説明

シフトレジスタ

【課題】トランスファーゲートのゲートにおける閾値がマイナス側にシフトされた場合であっても、適切に駆動可能なシフトレジスタを提供すること。
【解決手段】シフトレジスタ100は、2つのインバータ回路111、112と、ゲート電圧の閾値がマイナスにシフトされた2つのトランスファーゲート113、114と、コンデンサと、備える複数のシフト回路ユニット110から構成されており、トランスファーゲート113、114のゲートには、下限値がマイナスの値となる制御信号が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子に関する技術の進歩に伴って、家電製品、通信システムまたはコンピュータなど多くの電子機器においては、その用途に合わせて種々の半導体電子回路が用いられている。特に、最近では、データ伝送を行う際に、シリアル伝送とパラレル伝送に変換するインタフェース変換、または、液晶表示装置に代表される画像表示装置におけるゲート線駆動回路(走査線駆動回路)など様々な電子機器にシフトレジスタが用いられ、電子機器内における回路としての重要度が増している。このような状況下において、回路素子として用いられるTFT(Thin Film Transistor)などのFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)の数が少なく、単純な構造を有するとともに、消費電力が少ないダイナミック(Dynamic)型のシフトレジスタ(以下、「ダイナミック型シフトレジスタ」という。)の研究が進められている。
【0003】
ダイナミック型シフトレジスタにおいては、複数の出力段から出力されるそれぞれのパルス信号を制御するために、出力段毎にFETなどのスイッチングトランジスタ(以下、「トランスファーゲート」ともいう。)が組み込まれている。特に、これらのスイッチングトランジスタとしては、エンハンスメント型のFETを用いるようになっている。そして、このシフトレジスタは、各出力段に組み込まれたTFTのゲートに順に制御信号である電圧を所定期間印加することによって、出力段毎にシフトされたパルスを出力するようになっている。また、このシフトレジスタは、各FETを的確に駆動させるために、制御信号としては、0V(グラウンド)から当該FETに印加される電源電圧VDDの最大電圧の間で変化する信号を用いるようになっている(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−335153号公報
【特許文献2】特開2006−54870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1または2に代表されるダイナミック型シフトレジスタにあっては、製造プロセスのばらつき、または、半導体膜に対する紫外線照射などの外的要因によりFET(すなわち、トランスファーゲート)のゲートにおけるVon電圧が、N型FETの場合には通常はプラスのところマイナスとなり、P型FETの場合には通常マイナスのところプラスとなる場合がある。そして、このような場合には、当該シフトレジスタが正常に駆動せず、各出力段から適切なパルス信号の出力を得ることができないことも多い。特に、半導体膜に対する紫外線照射などの外的要因に基づいてこのような不具合が発生しやすい。
【0006】
具体的には、シフトレジスタにおいては、制御信号に基づいて、各出力段に組み込まれたTFTをON及びOFFさせることによって、各出力段に前段の出力段との電気的な接続及び切断を行うようになっている。しかしながら、製造過程によっては、これらのFETにおけるゲート電圧の閾値(すなわち、Von電圧)がマイナス側にシフトされてしまうことも多く、この場合には、FETを駆動するための制御信号をそのゲートに印加しなくても、すなわち、0Vでも当該FETがONとなるので、前段の出力段に当該FETを介してリークする電流が多くなり、各出力段においては適切にシフトされたパルス信号を出力することができなくなる。特に、このようなTFTを用いたシフトレジスタを、電子ペーパーのゲートドライバ回路などの動作周波数の低い制御信号によって駆動させた場合には、リーク電荷量が増大するので、適切にシフトされたパルス信号を出力することができない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、トランスファーゲートのゲートにおける閾値がマイナス側にシフトされた場合であっても、適切に駆動可能なシフトレジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するため、本発明のシフトレジスタは、入力された電圧パルス信号を順次シフトさせる複数のシフト回路ユニットを有するシフトレジスタであって、前記各シフト回路ユニットが、トランジスタから構成される第1インバータ回路と、トランジスタから構成される第2インバータ回路と、Von電圧がマイナスの値となるゲートを有し、前記第1インバータ回路と前記第2インバータ回路の間に接続されたn型の第1スイッチングトランジスタと、Von電圧がマイナスの値となるゲートを有し、前記第2インバータ回路の後段に設けられるとともに後段のシフト回路ユニットと接続されたn型の第2スイッチングトランジスタと、前記第1スイッチングトランジスタと前記第2インバータ回路の間に接続された第1コンデンサと、前期第1インバータ回路の入力端子に接続された第2コンデンサと、を備え、前記第1スイッチングトランジスタのゲートには、前記第2スイッチングのゲートと位相が反転された電圧パルス信号が制御信号として印加されるとともに、当該制御信号の下限値が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタにおけるVon電圧の値よりも小さい構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、N型のスイッチングトランジスタのゲートにおけるVon電圧がマイナスにシフトされている場合であっても、Von電圧より小さい値を有する制御信号によって当該ゲートのONとOFFを制御すること、すなわち、スイッチングトランジスタのゲートを的確にOFFすることができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0010】
