ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキット及び方法
【課題】 本開示は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキット及びこれと関連した方法に関する。
【解決手段】 キットは、一つ又はそれ以上のゴルフボールカバーのセット、一つ又はそれ以上のゴルフボールコアのセット、及びゴルフボールカバー除去デバイス及びゴルフボールカバー適用デバイスを含む。ゴルファーは、所望のプレー特性に基づいてゴルフボールカバーをセットから選択する。例えば、ゴルファーは、様々な硬度値のゴルフボールカバーのセットから比較的硬質のカバーを選択してもよい。ゴルフボールは、次いで、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用して選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアに適用してもよい。コアは、キットのコアのセットから選択されてもよいし、リサイクルゴルフボールからゴルフボールカバー除去デバイスを使用して得られたコアであってもよい。
【解決手段】 キットは、一つ又はそれ以上のゴルフボールカバーのセット、一つ又はそれ以上のゴルフボールコアのセット、及びゴルフボールカバー除去デバイス及びゴルフボールカバー適用デバイスを含む。ゴルファーは、所望のプレー特性に基づいてゴルフボールカバーをセットから選択する。例えば、ゴルファーは、様々な硬度値のゴルフボールカバーのセットから比較的硬質のカバーを選択してもよい。ゴルフボールは、次いで、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用して選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアに適用してもよい。コアは、キットのコアのセットから選択されてもよいし、リサイクルゴルフボールからゴルフボールカバー除去デバイスを使用して得られたコアであってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキット及びゴルフボールのリサイクル又はカスタマイズ方法に関する。詳細には、本開示は、ゴルファーがゴルフボールの様々な構成要素を所望のゴルフボールプレー特性に基づいて選択し、これらの構成要素から完成したゴルフボールを形成できるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのゲームは、アマチュアレベル及びプロレベルの両方で益々人気のあるスポーツである。ゴルフボールの製造及び設計と関連した様々な技術が当該技術分野で周知である。こうした技術は、様々なプレー特性を持つゴルフボールと関連している。例えば、様々なゴルフボールが、スイング速度が異なるといった様々なゴルフ性能を持つプレイヤー向けに製造されており且つ販売されている。
【0003】
同様に、ゴルファーは、プレイヤーの好みに応じて様々なプレー特性の様々なゴルフボールを使用してもよい。例えば、ディンプルパターンの相違は、ゴルフボールの飛翔中の航空力学的性能に影響し、カバー層の硬度の相違は、バックスピンの速度に影響し、圧縮の相違はゴルフボールに異なるフィール(feel)を与える。
【0004】
特に硬度に関し、ゴルファーは、比較的硬質の又は軟質のカバー層を持つゴルフボールを使用するように選択してもよい。比較的硬質のカバー層を持つゴルフボールは、ドライバーのスピンが減少し、距離が伸びる。しかしながら、比較的硬質のカバー層は、一般的には、スピン速度が低下し、そのため、ゴルフボールは、距離を出すのに向いているけれども距離が比較的短い場合のコントロールが困難である。逆に、比較的軟質のカバー層は、一般的には、比較的多くのスピンが掛かり、従って、コントロール及びグリーン上でのストップが比較的容易であるが、ティーからの飛距離が落ちる。
【0005】
「フィール」という用語は、多くの場合、インパクト時のゴルフボールの比較的硬い又は軟らかい感覚を説明するのに使用される。これは、コアの圧縮値並びにカバーの硬度値と直接的に関連する。比較的軟質のカバー及び比較的圧縮性が高いコアは、一般的には、「ソフトなフィール」を生じる。ソフトなフィールを持つゴルフボールは、ゴルフクラブのフェースで打ったときの音が鈍く、インパクトがゴルフクラブシャフトを通って明らかな程に共鳴することはない。他方、ハードなフィールを持つゴルフボールは、ゴルフクラブのフェースで打ったときに「カチッ」という音が発生し、インパクトがゴルフクラブシャフトを通って伝達し、ゴルファーに対して硬質のフィールを提供する。ゴルフボールの取引で使用される「圧縮」という用語は、一般的には、圧縮荷重が加わった場合に本体に加わる全体としての変形に関する。例えば、PGA圧縮は、打撃時のゴルフボールの形状の変化量を示す。
【0006】
様々な硬質特性及び圧縮特性を持つ様々なゴルフボールが当該技術分野で周知である。一般的には、カバー層の硬度及びゴルフボールの圧縮は、ゴルフボールを形成する様々な層の化学的組成及び物理的構成で決まる。従って、多くの様々なゴルフボール材料を混合し、様々な組み合わせ及び構成で適合し、様々な硬度値及び圧縮値を持つゴルフボールを形成する。
【0007】
しかしながら、所望のプレー特性を得るためにゴルフボールを設計することには、少なくとも幾つかの困難がある。一般的には、周知のゴルフボールの構造は、層の配置、各層で使用される材料、及び層厚等の様々な設計変数を互いにバランスすることを必要とする。従って、これらの変数のうちの任意の変数を変化させると、他のプレー特性を犠牲にして所望のプレー特性の改善がなされる。
【0008】
その結果、ゴルファーは、様々なプレー特性を得るためにゴルフボールの幾つかのセットを購入する必要がある。即ち、ゴルファーは、例えば様々なプレー条件で所望の様々なプレー特性を得るために数セットのゴルフボールを購入して使用する必要がある。例えば、ゴルファーは、ロングコースで、特定のプレー特性を持つ1セットのゴルファーを使用したいと思う。しかしながら、ゴルファーは、ショートコースで、様々なプレー特性を持つゴルフボールの様々なセットを使用したいと思う。別の例として、ゴルファーは、ウェットな又はドライな機構条件で、様々なプレー特性を持つ様々なゴルフボールを使用したいと思う。従って、数セットのゴルフボールを購入し、持ち運び、そして貯蔵することを必要とするため、ゴルファーに不都合を生じ、不要な費用が生じる。
【0009】
更に、ゴルフボールカバー層は、ゴルフクラブによりインパクトが繰り返し加えられるため、経時的に磨耗し劣化することが知られている。カバー層で使用される材料は、一般的には弾性であるが、カバー層は、最終的には、ゴルフクラブの角で打つことにより亀裂が生じる。そうすると、ゴルフボールのプレー特性は最適以下となり、ボールは最終的に使用不能になる。アマチュアゴルファーは、一般的には、新たなゴルフボールの購入費を小さくすることを好む。ゴルフボールの表面層を修復するための様々な方法及びシステムが開発されてきたが、実際には、ゴルファーは、通常は、カバー層が磨耗した場合には、全く新たなゴルフボールを購入する。そのため、一般的には、機能的には完全であるゴルフボールの構成要素を再使用することは行われてこなかった。従って、全く新たなゴルフボールを購入することにより、ゴルファーの費用が増大し、廃ゴルフボールの廃棄による環境への悪影響が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、当該技術分野において、上文中に論じた従来技術の欠点に対処するシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの特徴では、本発明は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うための構成要素を含むキットにおいて、少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットと、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットと、ゴルフボールカバー除去デバイスと、ゴルフボールカバー適用デバイスとを含み、ゴルフボールカバーのセットのゴルフボールカバーの各々及びゴルフボールコアのセットのゴルフボールコアの各々は、選択されたカバーを選択されたコアの周囲にゴルフボールカバー適用デバイスを使用して適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キットを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うための構成要素を含むキットにおいて、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを含み、ゴルフボールカバーの各々は、カバーをゴルフボールコアの周囲にゴルフボールカバー適用デバイスを使用して形成することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キットを提供する。
【0013】
最後に、本開示は、更に、ゴルフボールをカスタマイズする方法において、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを受け取る工程と、ゴルフボールコアを受け取る工程と、ゴルフボールカバー層と関連した所望のゴルフボールプレー特性に基づいてゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーを選択する工程と、選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成する工程とを含む、方法を提供する。
【0014】
本発明のこの他のシステム、方法、特徴、及び利点は、添付図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。本明細書中の説明及びこの課題を解決するための手段に記載したこのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、全て、本発明の範疇に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護される。
【0015】
本発明は、添付図面及び以下の説明を参照することにより、更によく理解されるであろう。添付図面に示す構成要素は必ずしも等縮尺ではなく、本発明の原理を例示するために強調がなされている。更に、添付図面において、様々な図に亘り、同様の参照番号が対応する部品に附してある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、二つのゴルフボールコアを含むセット、二つのゴルフボールカバーを含むセット、ゴルフボールカバー除去デバイス、及びゴルフボールカバー加熱クランプを含む第1の例示のキットの図である。
【図2】図2は、四つのゴルフボールコアを含むセット、四つのゴルフボールカバーを含むセット、ゴルフボールクラックデバイス、及びポータブルゴルフボール加熱金型を含む第2の例示のキットの図である。
【図3】図3は、硬度値が各々異なる四つのゴルフボールカバーを含むセット、圧縮値が各々異なる四つのゴルフボールコアを含むセットを含む第3の例示のキットの図である。
【図4】図4は、三つのゴルフボールカバーを含む第1セット及び三つのゴルフボールカバーを含む第2セットを含む第4の例示のキットの図である。
【図5】図5は、ディンプルが設けられていない三つのゴルフボールカバーを含む第1セット、ディンプルが設けられていない三つのゴルフボールカバーを含む第2セット、及びディンプルが設けられていない三つのゴルフボールカバーを含む第3セットを含む第5の例示のキットの図である。
【図6】図6は、例示のゴルフボールカバー加熱クランプを、ゴルフボールカバーがゴルフボールコアの周囲に配置された予備成形したゴルフボールとともに示す図である。
【図7】図7は、完成したゴルフボールを形成した後の図6のゴルフボールカバー加熱クランプを示す図である。
【図8】図8は、磨耗したゴルフボールからゴルフボールカバー層を除去するのに使用する際のゴルフボールカバー除去デバイスを示す図である。
【図9】図9は、図8のゴルフボールカバー除去デバイスを更に詳細に示す図である。
【図10】図10は、磨耗したゴルフボールからゴルフボールカバー層を除去するのに使用されるゴルフボールカバー除去デバイスの第2実施例を示す図である。
【図11】図11は、磨耗したゴルフボールからカバー層を除去するプロセスで使用するゴルフボール温度制御デバイスを示す図である。
【図12】図12は、ゴルフボール照射デバイスの一実施例に入れた磨耗したゴルフボールを示す図である。
【図13】図13は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルにキットを使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般的には、本開示は、ゴルフボールの注文製作即ちカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキットに関する。本キットは、ゴルフボールカバーのセット又はゴルフボールコアのセット等の様々な種類のゴルフボール構成要素の一つ又はそれ以上のセットを含む。ゴルファーは、所望のプレー特性に基づいてセットからゴルフボール構成要素を選択してもよい。例えば、ゴルファーは、様々な硬度値の一組のゴルフボールカバーから比較的硬質のカバーを選択してもよい。ゴルファーは、次いで、選択したゴルフボールカバーをゴルフボールコアにゴルフボールカバー適用デバイスを使用して適用する。ゴルフボールカバー適用デバイスは、キットに含まれる。コアは、キットのセットから選択してもよく、又はコアは、リサイクルゴルフボールからゴルフボールカバー除去デバイスを使用して得てもよい。
【0018】
図1は、本開示による例示のキットを示す。先ず最初に、キット100は、ゴルフボールコアのセット102を含む。セット102は、第1ゴルフボールコア120及び第2ゴルフボールコア122を含む。一般的には、ゴルフボールコアのセットは、少なくとも二つのゴルフボールコアを含んでいてもよい。例えば、ゴルフボールコアのセットは、少なくとも三つのゴルフボールコア、少なくとも四つのゴルフボールコア、又は少なくとも五つのゴルフボールコアを含んでいてもよい。ゴルフボールコアのセットは、一般的には、任意の数のゴルフボールコアを含んでいてもよく、適当にパッケージされ、商業的に販売される。
【0019】
第1ゴルフボールコア120は、予備選択された第1プレー特性値と関連していてもよく、これに対し、第2ゴルフボールコア120は、予備選択された第2プレー特性値と関連していてもよい。予備選択された第1プレー特性値と予備選択された第2プレー特性値とは異なっていてもよい。プレー特性は、比較値であってもよい。
【0020】
本明細書中で使用されているように、「コア」という用語は、ゴルフボールの内部構造部分に関する。コアという用語は、通常は、ゴルフボールの構成要素の最も内側にある構造だけに関するけれども、本明細書中で使用されているように、「コア」という用語は、最外カバー層でない任意の中間層を追加に含んでいてもよい。例えば、コア120は、完成したときに2ピース構造を持つゴルフボールを形成するのに使用してもよい。その場合、コア120は、完成したゴルフボールの中央最内構成要素のみを含む。他の実施例では、コア120は、3ピース構造を持つ完成したゴルフボールを形成するのに使用してもよい。この場合、コア120は、球形の最内中央部及びこれに被せた中間層を含んでいてもよい。一般的には、各コアは、ゴルフボールの技術で周知であり且つ使用されているように、糸巻きコア又は一体コアであってもよい。
【0021】
本明細書中で使用されているように、「圧縮」という用語は、一般的には、圧縮加重が加わった場合のコアの全体的な撓みに関する。例えば、「PGA圧縮」という用語は、打撃時のゴルフボールの形状の変化量の計測値である。0−200スケールを使用してPGA圧縮を決定するため、ゴルフボールの外面に標準的な力を加える。撓みを示さないボールを200と規格し、0.2インチ撓むボールを0と規格する。撓みの0.001インチの変化毎に圧縮が1点低下する。従って、0.1インチ(0.001インチの100倍)撓むボールのPGA圧縮値は、100(即ち、200−100=100)であり、0.110インチ(0.001インチの110倍)撓むボールのPGA圧縮値は、90(即ち、200−110=90)である。PGA圧縮は、完成したゴルフボールの計測値であるが、本明細書中、コア自体の圧縮値を説明する上でPGA圧縮1−200スケールを使用する。このスケール及び用語を使用すると、圧縮値が比較的高い(約100又はそれ以上)コアに加わる圧縮は小さいが、圧縮値が比較的低い(約80又はそれ以下)コアには比較的大きな圧縮が加わる。
【0022】
ゴルフボールの圧縮値は、打撃時のボールのプレー容易性(playability) 並びに発生する打撃音即ち「カチッという音(click)」 に影響を及ぼす。同様に、圧縮は、ゴルファーに伝わるボールの「フィール(feel)」にも影響を及ぼす。ゴルファーは、インパクト力がゴルフクラブのシャフトを通して共鳴することにより、ゴルフの手の中でハードな応答フィール又はソフトな応答フィールを感じる。ゴルフボールのフィールは、チッピング及びパッティングで特に重要である。詳細には、ゴルフクラブのフェースに対するゴルフボールの圧縮の程度が、結果的に得られるスピン速度に強く影響する。代表的には、圧縮値が比較的高いコアは、圧縮値が比較的低いコアよりもスピン速度が高い。これは、スイング速度及びゴルフボールの全ての他の構成要素が同じである場合、圧縮値が比較的高いコアは、インパクト時にゴルフボールのカバーをゴルフクラブのフェースに、圧縮値が比較的低いコアよりも遥かに大きく押し付けるように作用するために生じるのである。従って、圧縮値が比較的高いコアを持つゴルフボールの場合、クラブフェースがボールを更にしっかりと「グラブ」し、及び従って、スピン速度が比較的高くなる。換言すると、比較的非圧縮性のコアとクラブフェースとの間でカバーが圧縮されるのである。これとは対照的に、圧縮値が比較的低いコアを使用した場合、カバーに加わる圧縮応力は、圧縮値が比較的高いコアを使用した場合よりも遥かに小さい。従って、圧縮値が比較的低いゴルフボールは、クラブフェースとそれ程ぴったりと接触せず、その結果、スピン速度が低くなる。
【0023】
実際には、トーナメント品質のボールの圧縮値は約80乃至約100である。圧縮値が80前後のボールは、一般的には、ジュニア、シニア、及び女子アマチュアゴルファー等のスイング速度が低いゴルファーによって使用される。圧縮値が90前後のボールは、一般的には、男子アマチュアゴルファー及び女子プロゴルファー等の平均的スイング速度のゴルファーによって使用される。圧縮値が100前後のボールは、一般的には、男子プロゴルファー等のスイング速度が速いゴルファーによって使用される。ゴルフボールの特定の圧縮値は、ゴルファーの運動選手としての能力並びにゴルファーの個人的好みに応じて選択される。
【0024】
従って、一般的には、本明細書中で言及したコアは、PGA圧縮スケールで0乃至200の任意の値を備えていてもよい。特定の実施例では、本明細書中で言及したコアは、ティーからの初速に関するUSGA規則に従うように所定の圧縮値を備えていてもよい。特定の実施例では、本明細書中で言及したコアの圧縮値は、約70乃至約110であってもよい。他の実施例では、本明細書中で言及したコアの圧縮値は、約80乃至約100であってもよく、上掲の範囲の任意の組み合わせであってもよい。
【0025】
一般的には、上文中に言及したように、コアセットの各コアは、予備選択された所定のプレー特性と関連していてもよい。様々な実施例において、コアセットの各コアは、圧縮値が同じであってもよいし、圧縮値が異なっていてもよい。例えば、セット102の第1ゴルフボールコア120は、予備選択された第1圧縮値を備えていてもよく、第2ゴルフボールコア122は、予備選択された第2圧縮値を備えていてもよい。予備選択された第1圧縮値及び予備選択された第2圧縮値は、同じであってもよいし異なっていてもよい。予備選択された第1圧縮値及び予備選択された第2圧縮値が異なる実施例では、これらの圧縮値は、少なくとも、特定の所定の量だけ異なっていてもよい。例えば、予備選択された第1圧縮値及び予備選択された第2圧縮値は、少なくとも約20単位だけ、又は少なくとも約10単位だけ、又は少なくとも約3単位だけ異なっていてもよい。セット102にはコアが二つしか含まれていないが、任意のセットの幾つかのコアの間の関係は同じパターンに従っていてもよく、各コアは、セットの他の全てのコアの圧縮値と少なくとも特定の所定量異なる予備選択された所定の圧縮値を備えていてもよい。
【0026】
特にセット102を参照すると、第1ゴルフボールコア120の圧縮値は、(例えば)約80であるのに対し、第2ゴルフボールコア122の圧縮値は約100である。セット102の別の実施例では、第1ゴルフボールコア120の圧縮値は約90であるのに対し、第2ゴルフボールコア122の圧縮値は約100である。セット102の更に別の実施例では、第1ゴルフボールコア120の圧縮値は約87であるのに対し、第2ゴルフボールコア122の圧縮値は約92である。
