説明

ゴーグル

【課題】部品点数が少なくて、フレーム部材が破損し難く、バンドの交換(着脱)を容易に行うことのできるゴーグルを提供する。
【解決手段】剛体とみなせる透明な材料で板状に形成され、左右方向の両端部にそれぞれ左、右側係合孔17L,17Rを有するレンズ部材11と、細長い弾性体で構成されたバンド本体23と、剛体とみなせる材料で構成されてバンド本体23の両端に設けられ、それぞれがレンズ部材11の左、右側係合孔17L,17Rに着脱自在に係合する左、右側係合部材26L,26Rと、弾性変形可能な材料で前後方向へ延びる筒状に形成され、前側にレンズ部材11を保持する環状の保持部37を有し、後側に着用者の顔面に接触する環状の接触部42を有するフレーム部材31と、を備えるゴーグル1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目の部分を覆って目の回りを保護するゴーグルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
埃が多く発生したり、液体などの飛沫が発生する作業を行う場合、埃や飛沫などが目に入らないように保護するため、または、スキー競技を行う場合、雪で反射される太陽光や、飛来物などが目に入らないように保護するため、または、溶接工事を行う場合、有害光線や飛来物が目に入らないように保護するため、ゴーグルが使用されている。
【0003】
上記したゴーグルとして、レンズ部材と、前後方向へ延びる筒状に形成され、前側にレンズ部材を保持する保持部を有し、後ろ側に装着者の顔面に接触する接触部を有するとともに、左右方向の両端にそれぞれバンド通し孔が設けられたフレーム部材と、両端がフレーム部材の両バンド通し孔に直接装着されるバンドとを構成部品とするものが提案されている(第1のゴーグル)。
【0004】
この第1のゴーグルは、少ない部品点数、すなわち、レンズ部材、フレーム部材、バンドの3部品で構成されている。
【0005】
また、レンズ部材と、前後方向へ延びる筒状に形成され、前側にレンズ部材を保持する保持部を有し、後ろ側に装着者の顔面に接触する接触部を有するとともに、左右方向の両端にそれぞれ係止凹部が設けられたフレーム部材と、バンドと、このバンドの両端にそれぞれ設けられ、フレーム部材の係止凹部にそれぞれ係合する一対(2つ)の係合部材とを構成部品(少なくとも5部品)とするゴーグルが提案されている(第2のゴーグル)。
【0006】
この第2のゴーグルは、各係合部材をフレーム部材の係止凹部に係合させることによってバンドの取付が容易に行え、各係合部材をフレーム部材の係止凹部から取り外すことによってバンドの取り外しが容易に行えるので、バンドの交換が容易に行える。
【0007】
また、レンズ部材と、前後方向へ延びる筒状に形成され、前側にレンズ部材を保持する保持部を有し、後ろ側に装着者の顔面に接触する接触部を有するフレーム部材と、このフレーム部材の左右方向の両端にそれぞれ設けられた係止部材と、バンドと、このバンドの両端にそれぞれ設けられ、係止部材にそれぞれ係合する一対(2つ)の係合部材とを構成部品(少なくとも7部品)とするゴーグルが提案されている(第3のゴーグル)。
【0008】
この第3のゴーグルは、各係合部材を係止部材に係合させることによってバンドの取付が容易に行え、各係合部材を係止部材から取り外すことによってバンドの取り外しが容易に行えるので、バンドの交換が容易に行える。
【0009】
また、レンズ部材と、前後方向へ延びる筒状に形成され、前側にレンズ部材を保持する保持部を有し、左右方向の両端にそれぞれ係止凹部を有するフレーム部材と、このフレーム部材の後ろ側に設けられた環状のスポンジパッドと、バンドと、このバンドの両端にそれぞれ設けられ、フレーム部材の係止凹部にそれぞれ係合する一対(2つ)の係合部材とを構成部品(少なくとも6部品)とするゴーグルが提案されている(第4のゴーグル)(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
