説明

サーキュレータ

【課題】支持台に保護枠が角度調節可能に取り付けられるサーキュレータにおいて、サーキュレータ全体の省スペース化を図ること。
【解決手段】台1の上方に設けられた支持部2と、この支持部2に支持された送風装置4と、この送風装置4の周囲に設けられ一方に吸込口14を設けると共に他方に送風口15を設けた保護枠と、角度調節機構5とを備える。前記支持部2に前記保護枠3を中心軸6回りに回動自在に取り付ける。前記支持部2に、この支持部2から外側に付勢されるストッパー24を設け、前記保護枠3内に前記ストッパー24が係合可能なストッパー受け部23を設ける。前記支持部2を、前記保持枠3の吸込口14側から前記保持枠3内に挿入して前記中心軸6を軸支し、前記ストッパー24とストッパー受け部23とを係合させて前記角度調節機構を構成したことにより、装置の全幅を小さくして、省スペース化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の温度差を送風によって改善するサーキュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のサーキュレータは、台の上面に左右一対の支持部を立設し、これら支持部の上端の内側間にリング状の保護枠が設けられ、そしてこの保護枠内に軸流型のファンが設けられるものであって、前記保護枠の中心軸線と前記ファンの回転中心軸線が一致するように設けられている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】登録実用新案登録第3104900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サーキュレータは、室内で使用されるものであり、省スペースであることが好ましい。しかしながら、従来技術においては、前記保護枠の外側に前記支持部が設けられており、送風通路の直径の他に前記支持部の幅が必要になるなど、送風通路より全体幅が大きくなってしまうものであった。更に、前記支持部の先端と前記保護枠との間に角度調節装置を設ける必要があった。これらの結果、装置の省スペースを図ることができなかった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、支持台に保護枠が角度調節可能に取り付けられるサーキュレータにおいて、サーキュレータ全体の省スペース化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、台の上方に設けられた支持部と、この支持部に支持された送風装置と、この送風装置の周囲に設けられ一方に吸込口を設けると共に他方に送風口を設けた保護枠と、角度調節機構とを備えたサーキュレータにおいて、前記支持部に前記送風装置又は保護枠を中心軸回りに回動自在に取り付け、前記支持部に、この支持部から外側に付勢されるストッパーを設け、前記保護枠内に前記ストッパーが係合可能なストッパー受け部を設けると共に、前記支持部を、前記保持枠の吸込口側から前記保持枠内に挿入して前記中心軸を軸支し、前記ストッパーとストッパー受け部とを係合させて前記角度調節機構を構成したことを特徴とするサーキュレータである。
【0006】
請求項2の発明は、前記ストッパーが、付勢手段により前記支持部から突出する方向に付勢されていると共に、このストッパー受け部に、前記中心軸を中心とする周方向に沿って複数の凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載のサーキュレータである。
【0007】
請求項3の発明は、前記支持部が、前記台から前記保護枠に向けて突設する細長な線状材によって形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のサーキュレータである。
【0008】
請求項4の発明は、前記台と支持部が一本の線材によって一体に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーキュレータである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、前記支持部が前記保護枠の内側に位置するので、装置の全幅を小さくして、省スペース化を図ることができるばかりでなく、前記保護枠の側面に前記支持体が配されないので、外観を単純化してデザイン性を高めることができる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、前記保護枠に力を加えて、複数の前記凹部のいずれかに前記ストッパーを選択的に係合させることで、前記保護枠を所望の方向に簡単に向けて保持することができる。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、前記支持部を細くすることができるので、装置の小型化に寄与することができる。
