サンドイッチ等の完全包装体とその包装方法

【目的】本発明は包装後の外観が美麗に仕上がり、しかも蟻などの小昆虫の浸入を許さない包装形態に係る三角食品の包装体並びにその機械的包装方法を提供することを目的としたものである。
【構成】二等辺台形状の下底以外の各辺を溶着閉止し、少なくとも開口部側の余剰フィルムの外面に低融点の樹脂をコーテング乃至はラミネートしてなるプラスチック製包装袋に所定量の三角食品を収納後、その余剰フィルムの第３・第４折込み部の各折込み段階で、それぞれの表面を適時加熱、押圧して各段の折込みフィルムを互いに接着するようにしたことを特徴とするサンドイッチ等の完全包装体とその包装方法。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、主としてサンドイッチやシュガートースト等のように柔軟な材質からなる三角形状の食品を完全な密封状態で包装した包装体および、その機械的包装方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】近年、市場に出回っている略直角三角形状のサンドイッチやシュガートースト等（以下「三角食品」と言う）の包装は、図６に例示したように二等辺台角形状の下底（イ）以外の各辺をシール線（ロ）（ハ）（ニ）によって閉止したプラスチック袋が広く使用され、その下底（開口）（イ）から上底の巾に見合う厚さを有する三角食品（ホ）の一方の鋭角側を上底のシール線（ハ）まで深く挿入し（点線部分参照）、開口部周辺に生ずる余剰フィルム（ヘ）を三角食品の端面に沿って、先ず上から下へ折下げ（第１折込み）、次いで右又は左の余剰フィルムを順次打ち合わせるように折重ね（第２、第３折込み）して、最後に下の余剰フィルムを上記第２・第３折込み上に折重ねた上、この部分に別途ラベル等を貼着して封止するというものであった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】而して、上記従来の包装体は、それが手作業であれ、機械包装であれ、折り込まれて幾重にも重なりあった上記余剰フィルムを最終的に貼着されるラベルによって一括して押止するものであったから、各包装体はこの部分が盛り上がって包装体としての態裁を悪くしていただけでなく、このような包装形態では上記折重ねられた余剰フィルムの空隙から、しばしば蟻やその他の小昆虫が浸入し、衛生的にも早急の改善が望まれていたのである。
【０００４】この他、特に上記余剰フィルムを機械的に折り込む場合は、必要に応じてスポット的な仮止めを施すものの、次段の折込みの際に先のフィルムにずれやまくれが発生して不良品が多く、製品の歩留りを著しく低下させるという課題も指摘されていた。
【０００５】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、包装後の外観が美麗に仕上がり、しかも蟻などの小昆虫の浸入を許さない包装形態について鋭意、実験、考究を重ねてきた結果、袋の材質・形状並びに余剰フィルムの折込み順序などは従来のものを踏襲することとした上、その袋体は外面全体または少なくとも余剰フィルムの外面にのみ比較的融点の低い合成樹脂をコーテング若しくはラミネートしたものを用い、上記第１・第２折込みを除く各折込み段階で、その表面を適時加熱、押圧して各層の折込みフィルムを互いに熱接着し、更に必要に応じて最終的に所定のラベルを貼着するという手段を講じたものである。
【０００６】
【作用】本発明は上記構成としたことにより、折込まれる各段の余剰フィルムは強固に接着されているので、機械包装によっても余剰フィルムの折込み部分にずれやまくれ等を発生することがなく、又包装完了後に上記余剰フィルムの重合部分が盛り上がることもなく、美麗に三角形状を呈して商品価値の高い包装体が効率よく生産できるという格別の作用を有する。
【０００７】この他、本発明の包装形態によれば、各段の折込み部分が個々に熱接着されているので、蟻その他の小昆虫が内部に浸入する間隙がなく、更に低融点の樹脂は袋の外面にのみ設けられるので、加熱溶融時の樹脂が三角食品面に付着することもないなど、衛生的な包装体を得ることができるという作用もある。
