説明

シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法

【課題】
既存する構造物および建設計画中のあらゆる構造物に容易かつ経済的にシェルター非常換気装置を設置するためのシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法を提供する。
【解決手段】
構造物壁体1に設けた貫通孔下地穴2を、一方の側から小径配管接続貫通部材22を備える吸排気配管接続パートユニット6、他方の側から引張固定ユニット7で挟み込み、1本乃至複数本の引張固定軸材8で互いに引っ張りながら構造物壁体1を互いのユニットの位置規制壁面板12で挟み込んで吸排気貫通孔3を形成し、吸排気配管接続パートユニット6の換気装置吸排気配管接続部14にシェルター非常換気装置ガスフィルター31を備えるシェルター非常換気装置を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存する構造物および建設計画中のあらゆる構造物に容易かつ経済的にシェルター非常換気装置を設置するためのシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の換気装置と当該換気装置を建物に設置するための構成と取付方法、さらに換気運用方法は様々考案されている。
【0003】
特許第3603349(特許文献1)に示される無線式遠隔制御器の着脱自在な取付け装置は、取付台の遠隔制御器収納面に係止し、既設のケーブル線接続方式の遠隔制御器で使用した壁貫通孔に螺溝を有する固定具を挿入後、前記固定具の屋外壁面側の端部に締付用ナットを螺着して浴室内壁面に取付台を固定する構成としたものである。
【0004】
また、特開平7−190433(特許文献2)に示される換気扇取付部材は、室壁に設けられた貫通孔に、互いに螺合することのできるねじ部を有し、片側端部には前記貫通孔径より大径のフランジ部を有した換気扇本体が設置される小径パイプと、ベントキャップの設けられる大径パイプを螺合設置するように設け、大径パイプの端部の小径パイプを差し込む部分には、小径パイプの差し込みしろとして、ある距離を、ねじ部を有していない部分として設け、大径パイプの差し込みしろに小径パイプの先端を差し込んでからねじ込んでいくことができる構成としたものである。
【0005】
また、本発明に使用するシェルター非常換気装置は、植村技研工業株式会社の防災シェルターパンフレット(非特許文献1)に示すシェルター非常換気装置のような構成であって、その構成は主に送気ファンとガスフィルターとから構成され、かつ、当該ガスフィルターはNBCR災害に対応し得るもので、有害な効果を有する空気中のあらゆる不純物を除去することができ、送気ファンとガスフィルターとをつなぐ配管等に気密性欠損部が存在してもガスフィルター未処理空気が機外へ漏出することを防ぐために、送気ファンの吸気側に配置されるものである。
【0006】
ガスフィルター未処理空気は、当該シェルター非常換気装置の送気ファンを手動または電動で駆動させることで、ガスフィルター吸気口からガスフィルター内を経由して浄化処理された後、ガスフィルター送気口、送気ファン吸気口、送気ファン送気口を経て、機外へ送気される。
【0007】
通常、シェルター非常換気装置は、核シェルターや原子力発電所、化学工場などの制御用建屋など、構造物内部に避難する人々や指令運用者らを保護するための危機管理対策の一環として設置され、屋外汚染空気をシェルター非常換気装置により浄化しながら清浄な空気を構造物内部に送り込んで構造物内部の気圧を大気圧に対し陽圧化し、ドア開閉による人々の出入りや気密性欠損部からの汚染物質の屋内への流入を阻止するとともに、人々の呼吸に必要な清浄空気を供給する陽圧フィルタリング換気を提供するものである。
【0008】
この時、当該シェルター非常換気装置は、構造物壁体の任意の位置に設けた換気用吸気貫通孔に接続し、当該換気用吸気貫通孔とは別の任意の位置に設ける任意開口部との連携で陽圧フィルタリング換気を行うが、任意開口部の開口度合いを調節して、陽圧の度合いを調節することができる。
【0009】
また、当該シェルター非常換気装置を応用して、屋内汚染空気をシェルター非常換気装置により浄化しながら清浄な空気を屋外に排気して構造物内部の気圧を大気圧に対し陰圧化し、ドア開閉による人々の出入りや気密性欠損部からの汚染物質の屋外への流出を阻止するとともに、人々の呼吸に必要な清浄空気を供給する陰圧フィルタリング換気を提供することもできる。
【0010】
なお、当該シェルター非常換気装置は、任意開口部の開口度合いの程度や、窓やドアの破損、建屋にひび割れが生じた場合などの気密性欠損部が陽圧の度合いに与える影響を考慮し、(非特許文献1)に示すように、屋外気圧と屋内気圧との差圧を計測するための差圧計測器を別途形成し併用することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3603349号公報
【特許文献2】特開平7−190433号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】植村技研工業株式会社のパンフレット「防災シェルター」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1は、装置を壁に備え付ける構造ではあるが、換気を行うための貫通孔を有するものではないので、換気を行うことができない。
【0014】
また、特許文献2は、小型換気装置は備え付けられるが、差圧計測器の接続や、給排水配管、ケーブル挿入サヤ配管を形成することは、全く触れられていない。
【0015】
シェルター非常換気装置は、屋外空気や任意の構造物内部の屋内空気がNBCR汚染した場合において、汚染空気の構造物内への流入および構造物外への流出を効果的に防止すること、これら汚染物質による有害な影響から人々の健康と生命を保護するための汚染空気の清浄化と汚染物質の吸着除去、さらに避難者および作業員の呼吸のための清浄空気の供給を行うことのできる優れた換気装置であるが、わが国に限らず世界的に評価しても、シェルター非常換気装置を総合的な防衛防災対策として予め構造物に設置している件数は、一部の国を除いて未だ非常に少ないといえ、将来において、万一のNBCR兵器を使用した武力攻撃事態や大規模なテロ、また、自然災害などにより発生する原子力発電所や化学コンビナートなどの損傷により、深刻な空気汚染が生じた場合の効果的な対策の一つとして、シェルター非常換気装置の既存建物と今後の新築建物へのさらなる導入が求められる。
【0016】
しかし、特にシェルター非常換気装置の既存建物への導入において、元来コンクリート構造物の壁体に取付設置するシェルター非常換気装置では、わが国に多い木造や鉄骨造といった構造物に対し、都度、煩雑な現場工事が必要となる。
【0017】
