説明

サトウダイコン及びサトウキビの農業的栽培の際のサッカロース収量の増加方法

植物細胞中でインベルターゼの酵素活性の減少に適している核酸の、植物のサッカロース貯蔵器官の形成のための使用であって、このサッカロース濃度が、比較可能な発育段階にある同じゲノタイプの変更していない対照サッカロース貯蔵器官のサッカロース濃度に対して高められている使用。この場合に、Xパーセント点だけのこのサッカロース濃度の向上は変更したか又は変更していないサッカロース貯蔵器官収量を生じることができ、この場合に、サッカロース貯蔵器官収量の低下の場合には、この低下は最大5Xパーセントである。さらに、本発明は、サトウダイコン及びサトウキビの農業的栽培の際のサッカロース収量の増加方法であって、遺伝子構成がインベルターゼの酵素活性の減少に指向しているサトウダイコン−又はサトウキビ植物が使用される方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物細胞におけるインベルターゼの酵素活性の減少に適している核酸の使用、並びに、サトウダイコン及びサトウキビの農業的栽培の際のサッカロース収量の増加方法に関する。
【0002】
サトウダイコンは二年生植物である。この発育の一年目に栄養成長が行われ、その際、この植物は葉ロゼット(Blattrosette)を発育し、一次根、根部(Ruebenkoerper)、を形成する。二年目、生殖相において、花序及び種子が形成される。このサトウダイコンの収量生理学の特殊性は、サッカロースの蓄積及び貯蔵が主として最初の栄養年の間に行われることにある。サッカロース獲得のためには、したがって、サトウダイコンは、栄養的発育段階において収穫される。
【0003】
サトウダイコン育種における数十年来の努力及び成功は、根部−及びサッカロース収量に関して注目すべき増大をもたらした。但し、この増大は、この根部のサッカロース濃度が今日既に、根部新鮮重の約15〜20%であるにもかかわらず、依然として満足のいくものでない。
【0004】
EP0956357B1からは、インベルターゼの酵素活性を減少させる能力のあるポリペプチドをコードする核酸の、減少した、貯蔵に制限されたサッカロース損失を有するトランスジェニック植物の製造のための使用が知られている。インベルターゼ阻害剤を用いて、このサッカロース濃度を、植物のサッカロース貯蔵器官中で増加させるための手段に関する示唆は、この刊行物には与えられていない。
【0005】
さらに、EP1346054B1は、植物の液胞のインベルターゼの阻害をもくろむ。この刊行物も、植物の改善された貯蔵安定性だけを記載し、サッカロース濃度の向上は記載しない。
【0006】
したがって、本発明の課題は、植物のサッカロース貯蔵器官中のサッカロース濃度を更に増加させることである。特に、本発明の課題は、サッカロース収量を増加させることができる、サトウダイコン及びサトウキビの農業的栽培方法を提供することにある。
【0007】
本発明により、この提示された課題の解決は、植物細胞中でインベルターゼの酵素活性の減少に適している核酸の、植物のサッカロース貯蔵器官の形成のための使用であって、このサッカロース濃度が、比較可能な発育段階にある同じゲノタイプの変更していない対照サッカロース貯蔵器官のサッカロース濃度に対して高められている使用により行われる。
【0008】
しかし、これまで、サッカロース濃度及び根部収量(Ruebenkoerperertrag)は負に相関しており、すなわち、高いサッカロース濃度を有する品種は、より低いサッカロース濃度を有する品種に比較してより少ない根部収量を提供する。この理由は、高いサッカロース濃度を有するサトウダイコンが、むしろ、小さい根部を形成することにある。
【0009】
サトウダイコンでの、サッカロース濃度及び根部収量の間の負の関係性のための説明の試みは、既に1973年にMilfordにより行われている。これによれば、根部質量及び柔貯蔵細胞のサイズが相関している。これに応じて、大きな柔細胞は、小さい柔細胞に比較してより低いサッカロース濃度を有する。
【0010】
サッカロース濃度及び根部収量の間の関係性は、新規品種でも負であり、但し、もはや以前に記載されたほど密接でない(Campbell及びKern 1983,Hoffmann及びMaerlaender 2002)。この育種進歩は、このようにして、サッカロース濃度及び根部収量の間の負の関係性のシフトを生じたが、しかし、この関係性の根本的変化は生じなかった(図1)。
【0011】
上でサトウダイコンについて記載した、サッカロース濃度及びサッカロース貯蔵器官収量の間の負の関係性は、基本的に、サトウキビにも該当する。
【0012】
意外なことに、植物細胞中でのインベルターゼの酵素活性の減少に適している核酸の本発明による使用の際に、サッカロース濃度及びサッカロース貯蔵器官収量(サトウダイコン本体収量又はサトウキビ茎収量)の間の負の相関も減る(zurueckfuehren)か又はなくすことができることが今や見出された。
【0013】
とりわけ、前記核酸の本発明による使用はXパーセント点だけのサッカロース濃度の向上の際に、低下したサッカロース貯蔵器官収量を生じることができ、その際、このサッカロース貯蔵器官収量の低下は最大で5Xパーセントである。