この第4のゴーグルは、各係合部材をフレーム部材の係止部に係合させることによってバンドの取付が容易に行え、各係合部材をフレーム部材の係止部から取り外すことによってバンドの取り外しが容易に行えるので、バンドの交換が容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−200265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記した第1のゴーグルは、部品点数が少ないものの、バンドの取付、取り外しを行う際、バンドをフレーム部材のバンド通し孔に挿通したり、バンド通し孔からバンドを取り外さなければならないので、バンドの交換が行いづらい(難い)という不都合がある。
【0013】
上記した第2のゴーグルおよび第4のゴーグルは、弾性変形可能な材料で形成されたフレーム部材の係合凹部に係合部材が係合するので、係合部材のフレーム部材への係合部分(係止凹部部分)に、バンドの引っ張り応力が作用することにより、フレーム部材の係合凹部部分が破損し易くなる。このため、係合部材と、フレーム部材の係合凹部との接触面積を大きくする必要があり、係合部材が大形化するとともに、ゴーグルも大形化する。
【0014】
上記した第3のゴーグルは、弾性変形可能な材料で形成されたフレーム部材に係止部材が設けられているので、係止部材のフレーム部材への取付部分に、バンドの引っ張り応力が作用することにより、係止部材が取り付けられているフレーム部材の取付部分が破損し易くなる。このため、係止部材を大きくしてフレーム部材との接触面積を大きくする必要があり、係止部材が大形化するとともに、ゴーグルも大形化する。
さらに言えば、この第3のゴーグルは、部品点数が少なくとも6点と多いため、製造工程も多く、その分製造コストも高くなってしまう。
【0015】
また、上記した各ゴーグルは、レンズ部材がフレーム部材の保持部にしか保持され(係合し)ていないので、レンズ部材が保持部から外れると、レンズ部材とフレーム部材とがばらばらになってしまうという不都合がある。
【0016】
この発明は、上記した不都合を解消するためになされたもので、部品点数が少なく、フレーム部材が破損し難く、バンドの交換(着脱)を容易に行うことのできるゴーグルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載のゴーグルは、剛体とみなせる透明な材料で板状に形成され、左右方向の両端部にそれぞれ被係合部を有するレンズ部材と、細長い弾性体で構成されたバンドと、剛体とみなせる材料で構成されて前記バンドの両端に設けられ、それぞれが前記被係合部に着脱自在に係合する一対の係合部材と、弾性変形可能な材料で前後方向へ延びる筒状に形成され、前側に前記レンズ部材を保持する環状の保持部を有し、後ろ側に装着者の顔面に接触する環状の接触部を有するフレーム部材と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載のゴーグルは、請求項1に記載のゴーグルにおいて、前記レンズ部材は、レンズ本体部と、このレンズ本体部の左右方向の両端部からそれぞれ後ろ側へ突出している突出部とを有し、この各突出部に前記被係合部がそれぞれ設けられ、前記レンズ部材を前記保持部に保持させた状態で、前記突出部が前記フレーム部材の内側に位置していることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載のゴーグルは、請求項2に記載のゴーグルにおいて、前記レンズ部材を前記保持部に保持させた状態で、前記各突出部の上側に位置している前記レンズ本体部の側方上側部位と前記各突出部の下側に位置している前記レンズ本体部の側方下側部位とが前記フレーム部材に接触し、前記ゴーグルを装着者が装着した状態で、左側の前記側方上側部位と左側の前記側方下側部位とが前記フレーム部材の左端部を前記装着者の顔面へ押圧し、右側の前記側方上側部位と右側の前記側方下側部位とが前記フレーム部材の右端部を前記装着者の顔面へ押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、レンズ部材と、バンドと、一対(2つ)の係合部材と、フレーム部材とでゴーグルを構成することができるので、すなわち、従来例の第3のゴーグルよりも2部品少ない5部品でゴーグルを構成することができるので、ゴーグルを安価に製造することができるとともに、ゴーグルの組立を容易に行うことができる。