また、古い既存建物は気密欠損部が大きく、あるいは、既存建物や新築建物に限らず、災害により新たに生じた気密性欠損部などにより適切な差圧が得られていない可能性があるため、気密性欠損部の位置探索と気密性確保のための措置が適切であるかどうかの確認を行うための差圧計測器による差圧管理が必須であり、当該差圧管理を行うためには、換気用貫通孔とは別に専用の差圧計測用貫通配管を設ける必要がある。
【0018】
一方、非常事態の状況下では、日常での水や電気、通信情報の使用を支える給排水配管や電気、通信ケーブルなどのインフラが損傷を受けることや、閉鎖系空間や災害後の孤立系空間に退避した場合などでこれらのインフラが整っていない場合、別途、新たな給排水用貫通配管やケーブル用貫通配管を増設する必要性もあり、これに対応することも望まれる。
【0019】
本発明の課題は、既存する構造物および建設計画中のあらゆる構造物に容易かつ経済的にシェルター非常換気装置を設置することができ、精度の高い差圧管理を行うための差圧計測用内部小径貫通配管、任意に設定する避難生活を支援するための給排水用内部小径貫通配管、新たなケーブルを引き込むためのケーブル用内部誘導貫通サヤ配管などに利用することができる内部小径貫通配管を備えるシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、換気用の吸排気貫通孔の形成のための貫通孔下地穴を設けた構造物壁体において、吸排気貫通孔は、貫通孔下地穴の屋内側開口部に挿入する吸排気配管接続パートユニットと屋外側開口部に挿入する引張固定ユニットとが、または、貫通孔下地穴の屋外側開口部に挿入する吸排気配管接続パートユニットと屋内側開口部に挿入する引張固定ユニットとが、いずれも1本乃至複数本の引張固定軸材で互いが接続固定して形成され、吸排気配管接続パートユニットは、引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材と、当該貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面とは反対側に換気装置吸排気配管接続部を端部に備えた室内側筒状体部と、当該貫通孔下地穴の開口部および貫通部に対応する壁体挿入筒状体部とで形成され、また、当該室内側筒状体部の任意の位置に1個乃至複数個の小径配管接続貫通部材を備えた筒状体で、換気装置吸排気配管接続部は、シェルター非常換気装置のガスフィルター入気口側、または、シェルター非常換気装置のガスフィルター出気口側と接続することを、その特徴としている。
【0021】
また、請求項1の発明を前提として請求項2の発明は、引張固定ユニットは、吸排気配管接続パートユニットと同形状とすることを、その特徴としている。
【0022】
また、請求項1の発明を前提として請求項3の発明は、引張固定ユニットは、貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面に貫通孔下地穴の開口部および貫通部に対応する壁体挿入筒状体部と、当該位置規制壁面板または当該壁体挿入筒状体部の任意の位置に引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材とを一体的に形成することを、その特徴としている。
【0023】
また、請求項1の発明を前提として請求項4の発明は、引張固定ユニットは、貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の任意の位置に引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面の任意の位置に位置規制ガイドとを一体的に形成することを、その特徴としている。
【0024】
また、請求項1乃至4の発明を前提として請求項5の発明は、引張固定ユニットは、ベントキャップや吸排気グリルを備えることを、その特徴としている。
【0025】
また、請求項3乃至5の発明を前提として請求項6の発明は、引張固定ユニットは、任意の位置に1個乃至複数個の小径配管接続貫通部材を備えることを、その特徴としている。
【0026】
また、請求項1乃至6の発明を前提として請求項7の発明は、吸排気配管接続パートユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部と引張固定ユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部は、吸排気貫通孔の内部空間に配置する内部小径配管部材で互いに接続して内部小径貫通配管を形成することを、その特徴としている。
【0027】
また、請求項1乃至7の発明を前提として請求項8の発明は、内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の吸排気配管接続パートユニット側端部または当該内部小径貫通配管の引張固定ユニット側端部に差圧計測器、または差圧計測器に接続された小径配管と接続して差圧計測用貫通配管とすることを、その特徴としている。
【0028】
また、請求項1乃至7の発明を前提として請求項9の発明は、内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の吸排気配管接続パートユニット側端部または当該内部小径貫通配管の引張固定ユニット側端部に給排水設備、または給排水設備に接続された小径配管と接続して給排水用貫通配管とすることを、その特徴としている。
【0029】
また、請求項1乃至7の発明を前提として請求項10の発明は、内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の配管内部にケーブルを挿入してケーブル用内部誘導貫通サヤ配管とすることを、その特徴としている。
【0030】
また、請求項1乃至3の発明を前提として請求項11の発明は、吸排気配管接続パートユニットの壁体挿入筒状体部と引張固定ユニットの壁体挿入筒状体部は、互いの壁体挿入筒状体部同士をフレキシブルダクトで接続することを、その特徴としている。
【0031】
また、請求項12の発明は、吸排気貫通孔は、引張固定軸材を組み付けた吸排気配管接続パートユニットを貫通孔下地穴の一方の側から挿入してから対応する引張固定ユニットを他方の側から挿入して引張固定ユニットの軸材固定部を引張固定軸材で引張固定するか、引張固定軸材を組み付けた引張固定ユニットを貫通孔下地穴の一方の側から挿入してから対応する吸排気配管接続パートユニットを他方の側から挿入して吸排気配管接続パートユニットの軸材固定部を引張固定軸材で引張固定するかして、構造物壁体の壁面を互いのユニットの位置規制壁面板で挟み込み固定することを、その特徴としている。
【0032】
また、請求項13の発明は、内部小径貫通配管は、吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットとが構造物壁体に固定された後、吸排気貫通孔の内部空間に配置する小径配管部材で、互いのユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部同士を接続して形成することを、その特徴としている。
【0033】
