説明

サングラス装置

【課題】 簡単な構成で安価に製造することができ、特に車両用サンバイザに好適なサングラス装置を提供する。
【解決手段】 自動車等の車両に設けられたサンバイザに、サングラス(17)を着脱自在に取り付けるサングラス装置(1)であって、前記サングラスを前記サンバイザに着脱自在かつ収納位置と使用位置との間で回動自在に取り付けるクリップ(11)と、前記サングラス(17)の上部の長辺周縁から両側部の短辺周縁の途中部位まで嵌め付けられ、両側部の短辺周縁に嵌め付けられる部分が前記サングラスの進退移動を案内するガイド部(152)として形成されたガイドフレーム(15)と、前記ガイド部(152)及び前記サングラス(17)の少なくとも一方に形成され、前記サングラス(17)を格納位置及び引き出し位置で位置決めする位置決め手段(17a,17b,152a,152b)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の運転席に設けられたサンバイザに、補助的に防眩用のサングラスを取り付けるサングラス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両においては、運転者の視界確保の必要上、少なくとも運転席の前方から上部および左右側面の範囲は透明なガラスで構成されている。このため、日中の太陽光や夜間の対向車や後続車の前照灯の光が、直接またはバックミラーを介して運転者の視線に入ると、安全な運転の妨げとなる。そこで、これら車両では、サンバイザが標準装備されていて、太陽光等の外部光による影響を緩和している。
【0003】
しかし、現状の標準装備のサンバイザは、朝夕の太陽が水平線に近い一時期や対向車、後続車の前照灯によるバックミラーを介しての反射光には十分に機能を果たすことができないという問題がある。
そこで、従来から、種々のサングラス装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−112524号公報
【特許文献2】特開2002−362156号公報
【特許文献3】特開2002−127744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献に記載の取付具はいずれも構成が複雑で価格も高くなるという問題がある。特に、特許文献1,2のように、太陽光の到来方向の相対的に変化に応じて取付具の向きを自動的に変更する機構を有するものは、さらに構成が複雑になり高価である。
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたもので、簡単な構成で安価に製造することができ、太陽光の向きに応じて自由にサングラスの向きを変えることができ、特に車両用サンバイザに好適なサングラス装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、自動車等の車両に設けられたサンバイザに、サングラス(17)を着脱自在に取り付けるサングラス装置(1)であって、前記サングラスを前記サンバイザに着脱自在かつ収納位置と使用位置との間で回動自在に取り付けるクリップ(11)と、前記サングラス(17)の上部の長辺周縁から両側部の短辺周縁の途中部位まで嵌め付けられ、両側部の短辺周縁に嵌め付けられる部分が前記サングラスの進退移動を案内するガイド部(152)として形成されたガイドフレーム(15)と、前記ガイド部(152)及び前記サングラス(17)の少なくとも一方に形成され、前記サングラス(17)を格納位置及び引き出し位置で位置決めする位置決め手段(17a,17b,152a,152b)とを有する構成としてある。
この構成によれば、サングラスは通常はサンバイザに沿った収納位置に収納され、必要に応じて使用位置に回動させて使用することができる。また、クリップで取り付けられているので、サンバイザにおけるサングラスの取り付け位置を自由に変えることができる。
【0007】
前記位置決め手段は、請求項2に記載するように、前記ガイド部(152)に形成された溝(152a)と、前記サングラス(17)の前記溝(152a)に対応する位置に設けられ、引き出し位置で前記溝(152a)の下端(152c)に当接する上ストッパ(17b)と、前記溝(152a)から引き出し方向に出没自在であるとともに、格納位置で前記溝(152a)の下端と係合する下ストッパ(17a)とを有する構成としてもよい。
【0008】
また、請求項3に記載するように、前記サングラスは前記クリップに前後方向に位置調整自在に設けられていてもよく、請求項4に記載するように、前記サングラスを前記クリップに対して左右方向にスライド自在にする左右方向スライド機構を設けた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で安価に製造することができ、太陽光の向きに応じて自由にサングラスの向きを変えることができ、特に車両用サンバイザに好適なサングラス装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のサングラス装置の一実施形態にかかり、図1(a)はその構成を説明する正面図、図1(b)は図1(a)のサングラス装置におけるガイド部の部分拡大断面図、図2(a)は図1のサングラス装置のクリップ部分の平面図、図2(b)は回転軸のラチェット機構を説明する図である。