また、一対の係合部材が弾性変形可能な材料で構成されたフレーム部材だけでなく、剛性を備えたレンズ部材にも係合しているので、フレーム部材が破損し難くなる。
また、一対の係合部材がレンズ部材の被係合部に着脱自在に係合しているので、バンドの交換(着脱)を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例であるゴーグルの斜視図である。
【図2】図1に示したゴーグルの分解斜視図である。
【図3】図1に示したレンズ部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図4】図1に示した装着バンドの右側係合部材部分を示す図で、(a)は右側面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
【図5】図1に示したフレーム部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図6】(a)は図1の6A−6A線による断面図、(b)は図1の6B−6B線による断面図である。
【図7】(a)はレンズ部材をフレーム部材の保持部に保持させる前の状態を示す説明図、(b)はレンズ部材をフレーム部材の保持部に保持させた状態を示す説明図である。
【図8】(a)はレンズ部材の被係合部に装着バンドの係合部材を係合させる前の状態を示す説明図、(b)はレンズ部材の被係合部に装着バンドの係合部材を係合させた状態を示す説明図である。
【図9】この発明の参考例であるゴーグルの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0023】
まず、この発明のゴーグルの一実施例の構成について説明する。
【0024】
図1および図2に示すように、ゴーグル1は、左右対称に形成されたレンズ部材11と、装着バンド21と、左右対称に形成されたフレーム部材31とで構成されている。
【0025】
レンズ部材11は、前側に凸状で、後ろ側に凹状をした円弧状で、左右方向よりも高さ方向が短く、鼻に対応する下側の中央部分が上側へ凹んだ左右対称形状で、主に装着者の左右の目を保護するレンズ本体部12と、このレンズ本体部12の左右方向(横方向)の両端にそれぞれ後ろ側へ突出するように設けられた矩形状の左、右側突出部16L,16Rとが、剛体とみなせる透明な材料、例えば、ポリカーボネートなどのように硬くて剛性の高い透明な樹脂、ガラスで一定の厚さを有する板状に射出成型によって一体成型されている。
【0026】
そして、レンズ本体部12には、図2または図3に示すように、上辺と下辺とに、内側へ拡開した凹部を有する被係止溝13がそれぞれ複数設けられるとともに、下辺中央の上側へ凹んだ部分(鼻に対応する部分)に、内側へ拡開した凹部を有する被係止凹部14が設けられている。
そして、レンズ本体部12の左側突出部16Lの上側に位置している部位を左側側方上側部位12LUとし、レンズ本体部12の左側突出部16Lの下側に位置している部位を左側側方下側部位12LDとし、レンズ本体部12の右側突出部16Rの上側に位置している部位を右側側方上側部位12RUとし、レンズ本体部12の右側突出部16Rの下側に位置している部位を右側側方下側部位12RDとする。
【0027】
そして、右側突出部16Rには、図2および図3に示すように、被係合部としての右側係合孔17Rが設けられている。
この右側係合孔17Rは、前側から後ろ側へ、例えば、水平方向に対して50度〜60度で上昇する長孔17aと、この長孔17aの長さ方向の中心に設けられた、長孔17aの短軸の直径よりも少し長い直径の丸孔17bとで構成されている。
なお、左側突出部16Lにも、右側突出部16Rと同様に、前側から後ろ側へ、例えば、水平方向に対して50度〜60度で上昇する長孔17aと、この長孔17aの長さ方向の中心に設けられた、長孔17aの短軸の直径よりも少し長い直径の丸孔17bとからなる左側係合孔17Lが設けられている。
【0028】
装着バンド21は、図2に示すように、バンドとしてのバンド本体部22と、剛体とみなせる材料、例えば、金属や樹脂で構成されてバンド本体部22の両端に着脱可能に設けられ(取り付けられ)、それぞれがレンズ部材11の左、右側係合孔17L,17Rに着脱可能に係合する、側面視左右方向に頂点を有する二等辺三角形形状の左、右側(一対の)係合部材26L,26Rとで構成されている。