また、請求項1乃至13の発明を前提として請求項14の発明は、吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットと小径配管接続貫通部材および小径配管部材は、金属または樹脂から形成することを、その特徴としている。
【発明の効果】
【0034】
請求項1の発明は、換気用の吸排気貫通孔の形成のための貫通孔下地穴を設けた構造物壁体において、吸排気貫通孔は、貫通孔下地穴の屋内側開口部に挿入する吸排気配管接続パートユニットと屋外側開口部に挿入する引張固定ユニットとが、または、貫通孔下地穴の屋外側開口部に挿入する吸排気配管接続パートユニットと屋内側開口部に挿入する引張固定ユニットとが、いずれも1本乃至複数本の引張固定軸材で互いが接続固定して形成するので、引張固定軸材の長さと数量を調節するだけで、壁体の内部構造および壁体を構成する壁面板の強度に関わらず、貫通孔下地穴を設けた構造物壁体を2つのユニットで両面から強力に挟み込んで吸排気貫通孔を形成することができるので、当該吸排気貫通孔の吸排気配管接続パートユニットに、シェルター非常換気装置の吸気配管または送気配管を、屋内側および屋外側に関わらず、安全かつ確実に接続することができる。
【0035】
また、吸排気配管接続パートユニットは、引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材と、当該貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面とは反対側に換気装置吸排気配管接続部を端部に備えた室内側筒状体部と、当該貫通孔下地穴の開口部および貫通部に対応する壁体挿入筒状体部とで形成され、また、当該室内側筒状体部の任意の位置に1個乃至複数個の小径配管接続貫通部材を備えた筒状体であるので、現場での吸気貫通孔を形成作業時に、煩雑な作業を必要とせず、誰でもが容易かつ短時間に組み立てることができるので、施工性が高く経済的である。
【0036】
また、換気装置吸排気配管接続部は、シェルター非常換気装置のガスフィルター入気口側、または、シェルター非常換気装置のガスフィルター出気口側と接続するので、換気装置吸排気配管接続部をシェルター非常換気装置のガスフィルター入気口側に接続する場合において、吸排気配管接続パートユニットを屋内側に配置する場合は、陽圧フィルタリング換気を行う構成となり汚染屋外空気を清浄化処理して安全な空気として屋内側に給気することができ、吸排気配管接続パートユニットを屋内側に配置する場合は、陰圧フィルタリング換気を行う構成となり汚染屋内空気を清浄化処理して安全な空気として屋外側に送気することができ、また、換気装置吸排気配管接続部をシェルター非常換気装置のガスフィルター出気口側に接続する場合において、吸排気配管接続パートユニットを屋内側に配置する場合は、陰圧フィルタリング換気を行う構成となり汚染屋内空気を清浄化処理して安全な空気として屋外側に送気することができ、吸排気配管接続パートユニットを屋内側に配置する場合は、陽圧フィルタリング換気を行う構成となり汚染屋外空気を清浄化処理して安全な空気として屋内側に給気することができる。
【0037】
請求項2の発明は、請求項1の発明を前提として、引張固定ユニットは、吸排気配管接続パートユニットと同形状とするので、シェルター非常換気装置と接続する吸排気配管接続パートユニットを強力に引っ張ることができ、また、構造物壁体を形成する壁面板と位置規制壁面板とが面接触するので気密性、防水性が得られ易く、強い力で構造物壁体の壁面部に押しつけられる際に発生する圧力を低減することができるとともに、小径配管貫通孔の屋外側開口部を、シェルター非常換気装置の吸排気による気圧変動、吸排気風の影響を受けにくい位置に配置することになり、また、吸排気配管接続パートユニットと同型のユニットであるので生産性も高く、効果的な吸排気貫通孔を形成することができる。
【0038】
請求項3の発明は、請求項1の発明を前提として、引張固定ユニットは、貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面に貫通孔下地穴の開口部および貫通部に対応する壁体挿入筒状体部と、当該位置規制壁面板または当該壁体挿入筒状体部の任意の位置に引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材とを一体的に形成するので、シェルター非常換気装置と接続する吸排気配管接続パートユニットを強力に引っ張ることができ、また、構造物壁体を形成する壁面板と位置規制壁面板とが面接触するので気密性、防水性が得られ易く、強い力で構造物壁体の壁面部に押しつけられる際に発生する圧力を低減することができ、より経済的に吸排気貫通孔を形成することができる。
【0039】
請求項4の発明は、請求項1の発明を前提として、引張固定ユニットは、貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の任意の位置に引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面の任意の位置に位置規制ガイドとを一体的に形成するので、貫通孔下地穴の吸排気配管接続パートユニット挿入側から貫通孔下地穴の中を移動させて当該引張固定ユニットの設置位置に導くことができ、施工性が高く経済的である。
【0040】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の発明を前提として、引張固定ユニットは、ベントキャップや吸排気グリルを備えるので、屋外側に位置するときは、暴風雨による屋内への影響を最小限に抑えるとともに外観意匠性も損なうことはなく、屋内側に位置するときは、内装意匠性を損なうことはない。
【0041】
請求項6の発明は、請求項3乃至5の発明を前提として、引張固定ユニットは、任意の位置に1個乃至複数個の小径配管接続貫通部材を備えるので、当該小径配管接続貫通部材の貫通部の気密性を損なうことなく引張固定ユニット本体を内部小径配管で貫通することができ、また、当該小径配管接続貫通部材が予め取り付けられているので、内部小径配管部材を容易に接続することができ、施工性が高く経済的である。
【0042】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の発明を前提として、吸排気配管接続パートユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部と引張固定ユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部は、吸排気貫通孔の内部空間に配置する内部小径配管部材で互いに接続して内部小径貫通配管を形成するので、当該内部小径配管を差圧計測器や給排水配管、ケーブル誘導サヤ配管として使用することができ、これらの専用貫通孔を別途任意の位置に設ける必要がなくなり、合理的かつ経済的である。