【0012】
更に、請求項4の発明によれば、前記台と支持体とを容易に製造することができ、強度を高めることができるばかりでなく、前記台と支持体とを更に小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0014】
図1乃至図5は実施例1を示している。サーキュレータは、床やテーブル或いは壁などに設置される台1と、この台1から上方に立設する左右一対の支持部2と、これら支持部2の上端部2Aに取り付けられると共に送風案内筒の機能を果たす保護枠3と、この保護枠3内に設けられる送風装置4とを備えたものである。そして、前記支持部2の上端部2Aと保護枠3との間に、前記送風装置4、ひいては前記保護枠3の起伏仰角を調節して停止状態とする角度調節手段5が設けられている。
【0015】
前記台1と支持部2は、1本の断面円形な線材やパイプ等を曲げて形成したものである。即ち、前記台1と支持部2は一体に形成されている。前記台1は、平面視でC字状に形成されていると共に、前記支持部2は、前記台1の開口端部からその反対側へ向けて斜め上方に立設しており、その上端部2A側に、前記保護枠3、即ちこの内部に設けられた前記送風装置4が支持されている。そして、前記支持部2の上端部2Aよりやや下方には、中心軸6が設けられている。この中心軸6は、その軸線6Aの方向が前記支持部2の長手方向と直交するように、この支持部2に設けられている。前記中心軸6は、前記送風装置4が起伏回動するときの回転中心となる。なお、前記台1には、設置場所の床等を傷つけないように、複数の足1Aが装着されている。
【0016】
前記送風装置4は、プロペラ形状の羽根7が装着された回転軸8Aを一方に備えたモータ8と、前記回転軸8Aが突出した状態で前記モータ8の回転軸8A側を覆うモータカバー9とを備えたものである。なお、前記羽根7は、その中心部の一方から螺子軸10を差し込んで、この螺旋軸10と前記回転軸8Aとを螺合させることで、前記回転軸8Aに固定されるものである。
【0017】
さらに、前記モータカバー9の左右側面には、前記中心軸6の軸受け11を構成する突部9Aが一体に設けられる。なお、前記軸受け11は、前記モータ8の左右側面に設けられる。また、前記モータカバー9は、第1の雄螺子部材12によって、後述する固定用受け座20に固定される。更に、前記軸受け11は、前記モータカバー9の左右側面から左右にそれぞれ突設した前記突部9Aと、固定用受け座20(後述)に形成された、上方を開口部とした溝(図示せず)とで構成されている。そして、前記中心軸6を前記開口部から前記溝に挿入し、前記モータカバー9を固定用受け座20(後述)に固定して前記突部9Aで前記開口部を塞ぐことで、前記軸受け11に前記中心軸6が軸支され、この中心軸6を回動中心として、前記送風装置4が起伏できる。
【0018】
前記保護枠3は、一方に吸い込み口14が形成されると共に、他方に送風口15が形成された円筒形であって、その中心軸線3Aが、前記回転軸8Aとほぼ一致するように形成されたものである。前記保護枠3は、その内径が、前記羽根7の直径よりもやや大きく形成されていると共に、前記中心軸線3A方向の長さが、前記保護枠3の直径とほぼ同じ長さに形成されている。なお、実施例では、前記羽根7の直径D1は、前記保護枠3の長さLの75%より大きくなっており(D1>0.75L)、前記保護枠3の長さLと前記保護枠3の直径D2はほぼ等しくなっている(L≒D2)。さらに、前記羽根7は、前記保護枠3内において、前記中心軸線3Aの中央よりも前記送風口15側に位置している。そして、前記保護枠3の側面で且つ前記羽根7の上流側(即ち、図1及び図2における下方側)には、前記保護枠3の内外を連通する連通部16が、複数のスリットによって形成されている。また、前記吸い込み口14には、複数の吸込案内板17が設けられている。これらの吸込案内板17は、前記中心軸線3Aを中心として放射状に設けられたものであり、これらの吸込案内板17間に、それぞれ隙間17Aが設けられている。更に、前記送風口15には複数の送風案内板18Aが設けられたグリル18が着脱自在に取り付けられている。前記送風案内板18は、前記中心軸線3Aを中心として渦巻き状に設けられたものであり、これらの送風案内板18A間に、それぞれ隙間18Bが設けられている。なお、前記保護枠3の外周面には、前記モータ8を作動させるためのスイッチ操作部19が設けられている。
【0019】