特に、本発明のシフトレジスタは、制御信号の周波数が低速の場合であっても、すなわち、各スイッチングトランジスタのOFF時間が長い場合であっても、各スイッチングトランジスタのゲートに対するON及びOFFを的確に行うことができるので、各スイッチングトランジスタと前段のインバータ回路との電気的な接続により時間経過に伴うコンデンサの電荷放電を抑制することができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、このような制御信号の周波数が低速の場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0011】
(2)また、本発明のシフトレジスタは、前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのゲートにおける閾値電圧より大きい値と、前記Von電圧の値よりも小さい値との間で変位する電圧パルス信号である構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、各スイッチングトランジスタを的確に制御することができるので、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0013】
(3)また、本発明のシフトレジスタは、前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧の値にゲートにおける閾値電圧を加算した値より大きい値と、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのソースに印加される電源電圧に前記Von電圧を加算した値よりも小さい値との間で変位する電圧パルス信号である構成を有している。
【0014】
この構成より、本発明のシフトレジスタは、例えば、各スイッチングトランジスタがN型の場合に、各インバータ回路の出力が下限出力レベル(Lowレベル)で、かつ、コンデンサの電位が上限出力レベル(Highレベル)の場合であっても、第1スイッチングトランジスタを的確にOFFすることができるので、コンデンサが第1インバータ回路と電気的な接続することによって生じる電荷の放電現象を改善させることができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、スイッチングトランジスタのゲートにおけるVon電圧がマイナスにシフトされている場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0015】
(4)また、本発明のシフトレジスタは、前記コンデンサのコンデンサ容量が寄生容量によって形成されていてもよい。
【0016】
(5)また、本発明のシフトレジスタは、0V以上の電圧レベルを有する前記制御信号の基になる電圧パルス信号が入力され、かつ、前記制御信号を出力する制御信号用レベルシフト回路ユニットを更に備える構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、下限値がマイナスとなる制御信号を回路内で生成して用いることができるので、0V以上の電圧レベルを有する電圧パルス信号を制御信号として入力された場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。特に、本発明のシフトレジスタは、スイッチングトランジスタがN型の場合であって、当該各トランジスタのゲート電圧における閾値がマイナスにシフトしている場合においても、制御信号をマイナス、好ましくは、閾値よりも小さくすることができるので、このような場合であっても適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0018】
(6)また、本発明のシフトレジスタは、前記各シフト回路ユニットが、前記第1インバータ回路及び第2インバータ回路のそれぞれの前段に、各インバータ回路に入力される電圧レベルをシフトする入力調整用レベルシフト回路を更に備える構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、スイッチングトランジスタがN型で、かつ、当該各トランジスタのゲート電圧における閾値がマイナスにシフトしている場合の他、シフト回路ユニット毎に、かつ、インバータ回路毎に、入力された電圧パルスのレベルを調整することができるので、多くのインバータ回路を通過することによってノイズその他の影響を排除することができる。
【0020】
(7)また、本発明のシフトレジスタは、前記各レベルシフト回路が、少なくともトランジスタによって構成されるとともに、当該トランジスタのソースに印加される電源電圧が、前記入力された電圧パルス信号における下限値の2倍以上の値である構成を有している。
【0021】
通常、N型の片チャンネルのスイッチングトランジスタを用いた場合には、閾値値の関係で、入力された電圧に対して低い電圧しか伝えることができず、高い電圧分を伝えることができない。
【0022】
この構成より、本発明のシフトレジスタは、レベルシフト回路によって第1制御信号及び第2制御信号または入力された電圧パルスを増幅することができるので、入力された電圧パルスのレベルを、各シフト回路ユニットにおいて減少させずに、同一のレベルを維持させつつ、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0023】
