説明

ゴルフクラブ用ヘッドカバー

【課題】 クラブヘッドへの取り付け又は取り外しが速やかに行えて便利なゴルフクラブ用ヘッドカバーを提供する。
【解決手段】 ゴルフクラブのヘッドを収容するヘッドカバー部2と、ヘッドに連なるシャフトの付け根部分を覆うシャフトカバー部3とを備えたゴルフクラブ用ヘッドカバー1である。シャフトカバー部3は、ヘッドカバー部2のヘッドのクラウン側を覆う部分から延設された前蓋部31と、ヘッドカバー部2のヘッドのソール側を覆う部分から延設された後蓋部32とに分割されとともに、前蓋部31と後蓋部32の周縁部の所要位置に、磁石の磁力によって前蓋部31と後蓋部32を分離可能に接着させる締結部33を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラブヘッドへの取り付けや取り外しが簡単に行えるゴルフクラブ用ヘッドカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブのヘッドは、シャフトの部分と比較すると幅広に形成されているので、キャディバッグの中に複数本のゴルフクラブを入れて持ち歩くと、アイアンクラブのヘッドがウッドクラブのヘッドやシャフトに衝突したり、ウッドクラブのヘッド同士が擦れ合うことで傷付きやすい。そこで、従来より、ゴルフクラブのヘッドとシャフトの一部を覆うように構成され、ヘッドやシャフトを保護するゴルフクラブ用ヘッドカバーが利用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に開示されたゴルフクラブのヘッドカバーは、クラブヘッドをカバーするヘッド部と、シャフトの付け根部分をカバーする筒部とからなり、幅広のクラブヘッドを挿入できるように筒部の側面が上下方向に開口しており、この開口部にファスナーを設けて筒部を開閉可能にしている。
【特許文献1】実開平4−67470号公報
【0004】
上記のような構成の従来のヘッドカバーは、筒部に設けたチャックを拡開すると、筒部が上下方向の開裂された状態となるので、クラブヘッドをヘッド部の中に収容したり、あるいはヘッド部から取り出すことが可能となる。
【0005】
また、例えば、下記特許文献2には、ゴルフクラブのヘッドの上面を覆うヘッド保護部と、シャフトを収納する鞘状のシャフト保護部とを一体に形成し、シャフト保護部には、全長に亘ってスリットを設けた構成のゴルフクラブ用ヘッドカバーが開示されている。そして、下記特許文献2の図7には、先ず、ヘッド保護部の上部に面ファスナーによって着脱自在に取り付けられている蓋を開き、クラブヘッドをヘッド保護部の上に乗せ、次に、クラブヘッドとシャフトの接合部付近をシャフト保護部のスリットに指で押し込み、さらに、シャフトの下部をスリット内に押し込んで行くことにより、ヘッドカバーを取り付ける手順が示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3082362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のヘッドカバーは、クラブの出し入れの度にシャフトを覆う筒部の開口部に設けたファスナーを上げ下ろしする動作が煩わしく、また、ファスナーを全開してもクラブヘッドの出入口が狭いので、ヘッドカバーの取り付けや取り外しに手間がかかるという問題があった。
【0007】
特に近年では、300cc前後のラージヘッドのチタンドライバーなども使用されているため、ヘッドカバーは、クラブヘッドやシャフトの保護は勿論のこと、クラブヘッドに対して簡単に被覆させたり外したりできるものが要求されている。
【0008】
また、特許文献2のヘッドカバーは、ヘッド保護部の上部に面ファスナーによって着脱自在に取り付た蓋を設けたので、最初にクラブヘッドを挿入する作業はやり易くなっているものの、ヘッドカバーとゴルフクラブを両方手に持って、シャフトをシャフト保護部のスリットに押し込む操作が必要となるため、ヘッドカバーの脱着に手間がかかる点では、特許文献1のものと大差はなかった。
【0009】
また、特許文献1〜2に見られるような従来のヘッドカバーは、クラブヘッド同士が互いに接触して傷付くのを防止することのみから考えられたものであるため、外観のデザインが単調で、娯楽性が足りないという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、クラブヘッドへの取り付け及び取り外しが簡単で、かつ、速やかに行えるゴルフクラブ用ヘッドカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のゴルフクラブ用ヘッドカバーは、
ゴルフクラブのヘッドを収容するヘッドカバー部と、ヘッドに連なるシャフトの付け根部分を覆うシャフトカバー部とを備えたゴルフクラブ用ヘッドカバーであって、
前記シャフトカバー部は、前記ヘッドカバー部のヘッドのクラウン側を覆う部分から延設された前蓋部と、前記ヘッドカバー部のヘッドのソール側を覆う部分から延設された後蓋部とに分割されるとともに、
前記前蓋部と前記後蓋部の周縁部の所要位置に、磁石の磁力によって前記前蓋部と前記後蓋部を分離可能に接着させる締結部を設けたこと、
