説明

サンシェード装置

【課題】スクリーンの引出状態で、アームを目立たなくしつつコンパクトにすること。
【解決手段】巻取装置20と、巻取装置20に対して引出収納可能なスクリーン30と、本体部41と一対の連結端部42とを有しスクリーン30の引出側端部に取付けられたステイ40と、先端部が連結端部42に相対回転可能に連結されると共に基端部が巻取装置20に相対回転可能に支持され、回転動作により折畳姿勢と展開姿勢との間で姿勢変更可能な一対のアーム50とを備え、一対のアーム50は、展開姿勢で縦枠104側に延びる一端側部分54およびその先端部から屈曲して縦枠104に沿う他端側部分56とを有する回動基部52と、他端側部分56に連結され展開姿勢で縦枠104に沿うアーム部58とを有し、一対の連結端部42はそれぞれスクリーン30の引出収納方向に沿って伸長方向に付勢された状態で伸縮可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スクリーンを車両のウインドウに沿って展開し、ウインドウを遮蔽する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サンシェード装置として、特許文献1に開示の技術がある。特許文献1の電動サンシェード装置は、車両のリアウインドウに対応する形状のスクリーンの下端を巻取ローラに、上端を横枠に固着し、両者間で縦枠アームを用いてスクリーンを上下に展開して、リアウインドウを遮蔽するものである。上記巻取ローラは、内在するコイルスプリングにより常時スクリーンを巻き取る方向に付勢している。より具体的には、この電動サンシェード装置は、特許文献1の図3のように、取付部、回動部及びアーム部を有する縦枠アームを備えている。縦枠アームは、回動軸が取付部の基端の裏面に突設されてモータに直結され、ウインドウと平行な平面に沿って上下方向に回動自在に構成されている。また、縦枠アームは、横枠に対して、アーム部の上端が左右に摺動自在となるように、スライド部材を介して取り付けられている。そして、縦枠アームの回動に伴ってスライド部材が横枠に沿って左右に摺動し、スクリーンが上下に展開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−62442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、縦枠アームは、スクリーンの展開状態で、取付部が窓枠側に指向するように構成されているため、アーム部が回動部よりスクリーンの幅方向中心側、つまり、ウインドウの縦枠から離れた位置に配設される。これにより、スクリーンの展開状態では、ウインドウ上で縦枠アームが目立つ恐れがあった。
【0005】
アーム(縦枠アーム)を目立たないようにするためには、スクリーンの引出(展開)状態でアームがウインドウの縦枠に近い位置で当該縦枠に沿って配設されるとよい。例えば、アームを、スクリーンの引出状態で基端側部分がウインドウの縦枠に向けて延びると共に先端側部分がウインドウの縦枠に沿って配設されるように形成することができるかもしれない。この形状によると、アームの展開動作において、ステイ(横枠)が展開状態よりさらに展開側まで移動されてから展開状態の位置に戻る過移動が生じる。
【0006】
この過移動の対応策として、アームに、ステイの過移動を吸収する機構を設けることができるかもしれない。しかしながら、アームに上記のような吸収機構を設けると、アーム自体をコンパクトにすることが困難である。
【0007】
そこで、本発明は、スクリーンの引出状態でアームを目立たなくしつつ、アームをコンパクトにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係るサンシェード装置は、ウインドウを遮蔽可能なサンシェード装置であって、巻取装置と、前記巻取装置に対して引出収納可能に取り付けられたスクリーンと、本体部と前記本体部の両端部に取り付けられた一対の連結端部とを有し、前記スクリーンの引出側端部に取り付けられたステイと、先端部が前記ステイの前記一対の連結端部に対してそれぞれ相対回転可能に連結されると共に、基端部が前記巻取装置に対して回転軸周りに相対回転可能に支持され、前記回転軸周りの回転動作により、前記スクリーンを収納状態にする折畳姿勢と前記スクリーンを引出状態にする展開姿勢との間で姿勢変更可能な一対のアームと、を備え、前記一対のアームは、前記展開姿勢で前記回転軸より前記ウインドウの縦枠側に向けて延びる一端側部分および前記一端側部分の先端部から屈曲する態様で前記ウインドウの縦枠に沿って延びる他端側部分とを有する回動基部と、前記回動基部の前記他端側部分の先端部に対して相対回転可能に連結され前記展開姿勢で前記ウインドウの縦枠に沿って延びるアーム部とを有し、前記ステイの前記一対の連結端部は、それぞれ前記スクリーンの引出収納方向に沿って伸長方向に付勢された状態で伸縮可能に構成されている。
