説明

サーボモータを利用して部品を移動中のウエブ上に置く装置

【課題】第一の速度で受取り領域を通って走行している部品を受け取り、第二の速度で適用領域を通って走行しているキャリアに該部品を適用するための装置の提供。
【解決手段】転送装置50A,50Bの少なくとも1つはその転送装置50A,50Bが周回走行路で動くために該プログラム可能なモータ64A,64Bのそれぞれに連結されており、該プログラム可能なモータ64A,64Bは、該転送装置50A,50Bが該部品30を取り上げる時に該受取り領域内で第一の表面速度を有するように維持し、及び該転送装置が該部品30を該キャリアに適用する時に該適用領域内で第二の表面速度を有するように維持し、各駆動機構61A,61Bは被動歯車72A,72Bを介して被動機構71A,71Bのそれぞれ1つに回転エネルギーを伝導する1つのモータ64A,64Bと駆動歯車62A,62Bを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある速度で走行している個別の部品を受取り、異なる速度で走行しているウエブ又はその他のキャリアにその部品を適用するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつなどの使い捨て吸収性物品は、一般に、脚部弾性体、腰部弾性体、テープ、及びその他の締結具などの、個別の部品又は異なる材料の構成要素が、連続的に動くキャリアウエブに適用される工程により、製造されてきた。多くの場合、部品が工程の一カ所からキャリアウエブ上に供給される速度はキャリアウエブの速度とは異なるので、工程又は最終製品に悪影響を与えずに部品を適切に適用するために、部品の速度はキャリアウエブの速度と調和するように変化させなければならない。
【0003】
同様に、ラベルは通常、ラベルが工程に送られる速度が、ラベルを貼られる物品の速度と異なる時に、物品の上に置かれる。したがって、ラベルの速度は、工程又は最終製品に悪影響を与えずに部品を適切に適用するために、キャリアウエブの速度と調和するように変化させなければならない。
【0004】
連続的に動くキャリアウエブに適用できるように部品又は構成要素材料の速度を変えるための、幾つかの異なる従来型方法が、当業者に知られてきた。
【0005】
例えば、1つの方法は、スリップカット法又はカットアンドスリップ法と呼ばれてきた。キャリアウエブよりも遅い速度で走行している材料ウエブが、キャリアウエブの速度と同じ表面速度を有するアンビルロール及びナイフに供給される。その材料は、ナイフがそれを個別の片に切断するまで、アンビルロールの表面に対してスリップする。スリップの目的は、切断に先立ち、所望の張力で確実に正しい量の材料を計量してシステムへ入れることである。材料が切断されて個別の部品になると、アンビルロール内の真空が活性化されて、個別の部品をアンビル上でスリップ無く保持し、その結果個別の部品がアンビルロールの速度にまで
加速される。次に、アンビルロールは真空が開放される点までその部品を運び、部品とキャリアウエブの両方が同じ速度で走行している間に、部品がキャリアウエブに適用される。上記方法の問題点は、スリップ加工が材料特性及び工程設定に非常に敏感なことである。例えば、材料とアンビルロールの間の摩擦係数が高すぎると、材料がスリップ加工中に伸びてしまう。この伸びが起きると、最終切断の長さ及び個別部品のキャリアウエブ上への設置の変位性が大きくなる原因となる。
【0006】
別の方法では、フェストーンを使用してキャリアウエブを減速させ、ウエブに適用する個別の材料部品の速度に調和させてきた。この方法の例が、シュミッツ(Schmitz)に発行された米国特許第5,693,195号に記載されている。キャリアウエブは部品の速度に一時的に減速され、キャリアウエブの余剰部分はフェストーン内に蓄積される。次に、部品とウエブの両方が同じ速度で走行している間に、材料部品がキャリアウエブに適用される。次に、フェストーンが開放され、移動中のウエブが元の速度に戻ることができる。この方法には、2つの大きな欠点がある。第一に、キャリアウエブがフェストーンにかけられてから次に開放されなければならず、これにより、キャリアウエブを損傷するか、又はそうでなくてもキャリアウエブの特性を変えることがある。第二に、ライン速度と必要な貯蔵スペースの間に直接の関係があるため、貯蔵システムは典型的な使い捨て製品生産システム内に大きなスペースを必要とする。
【0007】
別の方法は、カムで作動するフォロワーアームを利用してきた。カム作動フォロワーは、アームの一端のカムフォロワー及びアームの他端の保持板を含む。カムフォロワーは、保持板の瞬間的回転中心と同心に取り付けられた、固定カムとの接触を維持する。保持板が回転すると回転中心からの半径が増減し、保持板の表面速度が変化する。保持板が最小半径であって速度が一致している時に、個別の材料部品が保持板上に置かれる。次に、その板はその速度がキャリアウエブの速度と調和するのに十分なまで、回転中に半径方向に伸びる。この時点で、個別の部品はキャリアウエブに引き渡される。この方法には、2つの大きな欠点がある。第一に、その板は、1つの半径の曲率に調和するように設計されており、両方にではない。これは、個別部品の取り上げ、個別部品の引き渡し、又は両方が、引き渡しの一部でギャップを横切ってなされることを意味する。これにより、個別部品の制御を失うことがあり、これは張力下にある部品、例えば、脚部弾性体などの取扱いに影響を与える。第二に、所望の速度変化を達成するために、例えば、カム又はリンク機構などの通常使用される機械要素が、加速と角度上昇の受容可能な設計制限内に納まるにはかなり大きいものとなる。このサイズのために、装置を各適用毎に再設計しなければならないので、コスト増と柔軟性の低下に繋がる。
【0008】
別の方法は、転送装置の速度を変化させるために、非円形歯車を使用してきた。この手段は一定半径で回転するが、回転速度は最小から最大の間を変化し、その速度で個別部品を取り上げ、その速度で部品をキャリアウエブ上に置く。これにより、大きさの問題と速度又はギャップの不調和の問題は無くなるが、回転速度の変化を達成するのに機械的手段に頼っている。これによる欠点は、配置ピッチの長さ、個別部品の長さ、又はその他の主要要因を変える製品設計変更が生じる度に、新しい伝導部品(歯車又は他の手段)が必要になることである。これにより、変更するために費用増及び時間ロスとなるおそれがある。この方法の例が、ラヤラ(Rajala)及びマコーベック(Makovec)に発行された米国特許第6,022,443号に記載されている。
【発明の概要】
【0009】
これまでに説明した従来技術に見られる困難さと問題点に答えて、ある速度で走行している個別の部品を受け取り、その部品の速度をキャリアウエブ又は本体の速度に調和するように変化させ、その部品をキャリアウエブに適用するための、新しい方法と装置が発見された。
【0010】