【0043】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の発明を前提として、内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の吸排気配管接続パートユニット側端部または当該内部小径貫通配管の引張固定ユニット側端部に、差圧計測器または差圧計測器に接続された小径配管を接続して差圧計測用貫通配管とするので、シェルター非常換気装置の運転時に吸排気される空気の影響を受けずに、正確な差圧を測定することができるとともに、別途、差圧計測用貫通配管を設ける必要がなく、施工性が高く経済的である。
【0044】
請求項9の発明は、請求項1乃至7の発明を前提として、内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の吸排気配管接続パートユニット側端部または当該内部小径貫通配管の引張固定ユニット側端部に、給排水設備または給排水設備に接続された小径配管と接続して給排水用貫通配管とするので、シェルター非常換気装置の運転時か停止時かに関わらず、給排水を行うことができるとともに、別途、給排水用貫通配管を設ける必要がなく、施工性が高く経済的である。
【0045】
請求項10の発明は、請求項1乃至7の発明を前提として、内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の配管内部にケーブルを挿入してケーブル用内部誘導貫通サヤ配管とするので、シェルター非常換気装置や電子機器類の動力源である電力の送受電や、情報交換のための通信ケーブルなどを、安全、確実に挿入して施工することができるとともに、別途、ケーブル用誘導貫通サヤ配管を設ける必要がなく、施工性が高く経済的である。
【0046】
請求項11の発明は、請求項1乃至3の発明を前提として、吸排気配管接続パートユニットの壁体挿入筒状体部と引張固定ユニットの壁体挿入筒状体部は、互いの壁体挿入筒状体部同士をフレキシブルダクトで接続するので、木造や鉄骨造建物の壁体内部の空気がシェルター非常換気装置により吸い込まれることを防止して確実な吸排気を行うことができるとともに、フレキシブル素材なので施工性が高く経済的である。
【0047】
請求項12の発明は、吸排気貫通孔は、引張固定軸材を組み付けた吸排気配管接続パートユニットを貫通孔下地穴の一方の側から挿入してから対応する引張固定ユニットを他方の側から挿入して引張固定ユニットの軸材固定部を引張固定軸材で引張固定するか、引張固定軸材を組み付けた引張固定ユニットを貫通孔下地穴の一方の側から挿入してから対応する吸排気配管接続パートユニットを他方の側から挿入して吸排気配管接続パートユニットの軸材固定部を引張固定軸材で引張固定するかして、構造物壁体の壁面を互いのユニットの位置規制壁面板で挟み込み固定するので、構造物壁体の構造や貫通孔下地穴の加工精度に影響されることなく、現場に応じて都合のよいユニット側から組み立てることができるので、作業が容易であり経済的である。
【0048】
請求項13の発明は、内部小径貫通配管は、吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットとが構造物壁体に固定された後、吸排気貫通孔の内部空間に配置する小径配管部材で、互いのユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部同士を接続して形成するので、作業が容易であり経済的である。
【0049】
請求項14の発明は、請求項1乃至13の発明を前提として、吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットと小径配管接続貫通部材および小径配管部材は、金属または樹脂から形成するので、容易に加工ができ経済的である。
【0050】
以上、本発明のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法は、既存する構造物および建設計画中のあらゆる構造物に容易かつ経済的にシェルター非常換気装置を設置することができ、精度の高い差圧管理を行うための差圧計測用内部小径貫通配管、任意に設定する避難生活を支援するための給排水用内部小径貫通配管、新たなケーブルを引き込むためのケーブル用内部誘導貫通サヤ配管などに利用することができる内部小径貫通配管を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】吸排気貫通孔の構成断面図(その1)
【図2】吸排気貫通孔の構成断面図(その2)
【図3】吸排気貫通孔の構成断面図(その3)
【図4−a】シェルター非常換気装置屋内側設置における陽圧フィルタリング換気の構成図
【図4−b】シェルター非常換気装置屋内側設置における陰圧フィルタリング換気の構成図
【図5−a】シェルター非常換気装置屋外側設置における陽圧フィルタリング換気の構成図
【図5−b】シェルター非常換気装置屋外側設置における陰圧フィルタリング換気の構成図
【図6−a】吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットの組立図
【図6−b】内部小径貫通配管/シェルター非常換気装置吸排気配管接続部/差圧計測器の組み立てとシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットとシェルター非常換気装置との組立接続図
【図6−c】組立接続されたシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットとシェルター非常換気装置吸排気配管接続状態図
【図7−a】図1に示す吸排気配管接続パートユニット/引張固定ユニットの屋内側斜視図
【図7−b】図1に示す吸排気配管接続パートユニット/引張固定ユニットの屋外側斜視図
【図8−a】図2に示す引張固定ユニットの屋外側斜視図
【図8−b】図2に示す引張固定ユニットの屋内側斜視図
【図9】図3に示す引張固定ユニットの屋外側斜視図
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい形態を解説する。
【0053】
本発明に示すシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5の基本構成は、図1、図2、図3、運用実施構成は図4−a、図4−b、図5−a、図5−b、組立接続手順は図6−a、図6−b、図6−cに示しており、シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を構成する吸排気配管接続パートユニット6および引張固定ユニット7の構成は図7−a、図7−b、図8−a、図8−b、図9に斜視図として示している。
【0054】
シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5の運用実施構成は、図4−aおよび図4−b、図5−aおよび図5−bに示すように4種類が考えられ、これら4種類の基本構成について共通となっている重要構成要素が3つある。
【0055】
