シェービングフォイル
フォイル支持部(12)と、毛髪受け入れ部(14)とを含むシェービング装置(1)用のシェービングフォイル(10)。フォイル支持部は、シェービング装置のカッティング部材(6)上のフォイルを支持するために設けられる。フォイルの毛髪受け入れ部は、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口(20)と、複数個のヘアエントランス開口に隣接する網状の表面領域を形成する複数個のフォイル面部材(22)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してシェービング装置用のフォイルに関するものであり、特に、ヘアエントランス開口が非晶質状に配列されたフォイルに関する。本発明は更に、ヘアエントランス開口が非晶質状に配列されたシェービング装置用フォイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気式シェービング装置のカッティングヘッドは、従来、剪断フォイルと内部可動カッターを含んでいる。フォイルは薄い可撓性部材であり、複数個の穿孔又は開口を有し、ここから剃る対象である毛髪及び無精ヒゲを受け入れる。一方、カッターは、フォイルの裏面に接触させて配置され、通常は複数個の独立したブレードを含むが、カッティングフォイル又はその他の好適なカッティング機器を含んでもよい。具体的な構成とは関係なく、カッターは、フォイルに設けられた開口の上を、振動ないしは別の方法で前後に往復運動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シェービング動作の間、フォイルは皮膚と緊密に接触する状態に置かれる。シェービング装置がヒゲを剃る範囲の付近で移動させられるとき、毛髪及び無精ヒゲは、フォイルの開口をくぐり抜け、フォイルの開口を繰返し横断する可動カッターにより刈り込まれる。従って、シェービングの仕上がりのきめ細かさ、快適さ、質は、フォイルのデザインにより少なくともある程度影響を受ける。
【0004】
特に、フォイルに設けられる開口の大きさ、形状、向きは、シェービング動作の成果を左右する。そのため、従来のフォイルには、きめ細かく快適なシェービングを実現するパターンを見出すための1つの試みとして、円形、方形、六角形、及びその他の幾何学的形状の開口が反復パターン状に設けられていた。しかし、毛髪は、明らかにばらばらの向きに生える傾向がある。更に、毛髪はサイズも1本1本異なる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、フォイル支持部及び毛髪受け入れ部を含むシェービング装置用のシェービングフォイルを提供する。フォイル支持部は、シェービング装置のカッティング部材上にフォイルを支持するために設けられる。フォイルの毛髪受け入れ部は、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口と、複数個のヘアエントランス開口に隣接する網状の表面領域を形成する複数個のフォイル面部材とを含む。
【0006】
一般的に、非晶質状開口配列は、1以上の予め定められた拘束の範囲内で、容易に識別又は認知できるパターンをヘアエントランス開口の構成や規則性に示さない。ここで、予め定められた拘束は、例えば、フォイルの毛髪受け入れ部の物理的寸法により強いられる制限、フォイルの毛髪受け入れ部内におけるヘアエントランス開口の適切な数、隣接する複数のヘアエントランス開口間の適切な最小間隔、所定のヘアエントランス開口の適切な最小サイズ及び最大サイズ、シェービング機能の実行特有のその他の考慮事項などの制限を含んでよい。
【0007】
本発明の実施形態において、シェービング装置はハウジングとカッティングヘッドとを含む。カッティングヘッドは、ハウジングの第1末端部に配置され、ハウジングから突出するカッティング部材と、ハウジングに接続されるフォイルフレームと、概ねカッティング部材の上に向けてフォイルフレームによって支持されるフォイルとを含む。フォイルは、複数個のフォイル面部材で構成される毛髪受け入れ部と、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口とを含み、各ヘアエントランス開口は、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる。
【0008】
本発明の別の実施形態において、シェービング装置用フォイルの製造方法は、フォイルを用意することと、フォイルの毛髪受け入れ部を定義付けることと、フォイルの毛髪受け入れ部内に、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義するための複数個の開口を形成することと、を備え、各ヘアエントランス開口は、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
後述する好ましい実施形態では、本明細書の一部を成す添付図面を参照する。この添付図面には、実例として、限定するものではなく、本発明を実施してよい具体的な好ましい実施形態が示されている。その他の実施形態をとってもよいこと、並びに、本発明の精神と範囲を逸脱することなく変更を施してもよいことは明らかである。
【0010】
ここで図面(特に図1)を参照すると、シェービング装置1は、ハウジング2とカッティングヘッド4とを含む。カッティングヘッド4は、ハウジング2の一方の末端部に配置され、一般的にハウジング2から突出する1以上のカッティング部材6と、ハウジングと接続される取り外し可能なフォイルフレーム8と、フォイルフレーム8がハウジング2に取り付けられたときに概ねカッティング部材6上の向きとなるようにフォイルフレーム8により支持される1以上のシェービングフォイル10とを含む。ハウジング2は、スイッチ、モータ、電子回路、及び/又はカッティングヘッド4のカッティング部材6に対して電圧を選択的に印加するためのその他の構成要素も備えている。カッティング部材6は、明瞭にする目的で、軸を中心として整列した一般的に円形を成す複数個のカッティングディスクとして示されているが、独立した切れ刃やカッティングフォイルを含む他のカッティング構成を使用してもよい。
【0011】
図2を参照すると、シェービングフォイル(一般的に参照番号10で示す)は、フォイル支持部12と毛髪受け入れ部14とを含む。フォイル支持部12は固定配列を定義する。この固定配列は、例えば毛髪受け入れ部14の外辺部16に隣接する向きとしてよい。図示したフォイル支持部12は、穴などの搭載機能18を含む。これは、例えばフォイル10をシェービングヘッド4上のフォイルフレーム8に取り付けることにより、フォイル10をシェービング装置1に取り付けあるいは搭載するためのものである。フォイル支持部12は、外辺部16あるいはフォイル10の毛髪受け入れ部14のその他の部分により定義されてもよい。更に、その他の構成を代わりに使用して、フォイルフレーム8に関するフォイル10の直接的又は間接的な組み込みを含むフォイル支持部12を定義してもよい。
【0012】
シェービングヘッド4の構成は、個々のシェービング装置1ごとに相当変更されてもよい。従って、個々のフォイル10の一般的なサイズ及び形状は、個々のシェービング装置1に対応することとなる。例えば、図1に示すように、シェービングフォイル10は概ね、軸中心の突出した2つのカッティング部材6の外部形状に適合する。これは、一般的にアーチ型の毛髪受け入れ部14を形成するためである。アーチ型の毛髪受け入れ部14は、1枚のフォイル10で形成してよい。あるいは、複数のフォイル10を使用し、1枚のフォイル10を各カッティング部材6と関連付けてもよい。
【0013】
毛髪受け入れ部14は、複数個のヘアエントランス開口20とフォイル面部材22とを含む。複数個のヘアエントランス開口20は少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義し、複数個のフォイル面部材22は複数のヘアエントランス開口20に隣接する網状の表面領域を形成する。代表的な毛髪受け入れ部14に示すように、フォイル面部材22は結合されて各ヘアエントランス開口20を囲み、非晶質状開口配列24を形成するように、毛髪受け入れ部14の周辺及び/又は内部に連続した網状のフォイル表面領域を形成する。図3に示すように、フォイル面の幅(寸法マークWで示される)はフォイル面部材22の幅を示すものであり、ヘアエントランス開口20の1縁部上の1点と、隣接する別のヘアエントランス開口20の縁部上の近位の1点との間の距離に対応する。
【0014】
図に示すように、フォイル面の幅Wは、長さLの全体にわたりほぼ均一な状態を維持するように構成される。なお、長さLは、互いにほぼ並行状態を維持して隣接し合うヘアエントランス開口の縁部に相当する距離である。ただし、隣接し合うヘアエントランス開口20の縁部は、並行又はほぼ並行である必要はない。同様に、隣接し合うヘアエントランス開口20の2点間の弦は、各開口の縁部に対して直交する必要はない。更に、幅Wはすべてのフォイル面部材22についてほぼ均一でよい。あるいは、幅Wはさまざまなフォイル面部材22間でそれぞれ異なってもよい。更に、フォイル面部材22は、不均一な幅特性を持つ別の配列を示してもよい。
【0015】
非晶質状開口配列の特性
一般的に、非晶質状開口配列24は、1以上の予め定められた拘束の範囲内で容易に識別又は認知できるヘアエントランス開口20の構成又は規則性を示さない。ここで、予め定められた拘束は、例えば、フォイル10の毛髪受け入れ部14の物理的寸法により強いられる制限、フォイル10の毛髪受け入れ部14内におけるヘアエントランス開口20の適切な数、隣接する複数のヘアエントランス開口20間の適切な最小間隔(例えば、フォイル面部材22の幅W)、所定のヘアエントランス開口20の適切な最小サイズ及び最大サイズ(予想された毛髪の最小サイズ及び最大サイズと一致する傾向がある)、及びその他の髭剃りの実行及び機能に典型的な考慮事項などの制限を含んでよい。
【0016】
非晶質状開口配列24は概ね少なくとも1つのランダム、擬似ランダム、あるいは外見上ランダムという特徴を含み、この特徴については本明細書で後に詳しく説明する。例えば、開口のサイズ及び/又は形状の特徴は、非晶質状開口配列24の範囲内において、再び、1以上の予め定められた拘束の範囲内において、構成要素であるヘアエントランス開口20の向き、サイズ及び/又は形状に容易に識別又は認知可能なパターンが存在しないように施されてよい。
【0017】
ヘアエントランス開口20は、一般的に多角形開口あるいは単に多角形と呼ばれるものであり、これには例えば三角形、矩形、平行四辺形など、有限数の直線辺を有する幾何学的形状を含んでよい。また、本明細書で使用する場合、多角形は無数の直線辺を有するものであってよく、従って、多角形の一般説明内には曲線形状、アメーバ形状、及びこれらの組み合わせ、例えば、円形、半円形、楕円形、楔形、切頭楔形、溝形、波形、蛇行形の開口などが含まれる。
【0018】
図3に示す非晶質状配列において、第1のヘアエントランス開口20Aが隣接するヘアエントランス開口20Bに対して有する向き及び形状は、その次に続くヘアエントランス開口20Cを予測できる関係にないように見える。代表的な構成において、非晶質状開口配列24は、ランダムな中心点間距離により特徴付けられ、この場合、開口の中心点間距離は、設計者により指定された値の範囲内でランダム又は少なくとも不均一な様相を示す。
【0019】
ここで、ヘアエントランス開口20の中心点は、あらゆる合理的な方法により定義してよい。また、所定のヘアエントランス開口20の範囲の内側又は外側のいずれに位置する点を含んでもよい。定義された中心点を特に選択するか否かは、奇妙な形状や複雑な形状(例えばアメーバ形状)、曲線形状(溝形や波形)、又はその他の単純性を欠いた幾何学的形状がヘアエントランス開口20に含まれるか否かによって決まると思われる。代表的な中心点の中には、幾何学的中心を利用して、集合体の中心、開口のほぼ中心又は開口のある程度大きな領域内のほぼ中心に位置する領域内の1点、あるいは集合体の主要又は重要な点(例えば開口形状の中心)を含めてよい。中心点はまた、核生成点の中心など、開口の生成に使用される点を含んでもよい。ヘアエントランス開口20の生成プロセスの一部としての核生成点の使用については、本明細書において後に詳しく説明する。ただし、所定の開口中心に最も近い別の開口中心が合理的な許容度及び解像度の範囲内でフォイル10の平面内における所定の角度位置に存在する可能性は、概ね半々である。