一つの態様において、本発明は、第一の速度で走行している個別の部品を受け取り、第二の速度で走行しているキャリアにその部品を適用するための装置に関する。その装置は、少なくとも1つの回転可能な転送装置、及び各転送装置用の1つの駆動機構を含む。それぞれの回転可能な転送装置は、部品を受け取る受取り領域と部品をキャリアに適用する適用領域を通る周回走行路に沿って動くように構成された、少なくとも1つのシェルセグメントを含む。キャリアは、連続的に動く基材ウエブを含んでもよく、ドラムなどの他の装置であってもよい。駆動機構は、サーボモータなどのプログラム可能なモータを利用し、回転エネルギーを回転可能な転送装置に伝導する。駆動機構は、直接連結を通して、又はそれらの中間に装置されるトランスミッションを通して、回転可能な転送装置へ回転エネルギーを伝導してもよい。トランスミッションは、歯車対歯車接触又は歯車箱を包含してもよい。
【0011】
別の態様において、本発明は、第一の速度で走行している個別の弾性材料の部品を受け取り、第二の速度で走行しているキャリアにその部品を適用するための装置に関する。弾性材料の部品は、装置が受け取る時には既に所望の張力及び伸び長さであるということもある。一方、弾性材料の部品は、その先導縁が装置に引き渡される時には所望よりも低い張力及び伸び長さであることもあるが、装置が個別の部品よりも速い速度で走行しているなら、装置への引渡し中に伸張された場合がある。あるいは、その部品は、先導縁が装置に引き渡される時には所望よりも高い張力及び伸び長さであることもあるが、装置が個別の部品よりも遅い速度で走行しているなら、所望の状態へ弛緩することができる。張力及び伸びの変化は、個別の材料部品の全長に沿って均一に行うことができるか、又は最初の引渡しの間に回転可能な引渡し手段の速度を変えることにより意図的に変化させることができる。
【0012】
別の態様では、転送装置へ供給される材料は、転送装置上にある間にナイフ、熱線、レーザービーム、又は普通に知られるその他の方法で個別の部品に切断されることもできる連続ウエブを含んでもよい。あるいは、装置に供給される材料は、回転可能な転送装置の加速により、個別の部品に分断されることもできる。この分断加工は、受取り領域に到着する前に所望の分断点で材料に穴加工することにより助勢することができる。
【0013】
別の態様では、個別の部品は、回転可能な転送装置上を走行中に適用される接着剤又はその他の接合材料を有することができる。転送装置の回転速度は、回転可能な転送装置が回転する間に断続的又は連続的に接合材料を適用できるように、接合材料アプリケータと一致して制御することができる。
【0014】
別の態様では、個別の材料部品は、キャリアウエブに置かれる前に、最終接合加工を助勢するために変化させることができる。この変化は、加熱、加湿、又は接合加工を助勢するために材料特性を変えるその他の既知の手段を通じて生じさせ得る。
【0015】
更に別の態様では、本発明の装置のプログラム可能なモータは、それぞれのモータ及び各モータで動かされる転送装置が、全モータ及び転送装置に共通の回転軸線に関連して整列するように、連結して配置することができる。
【0016】
上述のスリップアンドカット法などの従来方法と比較して、キャリアに個別の部品を適用できるように部品の速度を変えるために、プログラム可能なモータを利用することにより速度をより大きく変化させる能力、一定期間定速を維持する能力、及び1つの製品から他の製品へ変える時の準備工程の簡単化能力がもたらされる。したがって、プログラム可能なモータを使用することにより、製作される部品の型に大きな柔軟性を提供しながら、長さ及びキャリア上への部品の配置をより正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の装置の一実施例の等角図を代表的に示す。
【図2】図1の装置の略側面図を代表的に示す。
【図3】連続して配置された、本発明で使用する装置の略側面図を代表的に示す。
【図4】2つの転送装置を含む、本発明による装置の斜視図を代表的に示す。
【図5】切断装置を含む、図4に示す装置の斜視図を代表的に示す。
【図6】典型的なモータ出力の速度プロファイルを代表的に示す。
【図7】固定速度域の1つを可変速度域に変えた、モータ出力の別の速度プロファイルを代表的に示す。
【図8a】システムの最高速度又は最低速度を変えることなく非最適半径を可能にするために上昇時間を減少した、モータ出力の別の速度プロファイルを代表的に示す。
【図8b】非最適半径を可能にするために、受取り領域から適用領域までの推移期間の最高回転速度が適用領域での平均回転速度を超える、モータ出力の別の速度プロファイルを代表的に示す。
【図8c】非最適半径を可能にするために、受取り領域から適用領域までの推移期間の最低回転速度が受取り領域での平均回転速度より低い、モータ出力の別の速度プロファイルを代表的に示す。
【図9a】部品に第二の加工を達成するするためのアプリケータ及び複数のシェルセグメントを含む2つの転送装置とを含む、本発明による装置の斜視図を代表的に示す。
【図9b】図9aに示す装置の側面図である。
【図10】噛み合う溝付き先導縁及び追従縁を有する、本発明による隣接シェルセグメントの等角図を代表的に示す。
【図11】共通中心軸線に整列した一連のモータを含み、それぞれのモータが回転可能な中空軸を有する、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【図12】図11に示す実施形態の平面図を代表的に示す。
【図13】切断装置と組み合わせた、図11及び12に示す実施形態の上流側から見た等角図を代表的に示す。
【図14】切断装置と組み合わせた、図11及び12に示す実施形態の下流側から見た等角図を代表的に示す。
【図15】図13及び14に示す実施形態の側面図を代表的に示す。
【図16】共通中心軸線に整列した一連のモータを含み、それぞれのモータが少なくとも1つの静止軌道レール及び移動可能なライダーを有する、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【図17】図11に示す実施形態の平面図を代表的に示す。
【図18】図16及び17に示す実施形態の側面図を代表的に示す。
【図19】共通中心軸線に整列した一連のモータを含み、それぞれのモータが静止内側固定子及び回転可能な外側回転子を有する、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【図20】共通中心軸線に整列した一連のモータを含み、それぞれの転送装置が周回走行路を追従する、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【図21】図20に示す実施形態の平面図を代表的に示す。
【図22】図20及び21に示す実施形態の側面図を代表的に示す。
【図23】切断装置を含む、図20〜22に示す実施形態の下流側から見た等角図を代表的に示す。
【図24】切断装置を含む、図20〜22に示す実施形態の上流側から見た等角図を代表的に示す。
【図25】図23及び24に示す実施形態の側面図を代表的に示す。
【図26】共通中心軸線に整列した一連のモータを含み、それぞれのモータが少なくとも1つの静止周回軌道レール及び移動可能なライダーを有する、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【図27】伸張装置を含む、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【図28】回転装置を含む、本発明の別の実施形態の等角図を代表的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、第一の速度で走行している個別の部品を受け取り、第二の速度で走行しているキャリアにその部品を適用するための方法及び装置を提供する。その方法及び装置は、使い捨て吸収性物品の製作に有用なキャリアに任意の部品を適用するために、又は物品上にラベルを置くために、特に有用である。しかし、その方法及び装置が、基材ウエブ又は部品のキャリアにいかなる部品を適用するにも適切であろうことは容易に分かる。
