説明

ゴルフボールの製造方法

【解決手段】透明性の高いカバーを有するゴルフボールを生産する場合に、上記カバーを形成する前段階の予備成形体を作製する工程において、該予備成形体に、可視光下では白色であり、紫外線照射によって蛍光を発する蛍光材料を含有又は塗布すること、及び上記予備成形体を選択する工程において、一時保管場所に保管された予備成形体に紫外線を照射して蛍光色を発色させ、その色から形成すべきカバーに合致した予備成形体を識別することを含むゴルフボールの製造方法。
【効果】視認性やファッション性に優れたゴルフボールを効率よく生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア、カバー、及び必要に応じて上記コアと上記カバーとの間に1層以上の中間層を具備するゴルフボールの製造方法に関し、特に透明性の高いカバーを有するファッション性に優れたゴルフボールを製造する際に好適に採用し得るゴルフボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフボールの開発においては、飛距離、コントロール性、耐久性及び打感等といったボールとしての基本性能を改良することに主眼が置かれてきた。一方、ボールの色に関しては、視認性等の観点から、膨張色である白色が主流であった。
【0003】
しかしながら、最近では、若年層や女性にもゴルファーの裾野が広がり、基本性能を満たすだけでなく、特徴的な外観を有し、個性を主張することができるゴルフボールに対する需要が増えつつある。これまでも、そのような需要に応えるため、例えば、紫外線照射下において色が変化するゴルフボール(米国特許出願公開第2004/0266553号明細書:特許文献1)や、蓄光顔料を使用したゴルフボール(米国特許出願公開第2004/0266554号明細書:特許文献2)等の個性的な外観を有するゴルフボールが供給者側から提案されてきた。
【0004】
なお、本願出願人は、特開2007−136171号公報(特許文献3)において、ゴルフボールの視認性及びファッション性を向上させることを目的として、ゴルフボールに当たる光の種類によって色が変化する性質(フォトクロミズム)を有するゴルフボールを提案している。
【0005】
また、ファッション性が高く、個性的な外観を有するゴルフボールとして、コア又は該コアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体の周囲に、透明又は半透明な樹脂を用いて形成したカバーを有するゴルフボールが提案されている。このようなゴルフボールは、透明感があり、需要者に高級な印象を与えるものが多い。更に、上記の樹脂に顔料を混ぜ込むことにより、これまでにない鮮やかな色を表現することができる。
【0006】
しかしながら、上記の透明性の高いカバーを有するゴルフボールでは、ボールの色調が上記カバーの内側に接する層(本発明では、コア又は最も外側の中間層を指す。以下、「カバー内接層」と表記することもある。)の色に影響される場合がある。例えば、濃い灰色のコアの周囲に透明性の高い材料を用いてカバーを形成した場合には、該カバーを通して上記コアの色が見えてしまう。このような場合、カバーに多少の着色が施されていたとしても、上記コアの色を完全に隠蔽することはできず、ボールの色調は灰色がかったものに変わってしまう。逆に、上記コアの色を完全に隠蔽するために、上記材料に顔料や充填剤等を多量に配合すると、得られるボールは透明感を損なったものとなり、鮮やかな色にはなりにくい。このような場合、カバー内接層の色がボールの色調に与える影響を低減するため、上記カバー内接層を白色とするのが一般的である。
【0007】
一方、工場でゴルフボールを生産する場合は、市場の多様なニーズに応えるため、飛距離やコントロール性等の性能を違えた多数の品種を同時期に生産することが一般的である。この場合、カバーを形成する前段階の予備成形体は、生産管理等の観点から、作製された後、一時保管場所に移送され、カバーを形成する時まで保管されることが多い。そして、一時保管場所で保管された多数の品種の予備成形体の中から、形成すべきカバーに合致する予備成形体を選択して、カバー形成工程に供する。通常の白色のカバーを有するゴルフボールでは、上記の予備成形体の色をボールの品種毎に変えることによって、容易に識別することができる。ここで、上記の「予備成形体」とは、本発明では「コア又はコアに1層以上の中間層が形成された球体」を指す。また、上記予備成形体の最外層は、上記の「カバー内接層」に相当する。
【0008】
また、透明性の高いカバーを有するゴルフボールにおいて、予備成形体の色は、カバー形成後のボールの色調に影響を与えないようにするため、その品種に関係なく可視光下において全て白色にしている。結果として、一時保管場所に保管される予備成形体は、品種毎に直径や重さなどの微細な違いがあるものの、その外観にはほとんど違いがない。そのため、カバー形成工程に供すべき予備成形体を選択する際、その外観から品種の違いを識別することは難しい。従来は、多数の品種の中から、直径や重さをその都度確認することで形成すべきカバーに合致した予備成形体を識別し、選択していたが、その識別に時間を要し、生産性が低下してしまうことがあった。また、予備成形体の品種を取り違えた場合には、不良品を発生させてしまうことになる。
【0009】