前記送風装置4は、前記吸込案内板17の内側の中央部で且つ前記中心軸線3A上に、前記吸込案内板17と一体に設けられた固定用受け座20に固定されている。即ち、前記送風装置4は、これを構成する前記モータ8を前記固定用受け座20に載置した後、両者を第2の雄螺子部材21によって固定することで、前記保護枠3に固定される。更に、前述したように、前記モータカバー9を、前記固定用受け座20に前記第1の雄螺子部材12によって固定することで、前記モータ8は、前記モータカバー9と固定用受け座20によって囲まれる。このように、前記送風装置4を固定することにより、前記中心軸6が、円弧面22の中心となるように、ストッパー受け部23が装着される。
【0020】
前記角度調節手段5は、前記支持部2の上端部2Aに設けられる細く短い棒状のストッパー24と、前記モータカバー9に設けられて前記ストッパー24が選択的に係止可能な前記ストッパー受け部23からなる。前記ストッパー24について詳述する。前記支持部2の先端面2Bに、有底凹状の孔25を形成する。この孔25は、前記先端面2Bに開口部25Aを形成すると共に、前記支持部2の上端部2Aに長さ方向に凹設したものである。なお、前記孔25の開口部25Aから底端までの奥行きは、前記中心軸6まで達しない寸法となっている。そして、前記孔25に前記ストッパー24の基端24A側を挿入すると共に、前記孔25の底端と前記ストッパー24の基端側の間に、圧縮コイルバネ26を介在させる。これによって、前記ストッパー24は、その先端24Bが前記開口部25Aから常時突出するように、前記支持部2の長さ方向外側に付勢されると共に、前記支持部2の長さ方向に沿って摺動できるようになっている。前記ストッパー受け部23は、前記モータカバー9を前記第1の雄螺子部材12によって前記固定用受け座20に固定することで、前記送風装置4のモータカバー9の左右両側で且つ前記モータカバー9と固定用受け座20との間に挟持される。そして、前記ストッパー受け部23には、前記中心軸6の軸線6Aを中心として円周方向に並ぶように、前記円弧面22上に凹部27が複数設けられる。なお、前記円弧面22は、前記軸線6Aを中心として挟角Aがほぼ90度となるように形成されている。また、複数の前記凹部27は、実施例では、前記円弧面22上の5か所に波型形状に形成されている。そして、前記凹部27は、実施例では、断続的に且つ等間隔に形成されている。なお、前記凹部27は、それらの面が連続するように設けても良い。
【0021】
更に、前記固定用受け座20には、前記支持部2が貫通してその上端部2Aが前記ストッパー受け部23に対向するようにするための貫通孔28が設けられる。この貫通孔28は、前記ストッパー受け部23と対向すると共に溝状の細長形状に形成されている。そして、前記貫通孔28に前記支持部2が回動可能に貫通することで、前記支持部2の先端部2Aが前記保護枠3の内側に配置されている。
【0022】
次に、上記構成について、その作用を説明する。前記スイッチ操作部19を操作することで、前記モータ8が作動して、回転軸8A、即ちこの回転軸8Aに取り付けられた前記羽根7が回転する。そして、この羽根7が回転することで、前記吸込口14から空気を吸い込んで、前記送風口15から吐出する。これによって、前記送風口15から送風することができる。
【0023】
そして、前記ストッパー24が前記ストッパー受け部23のいずれか一つの凹部27と係合することで、前記ストッパー受け部23が固定された前記保護枠3の向きが所定の角度で保持される。なお、図1の状態で前記ストッパー24と凹部27とが係合した場合、前記保護枠3は、その中心軸線3Aがほぼ垂直となり、送風方向は下から上となる。
【0024】
この状態から、前記保護枠3の中心軸線3Aの向き、即ち送風方向を変更する場合、前記中心軸5が回転中心となるように、前記保護枠3に力を加えてこの保護枠3を動かすと、前記支持部2が前記貫通孔28内で揺動する。この際、前記ストッパー24が前記円弧面22に沿って摺動しようとするが、前記ストッパー24の先端24Bが前記凹部27に当接していることによって、前記ストッパー24は、前記圧縮コイルバネ26の付勢力に抗して後退する。そして、前記保護枠3を更に回動させると、前記ストッパー24が前記凹部27間の凸部を乗り越えることで、前記ストッパー24は、再び前記圧縮コイルバネ26の付勢力によって突出し、隣接する前記凹部27と係合する。この動作を繰り返し、前記ストッパー24を前記ストッパー受け部23の所定の凹部27に係合させることで、前記ストッパー受け部23が固定された前記保護枠3の中心軸線3Aが、図5に示すような斜め上向き、或いは水平となるように保持される。
【0025】
