説明

サイドバイザーおよびサイドバイザーユニット

【課題】意匠性に優れ、かつ、窓枠への取り付け強度および取り付け作業性にも優れるサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットを提供すること。
【解決手段】サイドバイザーの庇部31のなかで取り付け状態において車両進行方向の前端側および/または後端側に位置する取り付け端部と、サイドドアの窓枠9と、の間に取り付け部材4を介在させ、取り付け端部と取り付け部材4とを接着部材5で固着し、取り付け部材4と窓枠9とを接着部材5で固着する。取り付け部材4の表面に肉抜き凹部42を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に配設されるサイドバイザー、および二つのサイドバイザーを備えるサイドバイザーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
サイドバイザーは車体の窓枠の表面に取り付けられる部材であり、庇状をなす部分(庇部材と呼ぶ)を持つ。庇部材は、窓枠を通じた雨水や塵等の車室内への侵入を抑止する。従来のサイドバイザーを模式的に表す説明図を図7に示し、図7に示す従来のサイドバイザーを図7中A−A位置で切断した様子を模式的に表す断面図を図に示す。以下、図7および図8を基に、従来のサイドバイザーの問題点を説明する。
【0003】
一般的なサイドバイザーは、図7に示すように、前部座席の側方に位置するサイドドア(フロントサイドドア180)の窓枠190と、後部座席の側方に位置するサイドドア(リアサイドドア181)の窓枠191と、にそれぞれ取り付けられる。以下、本明細書において、フロントサイドドア180の窓枠に取り付けられるサイドバイザーをフロントサイドバイザー101と呼び、リアサイドドア181の窓枠に取り付けられるサイドバイザーをリアサイドバイザー102と呼ぶ。また、窓枠190、191に取り付けたサイドバイザーの状態を、取り付け状態と呼ぶ。
【0004】
庇部材103における上側部分(フランジ部130)、車両進行方向の前側に位置する端部(前側取り付け端部138)、および、車両進行方向の後側に位置する端部(後側取り付け端部139)は、一般に、両面テープ等の接着部材によって窓枠に取り付けられる。このため、庇部材103におけるフランジ部130、前側取り付け端部138および後側取り付け端部139は、取り付け状態において窓枠190、191に沿う形状をなす。一方、庇部材103の庇部131は、フランジ部130、前側取り付け端部138および後側取り付け端部139から車体外方に向けて突出する庇状をなす。換言すると、前側取り付け端部138および後側取り付け端部139は、フランジ部130と同様にフランジ状をなし、庇部131に対して段差状に陥没している。前側取り付け端部138および後側取り付け端部139がフランジ状をなすために、従来のサイドバイザーは意匠的な制約があり、意匠性に劣る場合がある。
【0005】
また、図8に示すように、取り付け状態において、フロントサイドバイザー101とリアサイドバイザー102とは前後方向に配列する。このとき、フロントサイドバイザー101の後側取り付け端部139aとリアサイドバイザー102の前側取り付け端部138bとは対向する。フロントサイドバイザー101の後側取り付け端部139aは、フロントサイドバイザー101の庇部131aおよびリアサイドバイザー102の庇部131bに対して段差状に凹んだフランジ状をなす。リアサイドバイザー102の前側取り付け端部138bもまた、フロントサイドバイザー101の庇部131aおよびリアサイドバイザー102の庇部131bに対して段差状に凹んだフランジ状をなす。このため、フロントサイドバイザー101とリアサイドバイザー102とを持つ従来のサイドバイザーユニットは、フロントサイドバイザーとリアサイドバイザーとの連続性に欠け、意匠性に劣る問題がある。
【0006】
特許文献1、2には、フロントサイドバイザーの後側取り付け端部とリアサイドバイザーの前側取り付け端部とを立壁状にしたサイドバイザーユニットが紹介されている。このサイドバイザーユニットにおいて、フロントサイドバイザーの後側取り付け端部およびリアサイドバイザーの前側取り付け端部は立壁状をなすため、車体外方からは非常に視認され難い。このため、フロントサイドバイザーの庇部とリアサイドバイザーの庇部とが連続性をもって視認される。従って、特許文献1、2に紹介されているフロントサイドバイザーおよびリアサイドバイザー(すなわち、サイドバイザーユニット)は意匠性に優れる。
