説明

サンシェード装置

【課題】簡便な構成で引出し部材とスライダーとを連結することにより、部品点数の低減及びコストの削減を実現する。
【解決手段】本発明のサンシェード装置10は、サンシェード12を引き出し可能な引出し部材20と、前記引出し部材20と連結される一対のスライダー32と、を備え、前記引出し部材20及び前記スライダー32のうち一方には嵌合部40が形成され、他方には被嵌合部46が形成されるとともに、前記引出し部材20及び前記スライダー32のうち一方には、他方を受けるための受け部50が形成され、前記嵌合部40を前記被嵌合部46に嵌合させつつ、前記引出し部材20と前記スライダー32とを相対的に回転することで、これらを組付状態と着脱可能状態との間で変更可能とされ、前記引出し部材20と前記スライダー32とが組付状態であるときに前記受け部50が他方を受けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドウを遮光するためのサンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のウインドウを遮光するサンシェード装置として、例えば下記特許文献1,2に記載のものが知られている。このサンシェード装置では、シェード引出し部材に取り付けられたシャフトが、ガイドレールに摺動自在に嵌装されたスライダーに連結されることで、シェード引出し部材がガイドレールに沿って上下方向に移動可能とされている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記構成において、シャフトとスライダーとが回転不能に固定されていると、僅かな設計誤差によりシャフトとスライダー、あるいはスライダーとガイドレールとの間に捻れが生じ、シェード引出し部材を円滑に上下移動させることができなくなる場合がある。そこで、特許文献2に記載の構成では、シャフトがスライダーに対してボルトで回転自在に連結されることで、シェード引出し部材の円滑な移動を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3281070号公報
【特許文献2】特開2004−75062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献2に記載のシャフトとスライダーとの連結構成においては、両者を連結するために別途ボルトを用意する必要があり、部品点数の増大に伴いコストが増大する。さらに、シャフトとスライダーとの組立時に、ボルトを締めるための工程及び道具が必要となり、工数の増大、さらにはコスト高になり得る。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであって、簡便な構成で引出し部材とスライダーとを連結することにより、部品点数の低減及びコストの削減を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のサンシェード装置は、車両のウインドウを遮光するサンシェードを引き出し可能な引出し部材と、前記引出し部材と連結され、前記ウインドウの両側部に設けられたガイドレールに沿って摺動可能なスライダーと、を備え、前記引出し部材及び前記スライダーのうち一方には嵌合部が形成され、他方には当該嵌合部が嵌め込まれる被嵌合部が形成されるとともに、前記引出し部材及び前記スライダーのうち一方には、他方を受けるための受け部が形成され、前記嵌合部を前記被嵌合部に嵌合させた状態で、前記引出し部材と前記スライダーとを相対的に回転することで、これらを組付状態と着脱可能状態との間で変更可能とされ、前記引出し部材と前記スライダーとが組付状態であるときに前記受け部が他方を受けることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、引出し部材とスライダーとを連結した状態で回転することができるため、両者の連結構成とガイドレールとの間の設計誤差を許容し、引出し部材をガイドレールに沿って円滑に移動させることが可能となる。さらに、引出し部材とスライダーとは、着脱可能状態において嵌合部と被嵌合部とを嵌め込むことで連結可能であるとともに、組付状態にあるときには、両者のうち一方に形成された受け部が他方を受ける構成としているため、互いの嵌合が外れることがない。このように、本発明によれば、引出し部材とスライダーとの連結に、ボルトなどの連結部材を別途用意する必要がない。したがって、部品点数を低減することができるとともに、ボルト締めなどの工数を省略することができるため、コスト削減を実現することが可能となる。
【0009】
