説明

ゴルフボール表面の凹凸パターン設計方法

【課題】空力的対称性に優れたゴルフボールの提供。
【解決手段】ゴルフボール2は、その表面に多数のクレーター8を備えている。クレーター8は、ランダムに配置されている。ゴルフボール2の表面のうち、クレーター8以外の部分は、ランド10である。クレーター8とランド10とにより、ゴルフボール2に凹凸パターンが形成されている。この凹凸パターンの設計方法は、(1)複数の状態が想定されるステップ、(2)球面上に多数のセルが想定されるステップ、(3)それぞれのセルの初期の状態が決定されるステップ、(4)このセルの状態の変更の要否が、このセルの近傍に位置する複数のセルの状態に基づいて判定されるステップ、(5)上記判定に基づき、このセルの状態の更新がなされるステップ及び(6)このセルに、その状態に応じてランド10又はリセスが割り当てられるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、ゴルフボール表面の凹凸パターン設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。乱流剥離によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流剥離によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減及び揚力の向上は、「ディンプル効果」と称される。
【0003】
米国ゴルフ協会(USGA)は、ゴルフボールの対称性に関するルールを定めている。このルールでは、PH回転時の弾道とPOP回転時の弾道とが対比される。両者の差が大きいゴルフボール、換言すれば空力的対称性が劣るゴルフボールは、このルールに適合しない。空力的対称性が劣るゴルフボールは、PH回転時の空力特性又はPOP回転時の空力特性が劣ることに起因して、飛距離に劣る。なお、PH回転の回転軸は、ゴルフボールの両極を通過する。POP回転の回転軸は、PH回転の回転軸と直交する。
【0004】
ゴルフボールの仮想球に内接する正多面体が用いられて、ディンプルが配置されることがある。この配置方法では、多面体の辺が球面に投影されて得られる区画線によって仮想球表面が複数のユニットに区画される。1つのユニットのディンプルパターンが、仮想球の全体に展開される。このディンプルパターンでは、正多面体の頂点を通過する線が回転軸である場合の空力特性が、この正多面体の面中心を通過する線が回転軸である場合の空力特性と異なる。このゴルフボールは、空力的対称性に劣る。
【0005】
特開昭50−8630公報には、改良されたディンプルパターンを有するゴルフボールが開示されている。このゴルフボールの表面は、仮想球に内接する二十面体によって区画されている。この区画に基づき、ゴルフボールの表面にディンプルが配置されている。このディンプルパターンでは、ディンプルと交差しない大円の数は、1である。この大円は、赤道と一致している。赤道の近傍は、特異な領域である。
【0006】
ゴルフボールは、上型及び下型からなるモールドによって成形される。このモールドは、パーティングラインを有する。このモールドによって得られたゴルフボールは、パーティングラインに相当する位置に、シームを有する。成形により、シームにはバリが生じる。バリは、切削され除去される。バリの切削により、シームの近傍のディンプルは変形する。さらに、シームの近傍には、ディンプルが整然と並ぶ傾向がある。シームは、赤道に位置する。赤道の近傍は、特異な領域である。
【0007】
凹凸状のパーティングラインを有するモールドが、用いられている。このモールドで得られたゴルフボールは、赤道上にディンプルを有する。赤道上のディンプルは、赤道の近傍の特異性解消に寄与する。しかし、特異性は、十分には解消されていない。このゴルフボールの空力的対称性は、十分ではない。
【0008】
特開昭61−284264号公報には、シーム近傍のディンプルの容積が極近傍のディンプルの容積よりも大きなゴルフボールが開示されている。容積の相違は、赤道近傍の特異性の解消に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭50−8630公報
【特許文献2】特開昭61−284264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特開昭61−284264号公報に開示されたゴルフボールでは、ディンプルパターンに起因する不都合が、容積の相違によって解消されている。ディンプルパターンに起因する不都合が、ディンプルパターン自体の工夫で解消されているわけではない。このゴルフボールでは、ディンプルパターンが本来備えるポテンシャルが犠牲にされる。このゴルフボールの飛距離は、十分ではない。
【0011】
赤道の近傍の特異性、並びにこれに起因する不十分な対称性に関し、原因究明の努力がなされている。しかし、未だ原因は明らかでなく、改善のための普遍的な理論も確立されていない。
【0012】
本発明の目的は、空力的対称性に優れたゴルフボールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、ゴルフボール表面の凹凸パターンに工夫を施すことで、空力的対称性に優れたゴルフボールが得られることを見出した。本発明に係る凹凸パターン設計方法は、
複数の状態が想定されるステップ、
球面上に多数のセルが想定されるステップ、
それぞれのセルの初期の状態が決定されるステップ、
このセルの状態の変更の要否が、このセルの近傍に位置する複数のセルの状態に基づいて判定されるステップ、
上記判定に基づき、このセルの状態の更新がなされるステップ
及び
このセルに、その状態に応じてランド又はリセスが割り当てられるステップ
を含む。
【0014】
好ましくは、初期の状態は、無作為に決定される。好ましくは、判定及び更新が3回以上繰り返された後に、それぞれのセルに、その状態に応じてランド又はリセスが割り当てられる。
【0015】
好ましくは、判定及び更新は、セル・オートマトン法によってなされる。好ましくは、判定及び更新は、セル・オートマトン法の反応・拡散モデルによってなされる。好ましくは、セルの数は5000個以上100000個以下である。
