説明

サンシェード装置

【課題】ハウジングをなくして、広い室内スペースを確保し、軽量化する。
【解決手段】本発明は、車両のサイドドア20に設けられるサイドウィンドウ用のサンシェード装置10であって、シェード30の両側に配置され、同シェード30の引き出しおよび巻き取りを案内する一対の案内レール40F,40Rと、両案内レール40F,40Rの下方に設けられ、シェード30を巻き取る巻取装置50とを備え、両案内レール40F,40Rは、巻取装置50によって連結されている構成としたところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサイドドアに設けられるサイドウィンドウ用のサンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のサンシェード装置として、例えば下記特許文献1に記載のサンシェード装置が知られている。このものは、シェードの両側に配置された一対の案内レールと、シェードを巻き取る巻取装置とを備えている。両案内レールの下端部には、それぞれ端部キャップが装着され、両端部キャップ間には、これらの端部キャップを連結するハウジングが巻取装置とは別に設けられている。このように、ハウジングを設ける理由は、搬送上の便宜などにより両案内レールをユニット化して取り扱うためである。
【0003】
図6は、サンシェード装置を車幅方向に切断した簡易断面図である。巻取装置1は、ハウジング2の内部に収容されており、ハウジング2の上面に形成されたスリット3を通してシェード4の出し入れが行われている。ハウジング2の車室外側には、ドアパネル5が配置され、ハウジング2の車室内側には、ドアトリム6が配置されている。このような構造によると、巻取装置1の左右両側に余裕スペースS1、S2を確保し、さらにハウジング2の左右両側に余裕スペースS3、S4を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4256863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、巻取装置1の両案内レールは、ドアパネル5に対して直接固定されるため、ドアパネル5に固定された後は、ハウジング2によって両案内レールを連結しておく必要がないばかりか、車両全体の重量化につながってしまう。さらに、ハウジング2を設けたことで、ハウジング2の左右両側の余裕スペースS3、S4が余分に必要となり、さらにハウジング2自身の板厚t、tが必要となるため、その分だけ室内スペースを圧迫することになる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジングをなくして、広い室内スペースを確保し、軽量化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両のサイドドアに設けられるサイドウィンドウ用のサンシェード装置であって、シェードの両側に配置され、同シェードの引き出しおよび巻き取りを案内する一対の案内レールと、両案内レールの下方に設けられ、シェードを巻き取る巻取装置とを備え、両案内レールは、巻取装置によって連結されている構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、両案内レールを連結するハウジングをなくすことができるため、広い室内スペースを確保することができ、軽量化することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
巻取装置は、両案内レールの下端部に回転不能に固定された連結シャフトと、この連結シャフトを内部に収容して回転可能に設けられ、外周面にシェードが巻き付けられる巻取ローラとを備えて構成してもよい。
【0010】
このようにすると、連結シャフトによって両案内レールを連結することができる。また、連結シャフトによって巻取ローラを回転可能に支持することもできる。
【0011】
連結シャフトと巻取ローラとの間に、巻取ローラを連結シャフトに対してシェードの巻き取り方向に付勢するバネが設けられている構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、バネによって巻取ローラを巻き取り方向に付勢することができる。
【0013】
案内レールの下端部にキャップが装着され、このキャップを介して案内レールが連結シャフトに連結されている構成としてもよい。
【0014】
このような構成によると、連結シャフトをキャップに対して回転不能に固定しておき、このキャップを案内レールの下端部に装着するだけでよいため、サンシェード装置の組み付けが容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハウジングをなくして、広い室内スペースを確保することができ、軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるサンシェード装置の組み付け状態を示す正面図
【図2】サンシェード装置を示す斜視図
【図3】巻取装置の連結シャフトとキャップとの連結構造を示す斜視図
【図4】巻取装置の内部構造を示す断面図
【図5】サンシェード装置を車幅方向に切断した状態を簡易に示した簡易断面図
【図6】図5に対応する従来のサンシェード装置を示す簡易断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図5の図面を参照しながら説明する。本実施形態のサンシェード装置10は、図1に示すように、車両における後部側のサイドドア20の窓枠21に沿って取り付けられている。サンシェード装置10は、サイドドア20の窓から車室内に差し込む光を遮るシェード30、シェード30の上下方向の移動動作を案内する一対の案内レール40F,40R、シェード30を巻き取る巻取装置50などを備えて構成されている。なお、シェード30は、可撓性を有するシート状部材によって構成されている。