【0019】
ここで図1及び図2を参照すると、本発明の一態様が代表的に示され、全体的に20に示す装置が、関係づけられた矢印91が示す方向へ第一の速度で走行している個別の部品30を受け取り、関連づけられた矢印92が示す方向へ第二の速度で走行しているキャリア80へ部品30を適用する。図1及び図2に代表的に示す装置20の図示例は更に、回転エネルギーを被動機構71へ伝導するための駆動機構61を含む。駆動機構61には、当業者に既知の任意の技法を使用する被動機構への連結部が含まれ、例えば、歯車対歯車連結、伝導ベルト及びプーリ、歯車箱、直接連結など、又はこれらの任意の組合せなどが挙げられる。例えば、図1では、駆動機構は駆動歯車62に連結され、この歯車が回転エネルギーを被動機構71に連結された被動歯車72へ伝導する。使用中には、駆動歯車62が被動歯車72とかみ合ってこれを回転させ、次にこの歯車が転送装置50を回転させる。
【0020】
転送装置50の図示例は、被動機構71に連結された少なくとも1つのシェルセグメント51を含む。転送装置50のシェルセグメント51は、当業者に既知の任意の技法、例えば、ボルト、ネジ、ピン、キー及びそれに合うキー溝、シャフト又はブラケットなどの連結部品、溶接など、又はこれらの組合せなどにより被動機構71に連結することができる。例えば、図1に示すシェルセグメント51は、シェルセグメント51の端部を被動歯車72内の相手穴に嵌合して、ピンで所定の位置に固定することにより、被動歯車72に直接連結される。同様に、装置20の他の構成要素も上記組立技法を用いて相互連結することができる。
【0021】
シェルセグメント51の寸法は、装置20の所望するアウトプットと、引き渡される個別物品30の大きさ及び形状とにより変わってもよい。シェルセグメント51は、外周弧長が約5°〜約340°に及び、外側半径が約25mm〜約500mmの範囲であり、幅が約50mmから約750mmの範囲である、三日月型部材を含んでもよい。被動機構71が回転すると、転送装置50が、図2に示す矢印93で示される方向に走行する。外側半径で画定されるシェルセグメント51の周辺外周表面は、受取り領域21及び適用領域23を通る周回走行路に沿って走行し、これを画定する。受取り領域21及び適用領域23は、シェルセグメント51が走行する周回走行路のそれぞれの領域により画定される。
【0022】
駆動機構61の図示例は、入力軸63に連結された回転可能な円形駆動歯車62を含む。この例では、入力軸63はモータ64の出力軸である。被動機構71は、駆動歯車62が当業者に既知の歯車構成を使用して被動歯車72とかみ合うように、駆動機構61と平行に置かれる。使用中には、モータ64が入力軸63を回転させ、入力軸が駆動歯車62を回転させ、次に駆動歯車が被動歯車72及び転送装置50を回転させる。
【0023】
あるいは、被動機構71は、回転エネルギーを1つの軸から別の軸へ伝導できる当業者に既知の任意の機構、例えば、Vベルト、タイミングベルト、連続チェーンなど、又はこれらの組合せなどを包含してもよい。更に、被動機構71は、入力速度を不定に変更して出力源に出すことができる当業者に既知の任意の機構、例えば、回転速度の変化が実質的にモータ64によってなされる限りにおいて、カム、リンク機構など、又はこれらの組合せなどを包含してもよい。
【0024】
本発明の方法及び装置20は、個別部品のキャリアへの所望の適用を達成するために、1つ以上の、あるいは2つ、3つ、またはそれ以上の、転送装置50、被動機構71、駆動機構61、及びモータ64のシリーズの組合せを利用できることが、更に理解されるであろう。その異なる組合せにより、連続的に動くウエブを使用して個別の部品を供給することが可能になる。その上、より大きな速度比差が、転送装置、被動装置、駆動装置、及びモータのシリーズの組合せを使用することにより達成できる。
【0025】
本発明の方法及び装置20は、連続して使用する時には、同じ受取り領域21及び同じ適用領域23で作動する必要はないことが、更に理解されるであろう。例えば、図3では、1つの装置20A及び第二の装置20Bが代表的に示され、装置20Aは駆動歯車62Aと被動歯車72Aとによりモータ64Aに連結された1つの転送装置50Aを含み、装置20Bは駆動歯車62Bと被動歯車72Bとによりモータ64Bに連結された1つの転送装置50Bを含む。装置20Aは、ドラム43から部品30を受け取るのに、受取り領域21Aを使用し、一方、装置20Bは、同じドラム43から部品30を受け取るのに、前記ドラム上の異なる回転位置において受取り領域21Bを使用する。
【0026】
図4に示す本発明の別の態様は、関係づけられた矢印94が示す方向へ第一の速度で走行している材料31のウエブの個別部品30を受け取り、関連づけられた矢印95が示す方向へ第二の速度で走行しているキャリア80に部品30を適用する装置20を含む。装置20の図示例は、部品30を受け取り適用するための、50A及び50Bで表される2つの回転可能な転送装置を含む。装置20は更に、2つの駆動機構61A及び61Bを有する駆動システム60を含み、駆動機構のそれぞれがモータ64A及び64B並びに駆動歯車62A及び62Bを含んで、被動歯車72A及び72Bで表される被動機構71A及び71Bへ回転エネルギーを伝導する。
【0027】
図4に示すように、それぞれの転送装置50A及び50Bは、被動歯車72A及び72Bに連結されたシェルセグメント51A及び51Bを含む。各歯車が回転すると、転送装置50A及び50Bは、関係づけられた矢印96が示す方向へ走行する。使用中には、シェルセグメント51A及び51Bの周辺外周表面は、転送装置50A及び50Bのシェルセグメント51A及び51Bが走行する周回走行路のそれぞれの領域により画定される、受取り領域21及び適用領域23を通る周回走行路に沿って走行し、これを画定する。
【0028】
シェルセグメント51A及び51Bの大きさ及び形状は、転送装置当たりのシェルセグメントの数が変わるに従って変化してもよい。例えば、図4に代表的に示すように、装置が2つの転送装置を含む場合、各シェルセグメント51A及び51Bは、転送装置50A及び50Bの周回走行路の約5°〜約175°に及ぶ外周弧長を有してもよい。
【0029】
各被動機構71A及び71Bは、回転エネルギーを1つの軸から別の軸へ伝導できる、当業者に既知の任意の機構、例えば、Vベルト、タイミングベルト、連続チェーンなど、又はこれらの組合せなどを包含してよい。更に、被動機構71A及び71Bは、入力速度を不定に変更出力源へ出すことができる、当業者に既知の任意の機構、例えば、回転速度の変化が実質的にモータ64によりなされる限りにおいて、カム、リンク機構など、又はこれらの組合せなどを包含してもよい。あるいは、第一の被動機構は、被動歯車からの第一の軸を使用して第一の転送装置へ連結してもよく、第二の被動機構は、第一の軸の周りの同心の軸を使用して第二の転送装置へ連結してもよい。