【０００８】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に従って更に詳述すると、図１〜４は後述する本発明の包装方法によって包装された三角食品１の包装体を、その折込み順序に従って示したものであり、図１における２は余剰フィルム３を含む外表面全面に融点１００〜１３０℃の低融点合成樹脂をラミネートし、従来の形状（図６参照）に製袋されたプラスチック製の包装袋であり、図２は上記包装袋の開口２ａから、三角食品１の直角部１ａを上位にして一方の鋭角部１ｂが、奥端シール線２ｂに達するように挿入することで、その開口２ａ側に生ずる余剰フィルム３の上側フィルム３ａを三角食品１の後面に沿って折り下げて第１折込み部（Ａ）とすることによって左右にはみ出す余剰フィルム３ｂ・３ｃを形成する。次に図３は、上記左右にはみ出した余剰フィルム３ｂ・３ｃを三角食品１の左、右の側縁に沿って打ち合わせて第２、第３折込み部（Ｂ）（Ｃ）を形成した上、第３折込み部（Ｃ）の上面中央部分を熱風とロール等によって加熱・押圧して上記第３折込み部（Ｃ）を含む第１、第２折込み部（Ａ）（Ｂ）面を互いに接着する。これにより猶下方に余剰フィルム３ｄが残るが、これを三角食品１の下縁に沿って、上方に折返えすに当たって、先の折込み部（Ａ）〜（Ｃ）と連続する余剰フィルム３ｄの全表面を熱風等で加熱した上で、この余剰フィルム３ｄを折り返えし第４折込み部（Ｄ）とし、この第４折込み部（Ｄ）と当接する第１折込み部（Ａ）から、第３折込み部（Ｃ）に至る各段の余剰フィルムを接着して包装体を得たものである。
【０００９】次に、上記包装体を機械的に得る自動包装システムについて具体的に説明すると、図５において、４は一定速度で矢印方向に進行するエンドレスのチェーンコンベア、５は同チェーンコンベア４上に一定間隔で取り付けられ、後端上縁に一定量回動可能とした折り返し板５ａを枢着してなるバケットで、外面に低融点樹脂をラミネートした包装袋２に上記の要領で収納された三角食品１を、その直角部１ａを進行方向に向け、袋の余剰フィルム３をバケット５の上縁から露出させた状態で収容するものである。６はこの位置を通過する袋の余剰フィルム３に第１折込み部（Ａ）を形成する押さえ板、７は左右の余剰フィルム３ｂ・３ｃのいづれか一方（例えば余剰フィルム３ｂ）に第２折込み部（Ｂ）を形成させる目的でバケット５の上縁部に臨んで突出自在な横押板、また８は第３折込み部（Ｃ）を形成する櫛形のガイドであり、９は必要に応じて上記ガイド８の前方に取り付けられ、第３折込み部（Ｃ）の折縁を整形する回転刷毛であるが、この部分までの構成は従来のこの種三角食品の自動包装機に広く採用されていた公知の折込み機構である。
【００１０】而して、本発明の特徴的構成は、上述した折込み機構に連続して上記バケット５の進行方向に前後一対の回転ローラ１０、１０’を設け、この間に既に形成された上記折込み部（Ａ）〜（Ｃ）の上面中央部分を所定巾で加熱可能な第１熱風機１１を設置する。この第１熱風機１１で表面を加熱された第３折込み部（Ｃ）を上記ローラ１０’により押圧することで第１、第２折込み部（Ａ）（Ｂ）をも含めて熱接着する一方、その前方にバケット５の上記折り返し板５ａの立ち上がりと同調して突出可能な熱鏝１２と、上記既折込み部（Ａ）〜（Ｃ）の上面全域を加熱可能な第２熱風機１３を設け、上記熱鏝１２によって折型が付され、且つ表面が加熱溶融された最終余剰フィルム３ｄを折り返し板５ａの回動動作で第４折込み部（Ｄ）を先の折込み部（Ａ）〜（Ｃ）上に折合わせ、更に第３熱風機１４で加熱された大径ロール１５によって全折込み部を一律に押圧・接着するようにしたものである。その後、必要に応じてラベルなどを貼着することは自由である。
【００１１】尚、図１中１６は包装体開放用のカットテープを示したものであるが、本発明ではその取り付け部位を限定するものではなく、また上記第１熱風機１１の風温は包装袋２の表面材質（融点）にもよるが、平均的には１４０〜１６０℃、風圧は強めがよく、また第２、第３の熱風機１３、１４の風温は１３０〜１５０℃で充分であるが、これら熱風機に代えて各熱風機後方のロール１０’または１５に電熱線等を組み入れた熱ロールを使用しても本発明の要旨を変更するものではない。
