サッシ
【課題】 壁躯体3に対する工事を減らして、工期の短縮及び工費の低減を図ること、及び室外Ouの騒音が換気ガラリ43及び換気レジスタ45を経由して室内Inに侵入することを十分に抑制すること。
【解決手段】 サッシ枠7内にエアコンの配管25を収容するボックス27が障子21,23と隣接するように設けられ、ボックス27の上部にエアコンの配管25を挿通可能なインナー配管穴31が形成され、蓋部材39がボックス27のボックス開口部29を塞ぐように設けられ、蓋部材39の下部にエアコンの配管25を挿通可能なアウター配管穴41が形成され、蓋部材39にアウター換気具43が設けられ、ボックス27にアウター換気具43に対して上下に離隔したインナー換気具45が設けられたこと。
【解決手段】 サッシ枠7内にエアコンの配管25を収容するボックス27が障子21,23と隣接するように設けられ、ボックス27の上部にエアコンの配管25を挿通可能なインナー配管穴31が形成され、蓋部材39がボックス27のボックス開口部29を塞ぐように設けられ、蓋部材39の下部にエアコンの配管25を挿通可能なアウター配管穴41が形成され、蓋部材39にアウター換気具43が設けられ、ボックス27にアウター換気具43に対して上下に離隔したインナー換気具45が設けられたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション、一般住宅等の建築物に用いられるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の建築物における壁躯体の躯体開口部の周辺構造は、次のようになっている。
【0003】
即ち、前記壁躯体の躯体開口部には、サッシが設置されており、このサッシは、前記躯体開口部に設けられた長方形状のサッシ枠と、このサッシ枠に設けられた一対の障子とを具備している。また、前記壁躯体における前記サッシの近傍には、室外と室内を連通する換気用の穴が形成されており、この換気用の穴の室外側には、室外から前記換気用の穴へ外気を取入れるアウター換気具が設けられてあって、前記換気用の穴の室内側には、前記換気用の穴から室内へ外気を送るインナー換気具が設けられている。更に、前記壁躯体における前記サッシの近傍には、エアコンの配管を挿通可能な配管用の穴が形成されている。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1、特許文献2に示すものがある。
【特許文献1】特開2003−41859号公報
【特許文献2】特開2000−220363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように、室外と室内を連通させるためには、前記壁躯体に前記換気用の穴を加工することが必要であって、室外と室内に亘って前記エアコンの配管を介在させるためには、前記壁躯体に前記配管用の穴を加工することが必要である。そのため、前記壁躯体に対する工事が増えて、工期が長くなる共に、工費が高くなるという問題がある。
【0006】
また、前記サッシの設置に際して十分な防音対策が採られていても、室外の騒音が前記アウター換気具及び前記インナー換気具を経由して室内に侵入することを十分に抑制することができず、生活環境が損なわれるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明にあっては、壁躯体の躯体開口部に設けられた四角形状のサッシ枠と;
前記サッシ枠内に設けられた障子と;
前記サッシ枠内に前記障子と隣接するように設けられ、室外側に向かって開口したボックス開口部を有してあって、上部に前記エアコンの配管を挿通可能なインナー配管穴が形成され、エアコンの配管を収容するボックスと;
前記ボックスの前記ボックス開口部を塞ぐように設けられ、下部に前記エアコンの配管を挿通可能なアウター配管穴が形成された蓋部材と;
前記蓋部材に設けられ、室外から前記ボックス内へ外気を取入れるアウター換気具と;
前記ボックスに設けられ、前記アウター換気具に対して上下に離隔してあって、前記ボックス内から室内へ外気を送るインナー換気具と;
を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明特定事項によると、前記サッシの構成要素の1つである前記蓋部材に前記アウター換気具が設けられ、前記サッシの構成要素の1つである前記ボックスに前記インナー換気具が設けられているため、前記サッシを前記躯体開口部に設置することにより、前記壁躯体に換気用の穴を加工することなく、室外と室内を連通させることができる。
【0009】
同様に、前記ボックスの上部に前記インナー配管穴が形成され、前記蓋部材の下部に前記アウター配管穴が形成されているため、前記サッシを前記躯体開口部に設置することにより、前記壁躯体に配管用の穴を加工することなく、室外と室内に亘って前記エアコンの配管を介在させることができる。
【0010】
また、前記蓋部材に前記アウター換気具が設けられ、前記ボックスに前記インナー換気具が設けられてあって、前記インナー換気具は前記アウター換気具に対して上下に離隔してあるため、前記ボックス内を侵入した外気の音波が前記エアコンの配管に干渉することになって、外気の音波のエネルギーを十分に低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明特定事項の他に、前記ボックスの裏面全域に設けられた断熱材と;