1つ目の重要構成要素は、当該シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5に接続するシェルター非常換気装置が、すべてシェルター非常換気装置送気ファン30の吸気側にシェルター非常換気装置ガスフィルター31が配置されている点であり、シェルター非常換気装置送気ファン30とシェルター非常換気装置ガスフィルター31とをつなぐ配管等に気密性欠損部が存在してもガスフィルター未処理空気が機外へ漏出することがないよう配管内気圧が陰圧となるように構成している点である。
【0056】
2つ目の重要構成要素は、任意開口部4の存在であり、シェルター非常換気装置による陽圧フィルタリング換気または陰圧フィルタリング換気を行う場合、構造物壁体1に設けた任意開口部4の大きさの大小や、別途過圧調整バルブを備えるなどして、大気圧に対する屋内気圧の陽圧または陰圧の度合いを調節して、シェルター非常換気装置と任意開口部4との連携で適切な陽圧換気または陰圧換気を行う点である。
【0057】
例えば、当該任意開口部4は、既存建物の場合、キッチンに設けられた既存換気扇の開口部などを利用するが、陽圧フィルタリング換気または陰圧フィルタリング換気を行う時、当該任意開口部4の大きさを大きくすると換気抵抗が小さくなり陽圧および陰圧の度合いを示す差圧を小さくすることができ、当該任意開口部4の大きさを小さくすると換気抵抗が大きくなり陽圧および陰圧の度合いを示す差圧を大きくすることができる。
【0058】
ただし、任意開口部4は、非常時において、窓やドアの破損、建屋にひび割れが生じた場合など、視覚的に認識しにくい部位に気密性欠損部が生じた際、当該気密性欠損部が任意開口部4の働きをして差圧の度合いを小さくする点に注意しなければならない。
【0059】
3つ目の重要構成要素は、シェルター非常換気装置と任意開口部4との連携による陽圧フィルタリング換気または陰圧フィルタリング換気を行うにあたり、目標としている大気圧に対する差圧が十分に得られているのかどうかを把握する差圧管理のための差圧計測器35を併用する点である。
【0060】
当該差圧計測器35は、図4−a、図4−b、図5−a、図5−bでは、シェルター非常換気装置設置側に配置しているが、使用時に差圧管理の管理者に相当する人が目視して差圧管理を行う場合、例えば、シェルター非常換気装置を屋外側に設置して陽圧フィルタリング換気を行う図5−aに示す屋外側に設置されている差圧計測器35を屋内側に配置して屋内側の人が差圧管理を行うなど、差圧計測器35は必ずしもシェルター非常換気装置と同じ側に配置するとは限らないので、差圧計測器35の配置は都度検討するものとする。
【0061】
以上の3つの重要構成要素を満足することで、シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、あらゆる災害に対する効果的な陽圧フィルタリング換気または陰圧フィルタリング換気の効果を提供するための基本構成を確保することができる。
【0062】
図4−aに示す運用実施構成は、陽圧フィルタリング換気を行うための構成で、NBCR兵器を使用した武力攻撃により放射性微粒子や有毒ガス、有害ウィルスなどで屋外空気が汚染した場合に極めて有効であり、NBCR災害に対応するシェルター非常換気装置ガスフィルター31による長期間にわたる有害物質除去精度の極めて高い陽圧フィルタリング換気を行うことで、構造物内部の汚染を防ぐことができるとともに、屋内にいる人々に安全な空気を供給することができる。
【0063】
図4−bに示す運用実施構成は、陰圧フィルタリング換気を行うための構成で、空気に有害な汚染を生じさせ得る可能性のある物質が構造物内部に存在する原子力発電所や石油コンビナート等のテロ災害対策や事故災害対策、およびこれらの災害の事前対策として有効で、NBCR災害に対応するシェルター非常換気装置ガスフィルター31による長期間にわたる有害物質除去精度の極めて高い陰圧フィルタリング換気を行うことができ、構造物内部の汚染空気が屋外に流出することを防ぐとともに、構造物内部の空気に浮遊または混合する有害物質を吸着除去することができる。
【0064】
図5−aに示す運用実施構成は、陽圧フィルタリング換気を行うための構成で、NBCR兵器を使用した武力攻撃により放射性微粒子や有毒ガス、有害ウィルスなどで屋外空気が汚染し、構造物内部側にシェルター非常換気装置を設置するスペースが確保できない場合に有効で、NBCR災害に対応するシェルター非常換気装置ガスフィルター31により、長期間にわたり有害物質除去精度の極めて高い陽圧フィルタリング換気を行うことで、構造物内部の汚染を防ぐことができるとともに、避難者に安全な空気を供給することができる。
【0065】
図5−bに示す運用実施構成は、陰圧フィルタリング換気を行うための構成で、空気に有害な汚染を生じさせ得る可能性のある物質が構造物内部に存在する原子力発電所や生化学工場のテロ災害対策や事故災害対策の事後対策として特に有効で、事後対策作業者は、構造物内部に入ることなく構造物の屋外側から構造物壁体1の任意の位置に貫通孔下地穴2を設け、図3および図9に示す引張固定ユニット21を使用するシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を形成してシェルター非常換気装置による陰圧フィルタリング換気を行うことで、NBCR災害に対応するシェルター非常換気装置ガスフィルター31による長期間にわたる有害物質除去精度の極めて高い陰圧フィルタリング換気を行うことができ、構造物内部の汚染空気が屋外に流出することを防ぐとともに、構造物内部の空気に浮遊または混合する有害物質を吸着除去することができる。
【0066】
シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、構造物壁体1に設けた貫通孔下地穴2に当該シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を組み付けてシェルター非常換気装置が接続できる吸排気貫通孔3を形成するための部材であり、想定する災害の状況に応じて、図4−aと図5−aに示すように当該シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5とシェルター非常換気装置ガスフィルター31の吸気口側が接続された陽圧フィルタリング換気のための接続構成と、図4−bと図5−bに示すように当該シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5とシェルター非常換気装置送気ファン30の送気口側が接続された陰圧フィルタリング換気のための接続構成との両方に対応することができる。
【0067】