【0016】
好ましくは、状態の変更の要否は、下記数式(1)で算出される値Eに基づいて判定される。
E = W * NR1 + W * NR1−R2 (1)
この数式(1)において、Wは第一濃度であり、NR1は第一円に含まれこの第一円の中心に位置しない特定の状態のセルの数であり、Wは第二濃度であり、NR1−R2は第二円に含まれ第一円に含まれない特定の状態のセルの数である。第一濃度は正であり、第二濃度は負である。第一円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。第二円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。半径Rは、半径Rよりも大きい。
【0017】
好ましくは、それぞれのセルの初期の状態は、分化又は未分化である。下記数式(1)で算出される値Eが正であるとき、セルの状態が分化であればこの状態が維持され、セルの状態が未分化であればこの状態が分化に変更される。この値Eがゼロであるとき、セルの状態が維持される。この値Eが負であるとき、セルの状態が分化であればこの状態が未分化に変更され、セルの状態が未分化であればこの状態が維持される。
E = W * NR1 + W * NR1−R2 (1)
この数式(1)において、Wは第一濃度であり、NR1は第一円に含まれこの第一円の中心に位置しない分化のセルの合計数であり、Wは第二濃度であり、NR1−R2は第二円に含まれ第一円に含まれない分化のセルの合計数である。第一濃度は正であり、第二濃度は負である。第一円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。第二円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。半径Rは、半径Rよりも大きい。
【0018】
好ましくは、第一濃度W1は、0.80以上1.20以下である。好ましくは、第二濃度W2は、−0.70以上−0.50以下である。好ましくは、指数半径Rは、2.20以上2.60以下である。好ましくは、指数半径Rは、3.0以上5.0以下である。
【0019】
本発明に係るゴルフボールは、その表面に凹凸パターンを備える。この凹凸パターンは、前述の方法によって設計される。
【0020】
好ましくは、このゴルフボールの差dRの絶対値は、2.5mm以下である。差dRは、下記ステップ(1)から(17)によって得られる。
(1)ゴルフボールの両極を結ぶ線が、第一回転軸に想定されるステップ
(2)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、かつ上記第一回転軸と直交する大円が想定されるステップ
(3)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、上記第一回転軸と直交し、かつ上記大円との中心角の絶対値が30°である2つの小円が想定されるステップ
(4)これらの小円により上記仮想球が区画され、仮想球の表面のうちこれら小円に挟まれた領域が特定されるステップ
(5)上記領域に、軸方向において中心角度で3°刻みであり回転方向において中心角で0.25°刻みに、30240の点が決定されるステップ
(6)それぞれの点から上記第一回転軸に下ろした垂線の長さL1が算出されるステップ
(7)軸方向に並ぶ21個の垂線に基づいて算出された21個の長さL1が合計され、総長さL2が算出されるステップ
(8)回転方向に沿って算出される1440個の総長さL2から、最大値と最小値とが決定され、最大値から最小値が減じられた値である変動幅Rhが算出されるステップ
(9)上記ステップ(1)で想定された第一回転軸に直交する第二回転軸が想定されるステップ
(10)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、かつ上記第二回転軸と直交する大円が想定されるステップ
(11)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、上記第二回転軸と直交し、かつ上記大円との中心角の絶対値が30°である2つの小円が想定されるステップ
(12)これらの小円により上記仮想球が区画され、仮想球の表面のうちこれら小円に挟まれた領域が特定されるステップ
(13)上記領域に、軸方向において中心角度で3°刻みであり回転方向において中心角で0.25°刻みに、30240の点が決定されるステップ
(14)それぞれの点から上記第二回転軸に下ろした垂線の長さL1が算出されるステップ
(15)軸方向に並ぶ21個の垂線に基づいて算出された21個の長さL1が合計され、総長さL2が算出されるステップ
(16)回転方向に沿って算出される1440個の総長さL2から、最大値と最小値とが決定され、最大値から最小値が減じられた値である変動幅Roが算出されるステップ
(17)上記変動幅Rh及びRoの差dRが算出されるステップ
【0021】
好ましくは、差dRの絶対値は、1.0mm以下である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るゴルフボールの表面には、リセスによって多数のクレーターが形成される。これらクレーターは、乱流剥離を促進する。これらクレーターは、ゴルフボールの飛行性能に寄与する。これらクレーターはランダムに配置されるので、このパターンは方向性を有さない。このゴルフボールは、空力的対称性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された模式的断面図である。このゴルフボール2は、球状のコア4と、カバー6とを備えている。カバー6の表面には、多数のクレーター8が形成されている。ゴルフボール2の表面のうちクレーター8以外の部分は、ランド10である。このゴルフボール2は、カバー6の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。コア4とカバー6との間に、中間層が設けられてもよい。
【0025】