を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明特定事項によると、請求項1に記載の発明特定事項による作用の他に、前記断熱材によって、前記ボックスの結露を防ぐことができると共に、前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項1又は請求項2に記載の発明特定事項の他に、前記蓋部材は、前記サッシ枠に取外し可能に構成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明特定事項によると、請求項1又は請求項2に記載の発明特定事項による作用の他に、前記蓋部材は前記サッシ枠に取外し可能に構成されているため、前記蓋部材を前記サッシ枠から取外して、前記エアコンの配管の保守、点検、及び交換等を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1から請求項3の内のいずれかの請求項に記載の発明によれば、前記サッシを前記躯体開口部に設置することにより、前記壁躯体に換気用の穴及び前記配管用の穴を加工することなく、室外と室内を連通させるたり、室外と室内に亘って前記エアコンの配管を介在させたりするこができるため、前記壁躯体に対する工事を減らして、工期の短縮及び工費の低減を図ることができる。
【0016】
また、前記ボックスに侵入した外気の音波が前記エアコンの配管に干渉することによって、外気の音波のエネルギーを十分に低減することができるため、室外の騒音が前記アウター換気具及び前記インナー換気具を経由して室内に侵入することを十分に抑制することができ、居住者の生活環境を快適に保つことができる。特に、請求項2又は請求項3に記載の発明よれば、前記断熱材によって前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができるため、前述の効果がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
【0018】
ここで、図1は、本発明の実施形態に係わるサッシの正面図であって、図2は、図1におけるII-II線に沿った図であって、図3は、図1におけるIII-III線に沿った図であって、図4は、図1におけるIV-IV線に沿った図である。なお、特許公報掲載時の図面の向きを基準として、「上下」とは、図1から図3において上下,図4において紙面に向かって表裏のことであって、「左右」とは、図1及び図4において左右,図2及び図3において紙面に向かって裏表のことをいう。
【0019】
図1から図4に示すように、本発明の実施形態に係わるサッシ1は、マンション、一般住宅等の建築物に用いられ、建築物の壁躯体3の躯体開口部5に設置されるものである。そして、サッシ1の具体的な構成は、次のようになる。
【0020】
即ち、躯体開口部5には、サッシ枠7が外枠9を介して設けられている。ここで、サッシ枠7は、左右方向に延びた上サッシ枠部材7aと、左右方向へ延びかつ上サッシ枠部材7aに対して上下に対向した下サッシ枠部材7bと、上下方向へ延びかつ上サッシ枠部材7aの左端部と下サッシ枠部材7bの左端部を連結する左サッシ枠部材7cと、上下方向へ延びかつ上サッシ枠部材7aの右端部と下サッシ枠部材7bの右端部を連結する右サッシ枠部材7dと、上下方向へ延びかつ左サッシ枠部材7cと右サッシ枠部材7dの間に位置する中間サッシ枠部材7eとからなる。
【0021】
なお、外枠9は、左右方向へ延びた上外枠部材9aと、左右方向へ延びた下外枠部材9bと、上下方向へ延びた左外枠部材9cと、上下方向へ延びた右外枠部材9dとからなっており、上外枠部材9a、下外枠部材9b、左外枠部材9c、及び右外枠部材9dは、複数のアンカーボルト11等によって壁躯体3に固定されている。
【0022】
上サッシ枠部材7aにおける中間サッシ枠部材7eと右サッシ枠部材7dの間には、左右方向へ延びたアウターガイド13とインナーガイド15が形成されており、下サッシ枠部材7bにおける中間サッシ枠部材7eと右サッシ枠部材7dの間には、左右方向へ延びたアウターガイド17とインナーガイド19が形成されている。そして、上下一対のアウターガイド13,17には、アウター障子21が左右方向へ移動可能に設けられており、上下一対のインナーガイド15,19には、インナー障子23が左右方向へ移動可能に設けられている。
【0023】
サッシ枠7にける中間サッシ枠部材7eの左側には、エアコンの配管25を収納するボックス27が障子(アウター障子21とインナー障子23)に隣接するように設けられており、このボックス27は、室外Ou側に向かって開口したボックス開口部29を有している。また、ボックス27の上部には、エアコンの配管25を挿通可能なインナー配管穴31が形成されており、ボックス27の裏面全域には、断熱材33が設けられている。なお、エアコンの配管25の一端部は、室外Ouに配置したエアコン室外機35に接続可能であって、エアコンの配管25の他端部は、室内Inに配置したエアコン室内機37に接続可能である。
【0024】