(8)上記課題を解決するため、本発明のシフトレジスタは、入力された電圧パルス信号を順次シフトさせる複数のシフト回路ユニットを有するシフトレジスタであって、前記各シフト回路ユニットが、トランジスタから構成される第1インバータ回路と、トランジスタから構成される第2インバータ回路と、閾値電圧がプラスの値となるゲートを有し、前記第1インバータ回路と前記第2インバータ回路の間に接続されたp型の第1スイッチングトランジスタと、閾値電圧がプラスの値となるゲートを有し、前記第2インバータ回路の後段に設けられるとともに後段のシフト回路ユニットと接続されたp型の第2スイッチングトランジスタと、前記第1スイッチングトランジスタと前記第2インバータ回路の間に接続された第1コンデンサと、前期第1インバータ回路の入力端子に接続された第2コンデンサと、を備え、前記第1スイッチングトランジスタのゲートには、前記第2スイッチングのゲートと位相が反転された電圧パルス信号が制御信号として印加されるとともに、当該制御信号の上限値が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧の値よりも大きい構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、P型のスイッチングトランジスタのゲートにおけるVon電圧がプラスにシフトされている場合であっても、プラスの値を有する制御信号によって当該ゲートのONとOFFを制御すること、すなわち、スイッチングトランジスタのゲートを的確にOFFすることができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0025】
特に、本発明のシフトレジスタは、制御信号の周波数が低速の場合であっても、すなわち、各スイッチングトランジスタのOFF時間が長い場合であっても、各スイッチングトランジスタのゲートに対するON及びOFFを的確に行うことができるので、各スイッチングトランジスタと前段のインバータ回路との電気的な接続により時間経過に伴うコンデンサの電荷放電を抑制することができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、このような制御信号の周波数が低速の場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0026】
(9)また、本発明のシフトレジスタは、前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧より大きい値と、当該第1スイッチングトランジスタ及び当該第2スイッチングトランジスタのゲートにおける閾値電圧より小さい値との間で変位する電圧パルス信号である構成を有している。
【0027】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、各スイッチングトランジスタを的確に制御することができるので、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0028】
(10)また、本発明のシフトレジスタは、前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧の値に前記Von電圧を加算した値より大きい値と、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのソースに印加される電源電圧に当該第1スイッチングトランジスタ及び当該第2スイッチングトランジスタのゲートにおける閾値電圧よりも小さい値との間で変位する電圧パルス信号である構成を有している。
【0029】
この構成より、本発明のシフトレジスタは、例えば、各スイッチングトランジスタがP型の場合に、各インバータ回路の出力が下限出力レベル(Lowレベル)で、かつ、コンデンサの電位が上限出力レベル(Highレベル)の場合であっても、第1スイッチングトランジスタを的確にOFFすることができるので、コンデンサが第1インバータ回路と電気的な接続することによって生じる電荷の放電現象を改善させることができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、スイッチングトランジスタのゲートにおけるVon電圧がプラスにシフトされている場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0030】
(11)本発明のシフトレジスタは、前記コンデンサのコンデンサ容量が寄生容量によって形成されていてもよい。
【0031】
(12)また、本発明のシフトレジスタは、0V以上の電圧レベルを有する前記制御信号の基になる電圧パルス信号が入力され、かつ、前記制御信号を出力する制御信号用レベルシフト回路ユニットを更に備える構成を有している。
【0032】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、下限値がマイナスとなる制御信号を回路内で生成して用いることができるので、0V以上の電圧レベルを有する電圧パルス信号を制御信号として入力された場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。特に、本発明のシフトレジスタは、スイッチングトランジスタがN型の場合であって、当該各トランジスタのゲート電圧における閾値がマイナスにシフトしている場合においても、制御信号をマイナス、好ましくは、閾値よりも小さくすることができるので、このような場合であっても適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0033】
(13)また、本発明のシフトレジスタは、前記各シフト回路ユニットが、前記第1インバータ回路及び第2インバータ回路のそれぞれの前段に、各インバータ回路に入力される電圧レベルをシフトする入力調整用レベルシフト回路を更に備える構成を有している。
【0034】
この構成により、本発明のシフトレジスタは、スイッチングトランジスタがN型で、かつ、当該各トランジスタのゲート電圧における閾値がマイナスにシフトしている場合の他、シフト回路ユニット毎に、かつ、インバータ回路毎に、入力された電圧パルスのレベルを調整することができるので、多くのインバータ回路を通過することによってノイズその他の影響を排除することができる。
【0035】
(14)また、本発明のシフトレジスタは、前記各レベルシフト回路が、少なくともトランジスタによって構成されるとともに、当該トランジスタのソースに印加される電源電圧が、前記入力された電圧パルス信号における下限値の2倍以上の値である構成を有している。
【0036】