図1、図2、図3に示すシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5の共通点は、図6−aの組立図に示すとおり、2つのユニットが構造物壁体1を挟み込んで貫通孔下地穴2に組立設置できる点にあり、構造物壁体1の構造に左右されることなく、貫通孔下地穴2を形成してシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を組立設置するだけで吸排気貫通孔3とすることができるので、既存するあらゆる建物の構造物壁体1に速やかに吸排気貫通孔3を形成してシェルター非常換気装置を使用した陽圧フィルタリング換気または陰圧フィルタリング換気を実施することができるので、平時における事前災害対策としての設置工事は容易かつ経済的であり、また、大規模なNBCR災害発生時における空気汚染対策における緊急対策を必要とする時にも速やかに吸排気貫通孔3を形成してシェルター非常換気装置を接続することができる。
【0068】
前項で述べた効果は、将来発生するかもしれない最悪の事態に対応するために求められるものであり、当該最悪の事態は様々考えられ、さらにそういった事態は1度とは限らないし複合的に発生するかもしれないので、一端組立設置した1セットのシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を、災害状況に応じて組み替えて適切な換気法に変更使用することのできる汎用性を有していることは大変重要である。
【0069】
そのために、本発明のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、これら運用実施構成を示す図4−a、図4−b、図5−a、図5−bを、あらゆる構造物壁体1に適用するために、図1、図2、図3に示す3種類の基本構成としており、シェルター非常換気装置と接続される側の吸排気配管接続パートユニット6を基本ユニットとして、引張固定ユニット(その1)19、引張固定ユニット(その2)20、引張固定ユニット(その3)21の3種類の引張固定ユニット7を状況に応じて選定することができる。
【0070】
引張固定ユニット(その1)19は、図1と図7−a、図7−bに示すとおり、吸排気配管接続パートユニット6そのものであり、これらは互いを兼用することができる関係にあり、それぞれにシェルター非常換気装置およびベントキャップ17などとの接続が可能なように適切な加工を施しておくことで、災害の状況に応じてシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5をそのままに、シェルター非常換気装置やベントキャップ17等を屋内、屋外いずれにも接続変更することを可能とし、引張固定ユニット19と吸排気配管接続パートユニット6との組み合わせによるシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、防衛防災対策として最も対策効果を高めることのできる引張固定ユニット7である。
【0071】
引張固定ユニット(その2)20は、図2と図8−a、図8−bに示すとおり、引張固定ユニット(その1)19の室内側筒状体部15とシェルター非常換気装置吸排気配管接続部14とを持たないユニットであり、引張固定ユニット(その1)19のように汎用性が高くはないが、シェルター非常換気装置の設置側とは反対側に当該引張固定ユニット(その2)20が配置されるように適宜シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を組み替えることで、引張固定ユニット(その1)19と同様の防衛防災対策とすることのできる構成であり、より経済的な引張固定ユニット7である。
【0072】
また、引張固定ユニット(その1)19および引張固定ユニット(その2)20は、図6−a、図6−b、図6−cに示す組立手順でシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5とすることができ、互いの位置規制壁面板12で構造物壁体1を挟み込んで気密性を確保しながら構造物壁体1に固定できるため、鉄筋コンクリート造や木造、鉄骨造など、様々な構造の構造物壁体1に採用することができ、さらに、1本乃至複数本の引張固定軸材8で互いを接続するだけなので容易にシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5を形成することができる。
【0073】
さらに、引張固定ユニット(その1)19および引張固定ユニット(その2)20は、図1、図2に示すとおり、互いのユニットの壁体挿入筒状体部16同士をフレキシブルダクト18で接続することができ、貫通孔下地穴2が、鉄筋コンクリート以外の木造や鉄骨増などの中空構造の構造物壁体1であっても、中空構造の壁体内の空気と吸排気が混ざり合うことのない確実な換気を行うことができる。
【0074】
引張固定ユニット(その3)21は、図3、図9に示すような位置規制ガイド13を備えた最も単純で経済的な引張固定ユニット7であり、それ自体が貫通孔下地穴2の内部を通過することのできる大きさであるため、図6−a、図6−b、図6−cに示す組立手順以外に、例えば、図6−aにおいて、引張固定ユニット7が配置される側の反対側の貫通孔下地穴2の開口部からの作業員の手作業による設置が可能で、構造物壁体1の一方が放射性物質等で極度に汚染され引張固定ユニット7の設置側に回り込めない場合に、容易に組立作業を行うことができ経済的であり、事後対策用としての組立設置に効果的である。
【0075】
さらに、シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、図1、図2、図3、図4−a、図4−b、図5−a、図5−b、図6−a、図6−b、図6−cに示すように、内部小径貫通配管24を1本以上形成することができ、これら内部小径貫通配管24を利用することで、より機能的で本格的な防衛防災対策を講じることができる。
【0076】
図4−a、図4−b、図5−a、図5−bに示すシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、それぞれ3本の内部小径貫通配管24が設けられており、屋外大気圧と屋内気圧との差圧を測定するための差圧計測用内部小径貫通配管25、水をはじめとする流体を屋内側と屋外側との間で給排水するための給排水用内部小径貫通配管26、電力ケーブルや通信ケーブルを内部小径貫通配管24内部に挿入してケーブル類を貫通するためのサヤ管の役割を果たすケーブル用内部小径貫通配管27が備わっている状況を示しており、これらはシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5により形成する吸排気貫通孔3の内部空間を利用して形成しているので、別途それぞれの専用貫通孔を構造物壁体1に形成する必要がなく経済的であるとともに、多様化する災害に臨機応変に対応する可能性を大幅に高めながら容易かつ経済的に対策を講ずることができるので、緊急対応時にも迅速に形成して対応することができる。
【0077】
内部小径貫通配管24の最も効果的な利用法は、陽圧フィルタリング換気または陰圧フィルタリング換気を行う際の、陽圧または陰圧の度合いを示す差圧を連続的に管理することができる差圧計測用内部小径貫通配管25としての利用であり、これは図1、図2、図3、図4−a、図4−b、図5−a、図5−b、図6−a、図6−b、図6−cのすべてに示している。
【0078】