【0027】
コアセットの各コアには、各コアをセットの別のコアと区別するように、視覚的マークが付けてあってもよい。例えば、セット102において、第1コア120の色合いは比較的明るくてもよく、これに対し、第2コア122の色合いは比較的暗くてもよい。コアの色合いは、コアを形成する材料に染料又は顔料を添加することによって制御されてもよい。他の実施例では、各コアには、様々な書き込み又は印による視覚的マークが付けてあってもよい。これらの視覚的マークにより、ゴルファーは、コアの視覚的外観をコアが持つ特定のプレー特性と関連付けることができる。例えば、圧縮値が比較的高いコアの色を圧縮値が比較的低いコアよりも暗くしてもよい。
【0028】
本明細書中に特段の記載がない限り、幾つかのコア又は各コアに使用された材料は、ゴルフボールの製造で使用されることが知られている様々な材料のうちの任意の材料から形成されていてもよい。例えば、各コア(又はその任意の部分)は、熱硬化性材料、熱可塑性材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成されていてもよい。幾つかの実施例では、コアで使用される材料は、ゴム様コンパウンド等の熱硬化性材料から形成されていてもよい。ベースゴムは、1,4−シス−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、天然ゴム、及びその混合物を含む。更に高いレジリエンスが所望である場合には、1,4−シス−ポリブタジエンをベース材料として使用し、これを他の成分と混合してもよい。しかしながら、1,4−シス−ポリブタジエンの量は、ゴムコンパウンドの100重量部に基づいて、少なくとも50重量部でなければならない。
【0029】
更に、ベースゴム材料には、架橋剤や充填剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えば、架橋剤には、亜鉛ジアクリレート、マグネシウムアクリレート、亜鉛メタクリレート、及びマグネシウムメタクリレートが含まれ、このうち、レジリエンスを更に高くするため、特に亜鉛ジアクリレートが使用される。更に、比重を更に大きくするため、ゴムコンパウンドには、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の充填剤が含有されていてもよい。このうち、酸化亜鉛が好ましい。所要の比重を得るため、比重が大きいタングステン等の金属の粉体を含んでもよい。
【0030】
コアの幾つかの部分又は各部分の材料は、例えばアイオノマー樹脂、高度に中和した酸ポリマー組成物、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びこれらの混合物から形成されていてもよい。
【0031】
キット100は、隣にゴルフボールカバーのセット104を含む。セット104は、第1ゴルフボールカバー110及び第2ゴルフボールカバー112を含む。一般的には、ゴルフボールカバーのセットには、少なくとも二つのゴルフボールカバーが含まれる。例えば、ゴルフボールカバーのセットは、少なくとも三つのゴルフボールカバー、少なくとも四つのゴルフボールカバー、又は少なくとも五つのゴルフボールカバーを含んでいてもよい。ゴルフボールカバーのセットは、一般的には、任意の数のゴルフボールカバーを含んでいてもよく、適当に一緒にパッケージされ、商業的に販売される。
【0032】
セット104の第1ゴルフボールカバー110は、予備選択された第1プレー特性値と関連していてもよく、第2ゴルフボールカバー112は、予備選択された第2プレー特性値と関連していてもよい。これらの第1及予備選択されたプレー特性値は、異なっていてもよい。プレー特性は、硬度値であってもよい。
【0033】
本明細書中で使用されているように、「ゴルフボールカバー」という用語は、一般的には、完成したゴルフボールの最外カバー層を形成する任意の構造に関する。カバー層は、周知のゴルフボールの従来の構成要素である。本開示で使用されているように、「カバー層」という用語は、完成したゴルフボールの最外構造層に関し、「ゴルフボールカバー」という用語は、ゴルフボールコアの周囲に適用されたとき、カバー層となる構造に関する。詳細には、各ゴルフボールカバー及び各ゴルフボールコアは、ゴルフボールカバー適用デバイス(以下に説明する)を使用してカバーをコアの周囲に適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている。
【0034】
図1に示すように、各ゴルフボールカバーは、球の中心を通る平面に沿って分割した二つの半球の形態を備えていてもよい。この実施例では、半球間の分割は均等である。即ち、ボールカバーの赤道に沿って分割されている。しかしながら、他の実施例では、分割を他の緯線に沿って行ってもよい。他の実施例では、各ゴルフボールカバーは、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してカバーをコアの周囲に適用できる限り、他の形状を備えていてもよい。例えば、各カバーは、出入りのある二つの半球の形状をなしていてもよい。これらの出入り部分が二つの半球を(例えば)ディンプルパターンに従って整合する。各カバーは、大きさに関する様々なUSGA規則に従う周知のゴルフボールカバー層の厚さに従って所定の厚さを備えていてもよい。詳細には、各カバーは、完成したゴルフボールのカバー層の所望の厚さよりも僅かに大きい所定の厚さを備えていてもよい。これは、コアの周囲に完全なシールを形成する場合に余分の材料を除去するためである。
【0035】
ゴルフボールカバーのセットの各ゴルフボールカバーは、所定の硬度値を備えていてもよい。本明細書中で使用したように、「硬度」という用語は、所与の力を標準的なプレッサーフット(presser foot)に加えることによって形成された材料の窪みの深さの計測値に関する。硬度は、例えばASTM D2240等の周知の産業標準に従って決定されてもよい。本開示で議論する全ての硬度値は、ショアーDスケールで与えられる。
【0036】
カバー層の硬度値は、打撃時のゴルフボールのプレー容易性に影響を及ぼす。即ち、上文中に言及したように(ゴルフボールの全ての他の構成要素及びスイング特性は等しい)、比較的硬質のカバー層を持つゴルフボールは、一般的には、ドライバーのスピンが減少し、比較的大きな飛距離が出る。しかしながら、比較的硬質のカバー層は、一般的には、スピン量が減少し、ゴルフボールはドライバーに向くけれども比較的短いショットについてコントロールが比較的困難である。これは、比較的硬質のカバー層が比較的多くの衝撃運動エネルギをコアに伝達するためである。逆に、比較的軟質のカバー層を持つゴルフボールは、一般的には、より多くのスピンが掛かり、従って、コントロール及びグリーン上でのストップが比較的容易であるが、ティーからの飛距離が落ちる。
【0037】
一般的には、ゴルフボールカバー層の硬度値は、ショアーDスケールで約30乃至約80である。比較的短いコース又は他のコースでは、飛距離よりもコントロールの方が重要であるため、硬度値が約40又はそれ以下のカバー層を持つゴルフボールが一般的に使用される。硬度値が約50のカバー層を持つゴルフボールは様々な条件でオールラウンドボールとして使用される。硬度値が約60又はそれ以上のカバー層を持つゴルフボールは、飛距離の重要度が高いロングコースで使用される。特定のゴルフボールカバー層の硬度値の選択は、プレー条件、ゴルファーの運動選手としての能力、及びゴルファーの個人的好みに応じて選択される。
【0038】
従って、一般的には、本明細書中に開示したカバーは、ショアーDスケールで約30乃至約80の任意の硬度値を備えていてもよい。カバーの硬度値は、所与のカバーから形成されたカバー層を含む完成したゴルフボールについて計測されるが、本開示は、説明を容易にするため、カバー自体の硬度値を論じる。開示の実施例では、カバーの硬度値は約40乃至約70、約45乃至65、又は約50乃至60、又は上掲の範囲の任意の組み合わせであってもよい。
【0039】
一般的には、ゴルフボールカバーのセットの各カバーは特定の予備選択されたプレー特性と関連していてもよい。このプレー特性は、硬度値であってもよい。様々な実施例において、カバーのセットの各カバーは、硬度値が同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、セット104の第1ゴルフボールカバー110は第1硬度値を備えていてもよく、第2ゴルフボールカバー112は第2硬度値を備えていてもよい。第1硬度値及び第2硬度値は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0040】
第1硬度値及び第2硬度値が異なる実施例では、これらの硬度値は少なくとも特定の所定量だけ異なっていてもよい。例えば、第1硬度値及び第2硬度値は、ショアーDスケールで少なくとも約20単位だけ異なり、又はショアーDスケールで少なくとも約10単位だけ異なり、又はショアーDスケールで少なくとも約5単位だけ異なり、又はショアーDスケールで少なくとも約3単位だけ異なる。セット104はカバーを二つしか含まないが、カバーの任意のセットの幾つかのカバーの間の関係は、同じパターンに従う。即ち、各カバーの硬度値は、セットの全ての他のカバーの硬度値と少なくとも特定の所定量だけ異なる。
【0041】
また、セット104に関し、第1ゴルフボールカバー110の硬度値は、(例えば)約40であってもよく、これに対し、第2ゴルフボールカバー112の硬度値は、約60であってもよい。セット104の他の実施例では、第1ゴルフボールカバー110の硬度値は、約45であってもよく、これに対し、第2ゴルフボールカバー112の硬度値は、約55であってもよい。更に他の実施例では、第1ゴルフボールカバー110の硬度値は、約50であってもよく、これに対し、第2ゴルフボールカバー112の硬度値は、約55であってもよい。
【0042】
カバーのセットの各カバーには、各カバーをセットの他のカバーと区別するように、視覚的マークが付けてあってもよい。例えば、セット104において、第1カバー110の色合いは比較的明るくてもよく、これに対し、第2カバー112の色合いは比較的暗くてもよい。カバーの色合いは、カバーを形成する材料に染料又は顔料を添加することによって制御されてもよい。他の実施例では、各カバーには、様々な書き込み又は印による視覚的マークが付けてあってもよい。これらの視覚的マークにより、ゴルファーは、カバーの視覚的外観を、カバーが持つ特定のプレー特性と関連付けることができる。例えば、一般的には、硬度値が比較的高いカバーの色を硬度値が比較的低いカバーよりも暗くしてもよい。
【0043】
ゴルフボールカバーは、更に、その外面に複数のディンプルを含んでいてもよい。これらの複数のディンプルは、一般的には、ゴルフボールの技術で周知であるように、カバー上に任意のパターンで配置されている。様々な周知のディンプルパッキングパターンが当該技術分野で周知である。これらのディンプルは、一般的には、円形、三角形、又は多角形等の任意の形状を備えていてもよい。ディンプルは、大きさ及び形状が均等であってもよく、又はディンプルパターンに従って、例えば大きさ及び形状が異なる二つ又はそれ以上の異なる種類のディンプルを含んでいてもよい。別の態様ではカバーボールカバーは、ディンプルが設けられていなくてもよい。このような実施例では、コアをカバーで取り囲む以下に論じるプロセス中にディンプルをカバー層に加えてもよい。
【0044】
本明細書中に特段の記載がない限り、幾つかのカバー又は各カバーで使用される材料は、ゴルフボール製造で使用されることが周知の上文中に説明した様々な材料のうちの任意の材料で形成されていてもよい。詳細には、上文中に論じたように、加熱によりコアの周囲に容易に適用できる熱可塑性材料が特に適している。更に、熱可塑性材料は、以下に論じるように、溶融によりリサイクル及び再加工を行うことができる。
【0045】
キット100は、更に、ゴルフボールカバー除去デバイス106を含む。ゴルフボールカバー除去デバイス106は、一般的には、完成したゴルフボールからゴルファーがゴルフボールカバー層を除去できるようにする任意の種類の手持ち式デバイスであってもよい。ゴルフボールカバー除去デバイス106の特定の実施例を、以下に図8乃至図10及び図12を参照して説明する。
【0046】
最後に、キット100は、ゴルフボールカバー適用デバイス108を含む。ゴルフボールカバー適用デバイス108は、一般的には、ゴルファーがゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成できるようにする任意の種類の手持ち式デバイスであってもよい。「完成したゴルフボール」という用語は、ゴルフのラウンドをプレーするために使用するときにゴルフボールが適正に機能する上で必要な全ての構造的構成要素を含むゴルフボールを意味するものと理解されるべきである。実施例では、完成したゴルフボールは、トーナメントプレー用ゴルフボールに関する全ての適用可能なUSGA規則に従う。ゴルフボールカバー適用デバイスの特定の実施例を、以下に図6及び図7を参照して説明する。
【0047】
図2は、本開示による第2の例示のキット200を示す。先ず最初に、キット200はゴルフボールコアのセット202を含む。セット202は、第1コア220、第2コア222、第3コア224、及び第4コア226の四つのコアを含む。キット100のコアのセット102に関して論じたように、セット202のコアは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1コア220、第2コア222、第3コア224、及び第4コア226の各々は、圧縮値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1コア220は、予備選択された第1圧縮値を備えていてもよく、第2コア222は、予備選択された第2圧縮値を備えていてもよく、第3コア224は、予備選択された第3圧縮値を備えていてもよく、第4コア226は、予備選択された第4圧縮値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された圧縮値は、異なっていてもよい。詳細には、第1乃至第4の予備選択された圧縮値は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1圧縮値は約70であってもよく、予備選択された第2圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第3圧縮値は約90であってもよく、予備選択された第4圧縮値は約100であってもよい。
【0048】
次に、キット200は、ゴルフボールカバーのセット204を含む。セット204は、第1カバー210、第2カバー212、第3カバー214、及び第4カバー216の四つのカバーを含む。キット200のカバーのセット104に関して論じたように、セット204のカバーは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1カバー210、第2カバー212、第3カバー214、及び第4カバー216の各々は、硬度値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1カバー210は、予備選択された第1硬度値を備えていてもよく、第2カバー212は、予備選択された第2硬度値を備えていてもよく、第3カバー214は、予備選択された第3硬度値を備えていてもよく、第4カバー216は、予備選択された第1硬度値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された硬度値の各々は、異なっていてもよい。詳細には、第1乃至第4の予備選択された硬度値の各々は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1硬度値はショアーDスケールで約40であってもよく、予備選択された第2硬度値はショアーDスケールで約50であってもよく、予備選択された第3硬度値はショアーDスケールで約60であってもよく、予備選択された第4硬度値はショアーDスケールで約70であってもよい。
【0049】
キット200は、更に、ゴルフボールカバー除去デバイス206を含む。ゴルフボールカバー除去デバイス206は、ゴルフボールに圧縮圧力を加えることによって、完成したゴルフボールからゴルフボールカバー層を除去するように形成されていてもよい。ゴルフボールカバー除去デバイス206を以下に論じ、図11に更に詳細に示す。
【0050】
キット200は、更に、ゴルフボールカバー適用デバイス208を含む。ゴルフボールカバー適用デバイス208は、一般的には、加熱デバイスであってもよい。図2に示す特定の実施例では、ゴルフボールカバー適用デバイス208は加熱金型である。第1加熱金型208は、カバー材料が再流動し、コアの周囲をシールするようにカバーを加熱することによって、ゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲にシールし、完成したゴルフボールを製造するように形成されている。加熱金型208は、第1キャビティ260及び第2キャビティ262を含む。第1キャビティ260及び第2キャビティ262は、各々がカバーの夫々の半球形半部を収容するように形成されている。第1キャビティ260の内面には、第1反転ディンプルパターン264が設けられ、第2キャビティ262の内面には、第2反転ディンプルパターン266が設けられている。第1反転ディンプルパターン264及び第2反転ディンプルパターン266は、一連のバンプによって形成されている。これらのバンプによって、第1キャビティ260及び第2キャビティ262の内部のゴルフボール上に形成されたカバー層にディンプルパターンがエンボス加工される。上文中に論じたように、ディンプルパターンは、一般的には、当該技術分野で周知の任意のディンプルパターンであってもよい。加熱金型208は、更に、余分の材料を第1キャビティ260及び第2キャビティ262からドレンできるようにする特徴を備えている。詳細には、加熱金型208は、第1キャビティ260からのドレンチャンネル274及び第2キャビティ262からのドレンチャンネル276を含んでいてもよい。カバー層からの材料をキャビティによってプレスし、余分の材料をドレンチャンネル274及び276内に押し出す。
【0051】
加熱金型208は、更に、電気プラグ268を含む。プラグは、電気を伝導するのに役立つ任意の種類のプラグであってもよい。最後に、加熱金型208は、第1ラッチ部分270及び第2ラッチ部分272を含んでいてもよい。第1ラッチ部分270及び第2ラッチ部分272により、第1キャビティ260及び第2キャビティ262の夫々を互いに対して可逆的に固定できる。これにより、カバーをコアの周囲で適正に加熱しシールする。
【0052】
図3は、第3キット300を示す。第3キット300は、ゴルフボールコアのセット302を含む。セット302は、第1コア320、第2コア322、第3コア324、及び第4コア326の四つのコアを含む。キット200のコアのセット202に関して論じたように、セット302のコアは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1コア320、第2コア322、第3コア324、及び第4コア326の各々は、圧縮値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1コア320は、予備選択された第1圧縮値を備えていてもよく、第2コア322は、予備選択された第2圧縮値を備えていてもよく、第3コア324は、予備選択された第3圧縮値を備えていてもよく、第4コア326は、予備選択された第4圧縮値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された圧縮値は、異なっていてもよく、又はその任意のサブセットの圧縮値が異なっており、その他の圧縮値が同じであってもよい。詳細には、特定の実施例では、第1乃至第4の予備選択された圧縮値は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1圧縮値は約70であってもよく、予備選択された第2圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第3圧縮値は約90であってもよく、予備選択された第4圧縮値は約100であってもよい。他の実施例では、例えば、予備選択された第1圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第2圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第3圧縮値は約100であってもよく、予備選択された第4圧縮値は約100であってもよい。
【0053】