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下である。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上がより好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下がより好ましい。
【0026】
コア4は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点からポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。
【0027】
コア4の架橋には、共架橋剤が用いられうる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物には、共架橋剤と共に有機過酸化物が配合されるのが好ましい。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
【0028】
コア4のゴム組成物には、硫黄化合物、充填剤、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。ゴム組成物に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
【0029】
コア4の直径は30.0mm以上、特には38.0mm以上である。コア4の直径は42.0mm以下、特には41.5mm以下である。コア4が2以上の層から構成されてもよい。
【0030】
カバー6に好適なポリマーは、アイオノマー樹脂である。好ましいアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい他のアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。
【0031】
アイオノマー樹脂に代えて、又はアイオノマー樹脂と共に、他のポリマーが用いられてもよい。他のポリマーとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性スチレンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが例示される。
【0032】
カバー6には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合される。比重調整の目的で、カバー6にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。
【0033】
カバー6の厚みは0.3mm以上、特には0.5mm以上である。カバー6の厚みは2.5mm以下、特には2.2mm以下である。カバー6の比重は0.90以上、特には0.95以上である。カバー6の比重は1.10以下、特には1.05以下である。カバー6が2以上の層から構成されてもよい。
【0034】
図2は、図1のゴルフボール2が示された拡大正面図である。図2から明らかなように、多数のクレーター8がランダムに配置されている。これらクレーター8とランド10とにより、ゴルフボール2の表面に凹凸パターンが形成されている。
【0035】
この凹凸パターンの設計には、セル・オートマトン(Cellular Automaton)法が用いられている。セル・オートマトン法は、計算可能性理論、数学、理論生物学等の分野で、広く利用されている。セル・オートマトン法のモデルは、多数のセルと単純な規則とからなる。このモデルにより、生命現象、結晶の成長、乱流等の自然現象が模擬されうる。このモデルでは、それぞれのセルが状態を有する。この状態は、ステージの進行に応じ、他の状態に変化しうる。あるセルのステージ(t+1)における状態は、ステージ(t)における当該セルの状態及びこのセルの近傍にある複数のセルの状態によって決定される。決定は、ある規則に従ってなされる。全てのセルに、この規則が等しく適用される。
【0036】
この凹凸パターンの設計には、セル・オートマトン法の反応・拡散モデルが適している。このモデルは、獣、鳥、魚、昆虫等の体表面の模様の模擬に用いられている。このモデルでは、複数の状態が想定される。状態の数は、通常は2以上8以下である。それぞれのセルにおいて、初期の状態が決定される。ステージの進行により、規則に基づいて、状態が更新される。更新により、その状態が変化するセルが存在する。更新により、状態が変化しないセルも存在する。セル・オートマトン法は、「セル・オートマトン法 複雑系の自己組織化と超並列処理(加藤泰義ら著、森北出版株式会社発行)」の第25−28頁に開示されている。
【0037】
本発明に係る設計方法の特徴は、セルの状態が、当該セルの近傍に位置する他のセルの影響下にて更新される点にある。この更新により、多数のクレーター8がランダムに配置された凹凸パターンが得られる。この特徴が維持される限り、如何なるモデルも用いられうる。本発明に係る設計方法は、効率の観点から、コンピュータとソフトウエアとが用いられて実施されることが好ましい。もちろん、手計算でも本発明は実施されうる。本発明の本質がコンピュータソフトウエアにあるわけではない。以下、セル・オートマトン法の反応拡散モデルを用いた設計方法が詳説される。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係る設計方法が示されたフローチャートである。図4は、図3の設計方法に用いられるメッシュ12が示された正面図である。このメッシュ12の形成には、球14が仮想される(STEP1)。この仮想球14の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。この仮想球14の表面が、多数の三角形に分割される(STEP2)。分割は、前進先端法(advancing front method)に基づいてなされている。前進先端法が、「大学院情報理工学3 計算力学(伊藤耿一編、講談社発行)」の第195−197頁に開示されている。このメッシュ12において、三角形の数は176528個であり、頂点の数は88266個である。それぞれの頂点は、セル(又はセルの中心)と定義される。このメッシュ12では、セルの数は88266個である。他の手法によって仮想球14が分割されてもよい。
