説明

ゴルフ靴

【課題】 一般的なゴルファーであってもゴルフスイング時の打撃方向側の足に装着されたゴルフ靴の内側が浮かないようにするゴルフ靴を提供する。
【解決手段】 ゴルフ靴10、12によれば、ゴルフクラブ36のフォロースイング時に体重を支える側の足、たとえば右利きのゴルファーであればゴルフ靴10の靴底14に設けられたすべり止め突起において、外側すべり止め突起24の高さが内側すべり止め突起22の高さに比較して高くなるように形成されていて、左足の外側が内側よりも高くされることから、インパクト後の後半のスウィング中においては、左足のゴルフ靴10の靴底14の内側が浮かない。したがって、一般的なゴルファーであっても左足がずれてスウィングの力が抜けるような弱々しい動きが好適に解消され、飛距離が改善される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、ゴルフをプレーするに際して用いられるゴルフ靴に関し、特にゴルフスイングを改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフをプレーするに際して用いられるゴルフ靴は、芝生の上においてもすべりを防止するための金具、スパイク等と称される金属製あるいは樹脂製のすべり止め用突起を靴底の外面に有している。このようなすべり止め用突起は、特にスイングを行う過程の軸足すなわちテークバック側の足の位置を安定させるので、ボールに体重を十分に乗せることを可能とし、ボールの方向性および飛距離に寄与している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記左右1対のゴルフ靴の靴底の外面の内側及び外側にそれぞれすべり止め用金具や樹脂製のすべり止め用突起が同じ高さで設けられている。このため、バックスイング時においては打撃方向の反対側すなわちバックスイング時に体重を支える側の足は、外側に体重がのりやすく、内側が浮きやすく、またフォロースイング時においては打撃方向側の足すなわちフォロースイング時に体重を支える側の足の足首が曲がってゴルフ靴の内側が浮くようにそのゴルフ靴が傾斜するので、スイング時の力が抜けて弱々しい動きとなり易いという欠点があった。特に、練習量の少ない一般的なゴルファーにおいてはこのような不都合が著しい。
【0004】
本考案は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、一般的なゴルファーであってもゴルフスイング時の打撃方向側の足に装着されたゴルフ靴の内側が浮かないようにするゴルフ靴を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本考案のゴルフ靴の要旨とするところは、靴底外面にすべり止め突起を備えたゴルフ靴であって、その靴底外面の外側に位置するすべり止め突起の高さが内側に位置するすべり止め突起の高さよりも高くされたことにある。
【0006】
【考案の効果】
このようにすれば、ゴルフ靴の靴底外面の外側に位置するすべり止め突起の高さが内側に位置するすべり止め突起の高さよりも高くされていることから、フォロースイング時に体重を支える側の足首が曲がり難くなるので、スウィング運動中においてゴルフ靴の内側が浮かなくなる。したがって、ゴルフ靴の内側が浮くことによりスイング時の力が抜けて弱々しい動きとなることが好適に防止されるので、飛距離を改善することができる。
【0007】
【考案の他の態様】
ここで好適には、上記ゴルフ靴は1対の左側靴および右側靴から成り、その1対の左側靴および右側靴のうち、少なくともゴルフクラブの打撃方向側に位置する靴の靴底外面において、外側に位置するすべり止め突起の高さが内側に位置するすべり止め突起の高さよりも高くされたものである。このようにすれば、フォロースイング時に体重を支える側の足首が曲がり難くなるので、スウィング運動中においてゴルフ靴の内側が浮かなくなる。また、1対の左側靴および右側靴が、共に靴底外面において、外側に位置するすべり止め突起の高さが内側に位置するすべり止め突起の高さよりも高くされたものである場合には、アドレス時において両足が内側に自然に締まり、スウィング中に両足間から体重の中心がはずれ難くなるとともに、バックスウィングも容易に理想的な形となるとともに、インパクト時において全体の運動が左足内側で止まり、そこを基点とするスイングにより最大インパクトを好適に発生させることができる。