キット300は、更に、ゴルフボールカバーのセット304を含む。セット304は、第1カバー310、第2カバー312、第3カバー314、及び第4カバー316の四つのカバーを含む。キット200のカバーのセット204に関して論じたように、セット304のカバーは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1カバー310、第2カバー312、第3カバー314、及び第4カバー316の各々は、硬度値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1カバー310は、予備選択された第1硬度値を備えていてもよく、第2カバー312は、予備選択された第2硬度値を備えていてもよく、第3カバー314は、予備選択された第3硬度値を備えていてもよく、第4カバー316は、予備選択された第4硬度値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された硬度値の各々は圧縮値が異なっていてもよく、又はその任意のサブセットの圧縮値が異なっていてもよく、その他の圧縮値が同じであってもよい。詳細には、第1乃至第4の予備選択された硬度値の各々は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1硬度値はショアーDスケールで約40であってもよく、予備選択された第2硬度値はショアーDスケールで約50であってもよく、予備選択された第3硬度値はショアーDスケールで約60であってもよく、予備選択された第4硬度値はショアーDスケールで約70であってもよい。他の実施例では、例えば、予備選択された第1硬度値は約40であってもよく、予備選択された第2硬度値は約40であってもよく、予備選択された第3硬度値は約60であってもよく、予備選択された第4硬度値は約60であってもよい。
【0054】
キット300は、「補給」キットと説明できる。これは、このキットがゴルフボール構成要素を含み、キット100又はキット200に含まれるデバイスのうちの任意のデバイスを必ずしも含まないためである。詳細には、ゴルファーは、キットに含まれるカバー、コア、及びデバイスを手に入れるため、キット100又はキット200等のキットを購入する。しかしながら、キット100又はキット200に含まれるコア及びカバーが繰り返し使用により磨耗した後でも、デバイスは、いまだ使用可能である。従って、ゴルファーは、ゴルフボールのカスタマイズを更に行うため、又は前に得たゴルフボールからいまだ使用可能な構成要素をリサイクルするため、追加のコア又はカバーを入手したいと考える。
【0055】
図4は、補給キット400の別の実施例を示す。このキット400は、ゴルフボールカバーの第1セット402を含む。ゴルフボールカバーの第1セット402は、第1カバー410、第2カバー412、及び第3カバー414の三つのカバーを含む。本明細書中に開示した任意のカバーに関して上文中に論じたように、セット402のカバーの各々は、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してカバーをゴルフボールコアの周囲に適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている。キット400は、更に、ゴルフボールカバーの第2セット430を含む。このセット430もまた、第1カバー432、第2カバー434、及び第3カバー436の三つのカバーを含む。
【0056】
セット402又はセット430のカバーの各々は、予備選択されたプレー特性が同じであってもよいし異なっていてもよい。幾つかの実施例では、セット402の各カバーは、予備選択された硬度値が同じであってもよいし異なっていてもよい。セット430の各カバーは、硬度値が同じであってもよく、この硬度値は、セット402のカバーのうちの一つ又はそれ以上のカバーの硬度値と同じであってもよいし、硬度値が互いに異なっていてもよい。セット430の各カバーの硬度値が互いに異なる場合には、これらの硬度値のうちの一つ又はそれ以上は、それにも関わらず、セット402の硬度値と同じであってもよい。一つの特定の実施例では、図4に示すように、セット402の各カバーは、予備選択された第1硬度値を有し、セット430の各カバーは、予備選択された第2硬度値を有し、予備選択された第2硬度値は予備選択された第1硬度値と異なる。
【0057】
図5は、補給キット500の更に別の実施例を示す。キット500は、カバーの第1セット502、カバーの第2セット530、及びカバーの第3セット540を含む。セット502、セット530、及びセット540は、各々、四つのカバーを含む。詳細には、第1セット502は、第1カバー510、第2カバー512、第3カバー514、及び第4カバー516を含む。同様に、第2セット530は、第1カバー532、第2カバー534、第3カバー536、及び第4カバー538を含む。第3セット540は、第1カバー542、第2カバー544、第3カバー546、及び第4カバー548を含む。
【0058】
キット500の各セットの各カバーは、予備選択された夫々のプレー特性を備えていてもよい。プレー特性は硬度値であってもよい。様々な実施例において、予備選択された硬度値の各々は、夫々のセットの他の予備選択された硬度値に対して所定の関係を示し、又はキット500のカバーの任意のセットの他の予備選択された硬度値に対して所定の関係を示してもよい。例えば、各セットの各カバーは、予備選択された同じ単一の硬度値を備えていてもよく、又は各カバーの予備選択された硬度値は、夫々のセットの他のカバーの硬度値と同じであってもよいが、他のセットのカバーの硬度値と異なっていてもよく、又は各カバーの予備選択された硬度値は、夫々のセットの他のカバーの硬度値と異なっていてもよいが各セットは同じシリーズの硬度値を備えていてもよく、又は各カバーは、任意のセットの任意の硬度値と異なる独特の硬度値を備えていてもよく、又は上述の関係の任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0059】
特定の実施例では、図5に示すように、セット502の各カバーは、予備選択された第1硬度値を有し、セット530の各カバーは、予備選択された第2硬度値を有し、セット540の各カバーは、予備選択された第3硬度値を有する。予備選択された第1硬度値、予備選択された第2硬度値、及び予備選択された第3硬度値は、全て、互いに異なっていてもよい。幾つかの実施例では、予備選択された第1硬度値、予備選択された第2硬度値、及び予備選択された第3硬度値は、互いから所定の特定の量だけ異なっていてもよい。例えば、予備選択された第1硬度値、予備選択された第2硬度値、及び予備選択された第3硬度値は、互いから、ショアーDスケールで、約20単位、又は約10単位、又は約5単位、又は約3単位だけ異なってもよい。
【0060】
キット400及びキット500の各々は、更に、一つ又はそれ以上はコアのセットを含んでいてもよい。キット400又はキット500に含まれるコアのセットは、一般的には、上文中に論じたように、コアのセット102、コアのセット202、又はコアのセット302であってもよい。しかしながら、他の実施例では(図示のように)、キット400及びキット500等の補給キットにコアのセットが含まれていなくてもよい。このような実施例では、こうしたキットに含まれるカバーは、使用済みゴルフボールから回収したゴルフボールコアに適用されてもよい。一般的には、カバーはコアよりも速く磨耗し、そのため、消費者は、カバーだけを交換し、使用済みゴルフボールから回収したコアを再使用することによって費用を低減してもよい。
【0061】
キット100、キット200、キット300、キット400、及びキット500は、少なくとも一セットのゴルフボールカバーを含む。特定のキットに関する、包含されるゴルフボールカバーのセットの性質についての任意の開示は、任意の他のキットのゴルフボールカバーのセットに等しく適用可能である。例えば、任意のキットの任意のゴルフボールカバーの任意のセットに含まれるゴルフボールカバーの数は任意である。一般的には、ゴルフボールカバーの各セットには少なくとも二つのカバーが含まれる。幾つかの実施例では、図示のように、又は図示していない実施例において、ゴルフボールカバーの各セットには、少なくとも三つのカバー、少なくとも四つのカバー、少なくとも五つのカバー、又は適当に一緒にパッケージされ、ゴルファーに商業的に販売される任意の数のカバーが含まれていてもよい。同様に、任意のキットのカバーの任意のセットは、硬度値間に上文中に論じた任意の関係を備えていてもよい。任意のキットがコアのセットを含む限り、コアの特定のセットに関する本明細書中の開示を、任意のキットのコアの任意のセットに同様に適用できる。
【0062】
図6は、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してカバーをコアの周囲に適用するプロセスの一実施例を示す。図6は、特に、図1のキット100の構成要素の使用を示す。キット100の購入後、ゴルファーは、キット100の構成要素を使用して完成したゴルフボールを形成する。先ず最初に、ゴルファーは、カバーのセット104から特定のゴルフボールカバー110を選択してもよい。特定のカバーは、所望のカバー層硬度等の所望のプレー特性に基づいて選択されてもよい。例えば、ゴルファーは、選択されたカバーから形成されたゴルフボールで良好なコントロールを得るため、比較的軟質のカバーを選択してもよい。ゴルファーは、次いで、コアのセット102から特定のゴルフボールコア122を選択してもよい。特定のコアは、所望のコア圧縮値等の所望のプレー特性に基づいて選択されてもよい。例えば、ゴルファーは、高いスピン速度を得るため、比較的高い圧縮値のコアを選択してもよい。この選択後、プレゴルフボール構造(pre-golf ball structure) 650を形成するため、コア122をカバー110の内部に配置してもよい。コア122は、ゴルファーの手で又は他の手段によってカバー110の内側に配置されてもよい。
【0063】
次いで、ゴルフボールカバー適用デバイス108によってプレゴルフボール構造650に作用を加え、完成したゴルフボールを形成する。図示の特定の実施例では、ゴルフボールカバー適用デバイス108は、手持ち式加熱クランプである。手持ち式加熱クランプ108は、2009年10月23日に出願された「ゴルフボールの加熱用デバイス」という表題の米国特許出願第12/604,830号(以下、「830号出願」と呼ぶ)である米国特許第____号に詳細に記載されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0064】
詳細には、手持ち式加熱クランプ108は、第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603を含む。第1レバーアーム601は第1基端613及び第1先端615を含み、これに対し第2レバーアーム603は、同様に、第2基端617及び第2先端619を含む。第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603は、第1基端613及び第2基端617の夫々の枢軸609と関連している。第1レバーアーム601は、第1先端615と関連した第1ゴルフボール受け入れユニット605を含み、この第1ゴルフボール受け入れユニット605には、第1内部加熱面611が設けられている。同様に、第2レバーアーム603は、第2先端619と関連した第2ゴルフボール受け入れユニット607を含み、この第2ゴルフボール受け入れユニット607には、第2内部加熱面(図示せず)が設けられている。第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607は、これらの第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607が、その中に配置されたゴルフボール構成要素の周囲で完全に閉鎖するように、第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603(の夫々)内で整合している。詳細には、例えば、第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607は、固定された取り付け機構によって整合してもよい。別の態様では、例えば、第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607の一方又は両方を、可撓性取り付け機構によって夫々のクランプアームに取り付けてもよい。いずれの場合でも、これらのゴルフボール受け入れユニットはその内部のゴルフボール構成要素の周囲にシールを形成する形体を備えている。
【0065】
図6及び図7は、完成したゴルフボールを形成するために手持ち式加熱クランプ108を使用する方法を示す。先ず最初に、プレゴルフボール構造650を第1ゴルフボール受け入れユニット605又は第2ゴルフボール受け入れユニット607のうちの一方に配置する。次に、図7に示すように、ゴルファーの手で、指727及び親指723によって力を加え、第1ゴルフボール受け入れユニット605又は第2ゴルフボール受け入れユニット607がぴったりと接触するように第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603を枢軸609を中心として移動する。次いで、830号出願に記載されているように第1内部加熱面611及び第2内部加熱面を賦勢する。加熱作用によりコア122の周囲でカバー110をシールする。
【0066】
詳細には、加熱作用により、幾つかの物理−化学的方法のうちの任意の方法で、コア122の周囲でカバー110をシールする。例えば、幾つかの実施例では、カバー110は、加熱活性化接着剤を含んでいてもよい。他の実施例では、カバー110は熱可塑性ポリマー材料で形成されていてもよい。ポリマーの技術分野で一般的に周知であるように、熱可塑性ポリマーは、その融点以上に加熱されたときに固体から液体に相変化するポリマーである。ゴルフボールカバー層を形成するため、熱可塑性アイオノマー(Surlyn(登録商標)等)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の熱可塑性ポリマー材料が一般的に使用される。こうした実施例では、手持ち式加熱クランプ108は、熱可塑性物質の融点を越える温度をプレゴルフボール構造650に加えるように形成されていてもよい。
【0067】
プレゴルフボール構造650を十分に加熱した後、完成したゴルフボール652を形成してもよい。次いで、完成したゴルフボール652を手持ち式加熱クランプ108から取り出し、ほぼ室温まで冷却した後、この完成したゴルフボール652を使用してゴルフをプレーする。
【0068】
従って、ゴルファーは、所望のプレー特性に従ってキットのゴルフボール構成要素から個人的に組み立てたカスタマイズのゴルフボールを形成するため、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してもよい。換言すると、ゴルファーは、ゴルフボールカスタマイズ方法を実施してもよい。この方法は、一般的には、先ず最初に、ゴルフボールカバーのセットを受け入れる(キットを購入すること等によって)。ゴルフボールカバーのセットは、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含む。ゴルファーは、更に、ゴルフボールコアを受け入れる。ゴルファーは、次に、ゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーを選択する。ゴルフボールカバーの選択は、ゴルフボールカバー層と関連した所望のゴルフボールプレー特性に基づいて行われる。最後に、ゴルファーは、選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成する。
【0069】
この方法の特定の実施例では、上文中に論じたように、ゴルファーは、コアを含むキットを購入することによって少なくとも一つのゴルフボールコアを入手する。方法のこのような実施例では、ゴルファーは、少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットを入手する。ゴルフボールコアのセットの少なくとも二つのゴルフボールコアは圧縮値が異なっていてもよく、ゴルファーは、ゴルフボールコアの所望の圧縮値に基づいて、ゴルフボールコアのセットから一つのゴルフボールコアを選択する。一組のコアを含むキットからコアを受け取るこのような方法は、図1に示すキット100、図2に示すキット200、及び図3に示すキット300に関して上文中に論じてある。
【0070】
別の態様では、ゴルファーは、現存の完成したゴルフボールをリサイクルすることによってゴルフボールコアを入手してもよい。一般的には、ゴルファーは、完成したゴルフボールを入手できる。完成したゴルフボールは、コアを実質的に取り囲むカバー層を含む。ゴルファーは、次いで、完成したゴルフボールからカバー層を除去し、コアを完成したゴルフボール内から取り出す。ゴルファーは、次いで、上文中に説明した方法で、この取り出したコアを使用する。
【0071】
図8は、現存の完成したゴルフボールをリサイクルすることによって使用済みゴルフボールコアを回収するための一つのこのような方法及びこの方法で使用するデバイスを示す。ゴルフボールカバー除去デバイス106は、図8に示すように、このようなデバイスの一実施例である。ゴルフボールカバー除去デバイス106は、ゴルフボールピッター(pitter)とも呼ばれる。
【0072】
ゴルフボールピッター106は、第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803を含む。第1レバーアーム801の基端813は枢軸809に取り付けられている。第2レバーアーム803の基端817もまた枢軸809に取り付けられている。基端813とは反対側の第1レバーアーム801の先端815には、周囲切断縁811が設けられている。第2レバーアーム803の先端819には、ゴルフボール位置決め部分807が設けられている。加熱クランプ108に関して論じたように、ゴルフボールピッター106の第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803は、人間の手725の動きによって、枢軸809を中心として動かすことができる。図8に示す実施例では、周囲切断縁811及びゴルフボール位置決め部分807は、第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803が枢軸809を中心として移動するとき、互いに向かって及び互いから遠ざかるように移動するように整合していてもよい。周囲切断縁811は、ゴルフボール654の周囲に亘ってゴルフボールカバーを切断するように形成されている。
【0073】
図8に示すように、完成したゴルフボール654は、使用限度を越えて磨耗する場合がある。これは、亀裂656により明らかである。従って、完成したゴルフボール654を、ゴルフボールピッター106内で周囲切断縁811とゴルフボール位置決め部分807との間に配置する。ゴルファーは、次いで、第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803に力を加えこれらのレバーアームを枢軸809を中心として回転し、ゴルフボール位置決め部分807が完成したゴルフボールを周囲切断縁811に押し込む。従って、周囲切断縁811は、ゴルフボール654からカバー層の一部658を切除し、スクラップゴルフボール660を形成する。切断プロセスは、一般的には、削り落とし(scraping)プロセス、掻き取り(grating) プロセス、又は擦り取り(scouring)プロセスと説明される。
【0074】
幾つかの実施例では、切断プロセスには、ゴルフボール654の亀裂656により、切断を行う上で必要な圧力が減少するという利点がある。即ち、完成したゴルフボール654のカバー層の亀裂656又は磨耗部分が周囲切断縁811と整合し、カバー層部分658の除去を容易にする。他の実施例では、完成したゴルフボール654のカバー層には、設計により弱め部が形成されており、これにより、完成したゴルフボールからのカバー層の除去を、設計により形成されたこのような弱め部がない場合よりも更に容易にする。設計により形成された弱め部(designed weakness) は、例えば、カバー層の特に薄い部分の形態をとってもよく、又はカバー層の一部に沿った材料の相違の形態をとってもよい。本明細書中に開示した任意のキットの任意のカバーに、このような設計により形成された弱め部が設けられていてもよい。
【0075】
切断プロセス後、スクラップゴルフボール660をゴルフボールピッター106のゴルフボール保持部分805から取り出す。カバー層部分658の周囲を除去することにより、スクラップゴルフボール660には第1カバー層残存部分662及び第2カバー層残存部分664が残る。特定の実施例では、ゴルファーの手721によって、これらの部分の各々をコア122から除去してもよい。他の実施例では、例えばカバー層がコアに接着剤で固定されている場合には、例えば、ゴルフボール660を周囲切断縁811に関して様々に整合し、ゴルフボールピッター106を使用した切断工程を繰り返すことによってカバー層の残存部分を除去してもよい。