従って、上記の透明性の高いカバーを有するゴルフボールを製造する場合において、生産性向上の観点から、品種が異なる同色の予備成形体の中から、形成すべきカバーに合致した予備成形体を容易かつ確実に識別するための方策が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0266553号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0266554号明細書
【特許文献3】特開2007−136171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、透明性の高いカバーを有するファッション性に優れたゴルフボールを、色調を損なうことなく効率よく生産することができるゴルフボールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため、透明性の高いカバーを有するゴルフボールを生産する場合に、上記カバーを形成する前段階の予備成形体を作製する工程において、該予備成形体に紫外線照射によって発光する蛍光材料を含有又は塗布することによって、一時保管場所に保管された多数の品種の予備成形体の中から形成すべきカバーに合致した予備成形体を容易かつ確実に識別することができようになり、生産性を高めることができるゴルフボールの製造方法を提供する。
【0013】
即ち、本発明は、下記のゴルフボールの製造方法を提供するものである。
〔1〕コア、カバー、及び必要に応じて上記コアと上記カバーとの間に1層以上の中間層を具備すると共に、上記カバーが、透明又は半透明の材料、又はそれらの材料に着色剤が配合された材料で形成されたゴルフボールの製造方法であって、
コア又はコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(以下、予備成形体という)を作製する工程と、
上記工程で得た予備成形体を、一時保管場所に移送する工程と、
上記一時保管場所に保管された予備成形体の中から、形成すべきカバーに合致した予備成形体を選択する工程と、
上記工程で選択された予備成形体をカバー形成工程に移送する工程と、
上記一時保管場所から移送された予備成形体の周囲にカバーを形成する工程と
を含み、
上記予備成形体を作製する工程において、該予備成形体に、可視光下では白色であり、紫外線照射によって蛍光を発する蛍光材料を含有又は塗布すること、及び
上記予備成形体を選択する工程において、一時保管場所に保管された予備成形体に紫外線を照射して蛍光色を発色させ、その色から形成すべきカバーに合致した予備成形体を識別することを含むゴルフボールの製造方法。
〔2〕上記予備成形体が、
蛍光材料を含む材料で形成されたコア、
コアの周囲に1層以上の中間層が形成され、該中間層の最も外側の層が蛍光材料を含む材料で形成された球体、
表面の全部又は一部が蛍光材料を含む塗料で塗装されたコア、及び
コアの周囲に1層以上の中間層が形成され、該中間層の最も外側の層の表面の全部又は一部が蛍光材料を含む塗料で塗装された球体
からなる群より選択されるいずれかである〔1〕記載のゴルフボールの製造方法。
〔3〕上記蛍光材料として、アルカリ土類金属元素、亜鉛族元素、遷移金属元素、ランタノイド金属元素の群から選ばれる元素を含む無機蛍光物質、及び、フルオレン骨格を有する化合物の群から選ばれる有機蛍光物質の1種又は2種以上を用いる〔1〕又は〔2〕記載のゴルフボールの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明のゴルフボールの製造方法は、透明性の高いカバーを有するゴルフボールを生産する場合に、上記カバーを形成する前段階の予備成形体を作製する工程において、該予備成形体に紫外線照射によって発光する蛍光材料を含有又は塗布することによって、一時保管場所に保管された多数の品種の予備成形体の中から形成すべきカバーに合致した予備成形体を容易かつ確実に識別することができるようになるものであり、視認性やファッション性に優れたゴルフボールを効率よく生産することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のゴルフボールの製造方法について詳述する。
本発明のゴルフボールの製造方法は、コア、カバー、及び必要に応じて上記コアと上記カバーとの間に1層以上の中間層を具備すると共に、上記カバーが、透明又は半透明の材料、又はそれらの材料に着色剤が配合された材料で形成されたゴルフボールを製造するものであり、
コア又はコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(予備成形体)を作製する工程、
上記工程で得た予備成形体を、一時保管場所に移送する工程、
上記一時保管場所に保管された予備成形体の中から、形成すべきカバーに合致した予備成形体を選択する工程、
上記工程で選択された予備成形体をカバー形成工程に移送する工程、及び
上記一時保管場所から移送された予備成形体の周囲にカバーを形成する工程
を含む。
【0016】
更に、上記カバーを形成する前段階の予備成形体を作製する工程において、紫外線に反応して蛍光を発する蛍光材料を含有又は塗布した予備成形体を作製すること、及び、一時保管場所に保管された予備成形体の中から、形成すべきカバーに合致した予備成形体を選択する工程において、上記予備成形体に紫外線を照射して蛍光色を発色させ、その色からカバー形成工程に供すべき予備成形体を識別することを含む。
【0017】
上記の製造方法により製造されるゴルフボールの構造は、従来のゴルフボールと同様に目的とする性能に応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。即ち、必要に応じて、ソリッドコアの周囲にカバーを形成してツーピースソリッドゴルフボールとしたり、上記ソリッドコアと上記カバーとの間に1層以上の中間層を形成してスリーピース構造以上のマルチピースソリッドゴルフボールとすることができる。