当該差圧計測用内部小径貫通配管25は、確実な差圧換気状態を維持するために必須であり、また、気密性の低い既存建物などに採用した場合では、気密性欠損部をふさぐなどして行った気密性確保対策が効果的であるかどうかの判断も容易となる。
【0079】
当該差圧計測用内部小径貫通配管25の差圧計測器接続側と反対側の差圧計測用の小径配管接続貫通部材22の開口部の位置は、吸排気配管接続パートユニット6および引張固定ユニット7の任意の相応しい位置に小径配管接続貫通部材22を設定して吸排気貫通孔3を流れる空気圧の影響を受けないことが重要であり、例えば、図3に示す差圧計測器35の接続側と反対側の差圧計測用小径配管接続貫通部材22の屋外側開口部の位置は、吸排気に伴う気圧変動の影響を受けやすい位置にありこのままでは正確な差圧測定ができないと考えられるので、差圧計測用配管32の開口部、かつ、当該小径配管接続貫通部材22の屋外側開口部に、図3に示すように差圧計測用配管部材32を接続して、当該差圧計測用配管32の開口部を吸排気貫通孔3から十分遠ざけることで、より正確な差圧を計測することができる。
【0080】
また、内部小径貫通配管24の追加的な利用法は、図4−a、図4−b、図5−a、図5−bに示すように、給排水用内部小径貫通配管26やケーブル用内部誘導貫通サヤ配管27としての利用であり、閉鎖系空間や災害後の孤立系空間のインフラ確保のための自由度を大幅に高めることができる。
【0081】
給排水用内部小径貫通配管26は、もともと給排水インフラが備わっていない、または、破損してしまった屋内で避難生活を送る際などにおいて、必要とされる生活水の供給や不要となった排水などを行うための新たな専用の給排水貫通孔を構造物壁体1に形成しなくても給排水することができるので経済的である。
【0082】
ケーブル用内部小径貫通配管27は、もともと電力および通信インフラが備わっていないか破損してしまった屋内で避難生活を送る際などにおいて、必要とされる電力および通信を行うための新たな専用のケーブル引込用の貫通孔を構造物壁体1に形成しなくてもケーブルを引き込むことができるので経済的である。
【0083】
その他、シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、吸排気配管接続パートユニット6および引張固定ユニット7の位置規制壁面板12が、適切な力で構造物壁体1の壁面に押しつけられているので、構造物壁体1の壁面と当該位置規制壁面板12との間にパッキン等を挟むか位置規制壁面板12の縁にコーキングを施すなどして、高い気密性、防水性等を確保することができる。
【0084】
また、シェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5は、屋外の防雨対策として、図1、図2、図3、図6−b、図6−cに示すように、屋外側の引張固定ユニット7にベントキャップ17を取り付けることもできる。
【0085】
なお、吸排気配管接続パートユニット6、引張固定ユニット7は、図7−a、図7−b、図8−a、図8−bに示すとおり、各ユニットの断面や筒状体部の形状が円形となっているが、四角形などの断面形状を採用することもできる。
【0086】
以上、本発明のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット5および組立接続方法は、既存する構造物および建設計画中のあらゆる構造物に容易かつ経済的にシェルター非常換気装置を設置することができ、万一の災害に対する事前対策として、あるいは、災害発生後の事後対策として対処することのできる機器構成と換気効果を実現し、また、精度の高い差圧管理を行うための差圧計測用内部小径貫通配管25、任意に設定する避難生活を支援するための給排水用内部小径貫通配管26、新たなケーブルを引き込むためのケーブル用内部誘導貫通サヤ配管27などに利用することができる内部小径貫通配管24を備えているので、危機の状況に応じて臨機応変な対処を実施することができるので、万一の最悪の事態に備えた国家、国民を守るための装備として採用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 構造物壁体
2 貫通孔下地穴
3 吸排気貫通孔
4 任意開口部
5 シェルター非常換気装置吸気配管接続貫通ユニット
6 吸排気配管接続パートユニット
7 引張固定ユニット
8 引張固定軸材
9 軸材固定部
10 軸材接続固定受材
11 固定金物
12 位置規制壁面板
13 位置規制ガイド
14 換気装置吸排気配管接続部
15 室内側筒状体部
16 壁体挿入筒状体部
17 ベントキャップ
18 フレキシブルダクト
19 引張固定ユニット(その1)
20 引張固定ユニット(その2)
21 引張固定ユニット(その3)
22 小径配管接続貫通部材
23 内部小径配管部材
24 内部小径貫通配管
25 差圧計測用内部小径貫通配管
26 給排水用内部小径貫通配管
27 ケーブル用内部誘導貫通サヤ配管
28 シェルター非常換気装置吸気配管
29 シェルター非常換気装置送気配管
30 シェルター非常換気装置送気ファン
31 シェルター非常換気装置ガスフィルター
32 差圧計測用配管
33 給排水配管
34 ケーブル
35 差圧計測器
36 給排水設備
37 電気設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気用の吸排気貫通孔の形成のための貫通孔下地穴を設けた構造物壁体において、
吸排気貫通孔は、貫通孔下地穴の屋内側開口部に挿入する吸排気配管接続パートユニットと屋外側開口部に挿入する引張固定ユニットとが、または、貫通孔下地穴の屋外側開口部に挿入する吸排気配管接続パートユニットと屋内側開口部に挿入する引張固定ユニットとが、いずれも1本乃至複数本の引張固定軸材で互いが接続固定して形成され、
吸排気配管接続パートユニットは、引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材と、当該貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面とは反対側に換気装置吸排気配管接続部を端部に備えた室内側筒状体部と、当該貫通孔下地穴の開口部および貫通部に対応する壁体挿入筒状体部とで形成され、また、当該室内側筒状体部の任意の位置に1個乃至複数個の小径配管接続貫通部材を備えた筒状体で、
換気装置吸排気配管接続部は、シェルター非常換気装置のガスフィルター入気口側、または、シェルター非常換気装置のガスフィルター出気口側と接続することを特徴とするシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項2】
引張固定ユニットは、吸排気配管接続パートユニットと同形状とすることを特徴とする請求項1記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項3】