【0014】
本発明の特別な一実施態様によれば、植物細胞中でインベルターゼの酵素活性の減少に適している核酸の使用の際に、したがって、このサッカロース貯蔵器官収量は、変更しないか又は高められる。
【0015】
したがって、例えば2パーセント点だけのサッカロース濃度の向上は、サッカロース貯蔵器官収量の低下の場合に、最大10パーセントの低下を生じる。通常は、しかし、このサッカロース濃度の向上は、サッカロース貯蔵器官収量の向上も生じ、この結果、このサッカロース貯蔵器官のサッカロース濃度は、このサッカロース貯蔵器官収量と負に相関しない。
【0016】
サトウダイコンの場合には、このサッカロース濃度は根部新鮮重中のサッカロースの量を示し、すなわち、パーセントにおいてである。根部収量とは、土のない(erdfrei)、最適に頭部をなくした(kopfen)ビートの新鮮重(Frishmasse)が理解される。サッカロース濃度に乗算した根部収量からは、次に、サッカロース収量が算出される。
【0017】
同様に、サトウダイコンを例にとって、本発明の利点が、以下に挙げられる実施例計算にもとづき詳説される。
【0018】
インベルターゼの酵素活性の減少に特に適した核酸として、インベルターゼ阻害剤をコードする核酸が用いられる。インベルターゼ阻害剤は、ジャガイモにおいて最初に記載された(Schwimmer et al.1961)。これは、サトウダイコン、トマト及びタバコから知られている(Pressey 1968,Pressey 1994, Weil et al. 1994,Rausch及びGreiner 2004)。インベルターゼ阻害剤は技術水準に属するものの、これまでには、このポリペプチドを用いてサトウダイコン本体のサッカロース濃度を増加できることは予期できなかった。特に、これにより、サッカロース濃度及びサッカロース貯蔵器官収量の間の負の関係性が減ることも知られていなかった。
【0019】
他方では、様々なインベルターゼ阻害剤の入手可能性(Verfuegbarkeit)が、この新規の使用のための良好な前提をも提示する。したがって、インベルターゼの酵素活性を減少させる能力のあるポリペプチドをコードする核酸が、問題なく同定されるか又は得られ、かつ、サトウダイコンで及びサトウキビで使用されることができ、しかも、育種的手法において同様に遺伝子工学的方法を用いてである。
【0020】
インベルターゼの酵素活性の減少のための他の手段は、しかし、インベルターゼの酵素活性を、阻害性ポリペプチドを介してでなく、例えば、アンチセンスRNA又はRNA干渉を用いて減少させることによっても達成される。両方の方法は、そうこうしているうちに、一般的に知られている標準技術に属する。アンチセンスRNAの場合には、インベルターゼのmRNAに対して相補的である単鎖RNAが使用される。この相補的RNAsの引き続くペア形成により、このmRNAの翻訳の阻害、ひいてはこのインベルターゼの遺伝子発現の抑制が細胞中で生じる。このRNA干渉の場合には、これに対して、cDNAフラグメントの逆転したリピートが利用され、これは転写後に二重鎖RNA分子を形成し、これは、植物固有酵素により約21〜23ヌクレオチドの長さを有するフラグメントに切断され、これは、前記インベルターゼのmRNAの翻訳遮断を生じる。
【0021】
サトウダイコンからのインベルターゼは同様に知られている(Rosenkranz et al.,2001,Gonzales et al.,2005)か、又は、知られているインベルターゼ(Sturm及びChrispeels,1990;Sturm,1999)に基づいてサトウダイコン及びサトウキビから特別な困難性なしに単離され、この結果、相応するアンチセンス−RNA又はRNA干渉コンストラクトも容易に製造可能である。一般的に知られている植物形質転換方法を用いて、このようなコンストラクトは植物中に良好に移入され、そこで発現する。
【0022】
本発明の更に好ましい一実施態様によれば、この使用される核酸は、タバコ(Nicotiana tabacum)由来の異種(heterolog)核酸である。
【0023】
「異種」との概念は、当該核酸が、この宿主細胞に関して他の起源を有するか、又は少なくとも非天然の状態に存在することを意味する。宿主細胞が、異質な種類の生物由来の核酸で形質転換される場合には、この核酸配列は、この宿主細胞に対して、かつ、これら核酸配列を有するこの宿主細胞の子孫に対して、異種である。
【0024】
意外なことに、トランスジェニックアプローチの場合には、初代形質転換体からの、種子から育成されたトランスジェニック子孫中にさえも高められたサッカロース濃度が根部中で検出されることができた。このビート質量は、非トランスジェニック対照に比較して変更しておらず、このため、高められたサッカロース収量も結果として生じた。不定根、すなわち、根部類似構造物(初代形質転換体から直接的に形成される)においては、このサッカロース濃度の変更は確認できなかった。
【0025】