【0018】
コア又はコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(予備成形体)を作製する工程において、上記のコア及び中間層は、圧縮成形や射出成形等の公知の成形方法により作製することができる。以下、コア及び中間層について詳述する。
【0019】
上記コアは、ゴム材を主材とするゴム組成物を加硫することにより得られる。具体的には、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤等を含有するゴム組成物を用いることができる。
【0020】
上記ゴム組成物の基材ゴムとしては、特に制限されるものではないが、ポリブタジエンを用いることが好ましい。そして、このポリブタジエンとしては、シス構造を少なくとも40%以上有する1,4−シスポリブタジエンを好適に用いることができる。また、この基材ゴム中には、所望により該ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどを適宜配合することができる。
【0021】
架橋開始剤としては、本発明では、有機過酸化物を好適に用いることができる。有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ(t−ブチルパーオキシ)−メタ−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等が挙げられる。なお、有機過酸化物としては市販品を用いることができ、例えば、パークミルD(日油社製)、トリゴノックス29−40(化薬アクゾ社製)等を挙げることができる。これら、架橋開始剤の配合量は、特に制限されるものではないが、上記基材ゴム100質量部に対し、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、5質量部以下、好ましくは2質量部以下とすることができる。
【0022】
共架橋剤としては、本発明では、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和脂肪酸の金属塩、例えば、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などやトリメチロールプロパントリメタクリレート等のエステル化合物を配合することができ、特に反発性の高さからアクリル酸亜鉛を好適に使用し得る。これら共架橋剤の配合量は、特に制限されるものではないが、上記基材ゴム100質量部に対し、10質量部以上、好ましくは15質量部以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、50質量部以下、好ましくは40質量部以下とすることができる。
【0023】
上記組成物中には、更に、必要に応じて各種添加剤を配合することができ、例えば、硫黄、老化防止剤、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩及びステアリン酸亜鉛等を配合することができる。これら添加剤の配合量は、特に制限されるものではない。
【0024】
上記コアの直径は、特に制限されるものではないが、好ましくは32.0mm以上、より好ましくは33.0mm以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、好ましくは40.5mm以下、より好ましくは39.5mm以下とすることができる。
【0025】
コアに対して初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量は、特に制限されるものではないが、2.5〜5.0mmとすることができ、好ましくは3.0〜4.5mm、更に好ましくは3.5〜4.0mmとすることができる。コアのたわみ量が小さすぎると、ドライバー打撃時の打感が硬くなり、耐擦過傷性が悪くなることがある。一方、コアのたわみ量が大きすぎると、ドライバー打撃時のフィーリングが軟らかくなり過ぎるとともに、飛距離が大きく低下することがある。
【0026】
上記のゴム組成物は、各成分を公知の混練機(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー及びロール等)を用いて混練することにより調製することができる。そして、上記で調製したゴム組成物を用いてソリッドコアを形成する場合も、公知の方法で形成すればよく、例えば、圧縮成形等を好適に採用し得る。
【0027】
ここまでは通常のコアと同様であるが、上記コアが予備成形体となる場合には、本発明の製造方法を実施するために、紫外線照射時にその表面の全部又は一部が蛍光を発するようにする必要がある。以下、上記コアを、紫外線照射時に蛍光を発するようにするための手段について説明する。なお、この場合、上記コアは、通常の可視光下において白色である。また、得られるゴルフボールは、コアの周囲に1層のカバーが形成されたツーピースソリッドゴルフボールとなる。
【0028】
本発明では、通常の可視光下では白色に見える上記のコア(予備成形体)を、紫外線照射時に蛍光を発するものとするために蛍光材料を用いる。この蛍光材料は、可視光の照射で白色であり、紫外線に反応して特定の色の蛍光を発する材料である。本発明では、上記蛍光材料として、後述する無機蛍光物質及び有機蛍光物質の1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】