【0039】
この設計方法では、分化及び未分化の、2つの状態が想定される。それぞれのセルにおいて、いずれかの状態(初期の状態)が決定される(STEP3)。決定は、好ましくは、無作為になされる。無作為な決定には、乱数と剰余系とが用いられる。状態の数が2なので、基数が2である剰余系が用いられる。具体的には、コンピュータによって0以上1未満であり、下5桁の乱数が発生させられる。この乱数に100000が乗され、この積がさらに2で除される。この商の余りは、「1」又は「0」である。この余りに基づいて、当該セルの状態が決定される。例えば、余りが「1」の場合に分化が選定され、余りが「0」の場合に未分化が選定される。全てのセルについて、決定がなされる。決定の後のメッシュ12は、ステージ1にある。
【0040】
それぞれのセルにおいて、状態の変更の要否が判定される(STEP4)。判定は、規則に従ってなされる。図5は、この規則が説明されるためのグラフである。このグラフにおいて、縦軸は濃度であり、横軸は指数半径である。指数半径は、当該セルからの距離が基準値で除された値である。この基準値は、当該セルに最も近いセルと、当該セルとの距離である。濃度Wは正であり、濃度Wは負である。濃度Wの絶対値は、濃度Wの絶対値よりも大きい。指数半径Rは、指数半径Rよりも大きい。指数半径が0を超えてR以下のエリアでは、濃度はWである。指数半径がRを超えてR以下のエリアでは、濃度はWである。
【0041】
図6は、図4のメッシュ12の一部が示された拡大図である。便宜上、図6では、メッシュ12が二次元で画かれている。図6の中心には、判定の対象であるセル16が示されている。図6にはさらに、第一円18及び第二円20が示されている。第一円18は、セル16を中心とする、指数半径がRである円である。第二円20は、セル16を中心とする、指数半径がRである円である。塗りつぶされた円で示されているのは、第一円18に含まれる、セル16以外のセルである。塗りつぶされた四角形で示されているのは、第二円20に含まれ、第一円18に含まれないセルである。塗りつぶされた三角形で示されているのは、第二円20に含まれないセルである。
【0042】
この設計方法では、第一円18に含まれこの第一円18の中心に位置しない、特定の状態にあるセルの数NR1がカウントされる。好ましい態様によれば、その状態が分化であるセルの数がカウントされ、合計NR1が算出される。この設計方法ではさらに、第二円20に含まれ第一円18に含まれない、特定の状態にあるセルの数NR1−R2がカウントされる。好ましい態様によれば、その状態が分化であるセルの数がカウントされ、合計NR1−R2が算出される。この数NR1及びNR1−R2が下記数式(1)に代入され、値Eが算出される。この値Eに基づいて、セル16の状態の変更の要否が決定される。
E = W * NR1 + W * NR1−R2 (1)
【0043】
この判定に基づき、セル16の状態の更新がなされる(STEP5)。更新において、セル16状態が変化することも、変化しないことも生じうる。好ましい態様によれば、値Eが正であるとき、セル16の状態が分化であればこの状態が維持され、セル16の状態が未分化であればこの状態が分化に変更される。この値Eがゼロであるとき、セル16の状態が維持される。この値Eが負であるとき、セル16の状態が分化であればこの状態が未分化に変更され、セル16の状態が未分化であればこの状態が維持される。全てのセルについての第一回目の更新が完了したメッシュ12は、ステージ2にある。
【0044】
以下に、判定及び更新の計算例が示される。
条件
第一濃度W:1.00
第二濃度W:−0.60
第一円18に含まれる、その状態が分化であるセルの数(当該セル16を除く):8
第二円20に含まれ第一円18に含まれない、その状態が分化であるセルの数:13
計算例
E = 1.00 * 8 − 0.60 * 13
= 0.2
この場合、値Eが正なので、セル16の状態が分化であればこの状態が維持され、セル16の状態が未分化であればこの状態が分化に変更される。
【0045】
以下に、判定及び更新の他の計算例が示される。
条件
第一濃度W:1.00
第二濃度W:−0.60
第一円18に含まれる、その状態が分化であるセルの数(当該セル16を除く):5
第二円20に含まれ第一円18に含まれない、その状態が分化であるセルの数:9
計算例
E = 1.00 * 5 − 0.60 * 9
= −0.4
この場合、値Eが負なので、セル16の状態が分化であればこの状態が未分化に変更され、セル16の状態が未分化であればこの状態が維持される。
【0046】
この判定と更新とが、繰り返される。図3のフローチャートでは、繰り返し数はNである。N回の繰り返しが完了した後のメッシュ12は、ステージ(N+1)にある。ステージの進行に伴い、更新によって状態が変化するセルの数が減少する。
【0047】
図7は、繰り返しによる状態の変化が示された写真である。なお、図7の写真は、図2に示されたゴルフボール2のものではない。図7では、便宜上、分化のセルが黒に着色され、未分化のセルが白に着色されている。各写真の詳細は、下記の通りである。
(a) ステージ1 繰り返し数:0 初期状態
(b) ステージ2 繰り返し数:1
(c) ステージ3 繰り返し数:2
(d) ステージ4 繰り返し数:3
(e) ステージ5 繰り返し数:4
(f) ステージ6 繰り返し数:5
(g) ステージ31 繰り返し数:30
【0048】
図7から明らかなように、繰り返し数が小さいステージでは、更新によるパーターンの変化が激しい。多数回の更新がなされることで、パターンが収束する。図7から明らかなように、繰り返し数は3以上が好ましく、5以上がより好ましい。繰り返し数が過大であると、コンピュータの負荷が大きい。この観点から、繰り返し数は30以下が好ましく、10以下がより好ましい。
【0049】
繰り返しの完了後、凹凸パターンが形成される(STEP6)。この凹凸パターンの形成では、それぞれのセルに、その状態に応じて、ランド10又はリセスが割り当てられる。具体的には、分化のセルにはリセスが割り当てられ、未分化のセルにはランド10が割り当てられる。分化のセルにランド10が割り当てられ、未分化のセルにリセスが割り当てられてもよい。
