説明

シフトレジスタ回路、基本回路および表示装置

【課題】各転送段での転送動作ごとに回路に貫通電流が流れるため、シフトレジスタ回路全体の消費電力が大きくなる。
【解決手段】前段、後段のレジスタ(転送段)の各出力を入力IN1,IN2とすることによって転送動作を行うシフトレジスタ回路において、入力IN1として前段(n−1)の出力OUT(n−1)が与えられたとき、ブートストラップ状態確定回路22の作用により、MOSトランジスタQp15のゲート電位をVDD電位に設定し、MOSトランジスタQp16のゲート電位をVSSの電位に設定する。また、ブートストラップ状態以外では、入力IN2として後段(n+1)の出力OUT(n+1)が与えられることで、初期状態確定回路21の作用により、MOSトランジスタQp15のゲート電位をVSS電位に設定し、MOSトランジスタQp16のゲート電位をVDD電位に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレジスタ回路、基本回路および表示装置に関し、特に絶縁性基板上に単一チャネル(同じ導電型)のトランジスタによって構成されてなるシフトレジスタ回路、当該シフトレジスタ回路の基本回路および当該シフトレジスタ回路を駆動回路の一部に用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単一チャネルのMOSトランジスタ、例えばNチャネルのMOSトランジスタのみを用いて構成されてなるシフトレジスタ回路の従来例を図24に示す。同図から明らかなように、従来例に係るシフトレジスタ回路は、NチャネルのMOSトランジスタQn101,Qn102からなるインバータ201、MOSトランジスタQn103,Qn104からなるインバータ202、MOSトランジスタQn105,Qn106からなるインバータ203、・を、NチャネルのMOSトランジスタQn111からなるトランスファーゲート211、MOSトランジスタQn112からなるトランスファーゲート212、MOSトランジスタQn113からなるトランスファーゲート213、・・・・・で接続した構成となっている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図25は、従来例に係るシフトレジスタ回路の動作説明に供するタイミングチャートである。図25において、φ1,φ2は2相のクロックパルス、Vinは入力パルスをそれぞれ示している。また、Aはインバータ201の出力パルス、Bは1段目の転送段から出力されるシフトパルス(2段目の入力パルス)、Cはインバータ202の出力パルス、Dは2段目の転送段から出力されるシフトパルス(3段目の入力パルス)、Eはインバータ203の出力パルス、Fは3段目の転送段から出力されるシフトパルス(4段目の入力パルス)をそれぞれ示している。
【0004】
1相目のクロックパルスφ1は奇数段の転送段に、2相目のクロックパルスφ2は偶数段の転送段にそれぞれ与えられる。この2相のクロックパルスφ1,φ2を、入力パルスVinの1/2周期ごとに交互に高レベル(以下、"H"レベルと記す)にすることにより、各転送段がチェーン状に接続されてなる回路チェーンの中を入力パルスVinが順に伝搬していく。そして、各転送段からシフトパルスB,D,F,・としてそれぞれ出力される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】原央著、「MOS集積回路の基礎」、近代科学社、p.82−p.88
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の従来例に係るシフトレジスタ回路において、1段目の転送段では、入力パルスVinが"H"レベルでかつクロックパルスφ1が"H"レベルのときに、MOSトランジスタQn101とMOSトランジスタQn102が共にオン状態になり、この期間で貫通電流が流れる。2段目の転送段では、1段目の転送段から出力されるシフトパルスB"H"レベルでかつクロックパルスφ2が"H"レベルのときに、MOSトランジスタQn103とMOSトランジスタQn104が共にオン状態になり、この期間で貫通電流が流れる。以降、同様の動作が繰り返される。
【0007】
上述したように、上記従来例に係るシフトレジスタ回路では、各転送段での転送動作ごとに、各転送段の入力パルスとクロックパルスφ1/φ2とが共に"H"レベルになる期間で貫通電流が流れるため、シフトレジスタ回路全体の消費電力が大きくなるという課題があった。特に、絶縁性基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)のポリシリコンプロセスまたはアモルファスシリコンプロセスでは、閾値電圧Vthや移動度μ等のトランジスタ特性のバラツキが単結晶プロセスに比べて大きく、加えてMOSトランジスタのオフ電流Ioffも無視できないため、回路設計時にこれらを考慮する必要がある。
【0008】
因みに、ポリシリコンプロセスまたはアモルファスシリコンプロセスによって作成されたPチャネルTFTでは、閾値電圧Vthが−1[V]〜−3[V]程度、移動度μが10〜100[cm2 /V・sec]程度、またオフ電流Ioffが1[pA]〜100[nA]程度ばらつく。したがって、回路設計時には、これらトランジスタ特性のバラツキを考慮する必要がある。
【0009】
図26は、低温ポリシリコンプロセスによって作成されたPチャネルMOS型TFTのゲート電圧Vgsに対するソース・ドレイン間電流Idsの関係(測定結果)を示す特性図である。ゲート電圧Vgsが負で大きい場合はTFTのソース・ドレイン間は導通(オン)状態になり、ゲート電圧Vgsが正の場合はTFTのソース・ドレイン間は遮断(オフ)状態になる。しかし、図26から明らかなように、TFTがオフ後、リーク電流が10-11 〜10-9[A]と大きいため、特に低温ポリシリコンプロセスによって作成されるPチャネルMOS型TFTを用いてシフトレジスタ回路を構成する場合には、リーク電流に強い回路構成が必要になる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、閾値電圧Vthや移動度μ等のトランジスタ特性のバラツキの影響を受けにくく、かつ貫通電流を抑えて低消費電力化を可能にしたシフトレジスタ回路、基本回路および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による単位回路は、
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタとを有し、当該第2のトランジスタがブートストラップ動作を行う出力手段と、
第1の入力信号が与えられたときに、前記第1のトランジスタのゲート電位を前記第1電源の電位に設定するとともに、前記第2のトランジスタのゲート電位を第2電源の電位に設定するブートストラップ状態確定手段と、
第2の入力信号が与えられたときに、前記第1のトランジスタのゲート電位を前記第2電源の電位に設定するとともに、前記第2のトランジスタのゲート電位を前記第1電源の電位に設定する初期状態確定手段と、
前記出力手段のブートストラップ動作時に、前記第2のトランジスタのゲート側を前記ブートストラップ状態確定手段側から切り離す第1のスイッチ手段と、
前記第2のトランジスタのゲート電位が前記第2電源の電位のときに、前記ブートストラップ状態確定手段側の電位を前記第2電源の電位にする第2のスイッチ手段と
を備え、単一チャネルのトランジスタによって構成される。
この単位回路は複数段縦続接続されることによってシフトレジスタ回路を構成する。単位回路が複数段縦続接続されてなるシフトレジスタ回路において、基本回路の各々は、前段の基本回路の出力信号を前記第1の入力信号とし、後段の基本回路の出力信号を前記第2の入力信号とする。このシフトレジスタ回路は、画素アレイ部と共に集積されて当該画素アレイ部を駆動する駆動回路を具備する表示装置において、当該駆動回路のシフトレジスタ回路として用いられる。
【0012】
上記構成の単位回路、シフトレジスタ回路または当該シフトレジスタ回路を駆動回路のシフトレジスタ回路として用いた表示装置において、ある段の基本回路に第1の入力信号として前段の基本回路の出力信号が与えられると、ブートストラップ状態確定手段は、第1のトランジスタのゲート電位を第1電源の電位にし、第2のトランジスタのゲート電位を第2の電源の電位にする。これにより、ブートストラップ動作を行うための電位の状態が確定し、ブートストラップ動作が行われる。ブートストラップ状態以外では、第2の入力信号として後段の基本回路の出力が与えられることで、初期状態確定手段は、第1のトランジスタのゲート電位を第2電源の電位にし、第2のトランジスタのゲート電位を第1の電源の電位にする。これにより、第2のトランジスタが完全にオフ状態になるため、当該第2のトランジスタに貫通電流が流れない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、初期状態では第2のトランジスタが完全にオフ状態になり、当該第2のトランジスタには貫通電流が流れないため、また、初期状態以外では第1のトランジスタが完全にオフ状態になり、当該第1のトランジスタには貫通電流が流れないため、閾値電圧Vthや移動度μ等のトランジスタ特性のバラツキの影響を受けることなく、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るシフトレジスタ回路の構成例を示すブロック図である。