引張固定ユニットは、貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面に貫通孔下地穴の開口部および貫通部に対応する壁体挿入筒状体部と、当該位置規制壁面板または当該壁体挿入筒状体部の任意の位置に引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材とを一体的に形成することを特徴とする請求項1記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項4】
引張固定ユニットは、貫通孔下地穴の開口部に対応する位置規制壁面板と、当該位置規制壁面板の任意の位置に引張固定軸材を固定する1箇所乃至複数箇所の軸材固定部を有する軸材接続固定部材と、当該位置規制壁面板の構造物壁体側面の任意の位置に位置規制ガイドとを一体的に形成することを特徴とする請求項1記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項5】
引張固定ユニットは、ベントキャップや吸排気グリルを備えることを特徴とする請求項1乃至4記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項6】
引張固定ユニットは、任意の位置に1個乃至複数個の小径配管接続貫通部材を備えることを特徴とする請求項3乃至5記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項7】
吸排気配管接続パートユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部と引張固定ユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部は、吸排気貫通孔の内部空間に配置する内部小径配管部材で互いに接続して内部小径貫通配管を形成することを特徴とする請求項1乃至6記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項8】
内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の吸排気配管接続パートユニット側端部または当該内部小径貫通配管の引張固定ユニット側端部に差圧計測器、または差圧計測器に接続された小径配管と接続して差圧計測用貫通配管とすることを特徴とする請求項1乃至7記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項9】
内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の吸排気配管接続パートユニット側端部または当該内部小径貫通配管の引張固定ユニット側端部に給排水設備、または給排水設備に接続された小径配管と接続して給排水用貫通配管とすることを特徴とする請求項1乃至7記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項10】
内部小径貫通配管は、当該内部小径貫通配管の配管内部にケーブルを挿入してケーブル用内部誘導貫通サヤ配管とすることを特徴とする請求項1乃至7記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項11】
吸排気配管接続パートユニットの壁体挿入筒状体部と引張固定ユニットの壁体挿入筒状体部は、互いの壁体挿入筒状体部同士をフレキシブルダクトで接続することを特徴とする請求項1乃至3記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニット。
【請求項12】
吸排気貫通孔は、引張固定軸材を組み付けた吸排気配管接続パートユニットを貫通孔下地穴の一方の側から挿入してから対応する引張固定ユニットを他方の側から挿入して引張固定ユニットの軸材固定部を引張固定軸材で引張固定するか、引張固定軸材を組み付けた引張固定ユニットを貫通孔下地穴の一方の側から挿入してから対応する吸排気配管接続パートユニットを他方の側から挿入して吸排気配管接続パートユニットの軸材固定部を引張固定軸材で引張固定するかして、構造物壁体の壁面を互いのユニットの位置規制壁面板で挟み込み固定することを特徴とするシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法。
【請求項13】
内部小径貫通配管は、吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットとが構造物壁体に固定された後、吸排気貫通孔の内部空間に配置する小径配管部材で、互いのユニットの小径配管接続貫通部材の吸排気貫通孔内部側端部同士を接続して形成することを特徴とするシェルター非常換気装置吸気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法。
【請求項14】
吸排気配管接続パートユニットと引張固定ユニットと小径配管接続貫通部材および小径配管部材は、金属または樹脂から形成することを特徴とする請求項1乃至13記載のシェルター非常換気装置吸排気配管接続貫通ユニットおよび組立接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−a】
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【図4−b】
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【図5−a】
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【図5−b】
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【図6−a】
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【図6−b】
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【図6−c】
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【図7−a】
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【図7−b】
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【図8−a】
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【図8−b】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50275(P2013−50275A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188989(P2011−188989)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(710014694)
【Fターム(参考)】