【0009】
第2の態様に係るサンシェード装置は、第1の態様に係るサンシェード装置であって、前記連結端部は、前記本体部の各端部に固定された固定部と、前記アーム部が相対回転可能に連結されると共に前記固定部に対して前記スクリーンの引出収納方向に沿って相対的に接離移動可能な進退部とを有し、前記固定部と前記進退部とは、前記付勢部材により離間方向に付勢されている。
【0010】
第3の態様に係るサンシェード装置は、第1又は第2の態様に係るサンシェード装置であって、前記一対のアームは、板状部材により構成されている。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係るサンシェード装置によると、一対のアームは、展開姿勢で回動基部の一端側部分が回転軸よりウインドウの縦枠側に向けて延びると共に、他端側部分及びアーム部がウインドウの縦枠に沿って延びるように構成されている。これにより、一対のアームは、展開姿勢で他端側部分及びアーム部がウインドウの縦枠に近い位置で当該縦枠に沿って配設される。また、ステイの連結端部が伸縮可能に構成されることにより、上記一対のアームの回動基部の屈曲形状によるスクリーン引出時のステイの過移動を吸収可能であり、アーム自体に過移動を吸収する構成を設けることを避けることができる。このため、スクリーンの引出状態でアームを目立たなくしつつ、アームをコンパクトにすることができる。
【0012】
第2の態様に係るサンシェード装置によると、連結端部が、アーム部と連結される進退部が別体の固定部に対して相対的に移動することにより伸縮可能に構成されているため、一対のアームの姿勢変更をより安定して行うことができる。
【0013】
第3の態様に係るサンシェード装置によると、一対のアームが板状部材により構成されているため、スクリーンの引出状態において、ウインドウに対する略直交方向の占有領域を小さくすることができる。これにより、一対のアームが窓枠内に収容されるような形態で使用される場合等、アーム収容部の開口を比較的小さくすることができる。また、スクリーンの収納状態において、サンシェード装置全体としてコンパクトにすることができる。これにより、サンシェード装置の車体組付工程への搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スクリーンの引出状態のサンシェード装置を示す平面図である。
【図2】スクリーンの収納状態のサンシェード装置を示す平面図である。
【図3】ステイの連結端部を示す斜視図である。
【図4】アームの姿勢変更動作を示す図である。
【図5】図4の姿勢Aのステイの連結端部を示す図である。
【図6】図4の姿勢Bのステイの連結端部を示す図である。
【図7】図4の姿勢Cのステイの連結端部を示す図である。
【図8】図4の姿勢Dのステイの連結端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態に係るサンシェード装置について説明する。本サンシェード装置は、スクリーンを用いてウインドウを遮蔽するための装置である。
【0016】
<1.適応対象について>
説明の便宜上、本サンシェード装置10の適応対象となるウインドウ100について説明する(図1、図2参照)。
【0017】
本サンシェード装置10の適応対象は、車両の各種ウインドウ100である。ここでは、ウインドウ100は、自動車のリアウインドウであり、略台形に形成されているものとして説明する。また、ウインドウ100は、自動車の幅方向に沿った天井側横枠102及び床側横枠103と、天井側横枠102及び床側横枠103に隣接する一対の縦枠104とを有する窓枠により4辺を囲まれている。ここで、天井側横枠102、床側窓枠103、縦枠104は、ウインドウ100の縁部に配設された部分に加え、その周囲の車両の内装の樹脂パネル等(ルーフ、リアトレイ、トリム等)を含む部分を指す。
【0018】
もっとも、サンシェード装置10は、自動車のリアウインドウに適応される場合に限られず、他にも車体側部に設けられたウインドウに適用されてもよい。
【0019】
<2.サンシェード装置の構成>
サンシェード装置10の構成について説明する(図1、図2参照)。
【0020】
本サンシェード装置10は、巻取装置20と、スクリーン30と、ステイ40と、一対のアーム50とを備えている。概略的には、サンシェード装置10は、巻取装置20に取り付けられたスクリーン30を、一対のアーム50の姿勢変更によりステイ40を介して引出収納操作可能に構成されている。