【0030】
図5に代表的に示す装置20は更に、転送装置50A及び50Bのシェルセグメント51A及び51Bへ個別部品を引き渡す前又は同時に、連続的に動く材料31のウエブを個別の部品30に分割するための、挟みナイフカッター41及びナイフアンビル42を含む、切断装置40を含んでもよい。挟みナイフカッター41は、図示の回転カッター、又は材料ウエブを個別の部品に分割可能な、当業者に既知の任意のその他の機構を含んでもよい。本発明のある種の態様では、ナイフアンビル42を除外してもよく、ウエブが転送装置のシェルセグメントの上に保持されている時に、挟みナイフカッター41が分割するようにすることができる。あるいは、連続的に動く材料ウエブは複数の転送装置のシェルセグメント上に直接置かれ、ウエブが複数のセグメントの上に置かれると直ちに、1つの装置が計画的に加速して、ウエブから単一部品を分割するのに必要な力を発生できるようにしてもよい。このような分割は、受取り領域の上流でウエブに穴加工することにより容易にでき、その結果、加速中に所望の穴で部品が破断する。
【0031】
受取り領域で部品を受け取るために、転送装置は、本発明の様々な構成中で代表的に示すように、シェルセグメントの外側凹表面が受取り領域で部品を捕捉してその部品を適用領域まで搬送できるように、把持機構を更に含んでもよい。この実施形態の場合、把持機構は、外側凹表面まで導くシェルセグメント中の穴を通して選択的にかけることができる真空を含んでもよい。例えば、真空が受取り領域で活性化されて部品を掴み、適用領域で不活性化されて部品をキャリアへ放してもよい。この方法により、部品に対する積極的な制御が、引渡しの全工程において維持される。あるいは、把持機構は部品を把持して放す、当業者に既知の任意の方法、例えば、機械的クランプ、電気的クランプ、磁気的クランプなど、又はこれらの組合せなどを包含してもよい。
【0032】
適用領域で部品をキャリアに引き渡すために、本装置は、当業者に既知の様々な任意の選択肢、例えば、部品上に適用される接着剤、キャリア上に適用される接着剤、部品とキャリア間の静電荷、キャリア上の真空など、又はこれらの組合せなどを含んでもよい。あるいは、引渡しは、当業者に既知の様々な任意の手段、例えば、引渡し時にシェルセグメントとキャリアの間に形成されるニップでの圧力生成、引渡し時のシェルセグメント上のパターンとキャリアの後の超音波ホーンとの相互作用など、及びこれらの組合せなど、による部品とキャリア間の溶着生成を包含することができる。その上、溶着加工を助勢するために、部品は、当業者に既知の任意の機構、例えば、加熱空気流、紫外線光、レーザー照射など、又はこれらの組合せなどを使用してエネルギーを加えられることによりシェルセグメント上で変化してもよい。
【0033】
上述した本発明の様々な態様にて代表的に示すように、本装置にプログラム可能なモータを使用すると、ある速度で走行している部品30を受け取って異なる速度で走行しているキャリア80へその部品を適用するための、低費用で適応性のある方法がもたらされる。角速度の変化は、モータに供給する電流を変化させることにより作り出される。被動機構がモータ出力に連結されているので、モータの角速度及び位置の変化は、転送装置の角速度及び位置の変化に直接関連する。モータに供給する電流は、当業者に既知のモータをプログラムする様々な任意の方法、例えば、標準カム曲線機能、基準点を含む参照データ表、所望のモータエンコーダの点など、又はこれらの組合せなどを使用して制御することができる。
【0034】
必要な回転動を供給する手段は、当業者に既知の複数の方法で達成可能である。プログラム可能な電気モータは、モータトルクが比例的に変わり得るように変調した信号を伝えることができる、既知の電源で駆動可能である。転送装置当たりに含まれるモータの台数は、任意の適切な数とすることができる。単一の転送装置に取り付けられた各モータには、変調したトルク信号を伝えることができる、1つ以上の電源により供給可能である。トルク信号は通常電流であり、個別の電源又は単一の電源により個々のモータに供給してもよく、当業者に既知の複数の方法により制御してもよい。
【0035】
転送装置の実位置は、当業者に既知の複数の方法で制御可能である。説明する制御システムは、転送装置及びモータからの位置フィードバックを取り入れる、プログラム可能なシステムを利用する。転送装置又はモータ上の位置フィードバック装置は、転送装置の位置が当業者に既知の他の手段で推定可能な場合には、要求してもしなくてもよい。典型的な位置変換器は、エンコーダー又はレゾルバーを基にしたシステムであるが、転送装置の実際の位置又は推定した位置を提供するように構成できるいかなるシステムも使用可能である。
【0036】
説明する制御システムは、変調したトルク信号を発生するモータ電源へ比例信号を供給するのに使用できる、多数の種類、モデル、及び技法の1つである。
【0037】
その制御システムは、モータ電源と一体であってもなくてもよい。その制御システムは、モータ電源と共に、モータそのものと一体であってもなくてもよい。その制御システムは、デジタル制御であってもなくてもよく、当業者に既知の様々な方法及び構成で構築することができる。制御システム、電源、フィードバック装置、及びモータ装置、並びに回転運動を提供する目的のために必要とされる任意のその他の構成要素を、以下において転送装置用「駆動システム」と呼ぶ。
【0038】
駆動システムは、転送装置の位置を連続的に制御し、転送装置が受領製品、ウエブ、又は母機上の所与の位置と同調を保つようにする能力がある。駆動システムは、オペレータの介入の有無にかかわらず、必要な場合にはそれそのものを受領製品、ウエブ、又は母機に同調させて、受領製品又はウエブ上の位置の変化又は速度の推移に追従する能力がある。駆動システムにより、転送装置の上流か下流かいずれかの受領製品又はウエブに関連して、転送装置上のパッチの位置を合わせることができる。
【0039】
駆動システムは、パッチを受領製品又はウエブに引き渡すことを可能にする動作及び位置の制御のために、当業者に既知の複数の制御方法及びアルゴリズムを提供する能力があってもよい。駆動システムは、製品サイズ又は連続パッチの長さを変化させるか又は位置変化の制御のために、オペレータの介入の有無にかかわらず、パッチの長さを変える能力があってもよい。駆動システムのための位置基準は、事前計算されたカムプロファイルであっても、連続的に計算されるプロファイルであっても、当業者に既知の任意の位置軌道生成アルゴリズムであってもよく、デジタルベースでもアナログベースでもよい。転送装置用動作軌道は、事前計算されたプロファイル、あるいは受領製品又はウエブの速度により修正されるプロファイルに基づいてもよい。
【0040】