以上のように、上記実施例では台1の上方に設けられた支持部2と、この支持部2に支持された送風装置4と、この送風装置4の周囲に設けられ一方に吸込口14を設けると共に他方に送風口15を設けた保護枠と、角度調節機構5とを備え、前記支持部2に前記送風装置4又は保護枠3を中心軸6回りに回動自在に取り付け、前記支持部2に、この支持部2から外側に付勢されるストッパー24を設け、前記保護枠3内に前記ストッパー24が係合可能なストッパー受け部23を設けると共に、前記支持部2を、前記保持枠3の吸込口14側から前記保持枠3内に挿入して前記中心軸6を軸支し、前記ストッパー24とストッパー受け部23とを係合させて前記角度調節機構5を構成したことにより、前記支持部2が前記保護枠3の内側に位置するので、装置の全幅を小さくして、省スペース化を図ることができるばかりでなく、前記保護枠の側面に前記支持体が配されないので、外観を単純化してデザイン性を高めることができる。
【0026】
また、前記ストッパー24が、付勢手段としての圧縮コイルバネ26により前記支持部2から突出する方向に付勢されていると共に、このストッパー受け部23に、前記中心軸6を中心とする周方向に沿って複数の凹部27を設けたことにより、前記保護枠3に力を加えて、複数の前記凹部27のいずれかに前記ストッパー24を選択的に係合させることで、前記保護枠3を所望の方向に簡単に向けて保持することができる。
【0027】
更に、前記支持部2が、前記台1から前記保護枠3に向けて突設する細長な線状材によって形成され、この支持部2の上端2Aにストッパー24が設けられることにより、前記支持部2を細くすることができるので、装置の小型化に寄与することができるばかりでなく、前記保護枠3の内部が前記支持部2に大きく占有されるようなことがなく、前記保護枠3内部の空気通路面積を大きく確保することができる。
【0028】
しかも、前記台と支持部が一本の線材によって一体に形成されることにより、前記台と支持体とを容易に製造することができ、強度を高めることができるばかりでなく、前記台と支持体とを更に小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように本発明に係るサーキュレータは、各種の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】同、分解斜視図である。
【図3】同、要部の分解斜視図である。
【図4】同、保護枠3の吸い込み口14側の斜視図である。
【図5】同、全体斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 台
2 支持部
2A 上端部
3 保護枠
4 送風装置
5 角度調節機構
6 中心軸
6A 軸線
14 吸込口
15 送風口
22 円弧面
23 ストッパー受け部
24 ストッパー
26 圧縮コイルバネ(付勢手段)
27 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台の上方に設けられた支持部と、この支持部に支持された送風装置と、この送風装置の周囲に設けられ一方に吸込口を設けると共に他方に送風口を設けた保護枠と、角度調節機構とを備えたサーキュレータにおいて、
前記支持部に前記送風装置又は保護枠を中心軸回りに回動自在に取り付け、前記支持部に、この支持部から外側に付勢されるストッパーを設け、前記保護枠内に前記ストッパーが係合可能なストッパー受け部を設けると共に、前記支持部を、前記保持枠の吸込口側から前記保持枠内に挿入して前記中心軸を軸支し、前記ストッパーとストッパー受け部とを係合させて前記角度調節機構を構成したことを特徴とするサーキュレータ。
【請求項2】
前記ストッパーが、付勢手段により前記支持部から突出する方向に付勢されていると共に、このストッパー受け部に、前記中心軸を中心とする周方向に沿って複数の凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載のサーキュレータ。
【請求項3】
前記支持部が、前記台から前記保護枠に向けて突設する細長な線状材によって形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のサーキュレータ。
【請求項4】
前記台と支持部が一本の線材によって一体に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーキュレータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−54084(P2010−54084A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217337(P2008−217337)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】