【0021】
巻取装置20は、基部22と巻取シャフト24とを有し、巻取シャフト24が基部22に対して、軸周りに相対回転可能に支持されると共に図示省略の付勢部材(コイルバネ)により前記軸周りの回転方向一方側に回転付勢されて構成されている。基部22は、ネジ止め等により車体に取り付け可能に形成されているとよい。
【0022】
スクリーン30は、対象となるウインドウ100の形状、大きさに応じてメッシュ状の布、樹脂シート等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状の部材である。このスクリーン30は、自動車のウインドウを通じて入射する光を遮光可能な布材を用いて形成されているとよい。ここでは、スクリーン30は、ウインドウ100に対応して略台形に形成されている(図1参照)。もっとも、スクリーン30の形状はこれに限られず、例えば、長方形等の形状でもよい。
【0023】
また、スクリーン30は、巻取装置20に対して引出収納可能に取り付けられている。より具体的には、スクリーン30は、一端部(ここでは略台形の長辺部分)が、巻取装置20の巻取シャフト24に対して、その長手方向に沿って取り付けられている。この取り付け状態は、スクリーン30が収納状態(図2参照)と引出状態(図1参照)との間の範囲で収納方向に引張られた状態(巻取付勢された状態)に維持されるように設定されている。つまり、スクリーン30は、外力が加えられない状態では、巻取装置20に対して収納状態に維持される。
【0024】
上記スクリーン30が取り付けられた巻取装置20は、スクリーン30をウインドウ100に沿って床側横枠103から天井側横枠102に向けて引出可能な姿勢で、ウインドウ100の床側横枠103内に配設されている。この床側横枠103は、天井側横枠102に向けて開口し、この開口を通じてスクリーン30を引出収納可能に構成されている。ここでは、床側横枠103は、スクリーン30の収納状態でサンシェード装置10全体を収容可能に構成されているものとする。
【0025】
また、スクリーン30の引出側端部(ここでは略台形の短辺部分)にはステイ40が取付けられている。より具体的には、ステイ40は、全体として長尺棒状に形成され、スクリーン30の引出側端部に沿うように取り付けられている。そして、このステイ40を巻取装置20に対してスクリーン30の引出収納方向に接離移動させることにより、スクリーン30が引出収納される。
【0026】
このステイ40は、本体部41と一対の連結端部42とを有している。より具体的には、ステイ40は、長尺棒状に形成された本体部41の両端部にそれぞれ連結端部42が取り付けられた構成である。この一対の連結端部42には、それぞれ後述する一対のアーム50が連結される。連結端部42は、スクリーン30の引出収納方向に沿って伸縮可能に構成されている。より具体的には、連結端部42は、本体部41の各端部に固定された固定部44と、アーム50が相対回転可能に連結されると共に固定部44に対してスクリーン30の引出収納方向に沿って相対的に接離移動可能な進退部47とを有している(図3参照)。
【0027】
固定部44は、略直方体に形成され、その一側面が本体部41の各端部に固定される部材である。この固定部44には、その一主面(本体部41の長手方向に略直交する1つの面)で開口する収容凹部45を有している。収容凹部45の開口方向は、ステイ40が取り付けられたスクリーン30の収納方向と略同方向である。収容凹部45は、進退部47の先端側部分を収容可能、かつ、この収容状態で進退部47を奥行方向(スクリーン30の引出収納方向と略同方向)に沿って移動可能に形成されている。この収容凹部45は、進退部47の断面形状より大きい(ここでは僅かに大きい)断面形状に形成されている。そして、収容凹部45は、進退部47が内壁面に接触することにより、進退部47を奥行方向に移動するようにガイド可能である。
【0028】
また、固定部44には、後述する進退部47の被ガイド部49をガイド可能なガイド部46が形成されている。このガイド部46は、固定部44の一主面と隣接する面(ここでは本体部41の取付面に対向する面)で開口すると共に収容凹部45内に貫通し、収容凹部45の奥行方向に沿って長尺な長孔状に形成されている。そして、ガイド部46は、長孔の長尺方向の範囲内で被ガイド部49をガイドする。すなわち、ガイド部46は、被ガイド部49が移動可能な範囲内で進退部47の移動を規制可能に構成されている。また、ガイド部46は、固定部44に対して収容凹部45の壁面に沿って移動する進退部47を補助的にガイドする。
【0029】