【0050】
以下、ランド10及びリセスの割り当て方法が説明される。図8は、更新が完了したのちのメッシュの一部が示された拡大図である。図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。図8及び図9において、円で示されているのは分化のセルであり、四角形で示されているのは未分化のセルである。図9に示されるように、仮想球14の半径はRaである。図9には、第二の球22も示されている。この第二の球22は、仮想球14と同心である。第二の球22の半径Rbは、半径Raよりも小さい。分化のセル(円で示される)は、仮想球14の半径方向に沿って、第二の球22の表面に移動させられる。移動距離は、(Ra−Rb)である。図9において三角形で示されているのが、移動後のセルである。半径Rbが半径Raよりも小さいので、この移動はリセスの割り当てに相当する。図9に示されるように、複数のリセスの連続より、クレーター8が形成される。クレーター8が、単一のリセスからなってもよい。未分化のセル(四角形で示される)は、移動しない。移動のないことは、ランド10の割り当てに相当する。リセス及びランド10の割り当てにより、凹凸パターンが形成される。分化のセルと未分化のセルとが隣接する箇所では、未分化のセルから移動後の分化のセルに向かってスロープ24が形成される。スロープ24が円弧状であってもよい。1つのセルの移動距離が、他のセルの移動距離と異なってもよい。この場合、クレーター8は平坦でない底面を備えうる。
【0051】
図2に示されたゴルフボール2では、クレーター8がランダムに配置されている。この凹凸パターンは、方向性を有しない。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。
【0052】
この設計方法では、状態変更の要否判定に影響を与える事項は、下記の2つである。
(I)当該セル16の状態
(II)当該セル16の近傍に位置する他のセルの状態
この設計方法では、以下の仮定に基づき、判定がなされる。
(1)分化のセルは、当該セル16の分化を促す活性化物質を生成する。
(2)分化のセルは、当該セル16を分化状態から未分化の状態に戻す阻害物質を生成 する。
(3)未分化のセルは、当該セル16に影響を与えない。
(4)活性化物質は大きな影響力をもち、阻害物質は小さな影響力を持つ。
(5)活性化物質は遠方まで拡散せず、阻害物質は遠方まで拡散する。
図5に示されたグラフでは、濃度Wの絶対値は、濃度Wの絶対値よりも大きい。これには、上記(4)の仮定が反映されている。図5に示されたグラフでは、指数半径Rは、指数半径Rよりも大きい。これには、上記(5)の仮定が反映されている。活性化物質の影響と、阻害物質の影響とは、互いに打ち消し合う。その状態が未分化であるセル16に働く活性化物質の影響が、このセル16に働く阻害物質の影響よりも大きい場合、このセル16が分化する。その状態が分化であるセル16に働く阻害物質の影響が、このセル16に働く活性化物質の影響よりも大きい場合、このセル16の状態が未分化に変化する。
【0053】
セルの数、第一濃度W、第二濃度W、指数半径R及び指数半径Rは、パターンに影響を与える因子である。図10には、11個のパターンが示されている。便宜上、分化のセルが黒に着色され、未分化のセルが白に着色されている。それぞれのパターンの因子が、下記の表1に示されている。
【0054】
【表1】

【0055】
その幅が過大でないクレーター8が得られるとの観点から、セルの数は5000個以上が好ましく、9000個以上がより好ましく、20000個以上がさらに好ましく、40000個以上が特に好ましい。その幅が過小でないクレーター8が得られるとの観点から、セルの数は100000個以下が好ましく、90000個以下がより好ましい。幅が適正であるクレーター8は、乱流剥離を促進する。
【0056】
第一濃度Wは0.80以上が好ましく、0.95以上がより好ましい。第一濃度Wは1.20以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。第二濃度Wは−0.70以上が好ましく、−0.65以上がより好ましい。第二濃度Wは−0.50以下が好ましく、−0.55以下がより好ましい。指数半径Rは2.20以上が好ましく、2.45以上がより好ましい。指数半径Rは2.60以下が好ましく、2.55以下がより好ましい。指数半径Rは3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましい。指数半径Rは5.0以下が好ましく、4.5以下がより好ましい。
【0057】
本発明では、全てのクレーター8の面積の合計の、仮想球14の表面積に対する比率は、占有率と称される。乱流剥離の促進の観点から、占有率は55%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、82%以上が特に好ましい。占有率は、95%以下が好ましい。
【0058】
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、クレーター8の深さ(Ra−Rb)は0.05mm以上が好ましく、0.08mm以上がより好ましく、0.10mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、深さ(Ra−Rb)は0.60mm以下が好ましく、0.45mm以下がより好ましく、0.40mm以下が特に好ましい。
【0059】
本発明において「クレーターの容積」とは、仮想球14とクレーター8の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。全てのクレーター8の容積の和(総容積)は、ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から400mm以上が好ましく、450mm以上がより好ましく、500mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は700mm以下が好ましく、650mm以下がより好ましく、600mm以下が特に好ましい。