本発明において、上記無機蛍光物質としては、アルカリ土類金属元素、亜鉛族元素、遷移金属元素、ランタノイド金属元素の群から選ばれる元素を含むものを好適に使用できる。より具体的には、純度の高い亜鉛、カドミウム、カルシウム、アルミニウム、イットリウム等の金属の酸化物、硫化物、珪酸塩、タングステン塩等を主成分として、これに微量のマンガン、銀、銅、鉛等の活性化剤及び融剤を添加し、高温で焼成することにより得られるものが好適である。上記無機蛍光物質の具体例としては、赤色発光無機蛍光物質として、Y23:Eu、YVO4:Eu、Y22S:Eu、Y22S:Eu,Sm、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn等が挙げられる。また、緑色発光無機蛍光物質として、ZnS:Cu,Al、(Zn、Cd)S:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al、3(Ba,Mg)O・8Al23:Eu,Mn、Zn2GeO4:Mn等が挙げられる。更に、青色発光無機蛍光物質として、ZnS:Ag、CaWO4、Sr227:Eu、3(Ba,Mg)O・8Al23:Eu、紫色発光無機蛍光物質として、CaS:Bi、黄緑色発光無機蛍光物質として、ZnS:Cu、オレンジ色発光無機蛍光物質として、ZnS:Mn等が挙げられる。なお、本発明において、上記無機蛍光物質は、耐熱性に優れ、製造時において変色することがないので、好適に使用することができる。
【0030】
また、上記有機蛍光物質とは、天然由来有機化合物もしくは合成有機化合物である。本発明では、フルオレン、フルオレノン等のフルオレン骨格を有する化合物の群から選ばれる有機蛍光物質を好適に用いることができる。
【0031】
上記の蛍光材料は、市販品を用いることができ、本発明では、Lumilux Effect(Honeywell社製)やヒカリ☆カラー(TDOグラフィックス社製)等を好適に用いることができる。特にヒカリ☆カラーでは、REF−10RM、REF−10GM、REF−10BM等の各品番の製品を好適に使用することができる。
【0032】
本発明の製造方法では、上記蛍光材料の使用に関して、上記蛍光材料を上記ゴム組成物に配合する方法や、上記ゴム組成物(上記蛍光材料を含まない)で作製したコアの表面の全部又は一部を、上記蛍光材料を含む塗料で塗装する方法を採用することができる。
【0033】
上記蛍光材料を上記ゴム組成物に配合する場合、該ゴム組成物の他の成分と同様にして必要な量を適宜配合すればよい。その配合量は、特に制限されるものではないが、基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、基材ゴム100質量部に対し、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下とすることができる。蛍光材料の配合量が少なすぎると紫外線照射時の発光が弱く、識別性向上の効果を得にくくなることがある。一方、配合量が多すぎると、コストの上昇を招いたり、ボールの物性に不都合な影響を与える可能性がある。
【0034】
コアの表面の全部又は一部を塗装する場合、使用する塗料については、特に制限はないが、本発明ではウレタン塗料を採用することが好適である。この場合、塗料に対する蛍光材料の配合量は、塗料100質量部に対し、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜30質量部とすることができる。蛍光材料の配合量が少なすぎると紫外線照射時の発光が弱く、識別性向上の効果を得にくくなることがある。一方、配合量が多すぎると、コストの上昇を招いたり、ボールの物性に不都合な影響を与える可能性がある。
【0035】
塗装方法は、特に制限されるものではなく、スプレー塗装や刷毛塗り等の公知の方法を採用することができる。また、コア表面の一部を塗装する場合、上記塗料で適宜な文字や数字、記号等によるマーキングを施してもよい。マーキングを施す場合、その方法に特に制限はなく、パッド印刷やマスキング塗装等の公知の方法を採用することができる。また、塗料のコアに対する密着性を高めるために、コアの表面にブラスト処理,プライマー処理,プラズマ処理,コロナ放電処理等の前処理を施すことができる。
【0036】
このようにして作製されたコア(予備成形体)は、通常の可視光下では白色であるが、紫外線を照射することによって、その表面の全部又は一部が蛍光を発するようになる。そのため、多数の品種の予備成形体が一時保管場所に保管されていたとしても、公知の紫外線照射装置を用いて紫外線を該予備成形体に照射することにより、特定の蛍光色を発色させ、その色や浮かび上がった文字等により容易かつ確実に識別することができる。また、太陽や蛍光灯の光では蛍光色を放たず白色のままなので、カバーを形成した後のボールの色調に影響することもない。
【0037】
中間層は、本発明において、必要に応じてコアとカバーとの間に形成される層である。製造されるゴルフボールが中間層を具備する場合、コアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体が予備成形体となる。そして、得られるゴルフボールは、少なくともスリーピース構造以上のマルチピースソリッドゴルフボールとなる。この場合、上記中間層の成形方法は、特に制限されるものではなく、射出成形やコンプレッション成形等の公知の成形方法を採用することができる。例えば、射出成形を行なう場合には、作製したコアを金型内にセットし、常法に従い、該金型内に中間層用の材料を注入すればよい。なお、上記中間層が形成される場合、上記のソリッドコアに蛍光材料を用いる必要は特にない。