【0007】
しかしその一方で、立壁状をなす前側取り付け端部および後側取り付け端部における窓枠側の端面の面積は非常に小さい。このため、前側取り付け端部および後側取り付け端部の窓枠への取り付け面積もまた非常に小さい。このため、特許文献1、2に紹介されているサイドバイザーは窓枠に対する取り付け強度に劣る問題がある。また、前側取り付け端部および後側取り付け端部は立壁状をなし、前側取り付け端部に連続する庇部および後側取り付け端部に連続する庇部は中空である。このため、外部からの衝撃を受けると、前側取り付け端部および後側取り付け端部には応力が集中するため、特許文献1、2に紹介されているサイドバイザーは庇部材自体の強度に劣り、窓枠に対する取り付け作業性にも劣る問題もある。
【0008】
特許文献3には、立壁状をなす前側取り付け端部および後側取り付け端部を折り返して、窓枠に対する取り付け面積を大きくしたサイドバイザーが紹介されている。しかしこのようなサイドバイザーにおいても、庇部材自体の強度に劣り、窓枠に対する取り付け作業性にも劣る問題は解消されていない。
【0009】
立壁状をなす前側取り付け端部および後側取り付け端部を厚肉にすれば、前側取り付け端部および後側取り付け端部の窓枠に対する取り付け面積を充分に確保できると考えられる。しかしこの場合、サイドバイザーを樹脂製にすると、前側取り付け端部および後側取り付け端部にヒケが生じるため、意匠性に優れたサイドバイザーを得難い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公平6−29061号公報
【特許文献2】実公平6−29062号公報
【特許文献3】特開2001−301459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、意匠性に優れ、かつ、
窓枠への取り付け強度および取り付け作業性にも優れるサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明のサイドバイザーは、車体のサイドドアの窓枠に取り付けられるサイドバイザーであって、
該サイドバイザーを該窓枠に取り付けた取り付け状態において該窓枠の上縁に沿って配置される庇部材と、
該取り付け状態において該窓枠と該庇部材との間に配置される取り付け部材と、
該取り付け部材と該庇部材とを該窓枠に固着する接着部材と、を備え、
該庇部材は、該取り付け状態において該窓枠の上縁に対向するフランジ部と、該フランジ部から車体外方に向けて突出し該取り付け状態において該フランジ部よりも下方に配置される庇部と、該庇部のなかで該取り付け状態において車両進行方向の前端側および/または後端側に位置する庇端部の裏面に形成されているリブ部と、を持ち、
該取り付け部材は、該リブ部と係合する係合凹部と、該庇端部に向けて開口し該取り付け状態において該係合凹部よりも下方に配置される肉抜き凹部と、を持ち、該庇端部の裏面に取り付けられ、
該接着部材は、該フランジ部の裏面と、該取り付け部材の裏面と、該取り付け部材の表面と該庇端部の裏面との間と、にそれぞれ固着されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のサイドバイザーは、下記の(1)〜(5)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(5)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記庇部材は透明材または半透明材からなり、前記フランジ部の裏面と前記庇端部の裏面とは塗装されている。
(2)前記肉抜き凹部は、前記取り付け状態において、前記庇端部に向けて開口するとともに、下方に向けても開口する溝状をなす。
(3)前記庇部は、前記フランジ部との境界に位置し傾斜形状をなす境界部を持ち、
前記取り付け部材は、前記取り付け状態において前記庇端部における該境界部の裏面側に配置され該境界部と対応した傾斜形状をなす傾斜部を持ち、
前記リブ部は該境界部の裏面に形成され、前記係合凹部は該傾斜部に形成されている。