【0076】
図9は、切断プロセスを更に詳細に示す。詳細には、ゴルフボール654は直径932を有し、周囲切断縁811は内径933を有する。一般的には、ゴルフボール直径932の値は、周囲切断縁内径933とゴルフボール保持部分外径935との間である。特定的には、完成したゴルフボール654をゴルフボール位置決め部分807が周囲切断縁811に押し込むときに周囲切断縁811がカバー層の部分658を確実に切除するように、ゴルフボール直径932は周囲切断縁内径933よりも小さくてもよい。ゴルフボール位置決め部分807は、更に、内径931を有する。これは、ゴルフボール位置決め部分807が周囲切断縁811とぴったりと係合するようにするため、周囲切断縁内径933と同じであってもよい。
【0077】
図10は、ゴルフボールカバー除去デバイスの変形例を示す。ゴルフボールカバー除去デバイス1001は、第1クランプアーム1005及び第2クランプアーム1015を含む。第1クランプアーム1005は、第1ゴルフボール位置決め部分1005をその一端に備えており、その長さ方向軸線1021を中心として回転できるように形成されている。第2クランプアーム1015の一端にはクランク1019が設けられ、その第2端には第2ゴルフボール位置決め部分1006が設けられている。クランク1019は、このクランク1019を回すことによって第2クランプアーム1015を長さ方向軸線1021を中心として回転するように、人間の手721の作用によって回転可能であってもよい。
【0078】
ゴルフボールカバー除去デバイス1001は、更に、第1切断縁1009及び第2切断縁1010を含む。第1切断縁1009及び第2切断縁1010は、第1クランプアーム1003及び第2クランプアーム1015に関して固定的に整合しており、第1クランプアーム1003及び第2クランプアーム1015を回転することにより、第1ゴルフボール位置決め部分1005と第2ゴルフボール位置決め部分1006との間に配置されたゴルフボール654を第1切断縁1009及び第2切断縁10010に擦り付け、カバー層の一部をゴルフボール654から除去する。図10に示すように、第1クランプアーム1005は、第1クランプアーム支持構造1007によって所定位置に保持される。この際、第2クランプアーム1015は、同様に、第2クランプアーム支持構造1017によって所定位置に保持される。第1切断縁1009及び第2切断縁1010は、取り外し自在の取り付け機構1013によって、切断縁支持構造1011に対して所定位置に保持される。従って、ゴルファーは、ゴルフボールカバー除去デバイス1001を使用してゴルフボール654のカバー層の一部を掻き取り、ゴルフボール654からコアをリサイクルしてもよい。
【0079】
図11は、カバー層を完成したゴルフボールから除去するためのプロセスの更に別の実施例を示す。この実施例では、完成した磨耗したゴルフボール654に先ず最初に環境制御を加える。詳細にはゴルフボール654をフリーザー1101に入れて低温にする。フリーザー1101は、ドア1103、温度レベルを表示する表示器1111を持つ温度制御システム1109、及び一つ又はそれ以上のゴルフボールを定置状態に保持するためのトレー1107を備えている。フリーザー1101は、ゴルフボール654のカバー層を形成する材料のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度をゴルフボール654に加えるために使用される。ポリマー材料の技術分野で一般的に周知であるように、ポリマーのガラス転移温度は、ポリマー分子の可動性の低下によりポリマーが剛性になる温度である。ガラス転移温度よりも低い、又はこれよりも大幅に低い温度を加えられたポリマー材料は固くなり、従って脆性になる。
【0080】
従って、ゴルフボール654をフリーザー1101でそのカバー層の材料のガラス転移温度よりも低い温度まで冷却してもよい。幾つかの実施例では、この温度は、ゴルフボール654のコアのガラス転移温度よりも高い。これは、リサイクルしようとするコアが脆性にならないようにするためである。特定の実施例では、本明細書中に開示した任意のキットに含まれるカバーは、本方法の工程を実施する上で助けとなるガラス転移温度を持つ材料で形成されていてもよい。詳細には、ポリマー材料のガラス転移温度は、可塑剤の量及び大きな側鎖の有無等のポリマーの技術分野で周知の方法によって制御されてもよい。
【0081】
冷却後、冷却したゴルフボール670に圧縮圧力を加え、カバー層の「亀裂」を開く。詳細には、ゴルファーは、ゴルフボールカバー除去デバイス206を使用して、冷却したゴルフボール670に圧縮圧力を加えてもよい。
【0082】
ゴルフボールカバー除去デバイス206は、第1レバーアーム1201及び第2レバーアーム1203を含んでいてもよい。第1レバーアーム1201は、その第1基端1213が枢軸1209に取り付けられていてもよく、第1ゴルフボールグリップ部分1205を枢軸1209と隣接して備えていてもよい。同様に、第2レバーアーム1203はその基端1217が枢軸1209に取り付けられていてもよく、第2ゴルフボールグリップ部分1207を枢軸1209と隣接して備えていてもよい。第1レバーアーム1201及び第2レバーアーム1203は、第1レバーアーム1201及び第2レバーアーム1203を互いに向かって回転したとき、第1ゴルフボールグリップ部分1205及び第2ゴルフボールグリップ部分1207が、これらのグリップ部分間に配置されたゴルフボール670に圧縮圧力を加えるように、人間の手721によって、枢軸1209を中心として回転させることができる。
【0083】
第1ゴルフボールグリップ部分1205及び第2ゴルフボールグリップ部分1207によってつくられ、冷却したゴルフボール670に加えられた圧縮圧力により、冷却したゴルフボール670のカバー層に亀裂を発生し、これを開く。その結果、傷があるゴルフボール672に大きな亀裂が発生し、その中のコア122を露呈する。図11に示すように、特定の実施例では、次いで、ゴルファーの手721でカバー層を完全に除去する。
【0084】
図12は、完成したゴルフボールからコアを圧縮圧力によって取り出すプロセスの最初の工程の別の実施例を示す。詳細には、放射線チャンバ1301でゴルフボール654に放射線を照射する。放射線チャンバ1301は、ドア1303、ゴルフボール保持部分1307を持つゴルフボールスタンド1305、制御装置1309、及び放射線表示1311を含んでいてもよい。特定の実施例では、放射線チャンバ1301は、ゴルフボール654に紫外線(UV)を照射する。ポリマー材料の技術分野で周知のように、特定のポリマー材料は紫外線により劣化し、脆性になる。詳細には、ポリマー材料の紫外線脆化の程度は、芳香族基の存在及び量、触媒残留物の存在、及び安定剤及び吸収剤等の添加剤の有無等の要因で決まる。従って、放射線チャンバ1301は、カバー層の材料が紫外線感受性であるように意図的に(又は意図せずに)調製された実施例で、完成したゴルフボールのカバー層を脆性にするのに使用されてもよい。幾つかの実施例では、本明細書中に開示した任意のキットに含まれるカバーは、意図的に紫外線感受性に調製されていてもよい。
【0085】
従って、放射線チャンバ1301でゴルフボール654に放射線を照射し、これにより脆性にし、次いで、図11に示し且つ上文中に説明したように圧縮圧力を加え、カバー層に「亀裂」を発生する。
【0086】
このようにして、ゴルファーは、環境の予備調整を行って、又は行わずに、ゴルフボールカバー除去デバイスによって、完成したゴルフボールからコアを個人的にリサイクルしてもよい。
【0087】
図13は、本開示に亘って論じた様々な方法のフローチャートを示す。方法1441はリサイクルループを含み、及び従って第1工程自体はなくてもよいものと考えられる。しかしながら、ゴルファーは、工程1459に含まれるように、本明細書中に説明したキットを購入することによって開始してもよい。ゴルファーは、所望のプレー特性に基づいてキットからのコアの選択1453及びカバーの選択1455を行う。ゴルファーは、次いで、キットに含まれるゴルフボールカバー適用デバイスを使用すること等によってカバーをコアに適用1461し、完成したゴルフボールを形成する。ゴルファーは、次いで、完成したゴルフボールを使用してゴルフをプレーする1463。ゴルフを何回もプレーした後、ゴルフボールは磨耗する1443。
【0088】
ゴルファーは、次いで、キットに含まれるゴルフボールカバー除去デバイスを使用すること等によってカバー層をコアから除去してもよい。ゴルファーは、随意であるが、除去したカバー層材料をリサイクルしてもよい。除去したカバー層材料のリサイクルは、カバー層材料が熱可塑性である実施例で特に適している。このようなリサイクルは、例えば、ゴルフプロショップにカバー層材料リサイクルビンを設置することによって、又は他のリサイクル収集法によって行われてもよい。
【0089】
ゴルファーは、次いで、リサイクルされたコアに適用されるべき新たなカバーを一つ又はそれ以上の所望のプレー特性に基づいて選択してもよい。最後に、ゴルファーは、選択されたカバーをコアに再び適用し、完成したゴルフボールを形成する。
【0090】
キット供給者の観点から見ると、図13に示す方法は以下のように説明される。即ち、先ず最初にゴルフボールカバーのセットを提供し、次いでゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーの選択をするため、使用者に表示を提供し、選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、使用者に表示を提供する。幾つかの実施例では、キット供給者の観点から見ると、本方法には、更に、ゴルフボールコアのセットを提供する工程、ゴルフボールコアのセットからゴルフボールコアを選択するため、使用者に表示を提供する工程、及び、これに続いて選択されたゴルフボールカバーを選択されたゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、使用者に表示を提供する工程が含まれる。変形例では、本方法は、キット供給者の観点から見ると、使用済みの完成したゴルフボールを得るため、使用者に表示を提供する工程、使用済みカバー層を使用済みゴルフボールから除去し、使用済みコアを使用済みの完成したゴルフボールの中から取り出すため、使用者に表示を提供する工程、及び選択されたゴルフボールカバーを使用済みコアの周囲に適用し、新たな完成したゴルフボールを形成するため、使用者に表示を提供する工程を含む。
【0091】
従って、本方法により、ゴルファーは、所望のプレー特性を持つカスタマイズのゴルフボールを形成でき、ゴルファーが新たなゴルフボールを購入し続けることにより発生する環境に対する影響を低減できる。
【0092】
本発明の様々な実施例を説明したが、以上の説明は限定でなく例示を意図したものであり、本発明の範疇に含まれるこの他の多くの実施例が可能であるということは当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物のみによって制限される。更に、添付の特許請求の範囲内で様々な変形及び変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0093】
100 キット
102 ゴルフボールコアのセット
104 ゴルフボールカバーのセット
106 ゴルフボールカバー除去デバイス
108 ゴルフボールカバー適用デバイス
110 第1ゴルフボールカバー
112 第2ゴルフボールカバー
120 第1ゴルフボールコア
122 第2ゴルフボールコア
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキット及びゴルフボールのリサイクル又はカスタマイズ方法に関する。詳細には、本開示は、ゴルファーがゴルフボールの様々な構成要素を所望のゴルフボールプレー特性に基づいて選択し、これらの構成要素から完成したゴルフボールを形成できるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフのゲームは、アマチュアレベル及びプロレベルの両方で益々人気のあるスポーツである。ゴルフボールの製造及び設計と関連した様々な技術が当該技術分野で周知である。こうした技術は、様々なプレー特性を持つゴルフボールと関連している。例えば、様々なゴルフボールが、スイング速度が異なるといった様々なゴルフ性能を持つプレイヤー向けに製造されており且つ販売されている。
【0003】
同様に、ゴルファーは、プレイヤーの好みに応じて様々なプレー特性の様々なゴルフボールを使用してもよい。例えば、ディンプルパターンの相違は、ゴルフボールの飛翔中の航空力学的性能に影響し、カバー層の硬度の相違は、バックスピンの速度に影響し、圧縮の相違はゴルフボールに異なるフィール(feel)を与える。
【0004】
特に硬度に関し、ゴルファーは、比較的硬質の又は軟質のカバー層を持つゴルフボールを使用するように選択してもよい。比較的硬質のカバー層を持つゴルフボールは、ドライバーのスピンが減少し、距離が伸びる。しかしながら、比較的硬質のカバー層は、一般的には、スピン速度が低下し、そのため、ゴルフボールは、距離を出すのに向いているけれども距離が比較的短い場合のコントロールが困難である。逆に、比較的軟質のカバー層は、一般的には、比較的多くのスピンが掛かり、従って、コントロール及びグリーン上でのストップが比較的容易であるが、ティーからの飛距離が落ちる。
【0005】
「フィール」という用語は、多くの場合、インパクト時のゴルフボールの比較的硬い又は軟らかい感覚を説明するのに使用される。これは、コアの圧縮値並びにカバーの硬度値と直接的に関連する。比較的軟質のカバー及び比較的圧縮性が高いコアは、一般的には、「ソフトなフィール」を生じる。ソフトなフィールを持つゴルフボールは、ゴルフクラブのフェースで打ったときの音が鈍く、インパクトがゴルフクラブシャフトを通って明らかな程に共鳴することはない。他方、ハードなフィールを持つゴルフボールは、ゴルフクラブのフェースで打ったときに「カチッ」という音が発生し、インパクトがゴルフクラブシャフトを通って伝達し、ゴルファーに対して硬質のフィールを提供する。ゴルフボールの取引で使用される「圧縮」という用語は、一般的には、圧縮荷重が加わった場合に本体に加わる全体としての変形に関する。例えば、PGA圧縮は、打撃時のゴルフボールの形状の変化量を示す。
【0006】
様々な硬質特性及び圧縮特性を持つ様々なゴルフボールが当該技術分野で周知である。一般的には、カバー層の硬度及びゴルフボールの圧縮は、ゴルフボールを形成する様々な層の化学的組成及び物理的構成で決まる。従って、多くの様々なゴルフボール材料を混合し、様々な組み合わせ及び構成で適合し、様々な硬度値及び圧縮値を持つゴルフボールを形成する。
【0007】
しかしながら、所望のプレー特性を得るためにゴルフボールを設計することには、少なくとも幾つかの困難がある。一般的には、周知のゴルフボールの構造は、層の配置、各層で使用される材料、及び層厚等の様々な設計変数を互いにバランスすることを必要とする。従って、これらの変数のうちの任意の変数を変化させると、他のプレー特性を犠牲にして所望のプレー特性の改善がなされる。
【0008】
その結果、ゴルファーは、様々なプレー特性を得るためにゴルフボールの幾つかのセットを購入する必要がある。即ち、ゴルファーは、例えば様々なプレー条件で所望の様々なプレー特性を得るために数セットのゴルフボールを購入して使用する必要がある。例えば、ゴルファーは、ロングコースで、特定のプレー特性を持つ1セットのゴルファーを使用したいと思う。しかしながら、ゴルファーは、ショートコースで、様々なプレー特性を持つゴルフボールの様々なセットを使用したいと思う。別の例として、ゴルファーは、ウェットな又はドライな機構条件で、様々なプレー特性を持つ様々なゴルフボールを使用したいと思う。従って、数セットのゴルフボールを購入し、持ち運び、そして貯蔵することを必要とするため、ゴルファーに不都合を生じ、不要な費用が生じる。
【0009】
更に、ゴルフボールカバー層は、ゴルフクラブによりインパクトが繰り返し加えられるため、経時的に磨耗し劣化することが知られている。カバー層で使用される材料は、一般的には弾性であるが、カバー層は、最終的には、ゴルフクラブの角で打つことにより亀裂が生じる。そうすると、ゴルフボールのプレー特性は最適以下となり、ボールは最終的に使用不能になる。アマチュアゴルファーは、一般的には、新たなゴルフボールの購入費を小さくすることを好む。ゴルフボールの表面層を修復するための様々な方法及びシステムが開発されてきたが、実際には、ゴルファーは、通常は、カバー層が磨耗した場合には、全く新たなゴルフボールを購入する。そのため、一般的には、機能的には完全であるゴルフボールの構成要素を再使用することは行われてこなかった。従って、全く新たなゴルフボールを購入することにより、ゴルファーの費用が増大し、廃ゴルフボールの廃棄による環境への悪影響が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、当該技術分野において、上文中に論じた従来技術の欠点に対処するシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの特徴では、本発明は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うための構成要素を含むキットにおいて、少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットと、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットと、ゴルフボールカバー除去デバイスと、ゴルフボールカバー適用デバイスとを含み、ゴルフボールカバーのセットのゴルフボールカバーの各々及びゴルフボールコアのセットのゴルフボールコアの各々は、選択されたカバーを選択されたコアの周囲にゴルフボールカバー適用デバイスを使用して適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キットを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うための構成要素を含むキットにおいて、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを含み、ゴルフボールカバーの各々は、カバーをゴルフボールコアの周囲にゴルフボールカバー適用デバイスを使用して形成することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キットを提供する。
【0013】
最後に、本開示は、更に、ゴルフボールをカスタマイズする方法において、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを受け取る工程と、ゴルフボールコアを受け取る工程と、ゴルフボールカバー層と関連した所望のゴルフボールプレー特性に基づいてゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーを選択する工程と、選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成する工程とを含む、方法を提供する。
【0014】
本発明のこの他のシステム、方法、特徴、及び利点は、添付図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。本明細書中の説明及びこの課題を解決するための手段に記載したこのような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、全て、本発明の範疇に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護される。
【0015】
本発明は、添付図面及び以下の説明を参照することにより、更によく理解されるであろう。添付図面に示す構成要素は必ずしも等縮尺ではなく、本発明の原理を例示するために強調がなされている。更に、添付図面において、様々な図に亘り、同様の参照番号が対応する部品に附してある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、二つのゴルフボールコアを含むセット、二つのゴルフボールカバーを含むセット、ゴルフボールカバー除去デバイス、及びゴルフボールカバー加熱クランプを含む第1の例示のキットの図である。
【図2】図2は、四つのゴルフボールコアを含むセット、四つのゴルフボールカバーを含むセット、ゴルフボールクラックデバイス、及びポータブルゴルフボール加熱金型を含む第2の例示のキットの図である。
【図3】図3は、硬度値が各々異なる四つのゴルフボールカバーを含むセット、圧縮値が各々異なる四つのゴルフボールコアを含むセットを含む第3の例示のキットの図である。
【図4】図4は、三つのゴルフボールカバーを含む第1セット及び三つのゴルフボールカバーを含む第2セットを含む第4の例示のキットの図である。