進退部47は、基端側部分に後述するアーム50を連結可能に形成されている。より具体的には、進退部47は、ステイ40に取り付けられるスクリーン30に略直交する方向に沿った軸周りに相対回転可能にアーム50を連結可能に形成されている。ここでは、進退部47とアーム50とは、後述するようにピン等により相対回転可能に連結される。
【0030】
また、進退部47は、固定部44のガイド部46によりガイド(移動規制)される被ガイド部49を有している。より具体的には、被ガイド部49は、進退部47の先端側部分が固定部44の収容凹部45内に収容された状態で、ガイド部46の貫通方向に沿ってガイド部46内に突出するように形成されている。ここでは、被ガイド部49は、ガイド部46の開口を通じて、固定部44の外方から収容凹部45内に収容された進退部47の先端側部分に対して取り付けられたネジである。ガイド部46と被ガイド部49との関係では、被ガイド部49のうちガイド部46内に配設される部分の幅寸法(ここでは直径)が、ガイド部46の幅寸法より僅かに大きく形成されている。そして、進退部47は、被ガイド部49がガイド部46にガイドされる範囲内で、固定部44に対して移動可能に構成されている。
【0031】
上記固定部44と進退部47とは、連結端部42全体として伸長状態となるように、付勢部材43により離間方向に付勢されている。より具体的には、付勢部材43は、収容凹部45の奥行方向(進退部47の移動方向)に沿って付勢力を作用させるように配設されている。ここでは、付勢部材43は、コイルバネであり、収容凹部45内にその奥行方向に沿って圧縮された状態で配設されている。もっとも、付勢部材43は、コイルバネに限られるものではなく、板バネ、その他の弾性部材等を採用してもよい。また、ここでは、付勢部材43は、その一端部を進退部47の先端側部分に形成されたバネ受け部48に配設する態様で、固定部44と進退部47との間に配設される。このバネ受け部48は、収容凹部45の底部に向けて進退部47の先端部で開口する凹形状に形成されている。
【0032】
そして、連結端部42は、固定部44と進退部47とが近接する向きに外力が作用しない状態では、付勢部材43の付勢力により、固定部44と進退部47とが離間した伸長状態に維持される(図5参照)。また、固定部44と進退部47とが近接する向きに付勢部材43の付勢力以上の外力が作用すると、付勢部材43がさらに圧縮されて固定部44と進退部47とが近接した圧縮状態となる(図7参照)。なお、被ガイド部49は、伸長状態ではガイド部46の基端部に当接した位置に配設され、圧縮状態ではガイド部46の基端部より先端部側に移動された位置に配設される。
【0033】
また、連結端部42には、スクリーン30の引出操作時にウインドウ100の一主面に接触し、ステイ40が当該一主面に沿って移動するようにガイドするガイド体84が設けられていてもよい。例えば、ガイド体84として、円板部材をステイ40の長尺方向に沿った軸周りに回転可能なように、連結端部42の先端部に配設することができる(図3参照)。このようなガイド体84を設ける場合、図3では省略しているが、収容凹部45内に収容される進退部47の先端部には、ガイド体84との干渉を避けるためにガイド体84の位置に対応してスリットが形成される。
【0034】
本サンシェード装置10は、ステイ40と巻取装置20との間に一対のアーム50が取り付けられ、一対のアーム50の動作に応じてステイ40が巻取装置20に対して接離移動して、スクリーン30が引出収納操作されるように構成されている(図1、図2参照)。
【0035】
一対のアーム50は、先端部がステイ40の連結端部42に対して相対回転可能に連結されると共に、基端部が巻取装置20に対して回転軸(後述する第1連結部C1の回転軸)周りに相対回転可能に支持されている。そして、一対のアーム50は、回転軸周りの回転動作により、スクリーン30を収納状態にする折畳姿勢とスクリーン30を引出状態にする展開姿勢との間で姿勢変更可能に構成されている。この一対のアーム50は、それぞれ回動基部52と、アーム部58とを有している。
【0036】
回動基部52は、屈曲部55を有する略L字形状(ここでは鈍角に屈曲された形状)に形成され、屈曲部55より基端側の一端側部分54の一部分が、巻取装置20の基部22(ここでは長手方向端部側の箇所)に対して、ピン等により、引出状態のスクリーン30に略直交する回転軸周りに相対回転可能に連結され、支持されている。以下、この連結部分を、第1連結部C1として説明する。ここでは、回動基部52は、巻取装置20から引出されるスクリーン30と干渉しないように、引出状態のスクリーン30に略直交する方向において、スクリーン30と間隔をあけた仮想平面上で動作するように基部22に支持されている。また、この回動基部52のうち屈曲部55より先端側の他端側部分56の先端部は、アーム部58の基端部と連結可能に形成されている。
