊を与え、そしてその模様付けも材料のもともとの色しかなくて著しい装飾にならない。後者は、レーザービームを精細に制御してゴルフクラブヘッドのチタン合金表面を異なる酸化状態に生じさせ、現像させるが、工程が前者よりもっと複雑で、コストが高い上、現像における色差も小さくて模様付けが顕著でない。
【特許文献1】特開2005−224383号公報
【特許文献2】特開2004−142343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記に鑑みて、本発明は、簡単にゴルフクラブヘッドの表面に模様付けをすることができる上、模様にゴルフクラブヘッドの材料と異なる色を与えることもできる、ゴルフクラブヘッドの模様付け方法を提供しようとすることをその第1の目的とする。
【0006】
本発明は、そして、前記模様が異なる色をも持つようにさせる、ゴルフクラブヘッドの模様付け方法を提供しようとすることをその第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、まず、ゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を形成する工程1と、レーザービームの照射により前記プライマー層を部分的に剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2とからなるゴルフクラブヘッドの模様付け方法を提供する。
【0008】
前記工程1のプライマー層形成において、ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成すれば、本発明の方法による最後の模様は、異なる色を有するので、好ましい。そして、前記工程2のパターン形成の後、前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成する工程3を付け加えれば、完成した模様を摩耗などから保護することができるので、もっと好ましい。
【0009】
すなわち、本発明は、また、ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成する工程1と、レーザービームの照射により前記プライマー層の異なる箇所をそれぞれ上面から異なる深さまでに剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2とからなるゴルフクラブヘッドの模様付け方法、ゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を形成する工程1と、レーザービームの照射により前記プライマー層を部分的に剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2と、前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成する工程3とからなるゴルフクラブヘッドの模様付け方法、及び、ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成する工程1と、レーザービームの照射により前記プライマー層の異なる箇所をそれぞれ上面から異なる深さまでに剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2と、前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成する工程3とからなるゴルフクラブヘッドの模様付け方法をそれぞれ提供する。
【発明の効果】
【0010】
前記本発明の方法は、エッチング及び精巧な制御が必要でなく、プライマー層のレーザービーム照射によるパターン形成だけによってゴルフクラブヘッドの表面に模様付けをするので、工程が非常に簡単であってコストダウンができる。
【0011】
そして、前記本発明の方法は、その模様付けがゴルフクラブヘッド自体の材料でなく、他に塗布するプライマー層によるので、ゴルフクラブヘッド自体の材料と色が異なるものを採用することができるので、模様付けが従来より著しい。
【0012】
また、前記本発明の方法は、プライマー層形成において色の異なるプライマーを繰り返し塗布すれば、色の異なる複数層で重なるプライマー層を形成することができる上、最後の模様付けにも色んな色を与えることができるので、装飾の効果をもっと向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。説明中に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明することがあるが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0014】
本発明の実施の形態を図1のフローチャートに基づいて説明する。
まず、本発明の実施例によるゴルフクラブヘッドの模様付け方法は、図1に示すように、まず工程1としてゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を形成する。次の工程2としてレーザービームの照射により前記プライマー層を部分的に剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する。このような方法により、発明者は製品1を完成した。
【0015】
もっと詳しく説明すると、工程1におけるプライマーとして暗色の塗料を使用した。また、そのゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを焼付け塗装により塗布した。もちろん、電着塗装、静電塗装、めっき塗装、吹付け塗装及び浸漬塗装のいずれか一種により工程1を行うこともできる。
【0016】
なお、工程1のプライマー層形成において、ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なる複数のプライマー層を形成すれば、本発明の方法による最後の模様は、異なる色になれるので、好ましい。詳細に言うと、工程1のプライマー層形成において、ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成し、且つ、工程2の予定パターン形成において、レーザービームの照射により前記プライマー層の異なる箇所をそれぞれ上面から異なる深さまでに剥がすことで行うと、完成した模様に色々な色があって美しくなる。
【0017】
そして、本発明の別の実施例によるゴルフクラブヘッドの模様付け方法は、前記実施例のステップに引き続いて工程3を行い、即ち、工程3として前記工程2のパターン形成の後、前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成する。このような方法により、発明者はパターン上に保護層が塗布してある製品2を完成した。この製品2には、保護層があるので、完成した模様を摩耗などから保護することができる。
また、前記保護塗料として透明のセラミックス塗料を使用したが、他の明色の塗料を使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0018】
如上のように、本発明によるゴルフクラブヘッドの模様付け方法は、エッチング及び精巧な制御が必要でなく、プライマー層のレーザービーム照射によるパターン形成だけによってゴルフクラブヘッドの表面に模様付けをするので、工程が非常に簡単であってコストダウンができる。
【0019】
そして、前記本発明の方法は、その模様付けがゴルフクラブヘッド自体の材料でなく、他に塗布するプライマー層によるので、ゴルフクラブヘッド自体の材料と色が異なるものを採用することができるので、模様付けが従来より著しい。
【0020】
また、前記本発明の方法は、プライマー層形成において色の異なるプライマーを繰り返し塗布すれば、色の異なる複数層で重なるプライマー層を形成することができる上、最後の模様付けにも色んな色を与えることができるので、装飾の効果をもっと向上させ、ゴルフクラブヘッドに、使用者も、生産者の方も、満足できる模様を与える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のゴルフクラブヘッドの模様付け方法のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0022】
ステップ1 工程1
ステップ2 工程2
ステップ3 工程3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を形成する工程1と、
レーザービームの照射により前記プライマー層を部分的に剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2とからなることを特徴とする、ゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項2】
ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成する工程1と、
レーザービームの照射により前記プライマー層の異なる箇所をそれぞれ上面から異なる深さまでに剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2とからなることを特徴とする、ゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項3】
ゴルフクラブヘッドの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を形成する工程1と、
レーザービームの照射により前記プライマー層を部分的に剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2と、
前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成する工程3とからなることを特徴とする、ゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項4】
ゴルフクラブヘッドの表面に色の異なるプライマーを繰り返し塗布し、複数層で重なるプライマー層を形成する工程1と、
レーザービームの照射により前記プライマー層の異なる箇所をそれぞれ上面から異なる深さまでに剥がし、ゴルフクラブヘッドの表面に予定のパターンを形成する工程2と、
前記パターン上に前記パターンが見えるように保護塗料を塗布し、保護層を形成する工程3とからなることを特徴とする、ゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項5】
前記プライマーとして暗色の塗料を使用することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項6】
電着塗装、静電塗装、めっき塗装、焼付け塗装、吹付け塗装及び浸漬塗装のいずれか一種により前記工程1を行うことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項7】
前記保護塗料として明色の塗料を使用することを特徴とする請求項3または4に記載のゴルフクラブヘッドの模様付け方法。
【請求項8】
前記保護塗料として透明のセラミックス塗料を使用することを特徴とする請求項3または4記載のゴルフクラブヘッドの模様付け方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−136(P2009−136A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160889(P2007−160889)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(500066735)大田精密工業股▲ふん▼有限公司 (26)
【Fターム(参考)】