【0038】
上記中間層を形成する材料には、基材樹脂として熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記アイオノマー樹脂は市販品を用いることができ、本発明では、ハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン(米国デュポン社製)、アイオテック(エクソン社製)等を使用することができる。また、熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。上記熱可塑性エラストマーは、市販品を用いることができ、本発明では、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、ペルプレン(東洋紡社製)、ペバックス(東レ社製)、パンデックス(DIC製)、サントプレーン(モンサント社製)、タフテック(旭化成工業社製)、ダイナロン(JSR社製)等を使用することができる。本発明では、上記の上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーとしては、アイオノマー樹脂又は熱可塑性ポリウレタンエラストマーを採用することが好適である。
【0039】
基材樹脂として熱可塑性樹脂を採用する場合、特に制限されるものではないが、熱可塑性樹脂のメルトフローインデックスは0.5g/10min以上であることが好適である。また、上記熱可塑性樹脂の材料硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で40以上であることが好適である。ここで、材料硬度とは、測定対象となる材料を2mmの厚さにプレス成形したシートについて、ASTM D2240に準じてタイプDデュロメータを用いて測定した硬度である。更に、特に制限されるものではないが、JIS−K7311に準拠した反発弾性率が30%以上であることが好適である。
【0040】
中間層の材料硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で好ましくは45以上、より好ましくは48以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、好ましくはショアD硬度で55以下、より好ましくは53以下とすることができる。中間層の材料硬度が小さすぎるとボール反発性に劣ってしまい飛距離が低下するおそれがある。一方、材料硬度が大きすぎると打感の悪化や、耐擦過傷性の悪化を招くおそれがある。
【0041】
中間層の厚さは、特に制限されるものではないが、好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1.2mm以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは1.8mm以下とすることができる。中間層が薄すぎると繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、中間層が厚すぎるとボール反発性が低下して飛距離が低下するおそれがある。
【0042】
本発明の製造方法では、通常の可視光下では白色に見える上記のコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(予備成形体)を、紫外線照射時に蛍光を発するものとするために蛍光材料を用いる。この蛍光材料としては、上記で例示したものと同様のものを用いることができる。
【0043】
本発明の製造方法では、上記蛍光材料の使用に関して、上記蛍光材料を上記中間層用の樹脂材料に配合する方法や、上記樹脂材料(上記蛍光材料を含まない)を用いてコアの周囲に中間層を形成した球体の表面の全部又は一部を、上記蛍光材料を含む塗料で塗装する方法を採用することができる。
【0044】
蛍光材料を上記樹脂材料に配合する場合、該樹脂材料の他の成分と同様にして必要な量を適宜配合すればよい。その配合量は、特に制限されるものではないが、基材樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、基材樹脂100質量部に対し、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下とすることができる。蛍光材料の配合量が少なすぎると紫外線照射時の発光が弱く、識別性向上の効果を得にくくなることがある。一方、配合量が多すぎると、コストの上昇を招いたり、ボールの物性に不都合な影響を与える可能性がある。なお、中間層が複数層形成される場合においては、最も外側の中間層(即ち、カバー内接層)に上記蛍光材料が含まれていればよい。
【0045】
コアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(予備成形体)の表面の全部又は一部を、蛍光材料を含む塗料で塗装する方法を採用する場合、その塗装方法は上述した方法を採用し得る。
【0046】