を最も主要な特徴点としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シャフトカバー部は、磁石の磁力によって分離可能に接着された前蓋部と後蓋部に分割されているので、使用者が前蓋部と後蓋部を引き離す動作によって簡単に拡開され、クラブヘッドの出し入れのための十分な空間を確保することができる。従って、ヘッドカバーの取り付け及び取り外しの作業が極めて簡単となり、速かに行うことができる。
【0013】
また、本発明によれば、前蓋部と後蓋部の各先端部を手に持って簡単にクラブヘッドに覆い被せることができるので、キャディバッグの中に入っているゴルフクラブを取り出さなくても、ヘッドカバーを取り付けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は、本実施例のゴルフクラブ用ヘッドカバーの斜視図、図2は、前蓋部と後蓋部を拡開し、クラブヘッドに取り付ける状態を表した説明図、図3は、前蓋部と後蓋部を閉じ合わせ、クラブヘッドとシャフトの付け根部分を収容する直前の状態を表した説明図、図4は、前蓋部と後蓋部に設けた締結部の構成を説明する図である。
【0015】
本実施例のゴルフクラブ用ヘッドカバー1は、図1及び図2に示すように、ゴルフクラブGのヘッドG1を収容するヘッドカバー部2と、ヘッドG1に連なるシャフトの付け根部分G2を覆うシャフトカバー部3とを備えている。シャフトカバー部3は、図2に示しように、ヘッドカバー部2のヘッドG1のクラウン側を覆う部分から延設された前蓋部31と、ヘッドカバー部2のヘッドG1のソール側を覆う部分から延設された後蓋部32とに分割され、前後方向に開閉可能となっている。
【0016】
ヘッドカバー部2は、適宜の緩衝性を備えている素材であれば良く、例えば、布、不織布、皮、人工皮革、ニット地などの素材から形成することができる。また、ヘッドカバー部2は、雨天時における濡れなどを考慮すると、少なくとも外面は皮、合成皮革などの防水性に優れたものが好ましい。逆に、ヘッドカバー部2の内面は、クラブヘッドを傷つけないような素材から形成することが好ましい。
【0017】
本実施例では、ヘッドカバー部2は、外側は合成皮革、内側は起毛布で構成し、その間にクッション材を充填して膨らみを持たせたので、クッション性に優れ、クラブヘッドの保護効果を高めることができる。一方、シャフトカバー部3はニットで構成したので、伸縮性に優れ、ゴルフクラブの形状に追従して変形可能になる。
【0018】
また、本実施では、図1に示すように、ヘッドカバー部2をライオンの頭部に、シャフトカバー部3をライオンの胴体部に見せることにより、商品の個性化を図っている。具体的には、ヘッドカバー部2の先端部付近21には、ライオンの鼻41や口42を、後端部付近23には、ライオンの目43やたてがみ44,45を適宜に設けて、ライオンの頭部に似せてある。
【0019】
また、シャフトカバー部3の前蓋部31には、ライオンの後肢45と前肢47を、後蓋部32にはライオンの尻尾46を適宜設けてある。このため、図3に示すように、前蓋部31と後蓋部32を閉じ合わせると、シャフトカバー部3が一体になって、ライオンの胴体部に似た形状となる。
【0020】
上記のような構成としたので、本実施例では、クラブヘッド同士が互いに接触して傷付くのを防止できるだけでなく、クラブの形状に十分に添うとともに、娯楽性にも優れた動物の形状を模したゴルフクラブ用ヘッドカバーを提供することができる。
【0021】
シャフトカバー部3は、互いに対向する前蓋部31と後蓋部32により、図2に示すような、鳥の嘴のような形状とされ、前蓋部31と後蓋部32の周縁部には、先端部34を除いた位置に、夫々、磁石の磁力によって前蓋部31と後蓋部32を分離可能に接着させる締結部33が設けられている。先端部34には締結部33が存在しないように構成したのは、ゴルフクラブのシャフトG2が通過できるようにするためである。
【0022】
また、前蓋部31の締結部33と、後蓋部32の締結部33は、図2において符号Aの破線の円で示す部分のように、分離して距離を開けて設けることが望ましい。これは、前蓋部31の締結部33と、後蓋部32の締結部33が、螺子などで回動可能に連結されたものであると、クラブヘッドG1をヘッドカバー部2の内部へ挿入する際に、挿入口が狭くなって不便だからである。図2に示すように、締結部33,33を分離して距離を開けて設ければ、前蓋部31と後蓋部32を拡開させたときに、クラブヘッドG1の挿入口が充分開くことによって大きくなるので、クラブヘッドG1をヘッドカバー部2の内部に、楽に挿入することができる。
【0023】
ただ、そうすると、クラブヘッドG1の挿入口が大きくなる反面、ヘッドカバー部2とシャフトカバー部3の継ぎ目部分(図2において符号Aの破線の円で示す部分)が弱くなるというデメリットもある。そこで、本実施例では、ヘッドカバー部2とシャフトカバー部3の継ぎ目部分は、符号45に示すように、生地の厚みを増して強度を強くしている。そして、その生地の厚みを増した部分45を、ライオンのたてがみ44,45の一部に見せることで、デザイン上も違和感がないようにしている。