典型的なモータ設定の速度プロファイルが、図6に代表的に例示されている。示されるように、本発明の転送装置50を駆動するのに使用するプログラム可能なモータ64は、一定時間定速を保持する期間を含む可変角速度を提供することができる。これらの定速保持時間は、特に取上げ及び引渡しがかなりの弧長での接触の間に亘って生じる場合、受取り領域21及び適用領域23において有利であり得る。あるいは、1つ以上の定速領域は、図7に代表的に例示されるように、制御した可変速領域に変えることができる。これにより、受取り領域21で部品30を可変速度にて取り上げることができ、このことは、部品30が弾性である場合、張力を段階的に変えることを可能にし、ある種の製品機構では望ましいことである。別の例では、適用領域23でのモータ64の定速度は、転送装置の対応する速度が引渡し時のキャリアの速度と異なるようなものにできる。このような速度変化が、1つの表面速度で走行している1つの手段から第二の表面速度で走行している第二の手段へ制御した方法で部品30を段階的に引き渡すことにより、部品30内に張力を発生させる。
【0041】
適用領域又は受取り領域以外の転送装置50の速度は、接着剤の適用、識別マーク又は位置合わせマークの印刷、結合助剤の適用、湿分添加など、及びこれらの組合せなどを包含する、第二の加工の実行を助勢するように合わせられることを、更に理解されるであろう。このような速度の変化は、実行される第二の加工とのより正確な相互作用を可能とする、特定の速度プロファイル又は追加の定速期間さえも提供することにより、有益なことがある。
【0042】
本発明で使用するもののようなプログラム可能なモータは、どのプログラム可能なモータの供給元、例えば、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin)のロックウェルオートメーション(Rockwell Automation)などからも購入可能である。更に、モータへのプログラム入力は、図6に代表的に例示するような所望の出力機能の分析的な表示が提供されれば、当技術分野で普通の技量の者が作り出すことができる。例えば、モータ用電気的カムプロファイルの作成は、最初に主要入力変数を決定することにより進めることができる。主要入力変数は、所望の製品形態、装置20の基本設計、及び装置20の所望のサイクル速度に基づく。第二に、転送装置50の外表面半径を決定する。一旦半径が決定されると、回転速度、走行距離、加速に使用可能な時間という必要なカム入力が計算でき、これらがカムプロファイル生成機への入力となる。例えば、次の入力を有するシステムの場合:
N=装置20で使用する転送装置71の数
H=転送装置71当たりのシェルセグメント51の数
s,part=ある所与の引渡しにおいて装置20の転送装置50に受け取られる第一の部品30の先導縁から、転送装置50の次の引渡しサイクルにおいて受け取られる部品30の先導縁までの距離
s,product=装置20の転送装置50からの所与の引渡しにおいて部品30が適用されるキャリア80上の第一の製品領域の先導縁から、転送装置50からの次の引渡しサイクルにおいて部品30が適用されるキャリア80上の製品領域の先導縁までの距離
min=受取り領域21における転送装置50上のシェル51の平均表面速度
max=適用領域23における転送装置50の上のシェル51の平均表面速度
τ=製品製作の所与のレーンのサイクル時間
τ=受取り領域21における時間、通常はVmin=部品30の入域速度の値τ
τ=適用領域23における時間、通常の値はVmax=キャリア80の速度の比率τ
【0043】
次の従属変数が、計算できる:
比率=Ls,part/Ls,product
半径=転送装置50の有効回転中心から、転送装置50のシェル51の外表面までの距離
τTRANS=VminからVmaxまでの推移時間=N*τ−τ−τ=(N−1−比率)*τ
ωmin=受取り領域21における転送装置50の平均角速度=Vmin/半径
ωmax=適用領域23における転送装置50の平均角速度=Vmax/半径
θmin=ωmin*τ=ωmin*τ
θmax=ωmax*τ=ωmax*比率*τ
θtransition=2*π/H−θmin−θmax=2*π/H−ωmin*τ−ωmax*比率*τ
【0044】
半径は、受取り領域21から適用領域23までの推移の間の転送装置50の平均角速度ωaveが、(ωmin+ωmax)/2に等しいと仮定することにより、決定することができる。これは、推移の間に走行する距離θtransition=ωave*τTRANSを意味する。しかし、θtransitionは、2*π/H−θmin−θmaxにも等しくなければならない。したがって,θtransitionに関する2つの式を互いに等しいとおくと、半径について次の式が定義される。
半径=(Ls,part*(N+1−比率)+Ls,product*(N−1+比率))*H/(4*π)
【0045】
定義したLs,partは、例えば、部品の縁を部品の流れ方向に対して直角ではない角度で切断している場合には、部品の全長とは異なることがあり得るということに注意することが重要である。上記の式及びパラメータは、このことを説明するために、やや異なる方法で解かねばならない。
【0046】
さて、入力が与えられると、普通の技量の者ならば、電気カムソフトウエアプログラムに必要な通常の入力である、τTRANS、ωmin、ωmax、θmin、θmax、及びθtransitionを決定することができる。次に、一般的なカムプログラムは、モータ64用の入力表を作り出すであろう。その半径は、最適半径であって、入力の組に対してただ1つの可能な半径ではないことに注意のこと。その半径が最適であるのは、転送装置50の角速度を変化させるのに全推移時間を使用しているからである。半径を変えるに当たり、速度を変化させるのに必要な実際の時間が変わらなければならず、さもなければ、角速度の変化と角加速度の変化の組合せ条件が満たされなくなる。半径が最適半径から逸脱できる程度は、与えられた速度における新しい加速でのシステムのトルク要求と、選定したモータ64の能力とによって決まる。
【0047】
あるいは、普通の技量の者ならば、ソフトウエアプログラムの助け無しに、モータ用の入力表を作り出すこともできる。例えば、定速保持を有するサイクロイド動作のカムプロファイルは、ωminに等しい最低速度と、ωmax−ωminに等しい速度変化Δωと、τTRANS/2に等しい動作上昇時間βとを含む。得られる角位置の関数は次のとおりである:
θact=ωmin*T ・・・0≦サイクル時間T≦τの時
θact=ωmin*T+1/2*Δω*β*((T−τ)/β−sin((T−τ)*π/β)/π) ・・・τ<T<τ+βの時
θact=ωmin*T+1/2*Δω*β+ωmax*(T−τ−β) ・・・τ+β≦T≦τ+β+τの時
θact=ωmin*T+1/2*Δω*β+ωmax*τ+1/2*Δω*β*((T−τ−β−τ)/β−sin((T−τ−β−τ)*π/β)/π) ・・・τ+β+τ<T≦τの時
【0048】
サイクロイドプロファイル以外のプロファイルは、『マシーナリーズハンドブック(Machinery’s Handbook)』第25版に見ることができる。
【0049】
転送装置に対して最適ではない半径を選んだ場合、転送装置は、所望の速度変化を達成するが、このような変化に対するタイミングは、所望するものに対応しない。例えば、半径が最適半径よりわずかに大きい場合、上記式を使用すると、転送装置50が所望の角速度を達成するにもかかわらず、推移中の実際の走行距離は、転送装置50を適用領域23の開始点に位置させるのに必要な距離より少ない。
【0050】