【0020】
1つの実施例として、図3は、ヘアエントランス開口20Dに最も近い開口中心が開口20Eであることを示している(それぞれの中心点を囲むループで示した部分を参照)。ヘアエントランス開口20Fに最も近い開口中心は開口20Gである(それぞれの中心点を囲むループで示した部分を参照)。同様に、ヘアエントランス開口20Hに最も近い開口中心は開口20Iである(それぞれの中心点を囲むループで示した部分を参照)。図に示すように、所定のヘアエントランス開口20から最も近い開口中心までの向きには、秩序やパターンが一切存在しないように見える。上述した3つの代表的なループは、これだけでは、図示された開口の配列が非晶質状であることを示すものではない。むしろ、開口の配列が非晶質状であるか否かを判別するための1つの代表的な方法を示している。本明細書で後に詳しく説明するように、非晶質状開口配列24の及ぶ範囲は、毛髪受け入れ部14の全体又は一部としてよい。
【0021】
ヘアエントランス開口20のサイズ、形状及び/又は向きの特徴は、少なくとも統計的に有意な程度までランダム化されてよい(例えば、拘束又はその他の予め定められた制限の有無など)。例えば、ヘアエントランス開口20のサイズの範囲は、大抵、シェービング装置1で剃ることが想定される毛髪のサイズの予想範囲によって決定される。ヘアエントランス開口20の形状及び/又は向きの特徴に課されるランダム性の程度もまた、非晶質状開口配列24が手動で生成されるのか、あるいはコンピュータにより非晶質状開口配列24が生成されるのかに応じて変化してよい。少なくとも統計的に有意な程度までランダム化されてよいヘアエントランス開口20のその他の特性には、ヘアエントランス開口20の辺の数、ヘアエントランス開口20の隣接し合う縁部間の実現可能な最小角度又は最大角度、及び考慮事項に影響するその他の形状を含む。
【0022】
場合によっては、フォイル10の毛髪受け入れ部14の全体にわたり繰返しのない単一の非晶質状開口配列24を定義することが、好ましくなかったり、あるいは実用性を欠くことが考えられる。また、フォイル10の毛髪受け入れ部14における別個の領域内では、それぞれ異なる拘束を適用して設計された非晶質状配列を使用することが望ましい場合も考えられる。図4を参照すると、フォイル10の毛髪受け入れ部14における一部の領域が部分図で示され、第1の非晶質状開口配列24Aと、これに隣接する第2の非晶質状開口配列24Bが示されている。ここで、第1及び第2の非晶質状開口配列24A、24Bは別々の拘束を用いて構成されており、その拘束は、少なくともそれに対応するヘアエントランス開口20のサイズの多様性に影響するものである。図4に示すように、第1の非晶質状開口配列24Aにおけるヘアエントランス開口20のサイズの多様性は、第2の非晶質状開口配列24Bにおけるヘアエントランス開口20のサイズの多様性よりも程度が大きい。
【0023】
一例として、フォイル10の毛髪受け入れ部14における概ね第1の領域(例えば中央部分)付近ではヘアエントランス開口20のランダム性の程度が大きく、フォイル10の毛髪受け入れ部14の第2の領域(例えば、末端部領域)付近では、ヘアエントランス開口20の例えばサイズなどの偏差が一般的に小さいことが好ましい場合がある。更に、フォイル10の毛髪受け入れ部14を概念的に線引きして複数の非晶質状配列領域とし、そのような領域の2つ又はそれ以上において(例えば、非晶質状開口配列24Aの反対側で非晶質状開口配列24Bを複製することにより)同一の非晶質状配列の複製といってよい程にすることが好ましい場合もある。更にまた、フォイル10を1以上必要とするシェービング装置では、別個の非晶質状特性又は拘束により定義されたヘアエントランス開口20を有するフォイル10を1以上備えることが好ましい場合がある。
【0024】
更に、フォイル10の毛髪受け入れ部14内に、非晶質状領域と非晶質状ではない模様付き領域の組み合わせを含むことが好ましい場合もある。そのような組み合わせは、製造プロセスの能力、又は本発明の特殊実施のニーズに応じて必要とされる場合がある。例えば、フォイル10の毛髪受け入れ部14の予め定められた領域において概ね整列されたヘアエントランス開口20のサイズ、間隔、又は、形状を、例えば定義された形状のパターンに制限ないし限定することが好ましい場合がある。なお、この定義された形状は、シェービング時に有用な特徴をもたらすために設けられると見出されている。また、非晶質状ではない開口パターンは、フォイル10に独特の印を設けるために使用してよい。加えて、非晶質状の領域は、1以上の非晶質状でない領域により完全に包囲又は制限されてもよい。図5を参照すると、非晶質状開口配列24は、代表的な円形開口繰返しパターン26を取り囲むものとして示されている。
【0025】
「ランダム」の語は、非晶質状開口配列24の1以上の機能特性を説明するために使用される場合、実際には真にランダムでも、擬似ランダムでも、外見上ランダムでもよい。例えば、数学的に生成(例えばコンピュータ生成)された乱数は、ヘアエントランス開口20を特徴付ける(これについては本明細書で後に詳しく説明する)パラメータの定義に使用してよい。ただし、ランダム機能を実現するアルゴリズムの複雑さは、生成された数が正確にどの程度ランダムであるのか、その程度に影響する。また、非晶質状開口配列24の適用又はデザインは手動で行ってもよい。そのように手動で施されたデザインは、予め定められた拘束全体にわたり非晶質状開口配列となることがあるが、そのデザインはまた、厳密な意味でランダムではなく、外見上ランダム又は擬似ランダムなパターンとなってよい。
【0026】
しかし、いずれの場合もヘアエントランス開口20は、集合体において、局所的又は全体的な透視図のいずれかに、(例えばフォイル10の毛髪受け入れ部14の非晶質状領域の全体にわたるひどく乱雑又はあいまいに定義された開口配列という意味において)少なくとも開口群のランダム性が見受けられるように配置される。例えば、非晶質状開口配列24には、所定のサイズ及び/又は形状のヘアエントランス開口20が1以上存在してよい。ただし、ヘアエントランス開口20のパターンは、対応する非晶質状開口配列24内で隣接し合うヘアエントランス開口20の適当なサイズの組み分けがその他の同様なヘアエントランス開口20の組み分けと同一になることがないように、不均一となっている。
【0027】
非晶質状開口配列24はまた、1以上の同形特性を示すように配置されてもよい。代表的な同形特性は、毛髪受け入れ部14の予め定義された領域と関連を持つフォイル面部材22の概ね均一な表面領域を維持するようにパターンフォーメーションを制御することを含む。例えば、対応する非晶質状開口配列24の部分集合内で所定の領域が統計的に有意な数のヘアエントランス開口20を包囲するように定義された場合、その所定領域内におけるフォイル面部材22の総フォイル領域は、フォイル10の毛髪受け入れ部14の別の場所に存在する同様に予め定義されたフォイル領域とほぼ同一となる。これに関し、同形特性は1つの寸法で定義されてもよい(例えば、フォイル10の毛髪受け入れ部14の幅方向、又は複数の方向)。
【0028】
一実施例として再び図2を参照すると、毛髪受け入れ部14の第1の部分28A内におけるフォイル面部材22の結合フォイル領域は、毛髪受け入れ部14の第2の部分28B内におけるフォイル面部材22の結合フォイル領域と大体類似している。表現方法はわずかに異なるが、第1の部分28Aの開口比率は、第2の部分28Bの開口比率と大体同じである。なお、開口比率は、所定部分内に含まれるヘアエントランス開口20の総領域がその所定部分の総領域に占める割合として定義される。そのような同形特性は有益な場合がある。例えば、毛髪受け入れ領域14の別個の領域において、シェービング動作の質に不利な影響を及ぼすほど不規則又は一貫性のないフォイル10のゆがみを防止する場合である。フォイル領域を制御する方法の実施例については、本明細書で詳しく説明する。
【0029】
その他の重要な同形特性には、ヘアエントランス開口20によりフォイル10から除去された総表面積、ヘアエントランス開口20の数、ヘアエントランス開口20の形状を定義する特殊な多角形状の配置などが含まれてもよい。
【0030】
拘束
用途によっては、フォイル10の毛髪受け入れ部14におけるヘアエントランス開口20を定義するパラメータ(サイズ、形状、向き、及び/又は隣接し合う開口の中心間の間隔など)を1以上拘束することが好ましい場合がある。なお、ヘアエントランス開口20は多角形状を成し、辺、角度、領域の数を始めとする開口パラメータは、予め定められた目的の範囲内でそれぞれ制御することができ、その場合でも、全体的なランダム特性は維持される。
【0031】
各ヘアエントランス開口20のサイズは、大抵何らかの合理的なサイズ範囲の制限を受ける。小さすぎて毛髪を捕捉できないヘアエントランス開口20は、シェービング用途には大抵好ましくない。同様に、所定のヘアエントランス開口20の最大サイズが大きすぎる場合は、皮膚が圧迫されてそのヘアエントランス開口20に入り込み、好ましくないシェービング結果を引き起こす。また、ヘアエントランス開口20の大量配置又はそのサイズを不適切に考慮することは、所定のシェービングフォイル10の特性に好ましくない影響を与える。例えば、小さいサイズのヘアエントランス開口20は、比較的長く固い毛髪を捕捉する上であまり有効ではない。
【0032】
隣接し合うヘアエントランス開口20間の対応するフォイル面部材22における実現可能な最小の幅Wは、フォイル基材の強度、剛性、可撓性といった実際的な考慮事項により、フォイル構造が危うくならないように制限される。つまり、フォイル10は、シェービング対象面に順応する可撓性を有する必要がある。ただし、フォイル10の毛髪受け入れ部14全体が不規則にゆがむと、シェービングの質に悪影響が及ぶ恐れがある。そのような不規則なゆがみに取り組むための1つの方法は、本明細書で詳しく説明しているように、フォイルの予め定められた領域内で、フォイル面部材22のほぼ一貫した領域を維持することである。
【0033】
ヘアエントランス開口20を定義する多角形の辺数を実現可能な有限数に制限することにより、隣接し合うヘアエントランス開口20間の連結関係の確立が容易となる。この点に関し、各多角形の辺数の実際的制限は様々に変化する可能性があり、非晶質状開口配列24の定義を手動で行うか、あるいはコンピュータ使用のプロセスで行うかによって変動してもよい。
【0034】
隣接し合うヘアエントランス開口20間の連結関係とは、一般に、第1のヘアエントランス開口20が第2のヘアエントランス開口20の直線辺縁部に(例えば、ほぼ並行にそろうように)対応する直線辺縁部を含む部分をいう。そのような配置により、例えばフォイル面部材22の幅Wを介して、隣接し合うヘアエントランス開口20間の間隔設定を均一にすることが可能となる。隣接し合うヘアエントランス開口20間の連結関係により、設計者は、フォイル10の毛髪受け入れ部14の予め定められた部分の範囲内で一般に固定されたフォイル面領域を維持し易くなる。
【0035】
同様に、隣接し合うヘアエントランス開口間の実現可能な最大間隔が大きすぎる場合は、例えばフォイル10に設けられたヘアエントランス開口20をシェービング対象面上で移動させるために操作者にかなり長い時間が必要とされることにより、シェービング装置の全体的な性能に影響が及ぶ恐れがある。この点に関し、非晶質状のヘアエントランス開口20のランダム特性は、予め定められた何らかの基準によって統計的に制御されてよい。本明細書で詳しく述べたように、開口の形状を(例えば、曲線形状とならないように)実際的な有限の辺数を持つ多角形に制限することにより、ヘアエントランス開口20の連結パターンを、少なくとも理論上は、隣接し合うヘアエントランス開口20間のフォイル領域がフォイル10の毛髪受け入れ部14の領域の0%〜100%となるように配置することができる。
【0036】
ヘアエントランス開口20を実際的な数に制限することにより、ヘアエントランス開口20のサイズ範囲及び隣接し合うヘアエントランス開口20間のフォイル面領域について、例えば特定のフォイル10のサイズ、フォイル基材の強度及び/又は可撓性、フォイル10の厚さなどに基づいて現実的な拘束が定まる。更に、現実的観点からは、隣接し合うヘアエントランス開口20間の間隔を制御する機能により、毛髪受け入れ部14内のフォイル領域を、特定の目的を持ったシェービング用途の必要に応じて適切に構築することが可能となる。