【0024】
前蓋部31と後蓋部32には、先端部34の両側の位置からヘッドカバー部2に向かって、シャフトG2の収容方向と平行に、締結部33を設けている。締結部33は、磁力によって、前蓋部31と後蓋部32を分離可能に結合させる。これにより、前蓋部31と後蓋部32は簡単に分離させて拡開したり、閉鎖して磁力で結合させることができる。
【0025】
図4は、前蓋部31と後蓋部32に設けた締結部33の構成を説明する図である。締結部33は、磁石37を固定する板部材と、この板部材全体を包装する織物製の被覆材とで構成され、その織物製の被覆材を、前蓋部31と後蓋部32の周縁部の所要位置(但し、先端部34とヘッドカバー部2に近接した部分は除く。)に縫着する方法によって固定している。織物製の被覆材で磁石37を覆うように構成したのは、磁石が露出していると、シャフトG2を傷つけたり、磁石自身が割れる可能性があるからである。
【0026】
締結部33は、図4に示すように、前蓋部31と後蓋部32に夫々2箇所縫着しているが、磁石37は、各締結部33の上端と下端に夫々設けるようにしている。なお、図4において、35は、前蓋部31と後蓋部32の形を保ち、取り扱いを容易にするために設けた柔軟性のある樹脂製の芯材を示している。また、36は、シャフトG2を覆うニット製の素材を示している。
【0027】
図3は、シャフトカバー部3の前蓋部31と後蓋部32を閉じ合わせる直前の状態を表した説明図である。前蓋部31と後蓋部32を閉じ合わせた状態において、ヘッドカバー部2の内部空間とシャフトカバー部3の内部空間は互いに連通している。ヘッドカバー部2の内部空間は外部から遮断されており、シャフトカバー部3の内部空間も、シャフトG2を外側に出すために先端部34が開放している以外は、外部から遮断された状態となっている。
【0028】
図2及び図3により明らかなように、本発明のゴルフクラブ用ヘッドカバーでは、シャフトカバー部3の内部空間は、前蓋部31と後蓋部32を引き離す使用者の動作によって簡単に分離される。これによって、ゴルフクラブGのヘッドG1を、ヘッドカバー部2に収容したり、ヘッドカバー部2から引き出すことができる。また、ゴルフクラブGのヘッドG1を収容するか又は引き出した後、シャフトカバー部3は締結部33の磁力によって閉鎖される。
【0029】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。例えば、実施例では、ヘッドカバー部とシャフトカバー部を、ライオンの頭部と胴体部に見せる例を開示したが、ヘッドカバー部とシャフトカバー部の外観はこれに限らない。例えば、犬、猫、アニメのキャラクターなどに見せることも可能である。
【0030】
以上説明したように、本発明のゴルフクラブ用ヘッドカバーは、シャフトカバー部が磁石の磁力によって分離可能に接着された前蓋部と後蓋部に分割されているので、使用者が前蓋部と後蓋部を引き離す動作によって簡単に拡開され、クラブヘッドの出し入れのための十分な空間を確保することができる。従って、ヘッドカバーの取り付け及び取り外しの作業が極めて簡単となり、速かに行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のゴルフクラブ用ヘッドカバーは、ドライバーだけでなく、アイアンクラブやパターにも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例のゴルフクラブ用ヘッドカバーの斜視図である。
【図2】前蓋部と後蓋部を拡開し、クラブヘッドに取り付ける状態を表した説明図である。
【図3】前蓋部と後蓋部を閉じ合わせ、クラブヘッドとシャフトの付け根部分を収容する直前の状態を表した説明図である。
【図4】前蓋部と後蓋部に設けた締結部の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ゴルフクラブ用ヘッドカバー
2 ヘッドカバー部
3 シャフトカバー部
31 前蓋部
32 後蓋部
33 締結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのヘッドを収容するヘッドカバー部と、ヘッドに連なるシャフトの付け根部分を覆うシャフトカバー部とを備えたゴルフクラブ用ヘッドカバーであって、
前記シャフトカバー部は、前記ヘッドカバー部のヘッドのクラウン側を覆う部分から延設された前蓋部と、前記ヘッドカバー部のヘッドのソール側を覆う部分から延設された後蓋部とに分割されるとともに、
前記前蓋部と前記後蓋部の周縁部の所要位置に、磁石の磁力によって前記前蓋部と前記後蓋部を分離可能に接着させる締結部を設けたことを特徴とするゴルフクラブ用ヘッドカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34335(P2009−34335A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201187(P2007−201187)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(506327195)株式会社金子企画室 (2)