【0029】
そして、バンド本体部22は、細長い弾性体、例えば、ゴムバンドで構成されたバンド本体23と、このバンド本体23の長さ方向の全長を調整する長さ調整部材24とで構成されている。
【0030】
そして、右側係合部材26Rには、図2および図4に示すように、バンド本体23を接続するために底辺と平行な上下方向へ延びるスリット27Rが後端に設けられるとともに、レンズ部材11の右側係合孔17Rと対向する面の頂部に右側係合部28Rが設けられている。
この右側係合部28Rは、レンズ部材11の丸孔17bの直径よりも短く、長孔17aの短軸の直径よりも長い直径で、全長にわたって前後に分割するスリット(すり割り)が設けられた軸部28aと、この軸部28aの根本から右側突出部16Rの厚さにフレーム部材31の側面の厚さを加えた厚さ(長さ)よりも少し長い距離離れた先端側から前後方向へそれぞれ、軸部28aの直径で、丸孔17bの直径よりも少し長く延びた係止部28bとで構成されている。
【0031】
なお、左側係合部材26Lにも、右側係合部材26Rと同様に、バンド本体23を接続するために底辺と平行な上下方向へ延びるスリット27Lが後端に設けられるとともに、レンズ部材11の左側係合孔17Lと対向する面の頂部に、レンズ部材11の丸孔17bの直径よりも短く、長孔17aの短軸の直径よりも長い直径で、全長にわたって前後に分割するスリット(すり割り)が設けられた軸部28aと、この軸部28aの根本から左側突出部16Lの厚さにフレーム部材31の側面の厚さを加えた厚さ(長さ)よりも少し長い距離離れた先端側から前後方向へそれぞれ、軸部28aの直径で、丸孔17bの直径よりも少し長く延びた係止部28bとからなる左側係合部28Lが設けられている。
【0032】
上記した装着バンド21は、バンド本体23の両端に、左、右側係合部材26L,26Rを縫い付けるなどの方法によって着脱可能に設ける(取り付ける)構成としてもよい。
【0033】
フレーム部材31は、図2および図5に示すように、前縁および後ろ縁が前側に凸状で、後ろ側に凹状をした円弧状で、左右方向よりも高さ方向が短く、鼻に対応する下側の中央部分が上側へ凹んだ左右対称形状で、前後方向へ延びた筒状部32と、この筒状部32の前側内周にレンズ部材11のレンズ本体部12を保持する環状の保持部37と、筒状部32の後ろ側に装着者の顔面に接触(当接)する環状の接触部42とが、弾性変形可能な材料、例えば、シリコンゴムなどの柔らかい樹脂や硬質ゴムで一体成型されている。
【0034】
そして、筒状部32の左、右側面には、保持部37にレンズ部材11のレンズ本体部12を保持させた状態で、左、右側係合孔17L,17Rに連通する、左、右側係合孔17L,17Rと同じ形状(同じ構成)の左、右側挿通孔35L,35R(左側挿通孔35Lの図示は省略されている。)が設けられるとともに、この左、右側挿通孔35L,35Rの丸孔35bを中心として周面36aが側面視後ろ側へ上下対称の扇形状で開放し、左、右側係合部材26L,26Rの一部を収容する左、右側収容凹部36L,36R(左側収容凹部36Lの図示は省略されている。)が外側に開放して設けられている。
この左、右側挿通孔35L,35Rは、前側から後ろ側へ、例えば、水平方向に対して50度〜60度で上昇する長孔17aと同じ長孔35aと、この長孔35aの長さ方向の中心に設けられた、長孔35a(長孔17a)の短軸の直径よりも少し長い直径の、丸孔17bと同じ丸孔35bとで構成されている。
【0035】
そして、保持部37は、レンズ部材11のレンズ本体部12の外周に係合して保持する、例えば、周回する溝38で構成され、この溝38の底には、レンズ部材11の被係止溝13に嵌合する係止突起39と、レンズ部材11の被係止凹部14に嵌合する係止突部40とが設けられている。
なお、溝38を構成(形成)する内側壁の、レンズ部材11の左、右側突出部16L,16Rに対応する部分は、切除されている。
【0036】
そして、接触部42には、鼻に対応する部分に、フィットし易くするためのスリット43が1本または複数本設けられるとともに、メガネのテンプル(腕、ツル)に対応する部分に左、右側収容凹部44L,44Rが設けられている。