【0008】
さらに好適には、前記靴底外面の外側に位置するすべり止め突起の高さは、4乃至11mmとされたものである。市販のすべり止め突起は通常3乃至6mmの高さであるため、このようにすれば、靴底外面の内側に位置するすべり止め突起として市販のものを備えた場合であっても、靴底外面の内側と外側の間に安定性を向上させるために充分な高さの差が確保される。
【0009】
【考案の好適な実施の形態】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本考案の1実施例の左右1対のゴルフ靴(左側靴)10およびゴルフ靴(右側靴)12の側面図および正面図である。
【0010】
図1および図2において、左右1対のゴルフ靴10、12は、一般にソールと称される靴底14、16と、その靴底14、16の周縁部から足首付近まで立ち上がるようにその靴底14、16に固定された表皮(甲皮)18、20とを備えている。上記各靴底14、16は、互いに密着状態で積層させられた複数層たとえば合成樹脂、布、帆皮などの材料から成る中底層、中物心層、本底層から可撓性板状に形成されている。また、上記表皮18、20も、たとえば合成樹脂、布、帆皮などの可撓性材料から構成されている。
【0011】
図1は左足用ゴルフ靴10を内側から見た図であり、図2にも示すように左右1対のゴルフ靴10、12は、内側すべり止め突起22及び外側すべり止め突起24をその靴底14、16の外面の複数箇所に備えている。この内側すべり止め突起22及び外側すべり止め突起24に代えて、すべり止め金具すなわち鋲が靴底面14,16の外面に形成されてもよい。
【0012】
そして、本実施例の内側すべり止め用突起22及び外側すべり止め突起24は図3の底面図により示される形状の凹凸を有しており、左右1対のゴルフ靴10、12の靴底14、16の外面に例えば図4に示されるように配置されて複数箇所に着脱可能に備えられている。この配置はゴルフ靴10,12をはいたスウィング時にゴルフ靴の内側が浮かない程度に靴底14,16の外面の内側と外側の間に高さの差が確保されるようにすればよく、上記配置には限定されない。
【0013】
図5の断面図に詳しく示すように、内側すべり止め突起22は樹脂製の突起部26とねじ部28から一体的に構成されている。ねじ部28は靴底14,16の外面に設けられた図示しないねじ穴に螺合される。ここで上記内側すべり止め突起22の高さとは、実質的に靴底14,16の地面からの高さを決めるために寄与する部分の高さであり、たとえば上記突起部26の厚みH1 に相当する。H1 は本実施例では3乃至6mmとする。
【0014】
図6の側面図に示すように、外側すべり止め突起24は内側すべり止め突起22と同様に樹脂製の突起部26、ねじ部28を備え、さらにその突起部26とねじ部28の間に中間部34を有して構成される。外側すべり止め突起24の突起部26と内側すべり止め突起22の突起部26の厚みH1 は等しく、また上記中間部34の厚みはh1 であらわされる。ここで上記外側すべり止め突起24の高さとは、実質的に靴底14, 16の地面からの高さを決めるために寄与する部分の高さであり、たとえば上記突起部26の厚みH1 に上記中間部34の厚みh1 を加算した値すなわちH1 +h1 に相当する。
【0015】
上記中間部34の厚みh1 は靴底の内側すべり止め突起22と外側すべり止め突起24との高さの差に対応するものであり、たとえば1乃至5mmに設定されている。通常内側すべり止め突起22の高さと外側すべり止め突起24の高さの間には1乃至2mmの差を設けることで本考案の効果は充分得られるが、使用者の体型や足癖の程度の差を考慮し1乃至5mmとしたものである。このようにすれば、靴底外面の内側と外側の間に安定性を向上させるために充分な高さの差が確保される。上記高さの差が1mmを下回る場合には飛距離改善の効果が得られなくなるとともに5mmを上回る場合には歩行などに不都合を生じる。
【0016】