サッシ枠7にける中間サッシ枠部材7eの左側には、蓋部材39がボックス開口部29を塞ぐように設けられており、この蓋部材39は、ビス等を緩めることによってサッシ枠7に対して取外し可能に構成されている。また、蓋部材39の下部には、エアコンの配管25を挿通可能なアウター配管穴41が形成されている。
【0025】
蓋部材39の下部には、室外Ouからボックス27内へ外気を取入れるアウター換気具としての換気ガラリ43が設けられており、この換気ガラリ43は、アウター配管穴41の上側に位置している。また、ボックス27の上部には、ボックス27内から室内Inへ外気を送るインナー換気具としての換気レジスタ45が設けられており、この換気レジスタ45は、インナー配管穴31の下側に位置してあって、換気ガラリ43に対して上下に離隔してある。
【0026】
なお、サッシ枠7の外周及び蓋部材39の外周には、シール部材47,49がそれぞれ設けられている。
【0027】
次に、本発明の実施形態の作用について説明する。
【0028】
サッシ1の構成要素の1つである蓋部材39に換気ガラリ43が設けられ、サッシ1の構成要素の1つであるボックス27に換気レジスタ45が設けられているため、サッシ1を躯体開口部5に設置することにより、壁躯体3に換気用の穴を加工することなく、室外Ouと室内Inを連通させることができる。
【0029】
同様に、ボックス27の上部にインナー配管穴31が形成され、蓋部材39の下部にアウター配管穴41が形成されているため、サッシ1を躯体開口部5に設置することにより、壁躯体3に配管用の穴を加工することなく、室外Ouと室内Inに亘ってエアコンの配管25を介在させることができる。
【0030】
また、蓋部材39に換気ガラリ43が設けられ、ボックス27に換気レジスタ45が設けられてあって、換気レジスタ45は換気ガラリ43に対して上下に離隔してあるため、ボックス27内を侵入した外気の音波がエアコンの配管25に干渉することになって、外気の音波のエネルギーを十分に低減することができる。更に、断熱材33によって、ボックス27の結露を防ぐ他に、前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができる。
【0031】
また、蓋部材39はサッシ枠7に取外し可能に構成されているため、蓋部材39をサッシ枠7から取外して、エアコンの配管25の保守、点検、及び交換等を行うことができる。
【0032】
以上の如き、本発明の実施形態によれば、サッシ1を躯体開口部5に設置することにより、壁躯体3に前記換気用の穴及び前記配管用の穴を加工することなく、室外Ouと室内Inを連通させるたり、室外Ouと室内Inに亘ってエアコンの配管25を介在させたりするこができるため、壁躯体3に対する工事を減らして、工期の短縮及び工費の低減を図ることができる。
【0033】
また、ボックス27内を侵入した外気の音波がエアコンの配管25に干渉することになって、外気の音波のエネルギーを十分に低減すると共に、断熱材33によって前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができるため、室外Ouの騒音が換気ガラリ43及び換気レジスタ45を経由して室内Inに侵入することを十分に抑制することができ、生活環境を快適に保つことができる。
【0034】
なお、本発明は、前述の発明の実施形態の説明に限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他種々の態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係わるサッシの正面図である。
【図2】図1におけるII-II線に沿った図である。
【図3】図1におけるIII-III線に沿った図である。
【図4】図1におけるIV-IV線に沿った図である。
【符号の説明】
【0036】
In 室内
Ou 室外
1 サッシ
3 壁躯体
5 躯体開口部
7 サッシ枠
21 アウター障子
23 インナー障子
25 エアコンの配管
27 ボックス
29 ボックス開口部
31 インナー配管穴
33 断熱材
39 蓋部材
41 アウター配管穴
43 換気ガラリ
45 換気レジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション、一般住宅等の建築物に用いられるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の建築物における壁躯体の躯体開口部の周辺構造は、次のようになっている。
【0003】
即ち、前記壁躯体の躯体開口部には、サッシが設置されており、このサッシは、前記躯体開口部に設けられた長方形状のサッシ枠と、このサッシ枠に設けられた一対の障子とを具備している。また、前記壁躯体における前記サッシの近傍には、室外と室内を連通する換気用の穴が形成されており、この換気用の穴の室外側には、室外から前記換気用の穴へ外気を取入れるアウター換気具が設けられてあって、前記換気用の穴の室内側には、前記換気用の穴から室内へ外気を送るインナー換気具が設けられている。更に、前記壁躯体における前記サッシの近傍には、エアコンの配管を挿通可能な配管用の穴が形成されている。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1、特許文献2に示すものがある。