この構成より、本発明のシフトレジスタは、レベルシフト回路によって第1制御信号及び第2制御信号または入力された電圧パルスを増幅することができるので、入力された電圧パルスのレベルを、各シフト回路ユニットにおいて減少させずに、同一のレベルを維持させつつ、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明のシフトレジスタは、各スイッチングトランジスタと前段のインバータ回路との電気的な接続により時間経過に伴うコンデンサの電荷放電を抑制することができる。したがって、本発明のシフトレジスタは、このような制御信号の周波数が低速の場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るシフトレジスタの第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のシフト回路ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態のインバータ回路の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態における第1トランスファーゲート及び第2トランスファーゲートのn型トランジスタ特性の一例であり、各トランジスタのゲートにおけるVon電圧と閾値電圧の特性をそれぞれ示す図である。
【図5】第1実施形態のシフトレジスタと従来のシフトレジスタの出力を比較した比較例である。
【図6】第1実施形態において、第1トランスファーゲート及び第2トランスファーゲートのp型トランジスタ特性の一例である。
【図7】第1実施形態のインバータ回路の構成を示すブロック図のその他の例である。
【図8】本発明に係るシフトレジスタの第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態のレベルシフト回路の構成を示すブロック図である。
【図10】第3実施形態のシフト回路ユニットの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本願の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
なお、以下に説明する実施形態は、入力されたパルス信号を順次シフトさせる多数段のダイナミック型シフトレジスタに対して、本発明のシフトレジスタを適用した場合の実施形態である。
【0041】
<第1実施形態>
はじめに、図1〜図6の各図を用いて本発明に係るダイナミック型シフトレジスタ(以下、単に「シフトレジスタ」という。)100の第1実施形態について説明する。
【0042】
[シフトレジスタの構成]
まず、図1〜図3の各図を用いて本実施形態におけるシフトレジスタの構成について説明する。なお、図1は、本実施形態におけるシフトレジスタ100の構成を示す回路図であり、図2は、本実施形態におけるシフト回路ユニット110の構成を示す回路図である。また、図3は、本実施形態のシフト回路ユニット110を構成するインバータ回路の構成を示すブロック図である。
【0043】
本実施形態のシフトレジスタ100は、図1に示すように、入力された電圧パルス信号を順次シフトさせる複数のシフト回路ユニット110から構成される。また、シフトレジスタ100は、第1制御信号及び第2制御信号を入力するための第1制御信号入力端子10及び第2制御信号入力端子20と、シフトする対象となる電圧パルス(以下、「入力電圧パルス」という。)が入力されるパルス信号入力端子30と、シフトされた電圧パルスをシフト回路ユニット110毎に出力する各出力端子40と、を備えている。さらに、シフトレジスタ100は、各シフト回路ユニット110を駆動するための電源電圧VDD及び電源電圧VSSを入力するためのVDD入力端子60及びVSS入力端子70を備えている。
【0044】
各シフト回路ユニット110は、図2に示すように、第1インバータ回路111、第2インバータ回路112、第1トランスファーゲート113、第2トランスファーゲート114及びコンデンサ115、116から構成される。また、各シフト回路ユニット110においては、第1制御信号入力端子11、第2制御信号入力端子21、出力端子41、VDD入力端子61及びVSS入力端子71は、それぞれ、上述のシフトレジスタ100において対応する端子に接続され、回路入力端子80は、パルス信号入力端子30または前段のシフト回路ユニット110における出力端子40に接続される。
【0045】
第1制御信号及び第2制御信号としては、上限値が電源電圧VDDより大きい値(例えば、電源電圧VDDにトランスファーゲート113、114のゲートにおける閾値電圧を加算した値より大きい値)であって、下限値が電源電圧VSSより小さい値(例えば、電源電圧VSSにトランスファーゲート113、114のゲートにおけるVon電圧、すなわち、当該ゲートをオンし始める電圧値を加算した値より小さい値)であり、所定の周期を有するパルス信号を用いる。また、第1制御信号と第2制御信号は、それぞれの位相が反転された信号である。なお、電源電圧VDDは、例えば、10Vであり、また、電源電圧VSSは、例えば、0Vである。
【0046】
第1インバータ回路111は、回路入端子80と第1トランスファーゲート113
の間に接続され、に入力された入力電圧パルスを反転出力し、出力されたパルス信号(以下、「反転出力パルス」という。)を、第1トランスファーゲート113を介して第2インバータ回路112に出力する。特に、第1インバータ回路111は、ブーストラップ型インバータ回路であり、例えば、図3に示すように、第1n型FET116、第2n型FET117及び第3n型FET118の3つのn型FETとコンデンサ115とから構成される。
【0047】
具体的には、第1n型FET116は、電圧パルスが入力される回路入力端子80に接続されたゲートと、回路出力端子90に接続されるドレインと、VSS入力端子70に接続されるソースと、から構成される。第2n型FET117は、VDD入力端子60に接続されるゲートと、ゲートに短絡接続されるドレインと、コンデンサ115を介して回路出力端子90に接続されるソースと、から構成される。第3n型FET118は、コンデンサ119を介して回路出力端子90に接続されるゲートと、VDD入力端子60に接続されるドレインと、回路出力端子90に接続されるソースと、から構成される。
【0048】
