説明

サックレインカバー

【課題】 リュックサックなどに被せることにより、背当て部も雨に濡れないサックレインカバーを提供する。
【解決手段】 このサックレインカバー10は、防水シートで袋状に形成された袋状部12と、袋状部12に形成されるリュックサック4の肩ひも5a,5bを出し入れするための2つの挿入孔18,20と、挿入孔18,20が開閉できるように袋状部12に形成される開閉部材26とを含み、袋状部12内にリュックサック4を収納し開閉部材26で挿入孔18,20を閉じたとき挿入孔18,20の両端部にリュックサック4の肩ひも5a,5bを出すための貫通孔30,32が形成されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、サックレインカバーに関し、特に、たとえばリュックサックなどが雨で濡れないように被せられるサックレインカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来のサックレインカバーをリュックサックに被せた状態を示す図解図である。サックレインカバー1は、撥水加工をした合成樹脂シートなどによって形成される袋状部2を含む。袋状部2の開口部においては、その端部が折り曲げられて縫い合わされ、開口部の周囲にトンネル状の縁部3が形成される。この縁部3の内部に、ゴムひもなどが入れられて、開口部の周囲が伸縮可能に形成される。
【0003】
このサックレインカバー1が、リュックサック4に被せられる。このとき、リュックサック4の肩ひも5a,5bが露出するようにして、袋状部2が被せられる。サックレインカバー1の開口部の周囲は伸縮可能に形成されているため、リュックサック4の背当て部6に縁部3が密着し、雨でリュックサック4が濡れないようにすることができる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなサックレインカバー1では、リュックサック4の肩ひも5a,5bを露出させなければならないため、肩ひも5a,5bが形成された部分内側は、サックレインカバー1で覆われていない。そのため、リュックサック4を背負ったとき、リュックサック4と背中との間に雨が入り込み、リュックサック4の背当て部6が濡れてしまう。
【0005】
それゆえに、この考案の主たる目的は、リュックサックなどに被せることにより、背当て部も雨に濡れないサックレインカバーを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この考案は、防水シートで形成された袋状部と、袋状部に形成される2つのスリットと、スリットが開閉できるように袋状部に形成される開閉部材とを含み、開閉部材でスリットを閉じたとき、スリットの両端部にサックの肩ひもを出すための貫通孔が形成される、サックレインカバーである。
このようなサックレインカバーにおいて、サックの肩ひもに密着するように、貫通孔の周囲が伸縮可能に形成される。
また、袋状部のスリット形成面の反対側に、光を反射するための反射材が形成されてもよい。
さらに、袋状部のスリット形成面の反対側に、袋状部を開閉するための別の開閉部材が形成されてもよい。
また、袋状部の開口部を開閉するために、開口部の周囲に開閉用ひもが取り付けられる。
【0007】
【考案の効果】
この考案の請求項1のサックレインカバーによれば、袋状部内にサックを収納し、開閉部材で挿入孔を閉じたとき、挿入孔の両端部にサックの肩ひもを出すための貫通孔が形成されており、サック全体を防水シートで袋状に形成された袋状部によって被覆することができるので、リュックサック等に被せることにより、背当て部も雨に濡れることがない。
この考案の請求項2および請求項3のサックレインカバーによれば、貫通孔の周囲を伸縮可能にしておくことにより、肩ひもに貫通孔の周囲が密着し、雨が入り込むことを防止することができる。
この考案の請求項4のサックレインカバーによれば、袋状部の開口部の周囲に開閉用ひもを取り付けることにより、サックレインカバーをリュックサックに被せて開口部を閉じることができ、リュックサックが外部に露出しないようにすることができる。
この考案の請求項5のサックレインカバーによれば、袋状部をサックの略全体を被覆するように形成し、行き止まりの天頂部と、前記天頂部に続く胴部と、前記胴部の天頂部とは反対側に形成された開口部とを備えるようにすれば、サックの略全体を被覆することができ、リュックサック等に被せることにより、背当て部も雨に濡れることがない。
この考案の請求項6のサックレインカバーによれば、袋状部にスリットが形成されることにより、スリットからリュックサックなどの肩ひもを露出させることができる。この状態で、開閉部材によってスリットを閉じれば、スリットの両端に形成される貫通孔から露出し、肩ひも以外の部分は袋状部で覆われる。