【0060】
好ましくは、このゴルフボール2の差dRの絶対値は、2.5mm以下である。この絶対値は、ゴルフボール2の空力的対称性と相関するパラメータである。この絶対値が小さいほど、PH回転時の弾道とPOP回転時の弾道との差が小さい。この観点から、絶対値は1.0mm以下がより好ましく、0.80mm以下が特に好ましい。以下、差dRに基づく評価方法が説明される。
【0061】
図11は、この評価方法が説明されるための模式図である。この評価方法では、第一回転軸Ax1が想定される。この第一回転軸Ax1は、ゴルフボール2の2つの極点Poを通過する。それぞれの極点Poは、ゴルフボール2の成形に用いられるモールドの最深部である。一方の極点Poは上型の最深部であり、他方の極点Poは下型の最深部である。ゴルフボール2は、第一回転軸Ax1を中心として回転する。この回転は、PH回転である。
【0062】
このゴルフボール2の仮想球14の表面に存在し、かつ第一回転軸Ax1と直交する大円GCが想定される。ゴルフボール2の回転のとき、この大円GCの周速が最も速い。さらに、ゴルフボール2の仮想球14の表面に存在し、第一回転軸Ax1と直交する2つの小円C1、C2が想定される。図12には、図11のゴルフボール2の一部の断面が模式的に示されている。図12の左右方向は、軸方向である。図12に示されるように、小円C1と大円GCとの中心角の絶対値は、30°である。図示されていないが、小円C2と大円GCとの中心角の絶対値も、30°である。これらの小円C1、C2により上記仮想球14が区画され、仮想球14の表面のうちこれら小円C1、C2に挟まれた領域が特定される。
【0063】
図12における点P(α)は、ゴルフボール2の表面に位置し、かつ大円GCとの中心角がα°(degree)である点である。点F(α)は、点P(α)から第一回転軸Ax1に下ろした垂線Pe(α)の足である。矢印L1(α)で示されているのは、垂線Pe(α)の長さである。換言すれば、長さL1(α)は、点P(α)と第一回転軸Ax1との距離である。1つの断面において、21個の点P(α)に関し、長さL1(α)が算出される。具体的には、−30°、−27°、−24°、−21°、−18°、−15°、−12°、−9°、−6°、−3°、0°、3°、6°、9°、12°、15°、18°、21°、24°、27°及び30°の角度αに関し、長さL1(α)が算出される。21個の長さL1(α)が合計され、総長さL2(mm)が得られる。総長さL2は、図12に示された断面における、表面の形状に依存するパラメータである。
【0064】
図13には、ゴルフボール2の一部の断面が示されている。図13において紙面垂直方向が、軸方向である。図13において符号βで示されているのは、ゴルフボール2の回転角度である。0°以上360°未満の範囲において、0.25°刻みに、回転角度βが設定される。それぞれの回転角度ごとに、総長さL2が算出される。この結果、回転方向に沿って1440の総長さL2が得られる。換言すれば、ゴルフボール2の1回転によって所定箇所に刻々と出現する表面の形状に依存するパラメータに関するデータ群が、算出される。このデータ群は、30240個の長さL1に基づいて算出されたものである。
【0065】
図2に示されたゴルフボール2のデータ群がプロットされたグラフが、図14に示されている。このグラフでは、横軸は回転角度βであり、縦軸は総長さL2である。このグラフから、総長さL2の最大値と最小値とが決定される。この最大値から最小値が減じられ、変動幅Rhが算出される。変動幅Rhは、PH回転における空力特性を表す数値である。
【0066】
さらに、第一回転軸Ax1と直交する第二回転軸Ax2が決定される。第二回転軸Ax2を中心としたゴルフボール2の回転は、POP回転である。PH回転と同様、POP回転についても、大円GCと2つの小円C1、C2が想定される。小円C1と大円GCとの中心角の絶対値は、30°である。小円C2と大円GCとの中心角の絶対値も、30°である。仮想球14の表面のうちこれら小円に挟まれた領域において、1440の総長さL2が算出される。換言すれば、ゴルフボール2の1回転によって所定箇所に刻々と出現する表面の形状に依存するパラメータに関するデータ群が、算出される。図2に示されたゴルフボール2のデータ群がプロットされたグラフが、図15に示されている。このグラフでは、横軸は回転角度βであり、縦軸は総長さL2である。このグラフから、総長さL2の最大値と最小値とが決定される。この最大値から最小値が減じられ、変動幅Roが算出される。変動幅Roは、POP回転における空力特性を表す数値である。変動幅Rhから変動幅Roが減じられ、差dRが算出される。差dRは、ゴルフボール2の空力的対称性を表す指標である。本発明者が得た知見によれば、差dRが小さいゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。その理由は、PH回転時の表面形状とPOP回転時の表面形状との類似性が高いためと推測される。
【0067】
第一回転軸Ax1と直交する直線は、無数に存在する。従って、大円GCも無数に存在する。クレーター8に含まれる部分が最長である大円GCが選択され、変動幅Ro及び差dRが算出される。これに代えて、無作為に抽出された20個の大円GCに基づき、20個の変動幅Roが算出されてもよい。この場合、20個のデータの中の最大値に基づいて、差dRが算出される。
【0068】
変動幅Rhが小さいほど、PH回転時に大きな飛距離が得られうる。この観点から、変動幅Rhは3.0mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましい。変動幅Roが小さいほど、POP回転時に大きな飛距離が得られうる。この観点から、変動幅Roは3.0mm以下が好ましく、2.7mm以下がより好ましい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0070】
[実施例1]