【図2】入力パルスST、クロックパルスCK1,CK2およびN段のレジスタの各入出力IN1(1),IN2(N),OUT(1)〜OUT(N)のタイミング関係を示すタイミングチャートである。
【図3】第1実施形態の実施例1に係るシフトレジスタ回路の基本回路の構成を示す回路図である。
【図4】ボトムゲート型PチャネルTFTの構造の一例を示す断面図である。
【図5】トップゲート型PチャネルTFTの構造の一例を示す断面図である。
【図6】第1実施形態の実施例1に係るシフトレジスタ回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図7】入力パルスSTのクロックパルスCK1/CK2に対するタイミング関係を示すタイミングチャートである。
【図8】第1実施形態の実施例2に係るシフトレジスタ回路の基本回路の構成を示す回路図である。
【図9】第1実施形態の実施例2に係るシフトレジスタ回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態の実施例1に係るシフトレジスタ回路の基本回路の構成を示す回路図である。
【図11】第2実施形態の実施例1に係るシフトレジスタ回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図12】第2実施形態の実施例2に係るシフトレジスタ回路の基本回路の構成を示す回路図である。
【図13】第2実施形態の実施例2に係るシフトレジスタ回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図14】実施例1に係る初段用のトランスファーゲート回路の構成を示す回路図である。
【図15】実施例1に係る初段用のトランスファーゲート回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図16】実施例2に係る初段用のトランスファーゲート回路の構成を示す回路図である。
【図17】実施例2に係る初段用のトランスファーゲート回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図18】実施例1に係る最終段用のトランスファーゲート回路の構成を示す回路図である。
【図19】実施例1に係る最終段用のトランスファーゲート回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図20】実施例2に係る最終段用のトランスファーゲート回路の構成を示す回路図である。
【図21】実施例2に係る最終段用のトランスファーゲート回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図22】本発明の適用例に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図23】垂直駆動回路の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図24】MOSトランジスタのみを用いて構成された従来例に係るシフトレジスタ回路の構成を示す回路図である。
【図25】従来例に係るシフトレジスタ回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【図26】低温ポリシリコンプロセスによって作成されたPチャネルMOS型TFTのゲート電圧Vgsに対するソース・ドレイン間電流Idsの関係(測定結果)を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係るシフトレジスタ回路の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係るシフトレジスタ回路は、ポリシリコンプロセスまたはアモルファスシリコンプロセスにより、絶縁性基板(図示せず)上に単一チャネル(同じ導電型)のトランジスタによって構成されてなるシフトレジスタ回路であって、N段のレジスタ(S/R)11−1〜11−Nと、2つのトランスファーゲート回路12,13とを有し、いくつかのデータを並列に記憶しておき、定められた順番で直列に出力し、レジスタ11−1〜11−Nの各々に格納されたデータを最下位桁から1ビットずつ加算処理する機能を持っている。
【0017】
本シフトレジスタ回路には、入力パルスSTと2相のクロックパルスCK1,CK2が入力される。図2に、入力パルスST、クロックパルスCK1,CK2およびレジスタ11−1〜11−Nの各入出力IN1(1),IN2(N),OUT(1)〜OUT(N)のタイミング関係を示す。図2から明らかなように、入力パルスSTは1フィールド期間に2回、具体的には1フィールド期間の開始部分と終了部分でアクティブな状態となる。ここでは便宜上、1フィールド期間の開始部分でアクティブとなる入力パルスSTをST1、1フィールド期間の終了部分でアクティブとなる入力パルスSTをST2とする。
【0018】
N段のレジスタ11−1〜11−Nにおいて、あるn段目のレジスタ11−nを基準にして説明すると、レジスタ11−nは前段のレジスタ11−n-1の出力OUT(n−1)を第1の入力IN1とするとともに、後段のレジスタ11−n+1の出力OUT(n+1)を第2の入力IN2とする。そして、前段の出力OUT(n−1)の入力によって2相のクロックパルスCK1,CK2に同期して転送(シフト)動作を行い、後段の出力OUT(n+1)の入力によって初期化を行う。
【0019】
正側の電源電圧をVDD、負側の電源電圧をVSSとすると、入力パルスSTおよびクロックパルスCK1,CK2のパルス振幅はVDD〜VSSであり、トランスファーゲート回路12は、入力パルスSTとクロックパルスCK1の立ち下がりでアクティブになることによって1つ目の入力パルスST1を選択し、当該パルスST1を初段のレジスタ11−1に第1の入力IN1として与える。トランスファーゲート回路13は、入力パルスSTとクロックパルスCK2の立ち下がりでアクティブになることによって2つ目の入力パルスST2を選択し、当該パルスST2を最終段のレジスタ11−Nに第2の入力IN2として与える。この入出力関係を実現するためには、本シフトレジスタ回路の総段数Nは偶数である必要がある。
【0020】
なお、ここでは、トランスファーゲート回路12で生成したパルスST1を初段のレジスタ11−1に第1の入力IN1として与え、トランスファーゲート回路13で生成したパルスST2を最終段のレジスタ11−Nに第2の入力IN2として与える構成を採っているが、これらパルスST1,ST2を外部から与える構成を採る場合には、トランスファーゲート回路12,13を設ける必要がない。また、シフトレジスタの総段数Nも偶数である必要がなくなる。
【0021】
このように、本発明に係るシフトレジスタ回路は、前段、後段のレジスタ(転送段)の各出力を第1,第2の入力IN1,IN2とすることによって転送動作を行うことを特徴とするとともに、レジスタ11−1〜11−Nとしてブートストラップ型レジスタを、トランスファーゲート回路12,13としてブートストラップ型トランスファーゲートをそれぞれ用いていることを特徴としている。以下に、ブートストラップ型レジスタおよびブートストラップ型トランスファーゲートの構成および動作について具体的に説明する。
【0022】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るシフトレジスタ回路の基本回路(1つのレジスタ)は、ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、ソースが第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタとを有し、当該第2のトランジスタがブートストラップ動作を行う出力手段と、第1の入力信号が与えられたときに、第1のトランジスタのゲート電位を第1電源の電位に設定するとともに、第2のトランジスタのゲート電位を第2の電源の電位に設定して出力手段のブートストラップ状態を確定するブートストラップ状態確定手段と、第2の入力信号が与えられたときに、第1のトランジスタのゲート電位を第2電源の電位に設定するとともに、第2のトランジスタのゲート電位を第1の電源の電位に設定して出力手段の初期状態を確定する初期状態確定手段とを備えた構成となっており、図1のレジスタ11−1〜11−Nの各々として用いられる。
【0023】
(実施例1)
図3は、第1実施形態の実施例1に係るシフトレジスタ回路の基本回路(レジスタ)の構成を示す回路図である。本実施例に係るシフトレジスタ回路は、ガラス基板等の絶縁性基板上にPチャネルのMOSトランジスタのみによって構成されたブートストラップ型レジスタ回路であり、正側電源VDD(以下、VDD電源と記す)を第1電源とし、負側電源VSS(以下、VSS電源と記す)を第2電源としている。
【0024】
図3に示すように、本実施例に係るシフトレジスタ回路の基本回路20は、初期状態確定回路21、ブートストラップ状態確定回路22、出力回路23、ブートストラップ回路24およびリセット回路25を備えるとともに、2つの回路入力端子26,27、クロック端子28、リセット端子29および回路出力端子30を有する構成となっている。
【0025】