非最適半径を使用して取上げと引渡しに対応する速度プロファイルを達成するために、少なくとも3つの可能な方法がある。第一には、上昇時間βは、図8aに示すように、ωminでより多くの時間を費やすことにより、減少することができる。第二には、推移領域における最大角速度は、図8bに示すように、適用領域23におけるωmaxよりも大きくすることができる。第三には、推移領域における最低角速度は、図8cに示すように、受取り領域21におけるωminよりも小さくすることができる。
【0051】
同じカム式を使用して、同じ群のカムプロファイルを使用する動作の間に作り出される、最大加速度を決定することができる。例えば、上で使用したサイクロイドプロファイルの場合、ピーク加速度は、(Δω*π)/(2*β)である。高速適用の場合、装置20の設計制限要因は、所望の角速度におけるモータ64のトルク能力であるので、これは重要である。当技術分野で普通の技量の者ならば、装置20の異なる構成要素の質量及び回転半径並びに期待加速度に基づいて、所与の適用に対する装置20の合計トルク要求を決定することができる。
【0052】
連続的に動くキャリアへ個別の部品を適用できるように部品の速度を変えるための従来方法(上述のスリップカット法など)と比較して、プログラム可能なモータを使用することにより、速度をより大きく変化させる能力、及び一定期間定速を維持する能力が提供される。プログラム可能なモータにより達成される固定速度保持は、正確に速やかに作り出され、部品の長さ及び配置を制御することができる。上述の非円形歯車法と比較して、プログラム可能なモータを使用することにより、新しい部品を製造する必要なく、プロファイルを任意に変える能力が提供される。
【0053】
例えば、本発明の様々な態様において、プログラム可能なモータ64により作り出されるプロファイルは、部品30の速度に実質的に等しい表面定速度を維持している間に、回転可能な転送装置50が受取り領域21で部品30を受け取るように、分析的に設計される。更に、モータ64の出力プロファイルは、回転可能な転送装置50が受取り領域21から適用領域23へ動く時に、回転可能な転送装置50の表面速度が第二の定表面速度に変化するように設計される。本明細書で使用する用語「表面速度」は、シェルセグメント51の周辺外周表面の速度を指す。モータ64の出力プロファイルは、部品30が適用領域23でキャリアに適用される時に、引き渡される部品の速度が実質的にキャリア80の速度と等しくなるように設計することができる。シェルセグメント50の表面速度は、転送装置50の少なくとも約0〜約300の回転角度の、望ましくは約5〜約300の回転角度の、より望ましくは約5〜約240の回転角度の受取り領域21及び適用領域23において実質的に一定に維持される。その上、シェルセグメント51が受取り領域21から適用領域23へ動く時のシェルセグメントの表面速度の増減が、少なくとも約100:99〜約50:1の、望ましくは20:19〜約25:1の、より望ましくは約10:9〜約20:1の速度比を定義する。本明細書で使用する用語「速度比」は、部品30が受取り領域21で受け取られる時のシェルセグメント51の表面速度に対する、部品30が適用領域23のキャリア80に適用される時のシェルセグメント51の表面速度の比を定義する。
【0054】
装置が要求するトルク及び角速度が、必要なモータ能力を如何に決定するかは上述した。その他の用途の中でも、おむつやトレーニングパンツなどの物品の製造に共通する高速度適用の場合、装置20のピークトルク要求は結果として生じるモータ64での加速と相まって、モータ64における非常に高いトルク対慣性の特性を必要とする。このような磁束密度を可能とするモータは、希土類永久磁石設計又はより高力の設計が通常であり、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee, Wisconsin)のロックウェルオートメーション(Rockwell Automation)などの、モータ製造者から購入可能である。
【0055】
幾つかの実施形態では、特にその工程が定速度で実行することが好ましい第二の作業(下記参照)を包含する場合、単一のモータにより駆動される転送装置当たり2つ以上のシェルセグメントを有することが必要な場合がある。また、回転中心からシェルセグメントの弓形外表面までの半径を増加するために、転送装置当たり複数のシェルセグメントを有することが必要な場合もある。単一のシェルセグメントを有する転送装置の半径は非常に小さくてもよいので、設計の二次部品(例えば、シェルセグメントを横切る真空のための空気口など)が非実際的なことがある。半径を決定する上式に基づけば、転送装置当たりのシェルセグメントを追加することは、半径の増加に繋がる。例えば、転送装置当たりのシェルセグメントを1つから3つに増加すると、半径は三倍になる。
【0056】
シェルセグメントの追加は、モータトルクの増加にもなり、モータトルクは次の式で計算される。
【0057】
T=Imotor*αmotor+Iload*αmotor*(Ndriving/Ndriven式中、
motorは、モータ軸に直結される全てのものを含むモータの慣性モーメントである。
αmotorは、モータの角加速度である。
driving/Ndrivenは,被動歯車の歯数に対する駆動歯車の歯数の比である。
loadは、負荷の慣性モーメント(転送装置を含む)である。
【0058】
シェルセグメントの追加は、転送装置の慣性の質量モーメントIloadの増加となる。慣性は、質量及び回転半径の二乗の直接関数である。3つのシェルセグメントを有する転送装置の場合、質量は3倍になると考えられ、回転半径はほぼ2倍と考えられる。その結果、転送装置の慣性モーメントは、単一のシェルセグメントを有する同等装置の慣性の少なくとも10〜12倍と考えることができる。慣性の増加は、転送装置当たり3つのシェルセグメントを有する装置では、回転速度が1/3に減少となり、その結果、必要なモータ加速度を維持するために、歯車比Ndriving/Ndrivenが3倍に増加する。全体では、転送装置当たり3つのシェルセグメントを有するシステムの結果的なトルク要求は、転送装置当たり1つのシェルセグメントを有する転送装置に比べて11%大きい。そのモータ能力が設計制限主要要因であることを考慮すると、必要トルクの11%増加は重大であり得、装置の容量と適用を制限することがある。
【0059】
場所と慣性の問題以外には、モータ当たりのシェルセグメントの数に制限はないが、複数の装置の配置形態には制限がある。例えば、モータ当たり2つのシェルセグメントを有する転送装置は、別個のモータにより駆動される別個の転送装置の少なくとも1つのシェルセグメントがその間に挿入配置されることなく、1つの転送装置のいかなる2つのシェルセグメントも互いに順に隣接するように配置することはできない。図9a及び図9bには、本発明による装置が描かれており、部品に第二の加工を実行するためのアプリケータと、それぞれが複数のシェルセグメントを有する2つの転送装置150及び250とを含む。転送装置150は3つのシェル、151A、151B、及び151Cを含み、転送装置250は3つのシェル、251A、251B、及び251Cを含む。各転送装置は、別個のモータ164及び264により駆動される。転送装置150のシェルセグメント151Aが受取り領域21で部品を収集する時、シェルセグメント151A、151B、及び151Cの表面速度はそれぞれ受取り速度に等しいが、転送装置250のシェルセグメント251A、251B、及び251Cの表面速度は、それぞれ適用速度に等しいか、又はある他の推移速度に等しいかのいずれかである。