【特許文献1】特開2003−41859号公報
【特許文献2】特開2000−220363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように、室外と室内を連通させるためには、前記壁躯体に前記換気用の穴を加工することが必要であって、室外と室内に亘って前記エアコンの配管を介在させるためには、前記壁躯体に前記配管用の穴を加工することが必要である。そのため、前記壁躯体に対する工事が増えて、工期が長くなる共に、工費が高くなるという問題がある。
【0006】
また、前記サッシの設置に際して十分な防音対策が採られていても、室外の騒音が前記アウター換気具及び前記インナー換気具を経由して室内に侵入することを十分に抑制することができず、生活環境が損なわれるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明にあっては、壁躯体の躯体開口部に設けられた四角形状のサッシ枠と;
前記サッシ枠内に設けられた障子と;
前記サッシ枠内に前記障子と隣接するように設けられ、室外側に向かって開口したボックス開口部を有してあって、上部に前記エアコンの配管を挿通可能なインナー配管穴が形成され、エアコンの配管を収容するボックスと;
前記ボックスの前記ボックス開口部を塞ぐように設けられ、下部に前記エアコンの配管を挿通可能なアウター配管穴が形成された蓋部材と;
前記蓋部材に設けられ、室外から前記ボックス内へ外気を取入れるアウター換気具と;
前記ボックスに設けられ、前記アウター換気具に対して上下に離隔してあって、前記ボックス内から室内へ外気を送るインナー換気具と;
を具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明特定事項によると、前記サッシの構成要素の1つである前記蓋部材に前記アウター換気具が設けられ、前記サッシの構成要素の1つである前記ボックスに前記インナー換気具が設けられているため、前記サッシを前記躯体開口部に設置することにより、前記壁躯体に換気用の穴を加工することなく、室外と室内を連通させることができる。
【0009】
同様に、前記ボックスの上部に前記インナー配管穴が形成され、前記蓋部材の下部に前記アウター配管穴が形成されているため、前記サッシを前記躯体開口部に設置することにより、前記壁躯体に配管用の穴を加工することなく、室外と室内に亘って前記エアコンの配管を介在させることができる。
【0010】
また、前記蓋部材に前記アウター換気具が設けられ、前記ボックスに前記インナー換気具が設けられてあって、前記インナー換気具は前記アウター換気具に対して上下に離隔してあるため、前記ボックス内を侵入した外気の音波が前記エアコンの配管に干渉することになって、外気の音波のエネルギーを十分に低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載の発明特定事項の他に、前記ボックスの裏面全域に設けられた断熱材と;
を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明特定事項によると、請求項1に記載の発明特定事項による作用の他に、前記断熱材によって、前記ボックスの結露を防ぐことができると共に、前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明にあっては、請求項1又は請求項2に記載の発明特定事項の他に、前記蓋部材は、前記サッシ枠に取外し可能に構成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明特定事項によると、請求項1又は請求項2に記載の発明特定事項による作用の他に、前記蓋部材は前記サッシ枠に取外し可能に構成されているため、前記蓋部材を前記サッシ枠から取外して、前記エアコンの配管の保守、点検、及び交換等を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1から請求項3の内のいずれかの請求項に記載の発明によれば、前記サッシを前記躯体開口部に設置することにより、前記壁躯体に換気用の穴及び前記配管用の穴を加工することなく、室外と室内を連通させるたり、室外と室内に亘って前記エアコンの配管を介在させたりするこができるため、前記壁躯体に対する工事を減らして、工期の短縮及び工費の低減を図ることができる。
【0016】
また、前記ボックスに侵入した外気の音波が前記エアコンの配管に干渉することによって、外気の音波のエネルギーを十分に低減することができるため、室外の騒音が前記アウター換気具及び前記インナー換気具を経由して室内に侵入することを十分に抑制することができ、居住者の生活環境を快適に保つことができる。特に、請求項2又は請求項3に記載の発明よれば、前記断熱材によって前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができるため、前述の効果がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
【0018】