【００１２】更に、上記実施例における低融点の樹脂をラミネートしたフィルムからなる包装袋の上記低融点樹脂は、袋の外面全面に施すものに限らず、三角食品収納後の袋の余剰フィルム３の外表面に相当する範囲のみに低融点樹脂（含ホットメルト）をコーティング乃至はラミネートしておくだけで実質的な密封効果は充分に得られるものである。
【００１３】更に上記実施例に示したバケット５は、三角食品１の直角部を進行方向に向けて設置した一方法であるが、本発明の方法はバケット５の向きを逆向きに設置する場合でも、或いはバケット５を図５に示したコンベア４に対して９０゜回転した状態でコンベア４上に設置した場合であっても、上例の補助部材（折返し板５ａ、押え板６、横押板７、ガイド８）の他、第１〜第３の熱風機やこれに付随するロール類の位置・形態を設計的に変更するだけで、本発明が目的とする三角食品の完全包装体が、機械的に得られるのである。
【００１４】
【発明の効果】以上、詳述したところから既に明らかであるように、上記本発明によって得られた三角食品の包装体は、その包装袋の外面全面、もしくは少なくとも余剰フィルムの表面が低融点の樹脂材料で構成されたことることによって、各段の折込み部が互いに接着され、特に第４折込み部の溶着の際には下段の折込み部を含んでほぼ前面が接着されるので、包装体の外形、特に折込み部が盛り上がらず美麗に仕上がり、著しく商品価値の良好な包装体が効率よく得られるのである。
【００１５】その上、上記構成の包装体によれば、内部への蟻や小虫等の浸入通路が完全に遮断されるので、衛生的な商品とすることができるという、従来のこの種三角食品の包装形態には期待できなかった優れた効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】包装袋に三角食品を挿入した状態を一部切欠して示す斜視図
【図２】折込み部（Ａ）〜（Ｃ）の各折込み順序を示す正面図
【図３】折込み部（Ａ）〜（Ｃ）の各折込み順序を示す正面図
【図４】包装体の完成品を示す側面図
【図５】本発明の包装方法に使用する自動包装機を略示する正面図
【図６】従来の包装袋を示す平面図
【符号の説明】
１三角食品
２包装袋
３余剰フィルム
４コンベア
５バケット
６折込み板
７横押板
８ガイド
９回転刷毛
１０ロール
１０’ ロール
１１第１熱風機
１２熱鏝
１３第２熱風機
１４第３熱風機
１５大径ロール

【特許請求の範囲】
【請求項１】二等辺台形状の下底以外の各辺を溶着閉止し、少なくとも開口部側の余剰フィルムの外面に低融点の樹脂をコーテング乃至はラミネートしてなるプラスチック製包装袋に所定量の三角食品を収納後、その余剰フィルムの第３・第４折込み部の各折込み段階で、それぞれの表面を適時加熱、押圧して各段の折込みフィルムを互いに接着するようにしたことを特徴とするサンドイッチ等の完全包装体。
【請求項２】第４折込み部の上面に所定のラベルを貼着した請求項１記載のサンドイッチ等の完全包装体。
【請求項３】一定速度で進行するコンベア４上に取り付けられ、後端上縁に折返し板５ａを枢着してなる多数のバケット５に、少なくとも余剰フィルムの外面に低融点樹脂をコーテング乃至はラミネートした包装袋２に収納された三角食品１を、その直角部１ａを進行方向に向け、上記袋の余剰フィルム３がバケットの上縁から露出するように収容した上、バケットの進路に順設された押え板６、横押板７および櫛形ガイド８などによって第１〜第３折込み部を順次形成し、更にこの折込み機構に連続して設けられた回転ローラ１０、１０’と、第１熱風機１１とにより、上記第１〜第３折込み部の上面を加熱・押圧してこれらを互いに接着した後、その前方に設置される第２熱風機１３によって上記折込み部の上面全域を加熱するとともに、最後の余剰フィルム３ｄを折返し板５ａの回動動作で折返して第４折込み部を形成し、更に加熱された大径ロール１５によって全折込み部を一律に押圧・接着するようにしたことを特徴とするサンドイッチ等の完全包装体の包装方法。

【図１】