本発明のサンシェード装置の好適な構成として、前記被嵌合部は、孔部を備える一方、前記嵌合部は、台座と、前記台座から突出し、前記孔部に回転可能に挿嵌されるピンとを備え、前記ピンの中心と、前記着脱可能状態において前記受け部側に位置する前記台座の第1側面部との間の平面視距離Aaは、前記ピンの中心と、前記組付状態において前記受け部側に位置する前記台座の第2側面部との間の平面視距離Abより小さく、前記ピンの中心と前記台座の前記第1側面部との間の平面視距離Aaは、前記被嵌合部の前記孔部の中心と前記受け部の開口した受入口部との間の平面視距離Baより小さく、前記ピンの中心と前記台座の前記第2側面部との間の平面視距離Abは、前記被嵌合部の前記孔部の中心と前記受け部の前記受入口部との平面視距離Baより大きいものとすることができる。
【0010】
上記構成によれば、嵌合部と被嵌合部、つまり引出し部材とスライダーとを相対的に回転させて、これらを組付状態と着脱可能状態との間で変更することが可能となるとともに、組付状態において、引出し部材とスライダーとの連結が外れることがない。なぜなら、ピンの中心と台座の第1側面部との間の平面視距離Aaが、ピンの中心と台座の第2側面部との間の平面視距離Abより小さいことにより、引出し部材とスライダーとを回転させることでこれらの着脱可能状態と組付状態とを切り換えることが可能となるからである。具体的には、第1側面部側が受け部と対向する状態では着脱可能状態とし、第2側面部側が受け部と対向する状態では組付状態とすることが可能となる。また、ピンの中心と台座の第1側面部との間の平面視距離Aaが、被嵌合部の孔部の中心と受け部の受入口部との間の平面視距離Baより小さいことにより、台座の第1側面部が受け部に干渉することがなく、引出し部材とスライダーとを着脱することが可能となる。さらに、ピンの中心と台座の第2側面部との間の平面視距離Abが、被嵌合部の孔部の中心と受け部の受入口部との平面視距離Baより大きいことにより、組付状態において、台座の第2側面部が被嵌合部の受け部に受けられることとなり、引出し部材とスライダーとの連結が外れることがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明のサンシェード装置によると、簡便な構成で引出し部材とスライダーとを連結することにより、部品点数の低減及びコストの削減を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るサンシェード装置の側面図である。
【図2】サンシェード装置の背面図であって幕体が収容された状態を示す図である。
【図3】サンシェード装置の背面図であって幕体が展開された状態を示す図である。
【図4】サンシェード装置に備わる引出し部材とスライダーとの構成を示す分解斜視図である。
【図5】スライダーの側面図である。
【図6】スライダーの上面図である。
【図7】シャフトの側面図である。
【図8】シャフトの背面図である。
【図9】引出し部材とスライダーとの着脱可能状態の構成を示す上面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】引出し部材とスライダーとの組付状態の構成を示す上面図である。
【図12】図11のD−D線断面図である。
【図13】引出し部材とスライダーとを組付状態から相対的に90°回転した上面図である。
【図14】図13のE−E線断面図である。
【図15】引出し部材とスライダーとの連結構造の一変形例を示す断面図である。
【図16】引出し部材とスライダーとの連結構造の異なる一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図1ないし図14を参照しながら説明する。
図1に示すように、車両1の後部座席2の後方上部にはパッケージトレイ3が配設されており、そのパッケージトレイ3の後部にはサンシェード装置10が設置されている。サンシェード装置10は、図2及び図3にも示すように、可撓性のシート状部材からなる幕体(サンシェード)12を備えており、当該幕体12をリアウィンドウWの車室内側の表面に沿って展開することで、車両1のリアウィンドウWの車室内側を覆うことが可能となっている。幕体12を構成するシート状部材としては、例えば、半透明シート、不透明シート、メッシュシート、織布、不織布等を使用することができる。このようなシート状部材の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニルやポリプロピレン等の合成樹脂材料を使用することができる。
【0014】
また、サンシェード装置10は、幕体12を巻き取るための巻取りシャフト14と、巻取りシャフト14を収容するケース16と、を備えている。巻取りシャフト14は、幕体12をその周囲に巻き取ることが可能な円筒状の部材によって構成されている。この巻取りシャフト14は、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料、あるいは、アルミニウムや鉄などの金属材料によって形成されている。巻取りシャフト14の内部には、幕体12をケース16の内部に巻き取る方向に付勢するための図示しないコイルバネが内蔵されている。