初期状態確定回路21は、ゲートおよびドレインが回路入力端子26に共通に接続されたダイオード接続構成のPチャネルMOSトランジスタQp11と、ゲートがMOSトランジスタQp11のソースに接続され、ソースがVDD電源に接続されたPチャネルMOSトランジスタQp12とから構成されている。ブートストラップ状態確定回路22は、ソースがVDD電源に接続され、ドレインがMOSトランジスタQp11のソースに接続されたPチャネルMOSトランジスタQp13と、ゲートおよびドレインがMOSトランジスタQp13のゲートと共に、回路入力端子26に共通に接続され、ソースがMOSトランジスタQp12のドレインと共通に接続されたPチャネルMOSトランジスタQp14とから構成されている。
【0026】
出力回路23は、ソースがVDD電源に、ゲートがMOSトランジスタQp11のソース、MOSトランジスタQp12のゲートおよびMOSトランジスタQp13のドレインの共通接続ノード(以下、ノードN11と記す)に、ドレインが回路出力端子30にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp15と、ソースが回路出力端子30に、ゲートがMOSトランジスタQp12のドレインおよびMOSトランジスタQp14のソースの共通接続ノード(以下、ノードN12と記す)に、ドレインがクロック端子28にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp16とから構成されている。クロック端子28には、クロックパルスCK1またはCK2が与えられる。
【0027】
ブートストラップ回路24は、出力回路23の一部を構成するMOSトランジスタQp16と、このMOSトランジスタQp16のゲートとドレインとの間に接続されたキャパシタCapとから構成されている。リセット回路25は、ソースがノードN11に、ドレインがVSS電源に、ゲートがリセット端子29に接続されたPチャネルMOSトランジスタQp17によって構成されている。
【0028】
上記構成の実施例1に係るシフトレジスタ回路の基本回路20において、PチャネルMOSトランジスタQp11〜Qp17は、ポリシリコンプロセスまたはアモルファスシリコンプロセスで形成されたTFT(薄膜トランジスタ)である。PチャネルTFTには、ゲート電極がゲート絶縁膜(酸化膜)の下に配置されるボトムゲート構造のものと、ゲート電極がゲート絶縁膜の上に配置されるトップゲート構造のものなどがある。
【0029】
図4は、ボトムゲート型PチャネルTFTの構造の一例を示す断面図である。図4に示すように、ボトムゲート構造のTFTでは、ガラス基板等の絶縁性基板31の上にゲート電極(Moゲート)32が形成され、その上にゲート絶縁膜33を介してポリシリコン層(または、アモルファスシリコン層)34が形成され、さらにその上に層間絶縁膜35,36が形成されている。また、ゲート電極32の側方のゲート絶縁膜33上には、P+拡散層からなるソース領域37およびドレイン領域38が形成され、これら領域37,38にはAl(アルミニウム)電極39,40が接続されている。
【0030】
図5は、トップゲート型PチャネルTFTの構造の一例を示す断面図である。図5に示すように、トップゲート構造のTFTでは、ガラス基板等の絶縁性基板41の上にポリシリコン層(または、アモルファスシリコン層)42が形成され、その上にゲート絶縁膜43を介してゲート電極(Moゲート)44が形成され、さらにその上に層間絶縁膜45が形成されている。また、ポリシリコン層42の側方の絶縁性基板41上には、P+拡散層からなるソース領域46およびドレイン領域47が形成され、これら領域46,47にはAl電極48,49が接続されている。
【0031】
続いて、上記構成の実施例1に係る基本回路20の回路動作について、図6のタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、本基本回路20が図1に示すシフトレジスタ回路のn段目のレジスタ11−nである場合を例に採って説明するものとする。
【0032】
本基本回路20が回路動作を開始するに先立って、リセットパルスrstがVSSレベル(以下、"L"レベルと記す)になると、これに応答してMOSトランジスタQp17はオン状態となってノードN11の電位を"L"レベルにリセットする。このリセット動作が終了することにより、本基本回路20の回路動作が開始される。本基本回路20が動作状態にある期間では、リセットパルスrstは常時VDDレベル(以下、"H"レベルと記す)となっている。
【0033】
回路動作が開始すると、初期状態確定回路21において、後段(n+1段目)の出力OUT(n+1)が"L"レベルのときは、MOSトランジスタQp11がオン状態となるためにノードN11の電位が"L"レベルとなる。また、後段の出力OUT(n+1)が"H"レベルのときは、MOSトランジスタQp11がオフ状態となる。MOSトランジスタQp12は、ノードN11の電位が"L"レベルのとき、即ち初期状態でオン状態になる。したがって、初期状態ではノードN12の電位が"H"レベルとなる。
【0034】
次に、ブートストラップ状態確定回路22において、前段(n−1段目)の出力OUT(n−1)が"L"レベルのときは、MOSトランジスタQp13,Qp14が共にオン状態になるため、ノードN11の電位が"H"レベル、ノードN12の電位が"L"レベルとなる。これに対して、前段の出力OUT(n−1)が"H"レベルのときは、MOSトランジスタQp13,Qp14が共にオフ状態になる。
【0035】
初期状態確定回路21およびブートストラップ状態確定回路22の各動作から明らかなように、ノードN11の電位とノードN12の電位が互いに逆極性になる。これにより、出力回路13において、ノードN11,N12の各電位をゲート入力とするMOSトランジスタQp15,Qp16は、一方がオン状態のとき他方がオフ状態となる相補動作を行うことになる。したがって、MOSトランジスタQp15(Qp16)がオン状態のときに、MOSトランジスタQp16(Qp15)が完全にオフ状態になるため、当該MOSトランジスタQp16(Qp15)に貫通電流が流れることはない。
【0036】
ノードN12の電位が"L"レベルの状態でクロックパルスCK2が"H"レベルから"L"レベルに遷移すると、ブートストラップ回路24において、キャパシタCapによる容量結合によってノードN12の電位を下げるブートストラップ動作が開始され、このブートストラップ動作によって、ノードN12の電位がVSS電位よりもさらに下がる。このことにより、MOSトランジスタQp16が完全にオン状態になるため、出力OUT(n)としてVSSレベルが取り出される。
【0037】
なお、ブートストラップ回路24では、MOSトランジスタQp16のゲート容量のみによってブートストラップ動作を行うことが可能である。したがって、キャパシタCapは必須のものではなく、より安定したブートストラップ動作を行うための補助用の容量である。
【0038】
(実施例2)
図8は、第1実施形態の実施例2に係るシフトレジスタ回路の基本回路(レジスタ)の構成を示す回路図である。本実施例に係るシフトレジスタ回路は、ガラス基板等の絶縁性基板上にNチャネルのMOSトランジスタのみによって構成されたブートストラップ型レジスタ回路であり、負側電源VSS(以下、VSS電源と記す)を第1電源とし、正側電源VDD(以下、VDD電源と記す)を第2電源としている。
【0039】
図8に示すように、本実施例に係るシフトレジスタ回路の基本回路50は、初期状態確定回路51、ブートストラップ状態確定回路52、出力回路53、ブートストラップ回路54およびリセット回路55を備えるとともに、2つの回路入力端子56,57、クロック端子58、リセット端子59および回路出力端子60を有する構成となっている。
【0040】
初期状態確定回路51は、ゲートおよびドレインが回路入力端子56に共通に接続されたダイオード接続構成のNチャネルMOSトランジスタQn11と、ゲートがMOSトランジスタQn11のソースに接続され、ソースがVSS電源に接続されたNチャネルMOSトランジスタQn12とから構成されている。ブートストラップ状態確定回路52は、ソースがVSS電源に接続され、ドレインがMOSトランジスタQn11のソースに接続されたNチャネルMOSトランジスタQn13と、ゲートおよびドレインがMOSトランジスタQN13のゲートと共に、回路入力端子57に共通に接続され、ソースがMOSトランジスタQn12のドレインと共通に接続されたNチャネルMOSトランジスタQn14とから構成されている。
【0041】
出力回路53は、ソースがVSS電源に、ゲートがMOSトランジスタQn11のソース、MOSトランジスタQn12のゲートおよびMOSトランジスタQn13のドレインの共通接続ノード(以下、ノードN21と記す)に、ドレインが回路出力端子60にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn15と、ソースが回路出力端子60に、ゲートがMOSトランジスタQn12のドレインおよびMOSトランジスタQn14のソースの共通接続ノード(以下、ノードN22と記す)に、ドレインがクロック端子58にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn16とから構成されている。クロック端子58には、クロックパルスCK1またはCK2が与えられる。
【0042】
ブートストラップ回路54は、出力回路53の一部を構成するMOSトランジスタQn16と、このMOSトランジスタQn16のゲートとドレインとの間に接続されたキャパシタCapとから構成されている。リセット回路55は、ソースがノードN21に、ドレインがVDD電源に、ゲートがリセット端子59に接続されたNチャネルMOSトランジスタQn17によって構成されている。