【0018】
窓枠21は、金属製のドアフレーム(図示せず)、このドアフレームを覆うドアフレームガーニッシュ(図示せず)などから構成されている。窓枠21の内側にはサイドウィンドウが取り付けられている。このサイドウィンドウは、上下方向にスライドして開閉可能な可動窓22、三角形状をなす移動不能な固定窓23などから構成されている。窓枠21における可動窓22と固定窓23との間には、両窓22,23を仕切る中央枠部24が設けられている。また、窓枠21の車両前方側を構成する部分は、前側枠部25とされている。可動窓22は、前側枠部25と中央枠部24とによって車両前後方向から挟み込まれて上下方向にスライド可能に支持されている。
【0019】
両案内レール40F,40Rのうち車両前方側の案内レール40Fは、前側枠部25に対して固定されている。一方、両案内レール40F,40Rのうち車両後方側の案内レール40Rは、中央枠部24に対して固定されている。両案内レール40F,40R間には、フレーム31が掛け渡されており、このフレーム31は、シェード30の先端に固定されている。両案内レール40F,40Rは、フレーム31の両端部を上下方向に案内しており、これに伴ってシェード30の移動動作が案内されるようになっている。なお、フレーム31は車両前後方向に長い形態をなし、可動窓22を覆って遮光する遮光位置(上端位置)に至ると、窓枠21の上側を構成する上側枠部26に沿って配置される。
【0020】
可動窓22の下部には、モータ(図示せず)が配設されており、両案内レール40F,40Rの内部には、モータの駆動力によって移動可能なワイヤ(図示せず)が配設されている。ワイヤの先端は、フレーム31の両端部に固定されている。したがって、モータの駆動力によってワイヤが移動し、ワイヤの先端に取り付けられたフレーム31が上下方向に移動する。なお、このようなフレーム31の移動機構は、例えば特開平6−193367号公報などに開示されているものと同様である。
【0021】
車両前方側の案内レール40Fの下端部には、図2に示すように、前側キャップ70Fが装着されている。一方、車両後方側の案内レール40Rの下端部には、後側キャップ70Rが装着されている。両キャップ70F,70Rには、下方に延びる取付板部71F,71Rがそれぞれ設けられている。この取付板部71F,71R間に、巻取装置50が配設されている。
【0022】
巻取装置50は、図4に示すように、丸棒状の連結シャフト51、連結シャフト51を内部に収容する円筒状の巻取ローラ52、巻取ローラ52の両端開口に圧入、保持された軸受け53、巻取ローラ52を巻き取り方向に付勢するバネ58などを備えて構成されている。連結シャフト51の端部54は、図3に示すように、断面半円形状とされており、取付板部71Fには、連結シャフト51の端部54を挿入可能な固定孔72が貫通形成されている。固定孔72は、連結シャフト51の端部54の断面形状に対応する断面半円形状とされている。このため、端部54を固定孔72に挿入すると、互いの平面部分が当たり合い、連結シャフト51の回動が規制される。
【0023】
また、端部54の周面部分には溝55が形成されており、端部54が固定孔72に正規に挿入されると、図4に示すように、溝55が固定孔72を通過して巻取ローラ52とは反対側の開口から固定孔72の外部に配置されるようになっている。この状態で溝55にC字形状のストッパ56を嵌め込むと、このストッパ56が固定孔72の開口縁部に接触することにより、連結シャフト51の軸方向における抜け止めがなされるようになっている。この抜け止め機構は、車両後方側の取付板部71Rの固定孔72と端部54との連結部についても同様である。なお、連結シャフト51は、金属製のロッド材を母材としてこの母材に切削加工を施すなどして形成されている。
【0024】
軸受け53は、連結シャフト51を挿通させる挿通孔57を有している。軸受け53の挿通孔57は、連結シャフト51の径寸法よりもやや大きめの孔径を有している。また、軸受け53を巻取ローラ52の両端開口に圧入した状態では、巻取ローラ52の軸心と軸受け53の挿通孔57の軸心とが一致するようになっている。したがって、連結シャフト51を挿通孔57に挿通した状態では、軸受け53が連結シャフト51によって軸支され、これに伴って巻取ローラ52が連結シャフト51に対して回転可能となる。なお、巻取ローラ52は、金属製の円筒材を母材として構成され、軸受け53は、合成樹脂によって構成されている。
【0025】
バネ58は、連結シャフト51の外周面に沿ってコイル状に巻回された金属バネである。バネ58の一端は、軸受け53に対して回転不能に固定されている。一方、バネ58の他端は、連結シャフト51を径方向に貫通してさらに軸方向に折り曲げられることにより、連結シャフト51に対して回転不能に固定されている。したがって、連結シャフト51に対して巻取ローラ52を回動させると、自然状態にあるバネ58が周方向にねじられてバネ力が発生する。このため、巻取ローラ52の外周面に巻き付けられたシェード30を引き出すと、バネ58のバネ力が発生し、このバネ力がシェード30を巻き取る方向に付勢する。
【0026】
さて、前記したように、連結シャフト51の両端部54,54は、それぞれ対応する取付板部71F,71Rに固定されている。すなわち、両キャップ70F,70Rは、連結シャフト51によって連結されていることになる。このため、両キャップ70F,70Rを連結するためのハウジングが不要になり、巻取装置50を小型化することができる。特に、車幅方向においては、図5に示すように、巻取装置50の車室内側に配置されたドアトリム80を巻取装置50により近づけて配置することができ、巻取装置50の車室外側に配置されたドアパネル60に対して巻取装置50をより近づけて配置することができる。つまり、巻取装置50とは別にハウジングが介在しないため、ドアパネル60からドアトリム80までの距離を短くすることができ、その結果、より広い室内スペースを確保することができる。さらに、ハウジングがなくなったことで車両全体の軽量化が可能である。