ケース16は、巻取りシャフト14を回転可能な状態でその内部に収容することが可能な角筒状の部材によって構成されている。ケース16は、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料、あるいは、アルミニウムや鉄などの金属材料によって形成されている。ケース16の上方側には、幕体12を上方に引き出すための引出し開口部18が設けられている。
【0015】
幕体12の上端部には、引出し部材20が取り付けられている。引出し部材20は、図2及び図3に示すように、幕体12の引出し端が固定された引出し本体部22と、引出し本体部22の左右の両端部に取り付けられた中空円筒形状の引出しガイド24と、引出しガイド24の両端部に摺動可能に取り付けられたシャフト26とからなる。引出し本体部22は、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料、あるいは、アルミニウムや鉄などの金属材料によって形成されている。引出しガイド24は、引出し本体部22に対するシャフト26の摺動をガイドする。なお、本実施形態では、上記引出し部材20の引出し操作に伴って、可撓性部材からなる幕体12のリアウィンドウWに沿った展開が可能となっている(図3参照)。
【0016】
引出し本体部22の左右の両端部には、長尺の柱状部材(棒状部材)からなる一対のシャフト26がそれぞれ取り付けられている。このシャフト26は、引出し本体部22を支持し、軸断面形状が長手方向に沿って略同一な柱状部材(ここでは正面視L字状部材)からなる。各シャフト26の一端は、引出しガイド24の中空部を通じて、引出し本体部22の左右の両端部に形成された挿入孔28の内部に差し込まれており、当該引出し本体部22内を長手方向に沿って摺動可能となっている。一方、各シャフト26の他端は、後述するガイドレール30a,30bに取り付けられたスライダー32(図1〜図3では図示せず)と連結されている。シャフト26は、例えば、ポリアミドなどのナイロンに代表される合成樹脂、あるいはアルミニウムなどの金属材料によって形成されている。
【0017】
リアウィンドウWの両側部には、軸断面略U型の長尺部材からなる一対のガイドレール30a、30bが付設されている。一対のガイドレール30a、30bは、例えば、鉄やアルミニウム等の金属材料によって形成され、リアウィンドウWの両側部に沿うようにして配置されている。また、一対のガイドレール30a、30bのそれぞれの内側には、スライダー32が上下方向に摺動可能な構成で移動自在に収容されており、スライダー32、ひいては引出し部材20が引出し方向にガイドされる構成となっている。なお、ガイドレール30a、30bは、スライダー32のスライド方向、つまり引出し部材20の引出し方向に直線状をなし、さらに、当該引出し部材20の引出し方向に沿って、互いの距離が接近するように、車幅方向内側に傾斜する形で配置されている。
【0018】
続いて、図2を参照しながら、引出し部材20を上下方向に移動させることで、幕体12の引出し及び巻取り操作を行うための機構について説明する。
図2に示すように、リアウィンドウWの下部にはモータMが配設されており、このモータMの駆動軸にはピニオンギヤ34が取り付けられている。このピニオンギヤ34には、当該ピニオンギヤ34が回転することで一対のガイドレール30a、30bの内側に沿って上下方向に駆動されるギヤードワイヤ36が噛み合っている。このギヤードワイヤ36の先端には、上記したスライダー32が取り付けられている。
【0019】
したがって、モータMの駆動力によってピニオンギヤ34が正転あるいは逆転すると、ギヤードワイヤ36の先端に取り付けられスライダー32が一対のガイドレール30a、30bの内側に沿って上方向あるいは下方向に駆動される。これにより、スライダー32に取り付けられた引出し部材20を上下方向に移動させることが可能となっている。
【0020】
次に、スライダー32の構成について詳細に説明する。
図4は引出し部材とスライダーとの構成を示す分解斜視図、図5はスライダーの側面図、図6はスライダーの上面図である。
スライダー32は、ナイロン、ポリアセタールなどの合成樹脂製とされる。このスライダー32は、図4〜図6に示すように、ガイドレール30a、30b内に摺動可能に収容されるスライド本体部38と、当該スライド本体部38の側面から引出し部材20(シャフト26)に向けて突出し、シャフト26に嵌合される嵌合部40とを有している。スライド本体部38は、その内部にギヤードワイヤ36を収納する収納部38aを有する略箱状部材とされ、ギヤードワイヤ36の駆動に伴ってガイドレール30a、30bの内部を上方向あるいは下方向に移動する。