【図5】図5は、ディンプルが設けられていない三つのゴルフボールカバーを含む第1セット、ディンプルが設けられていない三つのゴルフボールカバーを含む第2セット、及びディンプルが設けられていない三つのゴルフボールカバーを含む第3セットを含む第5の例示のキットの図である。
【図6】図6は、例示のゴルフボールカバー加熱クランプを、ゴルフボールカバーがゴルフボールコアの周囲に配置された予備成形したゴルフボールとともに示す図である。
【図7】図7は、完成したゴルフボールを形成した後の図6のゴルフボールカバー加熱クランプを示す図である。
【図8】図8は、磨耗したゴルフボールからゴルフボールカバー層を除去するのに使用する際のゴルフボールカバー除去デバイスを示す図である。
【図9】図9は、図8のゴルフボールカバー除去デバイスを更に詳細に示す図である。
【図10】図10は、磨耗したゴルフボールからゴルフボールカバー層を除去するのに使用されるゴルフボールカバー除去デバイスの第2実施例を示す図である。
【図11】図11は、磨耗したゴルフボールからカバー層を除去するプロセスで使用するゴルフボール温度制御デバイスを示す図である。
【図12】図12は、ゴルフボール照射デバイスの一実施例に入れた磨耗したゴルフボールを示す図である。
【図13】図13は、ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルにキットを使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般的には、本開示は、ゴルフボールの注文製作即ちカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキットに関する。本キットは、ゴルフボールカバーのセット又はゴルフボールコアのセット等の様々な種類のゴルフボール構成要素の一つ又はそれ以上のセットを含む。ゴルファーは、所望のプレー特性に基づいてセットからゴルフボール構成要素を選択してもよい。例えば、ゴルファーは、様々な硬度値の一組のゴルフボールカバーから比較的硬質のカバーを選択してもよい。ゴルファーは、次いで、選択したゴルフボールカバーをゴルフボールコアにゴルフボールカバー適用デバイスを使用して適用する。ゴルフボールカバー適用デバイスは、キットに含まれる。コアは、キットのセットから選択してもよく、又はコアは、リサイクルゴルフボールからゴルフボールカバー除去デバイスを使用して得てもよい。
【0018】
図1は、本開示による例示のキットを示す。先ず最初に、キット100は、ゴルフボールコアのセット102を含む。セット102は、第1ゴルフボールコア120及び第2ゴルフボールコア122を含む。一般的には、ゴルフボールコアのセットは、少なくとも二つのゴルフボールコアを含んでいてもよい。例えば、ゴルフボールコアのセットは、少なくとも三つのゴルフボールコア、少なくとも四つのゴルフボールコア、又は少なくとも五つのゴルフボールコアを含んでいてもよい。ゴルフボールコアのセットは、一般的には、任意の数のゴルフボールコアを含んでいてもよく、適当にパッケージされ、商業的に販売される。
【0019】
第1ゴルフボールコア120は、予備選択された第1プレー特性値と関連していてもよく、これに対し、第2ゴルフボールコア120は、予備選択された第2プレー特性値と関連していてもよい。予備選択された第1プレー特性値と予備選択された第2プレー特性値とは異なっていてもよい。プレー特性は、比較値であってもよい。
【0020】
本明細書中で使用されているように、「コア」という用語は、ゴルフボールの内部構造部分に関する。コアという用語は、通常は、ゴルフボールの構成要素の最も内側にある構造だけに関するけれども、本明細書中で使用されているように、「コア」という用語は、最外カバー層でない任意の中間層を追加に含んでいてもよい。例えば、コア120は、完成したときに2ピース構造を持つゴルフボールを形成するのに使用してもよい。その場合、コア120は、完成したゴルフボールの中央最内構成要素のみを含む。他の実施例では、コア120は、3ピース構造を持つ完成したゴルフボールを形成するのに使用してもよい。この場合、コア120は、球形の最内中央部及びこれに被せた中間層を含んでいてもよい。一般的には、各コアは、ゴルフボールの技術で周知であり且つ使用されているように、糸巻きコア又は一体コアであってもよい。
【0021】
本明細書中で使用されているように、「圧縮」という用語は、一般的には、圧縮加重が加わった場合のコアの全体的な撓みに関する。例えば、「PGA圧縮」という用語は、打撃時のゴルフボールの形状の変化量の計測値である。0−200スケールを使用してPGA圧縮を決定するため、ゴルフボールの外面に標準的な力を加える。撓みを示さないボールを200と規格し、0.2インチ撓むボールを0と規格する。撓みの0.001インチの変化毎に圧縮が1点低下する。従って、0.1インチ(0.001インチの100倍)撓むボールのPGA圧縮値は、100(即ち、200−100=100)であり、0.110インチ(0.001インチの110倍)撓むボールのPGA圧縮値は、90(即ち、200−110=90)である。PGA圧縮は、完成したゴルフボールの計測値であるが、本明細書中、コア自体の圧縮値を説明する上でPGA圧縮1−200スケールを使用する。このスケール及び用語を使用すると、圧縮値が比較的高い(約100又はそれ以上)コアに加わる圧縮は小さいが、圧縮値が比較的低い(約80又はそれ以下)コアには比較的大きな圧縮が加わる。
【0022】
ゴルフボールの圧縮値は、打撃時のボールのプレー容易性(playability) 並びに発生する打撃音即ち「カチッという音(click)」 に影響を及ぼす。同様に、圧縮は、ゴルファーに伝わるボールの「フィール(feel)」にも影響を及ぼす。ゴルファーは、インパクト力がゴルフクラブのシャフトを通して共鳴することにより、ゴルフの手の中でハードな応答フィール又はソフトな応答フィールを感じる。ゴルフボールのフィールは、チッピング及びパッティングで特に重要である。詳細には、ゴルフクラブのフェースに対するゴルフボールの圧縮の程度が、結果的に得られるスピン速度に強く影響する。代表的には、圧縮値が比較的高いコアは、圧縮値が比較的低いコアよりもスピン速度が高い。これは、スイング速度及びゴルフボールの全ての他の構成要素が同じである場合、圧縮値が比較的高いコアは、インパクト時にゴルフボールのカバーをゴルフクラブのフェースに、圧縮値が比較的低いコアよりも遥かに大きく押し付けるように作用するために生じるのである。従って、圧縮値が比較的高いコアを持つゴルフボールの場合、クラブフェースがボールを更にしっかりと「グラブ」し、及び従って、スピン速度が比較的高くなる。換言すると、比較的非圧縮性のコアとクラブフェースとの間でカバーが圧縮されるのである。これとは対照的に、圧縮値が比較的低いコアを使用した場合、カバーに加わる圧縮応力は、圧縮値が比較的高いコアを使用した場合よりも遥かに小さい。従って、圧縮値が比較的低いゴルフボールは、クラブフェースとそれ程ぴったりと接触せず、その結果、スピン速度が低くなる。
【0023】
実際には、トーナメント品質のボールの圧縮値は約80乃至約100である。圧縮値が80前後のボールは、一般的には、ジュニア、シニア、及び女子アマチュアゴルファー等のスイング速度が低いゴルファーによって使用される。圧縮値が90前後のボールは、一般的には、男子アマチュアゴルファー及び女子プロゴルファー等の平均的スイング速度のゴルファーによって使用される。圧縮値が100前後のボールは、一般的には、男子プロゴルファー等のスイング速度が速いゴルファーによって使用される。ゴルフボールの特定の圧縮値は、ゴルファーの運動選手としての能力並びにゴルファーの個人的好みに応じて選択される。
【0024】
従って、一般的には、本明細書中で言及したコアは、PGA圧縮スケールで0乃至200の任意の値を備えていてもよい。特定の実施例では、本明細書中で言及したコアは、ティーからの初速に関するUSGA規則に従うように所定の圧縮値を備えていてもよい。特定の実施例では、本明細書中で言及したコアの圧縮値は、約70乃至約110であってもよい。他の実施例では、本明細書中で言及したコアの圧縮値は、約80乃至約100であってもよく、上掲の範囲の任意の組み合わせであってもよい。
【0025】
一般的には、上文中に言及したように、コアセットの各コアは、予備選択された所定のプレー特性と関連していてもよい。様々な実施例において、コアセットの各コアは、圧縮値が同じであってもよいし、圧縮値が異なっていてもよい。例えば、セット102の第1ゴルフボールコア120は、予備選択された第1圧縮値を備えていてもよく、第2ゴルフボールコア122は、予備選択された第2圧縮値を備えていてもよい。予備選択された第1圧縮値及び予備選択された第2圧縮値は、同じであってもよいし異なっていてもよい。予備選択された第1圧縮値及び予備選択された第2圧縮値が異なる実施例では、これらの圧縮値は、少なくとも、特定の所定の量だけ異なっていてもよい。例えば、予備選択された第1圧縮値及び予備選択された第2圧縮値は、少なくとも約20単位だけ、又は少なくとも約10単位だけ、又は少なくとも約3単位だけ異なっていてもよい。セット102にはコアが二つしか含まれていないが、任意のセットの幾つかのコアの間の関係は同じパターンに従っていてもよく、各コアは、セットの他の全てのコアの圧縮値と少なくとも特定の所定量異なる予備選択された所定の圧縮値を備えていてもよい。
【0026】
特にセット102を参照すると、第1ゴルフボールコア120の圧縮値は、(例えば)約80であるのに対し、第2ゴルフボールコア122の圧縮値は約100である。セット102の別の実施例では、第1ゴルフボールコア120の圧縮値は約90であるのに対し、第2ゴルフボールコア122の圧縮値は約100である。セット102の更に別の実施例では、第1ゴルフボールコア120の圧縮値は約87であるのに対し、第2ゴルフボールコア122の圧縮値は約92である。
【0027】
コアセットの各コアには、各コアをセットの別のコアと区別するように、視覚的マークが付けてあってもよい。例えば、セット102において、第1コア120の色合いは比較的明るくてもよく、これに対し、第2コア122の色合いは比較的暗くてもよい。コアの色合いは、コアを形成する材料に染料又は顔料を添加することによって制御されてもよい。他の実施例では、各コアには、様々な書き込み又は印による視覚的マークが付けてあってもよい。これらの視覚的マークにより、ゴルファーは、コアの視覚的外観をコアが持つ特定のプレー特性と関連付けることができる。例えば、圧縮値が比較的高いコアの色を圧縮値が比較的低いコアよりも暗くしてもよい。
【0028】
本明細書中に特段の記載がない限り、幾つかのコア又は各コアに使用された材料は、ゴルフボールの製造で使用されることが知られている様々な材料のうちの任意の材料から形成されていてもよい。例えば、各コア(又はその任意の部分)は、熱硬化性材料、熱可塑性材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成されていてもよい。幾つかの実施例では、コアで使用される材料は、ゴム様コンパウンド等の熱硬化性材料から形成されていてもよい。ベースゴムは、1,4−シス−ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、天然ゴム、及びその混合物を含む。更に高いレジリエンスが所望である場合には、1,4−シス−ポリブタジエンをベース材料として使用し、これを他の成分と混合してもよい。しかしながら、1,4−シス−ポリブタジエンの量は、ゴムコンパウンドの100重量部に基づいて、少なくとも50重量部でなければならない。
【0029】
更に、ベースゴム材料には、架橋剤や充填剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えば、架橋剤には、亜鉛ジアクリレート、マグネシウムアクリレート、亜鉛メタクリレート、及びマグネシウムメタクリレートが含まれ、このうち、レジリエンスを更に高くするため、特に亜鉛ジアクリレートが使用される。更に、比重を更に大きくするため、ゴムコンパウンドには、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の充填剤が含有されていてもよい。このうち、酸化亜鉛が好ましい。所要の比重を得るため、比重が大きいタングステン等の金属の粉体を含んでもよい。
【0030】
コアの幾つかの部分又は各部分の材料は、例えばアイオノマー樹脂、高度に中和した酸ポリマー組成物、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びこれらの混合物から形成されていてもよい。
【0031】
キット100は、隣にゴルフボールカバーのセット104を含む。セット104は、第1ゴルフボールカバー110及び第2ゴルフボールカバー112を含む。一般的には、ゴルフボールカバーのセットには、少なくとも二つのゴルフボールカバーが含まれる。例えば、ゴルフボールカバーのセットは、少なくとも三つのゴルフボールカバー、少なくとも四つのゴルフボールカバー、又は少なくとも五つのゴルフボールカバーを含んでいてもよい。ゴルフボールカバーのセットは、一般的には、任意の数のゴルフボールカバーを含んでいてもよく、適当に一緒にパッケージされ、商業的に販売される。
【0032】
セット104の第1ゴルフボールカバー110は、予備選択された第1プレー特性値と関連していてもよく、第2ゴルフボールカバー112は、予備選択された第2プレー特性値と関連していてもよい。これらの第1及予備選択されたプレー特性値は、異なっていてもよい。プレー特性は、硬度値であってもよい。
【0033】
本明細書中で使用されているように、「ゴルフボールカバー」という用語は、一般的には、完成したゴルフボールの最外カバー層を形成する任意の構造に関する。カバー層は、周知のゴルフボールの従来の構成要素である。本開示で使用されているように、「カバー層」という用語は、完成したゴルフボールの最外構造層に関し、「ゴルフボールカバー」という用語は、ゴルフボールコアの周囲に適用されたとき、カバー層となる構造に関する。詳細には、各ゴルフボールカバー及び各ゴルフボールコアは、ゴルフボールカバー適用デバイス(以下に説明する)を使用してカバーをコアの周囲に適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている。
【0034】
図1に示すように、各ゴルフボールカバーは、球の中心を通る平面に沿って分割した二つの半球の形態を備えていてもよい。この実施例では、半球間の分割は均等である。即ち、ボールカバーの赤道に沿って分割されている。しかしながら、他の実施例では、分割を他の緯線に沿って行ってもよい。他の実施例では、各ゴルフボールカバーは、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してカバーをコアの周囲に適用できる限り、他の形状を備えていてもよい。例えば、各カバーは、出入りのある二つの半球の形状をなしていてもよい。これらの出入り部分が二つの半球を(例えば)ディンプルパターンに従って整合する。各カバーは、大きさに関する様々なUSGA規則に従う周知のゴルフボールカバー層の厚さに従って所定の厚さを備えていてもよい。詳細には、各カバーは、完成したゴルフボールのカバー層の所望の厚さよりも僅かに大きい所定の厚さを備えていてもよい。これは、コアの周囲に完全なシールを形成する場合に余分の材料を除去するためである。
【0035】
ゴルフボールカバーのセットの各ゴルフボールカバーは、所定の硬度値を備えていてもよい。本明細書中で使用したように、「硬度」という用語は、所与の力を標準的なプレッサーフット(presser foot)に加えることによって形成された材料の窪みの深さの計測値に関する。硬度は、例えばASTM D2240等の周知の産業標準に従って決定されてもよい。本開示で議論する全ての硬度値は、ショアーDスケールで与えられる。
【0036】
カバー層の硬度値は、打撃時のゴルフボールのプレー容易性に影響を及ぼす。即ち、上文中に言及したように(ゴルフボールの全ての他の構成要素及びスイング特性は等しい)、比較的硬質のカバー層を持つゴルフボールは、一般的には、ドライバーのスピンが減少し、比較的大きな飛距離が出る。しかしながら、比較的硬質のカバー層は、一般的には、スピン量が減少し、ゴルフボールはドライバーに向くけれども比較的短いショットについてコントロールが比較的困難である。これは、比較的硬質のカバー層が比較的多くの衝撃運動エネルギをコアに伝達するためである。逆に、比較的軟質のカバー層を持つゴルフボールは、一般的には、より多くのスピンが掛かり、従って、コントロール及びグリーン上でのストップが比較的容易であるが、ティーからの飛距離が落ちる。
【0037】
一般的には、ゴルフボールカバー層の硬度値は、ショアーDスケールで約30乃至約80である。比較的短いコース又は他のコースでは、飛距離よりもコントロールの方が重要であるため、硬度値が約40又はそれ以下のカバー層を持つゴルフボールが一般的に使用される。硬度値が約50のカバー層を持つゴルフボールは様々な条件でオールラウンドボールとして使用される。硬度値が約60又はそれ以上のカバー層を持つゴルフボールは、飛距離の重要度が高いロングコースで使用される。特定のゴルフボールカバー層の硬度値の選択は、プレー条件、ゴルファーの運動選手としての能力、及びゴルファーの個人的好みに応じて選択される。
【0038】
従って、一般的には、本明細書中に開示したカバーは、ショアーDスケールで約30乃至約80の任意の硬度値を備えていてもよい。カバーの硬度値は、所与のカバーから形成されたカバー層を含む完成したゴルフボールについて計測されるが、本開示は、説明を容易にするため、カバー自体の硬度値を論じる。開示の実施例では、カバーの硬度値は約40乃至約70、約45乃至65、又は約50乃至60、又は上掲の範囲の任意の組み合わせであってもよい。
【0039】
一般的には、ゴルフボールカバーのセットの各カバーは特定の予備選択されたプレー特性と関連していてもよい。このプレー特性は、硬度値であってもよい。様々な実施例において、カバーのセットの各カバーは、硬度値が同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、セット104の第1ゴルフボールカバー110は第1硬度値を備えていてもよく、第2ゴルフボールカバー112は第2硬度値を備えていてもよい。第1硬度値及び第2硬度値は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0040】
第1硬度値及び第2硬度値が異なる実施例では、これらの硬度値は少なくとも特定の所定量だけ異なっていてもよい。例えば、第1硬度値及び第2硬度値は、ショアーDスケールで少なくとも約20単位だけ異なり、又はショアーDスケールで少なくとも約10単位だけ異なり、又はショアーDスケールで少なくとも約5単位だけ異なり、又はショアーDスケールで少なくとも約3単位だけ異なる。セット104はカバーを二つしか含まないが、カバーの任意のセットの幾つかのカバーの間の関係は、同じパターンに従う。即ち、各カバーの硬度値は、セットの全ての他のカバーの硬度値と少なくとも特定の所定量だけ異なる。
【0041】
また、セット104に関し、第1ゴルフボールカバー110の硬度値は、(例えば)約40であってもよく、これに対し、第2ゴルフボールカバー112の硬度値は、約60であってもよい。セット104の他の実施例では、第1ゴルフボールカバー110の硬度値は、約45であってもよく、これに対し、第2ゴルフボールカバー112の硬度値は、約55であってもよい。更に他の実施例では、第1ゴルフボールカバー110の硬度値は、約50であってもよく、これに対し、第2ゴルフボールカバー112の硬度値は、約55であってもよい。
【0042】
カバーのセットの各カバーには、各カバーをセットの他のカバーと区別するように、視覚的マークが付けてあってもよい。例えば、セット104において、第1カバー110の色合いは比較的明るくてもよく、これに対し、第2カバー112の色合いは比較的暗くてもよい。カバーの色合いは、カバーを形成する材料に染料又は顔料を添加することによって制御されてもよい。他の実施例では、各カバーには、様々な書き込み又は印による視覚的マークが付けてあってもよい。これらの視覚的マークにより、ゴルファーは、カバーの視覚的外観を、カバーが持つ特定のプレー特性と関連付けることができる。例えば、一般的には、硬度値が比較的高いカバーの色を硬度値が比較的低いカバーよりも暗くしてもよい。
【0043】
ゴルフボールカバーは、更に、その外面に複数のディンプルを含んでいてもよい。これらの複数のディンプルは、一般的には、ゴルフボールの技術で周知であるように、カバー上に任意のパターンで配置されている。様々な周知のディンプルパッキングパターンが当該技術分野で周知である。これらのディンプルは、一般的には、円形、三角形、又は多角形等の任意の形状を備えていてもよい。ディンプルは、大きさ及び形状が均等であってもよく、又はディンプルパターンに従って、例えば大きさ及び形状が異なる二つ又はそれ以上の異なる種類のディンプルを含んでいてもよい。別の態様ではカバーボールカバーは、ディンプルが設けられていなくてもよい。このような実施例では、コアをカバーで取り囲む以下に論じるプロセス中にディンプルをカバー層に加えてもよい。