ここで、図1は、本発明の実施形態に係わるサッシの正面図であって、図2は、図1におけるII-II線に沿った図であって、図3は、図1におけるIII-III線に沿った図であって、図4は、図1におけるIV-IV線に沿った図である。なお、特許公報掲載時の図面の向きを基準として、「上下」とは、図1から図3において上下,図4において紙面に向かって表裏のことであって、「左右」とは、図1及び図4において左右,図2及び図3において紙面に向かって裏表のことをいう。
【0019】
図1から図4に示すように、本発明の実施形態に係わるサッシ1は、マンション、一般住宅等の建築物に用いられ、建築物の壁躯体3の躯体開口部5に設置されるものである。そして、サッシ1の具体的な構成は、次のようになる。
【0020】
即ち、躯体開口部5には、サッシ枠7が外枠9を介して設けられている。ここで、サッシ枠7は、左右方向に延びた上サッシ枠部材7aと、左右方向へ延びかつ上サッシ枠部材7aに対して上下に対向した下サッシ枠部材7bと、上下方向へ延びかつ上サッシ枠部材7aの左端部と下サッシ枠部材7bの左端部を連結する左サッシ枠部材7cと、上下方向へ延びかつ上サッシ枠部材7aの右端部と下サッシ枠部材7bの右端部を連結する右サッシ枠部材7dと、上下方向へ延びかつ左サッシ枠部材7cと右サッシ枠部材7dの間に位置する中間サッシ枠部材7eとからなる。
【0021】
なお、外枠9は、左右方向へ延びた上外枠部材9aと、左右方向へ延びた下外枠部材9bと、上下方向へ延びた左外枠部材9cと、上下方向へ延びた右外枠部材9dとからなっており、上外枠部材9a、下外枠部材9b、左外枠部材9c、及び右外枠部材9dは、複数のアンカーボルト11等によって壁躯体3に固定されている。
【0022】
上サッシ枠部材7aにおける中間サッシ枠部材7eと右サッシ枠部材7dの間には、左右方向へ延びたアウターガイド13とインナーガイド15が形成されており、下サッシ枠部材7bにおける中間サッシ枠部材7eと右サッシ枠部材7dの間には、左右方向へ延びたアウターガイド17とインナーガイド19が形成されている。そして、上下一対のアウターガイド13,17には、アウター障子21が左右方向へ移動可能に設けられており、上下一対のインナーガイド15,19には、インナー障子23が左右方向へ移動可能に設けられている。
【0023】
サッシ枠7にける中間サッシ枠部材7eの左側には、エアコンの配管25を収納するボックス27が障子(アウター障子21とインナー障子23)に隣接するように設けられており、このボックス27は、室外Ou側に向かって開口したボックス開口部29を有している。また、ボックス27の上部には、エアコンの配管25を挿通可能なインナー配管穴31が形成されており、ボックス27の裏面全域には、断熱材33が設けられている。なお、エアコンの配管25の一端部は、室外Ouに配置したエアコン室外機35に接続可能であって、エアコンの配管25の他端部は、室内Inに配置したエアコン室内機37に接続可能である。
【0024】
サッシ枠7にける中間サッシ枠部材7eの左側には、蓋部材39がボックス開口部29を塞ぐように設けられており、この蓋部材39は、ビス等を緩めることによってサッシ枠7に対して取外し可能に構成されている。また、蓋部材39の下部には、エアコンの配管25を挿通可能なアウター配管穴41が形成されている。
【0025】
蓋部材39の下部には、室外Ouからボックス27内へ外気を取入れるアウター換気具としての換気ガラリ43が設けられており、この換気ガラリ43は、アウター配管穴41の上側に位置している。また、ボックス27の上部には、ボックス27内から室内Inへ外気を送るインナー換気具としての換気レジスタ45が設けられており、この換気レジスタ45は、インナー配管穴31の下側に位置してあって、換気ガラリ43に対して上下に離隔してある。
【0026】
なお、サッシ枠7の外周及び蓋部材39の外周には、シール部材47,49がそれぞれ設けられている。
【0027】
次に、本発明の実施形態の作用について説明する。
【0028】
サッシ1の構成要素の1つである蓋部材39に換気ガラリ43が設けられ、サッシ1の構成要素の1つであるボックス27に換気レジスタ45が設けられているため、サッシ1を躯体開口部5に設置することにより、壁躯体3に換気用の穴を加工することなく、室外Ouと室内Inを連通させることができる。
【0029】
同様に、ボックス27の上部にインナー配管穴31が形成され、蓋部材39の下部にアウター配管穴41が形成されているため、サッシ1を躯体開口部5に設置することにより、壁躯体3に配管用の穴を加工することなく、室外Ouと室内Inに亘ってエアコンの配管25を介在させることができる。
【0030】
また、蓋部材39に換気ガラリ43が設けられ、ボックス27に換気レジスタ45が設けられてあって、換気レジスタ45は換気ガラリ43に対して上下に離隔してあるため、ボックス27内を侵入した外気の音波がエアコンの配管25に干渉することになって、外気の音波のエネルギーを十分に低減することができる。更に、断熱材33によって、ボックス27の結露を防ぐ他に、前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができる。
【0031】
また、蓋部材39はサッシ枠7に取外し可能に構成されているため、蓋部材39をサッシ枠7から取外して、エアコンの配管25の保守、点検、及び交換等を行うことができる。