【0021】
嵌合部40は、スライド本体部38の側面(シャフト26側の面)から延出する台座42と、台座42の主面(表面)42aから突出する円筒形状のピン44とを有する。台座42は、主面42aのほか、第1側面部42b、第2側面部42c、及び第3側面部42dとを有する板状部材である。この台座42は、図6に示すように、大まかには矩形状とされるが、第3側面部42dのうちスライド本体部38側の部分には、その一部が外側へ張り出した平面視三角形状の張出部42eが形成されている。
【0022】
次に、上記したスライダー32と連結される、引出し部材20に備わるシャフト26の構成について詳細に説明する。
図7はシャフトの側面図、図8はシャフトの背面図である。
図4、図7及び図8に示すように、シャフト26は、大まかには柱状部材とされ、スライダー32側の端部(引出し本体部22側の端部とは反対側の端部)には、スライダー32の嵌合部40を嵌め込み可能な被嵌合部46が形成されている。被嵌合部46には、シャフト26の板材を貫通する孔部48が形成されている。孔部48は、円形の断面形状を有しており、スライダー32の嵌合部40に備わるピン44が、この孔部48に回転自在に挿嵌可能となっている。
【0023】
また、シャフト26の裏面側(図7中、下方側)には、スライダー32側に開口した受入口部50aと、スライダー32とは反対側で開口が閉じられた受入奥部50bとを有する形で板材が張り出した受け部50が形成されている。この受け部50は、受入口部50aの高さ方向の幅がスライダー32の嵌合部40(台座42)の厚さとほぼ同一とされており、当該嵌合部40の一部を受け入れ可能となっている。
【0024】
次に、引出し部材20とスライダー32との組付けの手順について説明する。
図9は引出し部材とスライダーとの着脱可能状態の構成を示す上面図、図10は図9のC−C線断面図、図11は引出し部材とスライダーとの組付状態の構成を示す上面図、図12は図11のD−D線断面図、図13は引出し部材とスライダーとを組付状態から相対的に90°回転した上面図、図14は図13のE−E線断面図である。
【0025】
まず、図9及び図10に示すように、スライダー32の台座42の第1側面部42bが、引出し部材20(シャフト26)の受け部50側に位置するように、スライダー32とシャフト26とを配置する。このとき、スライダー32のピン44の中心Pと受け部50側に位置する台座42の第1側面部42bとの間の平面視距離Aaが、被嵌合部46の孔部48の中心Hと受け部50の受入口部50aとの間の平面視距離Baより小さいものとなっている。したがって、台座42の第1側面部42bが受け部50に干渉することがなく、嵌合部40のピン44を被嵌合部46の孔部48に挿嵌することが可能となる。この図9及び図10に示す状態が、引出し部材20とスライダー32とを互いに脱着することが可能な脱着可能状態とされる。なお、ピン44は、孔部48に対して回転可能に挿嵌されている。
【0026】
続いて、上記した引出し部材20とスライダー32とを脱着可能状態(図9及び図10に示す状態)とした状態から、スライダー32をシャフト26(引出し部材20)に対して反時計回りに約90°回転させると、図11及び図12に示すように、台座42の第2側面部42cが受け部50側に位置する状態となる。このとき、図12に示すように、台座42(嵌合部40)の第2側面部42c側の部位が、シャフト26の受け部50に受け入れられた状態となり、スライダー32と引出し部材20とは互いに脱着不能な組付状態となる。引出し部材20とスライダー32とを、この組付状態で使用することで、引出し部材20をガイドレール30a、30bに沿って移動させることができる。
【0027】
ここで、図11に示すように、スライダー32のピン44の中心Pと台座42の第1側面部42bとの間の平面視距離Aaが、ピン44の中心Pと受け部50側に位置する台座42の第2側面部42cとの間の平面視距離Abより小さいものとなっている。これにより、引出し部材20とスライダー32とを回転させることでこれらの着脱可能状態と組付状態とを切り換えることが可能となり、具体的には第1側面部42b側が受け部50と対向する状態では着脱可能状態とし、第2側面部42c側が受け部50と対向する状態では組付状態とすることが可能となる。
【0028】
また、図11及び図12に示すように、スライダー32のピン44の中心Pと受け部50側に位置する台座42の第2側面部42cとの間の平面視距離Abが、被嵌合部46の孔部48の中心Hと受け部50の受入口部50aとの間の平面視距離Baより大きいものとなっている。これにより、組付状態において、台座42の第2側面部42cが被嵌合部46の受け部50に受けられることとなり、引出し部材20とスライダー32との連結が外れることがない。