【0044】
本明細書中に特段の記載がない限り、幾つかのカバー又は各カバーで使用される材料は、ゴルフボール製造で使用されることが周知の上文中に説明した様々な材料のうちの任意の材料で形成されていてもよい。詳細には、上文中に論じたように、加熱によりコアの周囲に容易に適用できる熱可塑性材料が特に適している。更に、熱可塑性材料は、以下に論じるように、溶融によりリサイクル及び再加工を行うことができる。
【0045】
キット100は、更に、ゴルフボールカバー除去デバイス106を含む。ゴルフボールカバー除去デバイス106は、一般的には、完成したゴルフボールからゴルファーがゴルフボールカバー層を除去できるようにする任意の種類の手持ち式デバイスであってもよい。ゴルフボールカバー除去デバイス106の特定の実施例を、以下に図8乃至図10及び図12を参照して説明する。
【0046】
最後に、キット100は、ゴルフボールカバー適用デバイス108を含む。ゴルフボールカバー適用デバイス108は、一般的には、ゴルファーがゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成できるようにする任意の種類の手持ち式デバイスであってもよい。「完成したゴルフボール」という用語は、ゴルフのラウンドをプレーするために使用するときにゴルフボールが適正に機能する上で必要な全ての構造的構成要素を含むゴルフボールを意味するものと理解されるべきである。実施例では、完成したゴルフボールは、トーナメントプレー用ゴルフボールに関する全ての適用可能なUSGA規則に従う。ゴルフボールカバー適用デバイスの特定の実施例を、以下に図6及び図7を参照して説明する。
【0047】
図2は、本開示による第2の例示のキット200を示す。先ず最初に、キット200はゴルフボールコアのセット202を含む。セット202は、第1コア220、第2コア222、第3コア224、及び第4コア226の四つのコアを含む。キット100のコアのセット102に関して論じたように、セット202のコアは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1コア220、第2コア222、第3コア224、及び第4コア226の各々は、圧縮値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1コア220は、予備選択された第1圧縮値を備えていてもよく、第2コア222は、予備選択された第2圧縮値を備えていてもよく、第3コア224は、予備選択された第3圧縮値を備えていてもよく、第4コア226は、予備選択された第4圧縮値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された圧縮値は、異なっていてもよい。詳細には、第1乃至第4の予備選択された圧縮値は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1圧縮値は約70であってもよく、予備選択された第2圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第3圧縮値は約90であってもよく、予備選択された第4圧縮値は約100であってもよい。
【0048】
次に、キット200は、ゴルフボールカバーのセット204を含む。セット204は、第1カバー210、第2カバー212、第3カバー214、及び第4カバー216の四つのカバーを含む。キット200のカバーのセット104に関して論じたように、セット204のカバーは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1カバー210、第2カバー212、第3カバー214、及び第4カバー216の各々は、硬度値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1カバー210は、予備選択された第1硬度値を備えていてもよく、第2カバー212は、予備選択された第2硬度値を備えていてもよく、第3カバー214は、予備選択された第3硬度値を備えていてもよく、第4カバー216は、予備選択された第1硬度値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された硬度値の各々は、異なっていてもよい。詳細には、第1乃至第4の予備選択された硬度値の各々は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1硬度値はショアーDスケールで約40であってもよく、予備選択された第2硬度値はショアーDスケールで約50であってもよく、予備選択された第3硬度値はショアーDスケールで約60であってもよく、予備選択された第4硬度値はショアーDスケールで約70であってもよい。
【0049】
キット200は、更に、ゴルフボールカバー除去デバイス206を含む。ゴルフボールカバー除去デバイス206は、ゴルフボールに圧縮圧力を加えることによって、完成したゴルフボールからゴルフボールカバー層を除去するように形成されていてもよい。ゴルフボールカバー除去デバイス206を以下に論じ、図11に更に詳細に示す。
【0050】
キット200は、更に、ゴルフボールカバー適用デバイス208を含む。ゴルフボールカバー適用デバイス208は、一般的には、加熱デバイスであってもよい。図2に示す特定の実施例では、ゴルフボールカバー適用デバイス208は加熱金型である。第1加熱金型208は、カバー材料が再流動し、コアの周囲をシールするようにカバーを加熱することによって、ゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲にシールし、完成したゴルフボールを製造するように形成されている。加熱金型208は、第1キャビティ260及び第2キャビティ262を含む。第1キャビティ260及び第2キャビティ262は、各々がカバーの夫々の半球形半部を収容するように形成されている。第1キャビティ260の内面には、第1反転ディンプルパターン264が設けられ、第2キャビティ262の内面には、第2反転ディンプルパターン266が設けられている。第1反転ディンプルパターン264及び第2反転ディンプルパターン266は、一連のバンプによって形成されている。これらのバンプによって、第1キャビティ260及び第2キャビティ262の内部のゴルフボール上に形成されたカバー層にディンプルパターンがエンボス加工される。上文中に論じたように、ディンプルパターンは、一般的には、当該技術分野で周知の任意のディンプルパターンであってもよい。加熱金型208は、更に、余分の材料を第1キャビティ260及び第2キャビティ262からドレンできるようにする特徴を備えている。詳細には、加熱金型208は、第1キャビティ260からのドレンチャンネル274及び第2キャビティ262からのドレンチャンネル276を含んでいてもよい。カバー層からの材料をキャビティによってプレスし、余分の材料をドレンチャンネル274及び276内に押し出す。
【0051】
加熱金型208は、更に、電気プラグ268を含む。プラグは、電気を伝導するのに役立つ任意の種類のプラグであってもよい。最後に、加熱金型208は、第1ラッチ部分270及び第2ラッチ部分272を含んでいてもよい。第1ラッチ部分270及び第2ラッチ部分272により、第1キャビティ260及び第2キャビティ262の夫々を互いに対して可逆的に固定できる。これにより、カバーをコアの周囲で適正に加熱しシールする。
【0052】
図3は、第3キット300を示す。第3キット300は、ゴルフボールコアのセット302を含む。セット302は、第1コア320、第2コア322、第3コア324、及び第4コア326の四つのコアを含む。キット200のコアのセット202に関して論じたように、セット302のコアは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1コア320、第2コア322、第3コア324、及び第4コア326の各々は、圧縮値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1コア320は、予備選択された第1圧縮値を備えていてもよく、第2コア322は、予備選択された第2圧縮値を備えていてもよく、第3コア324は、予備選択された第3圧縮値を備えていてもよく、第4コア326は、予備選択された第4圧縮値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された圧縮値は、異なっていてもよく、又はその任意のサブセットの圧縮値が異なっており、その他の圧縮値が同じであってもよい。詳細には、特定の実施例では、第1乃至第4の予備選択された圧縮値は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1圧縮値は約70であってもよく、予備選択された第2圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第3圧縮値は約90であってもよく、予備選択された第4圧縮値は約100であってもよい。他の実施例では、例えば、予備選択された第1圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第2圧縮値は約80であってもよく、予備選択された第3圧縮値は約100であってもよく、予備選択された第4圧縮値は約100であってもよい。
【0053】
キット300は、更に、ゴルフボールカバーのセット304を含む。セット304は、第1カバー310、第2カバー312、第3カバー314、及び第4カバー316の四つのカバーを含む。キット200のカバーのセット204に関して論じたように、セット304のカバーは、同じ又は異なる予備選択されたプレー特性を備えていてもよい。詳細には、幾つかの実施例では、第1カバー310、第2カバー312、第3カバー314、及び第4カバー316の各々は、硬度値が同じであってもよい。別の態様では、他の実施例において、第1カバー310は、予備選択された第1硬度値を備えていてもよく、第2カバー312は、予備選択された第2硬度値を備えていてもよく、第3カバー314は、予備選択された第3硬度値を備えていてもよく、第4カバー316は、予備選択された第4硬度値を備えていてもよい。第1、第2、第3、及び第4の予備選択された硬度値の各々は圧縮値が異なっていてもよく、又はその任意のサブセットの圧縮値が異なっていてもよく、その他の圧縮値が同じであってもよい。詳細には、第1乃至第4の予備選択された硬度値の各々は、上文中に論じたように、所定量だけ異なっていてもよい。一つの特定の実施例では、予備選択された第1硬度値はショアーDスケールで約40であってもよく、予備選択された第2硬度値はショアーDスケールで約50であってもよく、予備選択された第3硬度値はショアーDスケールで約60であってもよく、予備選択された第4硬度値はショアーDスケールで約70であってもよい。他の実施例では、例えば、予備選択された第1硬度値は約40であってもよく、予備選択された第2硬度値は約40であってもよく、予備選択された第3硬度値は約60であってもよく、予備選択された第4硬度値は約60であってもよい。
【0054】
キット300は、「補給」キットと説明できる。これは、このキットがゴルフボール構成要素を含み、キット100又はキット200に含まれるデバイスのうちの任意のデバイスを必ずしも含まないためである。詳細には、ゴルファーは、キットに含まれるカバー、コア、及びデバイスを手に入れるため、キット100又はキット200等のキットを購入する。しかしながら、キット100又はキット200に含まれるコア及びカバーが繰り返し使用により磨耗した後でも、デバイスは、いまだ使用可能である。従って、ゴルファーは、ゴルフボールのカスタマイズを更に行うため、又は前に得たゴルフボールからいまだ使用可能な構成要素をリサイクルするため、追加のコア又はカバーを入手したいと考える。
【0055】
図4は、補給キット400の別の実施例を示す。このキット400は、ゴルフボールカバーの第1セット402を含む。ゴルフボールカバーの第1セット402は、第1カバー410、第2カバー412、及び第3カバー414の三つのカバーを含む。本明細書中に開示した任意のカバーに関して上文中に論じたように、セット402のカバーの各々は、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してカバーをゴルフボールコアの周囲に適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている。キット400は、更に、ゴルフボールカバーの第2セット430を含む。このセット430もまた、第1カバー432、第2カバー434、及び第3カバー436の三つのカバーを含む。
【0056】
セット402又はセット430のカバーの各々は、予備選択されたプレー特性が同じであってもよいし異なっていてもよい。幾つかの実施例では、セット402の各カバーは、予備選択された硬度値が同じであってもよいし異なっていてもよい。セット430の各カバーは、硬度値が同じであってもよく、この硬度値は、セット402のカバーのうちの一つ又はそれ以上のカバーの硬度値と同じであってもよいし、硬度値が互いに異なっていてもよい。セット430の各カバーの硬度値が互いに異なる場合には、これらの硬度値のうちの一つ又はそれ以上は、それにも関わらず、セット402の硬度値と同じであってもよい。一つの特定の実施例では、図4に示すように、セット402の各カバーは、予備選択された第1硬度値を有し、セット430の各カバーは、予備選択された第2硬度値を有し、予備選択された第2硬度値は予備選択された第1硬度値と異なる。
【0057】
図5は、補給キット500の更に別の実施例を示す。キット500は、カバーの第1セット502、カバーの第2セット530、及びカバーの第3セット540を含む。セット502、セット530、及びセット540は、各々、四つのカバーを含む。詳細には、第1セット502は、第1カバー510、第2カバー512、第3カバー514、及び第4カバー516を含む。同様に、第2セット530は、第1カバー532、第2カバー534、第3カバー536、及び第4カバー538を含む。第3セット540は、第1カバー542、第2カバー544、第3カバー546、及び第4カバー548を含む。
【0058】
キット500の各セットの各カバーは、予備選択された夫々のプレー特性を備えていてもよい。プレー特性は硬度値であってもよい。様々な実施例において、予備選択された硬度値の各々は、夫々のセットの他の予備選択された硬度値に対して所定の関係を示し、又はキット500のカバーの任意のセットの他の予備選択された硬度値に対して所定の関係を示してもよい。例えば、各セットの各カバーは、予備選択された同じ単一の硬度値を備えていてもよく、又は各カバーの予備選択された硬度値は、夫々のセットの他のカバーの硬度値と同じであってもよいが、他のセットのカバーの硬度値と異なっていてもよく、又は各カバーの予備選択された硬度値は、夫々のセットの他のカバーの硬度値と異なっていてもよいが各セットは同じシリーズの硬度値を備えていてもよく、又は各カバーは、任意のセットの任意の硬度値と異なる独特の硬度値を備えていてもよく、又は上述の関係の任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0059】
特定の実施例では、図5に示すように、セット502の各カバーは、予備選択された第1硬度値を有し、セット530の各カバーは、予備選択された第2硬度値を有し、セット540の各カバーは、予備選択された第3硬度値を有する。予備選択された第1硬度値、予備選択された第2硬度値、及び予備選択された第3硬度値は、全て、互いに異なっていてもよい。幾つかの実施例では、予備選択された第1硬度値、予備選択された第2硬度値、及び予備選択された第3硬度値は、互いから所定の特定の量だけ異なっていてもよい。例えば、予備選択された第1硬度値、予備選択された第2硬度値、及び予備選択された第3硬度値は、互いから、ショアーDスケールで、約20単位、又は約10単位、又は約5単位、又は約3単位だけ異なってもよい。
【0060】
キット400及びキット500の各々は、更に、一つ又はそれ以上はコアのセットを含んでいてもよい。キット400又はキット500に含まれるコアのセットは、一般的には、上文中に論じたように、コアのセット102、コアのセット202、又はコアのセット302であってもよい。しかしながら、他の実施例では(図示のように)、キット400及びキット500等の補給キットにコアのセットが含まれていなくてもよい。このような実施例では、こうしたキットに含まれるカバーは、使用済みゴルフボールから回収したゴルフボールコアに適用されてもよい。一般的には、カバーはコアよりも速く磨耗し、そのため、消費者は、カバーだけを交換し、使用済みゴルフボールから回収したコアを再使用することによって費用を低減してもよい。
【0061】
キット100、キット200、キット300、キット400、及びキット500は、少なくとも一セットのゴルフボールカバーを含む。特定のキットに関する、包含されるゴルフボールカバーのセットの性質についての任意の開示は、任意の他のキットのゴルフボールカバーのセットに等しく適用可能である。例えば、任意のキットの任意のゴルフボールカバーの任意のセットに含まれるゴルフボールカバーの数は任意である。一般的には、ゴルフボールカバーの各セットには少なくとも二つのカバーが含まれる。幾つかの実施例では、図示のように、又は図示していない実施例において、ゴルフボールカバーの各セットには、少なくとも三つのカバー、少なくとも四つのカバー、少なくとも五つのカバー、又は適当に一緒にパッケージされ、ゴルファーに商業的に販売される任意の数のカバーが含まれていてもよい。同様に、任意のキットのカバーの任意のセットは、硬度値間に上文中に論じた任意の関係を備えていてもよい。任意のキットがコアのセットを含む限り、コアの特定のセットに関する本明細書中の開示を、任意のキットのコアの任意のセットに同様に適用できる。
【0062】
図6は、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してカバーをコアの周囲に適用するプロセスの一実施例を示す。図6は、特に、図1のキット100の構成要素の使用を示す。キット100の購入後、ゴルファーは、キット100の構成要素を使用して完成したゴルフボールを形成する。先ず最初に、ゴルファーは、カバーのセット104から特定のゴルフボールカバー110を選択してもよい。特定のカバーは、所望のカバー層硬度等の所望のプレー特性に基づいて選択されてもよい。例えば、ゴルファーは、選択されたカバーから形成されたゴルフボールで良好なコントロールを得るため、比較的軟質のカバーを選択してもよい。ゴルファーは、次いで、コアのセット102から特定のゴルフボールコア122を選択してもよい。特定のコアは、所望のコア圧縮値等の所望のプレー特性に基づいて選択されてもよい。例えば、ゴルファーは、高いスピン速度を得るため、比較的高い圧縮値のコアを選択してもよい。この選択後、プレゴルフボール構造(pre-golf ball structure) 650を形成するため、コア122をカバー110の内部に配置してもよい。コア122は、ゴルファーの手で又は他の手段によってカバー110の内側に配置されてもよい。
【0063】
次いで、ゴルフボールカバー適用デバイス108によってプレゴルフボール構造650に作用を加え、完成したゴルフボールを形成する。図示の特定の実施例では、ゴルフボールカバー適用デバイス108は、手持ち式加熱クランプである。手持ち式加熱クランプ108は、2009年10月23日に出願された「ゴルフボールの加熱用デバイス」という表題の米国特許出願第12/604,830号(以下、「830号出願」と呼ぶ)である米国特許第____号に詳細に記載されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0064】
詳細には、手持ち式加熱クランプ108は、第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603を含む。第1レバーアーム601は第1基端613及び第1先端615を含み、これに対し第2レバーアーム603は、同様に、第2基端617及び第2先端619を含む。第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603は、第1基端613及び第2基端617の夫々の枢軸609と関連している。第1レバーアーム601は、第1先端615と関連した第1ゴルフボール受け入れユニット605を含み、この第1ゴルフボール受け入れユニット605には、第1内部加熱面611が設けられている。同様に、第2レバーアーム603は、第2先端619と関連した第2ゴルフボール受け入れユニット607を含み、この第2ゴルフボール受け入れユニット607には、第2内部加熱面(図示せず)が設けられている。第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607は、これらの第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607が、その中に配置されたゴルフボール構成要素の周囲で完全に閉鎖するように、第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603(の夫々)内で整合している。詳細には、例えば、第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607は、固定された取り付け機構によって整合してもよい。別の態様では、例えば、第1ゴルフボール受け入れユニット605及び第2ゴルフボール受け入れユニット607の一方又は両方を、可撓性取り付け機構によって夫々のクランプアームに取り付けてもよい。いずれの場合でも、これらのゴルフボール受け入れユニットはその内部のゴルフボール構成要素の周囲にシールを形成する形体を備えている。