【0043】
上記構成のブートストラップ型レジスタ回路50において、NチャネルMOSトランジスタQn11〜Qn17は、ポリシリコンプロセスまたはアモルファスシリコンプロセスで形成されたTFTである。NチャネルTFTにもPチャネルTFTと同様に、ボトムゲート構造のものとトップゲート構造のものなどがあり、基本的に同じ構造となっている。すなわち、PチャネルTFTの構造を示す図4および図5において、ソース領域37,46およびドレイン領域38,47のP+ 拡散層をN+ 拡散層にしたものがNチャネルTFTの構造となる。
【0044】
実施例2に係るブートストラップ型レジスタ回路50は、実施例1に係るブートストラップ型レジスタ回路20とは、図8と図3の対比から明らかなように、MOSトランジスタの導電型および第1,第2電源の極性を逆にしただけの違いであり、基本的には同じ構成となっており、また回路動作および作用効果も基本的に同じである。
【0045】
図9は、実施例2に係るブートストラップ型レジスタ回路50の回路動作の説明に供するタイミングチャートであり、(n−1)段目の出力OUT(n−1)、クロックパルスCK1/CK2、(n+1)段目の出力OUT(n+1)、ノードN21,N22の各電位およびn段目の出力OUT(n)タイミング関係を示している。
【0046】
上述したように、第1実施形態に係る基本回路(ブートストラップ型レジスタ)20/50では、前段、後段のレジスタ(転送段)の各出力を入力IN1,IN2とすることによって転送動作を行うシフトレジスタ回路において、入力IN1として前段(n−1)の出力OUT(n−1)が与えられると、ブートストラップ状態確定回路22/52がMOSトランジスタQp15/Qn15のゲート電位を第1電源(VDD/VSS)の電位に設定し、MOSトランジスタQp16/Qn16のゲート電位を第2の電源(VSS/VDD)の電位に設定することにより、ブートストラップ動作を行うための電位の状態が確定し、クロックパルスCK1/CK2に同期してブートストラップ動作が行われる。このブートストラップ動作により、MOSトランジスタQp16/Qn16のゲート電位が第2の電源の電位よりもさらに下げられ/上げられ、当該MOSトランジスタQp16/Qn16が完全にオン状態になるため、出力OUT(n)として第2の電源の電位を取り出すことができる。このとき、MOSトランジスタQp15/Qn15は完全にオフ状態であるため、当該MOSトランジスタQp15/Qn15に貫通電流が流れることはない。
【0047】
また、ブートストラップ動作が行えるブートストラップ可能状態以外では、入力IN2として後段(n+1)の出力OUT(n+1)が与えられることで、初期状態確定回路21/51が、MOSトランジスタQp15/Qn15のゲート電位を第2電源(VSS/VDD)の電位に設定し、MOSトランジスタQp16/Qn16のゲート電位を第1の電源(VDD/VSS)の電位に設定する。これにより、MOSトランジスタQp16/Qn16が完全にオフ状態になるため、当該MOSトランジスタQp16/Qn16に貫通電流が流れることはない。この動作は、基本回路(1つのレジスタ)ごとに行われることになるため、本シフトレジスタ回路の消費電力を大幅に低減できる。
【0048】
以上により、閾値電圧Vthや移動度μのバラツキに強い回路構成を実現できる。また、NチャネルMOSトランジスタのみを用いた実施例2に係るブートストラップ型レジスタ回路50の場合、LDD(Lightly Doped Drain)構造によってホットエレクトロン効果を低減する構成を採ることになるが、PチャネルMOSトランジスタのみを用いた実施例1に係るブートストラップ型レジスタ回路20ではその必要がなく、その分だけプロセス数を削減できため、生産性や歩留まりの面で有利となる。
【0049】
なお、第1実施形態に係るレジスタ回路の基本回路20/50の場合には、図6、図9の各タイミングチャートから明らかなように、出力OUT(n−1),OUT(n+1)の"L"レベル以外の期間ではノードN11/N21、N12/N22の電位がフローティング状態にあり、このフローティング状態のときにトランジスタリークが発生すると、ノードN11/N21、N12/N22の電位が変動し、正常動作を保証することができなくなる懸念がある。この点に鑑みてなされたものが、以下に説明する第2実施形態に係るシフトレジスタ回路である。
【0050】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るシフトレジスタ回路の基本回路(1つのレジスタ)は、第1実施形態に係るシフトレジスタ回路の基本回路における出力手段、ブートストラップ状態確定手段および初期状態確定手段に加えて、出力手段のブートストラップ動作時に、第2のトランジスタのゲート側をブートストラップ状態確定手段側から切り離す第1のスイッチ手段や、前記第2のトランジスタのゲート電位が第2の電源の電位のときに、第1のトランジスタのゲート電位を第1電源の電位にするブートストラップ電位確定手段等をさらに備えた構成となっており、図1のレジスタ11−1〜11−Nの各々として用いられる。
【0051】
(実施例1)
図10は、第2実施形態の実施例1に係るシフトレジスタ回路の基本回路(レジスタ)の構成を示す回路図であり、図中、図3と同等部分には同一符号を付して示している。
【0052】
図10に示すように、本実施例に係るシフトレジスタ回路の基本回路70は、ノードN11,N12の電位がフローティング状態となる期間を最小限に抑え、正常動作を保証するために、初期状態確定回路21、ブートストラップ状態確定回路22、出力回路23、ブートストラップ回路24およびリセット回路76に加えて、リーク緩和対策スイッチ回路71、ブートストラップ電位安定化回路72、ブートストラップ性能向上対策スイッチ回路73および初期状態電圧安定化回路74を備えるとともに、クロック端子28とは別にクロック端子75を有する構成となっている。
【0053】
リーク緩和対策スイッチ回路71は、ソースがMOSトランジスタQp12のドレインとMOSトランジスタQp14のソースの共通接続ノード(以下、ノードN13と記す)に、ドレインがVSS電源にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp18によって構成されている。ブートストラップ電位安定化回路72は、ソースがVDD電源に、ドレインがノードN11に、ゲートがノードN13にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp19によって構成されている。ブートストラップ性能向上対策スイッチ回路73は、ノードN12とノードN13の間に接続され、ゲートがVSS電源に接続されたPチャネルMOSトランジスタQp20によって構成されている。
【0054】
初期状態電圧安定化回路74は、ドレインがノードN11に、ゲートがクロック端子75(図1におけるCKinB端子)にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp21と、ゲートとドレインがMOSトランジスタQp16のドレインに共通に接続され、ソースがMOSトランジスタQp21のソースに接続されたPチャネルMOSトランジスタQp22と、MOSトランジスタQp21,Qp22の各ソースの共通接続ノード(以下、ノードN14と記す)とVDD電源との間に接続されたキャパシタCapとから構成されている。なお、クロック端子28(図1におけるCKinA端子)にはクロックパルスCK2/CK1が与えられ、クロック端子75(図1におけるCKinB端子)にはクロックパルスCK1/CK2が与えられる。また、リセット回路76は、MOSトランジスタQp17に加えて、ノードN14とVSS電源との間に接続され、ゲートにリセットパルスrstが与えられるPチャネルMOSトランジスタQp23を有している。
【0055】
続いて、上記構成の実施例1に係る基本回路70の回路動作について、図11のタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、本基本回路70が図1に示すシフトレジスタ回路のn段目のレジスタ11−nである場合を例に採って説明するものとする。
【0056】
なお、初期状態確定回路21、ブートストラップ状態確定回路22、出力回路23、ブートストラップ回路24およびリセット回路76の構成および回路動作は、第1実施形態の場合と同じであるので、ここではその説明を省略するものとする。
【0057】
ブートストラップ電位安定化回路72において、ノードN13の電位が"L"レベルのときは、MOSトランジスタQp19がオン状態になるため、常にノードN11の電位が"H"レベルとなる。ノードN11の電位は、前段の出力OUT(n−1)が入力されたときから、後段の出力OUT(n+1)が入力されるまでの期間に亘って"H"レベルの状態にある。したがって、当該期間において、出力OUT(n−1)が"L"レベル以外の期間でノードN11の電位がフローティング状態になるのを防ぐことができる(ブートストラップ可能状態に亘って、ノードN11を"H"レベルに固定できる)ため、ブートストラップ動作を行う電位を安定化することができる。
【0058】