【0037】
方法
例えば、好ましい開口サイズ、形状、間隔、向きなどの観点からフォイル10の毛髪受け入れ部14を設計するには、手動による方法を含む、あらゆる適切な方法を利用してよい。ただし、従うべき拘束が多数ある場合や、その他の設計パラメータを厳密に保証する場合は、フォイル10の毛髪受け入れ部14の設計にコンピュータを使用することができる。
【0038】
非晶質状開口配列24を体系的に生成するための代表的な方法では、2空間の制約付きボロノイ分割を活用する。この方法は、フォイル10に関して、非晶質状開口配列24を体系的に生成するだけでなく、開口サイズ、形状、又は向き、及び間隔を好ましい状態に調整することも可能とする。図6を参照すると、方法30は、32において拘束付き非晶質状領域を定義している。そのような拘束付き非晶質状領域は、フォイル10の毛髪受け入れ部14のサイズを特徴付ける相対座標又はそれらの部分集合を用いて定義してよく、例えばこの場合、毛髪受け入れ部は更に、非晶質状ではないパターン又は異なる拘束が適用される非晶質状領域を1以上含む。本明細書で論ずる場合、座標は、(0、0)から(Xの最大値、Yの最大値)まで方形平面状に広がるデカルト座標形式で説明される。ただし、別の座標系を使用してもよい。
【0039】
34Aでは、核生成点Nの数が決定される。核生成点の数は、非晶質状領域において求められる多角形のヘアエントランス開口20の数と一致する。従って、核生成点Nの数は整数を含み、核生成点Nの数は、非晶質状領域で求められる多角形ヘアエントランス開口20の平均的なサイズ及び間隔との関係で選択されてよい。核生成点の概算数を決定するための代表的な方法の1つは、任意のサイズ及び形状(例えば、平均的サイズ及び平均的形状)の仮定的多角形を選択することと、非晶質状領域を満たす上で必要とされる仮定的多角形の均一なインスタンスの数を演算で求めることである。
【0040】
Nの値が大きいと多角形開口は比較的小さくなり、Nの値が小さいと、多角形開口は比較的大きくなる。34Bでは、核生成点Nの数ではなく、開口の好ましい平均的直径Dを選択する。34Aで核生成点Nの数を決定する選択を行った場合は、次に、36Aで平均的直径Dが算出される。同様に、34Bで開口の平均的直径Dを決定する選択を行った場合は、次に、36Bで核生成点Nの数が算出される。
【0041】
核生成点Nの数に基づき、ヘアエントランス開口で埋め尽くされるべき非晶質状領域に位置する一連の座標が38で生成される。例えば、2空間の制約付きボロノイ分割をコンピュータで実行する場合、乱数発生器を使用して、非晶質状領域内の座標を示す一連の乱数を生成することができる。デカルト座標へのマッピングに関する上述の実施例では、核生成点のそれぞれについて2つの乱数が生成され、1つの数はX座標に対応し、もう1つの数はY座標に対応する。乱数発生器は、正規化数又は、非晶質状領域の座標空間にマップする上で適切に調整する必要がある値域の数を生成してもよい。例えば、コンピュータで実行される多数の乱数発生器は、入力として乱数の種を受け取り、この種が乱数又は擬似乱数へと変換され、0及び1の値の間で正規化される。そのような値が供給される場合は、(0、0)〜(Xの最大値、Yの最大値)の範囲内で正規化乱数を適切に調整することができる。また、生成された(X、Y)座標のペアは、将来参照できるように記憶することが好ましい。
【0042】
核生成点座標の生成に関するランダム性の程度を全体的に制御するため、非晶質状領域の核生成点座標を定義する乱数の生成又は選択に拘束を課してもよい。本明細書においてβとして示される1つの代表的な拘束は、隣接し合う2つの核生成点間の最短距離を示す、排他距離Eを導入して、近隣にある核生成点の位置の近接性を制限する。排他距離Eは次のように計算される:
【数1】
【0043】
上記の方程式でλは点の密度(例えば、単位領域当たりの点の数)が定義され、βは0〜1の範囲の値で示される。β=0の場合、排他距離Eは0であり、核生成点座標は概ねランダム、あるいは少なくとも擬似ランダムとなる。β=1である場合には、排他距離Eは、密集六角形配列に対する最短隣接距離に等しい。このように、βを0〜1の間で選択することにより、これら2つの極値の間の「ランダム性の程度」について制御できる。β拘束の算出後は、乱数を使用して生成された各座標ペアと、それ以前に生成されたその他のすべての座標ペアとの比較が算出された排他距離に基づいて行われる。検討中の座標ペアが先に生成されたいずれかの座標ペアの排他距離内に属する場合、検討中の座標ペアは廃棄される。
【0044】
排他距離を導入して近隣にある核生成点の位置の近接性を拘束することにより、開口の中心点間距離の変動が制御され、この中心点間距離の変動は、結果として得られる多角形の辺数並びに多角形のサイズに、相当程度の変動となって現れる。拘束が少ない核生成点座標セットは、拘束の多い核生成点セットよりも多角形のサイズ及び形状の範囲が広くなる。
【0045】
特殊用途の指示に従い、追加の拘束を課してもよい。従って、38で生成された座標について、課された拘束がある場合には、40においてその拘束の確認が行われる。生成された座標が拘束の要求に適合しない場合は、38において新しい座標セットが生成される。座標が拘束の要求に適合する場合は、42において、核生成点それぞれの座標ペアに対応するN組の座標ペアが生成されているか否かが判断される。生成済みの座標ペアがN組より少ない場合は、プロセスの最初に戻り、38において新規の座標ペアが生成される。
【0046】
核生成点座標の算出後、44において、少なくとも概念的な観点から、核生成点のそれぞれについて円が成長する。各円は、対応する核生成点から外に向かって放射状に(例えば、同時に、同一の速度で)成長する。隣接し合う円の周が接すると、それらの円の成長は止まり、境界線が定義される。これらの境界線のそれぞれが多角形の縁部を形成し、頂点が境界線の交差により形成される。
【0047】
ドロネー三角形分割は、核生成点の周囲で円を概念的に成長させるための1つの代表的技法である。ドロネー三角形分割を使用すると、核生成点のそれぞれに識別用の一意の識別子が割り当てられる。また、3つの核生成点の組み合わせは、例えば組み合わせ及び対応する核生成点識別子を保存することにより、まとめられて追跡される。
【0048】
三角形に配置された3つの核生成点の各組を通過する円に対して、半径及び中心点の座標が計算される。残りの核生成点それぞれの座標位置、すなわち特定の三角形を画定するのに使用しない各核生成点の座標位置を、その円の座標(半径及び中心点)と比較して、他の核生成点のいずれかが、対象の3点の円内に入るかどうかを判断する。他の核生成点のいずれも円内に入らない場合は、3つの核生成点の識別子、それらのXY座標、円の半径、円の中心点のXY座標が記憶される。三角形の形成に使用しない核生成点が円内に入る場合は、結果が記憶されず、次の3点の組の計算に移行する。
【0049】
次に、核生成点それぞれに対応する多角形が46において決定される。例えば、ドロネー三角形分割の完了後に、2空間のボロノイ分割が実行されて多角形が生成される。ドロネー三角形の頂点として記憶された核生成点のそれぞれにより、多角形の中心点が定義される。各ドロネー三角形の外接円の中心点を順番に連結することにより、多角形の外形が生成されるが、これは先の頂点を時計回りの順番で含む。多角形の生成に際しては、領域の境界にある三角形頂点を計算から除外するように比較がなされる。これは、領域の境界にある三角形頂点はいずれも完全な多角形を画定しないからである。分割が完了すると、多角形開口の各頂点を座標としてデータファイルに保存することができる。
【0050】
非晶質状の開口配列が生成されると、48において、多角形間のフォイル面部材22の幅を追加できる。フォイル面部材22は、多角形開口の縁部を形成する境界線を太くすることで追加できる。例えば、多角形間のフォイル面部材22の幅を拡大する上で、コンピュータプログラム、ルーチン、あるいはアルゴリズムを記述することにより、隣接し合う多角形の各辺縁部に1以上の並行線を追加して、これに対応するフォイル面部材の幅である幅Wを拡大することができ、これに伴い、対応する多角形の領域は縮小する。
【0051】
ヘアエントランス開口20の境界線を太くすることにより表面部材22を定義する上記技法では、予め定められた特定の拘束がある場合には、その拘束を制御することができる。拘束としては、例えば、フォイル面部材22の最小幅Wの維持、又は非晶質状開口配列全体にわたる概ね安定したフォイル領域の維持(例えば、シェービング動作の質に悪影響を及ぼすような、毛髪受け入れ部14の別々の領域におけるフォイル10の不規則又は調和を欠いたゆがみの防止)などがある。更に、設計者は、個々のいかなる開口又は開口セットのサイズ、形状、向き、間隔などをもカスタマイズすることができる。非晶質状配列の生成を実施するその他の実施例は、米国特許第5,965,235号(マクガイア(McGuire )ら)に記載されている。
【0052】
生成された非晶質状配列、あるいは異なる非晶質状配列の組み合わせを元に、ネガを作成することができる。このネガは、フォイル10の製造時に、従来のエッチングプロセスのための入力として使用してよい。生成された非晶質状配列に基づいてフォイル10を製造する上で、上記以外の方法をいくつ使用してもよい。
【0053】
非晶質状配列を特定するための代表的方法
本明細書で詳しく説明したように、フォイル10の毛髪受け入れ部14は、少なくとも1つの非晶質状開口配列24を含んでよく、また、任意で、非晶質状ではない開口パターンを含む。この点に関し、非晶質状開口配列24は無秩序に見え、一方、非晶質状でないパターン(存在する場合)は、何らかの秩序を示す。
【0054】
非晶質状でないパターンの秩序は、別のさまざまな方法により特徴付けられてよい。例えば、秩序を持ったパターンを1以上の方向に繰返してもよい。更に、秩序を持ったパターンは周期的に繰返されるものでもよい(つまり、秩序を持ったパターンが、パターン全体を通して通常の方法で繰返される部分集合を含む)。
【0055】
また、秩序を持ったパターンは準周期的でもよい。秩序を持ったパターンの周辺で、そのパターンの部分集合のコピーをパターンの別の部分集合と整列するように動かせる場合、秩序を持ったパターンは準周期的である。秩序を持ったパターン全体の正確なコピーが元のパターン上に移動した場合は、さまざまな部分集合を局所的に合致させることができるが、元のパターンとコピーパターンとは、全体としては、合致しない。準周期的パターンの有名な実施例は、ペンローズタイルを用いたパターンを含む。
【0056】
更に、秩序を持ったパターンは対称的であってもよい。秩序を持ったパターンの部分集合のコピーを、そのパターンと正確に合致するようにそのパターン内の別の位置に動かせる場合、秩序を持ったパターンは対称的である。ここで、パターンに関する部分集合のコピーの回転、パターンに関する部分集合のコピーの平行移動又は移動、パターンに関する部分集合のコピーの反射(例えば、部分集合の鏡像)、あるいはこれらの組み合わせを利用して対称を実現してもよい。
【0057】
少なくとも2つの代表的機能を分析することで、フォイル10の毛髪受け入れ部14内におけるヘアエントランス開口20の配列が非晶質状か否かを判断できる。配列内のヘアエントランス開口20の領域の分布を分析してもよい。また、ヘアエントランス開口20の2点間距離(例えば、第1の開口中心から第2の開口中心まで)を分析してもよい。
【0058】
領域分布
図7には、代表的な領域分布プロットが示されている。非晶質状配列は、一般に、フォイル10の毛髪受け入れ部14の合理的なサンプル領域内で、領域の連続的な分布を示す。合理的サンプル領域のサイズは、ヘアエントランス開口20のサイズもしくはサイズ範囲によって変動する。図8は、図7のグラフと類似する比較を表すグラフを示している。ただし、図8のグラフでは、代表的なサンプル領域に占める多角形領域の上限と下限が(パーセンテージで)設けられている。
【0059】
周期的パターン(例えば、一定の方法で繰返すパターン)及び非周期的パターン(例えば、ペンローズタイリング)の場合、領域分布プロットはほんのわずかの別個領域で構成されるため、領域分布プロットは図9に示されるような連続的な分布を示さない。例えば、ペンローズタイリングの開口は、すべて固定された有限数の幾何学的形状(例えば、2〜4形状)を持つ。従って、図9の分布には、それに対応する図7の概ね連続した配列と比較してはっきりと異なる不連続性が示されている。よって、図7のグラフに示された代表的な開口配列は、非晶質状開口配列であると考えられる。また、図9のグラフに示された代表的な開口配列は、非晶質状でない開口パターンと考えられる。