【0060】
2つ以上のシェルセグメントを含む転送装置は、その工程が、部品が定速で動いていることが必要な第二の加工を包含する場合に、特に有益である。前述のように、第二の加工段階は、受取り領域と適用領域の間の任意の点で、接着剤適用、印刷、加熱、又は湿分適用などを、部品上に実行することができる。しかし、第二の加工は、部品が定速で動いている間に実行することが好ましい。部品が連続ウエブとして受け取られ、分離中に部品を離すスクラップがない適用では、受取り領域での引渡し中に隣接するシェルセグメントの間に隙間が生じないのが好ましい。例えば、第二の加工が接着剤の適用を伴う場合、接着剤の計量率が一定であり断続的ではないように、適用中は部品の間に隙間が無く部品が定速で動くのが好ましい。
【0061】
第二の加工を定速で隙間がなく部品に実行するためには、第二の加工は、転送装置が加速開始する前に行うことができる。言い換えれば、転送装置のシェルセグメントの全弧長(部品の全長が必要であると仮定して)が工程を通過するように、受取り速度時間を伸ばす。例えば、その工程が接着剤の適用を伴う場合には、全弧長が接着剤アプリケータのノズルの下を通過する。このことは、単一のモータにより駆動される単一のシェルセグメントを含む転送装置の場合、受取時間、適用時間、及び第二の加工の時間の合計が全サイクル時間を超えかねないので、難問となる。この問題は、別個のモーターで駆動される単一のシェルセグメントを有する第二の転送装置を追加することにより、又は転送装置当たり2つ以上のシェルセグメントを有する転送装置を使用することにより、解決することができる。
【0062】
工程中、一般的に、1つのシェルセグメントが部品の受取りを終了した時、次のシェルセグメントが順に部品の受取りを開始する。一般的に、転送装置に入ってくる部品は、受取り領域ではその間に間隔がない連続ウエブの一部である。その結果、隙間がない状況を有するためには、受取り領域のシェルセグメントは間に隙間がないのがよい。しかし現実には、モータ位置の可変性、ヘッド寸法、歯車バックラッシュなどが、転送装置の回転位置にある程度の変動を引き起こし、隙間又はその間の強制的な接触を生じさせることさえある。上記問題は、以降に記述する本発明の実施形態により解決することができる。
【0063】
第一に、シェルセグメントは、受け取る部品よりも弧長をやや短く製造することができ、その結果、装置が近接するが互いに接触しないようにすることができる。これにより、接触することは避けられるが、部品の先導縁及び追従縁を完全に制御することはできない。これは、部品特性によっては製品品質に影響することもしないこともある。第二に、シェルセグメントは、接触しても損傷を生じないように、先導縁及び/又は追従縁に緩衝構造を有することができる。転送装置の所望のサイクル寿命によっては、これは、圧縮性発泡体を置く簡単なものであってもよく、バネ組込み壁のような複雑なものであってもよい。第三に、シェルセグメントは、両装置を軸方向を除いて半径方向及び接線方向に共存可能にする、噛合い表面を有することができる。図10に示すように、シェルセグメント151A及び215Aは、同様に変形された隣接セグメント上の縁と噛み合う、溝加工された又は別の方法で変形された先導縁及び追従縁を有することができる。
【0064】
上述した駆動機構に平行に置かれる被動機構を有する本発明の実施形態では、転送装置の数、及び/又は転送装置当たりのヘッドの数、及び/又は転送装置当たりの独立したモータの数が制限されることを、当業者におかれては理解されたい。第一に、これは、転送装置の回転軸に十分な剛性を備えることに関連する機械的複雑さの増加のためであり、一装置の同じ軸を共有する3台以上の回転する転送装置を備えるには、2台以上の回転する転送装置がキャリアウエブの片側に存在し、キャリアウエブの片側に位置する転送装置を駆動する軸は互いに同心に配置されることとなり、したがって、キャリアウエブの片側の転送装置の数が増加するにつれて、同心の軸の直径及び/又は肉厚が減少するからである。第二に、上述のように、転送装置当たりのシェルセグメントの数が増加するにつれて、装置のトルク要求が増加する。第三に、転送装置を駆動する独立したモータの数は、転送装置の周りで利用可能な物理的空間により制限される。
【0065】
ここで図11及び図12を参照すると、共通軸線504に整列した4つの一連のモータ502を有する、本発明の装置500が示されている。モータ台数は、任意の適切な台数が可能である。モータ502のそれぞれは、外側静止固定子518、回転可能な内側回転子516、及び内側回転子516と共に回転可能な中空軸512とを有する。中空軸512は、静止中心軸510に関連して中空軸512を回転可能にするために、軸受514上に置くことができる。軸受514は、任意の適切な軸受とすることができる。固定子518を静止して保持するために、固定子518は、ブラケット520を介して静止中心軸512に連結することができる。モータ502は、バージニア州ラドフォード(Radford,Virginia)のコルモーゲンインランドモータ(Kollmorgen Inland Motor)から購入可能である。
【0066】
回転可能な中空軸512のそれぞれは、剛体の伝導機構524を介して転送装置522に連結され、転送装置522が共通軸線504の周りで回転可能な中空軸512と共に回転することができる。剛体の伝導機構524は、任意の適切な手段で、回転可能な中空軸512及び転送装置522に取り付けることができる。転送装置522は、軸受526により支持され、軸受は静止中心軸510により支持されることができる。軸受526は、任意の適切な軸受とすることができる。あるいは、望むならば、転送装置522は、第二のモータ502に取り付けて、駆動能力の増加及び/又は転送装置に対する構造支持を提供することもできる。更に、別法として、転送装置522は、任意の所望数のモータで駆動することができる。
【0067】
図13〜15は、装置500が、切断装置40(先に図4で示した)との組み合わせにおいて如何に使用できるか、同様に、アンビルロール42を省略する代案及び隣接する転送装置間の速度差により材料ウエブ31を分割する代案を包含する、詳細に前述した切断適用に対する全部又は任意の態様において如何に使用できるかの例を示す。
【0068】
図16〜18は、中心共通軸線556に関連して整列する一連の9台のモータ551を形成する、本発明の別の実施形態の装置550を示す。モータ551は、一般にリニアモータと呼ばれ、走行路553を形成する静止軌道552、及び走行路553上の静止軌道552上を移動可能な少なくとも1つのライダー554とを有する。モータ551は、任意の適切なリニアモータとすることができ、ニューヨークのアノラド社(Anorad Corporation)から入手可能なリニアモータが含まれる。例えば、静止軌道552は、電機子巻き線及び/又は磁気材料を含むことができる。ライダー554は、永久磁石、コイル、又はこれらの組合せとすることができる。ライダーは、転送装置555を中心共通軸線556の周りで移動させるために、転送装置555に取り付ける。転送装置に取り付けるライダーの数は、単一のライダー554から、独立に又は共通して制御される複数のライダー554まで、変えることができる。図16〜18に示すように、各転送装置555は、3つのライダー554により動かされる。