【0029】
さらに、スライダー32のピン44の中心Pと、台座42のうち受け部50側に位置する部位のうちピン44の中心Pからの平面視距離が最も大きい部位(ここでは、台座42の第1側面部42bと第2側面部42cとで構成される角部42f)との間の平面視距離Acが、被嵌合部46の孔部48の中心Hと、受け部50の受入奥部50bとの間の平面視距離Bbより小さいものとなっている。これにより、シャフト26とスライダー32とを相対的に回転させたときに、台座42の角部42fが受け部50に干渉することがなく、シャフト26とスライダー32とが回転自在となる。
【0030】
また、引出し部材20とスライダー32とを上記した組付状態(図11及び図12に示す状態)とした状態から、スライダー32をシャフト26(引出し部材20)に対して反時計回りに約90°回転させると、図13及び図14に示すように、台座42の第3側面部42dが受け部50側に位置する状態となる。このとき、スライダー32のピン44の中心Pと台座42の張出部42eとの間の平面視距離Adが、被嵌合部46の孔部48の中心Hと受け部50の受入口部50aとの間の平面視距離Baよりも大きいものとなっている。これにより、台座42の第3側面部42dを受け部50側に位置させた状態では、台座42の第3側面部42dに設けられた張出部42eが、受け部50に受け入れられた状態となり、シャフト26とスライダー32との連結が外れることはない。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るサンシェード装置10によれば、スライダー32には嵌合部40が形成され、引出し部材20には当該嵌合部40が嵌め込まれる被嵌合部46が形成されるとともに、引出し部材20には、スライダー32を受けるための受け部50が形成されている。そして、嵌合部40を被嵌合部46に嵌合させた状態で、引出し部材20とスライダー32とを相対的に回転することで、これらを組付状態と着脱可能状態との間で変更可能とされ、引出し部材20とスライダー32とが組付状態であるときに受け部50が他方を受ける構成となっている。
【0032】
このような構成によれば、引出し部材20とスライダー32とを連結した状態で回転することができるため、両者の連結構成とガイドレール30a、30bとの間の設計誤差を許容し、引出し部材20をガイドレール30a、30bに沿って円滑に移動させることが可能となる。さらに、引出し部材20とスライダー32とは、着脱可能状態において嵌合部40と被嵌合部46とを嵌め込むことで連結可能であるとともに、組付状態にあるときには、被嵌合部46に形成された受け部50が他方を受ける構成としているため、互いの嵌合が外れることがない。このように、本実施形態の構成によれば、引出し部材20とスライダー32との連結に、ボルトなどの連結部材を別途用意する必要がない。したがって、部品点数を低減することができるとともに、ボルト締めなどの工数を省略することができるため、コスト削減を実現することが可能となる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態を示したが、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、例えば以下のような変形例を含むこともできる。なお、以下の各変形例において、上記実施形態と同様の部材には、上記実施形態と同符号を付して図示及び説明を省略するものもある。
【0034】
[第1変形例]
引出し部材20とスライダー32との連結構造の一変形例として、図15に示すような構成を採用することができる。図15に示すように、引出し部材120に備わるシャフト126のうちスライダー32側の端部には、嵌合部140が形成されている。この嵌合部140は、スライダー132に向けて延出する台座142と、当該台座142から突出するピン144とから構成されている。さらに、シャフト126の裏面側(図15中、下方側)には、受け部50が形成されている。この受け部50には、スライダー32の被嵌合部146が受け入れ可能となっている。
【0035】
一方、スライダー132のうちシャフト126側の端部には、上記嵌合部140が嵌合される被嵌合部146が形成されている。被嵌合部146には、上記したピン144が回転自在に挿嵌される孔部148が貫通形成されている。
【0036】
以上、本例のように、シャフト126(引出し部材120)に嵌合部140が形成される一方、スライダー132に当該嵌合部140と嵌め込み可能な被嵌合部146を形成した構成としても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0037】
[第2変形例]