【0065】
図6及び図7は、完成したゴルフボールを形成するために手持ち式加熱クランプ108を使用する方法を示す。先ず最初に、プレゴルフボール構造650を第1ゴルフボール受け入れユニット605又は第2ゴルフボール受け入れユニット607のうちの一方に配置する。次に、図7に示すように、ゴルファーの手で、指727及び親指723によって力を加え、第1ゴルフボール受け入れユニット605又は第2ゴルフボール受け入れユニット607がぴったりと接触するように第1レバーアーム601及び第2レバーアーム603を枢軸609を中心として移動する。次いで、830号出願に記載されているように第1内部加熱面611及び第2内部加熱面を賦勢する。加熱作用によりコア122の周囲でカバー110をシールする。
【0066】
詳細には、加熱作用により、幾つかの物理−化学的方法のうちの任意の方法で、コア122の周囲でカバー110をシールする。例えば、幾つかの実施例では、カバー110は、加熱活性化接着剤を含んでいてもよい。他の実施例では、カバー110は熱可塑性ポリマー材料で形成されていてもよい。ポリマーの技術分野で一般的に周知であるように、熱可塑性ポリマーは、その融点以上に加熱されたときに固体から液体に相変化するポリマーである。ゴルフボールカバー層を形成するため、熱可塑性アイオノマー(Surlyn(登録商標)等)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の熱可塑性ポリマー材料が一般的に使用される。こうした実施例では、手持ち式加熱クランプ108は、熱可塑性物質の融点を越える温度をプレゴルフボール構造650に加えるように形成されていてもよい。
【0067】
プレゴルフボール構造650を十分に加熱した後、完成したゴルフボール652を形成してもよい。次いで、完成したゴルフボール652を手持ち式加熱クランプ108から取り出し、ほぼ室温まで冷却した後、この完成したゴルフボール652を使用してゴルフをプレーする。
【0068】
従って、ゴルファーは、所望のプレー特性に従ってキットのゴルフボール構成要素から個人的に組み立てたカスタマイズのゴルフボールを形成するため、ゴルフボールカバー適用デバイスを使用してもよい。換言すると、ゴルファーは、ゴルフボールカスタマイズ方法を実施してもよい。この方法は、一般的には、先ず最初に、ゴルフボールカバーのセットを受け入れる(キットを購入すること等によって)。ゴルフボールカバーのセットは、少なくとも二つのゴルフボールカバーを含む。ゴルファーは、更に、ゴルフボールコアを受け入れる。ゴルファーは、次に、ゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーを選択する。ゴルフボールカバーの選択は、ゴルフボールカバー層と関連した所望のゴルフボールプレー特性に基づいて行われる。最後に、ゴルファーは、選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成する。
【0069】
この方法の特定の実施例では、上文中に論じたように、ゴルファーは、コアを含むキットを購入することによって少なくとも一つのゴルフボールコアを入手する。方法のこのような実施例では、ゴルファーは、少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットを入手する。ゴルフボールコアのセットの少なくとも二つのゴルフボールコアは圧縮値が異なっていてもよく、ゴルファーは、ゴルフボールコアの所望の圧縮値に基づいて、ゴルフボールコアのセットから一つのゴルフボールコアを選択する。一組のコアを含むキットからコアを受け取るこのような方法は、図1に示すキット100、図2に示すキット200、及び図3に示すキット300に関して上文中に論じてある。
【0070】
別の態様では、ゴルファーは、現存の完成したゴルフボールをリサイクルすることによってゴルフボールコアを入手してもよい。一般的には、ゴルファーは、完成したゴルフボールを入手できる。完成したゴルフボールは、コアを実質的に取り囲むカバー層を含む。ゴルファーは、次いで、完成したゴルフボールからカバー層を除去し、コアを完成したゴルフボール内から取り出す。ゴルファーは、次いで、上文中に説明した方法で、この取り出したコアを使用する。
【0071】
図8は、現存の完成したゴルフボールをリサイクルすることによって使用済みゴルフボールコアを回収するための一つのこのような方法及びこの方法で使用するデバイスを示す。ゴルフボールカバー除去デバイス106は、図8に示すように、このようなデバイスの一実施例である。ゴルフボールカバー除去デバイス106は、ゴルフボールピッター(pitter)とも呼ばれる。
【0072】
ゴルフボールピッター106は、第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803を含む。第1レバーアーム801の基端813は枢軸809に取り付けられている。第2レバーアーム803の基端817もまた枢軸809に取り付けられている。基端813とは反対側の第1レバーアーム801の先端815には、周囲切断縁811が設けられている。第2レバーアーム803の先端819には、ゴルフボール位置決め部分807が設けられている。加熱クランプ108に関して論じたように、ゴルフボールピッター106の第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803は、人間の手725の動きによって、枢軸809を中心として動かすことができる。図8に示す実施例では、周囲切断縁811及びゴルフボール位置決め部分807は、第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803が枢軸809を中心として移動するとき、互いに向かって及び互いから遠ざかるように移動するように整合していてもよい。周囲切断縁811は、ゴルフボール654の周囲に亘ってゴルフボールカバーを切断するように形成されている。
【0073】
図8に示すように、完成したゴルフボール654は、使用限度を越えて磨耗する場合がある。これは、亀裂656により明らかである。従って、完成したゴルフボール654を、ゴルフボールピッター106内で周囲切断縁811とゴルフボール位置決め部分807との間に配置する。ゴルファーは、次いで、第1レバーアーム801及び第2レバーアーム803に力を加えこれらのレバーアームを枢軸809を中心として回転し、ゴルフボール位置決め部分807が完成したゴルフボールを周囲切断縁811に押し込む。従って、周囲切断縁811は、ゴルフボール654からカバー層の一部658を切除し、スクラップゴルフボール660を形成する。切断プロセスは、一般的には、削り落とし(scraping)プロセス、掻き取り(grating) プロセス、又は擦り取り(scouring)プロセスと説明される。
【0074】
幾つかの実施例では、切断プロセスには、ゴルフボール654の亀裂656により、切断を行う上で必要な圧力が減少するという利点がある。即ち、完成したゴルフボール654のカバー層の亀裂656又は磨耗部分が周囲切断縁811と整合し、カバー層部分658の除去を容易にする。他の実施例では、完成したゴルフボール654のカバー層には、設計により弱め部が形成されており、これにより、完成したゴルフボールからのカバー層の除去を、設計により形成されたこのような弱め部がない場合よりも更に容易にする。設計により形成された弱め部(designed weakness) は、例えば、カバー層の特に薄い部分の形態をとってもよく、又はカバー層の一部に沿った材料の相違の形態をとってもよい。本明細書中に開示した任意のキットの任意のカバーに、このような設計により形成された弱め部が設けられていてもよい。
【0075】
切断プロセス後、スクラップゴルフボール660をゴルフボールピッター106のゴルフボール保持部分805から取り出す。カバー層部分658の周囲を除去することにより、スクラップゴルフボール660には第1カバー層残存部分662及び第2カバー層残存部分664が残る。特定の実施例では、ゴルファーの手721によって、これらの部分の各々をコア122から除去してもよい。他の実施例では、例えばカバー層がコアに接着剤で固定されている場合には、例えば、ゴルフボール660を周囲切断縁811に関して様々に整合し、ゴルフボールピッター106を使用した切断工程を繰り返すことによってカバー層の残存部分を除去してもよい。
【0076】
図9は、切断プロセスを更に詳細に示す。詳細には、ゴルフボール654は直径932を有し、周囲切断縁811は内径933を有する。一般的には、ゴルフボール直径932の値は、周囲切断縁内径933とゴルフボール保持部分外径935との間である。特定的には、完成したゴルフボール654をゴルフボール位置決め部分807が周囲切断縁811に押し込むときに周囲切断縁811がカバー層の部分658を確実に切除するように、ゴルフボール直径932は周囲切断縁内径933よりも小さくてもよい。ゴルフボール位置決め部分807は、更に、内径931を有する。これは、ゴルフボール位置決め部分807が周囲切断縁811とぴったりと係合するようにするため、周囲切断縁内径933と同じであってもよい。
【0077】
図10は、ゴルフボールカバー除去デバイスの変形例を示す。ゴルフボールカバー除去デバイス1001は、第1クランプアーム1005及び第2クランプアーム1015を含む。第1クランプアーム1005は、第1ゴルフボール位置決め部分1005をその一端に備えており、その長さ方向軸線1021を中心として回転できるように形成されている。第2クランプアーム1015の一端にはクランク1019が設けられ、その第2端には第2ゴルフボール位置決め部分1006が設けられている。クランク1019は、このクランク1019を回すことによって第2クランプアーム1015を長さ方向軸線1021を中心として回転するように、人間の手721の作用によって回転可能であってもよい。
【0078】
ゴルフボールカバー除去デバイス1001は、更に、第1切断縁1009及び第2切断縁1010を含む。第1切断縁1009及び第2切断縁1010は、第1クランプアーム1003及び第2クランプアーム1015に関して固定的に整合しており、第1クランプアーム1003及び第2クランプアーム1015を回転することにより、第1ゴルフボール位置決め部分1005と第2ゴルフボール位置決め部分1006との間に配置されたゴルフボール654を第1切断縁1009及び第2切断縁10010に擦り付け、カバー層の一部をゴルフボール654から除去する。図10に示すように、第1クランプアーム1005は、第1クランプアーム支持構造1007によって所定位置に保持される。この際、第2クランプアーム1015は、同様に、第2クランプアーム支持構造1017によって所定位置に保持される。第1切断縁1009及び第2切断縁1010は、取り外し自在の取り付け機構1013によって、切断縁支持構造1011に対して所定位置に保持される。従って、ゴルファーは、ゴルフボールカバー除去デバイス1001を使用してゴルフボール654のカバー層の一部を掻き取り、ゴルフボール654からコアをリサイクルしてもよい。
【0079】
図11は、カバー層を完成したゴルフボールから除去するためのプロセスの更に別の実施例を示す。この実施例では、完成した磨耗したゴルフボール654に先ず最初に環境制御を加える。詳細にはゴルフボール654をフリーザー1101に入れて低温にする。フリーザー1101は、ドア1103、温度レベルを表示する表示器1111を持つ温度制御システム1109、及び一つ又はそれ以上のゴルフボールを定置状態に保持するためのトレー1107を備えている。フリーザー1101は、ゴルフボール654のカバー層を形成する材料のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度をゴルフボール654に加えるために使用される。ポリマー材料の技術分野で一般的に周知であるように、ポリマーのガラス転移温度は、ポリマー分子の可動性の低下によりポリマーが剛性になる温度である。ガラス転移温度よりも低い、又はこれよりも大幅に低い温度を加えられたポリマー材料は固くなり、従って脆性になる。
【0080】
従って、ゴルフボール654をフリーザー1101でそのカバー層の材料のガラス転移温度よりも低い温度まで冷却してもよい。幾つかの実施例では、この温度は、ゴルフボール654のコアのガラス転移温度よりも高い。これは、リサイクルしようとするコアが脆性にならないようにするためである。特定の実施例では、本明細書中に開示した任意のキットに含まれるカバーは、本方法の工程を実施する上で助けとなるガラス転移温度を持つ材料で形成されていてもよい。詳細には、ポリマー材料のガラス転移温度は、可塑剤の量及び大きな側鎖の有無等のポリマーの技術分野で周知の方法によって制御されてもよい。
【0081】
冷却後、冷却したゴルフボール670に圧縮圧力を加え、カバー層の「亀裂」を開く。詳細には、ゴルファーは、ゴルフボールカバー除去デバイス206を使用して、冷却したゴルフボール670に圧縮圧力を加えてもよい。
【0082】
ゴルフボールカバー除去デバイス206は、第1レバーアーム1201及び第2レバーアーム1203を含んでいてもよい。第1レバーアーム1201は、その第1基端1213が枢軸1209に取り付けられていてもよく、第1ゴルフボールグリップ部分1205を枢軸1209と隣接して備えていてもよい。同様に、第2レバーアーム1203はその基端1217が枢軸1209に取り付けられていてもよく、第2ゴルフボールグリップ部分1207を枢軸1209と隣接して備えていてもよい。第1レバーアーム1201及び第2レバーアーム1203は、第1レバーアーム1201及び第2レバーアーム1203を互いに向かって回転したとき、第1ゴルフボールグリップ部分1205及び第2ゴルフボールグリップ部分1207が、これらのグリップ部分間に配置されたゴルフボール670に圧縮圧力を加えるように、人間の手721によって、枢軸1209を中心として回転させることができる。
【0083】
第1ゴルフボールグリップ部分1205及び第2ゴルフボールグリップ部分1207によってつくられ、冷却したゴルフボール670に加えられた圧縮圧力により、冷却したゴルフボール670のカバー層に亀裂を発生し、これを開く。その結果、傷があるゴルフボール672に大きな亀裂が発生し、その中のコア122を露呈する。図11に示すように、特定の実施例では、次いで、ゴルファーの手721でカバー層を完全に除去する。
【0084】
図12は、完成したゴルフボールからコアを圧縮圧力によって取り出すプロセスの最初の工程の別の実施例を示す。詳細には、放射線チャンバ1301でゴルフボール654に放射線を照射する。放射線チャンバ1301は、ドア1303、ゴルフボール保持部分1307を持つゴルフボールスタンド1305、制御装置1309、及び放射線表示1311を含んでいてもよい。特定の実施例では、放射線チャンバ1301は、ゴルフボール654に紫外線(UV)を照射する。ポリマー材料の技術分野で周知のように、特定のポリマー材料は紫外線により劣化し、脆性になる。詳細には、ポリマー材料の紫外線脆化の程度は、芳香族基の存在及び量、触媒残留物の存在、及び安定剤及び吸収剤等の添加剤の有無等の要因で決まる。従って、放射線チャンバ1301は、カバー層の材料が紫外線感受性であるように意図的に(又は意図せずに)調製された実施例で、完成したゴルフボールのカバー層を脆性にするのに使用されてもよい。幾つかの実施例では、本明細書中に開示した任意のキットに含まれるカバーは、意図的に紫外線感受性に調製されていてもよい。
【0085】
従って、放射線チャンバ1301でゴルフボール654に放射線を照射し、これにより脆性にし、次いで、図11に示し且つ上文中に説明したように圧縮圧力を加え、カバー層に「亀裂」を発生する。
【0086】
このようにして、ゴルファーは、環境の予備調整を行って、又は行わずに、ゴルフボールカバー除去デバイスによって、完成したゴルフボールからコアを個人的にリサイクルしてもよい。
【0087】
図13は、本開示に亘って論じた様々な方法のフローチャートを示す。方法1441はリサイクルループを含み、及び従って第1工程自体はなくてもよいものと考えられる。しかしながら、ゴルファーは、工程1459に含まれるように、本明細書中に説明したキットを購入することによって開始してもよい。ゴルファーは、所望のプレー特性に基づいてキットからのコアの選択1453及びカバーの選択1455を行う。ゴルファーは、次いで、キットに含まれるゴルフボールカバー適用デバイスを使用すること等によってカバーをコアに適用1461し、完成したゴルフボールを形成する。ゴルファーは、次いで、完成したゴルフボールを使用してゴルフをプレーする1463。ゴルフを何回もプレーした後、ゴルフボールは磨耗する1443。
【0088】
ゴルファーは、次いで、キットに含まれるゴルフボールカバー除去デバイスを使用すること等によってカバー層をコアから除去してもよい。ゴルファーは、随意であるが、除去したカバー層材料をリサイクルしてもよい。除去したカバー層材料のリサイクルは、カバー層材料が熱可塑性である実施例で特に適している。このようなリサイクルは、例えば、ゴルフプロショップにカバー層材料リサイクルビンを設置することによって、又は他のリサイクル収集法によって行われてもよい。
【0089】
ゴルファーは、次いで、リサイクルされたコアに適用されるべき新たなカバーを一つ又はそれ以上の所望のプレー特性に基づいて選択してもよい。最後に、ゴルファーは、選択されたカバーをコアに再び適用し、完成したゴルフボールを形成する。
【0090】
キット供給者の観点から見ると、図13に示す方法は以下のように説明される。即ち、先ず最初にゴルフボールカバーのセットを提供し、次いでゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーの選択をするため、使用者に表示を提供し、選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、使用者に表示を提供する。幾つかの実施例では、キット供給者の観点から見ると、本方法には、更に、ゴルフボールコアのセットを提供する工程、ゴルフボールコアのセットからゴルフボールコアを選択するため、使用者に表示を提供する工程、及び、これに続いて選択されたゴルフボールカバーを選択されたゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、使用者に表示を提供する工程が含まれる。変形例では、本方法は、キット供給者の観点から見ると、使用済みの完成したゴルフボールを得るため、使用者に表示を提供する工程、使用済みカバー層を使用済みゴルフボールから除去し、使用済みコアを使用済みの完成したゴルフボールの中から取り出すため、使用者に表示を提供する工程、及び選択されたゴルフボールカバーを使用済みコアの周囲に適用し、新たな完成したゴルフボールを形成するため、使用者に表示を提供する工程を含む。
【0091】
従って、本方法により、ゴルファーは、所望のプレー特性を持つカスタマイズのゴルフボールを形成でき、ゴルファーが新たなゴルフボールを購入し続けることにより発生する環境に対する影響を低減できる。
【0092】
本発明の様々な実施例を説明したが、以上の説明は限定でなく例示を意図したものであり、本発明の範疇に含まれるこの他の多くの実施例が可能であるということは当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物のみによって制限される。更に、添付の特許請求の範囲内で様々な変形及び変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0093】
100 キット
102 ゴルフボールコアのセット
104 ゴルフボールカバーのセット
106 ゴルフボールカバー除去デバイス
108 ゴルフボールカバー適用デバイス
110 第1ゴルフボールカバー
112 第2ゴルフボールカバー
120 第1ゴルフボールコア
122 第2ゴルフボールコア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うための構成要素を含むキットにおいて、
少なくとも二つのゴルフボールコアを含むコアセットと、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むカバーセットと、
ゴルフボールカバー除去デバイスと、
ゴルフボールカバー適用デバイスとを含み、