この考案の請求項7のサックレインカバーによれば、挿入孔を、その孔縁を構成する一方の口部と、前記口部と対向して前記口部の内側に形成された向部とを備えるようにすれば、挿入孔が閉じたとき、口部と向部とにより、ほぼ完全に密閉することができるので、袋状部の内部に雨水がしみ込むことが少ない。
この考案の請求項8ないし請求項11のサックレインカバーによれば、挿入孔の孔縁に形成された開閉部材は、パイルを利用した離着自在のテープからなる面ファスナーであって、面ファスナーは、挿入孔が閉鎖されるように、挿入孔の孔縁であって、挿入孔の両端に形成された一方の貫通孔の近傍から他方の貫通孔の近傍に亘って連続して設けられるようにすれば、開閉部材付近から袋状部内に雨水が浸入することが少ない。
この考案の請求項12のサックレインカバーによれば、袋状部のスリット形成面の反対側に、反射材を形成することにより、夜間などに自動車のヘッドライトの光を反射させることができ、運転手に自分の存在を気付かせることができる。
この考案の請求項13のサックレインカバーによれば、袋状部のスリット形成面の反対側に開閉部材を形成し、袋状部を開閉できるようにしておけば、サックレインカバーを被せた状態で、開閉部材を開くことにより、リュックサックに荷物を出し入れすることができる。
この考案の請求項14のサックレインカバーによれば、サック全体を防水シートで袋状に形成された袋状部によって被覆することができるので、リュックサック等に被せることにより、背当て部も雨に濡れることがない。
【0008】
この考案の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の考案の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0009】
【考案の実施の形態】
図1は、この考案の一実施の形態であるリュックサック用サックレインカバーの背面図解図であり、図2は、図1図示サックレインカバーの斜視図解図であり、図3は、図1図示サックレインカバーの正面図解図であり、図4は、図1図示サックレインカバーの横断面図解図である。図5および図6は、図1図示サックレインカバーの使用方法を示す図解図であり、図7は、図1図示サックレインカバーをサックに被せ、人が背負った状態を示す図解図である。
サックレインカバー10は、リュックサック4の略全体を覆うように防水シートで形成された袋状部12を含む。防水シートとしては、たとえば撥水加工が施されたポリエステルを表地とし、その裏にアルミニウムなどを積層したものが用いられる。
【0010】
袋状部12は、リュックサック4の袋全体を被覆するように、袋状に形成されており、行き止まりの天頂部14と、前記天頂部14に続く胴部16と、前記天頂部14とは反対側の胴部16の下部に形成された開口部36とを備える。胴部16は、背側部分の背当て部16aと前側部分の前方部16bとが縫い目16cにおいて縫い合わされて袋状に形成されているが、背当て部16a部分は、略平坦な形状で、前方部16b部分が膨出した形状となっている。そして、前方部16bの天頂部14部分には、布地を細かく縫い縮めたギャザ16dが形成され、リュックサック4の膨らみに対応してリュックサック4を収納し易くしている。
【0011】
前記袋状部12の胴部16における背当て部16aには、リュックサック4の肩ひも5a,5bを出し入れするために、上下に一定の距離を置いて分かれて形成された2つの挿入孔18および挿入孔20が形成される。この挿入孔18および挿入孔20は、一方の挿入孔18が、リュックサック4の肩ひもを構成する右肩側の肩ひも5aを挿入するもので、もう一方の挿入孔20が、リュックサック4の肩ひもを構成する左肩側の肩ひも5bを挿入するものである。
【0012】
前記挿入孔18および挿入孔20は、前記袋状部12の内部に収容されたリュックサック4の肩ひも5a,5bの一端と他端とにかけてスリット状に設けられ、その孔縁を構成する一方の口部22と、前記口部22と対向して前記口部22の内側に形成された向部24とを備える。
【0013】
前記挿入孔18および挿入孔20は、それぞれがいずれもリュックサック4の肩ひも5a,5bを出し入れするときに開閉できるように、前記袋状部12に形成される開閉部材26を含む。
挿入孔18および挿入孔20の孔縁に形成された開閉部材26は、パイルを利用した離着自在のテープからなる面ファスナーであって、挿入孔18および挿入孔20の孔縁を構成する一方の口部22には、面ファスナーを構成する一方の面ファスナー部材28aが付着され、挿入孔18および挿入孔20の孔縁を構成する他方の向部24には、面ファスナーを構成する他方の面ファスナー部材28bが付着されている。