MOSトランジスタQp13とQp19はOUT(n−1)が"L"レベルのときは共にオン状態であり、MOSトランジスタQp19はMOSトランジスタQp13の働きを含んでいる。したがって、MOSトランジスタQp19があれば、MOSトランジスタQp13は配置しなくても良いが、ノードN13(MOSトランジスタQp19のゲート電位)の"L"レベルはMOSトランジスタQp14の閾値電圧Vthの影響でVSS電位よりもVth分高くなっていることや、MOSトランジスタQp14のオン抵抗の影響を考えると、回路の動作信頼性(最低駆動電圧等)・高速動作の面からMOSトランジスタQp13を配置しておいた方が良い。
【0059】
MOSトランジスタQp20は、ブートストラップ動作時に、ブートストラップによってノードN12の電位がVSS電位よりも下がると、オフ状態になってブートストラップ動作を行う回路部分、主にMOSトランジスタQp16のゲート側をブートストラップ状態確定回路22側から回路的に切り離す。これにより、MOSトランジスタQp16のゲートとMOSトランジスタQp14のソースとの間の配線につく寄生容量のブートストラップ動作への影響を最小限に抑えることができるため、ブートストラップ動作の信頼性を向上できる。
【0060】
MOSトランジスタQp18は、ノードN12の電位がVSS以下のときにオン状態となってブートストラップ状態確定回路22側の電位、即ちノードN13の電位をVSS電位にする。ノードN13の"L"レベルは、MOSトランジスタQp14の閾値電圧Vthの影響でVSS電位よりもVth分高い電位にある。このノードN13の電位をMOSトランジスタQp20におけるリーク電流が問題となるブートストラップ駆動時にVSS電位にすることにより、ノードN13とノードN12の間の電位差を最小にすることができるため、当該リークを緩和することができる。
【0061】
次に、初期状態電圧安定化回路74において、MOSトランジスタQp22は、クロックパルスCK2に同期して、即ち当該クロックパルスCK2が"L"レベルのときにオン状態になることにより、キャパシタCapを"L"レベルの電位、即ちVSS電位に充電する。MOSトランジスタQp21は、クロックパルスCK1に同期して、即ち当該クロックパルスCK1が"L"レベルのときにオン状態になることにより、キャパシタCapの電位、即ちノードN14の電位をMOSトランジスタQp15のゲート電位、即ちノードN11とする。ここで、キャパシタCapの容量については、ノードN11における寄生容量に対して十分に大きく設定する必要がある。このように、キャパシタCapに定期的に"L"レベルを充電し、当該キャパシタCapの電位をノードN11の電位とすることにより、ノードN11の電位が"L"レベルとなる状態の安定化を図ることができる。
【0062】
(実施例2)
図12は、第2実施形態の実施例2に係るシフトレジスタ回路の基本回路(レジスタ)の構成を示す回路図であり、図中、図8と同等部分には同一符号を付して示している。
【0063】
図12に示すように、本実施例に係るシフトレジスタ回路の基本回路80は、初期状態確定回路51、ブートストラップ状態確定回路52、出力回路53、ブートストラップ回路54およびリセット回路86に加えて、リーク緩和対策スイッチ回路81、ブートストラップ電位安定化回路82、ブートストラップ性能向上対策スイッチ回路83および初期状態電圧安定化回路84を備えるとともに、クロック端子58とは別にクロック端子85を有する構成となっている。
【0064】
リーク緩和対策スイッチ回路81は、ソースがMOSトランジスタQn12のドレインとMOSトランジスタQn14のソースの共通接続ノード(以下、ノードN23と記す)に、ドレインがVDD電源にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn18によって構成されている。ブートストラップ電位安定化回路82は、ソースがVSS電源に、ドレインがノードN21に、ゲートがノードN23にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn19によって構成されている。ブートストラップ性能向上対策スイッチ回路83は、ノードN23とノードN22の間に接続され、ゲートがVDD電源に接続されたNチャネルMOSトランジスタQn20によって構成されている。
【0065】
初期状態電圧安定化回路84は、ドレインがノードN21に、ゲートがクロック端子85(図1におけるCKinB端子)にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn21と、ゲートとドレインがMOSトランジスタQn16のドレインに共通に接続され、ソースがMOSトランジスタQn21のソースに接続されたNチャネルMOSトランジスタQn22と、MOSトランジスタQn21,Qn22の各ソースの共通接続ノード(以下、ノードN24と記す)とVSS電源との間に接続されたキャパシタCapとから構成されている。なお、クロック端子58(図1におけるCKinA端子)にはクロックパルスCK2/CK1が与えられ、クロック端子85(図1におけるCKinB端子)にはクロックパルスCK1/CK2が与えられる。また、リセット回路86は、MOSトランジスタQn17に加えて、ノードN24とVDD電源との間に接続され、ゲートにリセットパルスrstが与えられるNチャネルMOSトランジスタQn23を有している。
【0066】
実施例2に係るブートストラップ型レジスタ回路80は、実施例1に係るブートストラップ型レジスタ回路70とは、図12と図10の対比から明らかなように、MOSトランジスタの導電型および第1,第2電源の極性を逆にしただけの違いであり、基本的には同じ構成となっており、また回路動作および作用効果も基本的に同じである。
【0067】
図13は、実施例2に係るブートストラップ型レジスタ回路80の回路動作の説明に供するタイミングチャートであり、(n−1)段目の出力OUT(n−1)、クロックパルスCK1,CK2、(n+1)段目の出力OUT(n+1)、ノードN21,N22、N23、N24の各電位およびn段目の出力OUT(n)タイミング関係を示している。
【0068】
上述したように、第2実施形態に係る基本回路(ブートストラップ型レジスタ)70/80では、第1実施形態に係る基本回路20/50の作用効果に加えて、MOSトランジスタQp16/Qn16のゲート電位が第2の電源(VSS/VDD)の電位のときに、MOSトランジスタQp15/Qn15のゲート電位を第1電源(VDD/VSS)の電位にするブートストラップ電位安定化回路72/82の作用により、ブートストラップ動作が行われる期間ではノードN11/N21の電位がフローティング状態にならないために、ブートストラップの正常な動作を保証できる。
【0069】
また、ブートストラップ動作時に、MOSトランジスタQp16/Qn16のゲート側を他の回路部分から回路的に切り離す第1のスイッチ手段であるブートストラップ性能向上対策スイッチ回路73/83の作用により、MOSトランジスタQp16のゲートとMOSトランジスタQp14のソースとの間の配線につく寄生容量のブートストラップ動作への影響を最小限に抑えることができるため、ブートストラップ動作の信頼性を向上できる。
【0070】
さらに、MOSトランジスタQp16/Qn16のゲート電位が第2電源(VSS/VDD)の電位以下/以上のときに、ブートストラップ状態確定回路22/52側の電位を第2電源(VSS/VDD)の電位にする第2のスイッチ手段であるリーク緩和対策スイッチ回路71/81の作用により、ブートストラップ動作時において、MOSトランジスタQp20/Qn20のリークが問題となる場合に、ノードN13/N23とノードN12/N22の間の電位差を最小にすることができるため、当該リークを緩和することができる。
【0071】
またさらに、クロックパルスCK2に同期してキャパシタCapに第2電源(VSS/VDD)の電位を充電し、クロックパルスCK1に同期してキャパシタCapの電位をMOSトランジスタQp15/Qn15のゲート電位とする初期状態電圧安定化回路74/84の作用により、ノードN11/N21の電位が"L"レベル/"H"レベルとなる状態の安定化を図ることができる。
【0072】
続いて、1フィールド期間の開始部分でアクティブとなる入力パルスST1とクロックパルスCK1に基づいて初段のレジスタ11−1の第1の入力IN1を生成する第1の入力信号生成手段であるトランスファーゲート回路12と、1フィールド期間の終了部分でアクティブとなる入力パルスST2とクロックパルスCK2に基づいて最終段のレジスタ11−Nの第2の入力IN2を生成する第2の入力信号生成手段であるトランスファーゲート回路13の具体的な回路構成について説明する。
【0073】
[トランスファーゲート回路12]
(実施例1)
図14は、実施例1に係るトランスファーゲート回路12の構成を示す回路図である。本実施例に係るトランスファーゲート回路は、PチャネルのMOSトランジスタのみによって構成されたブートストラップ型トランスファーゲート回路であり、ブートストラップ型トランスファーゲート91と、電源供給スイッチ92とを備えるとともに、入力パルスSTが与えられる回路入力端子93と、クロックパルスCK1が与えられるクロック端子94とを有する構成となっている。
【0074】