【0032】
以上の如き、本発明の実施形態によれば、サッシ1を躯体開口部5に設置することにより、壁躯体3に前記換気用の穴及び前記配管用の穴を加工することなく、室外Ouと室内Inを連通させるたり、室外Ouと室内Inに亘ってエアコンの配管25を介在させたりするこができるため、壁躯体3に対する工事を減らして、工期の短縮及び工費の低減を図ることができる。
【0033】
また、ボックス27内を侵入した外気の音波がエアコンの配管25に干渉することになって、外気の音波のエネルギーを十分に低減すると共に、断熱材33によって前記外気の音波のエネルギーの一部を吸収することができるため、室外Ouの騒音が換気ガラリ43及び換気レジスタ45を経由して室内Inに侵入することを十分に抑制することができ、生活環境を快適に保つことができる。
【0034】
なお、本発明は、前述の発明の実施形態の説明に限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他種々の態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係わるサッシの正面図である。
【図2】図1におけるII-II線に沿った図である。
【図3】図1におけるIII-III線に沿った図である。
【図4】図1におけるIV-IV線に沿った図である。
【符号の説明】
【0036】
In 室内
Ou 室外
1 サッシ
3 壁躯体
5 躯体開口部
7 サッシ枠
21 アウター障子
23 インナー障子
25 エアコンの配管
27 ボックス
29 ボックス開口部
31 インナー配管穴
33 断熱材
39 蓋部材
41 アウター配管穴
43 換気ガラリ
45 換気レジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁躯体の躯体開口部に設けられた四角形状のサッシ枠と;
前記サッシ枠内に設けられた障子と;
前記サッシ枠内に前記障子と隣接するように設けられ、室外側に向かって開口したボックス開口部を有してあって、上部に前記エアコンの配管を挿通可能なインナー配管穴が形成され、エアコンの配管を収容するボックスと;
前記ボックスの前記ボックス開口部を塞ぐように設けられ、下部に前記エアコンの配管を挿通可能なアウター配管穴が形成された蓋部材と;
前記蓋部材に設けられ、室外から前記ボックス内へ外気を取入れるアウター換気具と;
前記ボックスに設けられ、前記アウター換気具に対して上下に離隔してあって、前記ボックス内から室内へ外気を送るインナー換気具と;
を具備したことを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記ボックスの裏面全域に設けられた断熱材と;
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記サッシ枠に取外し可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサッシ。
【請求項1】
壁躯体の躯体開口部に設けられた四角形状のサッシ枠と;
前記サッシ枠内に設けられた障子と;
前記サッシ枠内に前記障子と隣接するように設けられ、室外側に向かって開口したボックス開口部を有してあって、上部に前記エアコンの配管を挿通可能なインナー配管穴が形成され、エアコンの配管を収容するボックスと;
前記ボックスの前記ボックス開口部を塞ぐように設けられ、下部に前記エアコンの配管を挿通可能なアウター配管穴が形成された蓋部材と;
前記蓋部材に設けられ、室外から前記ボックス内へ外気を取入れるアウター換気具と;
前記ボックスに設けられ、前記アウター換気具に対して上下に離隔してあって、前記ボックス内から室内へ外気を送るインナー換気具と;
を具備したことを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記ボックスの裏面全域に設けられた断熱材と;
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記サッシ枠に取外し可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサッシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2006−52598(P2006−52598A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236009(P2004−236009)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(302053928)
【出願人】(302057384)
【出願人】(595119338)ダイア建設株式会社 (8)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(302053928)
【出願人】(302057384)
【出願人】(595119338)ダイア建設株式会社 (8)
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