【0037】
より具体的には、回動基部52は、アーム50が展開姿勢の状態で、屈曲部55より基端側の一端側部分54が第1連結部C1からウインドウ100の縦枠104側に向けて延びると共に、屈曲部55より先端側の他端側部分56が縦枠104に沿って延びる姿勢で、巻取装置20に支持されている(図1参照)。ここでは、アーム50が展開姿勢の状態で、回動基部52の他端側部分56は、縦枠104に近い位置で縦枠104に沿って配設されるように構成されている。
【0038】
アーム部58は、長尺棒状に形成されており、その先端部がステイ40の連結端部42の進退部47に対して相対回転可能に連結されていると共に、基端部が回動基部52の先端部に対して相対回転可能に連結されている。より具体的には、アーム部58は、進退部47及び回動基部52に対して、ピン等により、引出状態のスクリーン30に略直交する軸周りに相対回転可能に連結されている。以下、アーム部58と回動基部52との連結部分を第2連結部C2、アーム部58と連結端部42との連結部分を第3連結部C3とする。
【0039】
また、アーム部58は、アーム50が展開姿勢の状態では、回動基部52の他端側部分56に対して略直線上に配設され、縦枠104に沿った姿勢になるように構成されている。ここでは、アーム部58は、アーム50が展開姿勢の状態で、回動基部52の他端側部分56と共に縦枠104に近い位置で縦枠104に沿って配設されるように構成されている。
【0040】
ここでは、上記一対のアーム50は、板状部材により構成されている。より具体的には、アーム50は、板状の回動基部52と板状のアーム部58とが、その厚さ方向に重ねられた状態で連結されて構成されている(第2連結部C2)。すなわち、一対のアーム50は、その厚さ方向が引出状態のスクリーン30に略直交する姿勢で、巻取装置20及びステイ40に連結されると共に姿勢変更される。
【0041】
また、一対のアーム50には、展開姿勢からそれ以上展開方向に姿勢変更されることを防止するためのストッパー(図示省略)が設けられているとよい。例えば、ストッパーとしては、一対のアーム50が展開姿勢に姿勢変更された位置で回動基部52またはアーム部58の側縁部に当接し、一対のアーム50の展開方向への姿勢変更を規制する構成を採用することができる。
【0042】
そして、一対のアーム50は、折畳姿勢の状態では、回動基部52とアーム部58とが、第2連結部C2を巻取装置20及びステイ40の長手方向(車両、ウインドウ100の幅方向)中心側に向けるように、第2連結部C2の位置で折れ曲がった状態となる(図2参照)。ここでは、一対のアーム50とステイ40とスクリーン30とは、一対のアーム50が折畳姿勢の状態で、巻取装置20と共に床側横枠103内に配設されている。また、展開姿勢のアーム50は、回動基部52の一端側部分54が床側横枠103の開口を通じて部分的に露出されると共に、他端側部分56とアーム部58とが、略直線状の姿勢で縦枠104に近い位置で縦枠104に沿って配設された状態となる。
【0043】
なお、自動車の種類によっては、回動基部52の他端側部分56とアーム部58とが縦枠104内に収容されるように、一対のアーム50が構成されていてもよい。より具体的には、縦枠104に回動基部52の他端側部分56とアーム部58と(連結端部42の一部と)を収容可能な凹部が形成されているような自動車のウインドウ周辺の構成が考えられる。この場合、一対のアーム50は、展開姿勢において、回動基部52の他端側部分56とアーム部58とが縦枠104に沿う姿勢で当該凹部内に収容されるように構成されていてもよい。
【0044】
ところで、上記構成の一対のアーム50を姿勢変更させると、回動基部52の屈曲形状により、ステイ40は、一対のアーム50の姿勢変更の途中で、展開姿勢における位置よりスクリーン30の引出側の位置に移動された状態になる。より具体的には、一対のアーム50は、第1連結部C1と第3連結部C3とを結ぶ直線状に第2連結部C2が配設される姿勢で、スクリーン30が最も多く引出された状態になり、この姿勢から展開姿勢に姿勢変更されるとステイ40が収納方向に移動される。
【0045】
上記のようなステイ40の過移動を防止するために、スクリーン30の引出収納方向におけるステイ40の移動を規制可能な規制部材82が、天井側横枠102等に配設されているとよい。この規制部材82は、少なくとも一対のアーム50が展開姿勢の状態でステイ40の引出側端部に当接可能で、ステイ40が当接位置からスクリーン30の引出方向に移動しないように移動規制可能に配設されているとよい。
【0046】