本発明の更に好ましい一実施態様によれば、この異種核酸は、配列番号1に応じた配列、又は配列番号1に応じた配列に対する相補配列又はこの断片とハイブリダイゼーションできる核酸配列を有する。
【0026】
ここで使用される概念「ハイブリダイゼーション」は、通常の条件下、例えばSambrook et al.(1989)に記載されている条件下で、有利にはストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションすることを意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は例えば、次のようである:4×SSC中で65℃でハイブリダイゼーション、引き続き65℃で0.1×SSC中で複数回の洗浄、全体として約1時間。あまりストリンジェントでないハイブリダイゼーション条件は例えば次のとおりである:4×SSC中で37℃でハイブリダイゼーション、引き続き1×SSC中で室温で複数回の洗浄。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、次のことも意味できる:0.25M リン酸ナトリウム、pH7.2、7% SDS、1mM EDTA及び1%BSA中で68℃で16時間ハイブリダイゼーション、引き続き2×SSC及び0.1%SDSで68℃での2回の洗浄。
【0027】
前記核酸によりコードされるポリペプチド、インベルターゼ阻害剤は、成功した形質転換後にサトウダイコン−又はサトウキビ細胞中で好ましくは液胞に、サイトゾル中又はこの細胞壁中に局在化している。
【0028】
本発明の更なる一実施態様によれば、この核酸は、同種(homolog)核酸である。「同種」との概念は、この場合に、当該核酸がこの宿主細胞に関して同じ天然の起源に由来することを意味する。「同種」との概念は、同一の天然の起源の細胞種類(この細胞種類に当該核酸は由来する)中に導入される核酸にも関連するが、しかし、例えば、他の、この細胞種類中で又はこの組み合わせにおいて天然に存在しない、調節要素の制御下にある。この場合に、調節要素は、ヌクレオチド配列の発現に支持的に関与する配列である。これは例えば、プロモーター及びターミネーター配列を含む。したがって、宿主細胞は例えば、種が同じ生物からの核酸で形質転換されることができ、これは例えば、この核酸の過剰発現を達成するためである。
【0029】
他方では、これは、知られた育種的手法により細胞中のこの核酸の発現を高めるか、又は、この核酸によりコードされるポリペプチドの活性がこの細胞中で増加されるように配慮することにより、可能である。したがって、例えば、サトウダイコン又はサトウキビからのインベルターゼ阻害剤の遺伝子座でのアレル変形が分析され、次いで、育種においてこの最良のアレルを用いて更に作業することができる。この基礎となるのは、サトウダイコンでは、配列番号2に応じたインベルターゼ阻害剤BvC/VIF1(テンサイ(Beta vulgaris)細胞壁又はベータ−フルクトシダーゼの液胞阻害剤)の配列、並びに、配列番号2に応じた配列に対して相補的な配列又はこの断片とハイブリダイゼーションできる核酸配列であることができる。
【0030】
アレル変形の分析は、まずこのインベルターゼ阻害剤の遺伝子座の比較配列決定により集団中に存在するアレルが同定されるように行われる。次に、この様々なアレルは、繰り返された戻し交雑を介して常に同じ遺伝的背景にもたらされる。このようにして発生する準同質遺伝子系統は、このインベルターゼ阻害剤の発現に関して分析される。この分析は、ノーザンブロット法又はRT−PCRを用いて行われる。
【0031】
このインベルターゼ阻害剤の様々なアレルの有効性の比較は、さらに、このインベルターゼの酵素活性を介して非直接的に測定されることができる。
【0032】
準同質サトウダイコン系統は、捕縄試験において栽培される。収穫後に、このビート収量及びサッカロース濃度が測定される。これは、目的指標サッカロース収量に関してこのアレルの比較を可能にする。サッカロース収量に関して最良の効果を有するこのアレルを、次いで、現在の育種材料中へと交配し、品種開発のために使用する。
【0033】
本発明は、サトウダイコン及びサトウキビの農業的栽培の際のサッカロース収量の増加方法にも関する。ここで、遺伝子構成(genetische Ausstattung)が、インベルターゼの酵素活性の減少に指向しているサトウダイコン−又はサトウキビ植物が使用される。
【0034】
このサトウダイコン−又はサトウキビ植物の遺伝子構成は、再度、遺伝子工学的方法又は慣用の植物育種方法を用いて行われることができる。この点で、核酸の新規使用のための上述の手段が参照される。
【0035】
本発明の方法の好ましい一実施態様は、前記遺伝子構成が、サッカロース貯蔵器官の形成を可能にすることを意図し、その際、このサッカロース濃度はサッカロース貯蔵器官収量と負の相関をしない。
【0036】
以下の計算は、どのようにこの新規方法がサッカロース収量に対して全体的に作用することができるかを、サトウダイコンを例として詳説する。
【0037】