ブートストラップ型トランスファーゲート91は、ソースがクロック端子94に、ゲートがVSS電源にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp24と、ドレインが回路入力端子93に、ゲートがMOSトランジスタQp24のドレインに、ソースが初段レジスタ11−1のIN1側入力端にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp25とから構成されている。電源供給スイッチ92は、ソースがVDD電源に、ゲートが回路入力端子93に、ドレインが初段レジスタ11−1の出力端にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp26によって構成されている。
【0075】
続いて、上記構成の実施例1に係るトランスファーゲート回路の回路動作について、図15のタイミングチャートを用いて説明する。図15には、入力パルスST、クロックパルスCK1,CK2、MOSトランジスタQp24のドレイン電位A、MOSトランジスタQp25のソース電位Bおよび初段レジスタ11−1の出力OUT(1)のタイミング関係を示している。また、図7に示すように、入力パルスSTはクロックパルスCK1/CK2に対して所定の遅延時間dだけ遅れたタイミング関係となっている。この遅延時間dは、MOSトランジスタQp25におけるブートストラップ動作を行うために必要となっている。
【0076】
先ず、ブートストラップ型トランスファーゲート91は、入力パルスSTとクロックパルスCK1の立ち下がりでアクティブになり、入力パルスSTにおける1フィールド期間の開始部分のパルスST1を選択し、当該パルスST1を初段のレジスタ11−1に入力する。電源供給スイッチ92は、入力パルスSTの"L"レベルに同期してMOSトランジスタQp26がオン状態になることによってVDDレベルを初段レジスタ11−1の出力OUT(1)に供給する。
【0077】
この電源供給スイッチ92の作用により、入力パルスSTにおける1フィールド期間の終了部分のパルスST2の影響を受け、MOSトランジスタQp25のリークによってMOSトランジスタQp25のソース電位Bが揺れた場合でも、その影響が初段レジスタ11−1の出力OUT(1)に現れないようにすることができる。すなわち、トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μのバラツキ、リーク電流などに起因する影響を緩和あるいは排除することができる。換言すれば、トランジスタの閾値電圧Vthや移動度μのバラツキ、リーク電流などに強い回路を構築できる。
【0078】
(実施例2)
図16は、実施例2に係るトランスファーゲート回路12の構成を示す回路図であり、図中、図14と同等部分には同一符号を付して示している。本実施例に係るトランスファーゲート回路は、NチャネルのMOSトランジスタのみによって構成されたブートストラップ型トランスファーゲート回路であり、ブートストラップ型トランスファーゲート95と、電源供給スイッチ96とを有する構成となっている。
【0079】
ブートストラップ型トランスファーゲート95は、ソースがクロック端子94に、ゲートがVDD電源にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn24と、ドレインが回路入力端子93に、ゲートがMOSトランジスタQn24のドレインに、ソースが初段レジスタ11−1のIN1側入力端にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn25とから構成されている。電源供給スイッチ96は、ソースがVSS電源に、ゲートが回路入力端子93に、ドレインが初段レジスタ11−1の出力端にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn26によって構成されている。
【0080】
実施例2に係るブートストラップ型トランスファーゲート回路は、実施例1に係るブートストラップ型トランスファーゲート回路とは、図16と図14の対比から明らかなように、MOSトランジスタの導電型および第1,第2電源の極性を逆にしただけの違いであり、基本的には同じ構成となっており、また回路動作および作用効果も基本的に同じである。
【0081】
図17には、入力パルスST、クロックパルスCK1,CK2、MOSトランジスタQn24のドレイン電位A、MOSトランジスタQn25のソース電位Bおよび初段レジスタ11−1の出力OUT(1)のタイミング関係を示している。
【0082】
[トランスファーゲート回路13]
(実施例1)
図18は、実施例1に係るトランスファーゲート回路13の構成を示す回路図である。本実施例に係るトランスファーゲート回路は、PチャネルのMOSトランジスタのみによって構成されたブートストラップ型トランスファーゲート回路であり、ブートストラップ型トランスファーゲート97を備えるとともに、入力パルスSTが与えられる回路入力端子98と、クロックパルスCK2が与えられるクロック端子99とを有する構成となっている。
【0083】
ブートストラップ型トランスファーゲート97は、ソースがクロック端子99に、ゲートがVSS電源にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp27と、ドレインが回路入力端子98に、ゲートがMOSトランジスタQp27のドレインに、ソースが最終段レジスタ11−NのIN2側入力端にそれぞれ接続されたPチャネルMOSトランジスタQp28とから構成されている。
【0084】
続いて、上記構成の実施例1に係るトランスファーゲート回路の回路動作について、図19のタイミングチャートを用いて説明する。図19には、入力パルスST、クロックパルスCK1,CK2、MOSトランジスタQp27のドレイン電位A、MOSトランジスタQp28のソース電位Bおよび最終段レジスタ11−Nの出力OUT(N)のタイミング関係を示している。
【0085】
ブートストラップ型トランスファーゲート97は、入力パルスSTとクロックパルスCK2の立ち下がりでアクティブになり、入力パルスSTにおける1フィールド期間の終了部分のパルスST2を選択し、当該パルスST2を最終段のレジスタ11−Nに、初期化信号として入力する。
【0086】
(実施例2)
図20は、実施例2に係るトランスファーゲート回路13の構成を示す回路図であり、図中、図18と同等部分には同一符号を付して示している。本実施例に係るトランスファーゲート回路は、NチャネルのMOSトランジスタのみによって構成されたブートストラップ型トランスファーゲート回路であり、ブートストラップ型トランスファーゲート100を有する構成となっている。
【0087】
ブートストラップ型トランスファーゲート100は、ソースがクロック端子99に、ゲートがVDD電源にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn27と、ドレインが回路入力端子98に、ゲートがMOSトランジスタQn27のドレインに、ソースが最終段レジスタ11−NのIN2側入力端にそれぞれ接続されたNチャネルMOSトランジスタQn28とから構成されている。
【0088】
実施例2に係るブートストラップ型トランスファーゲート回路は、実施例1に係るブートストラップ型トランスファーゲート回路とは、図20と図18の対比から明らかなように、MOSトランジスタの導電型および第1,第2電源の極性を逆にしただけの違いであり、基本的には同じ構成となっており、また回路動作および作用効果も基本的に同じである。
【0089】
図21には、入力パルスST、クロックパルスCK1,CK2、MOSトランジスタQn27のドレイン電位A、MOSトランジスタQn28のソース電位Bおよび最終段レジスタ11−Nの出力OUT(N)のタイミング関係を示している。
【0090】
[適用例]
以上説明した第1,第2実施形態に係るシフトレジスタ回路は、実施例1で構成すればPMOSトランジスタ単独構成によるシフトレジスタ回路となり、実施例2で構成すればNMOSトランジスタ単独構成によるシフトレジスタ回路となる。そして、このシフトレジスタは、液晶表示装置やEL(electroluminescence) あるいはLED(Light Emitting Diode)表示装置に代表されるパネル型表示装置や、CMOSイメージセンサに代表されるX−Yアドレス型固体撮像装置において、画素を選択するための垂直駆動回路や水平駆動回路を構成するシフトレジスタ回路として用いることができる。ただし、この適用例は一例に過ぎず、本発明によるシフトレジスタ回路はこの適用例に限られるものではなく、一般的なシフトレジスタ回路として広く用いることができる。
【0091】
図22は、本発明の適用例に係る例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成の概略を示すブロック図である。
【0092】
図22に示すように、本発明の適用例に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置は、画素101が行列状に多数配置されてなる画素アレイ部102と、この画素アレイ部102の各画素101を行単位で順次選択する垂直駆動回路103と、この垂直駆動回路103によって選択された行の各画素に映像信号を書き込む水平駆動回路104とを少なくとも有する構成となっている。垂直駆動回路103および水平駆動回路104は、画素アレイ部102と共に表示パネル105上に集積されて当該画素アレイ部102を駆動する駆動回路を構成している。
【0093】