そして、一対のアーム50が折畳姿勢から展開姿勢に姿勢変更される途中の位置でステイ40が規制部材82に当接し、さらに姿勢変更されると、連結端部42が収縮されることにより、ステイ40は一対のアーム50が展開姿勢に姿勢変更されるまでの間、規制部材82に当接した位置で維持される。これにより、ステイ40の過移動による天井側横枠102等との衝突を防止し、天井側横枠102の傷つきを防止することができる。
【0047】
また、ステイ40は、一対のアーム50の展開状態でも、付勢部材43の付勢力により規制部材82に対して押し当てられた状態に維持されるように構成されている。これにより、一対のアーム50の展開姿勢で、スクリーン30及びステイ40及び一対のアーム50のバタツキを抑制することができる。
【0048】
もっとも、この規制部材82は、ステイ40自体に取り付けられていてもよく、上記位置で天井側横枠102に当接するように構成されているとよい。
【0049】
さらに、サンシェード装置10には、一対のアーム50の折畳姿勢で、ステイ40のバタツキを抑制する支持部材86が備えられていてもよい。例えば、支持部材86として、一対のアーム50の折畳姿勢で連結端部42の進退部47の基端部に対して弾性的に当接可能な部材、或いは、当該進退部47を支持可能な凹状部材等を巻取装置20の基部22に配設することができる。
【0050】
また、本サンシェード装置10は、一対のアーム50が駆動機構部70により駆動されて、スクリーン30が自動で引出収納操作されるように構成されている(図1、図2参照)。
【0051】
駆動機構部70は、回動基部52を第1連結部C1の回転軸周りに回転駆動可能に構成されている。ここでは、駆動機構部70は、モータ72と、モータ72及び回動基部52の第1連結部C1より基端側の部分に連結された所定のリンク74とを有し、モータ72により所定のリンク74を介して回動基部52を回転駆動するように構成されている。この駆動機構部70は、モータ72の駆動を操作可能な図示省略の操作部に接続され、この操作部を通じてスクリーン30の引出収納を操作可能であるとよい。
【0052】
また、駆動機構部70は、一対のアーム50が折畳姿勢及び展開姿勢に姿勢変更された際に、モータ72の回転駆動が停止されるように構成されているとよい。このような構成としては、例えば、一対のアーム50が折畳姿勢及び展開姿勢に姿勢変更されると、一対のアーム50またはステイ40に押圧される位置にマイクロスイッチ90(図1、2では折畳姿勢で押圧可能なマイクロスイッチ90のみを図示している)を配設し、その押圧操作によりモータ72が停止する構成、或いは、ロータリーエンコーダ等を配設し、モータ72が所定の回転量回転した後に停止する構成等を採用することができる。
【0053】
また、本サンシェード装置10は、自動車のリアウインドウの他にも、サンルーフ、サイドドアウインドウ等、また、自動車以外のウインドウ等に適用することができる。
【0054】
<3.サンシェード装置の動作>
次に、本実施形態に係るサンシェード装置10の動作について説明する(図4参照)。
【0055】
まず、スクリーン30を引出す動作から説明する。サンシェード装置10は、初期状態として、一対のアーム50が折畳姿勢の状態で、スクリーン30が巻取装置20に対して収納状態に維持されているものとして説明する(図2参照)。この状態では、付勢部材43により固定部44と進退部47とが離間されて、連結端部42が伸長状態に維持されている。
【0056】
操作者(自動車の運転者、同乗者等)により、図示省略の操作部に対してスクリーン30を引き出す操作が行われると、一対のアーム50が折畳姿勢から展開姿勢に姿勢変更を開始する。より具体的には、操作部の操作が行われると、モータ72が回転駆動され、所定のリンク74を介して回動基部52が第1連結部C1の回転軸周りに(ここでは、各回動基部52の他端側部分56がスクリーン30の引出側に向けて開くように)回転駆動される(図3参照)。この回動基部52の回転動作に応じて、アーム部58が姿勢変更され、アーム部58に連結されているステイ40がスクリーン30の引出方向に移動していく。すなわち、アーム部58は、先端部が連結端部42に連結されてステイ40の長手方向に移動規制され、基端部が回動基部52により縦枠104側に移動されることにより姿勢変更される。そして、回動基部52の回転動作が進むと、一対のアーム50は、第2連結部C2が徐々に縦枠104に近接する(第2連結部C2同士が離間する)と共に、アーム部58の長手方向と縦枠104の縁部とが成す角度が0度に近づくように姿勢変更される。
【0057】
なお、ステイ40が規制部材82に当接する位置までは、連結端部42は伸長状態に維持される(図4の姿勢A及び図5参照)。