(4)前記サイドバイザーは、フロントサイドドアの窓枠に取り付けられるフロントサイドバイザーであり、
前記庇端部は、前記取り付け状態において車両進行方向の後側に位置する。
(5)前記サイドバイザーは、リアサイドドアの窓枠に取り付けられるリアサイドバイザーであり、
前記庇端部は、前記取り付け状態において車両進行方向の前側に位置する。
上記課題を解決する本発明のサイドバイザーユニットは、上記(4)のフロントサイドバイザーと上記(5)のリアサイドバイザーとを含むことを特徴とする。 本発明のサイドバイザーユニットの前記フロントサイドバイザーにおける前記庇部の表面と、前記リアサイドバイザーにおける前記庇部の表面と、は前記取り付け状態において略面一に配置されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットにおいて、庇部材の庇端部と窓枠との間には取り付け部材および接着部材が介在する。庇端部は、取り付け部材および接着部材を介して窓枠に取り付けられる。このため、庇端部、取り付け部材および接着部材は、上述した従来のサイドバイザーにおける前側取り付け端部および/または後側取り付け端部に相当する。庇端部はフランジ状や立壁状ではなく、庇部の一部である。このため、本発明のサイドバイザーは意匠性に優れる。また、庇端部がフランジ状や立壁状ではなく、庇部の一部であるため、本発明のサイドバイザーユニットにおけるフロントサイドバイザーとリアサイドバイザーとは、連続性をもって視認される。よって本発明のサイドバイザーユニットは意匠性に優れる。さらに、庇端部が庇部の一部であることから、本発明のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは強度に優れ、取り付け作業性にも優れる。
【0015】
また、取り付け部材の表面および裏面は充分な大きさにできるため、サイドバイザーおよびサイドバイザーユニットの窓枠への取り付け面積を充分に大きくできる。さらに、取り付け部材に肉抜き凹部を設けたことで、取り付け部材を軽量化でき、窓枠に対するサイドバイザーの取り付け強度を高めることができる。このため本発明のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、窓枠に対する取り付け強度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のサイドバイザーを模式的に表す要部拡大側面図である。
【図2】実施例1のリアサイドバイザーを模式的に表す断面図である。
【図3】実施例1のサイドバイザーを模式的に表す断面図である。
【図4】実施例2のサイドバイザーを模式的に表す断面図である。
【図5】実施例3のサイドバイザーを模式的に表す断面図である。
【図6】実施例4のサイドバイザーを模式的に表す断面図である。
【図7】従来のサイドバイザーを模式的に表す説明図である。
【図8】従来のサイドバイザーを模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のサイドバイザーにおける庇部材は、二つの庇端部を持っても良いし、一つのみの庇端部を持っても良い。換言すると、庇部材のなかで取り付け状態における車両進行方向の両端部が庇端部であっても良いし、一端部のみが庇端部であっても良い。
【0018】
本発明のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、接着部材以外に、窓枠への取り付け手段を持っても良い。庇部材は、例えば、両面テープ等の接着部材のみによって窓枠に取り付けることもできるし、接着部材に加えてクリップ等の取り付け手段によって窓枠に取り付けることもできる。
【0019】
庇部材の材料は特に問わないが、耐候性、質量および製造コストを考慮するとアクリル、ポリカーボネイト等の樹脂製であるのが好ましい。
【0020】
接着部材は、庇部材と取り付け部材とを窓枠に固着できれば良く、その材料は特に問わないが、製造の容易さと取り付け作業性を考慮すると両面テープであるのが好ましい。
【0021】
取り付け部材は、一つのみの肉抜き凹部を持っても良いし、複数の肉抜き凹部を持っても良い。肉抜き凹部は、接着部材が接着される面のうちいずれか一方の面を貫通しない行き止まり穴状であっても良いし、貫通穴状であっても良いが、窓枠への取り付け面積を考慮すると、行き止まり穴状であるのが好ましい。なお、ここでいう穴とは溝を含む概念であり、その断面形状は特に問わない。