表示パネル105には、垂直スタートパルスVST、垂直クロックパルスVCK,xVCKおよび水平スタートパルスHST、水平クロックパルスHCK,xHCKがパネル外部から入力される。垂直スタートパルスVSTおよび水平スタートパルスHSTは、レベルシフト(L/S)回路群106およびインバータ回路群107を経た後、垂直駆動回路103および水平駆動回路104に与えられる。
【0094】
垂直クロックパルスVCK,xVCKおよび水平クロックパルスHCK,xHCKは、レベルシフト回路群106およびインバータ回路群107を経た後、バッファ回路108,109およびバッファ回路110,111を介して直接垂直駆動回路103および水平駆動回路104に与えられる。レベルシフト回路群106は、低電圧振幅の垂直スタートパルスVST、垂直クロックパルスVCK,xVCKおよび水平スタートパルスHST、水平クロックパルスHCK,xHCKの各々を、高電圧振幅のパルス信号にレベルシフト(レベル変換)する。
【0095】
なお、本例では、垂直スタートパルスVST、垂直クロックパルスVCK,xVCKおよび水平スタートパルスHST、水平クロックパルスHCK,xHCKを表示パネル105の外部から入力する構成としているが、これらの各種のタイミングパルスを生成するタイミングジェネレータを表示パネル105上に集積し、垂直スタートパルスVSTおよび水平スタートパルスHSTについては当該タイミングジェネレータから垂直駆動回路103および水平駆動回路104に直接に与え、垂直クロックパルスVCK,xVCKおよび水平クロックパルスHCK,xHCKについてはバッファ回路108〜111を介して垂直駆動回路103および水平駆動回路104に与える構成を採ることも可能である。
【0096】
表示パネル105は、画素アレイ部102において、2枚の透明な絶縁性基板(例えば、ガラス基板)の一方の基板に、画素アレイ部102の行数m分の走査線112(112−1〜112−m)と列数n分の信号線113(113−1〜113−n)とがマトリクス状に配線されるとともに、所定の間隙をもって対向配置された他方の基板との間に液晶層が保持され、例えばその裏面側にバックライトが配置された構造となっている。そして、走査線112と信号線113との交点部分に画素101が配されることになる。
【0097】
画素101は、図22から明らかなように、ゲートが走査線112に接続され、ソースが信号線113に接続された薄膜トランジスタからなる画素トランジスタTFTと、この画素トランジスタTFTのドレインに画素電極が接続された液晶セルLCと、画素トランジスタTFTのドレインに一方の電極が接続された保持容量CSとを有す構成となっている。ここでは、液晶セルLCは、画素トランジスタTFTで形成される画素電極とこれに対向して形成される対向電極との間で発生する容量を意味する。液晶セルLCの対向電極は、例えば保持容量CSの他方の電極と共にコモン線114に接続されている。
【0098】
図23は、垂直駆動回路103の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図23から明らかなように、垂直駆動回路103はシフトレジスタ121などによって構成され、垂直スタートパルスVSTが与えられると、当該垂直スタートパルスVSTを垂直クロックパルスVCKに同期して順次シフトし、画素アレイ部102の各画素101を行単位で順次選択するための垂直走査パルスφV1〜φVmを各段から出力する。垂直走査パルスφV1〜φVmは、バッファ回路122−1〜122−mを介して画素アレイ部102の走査線122−1〜122−mに与えられる。
【0099】
水平駆動回路104も、少なくともシフトレジスタを有する構成となっている。この水平駆動回路104において、シフトレジスタは水平スタートパルスHSTが与えられると、当該水平スタートパルスHSTを水平クロックパルスHCKに同期して順次シフトし、各段から順次サンプリングパルスを出力する。そして、水平駆動回路104では、このサンプリングパルスを用いて表示パネル105の外部から供給される映像信号をサンプリングし、垂直駆動回路103によって選択された行の各画素101に対して点順次で、あるいは線順次で書き込む動作が行われる。
【0100】
上記構成の液晶表示装置において、例えば、画素アレイ部102の各画素101を行単位で順次選択するための垂直走査パルスφV1〜φVmを各段から出力するシフトレジスタ121として、先述した第1,第2実施形態に係るシフトレジスタ回路が用いられる。これら実施形態に係るシフトレジスタ回路は、先述したように、回路に流れる貫通電流を抑えることができる低消費電力のシフトレジスタ回路である。したがって、第1,第2施形態に係るシフトレジスタ回路を、垂直駆動回路103のシフトレジスタ121として用いることにより、走査線112−1〜112−mを少ない消費電力で駆動することができるため本液晶表示装置の低消費電力化を図ることができる。
【0101】
なお、本適用例では、第1,第2実施形態に係るシフトレジスタ回路を垂直駆動回路103を構成するシフトレジスタ121として用いる場合を例に挙げて説明したが、この適用例は一例に過ぎず、水平駆動回路104を構成するシフトレジスタとして用いることも可能である。
【0102】
また、本適用例では、画素101の表示エレメントとして液晶セルを用いた液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、この適用例に限られるものではなく、画素101の表示エレメントとして例えばEL素子を用いたEL表示装置など、他のアクティブマトリクス型表示装置にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
先述した実施形態に係るバッファ回路を駆動回路の一部として用いた液晶表示装置に代表される表示装置は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、ノートPC(Personal Computer)などの画面表示部として搭載して用いることができる。
【符号の説明】
【0104】
11−1〜11−N・レジスタ(S/R)、12・初段用トランスファーゲート回路、13・最終段用トランスファーゲート回路、20,50,70,80・基本回路、21,51・初期状態確定回路、22,52・ブートストラップ状態確定回路、23,53・出力回路、24,54・ブートストラップ回路、25,55・リセット回路、71,81・リーク緩和対策スイッチ回路、72,82・ブートストラップ電位安定化回路、73,83・ブートストラップ性能向上対策スイッチ回路、74,84・初期状態電圧安定化回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、
ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのドレインとゲートとの間に接続されるキャパシタと、
前記第1電源と前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続される第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第5のトランジスタと
を備えて単一チャネルのトランジスタによって構成され、
前記第4のトランジスタのゲートおよび前記第5のトランジスタのゲートに第1の入力信号が与えられ、
前記第1の入力信号に応じて、前記第4のトランジスタを導通状態にし、一方で、前記第5のトランジスタを導通状態にし、
次いで、前記クロック信号を変化させることで、前記第5のトランジスタを非導通状態にする
基本回路。
【請求項2】
前記第1電源と前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第3のトランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が、前記第1のトランジスタのゲートに接続される第6のトランジスタとをさらに備え、
前記クロック信号を変化させた後、前記第6のトランジスタを導通状態にして第2電源の電位を供給し、一方で前記第3のトランジスタを導通状態にする
請求項1に記載の基本回路。
【請求項3】
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、
ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのドレインとゲートとの間に接続されるキャパシタと、
前記第1電源と前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第3のトランジスタと、
前記第1電源と前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続される第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第5のトランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が、前記第1のトランジスタのゲートに接続される第6のトランジスタと
を備えて単一チャネルのトランジスタによって構成され、
前記第4のトランジスタのゲートおよび前記第5のトランジスタのゲートに第1の入力信号が与えられ、
前記第6のトランジスタのゲートに第2の入力信号が与えられ、
第1の入力信号に応じて、前記第4のトランジスタを導通状態にし、一方で、前記第5のトランジスタを導通状態にし、
次いで、前記クロック信号を変化させることで、前記第5のトランジスタを非導通状態にし、