この面ファスナー部材28aおよび面ファスナー部材28bとは、それぞれを合わせて係合させることにより、挿入孔18および挿入孔20が閉鎖されるように形成されている。
【0014】
前記袋状部12内にリュックサック4を収納し、前記開閉部材26で前記挿入孔18および挿入孔20を閉じたとき、前記挿入孔18および挿入孔20の両端部に、リュックサック4の肩ひも5a,5bを出すための貫通孔30および貫通孔32が形成される。
貫通孔30は、リュックサック4の肩ひも5a,5bをサック本体に連結するための上端部を出すためのもので、他方の貫通孔32は、リュックサック4の肩ひも5a,5bをサック本体に連結するための下端部を出すためのものである。
前記貫通孔30および貫通孔32の周囲は、前記リュックサック4の肩ひも5a,5bに密着するように、伸縮可能に形成されている。この実施の形態においては、ゴムひも等の弾性体が貫通孔30および貫通孔32の周囲に形成された挿入孔に貫挿されて、貫通孔30および貫通孔32の周囲が伸縮自在となるように形成されている。
【0015】
挿入孔18および挿入孔20は、袋状部12の内部に収容されたリュックサック4の肩ひも5a,5bの一端と他端とにかけてスリット状に設けられ、前記挿入孔18および挿入孔20の孔縁に形成された開閉部材26を構成する面ファスナー部材28aおよび面ファスナー部材28bは、挿入孔18および挿入孔20が閉鎖されるように、挿入孔18および挿入孔20の孔縁であって、挿入孔18および挿入孔20の両端に形成された一方の貫通孔30の近傍から他方の貫通孔32の近傍にわたって連続して設けられている。
【0016】
袋状部12は、開口部36を開閉するために、前記開口部36の周囲に開閉用ひも34が取り付けられている。開閉用ひも34は、開口部36の周囲に連続して形成された開閉用ひも34を挿通する孔に貫挿されており、該孔より引き出すことにより開口部36を締めることができる。
【0017】
袋状部12は、リュックサック4の天頂部を被覆するように行き止まり状に形成された袋状の天頂部14と、前記天頂部14とは反対側であって、リュックサック4の底部側にリュックサック4を出し入れするための開口部36が形成され、前記天頂部14に続く胴部16において、リュックサック4の背当て部6に対応して設けられた背当て部16aには、リュックサック4の背当て部6に連結された左右の肩ひも5a,5bの間隔にほぼ対応した、左右一対の挿入孔18および挿入孔20が設けられている。
そして、前記袋状部12の前記挿入孔18および挿入孔20が形成された面とは反対側の胴部16の全面に、光を反射するための反射材38が付着されている。
また、袋状部12の前記挿入孔18および挿入孔20が形成された面とは反対側に収納口40が形成され、前記収納口40の周囲に前記袋状部12を開閉するための別の開閉部材42が形成されている。この開閉部材42は、両側に金属やプラスチックの細かい歯をたくさん植付け、それを挟んだ中央の器具を左右に滑らせて開閉する、いわゆるファスナーをもって構成されている。
【0018】
また、このサックレインカバーは、図8および図9に示すように、ランドセルや比較的小さなリュックサック用に、袋状部112全体をランドセルや比較的小さなリュックサックにあわせた大きさとした、サックレインカバー110としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施の形態であるリュックサック用サックレインカバーの背面図解図である。
【図2】図1図示サックレインカバーの斜視図解図である。
【図3】図1図示サックレインカバーの正面図解図である。
【図4】図1図示サックレインカバーの横断面図解図である。
【図5】図1図示サックレインカバーの使用方法を示す図解図である。
【図6】図1図示サックレインカバーの使用方法を示す図解図である。
【図7】図1図示サックレインカバーをサックに被せ、人が背負った状態を示す図解図である。
【図8】図1図示サックレインカバーの変形例を示す斜視図解図である。
【図9】図8図示サックレインカバーをサックに被せ、人が背負った状態を示す図解図である。
【図10】従来のサックレインカバーを示す図解図である。
【符号の説明】
4 リュックサック
5a,5b 肩ひも
6 (リュックサックの)背当て部
10,110 サックレインカバー
12,112 袋状部
14 天頂部
16 胴部
16a 背当て部
16b 前方部
16c 縫い目
16d ギャザ
18 挿入孔
20 挿入孔
22 口部
24 向部
26 開閉部材
28a 面ファスナー部材
28b 面ファスナー部材
30 貫通孔
32 貫通孔
34 開閉用ひも
36 開口部
38 反射材
40 収納口
42 開閉部材