第2インバータ回路112は、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114の間に接続されつつ、第1インバータ回路111から出力された反転出力パルスを出力し、出力されたパルス信号(以下、「再反転出力パルス」という。)を出力端子41から外部または後段のシフト回路ユニット110に出力する。特に、第2インバータ回路112は、ブーストラップ型インバータ回路であり、例えば、図3に示すように、第1インバータ回路111と同一の構成を有している。
【0049】
第1トランスファーゲート113は、ゲート電圧の閾値がマイナスにシフトされている(いわゆる「ディプレッションタイプ」となっている)n型のFETであって、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。また、第1トランスファーゲート113は、第1制御信号入力端子10に接続されるゲートと、第1インバータ回路111の回路出力端子90に接続されるドレインと、コンデンサ115の一端及び第2インバータ回路112の回路入力端子80に接続されるソースと、から構成される。
【0050】
第2トランスファーゲート114は、第1トランスファーゲート113と同様に、ゲート電圧の閾値がマイナスにシフトされているディプレッションタイプになっているn型のFETであって、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。また、第2トランスファーゲート114は、第2制御信号入力端子20に接続されるゲートと、第1インバータ回路111の回路出力端子90に接続されるドレインと、出力端子41に接続されるソースと、から構成される。
【0051】
コンデンサ115は、第1トランスファーゲート113がONとなって駆動している際に、第1インバータ回路111から出力された反転出力パルスに基づいて充電される。例えば、コンデンサ115は、0.1pF以上の容量を有している。また、コンデンサ115は、一端が第1トランスファーゲート113のソースと第2インバータ回路112の回路入力端子80に接続されており、他端がVSS入力端子70に接続される。なお、コンデンサ115は、回路素子として設けられていてもよいし、寄生容量として形成されていてもよい。
【0052】
コンデンサ116は、前段のシフト回路ユニット110からの出力がある場合に、入力された電圧パルスに基づいて充電される。例えば、コンデンサ116は、0.1pF以上の容量を有している。また、コンデンサ116は、一端が回路入直端子80に接続されており、他端がVSS入力端子70に接続される。なお、コンデンサ116は、回路素子として設けられていてもよいし、寄生容量として形成されていてもよい。
【0053】
[本願発明の原理及びシフトレジスタの動作]
次に、図4及び図5を用いて本願発明の原理及びシフトレジスタの動作について説明する。なお、図4は、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114のn型トランジスタ特性の一例であり、各トランジスタのゲートにおけるVon電圧と閾値電圧の特性をそれぞれ示す。ただし、閾値電圧とは本格的にドレイン電流(例えば、1×10−11A程度)が流れる際にゲートに印加される電圧を示し、Von電圧とは、微量なドレイン電流Id(例えば1×10−8A程度)が流れるも際にゲートに印加される電圧を示す。また、図5は、本実施形態のシフトレジスタ100と従来のシフトレジスタ100の出力を比較した比較例である。
【0054】
本実施形態のシフトレジスタ100は、上述のような回路構成を有することにより、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114のゲートにおけるVon電圧がマイナスにシフトされている場合であっても、当該Von電圧よりも小さい値を有する第1制御信号及び第2制御信号によって当該ゲートのONとOFFを的確に制御することができるようになっている。
【0055】
一般的なシフトレジスタにおいては、第1トランスファーゲートのゲートに0Vから電源電圧VDDの範囲で変化するパルス信号の制御信号が印加される。この場合においては、第1トランスファーゲートのゲート電圧の閾値がマイナスにシフトされていると、第2インバータ回路において誤動作が生じることとなる。
【0056】
例えば、上述のシフト回路ユニット110において、0Vから電源電圧VDDの範囲で変化するパルス信号の制御信号が印加される場合に、第1トランスファーゲート113のゲートに印加される制御信号が「0」Vとなると、通常、第1トランスファーゲート113のOFFをとなる。また、第1トランスファーゲート113がONとなるとともに、入力電圧パルスがシフト回路ユニット110にHighレベルが入力されると、第1インバータ回路111の出力パルスがLowレベル(下限出力レベル)で、コンデンサ115によって保持されている第2インバータ回路112に入力されるべき入力パルスがHighレベル(上限出力レベル)となる。そして、その後、制御信号が「0」Vとなり、第1トランスファーゲート113がOFFとなると、第2トランスファーゲート114がONとなり、その反転出力を出力端子41に出力することとなる。
【0057】
しかしながら、図4に示すように、第1トランスファーゲート113のゲートにおけるVon電圧がマイナスにシフトされていると、第1トランスファーゲート113のゲートが完全にOFFとならず、第1トランスファーゲート113によって第1インバータ回路111と第2インバータ回路112が電気的に接続された状態を維持することになり、当該第1トランスファーゲート113におけるドレイン電流Idが第2インバータ回路112側から第1インバータ回路111側に流れることになる。そのため、コンデンサ115に充電された電荷が放電してその電圧が減少し、第2インバータ回路112に入力されるべき入力電圧パルスのレベルが低くなる(すなわち、電圧パルスにおけるHighレベルを維持することができなくなる)。したがって、第2インバータ回路112から出力される出力電圧パルスが適切な値にならないので、図5(a)に示すように、シフトレジスタ100としても、シフトされた電圧パルスを適切に出力することができない。なお、図5(a)には、第6シフト回路ユニット110及び第7シフト回路ユニット110の出力電圧パルスを示す。