【0060】
距離分布
各ヘアエントランス開口20に中心点(例えば、ヘアエントランス開口20の集合体の中心)が割り当てられる場合は、分析により、そのような中心点が概ねランダムに分布しているか否かを判断することができる。完全なランダム性のベンチマークは、ポアソン過程である。ポアソン過程では、中心点はランダムに配置され、いずれかの中心点から他のいずれかの中心点までの距離を次のRipleyのK関数で表すことができる。
【数2】
【0061】
RipleyのK関数は、問題の点から距離(t)の範囲内に存在する点の数(K)が距離の二乗に比例することを示している。つまり、ある領域内の点の密度が判明している場合(本発明の場合は判明している)、半径tかつ領域πt2の円にはK個の点が含まれる。別の関数L(t)は、次のように定義することができる。
【数3】
【0062】
ここでλは、上で定義するように、単位領域当たりの点の数である。
【数4】
【0063】
ポアソン(ランダム)過程の場合、K(t)∝t2なので、tに対するLのプロットは傾き1の直線となる。
【0064】
図10を参照すると、ヘアエントランス開口20の中心点が予め定められた対称サンプル領域内にランダムに配置されるか否かを判断するために、tに対するLのプロットの生成が方法50に含まれている。プロットを作成するため、52において1つの点が参照点として選択される。参照点から距離tの範囲内に存在する点の数は、54において決定される。上記のプロセスは、(他のすべての点を網羅する)tのすべての値について繰返されてもよい。K関数の計算は56で行われる。この計算結果に基づき、58において(例えば、プロットの生成により)傾きが算出され、60でランダム性が決定される。
【0065】
合理的な許容範囲内にある概して連続した直線のプロットは、対応するヘアエントランス開口20の中心がランダムに配置され、開口の配列が図11のプロットに示すように非晶質状となっていることを示す。つまり、プロット上のX方向の値を任意でわずかに変更すると、(例えば、予め定められた信頼区間内で)プロット上のY方向の値が任意でわずかに変更される。
【0066】
更に、曲線を当てはめられたプロットは、不連続性や脈絡のない未定義の値を含む線を有し、ヘアエントランス開口20の中心の配置がランダムではなく、開口が非晶質状でないパターンと考えられることを示す(図12のプロット参照)。例えば、ペンローズタイルを用いた開口パターンや、周期的な開口パターンでは、プロット上のX方向が任意でわずかに変化するとプロット上のY方向の値が比較的大きくなったり急に跳ね上がったりする部分、あるいは、プロットに沿った点のY方向の値が未定義でもよい部分がプロットに存在し、従って、そのような開口パターンは非晶質状ではない。
【0067】
例として、非晶質状配列全体に関して選択されたヘアエントランス開口20の統計的に有意な部分集合は、開口の数、開口の平均的領域、開口の平均的サイズ、開口間の平均的間隔などの特性について、統計的にほぼ同等の値をもたらす。そのような相関関係は、フォイルの物理特性に関して好ましい場合があり、それは、均一な統計的特性は、フォイル10全体の均一な特性を示唆することにもなるからである。例えば、開口は、測定単位が少なくとも統計的に有意な開口数を得られる程度の大きさとなるように選択される限り、所定の点から発せられる射線として所定の方向に外に向けて描かれる線により測定単位当たりに統計的に同等な数の開口が形成されるように設けられてもよい。
【0068】
本発明のシェービングフォイルは、多種多様なシェービング目的に使用することができる。そのような目的としては、男性及び女性のシェービング(例えば、顔、頬、腋窩の他、腕、足、頭、うなじ、ビキニなどを含むその他の体毛のシェービングなど)、ペットや動物のシェービング、ほつれた糸の除去、布地のピリング、現在又は将来において周知あるいは明白となる可能性があるその他の目的が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本発明の「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0070】
本発明の特定の実施形態を説明し記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変形及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0071】
以下に説明する本発明の好ましい実施形態は、以下の図面と併せて読むことにより、最もよく理解でき、類似の構成は参照番号と共に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】代表的なシェービング装置を示す図。
【図2】本発明の実施形態による代表的なフォイルを示す図。
【図3】本発明の実施形態によるフォイルの代表的な毛髪受け入れ部を示す部分図。
【図4】隣接し合う2つの非晶質状配列を示す代表的なフォイルの部分図。
【図5】非晶質状開口配列と非晶質状でない開口パターンの組み合わせを示す代表的なフォイルの部分図。
【図6】非晶質状開口配列の製造方法を示すフローチャート。
【図7】ヘアエントランス開口領域の概ね連続した分布を示す代表的な領域分布プロット。
【図8】サンプル領域に含まれる多角形領域の上限及び下限を示す代表的なグラフ。
【図9】ヘアエントランス開口領域の不連続な分布を示す代表的な領域分布プロット。
【図10】ヘアエントランス開口の配列が概ね非晶質状であるか否かを判断するための1つの代表的方法を示すフローチャート。
【図11】開口中心間隔のランダムな分布を示す代表的なプロット。
【図12】開口中心間隔のランダムではない分布を示す代表的なプロット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してシェービング装置用のフォイルに関するものであり、特に、ヘアエントランス開口が非晶質状に配列されたフォイルに関する。本発明は更に、ヘアエントランス開口が非晶質状に配列されたシェービング装置用フォイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気式シェービング装置のカッティングヘッドは、従来、剪断フォイルと内部可動カッターを含んでいる。フォイルは薄い可撓性部材であり、複数個の穿孔又は開口を有し、ここから剃る対象である毛髪及び無精ヒゲを受け入れる。一方、カッターは、フォイルの裏面に接触させて配置され、通常は複数個の独立したブレードを含むが、カッティングフォイル又はその他の好適なカッティング機器を含んでもよい。具体的な構成とは関係なく、カッターは、フォイルに設けられた開口の上を、振動ないしは別の方法で前後に往復運動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シェービング動作の間、フォイルは皮膚と緊密に接触する状態に置かれる。シェービング装置がヒゲを剃る範囲の付近で移動させられるとき、毛髪及び無精ヒゲは、フォイルの開口をくぐり抜け、フォイルの開口を繰返し横断する可動カッターにより刈り込まれる。従って、シェービングの仕上がりのきめ細かさ、快適さ、質は、フォイルのデザインにより少なくともある程度影響を受ける。
【0004】
特に、フォイルに設けられる開口の大きさ、形状、向きは、シェービング動作の成果を左右する。そのため、従来のフォイルには、きめ細かく快適なシェービングを実現するパターンを見出すための1つの試みとして、円形、方形、六角形、及びその他の幾何学的形状の開口が反復パターン状に設けられていた。しかし、毛髪は、明らかにばらばらの向きに生える傾向がある。更に、毛髪はサイズも1本1本異なる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、フォイル支持部及び毛髪受け入れ部を含むシェービング装置用のシェービングフォイルを提供する。フォイル支持部は、シェービング装置のカッティング部材上にフォイルを支持するために設けられる。フォイルの毛髪受け入れ部は、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口と、複数個のヘアエントランス開口に隣接する網状の表面領域を形成する複数個のフォイル面部材とを含む。
【0006】
一般的に、非晶質状開口配列は、1以上の予め定められた拘束の範囲内で、容易に識別又は認知できるパターンをヘアエントランス開口の構成や規則性に示さない。ここで、予め定められた拘束は、例えば、フォイルの毛髪受け入れ部の物理的寸法により強いられる制限、フォイルの毛髪受け入れ部内におけるヘアエントランス開口の適切な数、隣接する複数のヘアエントランス開口間の適切な最小間隔、所定のヘアエントランス開口の適切な最小サイズ及び最大サイズ、シェービング機能の実行特有のその他の考慮事項などの制限を含んでよい。
【0007】
本発明の実施形態において、シェービング装置はハウジングとカッティングヘッドとを含む。カッティングヘッドは、ハウジングの第1末端部に配置され、ハウジングから突出するカッティング部材と、ハウジングに接続されるフォイルフレームと、概ねカッティング部材の上に向けてフォイルフレームによって支持されるフォイルとを含む。フォイルは、複数個のフォイル面部材で構成される毛髪受け入れ部と、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口とを含み、各ヘアエントランス開口は、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる。
【0008】
本発明の別の実施形態において、シェービング装置用フォイルの製造方法は、フォイルを用意することと、フォイルの毛髪受け入れ部を定義付けることと、フォイルの毛髪受け入れ部内に、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義するための複数個の開口を形成することと、を備え、各ヘアエントランス開口は、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
後述する好ましい実施形態では、本明細書の一部を成す添付図面を参照する。この添付図面には、実例として、限定するものではなく、本発明を実施してよい具体的な好ましい実施形態が示されている。その他の実施形態をとってもよいこと、並びに、本発明の精神と範囲を逸脱することなく変更を施してもよいことは明らかである。
【0010】
ここで図面(特に図1)を参照すると、シェービング装置1は、ハウジング2とカッティングヘッド4とを含む。カッティングヘッド4は、ハウジング2の一方の末端部に配置され、一般的にハウジング2から突出する1以上のカッティング部材6と、ハウジングと接続される取り外し可能なフォイルフレーム8と、フォイルフレーム8がハウジング2に取り付けられたときに概ねカッティング部材6上の向きとなるようにフォイルフレーム8により支持される1以上のシェービングフォイル10とを含む。ハウジング2は、スイッチ、モータ、電子回路、及び/又はカッティングヘッド4のカッティング部材6に対して電圧を選択的に印加するためのその他の構成要素も備えている。カッティング部材6は、明瞭にする目的で、軸を中心として整列した一般的に円形を成す複数個のカッティングディスクとして示されているが、独立した切れ刃やカッティングフォイルを含む他のカッティング構成を使用してもよい。
【0011】
図2を参照すると、シェービングフォイル(一般的に参照番号10で示す)は、フォイル支持部12と毛髪受け入れ部14とを含む。フォイル支持部12は固定配列を定義する。この固定配列は、例えば毛髪受け入れ部14の外辺部16に隣接する向きとしてよい。図示したフォイル支持部12は、穴などの搭載機能18を含む。これは、例えばフォイル10をシェービングヘッド4上のフォイルフレーム8に取り付けることにより、フォイル10をシェービング装置1に取り付けあるいは搭載するためのものである。フォイル支持部12は、外辺部16あるいはフォイル10の毛髪受け入れ部14のその他の部分により定義されてもよい。更に、その他の構成を代わりに使用して、フォイルフレーム8に関するフォイル10の直接的又は間接的な組み込みを含むフォイル支持部12を定義してもよい。