図3に示された方法により、図2に示された凹凸パターンを設計した。パターンに影響を与える因子の詳細は、以下の通りである。
セルの数:47415個
第一濃度W:1.00
第二濃度W:−0.60
指数半径R:2.5
指数半径R:4.0
クレーターの深さ(Ra−Rb):0.213mm
【0071】
[実施例2から4]
因子の値を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から4の凹凸パターンを設計した。実施例2の凹凸パターンが、図16に示されている。実施例3の凹凸パターンが、図17に示されている。実施例4の凹凸パターンが、図18に示されている。
【0072】
【表2】

【0073】
[比較例1]
図19に示されたディンプルパターンを設計した。図19には、1つのユニットに関し、ディンプルの種類が符号で示されている。このユニットは、球面が10分割されることで得られる。このユニットのパターンが、球面全体に展開される。このディンプルパターンは、直径が4.00mmであるディンプルAと、直径が3.70mmであるディンプルBと、直径が3.40mmであるディンプルCと、直径が3.20mmであるディンプルDとを備えている。それぞれのディンプルの断面形状は、円弧である。ディンプルの詳細は、下記の通りである。
種類 数 直径(mm) 深さ(mm) 容積(mm)
A 120 4.00 0.184 1.737
B 152 3.70 0.184 1.414
C 60 3.40 0.184 1.137
D 60 3.20 0.184 0.977
【0074】
[評価]
前述の手法により、各パターンの差dRを算出した。結果の詳細が、下記の表3に示されている。
【0075】
【表3】

【0076】
表3に示されるように、各実施例の差dRの絶対値は、比較例1のそれよりも小さい。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明された凹凸パターンは、ツーピースゴルフボールのみならず、ワンピースゴルフボール、マルチピースゴルフボール及び糸巻きゴルフボールにも適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された模式的断面図である。
【図2】図2は、図1のゴルフボールが示された拡大正面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る設計方法が示されたフローチャートである。
【図4】図4は、図3の設計方法に用いられるメッシュが示された正面図である。
【図5】図5は、図3の設計方法の規則が説明されるためのグラフである。
【図6】図6は、図4のメッシュの一部が示された拡大図である。
【図7】図7は、図3の設計方法の課程にある7個のパターンが示された写真である。
【図8】図8は、更新が完了したのちのメッシュの一部が示された拡大図である。
【図9】図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図3の設計方法で得られた11個のパターンが示された写真である。
【図11】図11は、図1のゴルフボールの評価方法が説明されるための模式図である。
【図12】図12は、図11の評価方法が説明されるための模式図である。
【図13】図13は、図11の評価方法が説明されるための模式図である。
【図14】図14は、図2のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図15】図15は、図2のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図16】図16は、本発明の実施例2に係るゴルフボールが示された正面図である。
【図17】図17は、本発明の実施例3に係るゴルフボールが示された正面図である。
【図18】図18は、本発明の実施例4に係るゴルフボールが示された正面図である。
【図19】図19は、比較例1に係るゴルフボールが示された正面図である。
【図20】図20は、図16のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図21】図21は、図16のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図22】図22は、図17のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図23】図23は、図17のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図24】図24は、図18のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図25】図25は、図18のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図26】図26は、図19のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【図27】図27は、図19のゴルフボールの評価結果が示されたグラフである。
【符号の説明】
【0079】
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・カバー
8・・・クレーター
10・・・ランド
12・・・メッシュ
14・・・仮想球
16・・・セル
18・・・第一円
20・・・第二円
22・・・球
24・・・スロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の状態が想定されるステップ、
球面上に多数のセルが想定されるステップ、
それぞれのセルの初期の状態が決定されるステップ、
このセルの状態の変更の要否が、このセルの近傍に位置する複数のセルの状態に基づいて判定されるステップ、
上記判定に基づき、このセルの状態の更新がなされるステップ
及び
このセルに、その状態に応じてランド又はリセスが割り当てられるステップ
を含む、ゴルフボール表面の凹凸パターン設計方法であって、
上記判定及び更新が、セル・オートマトン法の反応・拡散モデルによってなされる設計方法
【請求項2】