図1(a)に示すように、この実施形態のサングラス装置1は、太陽光のような外部光を効果的に和らげることができ、かつ、運転者の視界を妨げない半透明なサングラス17を自動車のサンバイザに着脱自在に取り付けるためのクリップ11を有する。
【0011】
サングラス17としては、偏光板から形成されたものを用いるのが好ましい。 この実施形態のサングラス17は、上下の長辺と左右の短辺とから構成される長方形状に形成され、支持部材12を介してクリップ20に回動自在に取り付けられる。
クリップ11は、自動車のサンバイザにサングラス17を着脱自在に取り付けることができるものであれば、図示の形態のものに限らず、種々のものを利用することができる。
【0012】
支持部材12は、図1(a)に示すように下向きコの字状に形成され、底部の中央を挿通する左右回転軸13によって、クリップ11に対して左右方向に回転自在に取り付けられている。
また、前記底部両側の側壁には、上下回転軸14が挿通し、この上下回転軸14を介して、サングラス17が支持部材12に上下方向(跳ね上げ方向及び跳ね下げ方向)に回転自在に取り付けられている。
【0013】
サングラス17には、ガイドフレーム15が嵌め付けられている。ガイドフレーム15は、サングラス17の上側の長辺周縁から、左右両側の短辺周縁の途中部位まで延びる下向きコの字状に形成されている。ガイドフレーム15の内周に沿って嵌合溝151aが形成され、この嵌合溝151aにサングラス17の前記長辺周縁及び左右両側の前記短辺周縁が嵌め付けられる。
ガイドフレーム15の左右両側は、サングラス17のスライドを案内するガイド部152として形成されている。ガイド部152の嵌合溝151aの底部には、溝152aが形成されている。また、サングラス17の前記短辺周縁には、溝152aに係合する上下二つの突起、すなわち、上ストッパ17bと下ストッパ17aとが形成されている。
【0014】
溝152aの下端には、上ストッパ17bと当接することでサングラス17がそれ以上スライドしないように規制し、サングラス17がガイドフレーム15から脱出しないようにする当接部152bが形成されている。
また、この当接部152bの先端は円弧部152cとして形成され、上ストッパ17bよりも小さい半円状に形成された下ストッパ17aが、この円弧部152cに摺接しつつガイド部152を押し拡げるように弾性変形させることで、溝152aの下端から脱出できるようになっている。これにより、サングラス17をガイドフレーム15から引き出すことが可能になる。
ガイドフレーム15は、シリコン樹脂やアクリル樹脂等の樹脂材料で形成するのが好ましいが、アルミ等の金属で形成することも可能である。
【0015】
ガイドフレーム15の中央には、支持部材12を挟むように対向して二つの回転支持部16が凸設されている。サングラス17を上下方向に回動させる上下回転軸14は、支持部材12を挿通して回転支持部16に支持される。
図2(b)に示すように、左右回転軸13及び上下回転軸14と支持部材12の貫通孔12aとはラチェット機構により、任意の回転角度位置で停止させることができるようになっている。
【0016】
図3及び図4は、本発明のサングラス装置1の使用態様を説明する図である。
サングラス17を使用しないときには、図3(a)に示すように、サングラス17を上方に回動させてサンバイザ2の下面に収納しておく。
サンバイザ17を使用する際には、図3(b)に示すように、サングラス17を下方に回動させて、運転者Dの目の前に位置させる。
小柄な体格の運転者の場合、通常の運転者におけるサングラス17の位置では、サングラス17としての機能を発揮できない場合がある。このような小柄な運転者の場合は、図3(c)に示すように、サングラス17を下方にスライドさせるとよい。これにより、サングラス17の機能を十分に発揮することができる。
太陽光が運転者Dに対してその角度位置を変え、横方向から差し込んでくる場合には、図4に示すようにクリップ11に対してサングラス17を横方向に回動させて、サングラス17の位置を太陽光の差し込み方向に向ける。
【0017】
図5は本発明のサングラス装置の他の実施形態を示す正面図である。
この実施形態において先の実施形態と同一部材、同一部位には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
この実施形態のサングラス装置1′は、ガイドフレーム15の中央に対向配置された二つの回転支持部16の間隔が、支持部材12の幅よりも広幅になるようになっている。そして、二つの回転支持部16の間に一つの上下回転軸14′が架け渡され、その両端が二つの回転支持部16によって支持されている。上下回転軸14′の一端から他端まで、その外周面に凹凸が形成されていて、支持部材12が上下回転軸14′のどの位置にあっても、ラチェット機構として作用するようになっている。
この構成によれば、図5中仮想線で示すように、回転支持部16とともにサングラス17を、支持部材12と回転支持部材16との間の隙間分だけ、左右にスライドさせることができる。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態のサングラス装置は、サングラス17を前後方向にスライドさせる機構を備える。