【0012】
シェービングヘッド4の構成は、個々のシェービング装置1ごとに相当変更されてもよい。従って、個々のフォイル10の一般的なサイズ及び形状は、個々のシェービング装置1に対応することとなる。例えば、図1に示すように、シェービングフォイル10は概ね、軸中心の突出した2つのカッティング部材6の外部形状に適合する。これは、一般的にアーチ型の毛髪受け入れ部14を形成するためである。アーチ型の毛髪受け入れ部14は、1枚のフォイル10で形成してよい。あるいは、複数のフォイル10を使用し、1枚のフォイル10を各カッティング部材6と関連付けてもよい。
【0013】
毛髪受け入れ部14は、複数個のヘアエントランス開口20とフォイル面部材22とを含む。複数個のヘアエントランス開口20は少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義し、複数個のフォイル面部材22は複数のヘアエントランス開口20に隣接する網状の表面領域を形成する。代表的な毛髪受け入れ部14に示すように、フォイル面部材22は結合されて各ヘアエントランス開口20を囲み、非晶質状開口配列24を形成するように、毛髪受け入れ部14の周辺及び/又は内部に連続した網状のフォイル表面領域を形成する。図3に示すように、フォイル面の幅(寸法マークWで示される)はフォイル面部材22の幅を示すものであり、ヘアエントランス開口20の1縁部上の1点と、隣接する別のヘアエントランス開口20の縁部上の近位の1点との間の距離に対応する。
【0014】
図に示すように、フォイル面の幅Wは、長さLの全体にわたりほぼ均一な状態を維持するように構成される。なお、長さLは、互いにほぼ並行状態を維持して隣接し合うヘアエントランス開口の縁部に相当する距離である。ただし、隣接し合うヘアエントランス開口20の縁部は、並行又はほぼ並行である必要はない。同様に、隣接し合うヘアエントランス開口20の2点間の弦は、各開口の縁部に対して直交する必要はない。更に、幅Wはすべてのフォイル面部材22についてほぼ均一でよい。あるいは、幅Wはさまざまなフォイル面部材22間でそれぞれ異なってもよい。更に、フォイル面部材22は、不均一な幅特性を持つ別の配列を示してもよい。
【0015】
非晶質状開口配列の特性
一般的に、非晶質状開口配列24は、1以上の予め定められた拘束の範囲内で容易に識別又は認知できるヘアエントランス開口20の構成又は規則性を示さない。ここで、予め定められた拘束は、例えば、フォイル10の毛髪受け入れ部14の物理的寸法により強いられる制限、フォイル10の毛髪受け入れ部14内におけるヘアエントランス開口20の適切な数、隣接する複数のヘアエントランス開口20間の適切な最小間隔(例えば、フォイル面部材22の幅W)、所定のヘアエントランス開口20の適切な最小サイズ及び最大サイズ(予想された毛髪の最小サイズ及び最大サイズと一致する傾向がある)、及びその他の髭剃りの実行及び機能に典型的な考慮事項などの制限を含んでよい。
【0016】
非晶質状開口配列24は概ね少なくとも1つのランダム、擬似ランダム、あるいは外見上ランダムという特徴を含み、この特徴については本明細書で後に詳しく説明する。例えば、開口のサイズ及び/又は形状の特徴は、非晶質状開口配列24の範囲内において、再び、1以上の予め定められた拘束の範囲内において、構成要素であるヘアエントランス開口20の向き、サイズ及び/又は形状に容易に識別又は認知可能なパターンが存在しないように施されてよい。
【0017】
ヘアエントランス開口20は、一般的に多角形開口あるいは単に多角形と呼ばれるものであり、これには例えば三角形、矩形、平行四辺形など、有限数の直線辺を有する幾何学的形状を含んでよい。また、本明細書で使用する場合、多角形は無数の直線辺を有するものであってよく、従って、多角形の一般説明内には曲線形状、アメーバ形状、及びこれらの組み合わせ、例えば、円形、半円形、楕円形、楔形、切頭楔形、溝形、波形、蛇行形の開口などが含まれる。
【0018】
図3に示す非晶質状配列において、第1のヘアエントランス開口20Aが隣接するヘアエントランス開口20Bに対して有する向き及び形状は、その次に続くヘアエントランス開口20Cを予測できる関係にないように見える。代表的な構成において、非晶質状開口配列24は、ランダムな中心点間距離により特徴付けられ、この場合、開口の中心点間距離は、設計者により指定された値の範囲内でランダム又は少なくとも不均一な様相を示す。
【0019】
ここで、ヘアエントランス開口20の中心点は、あらゆる合理的な方法により定義してよい。また、所定のヘアエントランス開口20の範囲の内側又は外側のいずれに位置する点を含んでもよい。定義された中心点を特に選択するか否かは、奇妙な形状や複雑な形状(例えばアメーバ形状)、曲線形状(溝形や波形)、又はその他の単純性を欠いた幾何学的形状がヘアエントランス開口20に含まれるか否かによって決まると思われる。代表的な中心点の中には、幾何学的中心を利用して、集合体の中心、開口のほぼ中心又は開口のある程度大きな領域内のほぼ中心に位置する領域内の1点、あるいは集合体の主要又は重要な点(例えば開口形状の中心)を含めてよい。中心点はまた、核生成点の中心など、開口の生成に使用される点を含んでもよい。ヘアエントランス開口20の生成プロセスの一部としての核生成点の使用については、本明細書において後に詳しく説明する。ただし、所定の開口中心に最も近い別の開口中心が合理的な許容度及び解像度の範囲内でフォイル10の平面内における所定の角度位置に存在する可能性は、概ね半々である。
【0020】
1つの実施例として、図3は、ヘアエントランス開口20Dに最も近い開口中心が開口20Eであることを示している(それぞれの中心点を囲むループで示した部分を参照)。ヘアエントランス開口20Fに最も近い開口中心は開口20Gである(それぞれの中心点を囲むループで示した部分を参照)。同様に、ヘアエントランス開口20Hに最も近い開口中心は開口20Iである(それぞれの中心点を囲むループで示した部分を参照)。図に示すように、所定のヘアエントランス開口20から最も近い開口中心までの向きには、秩序やパターンが一切存在しないように見える。上述した3つの代表的なループは、これだけでは、図示された開口の配列が非晶質状であることを示すものではない。むしろ、開口の配列が非晶質状であるか否かを判別するための1つの代表的な方法を示している。本明細書で後に詳しく説明するように、非晶質状開口配列24の及ぶ範囲は、毛髪受け入れ部14の全体又は一部としてよい。
【0021】
ヘアエントランス開口20のサイズ、形状及び/又は向きの特徴は、少なくとも統計的に有意な程度までランダム化されてよい(例えば、拘束又はその他の予め定められた制限の有無など)。例えば、ヘアエントランス開口20のサイズの範囲は、大抵、シェービング装置1で剃ることが想定される毛髪のサイズの予想範囲によって決定される。ヘアエントランス開口20の形状及び/又は向きの特徴に課されるランダム性の程度もまた、非晶質状開口配列24が手動で生成されるのか、あるいはコンピュータにより非晶質状開口配列24が生成されるのかに応じて変化してよい。少なくとも統計的に有意な程度までランダム化されてよいヘアエントランス開口20のその他の特性には、ヘアエントランス開口20の辺の数、ヘアエントランス開口20の隣接し合う縁部間の実現可能な最小角度又は最大角度、及び考慮事項に影響するその他の形状を含む。
【0022】
場合によっては、フォイル10の毛髪受け入れ部14の全体にわたり繰返しのない単一の非晶質状開口配列24を定義することが、好ましくなかったり、あるいは実用性を欠くことが考えられる。また、フォイル10の毛髪受け入れ部14における別個の領域内では、それぞれ異なる拘束を適用して設計された非晶質状配列を使用することが望ましい場合も考えられる。図4を参照すると、フォイル10の毛髪受け入れ部14における一部の領域が部分図で示され、第1の非晶質状開口配列24Aと、これに隣接する第2の非晶質状開口配列24Bが示されている。ここで、第1及び第2の非晶質状開口配列24A、24Bは別々の拘束を用いて構成されており、その拘束は、少なくともそれに対応するヘアエントランス開口20のサイズの多様性に影響するものである。図4に示すように、第1の非晶質状開口配列24Aにおけるヘアエントランス開口20のサイズの多様性は、第2の非晶質状開口配列24Bにおけるヘアエントランス開口20のサイズの多様性よりも程度が大きい。
【0023】
一例として、フォイル10の毛髪受け入れ部14における概ね第1の領域(例えば中央部分)付近ではヘアエントランス開口20のランダム性の程度が大きく、フォイル10の毛髪受け入れ部14の第2の領域(例えば、末端部領域)付近では、ヘアエントランス開口20の例えばサイズなどの偏差が一般的に小さいことが好ましい場合がある。更に、フォイル10の毛髪受け入れ部14を概念的に線引きして複数の非晶質状配列領域とし、そのような領域の2つ又はそれ以上において(例えば、非晶質状開口配列24Aの反対側で非晶質状開口配列24Bを複製することにより)同一の非晶質状配列の複製といってよい程にすることが好ましい場合もある。更にまた、フォイル10を1以上必要とするシェービング装置では、別個の非晶質状特性又は拘束により定義されたヘアエントランス開口20を有するフォイル10を1以上備えることが好ましい場合がある。
【0024】
更に、フォイル10の毛髪受け入れ部14内に、非晶質状領域と非晶質状ではない模様付き領域の組み合わせを含むことが好ましい場合もある。そのような組み合わせは、製造プロセスの能力、又は本発明の特殊実施のニーズに応じて必要とされる場合がある。例えば、フォイル10の毛髪受け入れ部14の予め定められた領域において概ね整列されたヘアエントランス開口20のサイズ、間隔、又は、形状を、例えば定義された形状のパターンに制限ないし限定することが好ましい場合がある。なお、この定義された形状は、シェービング時に有用な特徴をもたらすために設けられると見出されている。また、非晶質状ではない開口パターンは、フォイル10に独特の印を設けるために使用してよい。加えて、非晶質状の領域は、1以上の非晶質状でない領域により完全に包囲又は制限されてもよい。図5を参照すると、非晶質状開口配列24は、代表的な円形開口繰返しパターン26を取り囲むものとして示されている。
【0025】
「ランダム」の語は、非晶質状開口配列24の1以上の機能特性を説明するために使用される場合、実際には真にランダムでも、擬似ランダムでも、外見上ランダムでもよい。例えば、数学的に生成(例えばコンピュータ生成)された乱数は、ヘアエントランス開口20を特徴付ける(これについては本明細書で後に詳しく説明する)パラメータの定義に使用してよい。ただし、ランダム機能を実現するアルゴリズムの複雑さは、生成された数が正確にどの程度ランダムであるのか、その程度に影響する。また、非晶質状開口配列24の適用又はデザインは手動で行ってもよい。そのように手動で施されたデザインは、予め定められた拘束全体にわたり非晶質状開口配列となることがあるが、そのデザインはまた、厳密な意味でランダムではなく、外見上ランダム又は擬似ランダムなパターンとなってよい。
【0026】
しかし、いずれの場合もヘアエントランス開口20は、集合体において、局所的又は全体的な透視図のいずれかに、(例えばフォイル10の毛髪受け入れ部14の非晶質状領域の全体にわたるひどく乱雑又はあいまいに定義された開口配列という意味において)少なくとも開口群のランダム性が見受けられるように配置される。例えば、非晶質状開口配列24には、所定のサイズ及び/又は形状のヘアエントランス開口20が1以上存在してよい。ただし、ヘアエントランス開口20のパターンは、対応する非晶質状開口配列24内で隣接し合うヘアエントランス開口20の適当なサイズの組み分けがその他の同様なヘアエントランス開口20の組み分けと同一になることがないように、不均一となっている。
【0027】
非晶質状開口配列24はまた、1以上の同形特性を示すように配置されてもよい。代表的な同形特性は、毛髪受け入れ部14の予め定義された領域と関連を持つフォイル面部材22の概ね均一な表面領域を維持するようにパターンフォーメーションを制御することを含む。例えば、対応する非晶質状開口配列24の部分集合内で所定の領域が統計的に有意な数のヘアエントランス開口20を包囲するように定義された場合、その所定領域内におけるフォイル面部材22の総フォイル領域は、フォイル10の毛髪受け入れ部14の別の場所に存在する同様に予め定義されたフォイル領域とほぼ同一となる。これに関し、同形特性は1つの寸法で定義されてもよい(例えば、フォイル10の毛髪受け入れ部14の幅方向、又は複数の方向)。