【0037】
次に、ゴーグル1の組立方の一例について説明する。
【0038】
まず、フレーム部材31の保持部37を上下左右に拡開させながら、図7(a)および図7(b)に示すように、溝38の中へ、レンズ部材11を構成するレンズ本体部12の外周を収容させ、係止突起39に被係止溝13を対向させるとともに、係止突部40に被係止凹部14を対向させる。
【0039】
そして、保持部37部分をレンズ本体部12側へ全周にわたって押圧することにより、係止突起39を被係止溝13に係合させるとともに、係止突部40を被係止凹部14に係合させると、図6(a)に示すように、レンズ本体部12を保持部37に、容易に離脱しないように保持させることができる。
【0040】
このように、レンズ本体部12を保持部37に保持させると、左、右側側方上側部位12LU,12RUおよび左、右側側方下側部位12LD,12RDが保持部37の溝38の底に接触(当接)し、図6(b)および図7(b)に示すように、左、右側突出部16L,16Rが保持部37から後ろ側でフレーム部材31の内側へ突出し、左側係合孔17Lと左側挿通孔35Lとが重なるとともに、右側係合孔17Rと右側挿通孔35Rとが重なる。
【0041】
このように、左側係合孔17Lに左側挿通孔35Lが重なり、右側係合孔17Rに右側挿通孔35Rが重なった状態で、長孔35a,17aの長軸方向に係止部28bを対応させるとともに、丸孔35b,17bに軸部28aを対応させて左、右側係合部28L,28Rを左、右側挿通孔35L,35R、左、右側係合孔17L,17Rへ、左、右側係合部材26L,26Rが筒状部32に当接するまで挿通する。
【0042】
このように、左、右側係合部28L,28Rを左、右側係合孔17L,17Rへ挿通すると、左、右側係合部材26L,26Rの一部が左、右側収容凹部36L,36Rの外側のフレーム部材31の側面に当接するので、さらに左、右側係合部材26L,26Rをフレーム部材31側へ押圧して左、右側係合部材26L,26R(またはフレーム部材31)を歪(撓)ませることにより、係止部28bが左、右側突出部16L,16Rの内側へ突出する。
【0043】
この状態で、左側係合部材26Lを、軸部28aを中心にして反時計方向へ回動するとともに、図8(a)および図8(b)に示すように、右側係合部材26Rを、軸部28aを中心にして時計方向へ回動することにより、左側係合部材26Lと係止部28bとで左側突出部16Lおよび筒状部32を挟持するとともに、左側係合部材26Lが左側収容凹部36L内に入り、また、図6(b)に示すように、右側係合部材26Rと係止部28bとで右側突出部16Rおよび筒状部32を挟持するとともに、右側係合部材26Rが右側収容凹部36R内に入るので、図1の状態に組み立てることができる。
【0044】
この状態で、左、右側係合部材26L,26Rが軸部28aを中心にして回動しても、長孔35a,17aの長軸方向に係止部28bが重なる前に左、右側係合部材26L,26Rが左、右側収容凹部36の周壁36aに当接するので、装着バンド21をレンズ部材11に、容易に離脱しないように取り付けることができる。
【0045】
そして、左、右側係合部材26L,26Rを、軸部28aを中心にして回動させて左、右側係合部材26L,26Rが左、右側収容凹部36の周壁36aに当接した状態で、強い力で左、右側係合部材26L,26Rをさらに回動させると、フレーム部材31が歪(撓)むことにより、左、右側係合部材26L,26Rがフレーム部材31の側面に乗りあがると、長孔35a,17aの長軸方向に係止部28bが重なるので、左、右側係合部材26L,26Rをレンズ部材11から容易に脱着することができる。
【0046】
上記のようにして組み立てたゴーグル1の長さ調整部材24を操作してバンド本体部22(バンド本体23)の装着力(バンド本体部22の全長)を調整した後、接触部42を顔面の目の回りに当接させるとともに、スリット43部分を鼻に対応させた上で、バンド本体部22を後頭部に沿わせることにより、ゴーグル1を装着することができる。
【0047】
ゴーグル1を装着すると、装着者の顔面における目および目の回り(鼻を除く部分)は、レンズ本体部12と、フレーム部材31とで覆われる。