このようにして作製されたコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(予備成形体)は、通常の可視光下では白色であるが、紫外線を照射することによって、その表面の全部又は一部が蛍光を発するようになる。そのため、多数の品種の予備成形体が一時保管場所に保管されていたとしても、公知の紫外線照射装置を用いて紫外線を該予備成形体に照射することにより、特定の蛍光色を発色させ、その色や浮かび上がった文字等により容易かつ確実に識別することができる。また、太陽や蛍光灯の光では蛍光色を放たず白色のままなので、カバーを形成した後のボールの色調に影響することもない。
【0047】
上記のようにして作製された予備成形体(コア又はコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体)は、作製された後に一時保管場所に移送され、後述するカバー形成工程に供される時まで保管される。この時、一時保管場所には、品種が異なる白色の予備成形体が多数保管されており、該予備成形体を必要とする際に、紫外線を照射して蛍光色を発色させ、その色から形成すべきカバーに合致する予備成形体を識別し、選択してカバー形成工程に移送する。
【0048】
カバーは、ゴルフボールの最も外側に形成される層であり、その表面には通常、多数のディンプルが形成されている。以下、該カバーについて具体的に説明する。
【0049】
上記カバーを形成する材料には、基材樹脂として熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記アイオノマー樹脂は市販品を用いることができ、本発明では、ハイミラン(三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン(米国デュポン社製)、アイオテック(エクソン社製)等を使用することができる。また、熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。上記熱可塑性エラストマーは、市販品を用いることができ、本発明では、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、ペルプレン(東洋紡社製)、ペバックス(東レ社製)、パンデックス(DIC社製)、サントプレーン(モンサント社製)、タフテック(旭化成工業社製)、ダイナロン(JSR社製)等を使用することができる。本発明では、上記の上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーとしては、アイオノマー樹脂又は熱可塑性ポリウレタンエラストマーを採用することが好適である。
【0050】
基材樹脂として熱可塑性樹脂を採用する場合、特に制限されるものではないが、熱可塑性樹脂のメルトフローインデックスは0.5g/10min以上であることが好適である。また、上記熱可塑性樹脂の材料硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で40以上であることが好適である。更に、特に制限されるものではないが、JIS−K7311に準拠した反発弾性率が30%以上であることが好適である。
【0051】
上記カバー材料の基材樹脂は、透明樹脂又は半透明樹脂を使用することが好ましい。また、上記カバー材料には、ボールを色鮮やかなものとするために、公知の蛍光剤、顔料及び染料等の着色剤を適宜配合して着色を施すこともできる。
【0052】
ここで、上記着色剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、集光染料(ピンク系)、ソルベントイエロー(染料)、ソルベントオレンジ(染料)、アンスラキノン(染料)、フタロシアニン(染料)、蛍光顔料(イエロー系)、蛍光顔料(ピンク系)及び蛍光顔料(オレンジ系)等が挙げられる。これらは公知の市販品を使用することができる。
【0053】
上記着色剤の配合量は、特に制限されるものではないが、基材樹脂100質量部に対して0.001〜0.4質量部とすることが好ましい。上記の範囲に着色剤の配合量を抑えることにより、ボール全体の耐変色性を向上させることができる。
【0054】
また、カバーの透明性を損なわない範囲において、酸化チタン等の無機充填材を配合することができる。その配合量は、特に制限されるものではないが、基材樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部とすることができる。
【0055】
上記カバー材料には、カバーの透明性を損なわない範囲において、UV吸収剤、酸化防止剤、金属石鹸、上記以外の無機充填材等の各種添加剤を適宜配合することができる。
【0056】
上記カバー材料の材料硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で40以上、好ましくは43以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、ショアD硬度で62以下、好ましくは60以下とすることができる。材料硬度が高すぎるとアプローチショット時の適度なスピンが得られ難くなりコントロール性に劣ってしまうおそれがある。一方、材料硬度が小さすぎるとボール反発性に劣ってしまい飛距離が低下するおそれがある。
【0057】
上記カバーの厚さは、特に制限されるものではないが、0.5mm以上、好ましくは0.8mm以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、3.0mm以下、好ましくは2.2mm以下とすることができる。カバーが薄すぎるとスピン性能が十分に得られなくなったり、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなったりする場合がある。一方、カバーが厚すぎた場合は、ボールの反発が低下し、飛距離が落ちる場合がある。