【0022】
取り付け部材の材料は特に問わないが、耐候性、質量および強度を考慮すると、AES樹脂、アクリル、PP等を選択するのが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットを具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1のサイドバイザーを模式的に表す要部拡大側面図を図1に示す。実施例1のサイドバイザーを図1中B−B位置で切断した様子を模式的に表す断面図を図2に示す。実施例1のサイドバイザーを図1中A−A位置で切断した様子を模式的に表す断面図を図3に示す。以下、上、下、前、後、外、内、とは図1〜3に示す上、下、前、後、外、内を指す。なお、前とは車両進行方向の前側を指し、後とは車両進行方向の後側を指す。外とは車体外側を指し、内とは車体側を指す。さらに、各部材の裏面とは取り付け状態において内側に配置される面であり、各部材の表面とは取り付け状態において外側に配置される面である。
【0024】
図1、3に示すように、実施例1のサイドバイザーユニットは、フロントサイドバイザー1とリアサイドバイザー2とを備える。フロントサイドバイザー1およびリアサイドバイザー2は、それぞれ、本発明のサイドバイザーに相当する。以下、フロントサイドバイザー1とリアサイドバイザー2とを総称してサイドバイザーと略する。
【0025】
実施例1のサイドバイザーは、庇部材3と、取り付け部材4と、接着部材5と、クリップ(図略)とを備える。クリップは、窓枠9に設けられたクリップ穴(図略)に係合する。
【0026】
庇部材3は、透明材であるアクリル樹脂を材料として射出成形されている。庇部材3は、長尺板状をなし、図7に示す従来のサイドバイザーにおける庇部材3と同様に、取り付け状態において窓枠9の上縁に沿って配置される。
詳しくは、図2に示すように、庇部材3は、フランジ部30と、庇部31と、リブ部32と、を持つ。フランジ部30は、前後方向に沿って延びる帯状をなし、取り付け状態において窓枠9の上縁に対向する。庇部31は、取り付け状態において、フランジ部30よりも下方に配置される。庇部31の上端部はフランジ部30に一体化されている。庇部31の下端部は、フランジ部30から車体外方かつ下方に向けて突出する。したがって、取り付け状態において、庇部31と窓枠9とは離間する。
図1に示すように、フランジ部30の裏面には、クリップ座39が設けられている。クリップ座39には図略のクリップが取り付けられる。
【0027】
庇部31のなかでフランジ部30との境界に位置する部分(境界部33)は傾斜し、庇部31の下側部分とフランジ部30とを滑らかに接続している。
図1に示すように、フロントサイドバイザー1の庇部31のなかで後端側に位置する部分はフロントサイドバイザー1の庇端部35(35a)を構成している。リアサイドバイザー2の庇部31のなかで前端側に位置する部分はリアサイドバイザー2の庇端部35(35b)を構成している。図1、2に示すように、各庇端部35における境界部33の裏面上側には、突状のリブ部32が形成されている。図3に示すように、庇部材3のなかで庇端部35よりもさらに端側の部分は、内側に向けて突出する立壁状の覆い部36を構成している。覆い部36の表面は庇端部35の表面と鋭角に交差している。このため庇部材3用の成形型の型割り線(PL)は、図3に示す矢印位置に形成されている。庇部材3におけるフランジ部30の裏面と庇端部35の裏面とは、黒色塗装されている。
取り付け部材4は、AES樹脂製であり、射出成形されてなる。図1、2に示すように、取り付け部材4は、短冊状をなし、取り付け状態において長手方向を上下に向け、窓枠9と庇端部35との間に配置される。取り付け部の上側部分は、先細り形状をなす傾斜部40を構成している。傾斜部40の表面は、境界部33の裏面と対応した傾斜面状をなす。取り付け状態において、傾斜面は境界部33の裏面側に配置される。傾斜部40には、係合凹部41が形成されている。係合凹部41は、傾斜部40の裏面に開口する行き止まり穴状をなす。係合凹部41は、取り付け状態において庇部材3のリブ部32と係合する。取り付け部材4における係合凹部41の下側には、溝状をなす肉抜き凹部42が形成されている。肉抜き凹部42は、内側下方から外側上方に向けて延びる行き止まり穴であり、内側上方から外側下方に向けて延在している。肉抜き凹部42は、取り付け部材4の表面と下面とに開口している。