引出し部材20とスライダー32との連結構造の異なる一変形例として、図16に示すような構成を採用することができる。図16に示すように、スライダー232のうちシャフト226側の端部には、嵌合部40が形成されている。この嵌合部40は、台座42と、当該台座42から突出するピン44とから構成されている。さらに、スライダー232の台座42の裏側(図16中、下方側)には、シャフト226に向けて開口した受入口部250aを有する受け部250が形成されている。この受け部250には、シャフト226の被嵌合部46が受け入れ可能となっている。
【0038】
一方、引出し部材220に備わるシャフト226のうちスライダー232側の端部には、上記嵌合部40を嵌合可能な被嵌合部46が形成されている。被嵌合部46には、上記したピン44が回転自在に挿嵌される孔部48が設けられている。
【0039】
以上、本例のように、スライダー232が、シャフト226(引出し部材220)を受け入れ可能な受け部250を備える構成としても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0040】
[その他の変形例]
(1)上記実施形態では、車両のリアウィンドウを覆うためのサンシェード装置について説明したが、本発明はこのような態様に制限されるものではない。本発明は、例えば、車両のサイドウィンドウを覆うためのサンシェード装置に適用することも可能である。
【0041】
(2)上記実施形態では、引出し部材をモータの駆動力によって上下方向に移動させる例について説明したが、引出し部材を手動によって上下方向に移動させてもよい。
【0042】
(3)上記した実施形態では、孔部としてシャフトあるいはスライダーに貫通形成されたものを例示したが、孔部の形態はこれに限られるものではなく、例えばピンが挿嵌可能な程度に凹みを有するものであってもよい。
【0043】
(4)上記した実施形態では、ピンとして円筒形状のものを例示したが、ピンの形態はこれに限られるものではなく、例えば先端の尖った円錐形状のものであってもよい。この場合、孔部も当該ピンの形状に従って円錐形状とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1…車両、10…サンシェード装置、12…幕体(サンシェード)、20,120,220…引出し部材、30a,30b…ガイドレール、32,132,232…スライダー、40…嵌合部、42…台座、42b…台座の第1側面部、42c…台座の第2側面部、44…ピン、46…被嵌合部、48…孔部、50…受け部、50a…受け部の受入口部、H…孔部の中心、P…ピンの中心、W…ウインドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドウを遮光するサンシェードを引き出し可能な引出し部材と、
前記引出し部材と連結され、前記ウインドウの両側部に設けられたガイドレールに沿って摺動可能なスライダーと、を備え、
前記引出し部材及び前記スライダーのうち一方には嵌合部が形成され、他方には当該嵌合部が嵌め込まれる被嵌合部が形成されるとともに、
前記引出し部材及び前記スライダーのうち一方には、他方を受けるための受け部が形成され、
前記嵌合部を前記被嵌合部に嵌合させた状態で、前記引出し部材と前記スライダーとを相対的に回転することで、これらを組付状態と着脱可能状態との間で変更可能とされ、前記引出し部材と前記スライダーとが組付状態であるときに前記受け部が他方を受けることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項2】
前記被嵌合部は、孔部を備える一方、
前記嵌合部は、台座と、前記台座から突出し、前記孔部に回転可能に挿嵌されるピンとを備え、
前記ピンの中心と、前記着脱可能状態において前記受け部側に位置する前記台座の第1側面部との間の平面視距離Aaは、前記ピンの中心と、前記組付状態において前記受け部側に位置する前記台座の第2側面部との間の平面視距離Abより小さく、
前記ピンの中心と前記台座の前記第1側面部との間の平面視距離Aaは、前記被嵌合部の前記孔部の中心と前記受け部の開口した受入口部との間の平面視距離Baより小さく、
前記ピンの中心と前記台座の前記第2側面部との間の平面視距離Abは、前記被嵌合部の前記孔部の中心と前記受け部の前記受入口部との平面視距離Baより大きいことを特徴とする請求項1に記載のサンシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−247569(P2010−247569A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96353(P2009−96353)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)