図6は、本発明のさらに他の実施形態にかかるサングラス装置の側面図である。
クリップ11の下側にはソケット18が一体に取り付けられ、その内部には、前後方向(抜き挿し方向)に所要間隔でノッチ18a,18aが形成されている。支持部材12,回転支持部16,ガイドフレーム15及びサングラス17等は、ソケット17に抜き挿し自在に挿入されるプラグ19の一端に設けられる。プラグ19にはソケット18のノッチ18aに係合する突起19aが形成されていて、プラグ19をソケット18に対して前後方向に移動させつつこの突起19aとノッチ18aとの係合位置を変えることで、クリップ11に対するサングラス17の前後位置を調整することができる。
【0019】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の接続構造は上記のものに限られない。
例えば、上記の説明でサングラス17を格納位置及び引き出し位置とで位置決めする位置決め手段は、サングラス17に形成された上下のストッパ17a,17b、溝152a、当接部152b及び円弧部152c等で構成されているものとして説明したが、同様の作用を奏するのであれば、その構成は上記のものに限られず、公知の種々の機構を用いることができる。例えば、ガイドフレームとの摩擦で位置決めできるものでもよく、ラチェット機構により段階的にサングラス17が引き出されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、乗用車やトラック,バス,列車などあらゆる車両の他、航空機や船舶などのサンバイザに適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のサングラス装置の一実施形態にかかり、図1(a)はその構成を説明する正面図、図1(b)は図1(a)のサングラス装置におけるガイド部の部分拡大断面図である。
【図2】図2(a)は図1のサングラス装置のクリップ部分の平面図、図2(b)は回転軸のラチェット機構を説明する図である。
【図3】本発明のサングラス装置の使用態様を説明する図である。
【図4】本発明のサングラス装置1使用態様を説明する図である。
【図5】本発明のサングラス装置の他の実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態にかかるサングラス装置の側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1,1′ サングラス装置
11 クリップ
12 支持部材
13 左右回転軸
14 上下回転軸
15 ガイドフレーム
16 回転支持部
17 サングラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車等の車両に設けられたサンバイザに、サングラス(17)を着脱自在に取り付けるサングラス装置(1)であって、
前記サングラスを前記サンバイザに着脱自在かつ収納位置と使用位置との間で回動自在に取り付けるクリップ(11)と、
前記サングラス(17)の上部の長辺周縁から両側部の短辺周縁の途中部位まで嵌め付けられ、両側部の短辺周縁に嵌め付けられる部分が前記サングラスの進退移動を案内するガイド部(152)として形成されたガイドフレーム(15)と、
前記ガイド部(152)及び前記サングラス(17)の少なくとも一方に形成され、前記サングラス(17)を格納位置及び引き出し位置で位置決めする位置決め手段(17a,17b,152a,152b)と、
を有することを特徴とするサングラス装置。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記ガイド部(152)に形成された溝(152a)と、前記サングラス(17)の前記溝(152a)に対応する位置に設けられ、引き出し位置で前記溝(152a)の下端(152c)に当接する上ストッパ(17b)と、前記溝(152a)から引き出し方向に出没自在であるとともに、格納位置で前記溝(152a)の下端と係合する下ストッパ(17a)とを有することを特徴とする請求項1に記載のサングラス装置。
【請求項3】
前記サングラスは前記クリップに前後方向に位置調整自在に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサングラス装置。
【請求項4】
前記サングラスを前記クリップに対して左右方向にスライド自在にする左右方向スライド機構を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサングラス装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−73598(P2011−73598A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227652(P2009−227652)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(301068789)株式会社三興 (4)
【出願人】(505229564)株式会社オプティカ クリエーション (3)