【0028】
実施例1のサイドバイザーユニットにおけるフロントサイドバイザー1およびリアサイドバイザー2は、それぞれ、3つの接着部材5(第1の接着部材51、第2の接着部材52、第3の接着部材53)を持つ。各接着部材5は両面テープからなる。第1の接着部材51の一方の接着面は、取り付け部材4の表面に固着されている。第1の接着部材51の他方の接着面は、庇端部35の裏面に固着されている。第2の接着部材52の一方の接着面は、フランジ部30の裏面に固着されている。第2の接着部材52の他方の接着面は、取り付け状態において窓枠9の上縁に固着される。第3の接着部材53の一方の接着面は、取り付け部材4の裏面に固着されている。第3の接着部材53の他方の接着面は、取り付け状態において窓枠9の側縁に固着される。第1の接着部材51、第2の接着部材52および第3の接着部材53によって、取り付け部材4と庇部材3とが一体化され、かつ、取り付け部材4と庇部材3とが窓枠9に固着される。
【0029】
実施例1のサイドバイザーにおける庇部材3、取り付け部材4および接着部材5を一体化する際には、先ず、取り付け部材4の表面下側に第1の接着部材51を固着するとともに取り付け部材4の裏面に第3の接着部材53を固着する。次いで、庇部材3のリブ部32を取り付け部材4の係合凹部41に挿入して取り付け部材4を庇部材3に対して位置決めしつつ、取り付け部材4を庇部材3に向けて押圧する。取り付け部材4の表面には肉抜き凹部42が設けられているため、肉抜き凹部42が設けられていない裏面に比べて取り付け面積は小さい。しかし取り付け部材4は比較的小型であるために、充分な押圧荷重をもって庇部材3に向けて押圧できる。このため取り付け部材4と庇部材3とは、第1の接着部材51によって強度高く固着される。その後、第2の接着部材52を庇部材3のフランジ部30の裏面に固着する。以上の工程で、実施例1のサイドバイザーが得られる。
なお、このとき、第2の接着部材52の一方の接着面はフランジ部30の裏面に固着され、第3の接着部材53の一方の接着面は取り付け部材4の裏面に固着されるが、第2の接着部材52の他方の接着面、および第3の接着部材53の他方の接着面は保護材(図略)で覆われたままである。このため、実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、取扱い性に優れる。実施例1のサイドバイザーを窓枠9に取り付ける際には、第2の接着部材52の他方の接着面、および、第3の接着部材53の他方の接着面から保護材を取り去り、サイドバイザーを窓枠9に向けて押圧することで、第2の接着部材52を窓枠9の上縁に固着し、第3の接着部材53を窓枠9の側縁に固着する。サイドバイザーは長尺材であり嵩張るが、フランジ部30の裏面および取り付け部材4の裏面には充分な取り付け面積が確保されているため、窓枠9に強度高く固着できる。
【0030】
実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットにおいて、庇部材3と窓枠9との間には取り付け部材4が介在する。取り付け部材4は庇部31に固着されるため、庇部材3の前端部および後端部には段差状の部分を設けなくて良い。このため実施例1のサイドバイザーは意匠性に優れる。また、庇部材3の前端部および後端部には段差状の部分を設けなくて良いために、フロントサイドバイザー1とリアサイドバイザー2とは、連続性をもって視認される。このため実施例1のサイドバイザーユニットは意匠性に優れる。なお、フロントサイドバイザー1における庇部31の表面とリアサイドバイザー2における庇部31の表面とは、取り付け状態において略面一である。このため実施例1のサイドバイザーユニットにおけるフロントサイドバイザー1とリアサイドバイザー2とは、さらに連続性をもって視認される。
【0031】
また、庇部材3の庇端部35と窓枠9との間には取り付け部材4が介在するため、実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットにおける窓枠9への取り付け面積は、充分な大きさである。このため実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、窓枠9に対する取り付け強度に優れる。