次いで、第2の入力信号に応じて、前記第6のトランジスタを導通状態にし、一方で、前記第3のトランジスタを導通状態にする
基本回路。
【請求項4】
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、
ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのドレインとゲートとの間に接続されるキャパシタと、
前記第1電源と前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続される第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第5のトランジスタと
を備え、単一チャネルのトランジスタによって構成される基本回路が複数段縦続接続されてなり、
前記第4のトランジスタのゲートおよび前記第5のトランジスタのゲートに第1の入力信号が与えられ、
前記第1の入力信号に応じて、前記第4のトランジスタを導通状態にし、一方で、前記第5のトランジスタを導通状態にし、
次いで、前記クロック信号を変化させることで、前記第5のトランジスタを非導通状態にする
シフトレジスタ回路。
【請求項5】
前記第1電源と前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第3のトランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が、前記第1のトランジスタのゲートに接続される第6のトランジスタとをさらに備え、
前記クロック信号を変化させた後、前記第6のトランジスタを導通状態にして第2電源の電位を供給し、一方で前記第3のトランジスタを導通状態にする
請求項4に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項6】
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、
ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタのドレインとゲートとの間に接続されるキャパシタと、
前記第1電源と前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第3のトランジスタと、
前記第1電源と前記第1のトランジスタのゲートとの間に接続される第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタのゲートと前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続される第5のトランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が、前記第1のトランジスタのゲートに接続される第6のトランジスタと
を備え、単一チャネルのトランジスタによって構成される基本回路が複数段縦続接続されてなり、
前記第4のトランジスタのゲートおよび前記第5のトランジスタのゲートに第1の入力信号が与えられ、
前記第6のトランジスタのゲートに第2の入力信号が与えられ、
第1の入力信号に応じて、前記第4のトランジスタを導通状態にし、一方で、前記第5のトランジスタを導通状態にし、
次いで、前記クロック信号を変化させることで、前記第5のトランジスタを非導通状態にし、
次いで、第2の入力信号に応じて、前記第6のトランジスタを導通状態にし、一方で、前記第3のトランジスタを導通状態にする
シフトレジスタ回路。
【請求項7】
前記基本回路の各々は、前段の基本回路の出力信号を前記第1の入力信号とする
請求項6に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項8】
前記基本回路の各々は、後段の基本回路の出力信号を前記第2の入力信号とする
請求項7に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項9】
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタとを有し、当該第2のトランジスタがブートストラップ動作を行う出力手段と、
第1の入力信号が与えられたときに、前記第1のトランジスタを非導通状態にするとともに、前記第2のトランジスタを導通状態にするブートストラップ状態確定手段と、
前記ブートストラップ状態確定手段の動作後に前記第2のトランジスタのゲート側を第1の入力信号から切り離す第1のスイッチ手段と、
前記出力手段に応じて導通する第2のスイッチ手段と、
前記第2のスイッチ手段を介して供給される前記第2電源の電位によって、前記第1電源と前記第1のトランジスタのゲートとを導通状態とするブートストラップ電位安定化手段と、
第2の入力信号が与えられたときに、前記第1のトランジスタを導通状態にするとともに、前記第2のトランジスタを非導通状態にする初期状態確定手段と
を備え、単一チャネルのトランジスタによって構成される
基本回路。
【請求項10】
ソースが第1電源に接続された第1のトランジスタと、ソースが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインにクロック信号が与えられる第2のトランジスタとを有し、当該第2のトランジスタがブートストラップ動作を行う出力手段と、
第1の入力信号が与えられたときに、前記第1のトランジスタを非導通状態にするとともに、前記第2のトランジスタを導通状態にするブートストラップ状態確定手段と、
前記ブートストラップ状態確定手段の動作後に前記第2のトランジスタのゲート側を第1の入力信号から切り離す第1のスイッチ手段と、
前記出力手段に応じて導通する第2のスイッチ手段と、
前記第2のスイッチ手段を介して供給される前記第2電源の電位によって、前記第1電源と前記第1のトランジスタのゲートとを導通状態とするブートストラップ電位安定化手段と、
第2の入力信号が与えられたときに、前記第1のトランジスタを導通状態にするとともに、前記第2のトランジスタを非導通状態にする初期状態確定手段と
を備え、単一チャネルのトランジスタによって構成される基本回路が複数段縦続接続されてなる
シフトレジスタ回路。
【請求項11】
前記基本回路の各々は、前段の基本回路の出力信号を前記第1の入力信号とする
請求項10に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項12】
前記基本回路の各々は、後段の基本回路の出力信号を前記第2の入力信号とする
請求項11に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項13】
複数段縦続接続されてなる基本回路の初段に接続されるトランスファーゲート回路を備え、
前記基本回路は、第1の入力信号を入力する入力端と、出力信号を出力する出力端とを備え、
前記基本回路の各々は、前記出力端が後段の基本回路の入力端に接続され、
前記トランスファーゲート回路は、
単一チャネルのトランジスタによって構成され、
ソースにクロック信号が入力され、ゲートに前記第2電源の電位が設定される第7のトランジスタと、
ドレインにスタート信号が入力され、ゲートが前記第7のトランジスタのドレインに接続され、ソースが初段の基本回路の入力端に接続される第8のトランジスタとを有する
請求項4に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項14】
前記トランスファーゲート回路は、
ソースに前記第1電源の電位が設定され、ゲートにスタート信号が入力され、ドレインが初段の基本回路の出力端に接続される第9のトランジスタを有する
請求項13に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項15】
複数段縦続接続されてなる基本回路の初段に接続されるトランスファーゲート回路を備え、
前記基本回路は、第1の入力信号を入力する入力端と、出力信号を出力する出力端とを備え、
前記基本回路の各々は、前記出力端が後段の基本回路の入力端に接続され、
前記トランスファーゲート回路は、
単一チャネルのトランジスタによって構成され、
ソースにクロック信号が入力され、ゲートに前記第2電源の電位が設定される第7のトランジスタと、
ドレインにスタート信号が入力され、ゲートが前記第7のトランジスタのドレインに接続され、ソースが初段の基本回路の入力端に接続される第8のトランジスタとを有する
請求項6に記載のシフトレジスタ回路。
【請求項16】
前記トランスファーゲート回路は、
ソースに前記第1電源の電位が設定され、ゲートにスタート信号が入力され、ドレインが初段の基本回路の出力端に接続される第9のトランジスタを有する
請求項15に記載のシフトレジスタ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−186551(P2010−186551A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87221(P2010−87221)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【分割の表示】特願2003−386172(P2003−386172)の分割
【原出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】