標準−サトウダイコン品種のサッカロース収量は、ビート収量60t/ha及びビートのサッカロース濃度17%の場合に全体として10.2t/haである。本発明による方法を用いて、これに対して、サッカロース濃度18%以上が達成される。同じビート収量では、1%の濃度増加が既に、栽培面積1ヘクタールあたりサッカロース600kgのサッカロース収量増加を生じる。サッカロース濃度及びビート収量の間のこれまでの負の相関を基礎として、例えば17%から18%へのこのサッカロース濃度の従来の増加は、不釣り合いに大きく低められたビート収量を生じており、この結果、サッカロース濃度の濃度増加は極めて限定されてのみ有意義であった。
【0038】
本発明は、以下において図及び好ましい一実施態様を基礎としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、Hoffmann 2006に応じたサトウダイコン品種でのビート収量及びサッカロース濃度における育種進歩を示す。この図によれば、高いサッカロース濃度は比較的低い根部収量でだけ達成される。高い根部収量は、比較的低いサッカロース濃度を伴う。確かに、この育種進歩により、回帰曲線の勾配は更に減少するものの、根部収量及びサッカロース濃度の間の関係性は新規品種でも負である。
【図2】図2は、タバコ(Nicotiana tabacum)からのインベルターゼ阻害剤(配列番号1)が組み込まれたベクターを示す(pBINAR-NtVIF)。
【図3】図3は、非トランスジェニック対照K0n=40)と比較した、トランスジェニック系統T(n=25)における相対的サッカロース含量を示す。全植物は、温室中で管中で育成され、この種子の播種204日後に収穫された。このトランスジェニック系統は、24%だけより高いサッカロース含量を伴って、この非トランスジェニック対照とは有意に相違する。
【図4】図4は、図3による植物の根部の相対的質量を示す。トランスジェニック系統の根部の質量は、この場合に、この対照ビートとは異ならない。これにより、このトランスジェニック系統は、非トランスジェニック対照に比較して、有意に変更していない根部質量で、高められたサッカロース含量を示す。サッカロース含量及び根部収量の間の負の相関はこの場合に打ち破られている。
【0040】
異種核酸の使用のための例
制限切断部位BamHI(1194)及びXbaI(2031)を介して、この選択された、タバコ(Nicotiana tabacum)からのインベルターゼ阻害剤をコードする、811bpの長さを有するcDNA(配列番号1)をベクターpBINAR中に組み込み、この結果、プラスミドpBINAR-NtVIFが生じた。
【0041】
このサトウダイコンの形質転換を、Lindsey et al.(1991)に応じて行った。この植物の遺伝子導入性(Transgenitaet)を、PCRにより検証した。再生後に、この形質転換体を、種の獲得のために温室中で育成し、自家受精(selbsten)させた。
【0042】
この選択されたトランスジェニック系統及び非トランスジェニック対照の、自家受精により得られた種を、3月初めに播種し、この実生を3月半ばに間引いた。この育成を温室中で管(19×100cm)中で〜16℃の温度及び6Kluxの光強度及び18時間の光期間で行った。この管は、鉢植え用土FEタイプ340(Fruhsdorfer)、移植用土LAT Terra P8及び5gのTriabonを含有した。毎週、この植物にKamasol3〜4%。を肥料として与え、うどんこ病及びアリマキに対して処理をした。この播種204日後に、この根部を収穫し、頭部を切り落とし、洗浄し、秤量し、シングルビートソー(Einzelruebensaege)を介してスラリーにした(verbreien)。このスラリーを直接的に−20℃で凍結させた。
【0043】
サッカロース測定
このサトウダイコンスラリー26gを、抽出溶液(1000mlの超純水中の硫酸アルミニウム3g)177mlで5分間室温で撹拌しながら抽出した。この混合物を丸フィルター240mmを介して濾過し、引き続き超純粋で1:10に希釈した。シリンジフィルターを介して、1.5mlの希釈濾過物をガラスバイアル中にHPLC分析のために移した。この希釈濾過物10μlを、Merck LichroCart 250−3カラム(Lichrospher 100 NH2(5μm)Cat.No.1.50834)を介してRI検出器を備えるAgilent TechnologieのHP1100 HPLC装置中で、70%アセトニトリルの溶離剤(v/vアセトニトリル70、水30)中で、そして0.8ml/minの流速で分析した。この算出されたHPLC値は、μg/mlでサッカロースを再現し、かつ、希釈比を考慮してビート新鮮重に対する%サッカロースに換算した。校正のために、外部標準溶液100μgサッカロース/ml水、500μgサッカロース/ml水、及び5000μgサッカロース/ml水を使用した。
【0044】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物細胞中でインベルターゼの酵素活性の減少に適している核酸の、植物のサッカロース貯蔵器官の形成のための使用であって、このサッカロース濃度が、比較可能な発育段階にある同じゲノタイプの変更していない対照サッカロース貯蔵器官のサッカロース濃度に対して高められている使用。