【0028】
一実施例として再び図2を参照すると、毛髪受け入れ部14の第1の部分28A内におけるフォイル面部材22の結合フォイル領域は、毛髪受け入れ部14の第2の部分28B内におけるフォイル面部材22の結合フォイル領域と大体類似している。表現方法はわずかに異なるが、第1の部分28Aの開口比率は、第2の部分28Bの開口比率と大体同じである。なお、開口比率は、所定部分内に含まれるヘアエントランス開口20の総領域がその所定部分の総領域に占める割合として定義される。そのような同形特性は有益な場合がある。例えば、毛髪受け入れ領域14の別個の領域において、シェービング動作の質に不利な影響を及ぼすほど不規則又は一貫性のないフォイル10のゆがみを防止する場合である。フォイル領域を制御する方法の実施例については、本明細書で詳しく説明する。
【0029】
その他の重要な同形特性には、ヘアエントランス開口20によりフォイル10から除去された総表面積、ヘアエントランス開口20の数、ヘアエントランス開口20の形状を定義する特殊な多角形状の配置などが含まれてもよい。
【0030】
拘束
用途によっては、フォイル10の毛髪受け入れ部14におけるヘアエントランス開口20を定義するパラメータ(サイズ、形状、向き、及び/又は隣接し合う開口の中心間の間隔など)を1以上拘束することが好ましい場合がある。なお、ヘアエントランス開口20は多角形状を成し、辺、角度、領域の数を始めとする開口パラメータは、予め定められた目的の範囲内でそれぞれ制御することができ、その場合でも、全体的なランダム特性は維持される。
【0031】
各ヘアエントランス開口20のサイズは、大抵何らかの合理的なサイズ範囲の制限を受ける。小さすぎて毛髪を捕捉できないヘアエントランス開口20は、シェービング用途には大抵好ましくない。同様に、所定のヘアエントランス開口20の最大サイズが大きすぎる場合は、皮膚が圧迫されてそのヘアエントランス開口20に入り込み、好ましくないシェービング結果を引き起こす。また、ヘアエントランス開口20の大量配置又はそのサイズを不適切に考慮することは、所定のシェービングフォイル10の特性に好ましくない影響を与える。例えば、小さいサイズのヘアエントランス開口20は、比較的長く固い毛髪を捕捉する上であまり有効ではない。
【0032】
隣接し合うヘアエントランス開口20間の対応するフォイル面部材22における実現可能な最小の幅Wは、フォイル基材の強度、剛性、可撓性といった実際的な考慮事項により、フォイル構造が危うくならないように制限される。つまり、フォイル10は、シェービング対象面に順応する可撓性を有する必要がある。ただし、フォイル10の毛髪受け入れ部14全体が不規則にゆがむと、シェービングの質に悪影響が及ぶ恐れがある。そのような不規則なゆがみに取り組むための1つの方法は、本明細書で詳しく説明しているように、フォイルの予め定められた領域内で、フォイル面部材22のほぼ一貫した領域を維持することである。
【0033】
ヘアエントランス開口20を定義する多角形の辺数を実現可能な有限数に制限することにより、隣接し合うヘアエントランス開口20間の連結関係の確立が容易となる。この点に関し、各多角形の辺数の実際的制限は様々に変化する可能性があり、非晶質状開口配列24の定義を手動で行うか、あるいはコンピュータ使用のプロセスで行うかによって変動してもよい。
【0034】
隣接し合うヘアエントランス開口20間の連結関係とは、一般に、第1のヘアエントランス開口20が第2のヘアエントランス開口20の直線辺縁部に(例えば、ほぼ並行にそろうように)対応する直線辺縁部を含む部分をいう。そのような配置により、例えばフォイル面部材22の幅Wを介して、隣接し合うヘアエントランス開口20間の間隔設定を均一にすることが可能となる。隣接し合うヘアエントランス開口20間の連結関係により、設計者は、フォイル10の毛髪受け入れ部14の予め定められた部分の範囲内で一般に固定されたフォイル面領域を維持し易くなる。
【0035】
同様に、隣接し合うヘアエントランス開口間の実現可能な最大間隔が大きすぎる場合は、例えばフォイル10に設けられたヘアエントランス開口20をシェービング対象面上で移動させるために操作者にかなり長い時間が必要とされることにより、シェービング装置の全体的な性能に影響が及ぶ恐れがある。この点に関し、非晶質状のヘアエントランス開口20のランダム特性は、予め定められた何らかの基準によって統計的に制御されてよい。本明細書で詳しく述べたように、開口の形状を(例えば、曲線形状とならないように)実際的な有限の辺数を持つ多角形に制限することにより、ヘアエントランス開口20の連結パターンを、少なくとも理論上は、隣接し合うヘアエントランス開口20間のフォイル領域がフォイル10の毛髪受け入れ部14の領域の0%〜100%となるように配置することができる。
【0036】
ヘアエントランス開口20を実際的な数に制限することにより、ヘアエントランス開口20のサイズ範囲及び隣接し合うヘアエントランス開口20間のフォイル面領域について、例えば特定のフォイル10のサイズ、フォイル基材の強度及び/又は可撓性、フォイル10の厚さなどに基づいて現実的な拘束が定まる。更に、現実的観点からは、隣接し合うヘアエントランス開口20間の間隔を制御する機能により、毛髪受け入れ部14内のフォイル領域を、特定の目的を持ったシェービング用途の必要に応じて適切に構築することが可能となる。
【0037】
方法
例えば、好ましい開口サイズ、形状、間隔、向きなどの観点からフォイル10の毛髪受け入れ部14を設計するには、手動による方法を含む、あらゆる適切な方法を利用してよい。ただし、従うべき拘束が多数ある場合や、その他の設計パラメータを厳密に保証する場合は、フォイル10の毛髪受け入れ部14の設計にコンピュータを使用することができる。
【0038】
非晶質状開口配列24を体系的に生成するための代表的な方法では、2空間の制約付きボロノイ分割を活用する。この方法は、フォイル10に関して、非晶質状開口配列24を体系的に生成するだけでなく、開口サイズ、形状、又は向き、及び間隔を好ましい状態に調整することも可能とする。図6を参照すると、方法30は、32において拘束付き非晶質状領域を定義している。そのような拘束付き非晶質状領域は、フォイル10の毛髪受け入れ部14のサイズを特徴付ける相対座標又はそれらの部分集合を用いて定義してよく、例えばこの場合、毛髪受け入れ部は更に、非晶質状ではないパターン又は異なる拘束が適用される非晶質状領域を1以上含む。本明細書で論ずる場合、座標は、(0、0)から(Xの最大値、Yの最大値)まで方形平面状に広がるデカルト座標形式で説明される。ただし、別の座標系を使用してもよい。
【0039】
34Aでは、核生成点Nの数が決定される。核生成点の数は、非晶質状領域において求められる多角形のヘアエントランス開口20の数と一致する。従って、核生成点Nの数は整数を含み、核生成点Nの数は、非晶質状領域で求められる多角形ヘアエントランス開口20の平均的なサイズ及び間隔との関係で選択されてよい。核生成点の概算数を決定するための代表的な方法の1つは、任意のサイズ及び形状(例えば、平均的サイズ及び平均的形状)の仮定的多角形を選択することと、非晶質状領域を満たす上で必要とされる仮定的多角形の均一なインスタンスの数を演算で求めることである。
【0040】
Nの値が大きいと多角形開口は比較的小さくなり、Nの値が小さいと、多角形開口は比較的大きくなる。34Bでは、核生成点Nの数ではなく、開口の好ましい平均的直径Dを選択する。34Aで核生成点Nの数を決定する選択を行った場合は、次に、36Aで平均的直径Dが算出される。同様に、34Bで開口の平均的直径Dを決定する選択を行った場合は、次に、36Bで核生成点Nの数が算出される。
【0041】
核生成点Nの数に基づき、ヘアエントランス開口で埋め尽くされるべき非晶質状領域に位置する一連の座標が38で生成される。例えば、2空間の制約付きボロノイ分割をコンピュータで実行する場合、乱数発生器を使用して、非晶質状領域内の座標を示す一連の乱数を生成することができる。デカルト座標へのマッピングに関する上述の実施例では、核生成点のそれぞれについて2つの乱数が生成され、1つの数はX座標に対応し、もう1つの数はY座標に対応する。乱数発生器は、正規化数又は、非晶質状領域の座標空間にマップする上で適切に調整する必要がある値域の数を生成してもよい。例えば、コンピュータで実行される多数の乱数発生器は、入力として乱数の種を受け取り、この種が乱数又は擬似乱数へと変換され、0及び1の値の間で正規化される。そのような値が供給される場合は、(0、0)〜(Xの最大値、Yの最大値)の範囲内で正規化乱数を適切に調整することができる。また、生成された(X、Y)座標のペアは、将来参照できるように記憶することが好ましい。
【0042】
核生成点座標の生成に関するランダム性の程度を全体的に制御するため、非晶質状領域の核生成点座標を定義する乱数の生成又は選択に拘束を課してもよい。本明細書においてβとして示される1つの代表的な拘束は、隣接し合う2つの核生成点間の最短距離を示す、排他距離Eを導入して、近隣にある核生成点の位置の近接性を制限する。排他距離Eは次のように計算される:
【数1】
【0043】
上記の方程式でλは点の密度(例えば、単位領域当たりの点の数)が定義され、βは0〜1の範囲の値で示される。β=0の場合、排他距離Eは0であり、核生成点座標は概ねランダム、あるいは少なくとも擬似ランダムとなる。β=1である場合には、排他距離Eは、密集六角形配列に対する最短隣接距離に等しい。このように、βを0〜1の間で選択することにより、これら2つの極値の間の「ランダム性の程度」について制御できる。β拘束の算出後は、乱数を使用して生成された各座標ペアと、それ以前に生成されたその他のすべての座標ペアとの比較が算出された排他距離に基づいて行われる。検討中の座標ペアが先に生成されたいずれかの座標ペアの排他距離内に属する場合、検討中の座標ペアは廃棄される。
【0044】
排他距離を導入して近隣にある核生成点の位置の近接性を拘束することにより、開口の中心点間距離の変動が制御され、この中心点間距離の変動は、結果として得られる多角形の辺数並びに多角形のサイズに、相当程度の変動となって現れる。拘束が少ない核生成点座標セットは、拘束の多い核生成点セットよりも多角形のサイズ及び形状の範囲が広くなる。
【0045】
特殊用途の指示に従い、追加の拘束を課してもよい。従って、38で生成された座標について、課された拘束がある場合には、40においてその拘束の確認が行われる。生成された座標が拘束の要求に適合しない場合は、38において新しい座標セットが生成される。座標が拘束の要求に適合する場合は、42において、核生成点それぞれの座標ペアに対応するN組の座標ペアが生成されているか否かが判断される。生成済みの座標ペアがN組より少ない場合は、プロセスの最初に戻り、38において新規の座標ペアが生成される。
【0046】
核生成点座標の算出後、44において、少なくとも概念的な観点から、核生成点のそれぞれについて円が成長する。各円は、対応する核生成点から外に向かって放射状に(例えば、同時に、同一の速度で)成長する。隣接し合う円の周が接すると、それらの円の成長は止まり、境界線が定義される。これらの境界線のそれぞれが多角形の縁部を形成し、頂点が境界線の交差により形成される。
【0047】
ドロネー三角形分割は、核生成点の周囲で円を概念的に成長させるための1つの代表的技法である。ドロネー三角形分割を使用すると、核生成点のそれぞれに識別用の一意の識別子が割り当てられる。また、3つの核生成点の組み合わせは、例えば組み合わせ及び対応する核生成点識別子を保存することにより、まとめられて追跡される。
【0048】
三角形に配置された3つの核生成点の各組を通過する円に対して、半径及び中心点の座標が計算される。残りの核生成点それぞれの座標位置、すなわち特定の三角形を画定するのに使用しない各核生成点の座標位置を、その円の座標(半径及び中心点)と比較して、他の核生成点のいずれかが、対象の3点の円内に入るかどうかを判断する。他の核生成点のいずれも円内に入らない場合は、3つの核生成点の識別子、それらのXY座標、円の半径、円の中心点のXY座標が記憶される。三角形の形成に使用しない核生成点が円内に入る場合は、結果が記憶されず、次の3点の組の計算に移行する。