上記初期の状態が無作為に決定される請求項1に記載の設計方法。
【請求項3】
上記判定及び更新が3回以上繰り返された後に、それぞれのセルに、その状態に応じてランド又はリセスが割り当てられる請求項1又は2に記載の設計方法。
【請求項4】
上記セルの数が5000個以上100000個以下である請求項1から3のいずれかに記載の設計方法。
【請求項5】
下記数式(1)で算出される値Eに基づいて、状態の変更の要否が判定される請求項1から4のいずれかに記載の設計方法。
E = W * NR1 + W * NR1−R2 (1)
(この数式(1)において、Wは第一濃度であり、NR1は第一円に含まれこの第一円の中心に位置しない特定の状態にあるセルの数であり、Wは第二濃度であり、NR1−R2は第二円に含まれ第一円に含まれない特定の状態にあるセルの数である。第一濃度は正であり、第二濃度は負である。第一円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。第二円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。半径Rは、半径Rよりも大きい。)
【請求項6】
それぞれのセルの初期の状態が分化又は未分化であり、
下記数式(1)で算出される値Eが正であるとき、セルの状態が分化であればこの状態が維持され、セルの状態が未分化であればこの状態が分化に変更され、
この値Eがゼロであるとき、セルの状態が維持され、
この値Eが負であるとき、セルの状態が分化であればこの状態が未分化に変更され、セルの状態が未分化であればこの状態が維持される請求項5に記載の設計方法。
E = W * NR1 + W * NR1−R2 (1)
(この数式(1)において、Wは第一濃度であり、NR1は第一円に含まれこの第一円の中心に位置しない分化のセルの合計数であり、Wは第二濃度であり、NR1−R2は第二円に含まれ第一円に含まれない分化のセルの合計数である。第一濃度は正であり、第二濃度は負である。第一円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。第二円は、当該セルを中心とする、指数半径がRである円である。半径Rは、半径Rよりも大きい。)
【請求項7】
上記第一濃度W1が0.80以上1.20以下である請求項5又は6に記載の設計方法。
【請求項8】
上記第二濃度W2が−0.70以上−0.50以下である請求項5から7のいずれかに記載の設計方法。
【請求項9】
上記指数半径Rが2.20以上2.60以下である請求項5から8のいずれかに記載の設計方法。
【請求項10】
上記指数半径Rが3.0以上5.0以下である請求項5から9のいずれかに記載の設計方法。
【請求項11】
その表面に凹凸パターンを備えており、この凹凸パターンが請求項1から10のいずれかに記載の方法で設計されたゴルフボール。
【請求項12】
下記ステップ(1)から(17)によって得られる差dRの絶対値が2.5mm以下である請求項11に記載のゴルフボール。
(1)ゴルフボールの両極を結ぶ線が、第一回転軸に想定されるステップ
(2)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、かつ上記第一回転軸と直交する大円が想定されるステップ
(3)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、上記第一回転軸と直交し、かつ上記大円との中心角の絶対値が30°である2つの小円が想定されるステップ
(4)これらの小円により上記仮想球が区画され、仮想球の表面のうちこれら小円に挟まれた領域が特定されるステップ
(5)上記領域に、軸方向において中心角度で3°刻みであり回転方向において中心角で0.25°刻みに、30240の点が決定されるステップ
(6)それぞれの点から上記第一回転軸に下ろした垂線の長さL1が算出されるステップ
(7)軸方向に並ぶ21個の垂線に基づいて算出された21個の長さL1が合計され、総長さL2が算出されるステップ
(8)回転方向に沿って算出される1440個の総長さL2から、最大値と最小値とが決定され、最大値から最小値が減じられた値である変動幅Rhが算出されるステップ
(9)上記ステップ(1)で想定された第一回転軸に直交する第二回転軸が想定されるステップ
(10)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、かつ上記第二回転軸と直交する大円が想定されるステップ
(11)ゴルフボールの仮想球の表面に存在し、上記第二回転軸と直交し、かつ上記大円との中心角の絶対値が30°である2つの小円が想定されるステップ
(12)これらの小円により上記仮想球が区画され、仮想球の表面のうちこれら小円に挟まれた領域が特定されるステップ
(13)上記領域に、軸方向において中心角度で3°刻みであり回転方向において中心角で0.25°刻みに、30240の点が決定されるステップ
(14)それぞれの点から上記第二回転軸に下ろした垂線の長さL1が算出されるステップ
(15)軸方向に並ぶ21個の垂線に基づいて算出された21個の長さL1が合計され、総長さL2が算出されるステップ
(16)回転方向に沿って算出される1440個の総長さL2から、最大値と最小値とが決定され、最大値から最小値が減じられた値である変動幅Roが算出されるステップ
(17)上記変動幅Rh及びRoの差dRが算出されるステップ
【請求項13】
上記差dRの絶対値が1.0mm以下である請求項12に記載のゴルフボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−183197(P2011−183197A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118410(P2011−118410)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【分割の表示】特願2008−146056(P2008−146056)の分割
【原出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)