【0069】
図19は、中心共通軸線604に関して整列する一連の12台のモータ602を形成する、本発明の別の実施形態の装置600を示す。モータ602は、回転可能な外側回転子606及び静止内側固定子608を有する、任意の従来型モータとすることができる。図示のように、各固定子608が静止中心軸610に取り付けられるが、モータ602は、例えば、モータ602を互いに横に内側静止固定子608を介して直接又は間接的に連結することにより、中心軸610を使用することなく整列することができる。外側回転子606のそれぞれは、転送装置をプログラムした動作で動かすために、1つ以上の転送装置550に直接又は間接的に取り付けることができる。
【0070】
あるいは、本発明の装置は、モータの外側構成要素の回転運動を提供するのに適切な、他の型のプログラム可能な電気モータを包含することができる。例えば、上述したモータの同心配置とは異なり、固定子と回転子が互いに平行に配置されたモータ。
【0071】
図20〜22は、転送装置702が、図10〜12の装置500に記載した円形走行路ではなく周回走行路704を移動可能である、別の実施形態の装置700を示す。転送装置702の周回走行路704は、周回走行路の704のある種のカムプロファイル708と共同する、伸張可能な連結部706を介して実現される。装置700のモータは、上述の任意の適切なモータとすることができる。図23〜25は、先に図示して上述した切断装置40を含む、上の実施形態を示す。
【0072】
図26は、転送装置752が、プログラム可能なリニアモータの静止軌道756の形状により形成される周回走行路754を移動可能である、別の実施形態の装置750を示す。
【0073】
他の代替追加工程には、物理的寸法、材料特性、及び/又は取り付ける基材に関連する個別部品の配向の変更に関連する操作を包含することができる。具体的には、このような操作には、当業者に既知の任意の手段による伸張、活性化、回転などを包含することができる。例えば、図27は、個別部品804を伸張してから前記部品を基材に引き渡すための伸張装置802を含む、本発明の別の実施形態の装置800を示す。更に、図28は、個別部品を回転してから前記部品を基材に引き渡すための回転装置852を含む、本発明の別の実施形態の装置850を示す。
【0074】
更に、ある種の適用では、ピッチ変更可能性を有することが有利なことがある。ピッチ変更装置の典型的な例としては、ナイフロール、印刷ロール、接着ロールなど、並びに上述した個別部品転送適用が包含される。ナイフロールなどのシステムのピッチは、ロール上に追加のツーリングを追加することにより通常変更することができる(例えば、ロール上のナイフの数がロール1回転当たりのピッチ数を決定する)が、このような方法は迅速変更には不便である。他の代案として、ロールの回転速度を変化させること、ツーリングの下のスペーサ板を追加又は削除して回転軸からの半径距離を変えること、又はツーリングを適当なサイクル率でしかし相互作用している基材とは異なる表面速度で動作させることを包含することができる。これまでに述べた本発明の装置の実施形態は、ピッチの長さからピッチの長さへ変更する時、たとえ連続稼働中に製品毎に意図的又は無意図的にピッチの長さが変化する場合でも、システムを物理的に変更する必要なく、所望のサイクル率で基材と調和した速度の相互作用の利益を提供することができる。
【0075】
本発明の特定の実施形態及び/又は本発明の個別の機構を図示し記述しているが、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく様々なその他の変化及び変形が可能であることは、当業者には明白であろう。さらに、このような実施形態及び機構の全ての組み合わせが可能であり、これにより本発明を好ましく実施できることは明らかである。従って、付随する請求項は、本発明の範囲内にある全てのこのような変化及び変形を包括するように企図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の速度で受取り領域を通って走行している部品(30)を受け取り、第二の速度で適用領域(23)を通って走行しているキャリア(80)に該部品を適用するための装置(20)において、該装置が:
少なくとも2つの独立したプログラム可能なモータ(64A,64B)と、該受取り領域で該部品を受け取り、該適用領域で該部品を適用するための、2つの転送装置(50A,50B)であって、該転送装置の少なくとも1つはその転送装置が周回走行路で動くために該プログラム可能なモータのそれぞれに連結されており、該プログラム可能なモータは、該転送装置が該部品を取り上げる時に該受取り領域内で第一の表面速度を有するように維持し、及び該転送装置が該部品を該キャリアに適用する時に該適用領域内で第二の表面速度を有するように維持し、
該装置が2つの駆動機構(61A,61B)を有する駆動システム(60)を有し、各駆動機構は被動歯車(72A,72B)を介して被動機構(71A,71B)のそれぞれ1つに回転エネルギーを伝導する1つのモータ(64A,64B)と駆動歯車(62A,62B)を有している、装置(20)。
【請求項2】
各転送装置(50A,50B)は被動歯車(72A,72B)に接続されたシェルセグメント(51A,51B)を有している、請求項1に記載の装置(20)。
【請求項3】
該シェルセグメント(51A,51B)は周辺外周表面を有し、該シェルセグメント(51A,51B)の周辺外周表面は走行し、該転送装置の該シェルセグメントが走行する周回走行路の各領域によって画定される該受取り領域(21)と適用領域(23)を通る周回走行路を画定する、請求項2に記載の装置(20)。
【請求項4】
該2つの転送装置(50A,50B)は転送装置の周回走行路の5°〜175°に及ぶ外周弧長を有するシェルセグメント(51A,51B)をそれぞれ有している、請求項3に記載の装置(20)。
【請求項5】
該転送装置の第一と第二の表面速度は実質的に一定である、請求項1に記載の装置(20)。
【請求項6】
該転送装置の第一と第二の表面速度は可変である、請求項1に記載の装置(20)。
【請求項7】
該転送装置の第一の表面速度、または該転送装置の第二の表面速度が可変である、請求項1に記載の装置(20)。
【請求項8】
該転送装置の第一の表面速度は受取り領域における該部品の第一の速度に実質的に等しく、該転送装置の第二の表面速度は適用領域における該キャリアの第二の速度に実質的に等しい、請求項1に記載の装置(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−125587(P2012−125587A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23367(P2012−23367)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2002−513402(P2002−513402)の分割
【原出願日】平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】