以上のように構成されたゴルフ靴10、12によれば、靴底14,16の内側には高さがH1 である内側すべり止め突起22が設けられ、靴底14,16の外側には高さがH1 +h1 であるために内側すべり止め突起22よりも高い外側すべり止め突起24が設けられる。その結果ゴルフクラブ36のフォロースイング時に体重を支える側の足、たとえば右利きのゴルファーであればゴルフ靴10によって、その靴底14の外面の外側が内側よりも高くされるので、左足の外側が内側よりも高くされて、インパクト後の後半のスウィング中においてはたとえば図7に示すように、左足のゴルフ靴10の靴底14の内側が浮かない。このため、一般的なゴルファーであっても左足がずれてスウィングの力が抜けるような弱々しい動きが好適に解消され、方向安定性および飛距離が改善される。
【0017】
また、本実施例によれば、1対のゴルフ靴10、12の靴底14、16に設けられた内側すべり止め突起22と外側すべり止め突起24との間に中間部34の厚みh1 に相当する高さの差があることから地面からの靴底14,16の高さが共に内側から外側へ向かうほど高くなるように傾斜させられているので、アドレス時において両足が内側に自然に締まり、スウィング中に両足間から体重の中心がはずれ難くなるとともに、バックスウィングも容易に理想的な形となるとともに、インパクト時において全体の運動が左足内側で止まり、そこを基点とするスウィングにより最大インパクトを好適に発生させることができる。
【0018】
さらに、本実施例によれば、1対のゴルフ靴10、12の靴底14、16に設けられた内側すべり止め突起22と外側すべり止め突起24との間に中間部34の厚みh1 に相当する高さの差があることから、地面からの靴底14,16の高さが共に内側から外側へ向かうほど高くなるように傾斜させられているので、図8に示すように、ゴルフクラブ36のゴルフボールに対するアドレスからバックトップに至るまでのスウィング運動の初期と、バックトップからダウンスウィングに入ってインパクトに至るまでのスウィング運動の中期とにおいて両足が地面に密着すると共に、利き腕と同じ側の足の運動が非常に容易となる。すなわち右利きであれば右足の運動が容易となり、左利きであれば左足の運動が容易となる。
【0019】
因みに、図9および図10は従来のゴルフ靴38を用いた場合を示している。
図9に示すようなフォロースイング時の打撃方向側の足すなわちフォロースイング時に体重を支える側の足の足首が曲がってゴルフ靴38の内側が浮くようにそのゴルフ靴が傾斜するので、スイング時の力が抜けて弱々しい動きとなり易くなっていた。また、図10に示すように、バックスイング時において体重を支える側すなわち打撃方向反対側の足は外側に体重がのりやすく、その足のゴルフ靴38の内側が浮くようにそのゴルフ靴が傾斜するので、スイング時の力が抜けて弱々しい動きとなり易くなっていたのである。
【0020】
また、本実施例によれば外側すべり止め突起24は着脱可能であるので、練習時には内側すべり止め突起22に比較して高さの高い外側すべり止め突起24を用い、試合時には内側すべり止め突起22と同じ高さのすべり止め突起を取り付けて使用するようにしてもよい。また内側すべり止め突起22も着脱可能であるので、内側すべり止め突起22に換えて異なる高さを有するすべり止め突起を取り付けることで外側すべり止め突起との差を使用者にとって最適なものとすることも考えられる。
【0021】
以上、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これらはあくまでも一実施形態であり、本考案は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【0022】
前述の実施例のゴルフ靴10および12では、靴底14、16に着脱可能に内側すべり止め突起22及び外側すべり止め突起24が設けられていたが靴底14、16に一体的に上記内側すべり止め突起22または外側すべり止め突起24を取り付けるものであってもよい。
【0023】