【0058】
また、スクリーン30の引出動作の途中で、ステイ40の連結端部42に設けられたガイド体84がウインドウ100の一主面に接触し、この接触状態でステイ40がウインドウ100に沿って引出方向に向けて移動される。
【0059】
ステイ40が規制部材82に当接する位置(図4の姿勢B及び図6参照)まで一対のアーム50が展開されると、ステイ40のスクリーン30の引出方向への移動が規制され、一対のアーム50の展開動作に応じて、徐々にステイ40の連結端部42が圧縮される。より具体的には、連結端部42は、ステイ40が規制部材82に当接した姿勢から、一対のアーム50の姿勢変更に伴って徐々にスクリーン30の引出方向に圧縮力が加えられ、進退部47が固定部44に対して近接移動されて付勢部材43が圧縮される。すなわち、連結端部42は、伸長状態から圧縮状態になるように動作する。
【0060】
そして、連結端部42は、第1連結部C1と第3連結部C3とを結ぶ直線上に第2連結部C2が配設される姿勢(図4の姿勢C)で、進退部47の先端側部分が固定部44の収容凹部45内に最も押し込まれた状態となる(図7参照)。さらに回動基部52が回転駆動されると、進退部47はスクリーン30の収納方向に向けて移動され、連結端部42は付勢部材43の付勢力により進退部47が固定部44に対して離間移動される。すなわち、連結端部42は、圧縮状態から伸長状態に戻るように動作する。また、一対のアーム50の姿勢変更に伴って、回動基部52の他端側部分56及びアーム部58が徐々に縦枠104に近い位置で縦枠104に沿う姿勢に姿勢変更されていく(図4の姿勢D及び図8参照)。
【0061】
そして、一対のアーム50が展開姿勢に姿勢変更されると、モータ72が停止し、スクリーン30が引出状態となってスクリーン30の引出動作は終了される。このスクリーン30の引出状態で、アーム部58及び回動基部52の他端側部分56は、略直線状の姿勢でかつ縦枠104に近い位置で当該縦枠104に沿う位置に配設される。また、この状態で、回動基部52の一端側部分54は、大部分が床側横枠103内に配設されている。また、一対のアーム50が展開姿勢の状態で、ステイ40は、付勢部材43の付勢力により規制部材82に押し当てられた状態に維持されている。そして、スクリーン30は、ウインドウ100を部分的或いは全体的に遮蔽した状態となる。
【0062】
次に、スクリーン30を収納する動作について説明する。操作者により、操作部に対してスクリーン30を収納する操作が行われると、一対のアーム50が展開姿勢から折畳姿勢に姿勢変更を開始する。より具体的には、操作部の操作が行われると、モータ72がスクリーン30の引出操作時とは反対方向に回転駆動され、回動基部52が、他端側部分56が巻取装置20の長手方向中心側に向けて閉じるように回転駆動される。この回動基部52の回転動作により、回動基部52とアーム部58とが第2連結部C2で折れ曲がり、徐々に第2連結部C2が縦枠104から離間するように一対のアーム50が姿勢変更される。
【0063】
第2連結部C2が第1連結部C1と第3連結部C3とを結ぶ直線上に配設される姿勢に一対のアーム50が姿勢変更されるまで、連結端部42は伸長状態(図4の姿勢D及び図8参照)から徐々に圧縮されて圧縮状態となる(図7参照)。各連結部C1、C2、C3が直線上に位置する姿勢(図4の姿勢D)から、さらに一対のアーム50が折畳姿勢変更されると、連結端部42は付勢部材43の付勢力により徐々に伸長して伸長状態となる(図4の姿勢B及び図6参照)。そして、ステイ40が規制部材82から離間した後は、連結端部42は伸長状態に維持される(図4の姿勢A及び図5参照)。
【0064】
そして、一対のアーム50が折畳姿勢に姿勢変更されると、モータ72が停止し、スクリーン30が収納状態となってスクリーン30の収納動作は終了される。このスクリーン30の収納状態では、スクリーン30及びステイ40及び一対のアーム50は、床側横枠103内に配設される(図2参照)。なお、この状態で、ステイ40の連結端部42は、進退部47の基端部が支持部材86に当接した状態となる。
【0065】
上記のようにして、スクリーン30の引出収納操作を行うことができる。なお、スクリーン30の引出途中或いは収納途中の位置でモータ72による駆動を停止することにより、ウインドウ100の縦方向において、部分的にウインドウ100を遮蔽することも可能である。
【0066】