【0049】
次に、核生成点それぞれに対応する多角形が46において決定される。例えば、ドロネー三角形分割の完了後に、2空間のボロノイ分割が実行されて多角形が生成される。ドロネー三角形の頂点として記憶された核生成点のそれぞれにより、多角形の中心点が定義される。各ドロネー三角形の外接円の中心点を順番に連結することにより、多角形の外形が生成されるが、これは先の頂点を時計回りの順番で含む。多角形の生成に際しては、領域の境界にある三角形頂点を計算から除外するように比較がなされる。これは、領域の境界にある三角形頂点はいずれも完全な多角形を画定しないからである。分割が完了すると、多角形開口の各頂点を座標としてデータファイルに保存することができる。
【0050】
非晶質状の開口配列が生成されると、48において、多角形間のフォイル面部材22の幅を追加できる。フォイル面部材22は、多角形開口の縁部を形成する境界線を太くすることで追加できる。例えば、多角形間のフォイル面部材22の幅を拡大する上で、コンピュータプログラム、ルーチン、あるいはアルゴリズムを記述することにより、隣接し合う多角形の各辺縁部に1以上の並行線を追加して、これに対応するフォイル面部材の幅である幅Wを拡大することができ、これに伴い、対応する多角形の領域は縮小する。
【0051】
ヘアエントランス開口20の境界線を太くすることにより表面部材22を定義する上記技法では、予め定められた特定の拘束がある場合には、その拘束を制御することができる。拘束としては、例えば、フォイル面部材22の最小幅Wの維持、又は非晶質状開口配列全体にわたる概ね安定したフォイル領域の維持(例えば、シェービング動作の質に悪影響を及ぼすような、毛髪受け入れ部14の別々の領域におけるフォイル10の不規則又は調和を欠いたゆがみの防止)などがある。更に、設計者は、個々のいかなる開口又は開口セットのサイズ、形状、向き、間隔などをもカスタマイズすることができる。非晶質状配列の生成を実施するその他の実施例は、米国特許第5,965,235号(マクガイア(McGuire )ら)に記載されている。
【0052】
生成された非晶質状配列、あるいは異なる非晶質状配列の組み合わせを元に、ネガを作成することができる。このネガは、フォイル10の製造時に、従来のエッチングプロセスのための入力として使用してよい。生成された非晶質状配列に基づいてフォイル10を製造する上で、上記以外の方法をいくつ使用してもよい。
【0053】
非晶質状配列を特定するための代表的方法
本明細書で詳しく説明したように、フォイル10の毛髪受け入れ部14は、少なくとも1つの非晶質状開口配列24を含んでよく、また、任意で、非晶質状ではない開口パターンを含む。この点に関し、非晶質状開口配列24は無秩序に見え、一方、非晶質状でないパターン(存在する場合)は、何らかの秩序を示す。
【0054】
非晶質状でないパターンの秩序は、別のさまざまな方法により特徴付けられてよい。例えば、秩序を持ったパターンを1以上の方向に繰返してもよい。更に、秩序を持ったパターンは周期的に繰返されるものでもよい(つまり、秩序を持ったパターンが、パターン全体を通して通常の方法で繰返される部分集合を含む)。
【0055】
また、秩序を持ったパターンは準周期的でもよい。秩序を持ったパターンの周辺で、そのパターンの部分集合のコピーをパターンの別の部分集合と整列するように動かせる場合、秩序を持ったパターンは準周期的である。秩序を持ったパターン全体の正確なコピーが元のパターン上に移動した場合は、さまざまな部分集合を局所的に合致させることができるが、元のパターンとコピーパターンとは、全体としては、合致しない。準周期的パターンの有名な実施例は、ペンローズタイルを用いたパターンを含む。
【0056】
更に、秩序を持ったパターンは対称的であってもよい。秩序を持ったパターンの部分集合のコピーを、そのパターンと正確に合致するようにそのパターン内の別の位置に動かせる場合、秩序を持ったパターンは対称的である。ここで、パターンに関する部分集合のコピーの回転、パターンに関する部分集合のコピーの平行移動又は移動、パターンに関する部分集合のコピーの反射(例えば、部分集合の鏡像)、あるいはこれらの組み合わせを利用して対称を実現してもよい。
【0057】
少なくとも2つの代表的機能を分析することで、フォイル10の毛髪受け入れ部14内におけるヘアエントランス開口20の配列が非晶質状か否かを判断できる。配列内のヘアエントランス開口20の領域の分布を分析してもよい。また、ヘアエントランス開口20の2点間距離(例えば、第1の開口中心から第2の開口中心まで)を分析してもよい。
【0058】
領域分布
図7には、代表的な領域分布プロットが示されている。非晶質状配列は、一般に、フォイル10の毛髪受け入れ部14の合理的なサンプル領域内で、領域の連続的な分布を示す。合理的サンプル領域のサイズは、ヘアエントランス開口20のサイズもしくはサイズ範囲によって変動する。図8は、図7のグラフと類似する比較を表すグラフを示している。ただし、図8のグラフでは、代表的なサンプル領域に占める多角形領域の上限と下限が(パーセンテージで)設けられている。
【0059】
周期的パターン(例えば、一定の方法で繰返すパターン)及び非周期的パターン(例えば、ペンローズタイリング)の場合、領域分布プロットはほんのわずかの別個領域で構成されるため、領域分布プロットは図9に示されるような連続的な分布を示さない。例えば、ペンローズタイリングの開口は、すべて固定された有限数の幾何学的形状(例えば、2〜4形状)を持つ。従って、図9の分布には、それに対応する図7の概ね連続した配列と比較してはっきりと異なる不連続性が示されている。よって、図7のグラフに示された代表的な開口配列は、非晶質状開口配列であると考えられる。また、図9のグラフに示された代表的な開口配列は、非晶質状でない開口パターンと考えられる。
【0060】
距離分布
各ヘアエントランス開口20に中心点(例えば、ヘアエントランス開口20の集合体の中心)が割り当てられる場合は、分析により、そのような中心点が概ねランダムに分布しているか否かを判断することができる。完全なランダム性のベンチマークは、ポアソン過程である。ポアソン過程では、中心点はランダムに配置され、いずれかの中心点から他のいずれかの中心点までの距離を次のRipleyのK関数で表すことができる。
【数2】
【0061】
RipleyのK関数は、問題の点から距離(t)の範囲内に存在する点の数(K)が距離の二乗に比例することを示している。つまり、ある領域内の点の密度が判明している場合(本発明の場合は判明している)、半径tかつ領域πt2の円にはK個の点が含まれる。別の関数L(t)は、次のように定義することができる。
【数3】
【0062】
ここでλは、上で定義するように、単位領域当たりの点の数である。
【数4】
【0063】
ポアソン(ランダム)過程の場合、K(t)∝t2なので、tに対するLのプロットは傾き1の直線となる。
【0064】
図10を参照すると、ヘアエントランス開口20の中心点が予め定められた対称サンプル領域内にランダムに配置されるか否かを判断するために、tに対するLのプロットの生成が方法50に含まれている。プロットを作成するため、52において1つの点が参照点として選択される。参照点から距離tの範囲内に存在する点の数は、54において決定される。上記のプロセスは、(他のすべての点を網羅する)tのすべての値について繰返されてもよい。K関数の計算は56で行われる。この計算結果に基づき、58において(例えば、プロットの生成により)傾きが算出され、60でランダム性が決定される。
【0065】
合理的な許容範囲内にある概して連続した直線のプロットは、対応するヘアエントランス開口20の中心がランダムに配置され、開口の配列が図11のプロットに示すように非晶質状となっていることを示す。つまり、プロット上のX方向の値を任意でわずかに変更すると、(例えば、予め定められた信頼区間内で)プロット上のY方向の値が任意でわずかに変更される。
【0066】
更に、曲線を当てはめられたプロットは、不連続性や脈絡のない未定義の値を含む線を有し、ヘアエントランス開口20の中心の配置がランダムではなく、開口が非晶質状でないパターンと考えられることを示す(図12のプロット参照)。例えば、ペンローズタイルを用いた開口パターンや、周期的な開口パターンでは、プロット上のX方向が任意でわずかに変化するとプロット上のY方向の値が比較的大きくなったり急に跳ね上がったりする部分、あるいは、プロットに沿った点のY方向の値が未定義でもよい部分がプロットに存在し、従って、そのような開口パターンは非晶質状ではない。
【0067】
例として、非晶質状配列全体に関して選択されたヘアエントランス開口20の統計的に有意な部分集合は、開口の数、開口の平均的領域、開口の平均的サイズ、開口間の平均的間隔などの特性について、統計的にほぼ同等の値をもたらす。そのような相関関係は、フォイルの物理特性に関して好ましい場合があり、それは、均一な統計的特性は、フォイル10全体の均一な特性を示唆することにもなるからである。例えば、開口は、測定単位が少なくとも統計的に有意な開口数を得られる程度の大きさとなるように選択される限り、所定の点から発せられる射線として所定の方向に外に向けて描かれる線により測定単位当たりに統計的に同等な数の開口が形成されるように設けられてもよい。
【0068】
本発明のシェービングフォイルは、多種多様なシェービング目的に使用することができる。そのような目的としては、男性及び女性のシェービング(例えば、顔、頬、腋窩の他、腕、足、頭、うなじ、ビキニなどを含むその他の体毛のシェービングなど)、ペットや動物のシェービング、ほつれた糸の除去、布地のピリング、現在又は将来において周知あるいは明白となる可能性があるその他の目的が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
本発明の「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0070】
本発明の特定の実施形態を説明し記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変形及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0071】
以下に説明する本発明の好ましい実施形態は、以下の図面と併せて読むことにより、最もよく理解でき、類似の構成は参照番号と共に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】代表的なシェービング装置を示す図。
【図2】本発明の実施形態による代表的なフォイルを示す図。
【図3】本発明の実施形態によるフォイルの代表的な毛髪受け入れ部を示す部分図。
【図4】隣接し合う2つの非晶質状配列を示す代表的なフォイルの部分図。
【図5】非晶質状開口配列と非晶質状でない開口パターンの組み合わせを示す代表的なフォイルの部分図。
【図6】非晶質状開口配列の製造方法を示すフローチャート。
【図7】ヘアエントランス開口領域の概ね連続した分布を示す代表的な領域分布プロット。
【図8】サンプル領域に含まれる多角形領域の上限及び下限を示す代表的なグラフ。
【図9】ヘアエントランス開口領域の不連続な分布を示す代表的な領域分布プロット。
【図10】ヘアエントランス開口の配列が概ね非晶質状であるか否かを判断するための1つの代表的方法を示すフローチャート。
【図11】開口中心間隔のランダムな分布を示す代表的なプロット。
【図12】開口中心間隔のランダムではない分布を示す代表的なプロット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェービング装置用のシェービングフォイルにおいて、
(a)前記シェービング装置のカッティング部材上に前記フォイルを支持するフォイル支持部と、
(b)
(i)少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口と、
(ii)前記複数個のヘアエントランス開口に隣接する網状の表面領域を形成する複数個のフォイル面部材と、
を有する毛髪受け入れ部と、
を備える、シェービング装置用のシェービングフォイル。
【請求項2】
(a)前記ヘアエントランス開口はそれぞれ多角形状の開口を含み、
(b)前記フォイル面部材は、第1のヘアエントランス開口の第1の縁部上の点と、前記第1のヘアエントランス開口に隣接する第2のヘアエントランス開口の対応する縁部上にある近位の点との間の距離として定義される幅を有し、