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 防水シートで袋状に形成された袋状部、前記袋状部に形成されるサックの肩ひもを出し入れするための2つの挿入孔、および前記挿入孔が開閉できるように前記袋状部に形成される開閉部材を含み、前記袋状部内にサックを収納し前記開閉部材で前記挿入孔を閉じたとき、前記挿入孔の両端部にサックの肩ひもを出すための貫通孔が形成される、サックレインカバー。
【請求項2】 前記サックの肩ひもに密着するように、前記貫通孔の周囲が伸縮可能に形成される、請求項1に記載のサックレインカバー。
【請求項3】 ゴム等の弾性体が貫通孔の周囲に付着された、請求項1または請求項2に記載のサックレインカバー。
【請求項4】 前記袋状部の開口部を開閉するために前記開口部の周囲に取り付けられる開閉用ひもを含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項5】 袋状部は、サックの略全体を被覆するように袋状に形成され、行き止まりの天頂部と、前記天頂部に続く胴部と、前記胴部の天頂部とは反対側に形成された開口部とを備える、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項6】 挿入孔は、袋状部の内部に収容されたサックの肩ひもの一端と他端とにかけてスリット状に設けられた、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項7】 挿入孔は、その孔縁を構成する一方の口部と、前記口部と対向して前記口部の内側に形成された向部とを備える、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項8】 挿入孔の孔縁に形成された開閉部材は、パイルを利用した離着自由のテープからなる面ファスナーである、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項9】 挿入孔の孔縁を構成する一方の口部には、面ファスナーを構成する一方の面ファスナー部材が付着された、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項10】 挿入孔の孔縁を構成する他方の向部は、袋状部の胴部の左右端縁側より内側に向けて突き出し設けられ、その表面には、面ファスナーを構成する他方の面ファスナー部材が付着された、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項11】 面ファスナーは、挿入孔が閉鎖されるように、挿入孔の孔縁であって、挿入孔の両端に形成された一方の貫通孔の近傍から他方の貫通孔の近傍に亘って連続して設けられた、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項12】 前記袋状部の前記挿入孔形成面の反対側に、光を反射するための反射材が形成された、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項13】 前記袋状部の前記挿入孔形成面の反対側に収納口が形成され、前記収納口の周囲に前記袋状部を開閉するための別の開閉部材が形成された、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項14】 袋状部は、防水シートで形成され、袋状の天頂部は、サックの天頂部を被覆するように行き止まり状に形成され、前記天頂部とは反対側であってサックの底部側にサックを出し入れするための開口部が形成され、前記袋状部の天頂部に続く胴部においてサックの背当て部に対応して設けられた背当て部には挿入孔が設けられた、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のサックレインカバー。
【請求項15】 袋状部は、背側部分の背当て部と前側部分の前方部とが縫い目において縫い合わされ、前記背当て部が略平坦な形状で前方部が膨出した形状である、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のサックレインカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【登録番号】実用新案登録第3090092号(U3090092)
【登録日】平成14年9月4日(2002.9.4)
【発行日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【考案の名称】サックレインカバー
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−2901(U2002−2901)
【出願日】平成14年5月20日(2002.5.20)
【出願人】(502179293)紀宏商事株式会社 (1)