また、取り付け部材4を庇部材3と窓枠9との間に介在させるとともに庇部材3の庇部31に固着することで、従来のサイドバイザーのように立壁状の前側取り付け端部および後側取り付け端部を設ける場合に比べて、サイドバイザー自体の強度にも優れる。
【0032】
また、取り付け部材4に肉抜き凹部42を設けたことで、取り付け部材4を軽量化でき、取り付け部材4の自重による接着部材5への負荷を軽減できるために、窓枠9に対するサイドバイザーの取り付け強度をさらに向上できる。なお、上述したように肉抜き凹部42は取り付け部材4の表面(すなわち庇端部35に対向する面)に形成されているため、取り付け部材4は庇部材3に強度高く固着できる。
さらに、庇部材3におけるフランジ部30の裏面および庇端部35の裏面が塗装されているために、接着部材5および取り付け部材4は車体外方から視認され難い。さらに取り付け部材4の側面は覆い部36によって覆われている。このため、取り付け部材4は外部から視認され難い。このことによっても、実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、意匠性に優れる。
【0033】
(実施例2)
実施例2のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、覆い部の形状、取り付け部材の形状および接着部材の個数以外は実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットとほぼ同じものである。実施例2のサイドバイザーを図1中A−A位置と同位置で切断した様子を模式的に表す断面図を図4に示す。
【0034】
実施例2のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットにおける覆い部36の表面は、庇端部35の表面と鈍角に交差している。このため庇部材3用の成形型の型割り線(PL)は、図4に示す矢印位置に形成されている。
【0035】
取り付け部材4における覆い部36側の端面は、覆い部36に対応する傾斜面状をなす。取り付け部材4と覆い部36とは、両面テープからなる第4の接着部材54によって固着されている。
【0036】
実施例2のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーと同様に、意匠性に優れ、窓枠9への取り付け強度に優れ、サイドバイザーおよびサイドバイザーユニット自体の強度にも優れる。
【0037】
(実施例3)
実施例3のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、覆い部を持たないこと以外は実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットとほぼ同じものである。実施例3のサイドバイザーを図1中A−A位置と同位置で切断した様子を模式的に表す断面図を図5に示す。
【0038】
実施例3のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは覆い部を持たず、庇部材3用の成形型の型割り線(PL)は、図5に示す矢印位置に形成されている。
【0039】
取り付け部材4の側端面は、庇端部35の側端面と略面一である。このため、取り付け部材4と庇部材3とは一体感を持って視認される。したがって、実施例3のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは覆い部を持たないが、意匠性に優れる。
【0040】
(実施例4)
実施例4のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットは、フロントサイドバイザーが覆い部を持たないことと、リアサイドバイザーにおける覆い部の形状以外は、実施例1のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットとほぼ同じものである。実施例4のサイドバイザーを図1中A−A位置と同位置で切断した様子を模式的に表す断面図を図6に示す。
【0041】