そして、装着者の頭の後に沿わせた装着バンド21によってレンズ部材11が後ろ側へ引っ張られることにより、レンズ本体部12の左、右側側方上側部位12LU,12RUおよび左、右側方下側部位12LD,12RDがフレーム部材31(保持部37)を後ろ側へ押圧するとともに、レンズ本体部12の曲面部分がフレーム部材31(保持部37)を後ろ側へ押圧し、フレーム部材31(接触部42)が装着者の顔面に密着する。
【0048】
上述したように、この発明の一実施例によれば、レンズ部材11と、バンド(バンド本体23)と、左、右側係合部材26L,26Rと、フレーム部材31とでゴーグル1を構成することができるので、すなわち、従来例の第3のゴーグルよりも2部品少ない5部品でゴーグル1を構成することができるので、ゴーグル1を安価に製造することができるとともに、ゴーグル1の組立を容易に行うことができる。
また、左、右側係合部材26L,26Rが弾性変形可能な材料で構成されたフレーム部材31でなく、剛性を備えたレンズ部材11に係合しているので、フレーム部材31が破損し難くなる。
【0049】
また、左、右側係合部材26L,26Rがレンズ部材11に着脱自在に係合しているので、バンドの交換(着脱)を容易に行うことができる。
また、バンド部材21をレンズ部材11に取り付けた状態で、左、右側係合部材26L,26Rが軸部28aを中心にして回動しても、長孔35a,17aの長軸方向に係止部28bが重なる前に左、右側係合部材26L,26Rが左、右側収容凹部36の周壁36aに当接するので、装着バンド21をレンズ部材11に、容易に離脱しないように着脱自在に取り付けることができる。
【0050】
また、ゴーグル1を装着した場合、装着バンド21が左右の両端部でレンズ部材11をバランスよく後ろ側に引っ張ることにより、フレーム部材31もバランスよく後ろ側に押され、フレーム部材31が装着者の顔面をバランスよくほぼ均一な圧力で押圧するので、装着者が違和感なく安定した状態でゴーグル1を装着することができる。
また、レンズ部材11の左、右側突出部16L,16Rに左、右側係合孔17L,17Rを設け、装着バンド21に左、右側係合部材26L,26Rを設けて装着バンド21をレンズ部材11に取り付ける構成にするとともに、レンズ部材11の左、右側突出部16L,16Rをフレーム部材31の内側に位置させたので、フレーム部材31の外側に露出する部分が少なくなって、デザイン性が向上するとともに見栄えがよくなり、シール性も向上するとともに、レンズ部材11が保持部37から外れても、レンズ部材11が左、右側突出部16L,16Rに係合しているので、レンズ部材11とフレーム部材31とがばらばらにならなくなる。
【0051】
また、ゴーグル1を装着した状態で、左側側方上側部位12LUと左側側方下側部位12LDとがフレーム部材31の左端部(保持部37)を装着者の顔面へ押圧し、右側側方上側部位12RUと右側側方下側部位12RDとがフレーム部材31の右端部(保持部37)を装着者の顔面へ押圧する構成にしたので、フレーム部材31にバランスよく装着者の顔面への押圧力が加わり、良好な装着感を得ることができる。
また、フレーム部材31に左、右収容凹部44L,44Rを設けたので、ゴーグル1を装着することによってメガネのテンプルが側頭部へ押されることがなくなり、装着感を向上させることができる。
【0052】
図9はこの発明の参考例であるゴーグルの分解斜視図であり、図1〜図8と同一または相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、装着バンドは、左、右側係合部材のみを図示した。
【0053】
図9に示すゴーグル1が図1〜図8に示したゴーグル1と異なるところは、レンズ本体部12と、突出部としての左、右側突出部材16AL,16ARとを別体にした点と、筒状部32の左、右端部に、左、右側突出部材16AL,16ARを前側から挿入して収容する左、右側収容凹部33L,33R(左側収容凹部33Lの図示は省略されている。)を設けた点と、筒状部32の左、右側収容凹部33L,33Rを設けた内側の一部(左、右側突出部材16AL,16ARの左、右側係合孔17L,17Rに対応する部分)を肉抜きとした点とである。