【0058】
一方、本実施形態のシフトレジスタ100においては、上述のように、第1制御信号及び第2制御信号の下限値をゲートにおけるVon電圧よりも小さい値とすることによって第1トランスファーゲート113のゲートにおけるVon電圧がマイナスであっても、第1制御信号及び第2制御信号によって当該トランスファーゲートを的確にOFFにすることができるようになっている。すなわち、シフトレジスタ100は、上述のように、入力電圧パルスがシフト回路ユニット110にHighレベルが入力され、第1インバータ回路111の出力パルスがLowレベル(下限出力レベル)で、コンデンサ115によって保持されている第2インバータ回路112に入力されるべき入力パルスがHighレベル(上限出力レベル)となり、その後に制御信号が電源電圧VSSに移行して第1トランスファーゲート113がONからOFFになった場合であっても、上述と異なり、第2インバータ回路112から第1インバータ回路111へ向かって流れるドレイン電流Idに基づくコンデンサ115の放電を防止することができる。そして、第2トランスファーゲート114がONとなると、第2インバータ回路112は、コンデンサ115によって保持されているHighレベル(上限出力レベル)を出力端子41に適切に反転出力することとなる。したがって、図5(b)に示すように、シフトレジスタ100全体としても、シフトされた電圧パルスを適切に出力することができるようになっている。なお、図5(b)には、第6シフト回路ユニット110及び第7シフト回路ユニット110の出力電圧パルスを示す。
【0059】
特に、本実施形態のシフトレジスタ100は、第1制御信号及び第2制御信号が低速の場合であっても、すなわち、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114を駆動させるための動作周波数が低い場合であっても、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114のゲートに対するON及びOFFを的確に行うことができるようになっている。すなわち、第1制御信号及び第2制御信号に基づいて第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114をOFFするときに当該ゲートに印加される電圧をVon電圧以下にすることによって、第2インバータ回路112から第1インバータ回路111へ流れるドレイン電流を低減することができるので、トランスファーゲート113をOFFする時間が長くなったとしても、コンデンサ115における放電量が少なくなるか、ほとんど放電されなくなる。したがって、各シフト回路ユニット110は、適切にシフトされた出力電圧パルスを出力することができるので、シフトレジスタ100は、適切にシフトされたパルス信号を出力することができるようになっている。
【0060】
また、第1制御信号及び第2制御信号における動作周波数の下限値としては、第1制御信号または第2制御信号における第1トランスファーゲート113をOFFする時間(制御信号の周期の1/2)が誤動作する時間Terror以下となる、周波数f(L)以上である。すなわち、上述したように、各シフト回路ユニット110においては、第1トランスファーゲート113がOFFされた場合に、当該トランスファーゲートに流れるドレイン電流Idを低減させるこがが必要である。したがって、動作周波数の下限値f(L)は、以下の(式1)及び(式2)によって示すことができる。
【0061】
f(L)=1/Terror ・・・・(式1)
【0062】
Terror=(Cs×(VH−VHL))/Id
ただし Vg=0、Vd=VH−VL・・・・(式2)
【0063】
なお、「Cs」とはシフト回路ユニット110におけるコンデンサ容量(寄生容量)、「VH」は、第1インバータ回路111からの出力される反転出力パルスのHightレベル、「VHL」は、第2インバータ回路112に入力される反転出力パルスにおいて再反転出力パルスのLowレベルを維持するための最低限のレベル、及び、「VL」は第1インバータ回路111から出力される反転出力パルスのLowレベルを示す。また、ドレイン電圧Vdは、およそVH−VLとなる。
【0064】
例えば、幅Wが100μm及び長さLが10μmを有し、ゲートにおけるVon電圧がマイナス(−1.5V程度)にシフトしている第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114を備えている場合には、第1制御信号及び第2制御信号の動作周波数f(L)は、(式1)及び(式2)により1kHzの低周波数まで動作可能となる。すなわち、このような場合には、第1制御信号及び第2制御信号の周波数が0.5kHz以上であれば、本実施形態のシフトレジスタ100は適切に駆動するようになっている。なお、コンデンサ容量Csが2.4pF、電圧差(VH―VHN)2V及びドレイン電流Id(Vg=0、Vd=VH−VL)が10nAとする。
【0065】
[作用及び効果]
以上本実施形態のシフトレジスタ100は、N型の第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114のゲートにおけるVon電圧がマイナスにシフトされている場合であっても、当該ゲートを的確にOFFすることができるので、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。特に、本実施形態のシフトレジスタ100は、制御信号の周波数が低速の場合であっても、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0066】
[変形例]
次に、図6及び図7を用いて本実施形態のシフトレジスタ100における変形例を説明する。なお、図6は、第1実施形態において、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114のp型トランジスタ特性の一例であり、図7は、第1インバータ回路111及び第2インバータ回路112の回路図の変形例である。
【0067】