前記フォイル面部材が、前記第1のヘアエントランス開口の前記第1の縁部と前記第2のヘアエントランス開口の前記対応する縁部とがほぼ並行に保たれる距離の全体にわたりほぼ均一に維持される長さを更に有する、請求項1に記載のシェービングフォイル。
【請求項3】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、少なくとも1つの予め定められた拘束の範囲内で、前記成形開口の向き、サイズ、形状に容易に識別又は認知可能なパターンが存在しないように構成された複数個の成形開口を含む、請求項1又は2に記載のシェービングフォイル。
【請求項4】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、複数個の成形開口を含み、該成形開口の最初の1つの向きは、隣接する別の前記成形開口との関係で、その次の成形開口との予想可能な関係を生じさせない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項5】
少なくとも1つの前記非晶質状開口配列が、前記フォイルの前記毛髪受け入れ部の第1の部分内にある第1の非晶質状開口配列と、前記フォイルの前記毛髪受け入れ部の第2の部分内にある第2の非晶質状開口配列を含み、
前記第2の非晶質状開口配列が、非晶質状ではない開口配列、又は、前記第1の非晶質状開口配列とは異なる拘束を少なくとも1つ有する第2の非晶質状開口配列のいずれかを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項6】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、ヘアエントランスのサイズ、形状、隣接し合うヘアエントランス開口間の中心間の間隔のうち少なくとも1つの分布が前記少なくとも1つの非晶質状開口配列内でほぼ連続的となるように、配置される形状を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項7】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、前記非晶質状開口配列内の各ヘアエントランス開口の領域と、前記非晶質状開口配列内の各ヘアエントランス開口の中心間の間隔のうち、少なくとも1つが概ねランダムに分布するように、配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項8】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、前記非晶質状開口配列内の各ヘアエントランス開口の中心間の間隔が概ねランダムに分布するように配置され、
L対tのプロットが、ほぼ1の傾きのほぼ直線を有する線となり、
(a)各ヘアエントランス開口には中心点が割り当てられ、
(b)第1の中心点は参照点に指定され、
(c)tは現在の中心点から前記参照中心点までの距離を定義し、
(d)Kは距離t内の点の数として定義し、
(e)λは単位領域当たりの点の数として定義し、
(f)K(t)=λπt2、及び
(g)L(t)=√K(t)/λπ
である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項9】
(a)ハウジングと、
(b)
(i)前記ハウジングから突出するカッティング部材と、
(ii)前記ハウジングと接続されるフォイルフレームと、
(iii)概ね前記カッティング部材の上に向くように前記フォイルフレームにより支持される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシェービングフォイルと、
を有する、前記ハウジングの第1の末端部に位置するカッティングヘッドと、を備え、
各ヘアエントランス開口が、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる、シェービング装置。
【請求項10】
(a)フォイルを提供することと、
(b)前記フォイルの毛髪受け入れ部を定義付けることと、
(c)前記フォイルの前記毛髪受け入れ部内に、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義するための複数個の開口を形成することと、を備え、
各ヘアエントランス開口が、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる、シェービング装置用フォイルの製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非晶質状開口配列が、
(a)前記フォイルの前記毛髪受け入れ部における所期の非晶質状領域のサイズを特徴付ける相対座標を定義することと、
(b)前記非晶質状領域において求められる開口数に対応する前記座標内での複数個のランダムな位置を生成することと、
(c)ランダムな位置のそれぞれから近隣の外辺部同士が接して境界線が定義されるまで概念的に成長することと、
(d)前記境界線に基づいて、ランダムな位置のそれぞれについて多角形を定義することと、
(e)前記境界線を太くすることによってフォイル面部材を定義付けることと、
(f)前記多角形に対応する前記フォイル内に開口を形成することと、
により形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項1】
シェービング装置用のシェービングフォイルにおいて、
(a)前記シェービング装置のカッティング部材上に前記フォイルを支持するフォイル支持部と、
(b)
(i)少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義する複数個のヘアエントランス開口と、
(ii)前記複数個のヘアエントランス開口に隣接する網状の表面領域を形成する複数個のフォイル面部材と、
を有する毛髪受け入れ部と、
を備える、シェービング装置用のシェービングフォイル。
【請求項2】
(a)前記ヘアエントランス開口はそれぞれ多角形状の開口を含み、
(b)前記フォイル面部材は、第1のヘアエントランス開口の第1の縁部上の点と、前記第1のヘアエントランス開口に隣接する第2のヘアエントランス開口の対応する縁部上にある近位の点との間の距離として定義される幅を有し、
前記フォイル面部材が、前記第1のヘアエントランス開口の前記第1の縁部と前記第2のヘアエントランス開口の前記対応する縁部とがほぼ並行に保たれる距離の全体にわたりほぼ均一に維持される長さを更に有する、請求項1に記載のシェービングフォイル。
【請求項3】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、少なくとも1つの予め定められた拘束の範囲内で、前記成形開口の向き、サイズ、形状に容易に識別又は認知可能なパターンが存在しないように構成された複数個の成形開口を含む、請求項1又は2に記載のシェービングフォイル。
【請求項4】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、複数個の成形開口を含み、該成形開口の最初の1つの向きは、隣接する別の前記成形開口との関係で、その次の成形開口との予想可能な関係を生じさせない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項5】
少なくとも1つの前記非晶質状開口配列が、前記フォイルの前記毛髪受け入れ部の第1の部分内にある第1の非晶質状開口配列と、前記フォイルの前記毛髪受け入れ部の第2の部分内にある第2の非晶質状開口配列を含み、
前記第2の非晶質状開口配列が、非晶質状ではない開口配列、又は、前記第1の非晶質状開口配列とは異なる拘束を少なくとも1つ有する第2の非晶質状開口配列のいずれかを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項6】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、ヘアエントランスのサイズ、形状、隣接し合うヘアエントランス開口間の中心間の間隔のうち少なくとも1つの分布が前記少なくとも1つの非晶質状開口配列内でほぼ連続的となるように、配置される形状を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項7】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、前記非晶質状開口配列内の各ヘアエントランス開口の領域と、前記非晶質状開口配列内の各ヘアエントランス開口の中心間の間隔のうち、少なくとも1つが概ねランダムに分布するように、配置される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項8】
前記非晶質状開口配列内の前記ヘアエントランス開口が、前記非晶質状開口配列内の各ヘアエントランス開口の中心間の間隔が概ねランダムに分布するように配置され、
L対tのプロットが、ほぼ1の傾きのほぼ直線を有する線となり、
(a)各ヘアエントランス開口には中心点が割り当てられ、
(b)第1の中心点は参照点に指定され、
(c)tは現在の中心点から前記参照中心点までの距離を定義し、
(d)Kは距離t内の点の数として定義し、
(e)λは単位領域当たりの点の数として定義し、
(f)K(t)=λπt2、及び
(g)L(t)=√K(t)/λπ
である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシェービングフォイル。
【請求項9】
(a)ハウジングと、
(b)
(i)前記ハウジングから突出するカッティング部材と、
(ii)前記ハウジングと接続されるフォイルフレームと、
(iii)概ね前記カッティング部材の上に向くように前記フォイルフレームにより支持される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシェービングフォイルと、
を有する、前記ハウジングの第1の末端部に位置するカッティングヘッドと、を備え、
各ヘアエントランス開口が、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる、シェービング装置。
【請求項10】
(a)フォイルを提供することと、
(b)前記フォイルの毛髪受け入れ部を定義付けることと、
(c)前記フォイルの前記毛髪受け入れ部内に、少なくとも1つの非晶質状開口配列を定義するための複数個の開口を形成することと、を備え、
各ヘアエントランス開口が、網状の表面領域で結合されるフォイル面部材により少なくとも部分的に囲まれる、シェービング装置用フォイルの製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの非晶質状開口配列が、
(a)前記フォイルの前記毛髪受け入れ部における所期の非晶質状領域のサイズを特徴付ける相対座標を定義することと、
(b)前記非晶質状領域において求められる開口数に対応する前記座標内での複数個のランダムな位置を生成することと、
(c)ランダムな位置のそれぞれから近隣の外辺部同士が接して境界線が定義されるまで概念的に成長することと、
(d)前記境界線に基づいて、ランダムな位置のそれぞれについて多角形を定義することと、
(e)前記境界線を太くすることによってフォイル面部材を定義付けることと、
(f)前記多角形に対応する前記フォイル内に開口を形成することと、
により形成される、請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−501617(P2009−501617A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523050(P2008−523050)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029156
【国際公開番号】WO2007/016227
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029156
【国際公開番号】WO2007/016227
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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