なお、保持部37は、完全に周回した溝38にしてもよい。
【0054】
左側突出部16Lと同じ材料で、左側突出部16Lと同じ厚さの矩形状に形成された左側突出部材16ALには、左側係合孔17L(長孔17aと、丸孔17bとで構成されている。)が設けられるとともに、上、下辺に突出した抜け止め係止部としての係止突起18Lが設けられている。
左側突出部材16ALと同様に、左側突出部16Lと同じ材料で、左側突出部16Lと同じ厚さの矩形状に形成された右側突出部材16ARには、右側係合孔17R(長孔17aと、丸孔17bとで構成されている。)が設けられるとともに、上、下辺に突出した抜け止め係止部としての係止突起18Rが設けられている。
【0055】
左側収容凹部33Lを設けた筒状部32の部分(左側面)には、左側収容凹部33Lに左側突出部材16ALを収容させた状態で、左側係合孔17Lに重なる左側挿通孔35L(長孔35aと、丸孔35bとで構成されている。)(左側係合孔35Lの図示は省略されている。)が設けられるとともに、左側収容凹部33Lに左側突出部材16ALを収容させた状態で、各係止突起18Lが係合する抜け止め被係合部としての抜け止め孔34L(図示は省略されている。)が上下に設けられている。
右側収容凹部33Rを設けた筒状部32の部分(右側面)には、右側収容凹部33Rに右側突出部材16ARを収容させた状態で、右側係合孔17Rに重なる右側挿通孔35R(長孔35aと、丸孔35bとで構成されている。)が設けられるとともに、右側収容凹部33Rに右側突出部材16ARを収容させた状態で、各係止突起18Rが係合する抜け止め被係合部としての抜け止め孔34R(下側の抜け止め孔34Rの図示は省略されている。)が上下に設けられている。
【0056】
次に、ゴーグル1の組立方の一例について説明する。
【0057】
まず、フレーム部材31の保持部37を上下左右に拡開させながら溝38の中へ、レンズ部材11を構成するレンズ本体部12の外周を収容させ、係止突起39に被係止溝13を対向させるとともに、係止突部40に被係止凹部14を対向させる。
【0058】
そして、保持部37部分をレンズ本体部12側へ全周にわたって押圧することにより、係止突起39を被係止溝13に係合させるとともに、係止突部40を被係止凹部14に係合させると、レンズ本体部12を保持部37に、容易に離脱しないように保持させることができる。
【0059】
そして、左側収容凹部33L内へ左側突出部材16ALを挿入して収容させることにより、各係止突起18Lが対応する抜け止め孔34Lに係合し、左側突出部材16ALを左側収容凹部33L内に、容易に離脱しないように収容させることができる。
また、右側収容凹部33R内へ右側突出部材16ARを挿入して収容させることにより、各係止突起18Rが対応する抜け止め孔34Rに係合し、右側突出部材16ARを右側収容凹部33R内に、容易に離脱しないように収容させることができる。
【0060】
このように、左、右側収容凹部33L,33R内に左、右側突出部材16AL,16ARを収容させると、左側係合孔17Lと左側挿通孔35Lとが重なるとともに、右側係合孔17Rと右側挿通孔35Rとが重なる。
【0061】
以後は、先の実施例と同様な手順で左、右側係合部材26L,26Rを取り付けることにより、装着バンド21をレンズ部材11に、容易に離脱しないように取り付けることができる。
【0062】
上記のようにして組み立てたゴーグル1は、図1〜図8に示したゴーグル1と同様に操作して装着することができ、同様な効果を得ることができる。
【0063】
上記した実施例および参考例において、被係合部としての左、右側係合孔17L,17Rを左、右側突出部16L,16Rまたは左、右側突出部材16AL,16ARに設け、係合部としての左、右側係合部28L,28Rを左、右側係合部材26L,26Rに設けた例を示したが、左、右側突出部16L,16Rまたは左、右側突出部材16AL,16ARに係合部としての左、右側係合部を設け、左、右側係合部材26L,26Rに被係合部としての左、右側係合孔を設ける構成としても、同様に機能する。
【0064】
また、バンド本体部22と左、右側係合部材26L,26Rとを別体とした例を示したが、バンド本体部の両端に、剛体とみなせる材料で構成された左、右側係合部材26L,26Rを縫い付けるなどの方法によって着脱可能に取り付ける構成にしてもよい。