上記の実施形態においては、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114としてn型のFETを用いているが、p型のFETを用いてもよい。この場合には、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114のゲートにおけるVon電圧は、プラス側にシフトされている。
【0068】
また、第1制御信号及び第2制御信号としては、上限値が電源電圧VDDより大きい値(例えば、電源電圧VDDにトランスファーゲート113、114のゲートにおけるVon電圧を加算した値より大きい値)であって、下限値が電源電圧VSSより小さい値(例えば、電源電圧VSSにトランスファーゲート113、114のゲートにおける閾値電圧加算した値より小さい値)であり、所定の周期を有するパルス信号を用いる。また、第1制御信号と第2制御信号は、それぞれの位相が反転された信号である。なお、電源電圧VDDは、例えば、10Vであり、また、電源電圧VSSは、例えば、0Vである。
【0069】
また、上記の実施形態においては、第1インバータ回路111及び第2インバータ回路112は、ブートストラップ型インバータ回路によって形成されているが、図7に示すように非飽和負荷MOS型インバータによって形成されていてもよい。例えば、n型の場合には、図7(a)に示すように、上述の図3に示す第3n型FET118のゲートに、VDD入力端子61に代えて、電源電圧VDDより大きい電源電圧VGG(例えば、15V)を印加するためのVGG入力端子51を接続し、図3に示すコンデンサ119を省略する構成を有している。そして、p型の場合には、図7(a)とは異なり、図7(b)に示すように、第1n型FET118のゲートに、電源電圧VSSより小さい電源電圧VGG(例えば、−5V)を印加するためのVGG入力端子51を接続する構成を有している。
【0070】
また、本実施形態のシフト回路ユニット110においては、コンデンサ116を第1インバータ回路111の前段に設けているが、第2トランスファーゲート114の後段であって、出力端子41との間に、当該コンデンサ116を設けてもよい。なお、このコンデンサは、回路素子として設けられていてもよいし、寄生容量として形成されていてもよい。
【0071】
<第2実施形態>
次に、図8〜図9の各図を用いて本発明に係るシフトレジスタ200の第2実施形態について説明する。なお、図8は、本実施形態におけるシフトレジスタ200の構成を示す回路図であり、図9は、本実施形態におけるレベルシフト回路210の構成を示す回路図である。
【0072】
本実施形態のシフトレジスタ200は、第1実施形態の構成に加えて、第1制御信号入力端子10または第2制御信号入力端子20と各シフト回路ユニット110の間に、第1制御信号用レベルシフト回路210Aまたは第2制御信号用レベルシフト回路210Bをそれぞれ設けた点に特徴がある。なお、本実施形態のシフトレジスタ200におけるその他の構成は、第1実施形態と同一であるので、同一の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
[シフトレジスタの構成]
まず、図8を用いて本実施形態のシフトレジスタ200の構成について説明する。
【0074】
本実施形態のシフトレジスタ200は、図7に示すように、入力された電圧パルス信号を順次シフトさせる複数のシフト回路ユニット110と、第1制御信号入力端子10または第2制御信号入力端子20と各シフト回路ユニット110の間に設けられた第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bと、から構成される。第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bは、外部から入力された第1制御信号または第2制御信号をそれぞれレベルシフトさせるようになっている。例えば、第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bは、「0」V−電源電圧VDD間を変位するパルス信号である第1制御信号または第2制御信号を、マイナスの値を有する電源電圧VSS−電源電圧VDD間を変位するパルス信号にレベルシフトするようになっている。
【0075】
なお、第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bには、第1実施形態においてシフト回路ユニット110に用いられる電源電圧VSSとは別に、電源電圧VSS(以下、「第2電源電圧VSS」という。)を用いるようになっている。すなわち、第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bは、VSS入力端子70とは異なる第2VSS入力端子90にそれぞれ接続される。
【0076】
[レベルシフト回路]
次に、図9を用いて本実施形態の第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bの構成について説明する。
【0077】
本実施形態の第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210B(以下、単に「レベルシフト回路」という。)は、図9に示すように、2つのn型FETから構成され、入力された第1制御信号または第2制御信号の電圧レベルをマイナス方向に制御信号のレベルをシフトするための回路である。
【0078】
各n型FET、すなわち、第4n型FET211及び第5n型FET212は、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成されている。
【0079】
第4n型FET211は、第1制御信号入力端子10または第2制御信号入力端子20に接続され、第1制御信号または第2制御信号が印加されるゲートと、電源電圧VDD入力端子T10に接続されるドレインと、第5n型FET212のゲートおよびドレインに接続されるとともに、レベルシフト回路210における出力端子(すなわち、各シフト回路ユニット110の第1制御信号入力端子10または第2制御信号入力端子20)に接続されるソースと、とから構成される。
【0080】