【0058】
上記カバー材料を用いて予備成形体の周囲にカバーを形成するには、射出成形やコンプレッション成形等の公知の成形方法を採用することができる。例えば、射出成形を行なう場合には、作製した予備成形体を金型内にセットし、常法に従い、該金型内に上記カバー材料を注入すればよい。
【0059】
以上のようにして形成されたカバーの表面には、通常、多数のディンプルが形成される。更に、上記カバーの表面にはクリア塗装やマーキング等を施すことができる。
【0060】
カバー表面にマーキングを施す場合は、通常用いられている方法を採用することができる。例えば、パッド印刷工程を含んだ直接印刷法、所謂全ベタの転写フィルムを用いて刻印で押す転写方法、インクをボール本体表面にある凹凸(刻印部等)に流し込む方法、熱転写で印刷する熱転写印刷法などの間接印刷法が挙げられる。なお、カバー表面に付されるマーク類の種類、位置及び数等については、特に制限はなく、文字、数字、商品名及びロゴマーク等のマーク類を任意の位置に付けることができる。なお、上記マーク類とカバーとの密着性を高めるために、カバー表面にブラスト処理、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ放電処理等の前処理を施すことができる。
【0061】
また、使用する塗料については、特に制限はないが、通常、ウレタン塗料を採用することが好適である。塗料における着色剤の配合量は、特に制限されるものではないが、塗料樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部、好ましくは0.5〜30質量部とすることができる。
【0062】
以上のようにして形成されるゴルフボールの初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量は、特に制限されるものではないが、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.3mm以上、更に好ましくは2.5mm以上とすることができる。また、その上限も特に制限されないが、好ましくは4.0mm以下、より好ましくは3.5mm以下、更に好ましくは3.2mm以下とすることができる。ボールのたわみ量が小さすぎると、打感が悪くなったり、特にアイアンショット時のスピン量が増えすぎてしまい飛距離が大きく低下する場合がある。逆に、ボールのたわみ量が大きすぎると、ボール反発性に劣ってしまい、特にドライバーでの打撃時の飛距離が低下する場合がある。
【0063】
本発明の製造方法により製造されるゴルフボールは、ゴルフ規則に従うものとすることができ、直径は42.67mm以上、重量は45.93g以下とすることが好適である。
【実施例】
【0064】
以下、実施例を示しながら本発明の製造方法について具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0065】
(1)ツーピースソリッドゴルフボール
まず、表1に示す配合1及び配合2のコア用ゴム組成物を常法に従って調製し、得られた組成物を155℃で15分の条件で加硫することにより、直径38.3mmのソリッドコア1及び2を作製した。この際、無機蛍光物質として、コア1には紫外線照射時に赤色を示すREF−10RMを、コア2には紫外線照射時に緑色を示すREF−10GMを配合した。なお、上記コア1及び2は、太陽や蛍光灯の光の下ではいずれも白色である。
【0066】
【表1】

【0067】
表1の各成分の詳細は下記の通りである。
ポリブタジエンゴム:商品名「BR01」(JSR社製)
過酸化物:1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、商品名「パーヘキサC−40」(日油社製)
老化防止剤:商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工社製)
無機蛍光物質1:商品名「ヒカリ☆カラー」(TDOグラフィックス社製) REF−10RM(赤色蛍光)
無機蛍光物質2:商品名「ヒカリ☆カラー」(TDOグラフィックス社製) REF−10GM(緑色蛍光)
【0068】
上記で作製したコア1及び2を、多数混在させた状態で紫外線を照射したところ、コア1は赤色に発光し、コア2は緑色に発光したので、両者を容易に識別することができた。
【0069】
次いで、表2に示した配合の材料を用い、常法に従って上記コア1及び2の周囲に厚さ2.2mmのカバーを射出成形法により形成してツーピースソリッドゴルフボールを作製した。この時、上記コア1にはカバー1を、上記コア2にはカバー2をそれぞれ組み合わせたが、白色のコア1及び2が多数混在する中から、両者を紫外線照射によって発した蛍光色から容易に識別できたので、コアとカバーとの組み合わせを誤ることはなかった。また、得られたゴルフボールは、いずれも透明感がある鮮やかなオレンジ色であり、ファッション性に優れたものであった。
【0070】
【表2】

【0071】
表2の各成分の詳細は下記の通りである。
ハイミラン1605,1705,1557,1601:三井・デュポンポリケミカル株式会社製 アイオノマー樹脂
有機顔料(オレンジ):商品名「COL036−2774」(ディーアイシーバイエルポリマー社製)
【0072】
(2)スリーピースソリッドゴルフボール