【0065】
また、実施例において、左、右側突出部16L,16Rをフレーム部材31の内側に位置させた例を示したが、左、右側突出部16L,16Rをフレーム部材31の外側に位置させる構成としても、同様な効果を得ることができる。
この場合、左、右側係合部材26L,26Rの左、右側係合部28L,28Rは、左、右側突出部16L,16Rの左、右側係合孔17L,17Rのみに係合させても、左、右側係合孔部17L,17Rおよびフレーム部材31の左、右側挿通孔35L,35Rに係合させてもよい。
【0066】
また、参考例において、レンズ本体部12と左、右側係合部材26L,26Rとを一体成型し、左、右側係合部材26L,26Rとを左、右側収容凹部33L,3R内に収容させる構成にすると、この発明の変形例とすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ゴーグル
11 レンズ部材
12 レンズ本体部
12LU 左側側方上側部位
12LD 左側側方下側部位
12RU 右側側方上側部位
12RD 右側側方下側部位
13 被係止溝
14 被係止凹部
16L 左側突出部
16R 右側突出部
16AL 左側突出部材
16AR 右側突出部材
17L 左側係合孔(被係合部)
17R 右側係合孔(被係合部)
17a 長孔
17b 丸孔
18L 係止突起(抜け止め係止部)
18R 係止突起(抜け止め係止部)
21 装着バンド
22 バンド本体部
23 バンド本体
24 長さ調整部材
26L 左側係合部材
26R 右側係合部材
27L スリット
27R スリット
28L 左側係合部
28R 右側係合部
28a 軸部
28b 係止部
31 フレーム部材
32 筒状部
33R 右側収容凹部
34L 抜け止め孔(抜け止め被係合部)
34R 抜け止め孔(抜け止め被係合部)
35R 右側挿通孔
35a 長孔
35b 丸孔
36R 右側収容凹部
36a 周面
37 保持部
38 溝
39 係止突起
40 係止突部
42 接触部
43 スリット
44L 左側収容凹部
44R 右側収容凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体とみなせる透明な材料で板状に形成され、左右方向の両端部にそれぞれ被係合部を有するレンズ部材と、
細長い弾性体で構成されたバンドと、
剛体とみなせる材料で構成されて前記バンドの両端に設けられ、それぞれが前記被係合部に着脱自在に係合する一対の係合部材と、
弾性変形可能な材料で前後方向へ延びる筒状に形成され、前側に前記レンズ部材を保持する環状の保持部を有し、後ろ側に装着者の顔面に接触する環状の接触部を有するフレーム部材と、
を備えることを特徴とするゴーグル。
【請求項2】
請求項1に記載のゴーグルにおいて、
前記レンズ部材は、レンズ本体部と、このレンズ本体部の左右方向の両端部からそれぞれ後ろ側へ突出している突出部とを有し、
この各突出部に前記被係合部がそれぞれ設けられ、
前記レンズ部材を前記保持部に保持させた状態で、前記突出部が前記フレーム部材の内側に位置している、
ことを特徴とするゴーグル。
【請求項3】
請求項2に記載のゴーグルにおいて、
前記レンズ部材を前記保持部に保持させた状態で、前記各突出部の上側に位置している前記レンズ本体部の側方上側部位と前記各突出部の下側に位置している前記レンズ本体部の側方下側部位とが前記フレーム部材に接触し、
前記ゴーグルを装着者が装着した状態で、左側の前記側方上側部位と左側の前記側方下側部位とが前記フレーム部材の左端部を前記装着者の顔面へ押圧し、右側の前記側方上側部位と右側の前記側方下側部位とが前記フレーム部材の右端部を前記装着者の顔面へ押圧する、
ことを特徴とするゴーグル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193894(P2011−193894A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60546(P2010−60546)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)