【0027】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてサンシェード装置10のサイドドア20への組み付け方法を説明する。まず、巻取装置50の連結シャフト51の両端部54,54を両取付板部71F,71Rの両固定孔72,72に挿通し、各溝55にストッパ56を嵌め込むことにより、連結シャフト51を両取付板部71F,71Rに対して回転不能に固定する。これにより、両キャップ70F,70Rが巻取装置50の連結シャフト51によって連結される。
【0028】
これと併行して、両案内レール40F,40Rを窓枠21に取り付け、固定する。次に、巻取装置50と一体にユニット化された両キャップ70F,70Rを両案内レール40F,40Rの下端部にそれぞれ嵌め込み、ねじ止めなどの固定手段で固定する。こうして、サンシェード装置10の組み付けが完了する。これにより、両キャップ70F,70Rを両案内レール40F,40Rの下端部に嵌め込むという簡易な作業によって巻取装置50が両案内レール40F,40Rに装着され、サンシェード装置10をサイドドア20に組み付けることができる。
【0029】
以上のように本実施形態では、巻取装置50の連結シャフト51によって両キャップ70F,70Rを連結するようにしたから、両キャップ70F,70Rを連結するためのハウジングをなくすことができる。この結果、ドアパネル60からドアトリム80までの距離を短くすることができ、室内スペースを広く確保することができる。また、ハウジングをなくしたことで、車両全体の軽量化が可能になる。
【0030】
また、連結シャフト51と巻取ローラ52との間にバネ58を設けたから、このバネ58のバネ力によってシェード30を巻き取り方向に付勢することができる。また、連結シャフト51の両端部54を両キャップ70F,70Rに固定し、両キャップ70F,70Rを両案内レール40F,40Rの下端部に嵌め込むようにしたから、サンシェード装置10のサイドドア20への組み付け作業が容易になる。
【0031】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では連結シャフト51によって両キャップ70F,70Rを連結しているものの、本発明によると、巻取ローラ52によって両キャップ70F,70Rを連結してもよい。例えば、両キャップ70F,70Rにそれぞれ軸受けを形成し、両軸受けによって巻取ローラ52を回転可能に支持させることにより、両キャップ70F,70Rを連結してもよい。
【0032】
(2)上記実施形態では巻取ローラ52の内部に収容される1本の連結シャフト51によって両キャップ70F,70Rを連結しているものの、本発明によると、複数の連結シャフトで両キャップ70F,70Rを連結してもよい。例えば、車両前側の軸受け53と前側キャップ70Fとの間に、これらを連結する前側連結シャフトを設け、車両後側の軸受け53と後側キャップ70Rとの間に、これらを連結する後側連結シャフトを設けてもよい。
【0033】
(3)上記実施形態ではバネ58によってシェード30を巻き取り方向に付勢しているものの、本発明によると、アクチュエータなどを用いてシェード30を巻き取り方向に付勢してもよい。
【0034】
(4)上記実施形態では両キャップ70F,70Rを介して両案内レール40F,40Rを連結しているものの、本発明によると、連結シャフト51の両端部54,54を両案内レール40F,40Rに直接固定してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…サンシェード装置
20…サイドドア
22…可動窓
23…固定窓
30…シェード
40F…車両前方側の案内レール
40R…車両後方側の案内レール
50…巻取装置
51…連結シャフト
52…巻取ローラ
58…バネ
70F…前側キャップ
70R…後側キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドドアに設けられるサイドウィンドウ用のサンシェード装置であって、
シェードの両側に配置され、同シェードの引き出しおよび巻き取りを案内する一対の案内レールと、
両案内レールの下方に設けられ、前記シェードを巻き取る巻取装置とを備え、
前記両案内レールは、前記巻取装置によって連結されていることを特徴とするサンシェード装置。
【請求項2】
前記巻取装置は、前記両案内レールの下端部に回転不能に固定された連結シャフトと、この連結シャフトを内部に収容して回転可能に設けられ、外周面に前記シェードが巻き付けられる巻取ローラとを備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のサンシェード装置。
【請求項3】
前記連結シャフトと前記巻取ローラとの間に、前記巻取ローラを前記連結シャフトに対して前記シェードの巻き取り方向に付勢するバネが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のサンシェード装置。
【請求項4】
前記案内レールの下端部にキャップが装着され、このキャップを介して前記案内レールが前記連結シャフトに連結されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のサンシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131807(P2011−131807A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294469(P2009−294469)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)