実施例4のフロントサイドバイザー1は覆い部を持たず、リアサイドバイザー2の覆い部36の表面は、庇端部35の表面と鈍角に交差している。庇部材3用の成形型の型割り線(PL)は、図6に示す矢印位置に形成されている。
【0042】
フロントサイドバイザー1において、取り付け部材4の側端面は前側に傾斜し、庇端部35の側端面の前側に隠されている。このため、フロントサイドバイザー1における取り付け部材4と庇部材3とは一体感をもって視認される。また、リアサイドバイザー2は覆い部36を持ち、リアサイドバイザー2の取り付け部材4は覆い部36で隠されている。したがって、実施例5のサイドバイザーおよびサイドバイザーユニットもまた、意匠性に優れる。
【符号の説明】
【0043】
1:サイドバイザー(フロントサイドバイザー)
2:サイドバイザー(リアサイドバイザー)
3:庇部材 30:フランジ部 31:庇部
32:リブ部 33:境界部 35:庇端部
4:取り付け部材 40:傾斜部 41:係合凹部
42:肉抜き凹部 5:接着部材 9:窓枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のサイドドアの窓枠に取り付けられるサイドバイザーであって、
該サイドバイザーを該窓枠に取り付けた取り付け状態において該窓枠の上縁に沿って配置される庇部材と、
該取り付け状態において該窓枠と該庇部材との間に配置される取り付け部材と、
該取り付け部材と該庇部材とを該窓枠に固着する接着部材と、を備え、
該庇部材は、該取り付け状態において該窓枠の上縁に対向するフランジ部と、該フランジ部から車体外方に向けて突出し該取り付け状態において該フランジ部よりも下方に配置される庇部と、該庇部のなかで該取り付け状態において車両進行方向の前端側および/または後端側に位置する庇端部の裏面に形成されているリブ部と、を持ち、
該取り付け部材は、該リブ部と係合する係合凹部と、該庇端部に向けて開口し該取り付け状態において該係合凹部よりも下方に配置される肉抜き凹部と、を持ち、該庇端部の裏面に取り付けられ、
該接着部材は、該フランジ部の裏面と、該取り付け部材の裏面と、該取り付け部材の表面と該庇端部の裏面との間と、にそれぞれ固着されていることを特徴とするサイドバイザー。
【請求項2】
前記庇部材は透明材または半透明材からなり、
前記フランジ部の裏面と前記庇端部の裏面とは塗装されている請求項1に記載のサイドバイザー。
【請求項3】
前記肉抜き凹部は、前記取り付け状態において、前記庇端部に向けて開口するとともに、下方に向けても開口する溝状をなす請求項1または請求項2に記載のサイドバイザー。
【請求項4】
前記庇部は、前記フランジ部との境界に位置し傾斜形状をなす境界部を持ち、
前記取り付け部材は、前記取り付け状態において前記庇端部における該境界部の裏面側に配置され該境界部と対応した傾斜形状をなす傾斜部を持ち、
前記リブ部は該境界部の裏面に形成され、前記係合凹部は該傾斜部に形成されている請求項1〜請求項3の何れか一つに記載のサイドバイザー。
【請求項5】
前記サイドバイザーは、フロントサイドドアの窓枠に取り付けられるフロントサイドバイザーであり、
前記庇端部は、前記取り付け状態において車両進行方向の後側に位置する請求項1〜請求項4の何れか一つに記載のサイドバイザー。
【請求項6】
前記サイドバイザーは、リアサイドドアの窓枠に取り付けられるリアサイドバイザーであり、
前記庇端部は、前記取り付け状態において車両進行方向の前側に位置する請求項1〜請求項4の何れか一つに記載のサイドバイザー。
【請求項7】
請求項5に記載のフロントサイドバイザーと請求項6に記載のリアサイドバイザーとを含むことを特徴とするサイドバイザーユニット。
【請求項8】
前記取り付け状態において、前記フロントサイドバイザーにおける前記庇部の表面と、前記リアサイドバイザーにおける前記庇部の表面と、は略面一に配置される請求項7に記載のサイドバイザーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−251576(P2011−251576A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125007(P2010−125007)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)