また、前述の内側すべり止め突起22、外側すべり止め突起24にかえて例えば図11乃至13に示す内側すべり止め突起42、外側すべり止め突起44のように実施例とは異なるパターンのすべり止め突起についても本考案は適用できる。この場合の内側すべり止め突起42の高さとは図12に示されるようにH2 に相当し、外側すべり止め突起44の高さとは図13に示されるようにH2 +h2 に相当する。また本実施例のすべり止め突起はソフトスパイクであったが鋲などのすべり止め金具においても本考案は適用できる。
【0024】
また、前述の実施例の外側すべり止め突起24は、内側すべり止め突起22の突起部26の厚みH1 と等しい厚みの突起部26を備え、且つ中間部34を備えたものであったが、中間部34は必ずしも必要ではない。すなわち内側すべり止め突起22の突起部26の厚みよりも外側すべり止め突起24の突起部26の厚みを厚いものとすれば中間部34を設けなくても本考案の効果が得られる。
【0025】
また、前述の実施例のゴルフ靴10および12は、種々の材質や製法によって構成され得るものである。
【0026】
また、前述の内側すべり止め突起22、外側すべり止め突起24は金属製のスパイクであってもよい。
【0027】
なお、上述したのはあくまでも本考案の一実施例であり、本考案はその他の態様においても適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例の左足用ゴルフ靴を内側から見た場合の側面図である。
【図2】図1の実施例のゴルフ靴を示す正面図である。
【図3】図1及び図2の実施例のすべり止め突起を示す底面図である。
【図4】図1及び図2の実施例のゴルフ靴の底面図である。
【図5】図1及び図2の内側すべり止め突起の断面を示す図3のI−I視断面図である。
【図6】図1及び図2の実施例の外側すべり止め突起を示す側面図である。
【図7】図1或いは図2の実施例のゴルフ靴を用いたフォロースイングを説明する図である。
【図8】図1或いは図2の実施例のゴルフ靴を用いたバックスイングを説明する図である。
【図9】従来のゴルフ靴を用いたフォロースイングを説明する図である。
【図10】従来のゴルフ靴を用いたバックスイングを説明する図である。
【図11】本考案の他の実施例のすべり止め突起を示す底面図である。
【図12】図11の内側すべり止め突起の断面を示す図1111のII−II視断面図である。
【図13】本考案の別の実施例の外側すべり止め突起を示す側面図である。
【符号の説明】
10:ゴルフ靴(左側靴)
12:ゴルフ靴(右側靴)
14、16:靴底
18、20:表皮(甲皮)
22:内側すべり止め突起
24:外側すべり止め突起

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 靴底外面にすべり止め突起を備えたゴルフ靴であって、該靴底外面の外側に位置するすべり止め突起の高さが内側に位置するすべり止め突起の高さよりも高くされたことを特徴とするゴルフ靴。
【請求項2】 前記ゴルフ靴は1対の左側靴および右側靴から成り、該1対の左側靴および右側靴のうち、少なくともゴルフクラブの打撃方向側に位置する靴の靴底外面において、外側に位置するすべり止め突起の高さが内側に位置するすべり止め突起の高さよりも高いものである請求項1のゴルフ靴。
【請求項3】 前記外側に位置するすべり止め突起の高さと、前記内側に位置するすべり止め突起の高さとの差は1乃至5mmとされたものである請求項1または2のゴルフ靴。
【請求項4】 前記外側に位置するすべり止め突起の高さは、4乃至11mmである請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフ靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【登録番号】実用新案登録第3080770号(U3080770)
【登録日】平成13年7月18日(2001.7.18)
【発行日】平成13年10月5日(2001.10.5)
【考案の名称】ゴルフ靴
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2001−1808(U2001−1808)
【出願日】平成13年4月2日(2001.4.2)
【出願人】(500106282)サンライズエンタープライズ有限会社 (1)