前記カバーセットの前記ゴルフボールカバーの各々及び前記コアセットの前記ゴルフボールコアの各々は、選択されたカバーを選択されたコアの周囲に前記ゴルフボールカバー適用デバイスを使用して適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キット。
【請求項2】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記コアセットの前記少なくとも二つのコアは、圧縮値が異なる、キット。
【請求項3】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記コアセットの前記少なくとも二つのコアの圧縮値は、少なくとも5単位異なる、キット。
【請求項4】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記コアセットは、少なくとも、圧縮値が約70の第1コア、圧縮値が約80の第2コア、圧縮値が約90の第3コア、及び圧縮値が約100の第4コアを含む、キット。
【請求項5】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバーのセットの前記少なくとも二つのカバーは、硬度値が異なる、キット。
【請求項6】
請求項5に記載のキットにおいて、
前記カバーセットの前記少なくとも二つのカバーの硬度値は、ショアーDスケールで少なくとも約5単位異なる、キット。
【請求項7】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記カバーセットは、少なくとも、硬度値がショアーDスケールで約40の第1カバー、硬度値がショアーDスケールで約50の第2カバー、硬度値がショアーDスケールで約60の第3カバー、及び硬度値がショアーDスケールで約70の第4カバーを含む、キット。
【請求項8】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、ゴルフボールカバーを物理的に切除することによって、前記ゴルフボールカバーをゴルフボールから除去するように形成されている、キット。
【請求項9】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、ゴルフボールに圧縮圧力を加えることによって、ゴルフボールカバーを前記ゴルフボールから除去するように形成されている、キット。
【請求項10】
請求項8に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、
基端が枢軸に取り付けられており且つ先端に周囲切断縁を含む第1レバーアームと、
基端が前記枢軸に取り付けられており且つ先端にゴルフボール位置決め部分を含む第2レバーアームとを含み、
前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームは、人間の手の作用によって前記枢軸を中心として動かすことができ、
前記周囲切断縁及び前記ゴルフボール位置決め部分は、前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームが前記枢軸を中心として移動するとき、互いに向かって及び互いから遠ざかる方向に移動するように整合しており、
前記周囲切断縁は、前記ゴルフボールの周囲で前記ゴルフボールカバーを切断するように形成されている、キット。
【請求項11】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、
一端に第1ゴルフボール位置決め部分を含み、長さ方向軸線を中心として回転自在の第1クランプアームと、
一端にクランクを含み、第2端に第2ゴルフボール位置決め部分が設けられた第2クランプアームとを含み、
前記クランクは、このクランクを回すことによって前記第2クランプアームを長さ方向軸線を中心として回転するように、人間の手の作用によって回転でき、更に、
前記第1クランプアーム及び前記第2クランプアームの回転により、前記第1ゴルフボール位置決め部分と前記第2ゴルフボール位置決め部分との間に配置されたゴルフボールを前記切断縁に擦りつけ、カバー層を前記ゴルフボールから除去するように、前記第1クランプアーム及び前記第2クランプアームに関して固定的に整合した切断縁を含む、キット。
【請求項12】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、
基端が枢軸に取り付けられ、前記枢軸と隣接した第1ゴルフボールグリップ部分を含む第1レバーアームと、
基端が枢軸に取り付けられ、前記枢軸と隣接した第2ゴルフボールグリップ部分を含む第2レバーアームとを含み、
前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームは、前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームを互いに向かって回転したとき、前記第1ゴルフボールグリップ部分と前記第2ゴルフボールグリップ部分との間に配置されたゴルフボールに前記第1ゴルフボールグリップ部分及び前記第2ゴルフボールグリップ部分が圧縮圧力を加えるように、人間の手の作用によって前記枢軸を中心として回転できる、キット。
【請求項13】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー適用デバイスは、加熱デバイスを含む、キット。
【請求項14】
請求項13に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー適用デバイスは加熱金型を含み、前記加熱金型は、ゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲にシールし、完成したゴルフボールを製造するように形成されている、キット。
【請求項15】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー適用デバイスは、
第1基端及び第1先端を持つ第1レバーアームと、
第2基端及び第2先端を持つ第2レバーアームと、
前記第1基端及び前記第2基端の両方と関連した枢軸と、
前記第1先端と関連した、第1内部加熱面を含む第1ゴルフボール受け入れユニットと、
前記第2先端と関連した、第2内部加熱面を含む第2ゴルフボール受け入れユニットとを含み、
前記第1内部加熱面及び前記第2内部加熱面の各々には所定のディンプルパターンが設けられており、前記加熱エレメントが前記ゴルフボールを加熱するとき、前記ゴルフボール受け入れユニットに収容された前記ゴルフボールに前記デバイスが前記ディンプルパターンを付ける、キット。
【請求項16】
ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキットにおいて、
予備選択された特性を持つ少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを含み、
前記ゴルフボールカバーの各々は、前記ゴルフボールカバーの前記セットから選択されたカバーを使用済みゴルフボールから回収したゴルフボールコアに適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キット。
【請求項17】
請求項16に記載のキットにおいて、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーの第1セットと、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーの第2セットとを含み、
前記ゴルフボールカバーの第1セットの各カバーは第1硬度値を有し、前記ゴルフボールカバーの第2セットの各カバーは第2硬度値を有し、前記第2硬度値は前記第1硬度値と異なる、キット。
【請求項18】
請求項16に記載のキットにおいて、更に、
少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットを含む、キット。
【請求項19】
ゴルフボールをカスタマイズする方法において、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを提供する工程と、
前記ゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーを選択するため、使用者に表示を提供する工程であって、前記ゴルフボールカバーの選択は、ゴルフボールカバー層と関連した所望のゴルフボールプレー特性に基づいて行われる、工程と、
選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、前記使用者に表示を提供する工程とを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、更に、
少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットを提供する工程 であって、前記ゴルフボールコアのセットの前記少なくとも二つのゴルフボールコアは圧縮値が異なる、工程と、
前記ゴルフボールコアのセットからゴルフボールコアを選択するため、使用者に表示を提供する工程であって、前記ゴルフボールコアの選択は、所望のゴルフボールコア圧縮値に基づいて行われる、工程と、
選択されたゴルフボールカバーを選択されたゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、前記使用者に表示を提供する工程とを含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、更に、
使用済みの完成したゴルフボールを得るため、使用者に表示を提供する工程であって、前記使用済みの完成したゴルフボールは、使用済みコアを実質的に取り囲む使用済みカバー層を含む、工程と、
前記使用済みカバー層を前記使用済みの完成したゴルフボールから除去し、前記使用済みコアを前記使用済みの完成したゴルフボール内から取り出すため、前記使用者に表示を提供する工程と、
前記選択されたゴルフボールカバーを前記使用済みコアの周囲に適用し、新たな完成したゴルフボールを形成するため、前記使用者に表示を提供する工程とを含む、方法。
【請求項1】
ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うための構成要素を含むキットにおいて、
少なくとも二つのゴルフボールコアを含むコアセットと、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むカバーセットと、
ゴルフボールカバー除去デバイスと、
ゴルフボールカバー適用デバイスとを含み、
前記カバーセットの前記ゴルフボールカバーの各々及び前記コアセットの前記ゴルフボールコアの各々は、選択されたカバーを選択されたコアの周囲に前記ゴルフボールカバー適用デバイスを使用して適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キット。
【請求項2】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記コアセットの前記少なくとも二つのコアは、圧縮値が異なる、キット。
【請求項3】
請求項2に記載のキットにおいて、
前記コアセットの前記少なくとも二つのコアの圧縮値は、少なくとも5単位異なる、キット。
【請求項4】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記コアセットは、少なくとも、圧縮値が約70の第1コア、圧縮値が約80の第2コア、圧縮値が約90の第3コア、及び圧縮値が約100の第4コアを含む、キット。
【請求項5】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバーのセットの前記少なくとも二つのカバーは、硬度値が異なる、キット。
【請求項6】
請求項5に記載のキットにおいて、
前記カバーセットの前記少なくとも二つのカバーの硬度値は、ショアーDスケールで少なくとも約5単位異なる、キット。
【請求項7】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記カバーセットは、少なくとも、硬度値がショアーDスケールで約40の第1カバー、硬度値がショアーDスケールで約50の第2カバー、硬度値がショアーDスケールで約60の第3カバー、及び硬度値がショアーDスケールで約70の第4カバーを含む、キット。
【請求項8】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、ゴルフボールカバーを物理的に切除することによって、前記ゴルフボールカバーをゴルフボールから除去するように形成されている、キット。
【請求項9】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、ゴルフボールに圧縮圧力を加えることによって、ゴルフボールカバーを前記ゴルフボールから除去するように形成されている、キット。
【請求項10】
請求項8に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、
基端が枢軸に取り付けられており且つ先端に周囲切断縁を含む第1レバーアームと、
基端が前記枢軸に取り付けられており且つ先端にゴルフボール位置決め部分を含む第2レバーアームとを含み、
前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームは、人間の手の作用によって前記枢軸を中心として動かすことができ、
前記周囲切断縁及び前記ゴルフボール位置決め部分は、前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームが前記枢軸を中心として移動するとき、互いに向かって及び互いから遠ざかる方向に移動するように整合しており、
前記周囲切断縁は、前記ゴルフボールの周囲で前記ゴルフボールカバーを切断するように形成されている、キット。
【請求項11】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、
一端に第1ゴルフボール位置決め部分を含み、長さ方向軸線を中心として回転自在の第1クランプアームと、
一端にクランクを含み、第2端に第2ゴルフボール位置決め部分が設けられた第2クランプアームとを含み、
前記クランクは、このクランクを回すことによって前記第2クランプアームを長さ方向軸線を中心として回転するように、人間の手の作用によって回転でき、更に、
前記第1クランプアーム及び前記第2クランプアームの回転により、前記第1ゴルフボール位置決め部分と前記第2ゴルフボール位置決め部分との間に配置されたゴルフボールを前記切断縁に擦りつけ、カバー層を前記ゴルフボールから除去するように、前記第1クランプアーム及び前記第2クランプアームに関して固定的に整合した切断縁を含む、キット。
【請求項12】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー除去デバイスは、
基端が枢軸に取り付けられ、前記枢軸と隣接した第1ゴルフボールグリップ部分を含む第1レバーアームと、
基端が枢軸に取り付けられ、前記枢軸と隣接した第2ゴルフボールグリップ部分を含む第2レバーアームとを含み、
前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームは、前記第1レバーアーム及び前記第2レバーアームを互いに向かって回転したとき、前記第1ゴルフボールグリップ部分と前記第2ゴルフボールグリップ部分との間に配置されたゴルフボールに前記第1ゴルフボールグリップ部分及び前記第2ゴルフボールグリップ部分が圧縮圧力を加えるように、人間の手の作用によって前記枢軸を中心として回転できる、キット。
【請求項13】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー適用デバイスは、加熱デバイスを含む、キット。
【請求項14】
請求項13に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー適用デバイスは加熱金型を含み、前記加熱金型は、ゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲にシールし、完成したゴルフボールを製造するように形成されている、キット。
【請求項15】
請求項1に記載のキットにおいて、
前記ゴルフボールカバー適用デバイスは、
第1基端及び第1先端を持つ第1レバーアームと、
第2基端及び第2先端を持つ第2レバーアームと、
前記第1基端及び前記第2基端の両方と関連した枢軸と、
前記第1先端と関連した、第1内部加熱面を含む第1ゴルフボール受け入れユニットと、
前記第2先端と関連した、第2内部加熱面を含む第2ゴルフボール受け入れユニットとを含み、
前記第1内部加熱面及び前記第2内部加熱面の各々には所定のディンプルパターンが設けられており、前記加熱エレメントが前記ゴルフボールを加熱するとき、前記ゴルフボール受け入れユニットに収容された前記ゴルフボールに前記デバイスが前記ディンプルパターンを付ける、キット。
【請求項16】
ゴルフボールのカスタマイズ及びリサイクルを行うためのキットにおいて、
予備選択された特性を持つ少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを含み、
前記ゴルフボールカバーの各々は、前記ゴルフボールカバーの前記セットから選択されたカバーを使用済みゴルフボールから回収したゴルフボールコアに適用することによって、完成したゴルフボールを形成するように形成されている、キット。
【請求項17】
請求項16に記載のキットにおいて、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーの第1セットと、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーの第2セットとを含み、
前記ゴルフボールカバーの第1セットの各カバーは第1硬度値を有し、前記ゴルフボールカバーの第2セットの各カバーは第2硬度値を有し、前記第2硬度値は前記第1硬度値と異なる、キット。
【請求項18】
請求項16に記載のキットにおいて、更に、
少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットを含む、キット。
【請求項19】
ゴルフボールをカスタマイズする方法において、
少なくとも二つのゴルフボールカバーを含むゴルフボールカバーのセットを提供する工程と、
前記ゴルフボールカバーのセットからゴルフボールカバーを選択するため、使用者に表示を提供する工程であって、前記ゴルフボールカバーの選択は、ゴルフボールカバー層と関連した所望のゴルフボールプレー特性に基づいて行われる、工程と、
選択されたゴルフボールカバーをゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、前記使用者に表示を提供する工程とを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、更に、
少なくとも二つのゴルフボールコアを含むゴルフボールコアのセットを提供する工程 であって、前記ゴルフボールコアのセットの前記少なくとも二つのゴルフボールコアは圧縮値が異なる、工程と、
前記ゴルフボールコアのセットからゴルフボールコアを選択するため、使用者に表示を提供する工程であって、前記ゴルフボールコアの選択は、所望のゴルフボールコア圧縮値に基づいて行われる、工程と、
選択されたゴルフボールカバーを選択されたゴルフボールコアの周囲に適用し、完成したゴルフボールを形成するため、前記使用者に表示を提供する工程とを含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、更に、
使用済みの完成したゴルフボールを得るため、使用者に表示を提供する工程であって、前記使用済みの完成したゴルフボールは、使用済みコアを実質的に取り囲む使用済みカバー層を含む、工程と、
前記使用済みカバー層を前記使用済みの完成したゴルフボールから除去し、前記使用済みコアを前記使用済みの完成したゴルフボール内から取り出すため、前記使用者に表示を提供する工程と、
前記選択されたゴルフボールカバーを前記使用済みコアの周囲に適用し、新たな完成したゴルフボールを形成するため、前記使用者に表示を提供する工程とを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−30074(P2012−30074A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−165210(P2011−165210)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165210(P2011−165210)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
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