上記のように構成されたサンシェード装置10によると、一対のアーム50は、展開姿勢で回動基部52の一端側部分54が第1連結部C1よりウインドウ100の縦枠104側に向けて延びると共に、回動基部52の他端側部分56及びアーム部58が回動基部52の一端側部分54の先端部から屈曲する態様でウインドウ100の縦枠104に沿って延在するように構成されている。これにより、一対のアーム50は、展開姿勢で回動基部52の他端側部分56及びアーム部58がウインドウ100の縦枠104に近い位置で当該縦枠104に沿って配設される。また、ステイ40の連結端部42が伸縮可能に構成されることにより、上記一対のアーム50の屈曲形状によるスクリーン30引出時のステイ40の過移動を吸収可能であり、アーム50自体に過移動を吸収する構成を設けることを避けることができる。このため、スクリーン30の引出状態でアーム50を目立たなくしつつ、アーム50をコンパクトにすることができる。
【0067】
また、これにより、ウインドウ100の縦方向において、ステイ40の過移動距離分の移動スペースを余分に設けなくともよいため、ウインドウ100を縦方向全体に亘って覆うことができる。
【0068】
また、連結端部42が、アーム50と連結される進退部47が別体の固定部44に対して相対的に移動することにより伸縮可能に構成されているため、一対のアーム50の姿勢変更をより安定して行うことができる。
【0069】
また、一対のアーム50が板状部材により形成されているため、スクリーン30の引出状態において、ウインドウ100に対する略直交方向の占有領域を小さくすることができる。これにより、床側横枠103内に配設された折畳姿勢の一対のアーム50及びステイ40及びスクリーン30がスクリーン30の引出操作時に通過する床側横枠103の開口を比較的小さくすることができ、床側横枠103の強度が低下することを抑制することができる。また、一対のアーム50の展開姿勢で、回動基部52の他端側部分56及びアーム部58が縦枠104内に収容されるような形態の場合にも、縦枠104について同様の効果を期待することができる。また、スクリーン30の収納状態において、サンシェード装置10全体としてコンパクトにすることができる。これにより、サンシェード装置10の車体組付工程への搬送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 サンシェード装置
20 巻取装置
30 スクリーン
40 ステイ
42 連結端部
43 付勢部材
50 アーム
52 回動基部
54 一端側部分
56 他端側部分
58 アーム部
68 付勢部材
100 ウインドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウを遮蔽可能なサンシェード装置であって、
巻取装置と、
前記巻取装置に対して引出収納可能に取り付けられたスクリーンと、
本体部と前記本体部の両端部に取り付けられた一対の連結端部とを有し、前記スクリーンの引出側端部に取り付けられたステイと、
先端部が前記ステイの前記一対の連結端部に対してそれぞれ相対回転可能に連結されると共に、基端部が前記巻取装置に対して回転軸周りに相対回転可能に支持され、前記回転軸周りの回転動作により、前記スクリーンを収納状態にする折畳姿勢と前記スクリーンを引出状態にする展開姿勢との間で姿勢変更可能な一対のアームと、
を備え、
前記一対のアームは、前記展開姿勢で前記回転軸より前記ウインドウの縦枠側に向けて延びる一端側部分および前記一端側部分の先端部から屈曲する態様で前記ウインドウの縦枠に沿って延びる他端側部分とを有する回動基部と、前記回動基部の前記他端側部分の先端部に対して相対回転可能に連結され前記展開姿勢で前記ウインドウの縦枠に沿って延びるアーム部とを有し、
前記ステイの前記一対の連結端部は、それぞれ前記スクリーンの引出収納方向に沿って伸長方向に付勢された状態で伸縮可能に構成されているサンシェード装置。
【請求項2】
請求項1記載のサンシェード装置であって、
前記連結端部は、前記本体部の各端部に固定された固定部と、前記アーム部が相対回転可能に連結されると共に前記固定部に対して前記スクリーンの引出収納方向に沿って相対的に接離移動可能な進退部とを有し、
前記固定部と前記進退部とは、前記付勢部材により離間方向に付勢されているサンシェード装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のサンシェード装置であって、
前記一対のアームは、板状部材により構成されているサンシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−131690(P2011−131690A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292104(P2009−292104)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)