まず、表3に示した配合A及び配合Bのコア用ゴム組成物を常法に従って調製し、得られた組成物を155℃で15分の条件で加硫することにより、直径37.3mmのソリッドコアA及びBを作製した。なお、上記コアA及びBは、それぞれを識別するために顔料によって異なる色に着色した。
【0073】
【表3】

【0074】
表3の各成分の詳細は下記の通りである。
ポリブタジエンゴム:商品名「BR01」(JSR社製)
過酸化物:1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、商品名「パーヘキサC−40」(日油社製)
老化防止剤:商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工社製)
顔料1:商品名「RESINO YELLOW 3GR #55(LB)」(レジノカラー工業社製)
顔料2:商品名「RESINO BLUE RT−K(LB)」(レジノカラー工業社製)
【0075】
次いで、表4に示した配合の材料を用い、常法に従って上記コアA及びBの周囲に厚さ1.45mmの中間層を射出成形法により形成して、コアの周囲に1層の中間層が形成された球体(予備成形体)A及びBを作製した。この際、無機蛍光物質として、中間層Aには紫外線照射時に赤色を示すREF−10RMを、中間層Bには紫外線照射時に緑色を示すREF−10GMを配合した。なお、上記予備成形体A及びBは、太陽や蛍光灯の光の下ではいずれも白色である。また、この時上記コアAには中間層Aを、上記コアBには中間層Bをそれぞれ組み合わせたが、上記コアA及びBは異なる色に着色されているため容易に識別できたので、コアと中間層との組み合わせを誤ることはなかった。
【0076】
【表4】

【0077】
表4の各成分の詳細は下記の通りである。
サーリン6320:デュポン社製 アイオノマー樹脂
ニュクレルN035C:三井・デュポンポリケミカル社製 エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体
無機蛍光物質1:商品名「ヒカリ☆カラー」(TDOグラフィックス社製) REF−10RM(赤色蛍光)
無機蛍光物質2:商品名「ヒカリ☆カラー」(TDOグラフィックス社製) REF−10GM(緑色蛍光)
【0078】
次いで、表5に示した配合の材料を用い、常法に従って上記予備成形体A及びBの周囲に厚さ1.25mmのカバーを射出成形法により形成してスリーピースソリッドゴルフボールを作製した。この時、上記予備成形体AにはカバーAを、上記予備成形体BにはカバーBをそれぞれ組み合わせたが、白色の予備成形体A及びBが多数混在する中から、両者を紫外線照射によって発した蛍光色から容易に識別できたので、予備成形体とカバーとの組み合わせを誤ることはなかった。また、得られたゴルフボールは、いずれも透明感がある鮮やかなオレンジ色であり、ファッション性に優れたものであった。
【0079】
【表5】

【0080】
表5の各成分の詳細は下記の通りである。
ハイミラン1605,1705,1557,1601:三井・デュポンポリケミカル株式会社製 アイオノマー樹脂
有機顔料(オレンジ):商品名「COL036−2774」(ディーアイシーバイエルポリマー社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、カバー、及び必要に応じて上記コアと上記カバーとの間に1層以上の中間層を具備すると共に、上記カバーが、透明又は半透明の材料、又はそれらの材料に着色剤が配合された材料で形成されたゴルフボールの製造方法であって、
コア又はコアの周囲に1層以上の中間層が形成された球体(以下、予備成形体という)を作製する工程と、
上記工程で得た予備成形体を、一時保管場所に移送する工程と、
上記一時保管場所に保管された予備成形体の中から、形成すべきカバーに合致した予備成形体を選択する工程と、
上記工程で選択された予備成形体をカバー形成工程に移送する工程と、
上記一時保管場所から移送された予備成形体の周囲にカバーを形成する工程と
を含み、
上記予備成形体を作製する工程において、該予備成形体に、可視光下では白色であり、紫外線照射によって蛍光を発する蛍光材料を含有又は塗布すること、及び
上記予備成形体を選択する工程において、一時保管場所に保管された予備成形体に紫外線を照射して蛍光色を発色させ、その色から形成すべきカバーに合致した予備成形体を識別することを含むゴルフボールの製造方法。
【請求項2】
上記予備成形体が、
蛍光材料を含む材料で形成されたコア、
コアの周囲に1層以上の中間層が形成され、該中間層の最も外側の層が蛍光材料を含む材料で形成された球体、
表面の全部又は一部が蛍光材料を含む塗料で塗装されたコア、及び
コアの周囲に1層以上の中間層が形成され、該中間層の最も外側の層の表面の全部又は一部が蛍光材料を含む塗料で塗装された球体
からなる群より選択されるいずれかである請求項1記載のゴルフボールの製造方法。
【請求項3】
上記蛍光材料として、アルカリ土類金属元素、亜鉛族元素、遷移金属元素、ランタノイド金属元素の群から選ばれる元素を含む無機蛍光物質、及び、フルオレン骨格を有する化合物の群から選ばれる有機蛍光物質の1種又は2種以上を用いる請求項1又は2記載のゴルフボールの製造方法。

【公開番号】特開2013−94668(P2013−94668A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230428(P2012−230428)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)