【請求項2】
Xパーセント点だけのサッカロース濃度の向上が低下したサッカロース貯蔵器官収量を生じ、かつ、このサッカロース貯蔵器官収量の低下が最大で5Xパーセントである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記サッカロース貯蔵器官収量が変更してないか又は高められている、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記サッカロース貯蔵器官のサッカロース濃度が、前記サッカロース貯蔵器官収量と負の相関をしていないことを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記核酸が、同種又は異種の核酸であることを特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項6】
前記異種の核酸が、インベルターゼの酵素活性を減少させる能力のあるポリペプチドをコードする核酸であり、かつ、これが好ましくはタバコ(Nicotiana tabacum)由来であることを特徴とする請求項5記載の使用。
【請求項7】
前記核酸が、配列番号1に応じた配列、又は配列番号1に応じた配列に対する相補配列又はこの断片とハイブリダイゼーションできる核酸配列を有することを特徴とする請求項5又は6記載の使用。
【請求項8】
前記サッカロース貯蔵器官が、サトウダイコン本体又はサトウキビ茎であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
前記ポリペプチドが、サトウダイコン−及びサトウキビ細胞中で、液胞に、サイトゾル中に又は細胞壁中に局在化していることを特徴とする請求項6記載の使用。
【請求項10】
遺伝子構成がインベルターゼの酵素活性の減少に指向している、サトウダイコン−又はサトウキビ植物が使用される、サトウダイコン及びサトウキビの農業的栽培のための方法。
【請求項11】
前記遺伝子構成が、サッカロース貯蔵器官の形成を可能にし、その際、このサッカロース濃度が、比較可能な発育段階にある同じゲノタイプの変更していない対照サッカロース貯蔵器官のサッカロース濃度に対して高められていることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
Xパーセント点だけのサッカロース濃度の向上が、低下したサッカロース貯蔵器官収量を生じ、かつ、このサッカロース貯蔵器官収量の低下が最大で5Xパーセントである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記サッカロース貯蔵器官収量が変更してないか又は高められている、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記遺伝子構成が、サッカロース貯蔵器官の形成を可能にし、その際、このサッカロース濃度が、前記サッカロース貯蔵器官収量と負の相関をしていないことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
インベルターゼの酵素活性の減少が、同種又は異種の核酸を用いて行われることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記の異種の核酸が、インベルターゼの酵素活性を減少させる能力のあるポリペプチドをコードする核酸であり、かつ、これが好ましくはタバコ(Nicotiana tabacum)由来であることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記核酸が、配列番号1に応じた配列、又は配列番号1に応じた配列に対する相補配列又はこの断片とハイブリダイゼーションできる核酸配列を有することを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
前記核酸が、配列番号2に応じた配列、又は配列番号2に応じた配列に対する相補配列又はこの断片とハイブリダイゼーションできる核酸配列を有することを特徴とする請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−512667(P2012−512667A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542673(P2011−542673)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001797
【国際公開番号】WO2010/072210
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500240139)カーヴェーエス ザート アクチエンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】KWS SAAT AG
【住所又は居所原語表記】Grimsehlstrasse 31, D−37574 Einbeck, Germany
【Fターム(参考)】