また、第5n型FET212は、第4n型FET211のソースに接続され、レベルシフト回路210における出力端子(各シフト回路ユニット110の第1制御信号入力端子10または第2制御信号入力端子20)に接続されるゲートと、当該ゲートおよび第4n型FET211のソースと短絡接続されるドレインと、第2VSS端子90に接続されている電源電圧VSST20に接続されるソースと、から構成される。
【0081】
なお、第2電源電圧VSSは、シフト回路ユニット110に用いられる電源電圧VSSよりも小さい値を有している。
【0082】
このように、本実施形態のシフトレジスタ200は、第1制御信号入力端子10または第2制御信号入力端子20と各シフト回路ユニット110の間に、第1制御信号用レベルシフト回路210Aまたは第2制御信号用レベルシフト回路210Bをそれぞれ設けることによって、適切にシフトされたパルス信号を出力することができるようになっている。
【0083】
通常、ゲート電圧における閾値がマイナス(いわゆる、デプレッション型ともいう。)によって形成されるトランスファーゲートは、制御信号が「0」Vとなってもゲートがオンとなってしまうために的確に駆動することができない、しかしながら、レベルシフト回路210によって第1制御信号及び第2制御信号のレベル(すなわち、下限値)をゲート電圧の閾値より小さくすることができるので、入力された電圧パルスのレベルを、出力または後段のシフト回路ユニット110に伝達することができるようになっている。したがって、本実施形態のシフトレジスタ200は、適切にシフトされたパルス信号を出力することができるようになっている。
【0084】
[作用及び効果]
以上本実施形態のシフトレジスタ200は、第1実施形態の効果に加えて、レベルシフト回路210によって第1制御信号及び第2制御信号をレベルを調整することによって、入力された電圧パルスのレベルを、出力または後段のシフト回路ユニット110に伝達することができるので、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0085】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0086】
上記の実施形態においては、第1インバータ回路111及び第2インバータ回路112は、ブートストラップ型インバータ回路によって形成されているが、第1実施形態と同様に、非飽和負荷MOS型インバータによって形成されていてもよい。
【0087】
また、本実施形態のシフト回路ユニット110においては、コンデンサ116を第1インバータ回路111の前段に設けているが、第2トランスファーゲート114の後段であって、出力端子41との間に、当該コンデンサ116を設けてもよい。なお、このコンデンサは、回路素子として設けられていてもよいし、寄生容量として形成されていてもよい。
【0088】
<第3実施形態>
次に、図10を用いて本発明に係るシフトレジスタ200の第3実施形態について説明する。なお、図10は、本実施形態におけるシフトレジスタ200を構成するシフト回路ユニット300の構成を示す回路図である。
【0089】
本実施形態のシフトレジスタ200は、第2実施形態の構成に加えて、第1インバータ回路111及び第2インバータ回路112の前段に、第1入力信号用レベルシフト回路210Cまたは第2入力信号用レベルシフト回路210Dをそれぞれ設けた点に特徴がある。なお、本実施形態のシフトレジスタ200におけるその他の構成は、第2実施形態と同一であるので、同一の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0090】
[シフト回路ユニット]
図10を用いて本実施形態のシフト回路ユニット300について説明する。
【0091】
本実施形態のシフト回路ユニット300は、図10に示すように、第1インバータ回路111、第2インバータ回路112、第1トランスファーゲート113、第2トランスファーゲート114、コンデンサ115、116、第1入力信号用レベルシフト回路210C及び第2入力信号用レベルシフト回路210Dから構成される。
【0092】
第1入力信号用レベルシフト回路210Cは、回路入力端子80及び第1インバータ回路111の間に、第2入力信号用レベルシフト回路210Dは、コンデンサ115の後段であって第2インバータ回路112の前段にそれぞれ設けられている。また、第1入力信号用レベルシフト回路210C及び第2入力信号用レベルシフト回路210Dは、2つのn型FETから構成されており、第2実施形態における第1制御信号用レベルシフト回路210A及び第2制御信号用レベルシフト回路210Bと同一の構成を有している。
【0093】
また、第1入力信号用レベルシフト回路210C及び第2入力信号用レベルシフト回路210Dには、第2実施形態と同様に、第1実施形態においてシフト回路ユニット110に用いられる電源電圧VSSとは別に、第2電源電圧VSSを用いるようになっている。すなわち、第1入力信号用レベルシフト回路210C及び第2入力信号用レベルシフト回路210Dは、VSS入力端子70とは異なる第2VSS入力端子91を介して第2VSS入力端子90にそれぞれ接続されるようになっている。なお、第2電源電圧VSSは、シフト回路ユニット110に用いられる電源電圧VSSよりも小さい値を有している。
【0094】
[作用及び効果]
以上本実施形態のシフトレジスタ200は、第2実施形態の効果に加えて、レベルシフト回路210によって第1インバータ回路111または第2インバータ回路112に入力される入力電圧パルスまたは反転出力パルスを増幅することができるので、入力された電圧パルスのレベルを、各シフト回路ユニット300において減少させずに、同一のレベルを維持させつつ、第2インバータ回路112または後段のシフト回路ユニット300に伝達することができるようになっている、したがって本実施形態のシフトレジスタ200は、適切にシフトされたパルス信号を出力することができる。
【0095】
[変形例]
上記の実施形態においては、第1トランスファーゲート113及び第2トランスファーゲート114としてn型のFETを用いているが、第1実施形態と同様に、p型のFETを用いてもよい。
【0096】
また、本実施形態のシフト回路ユニット300においては、第2トランスファーゲート114の後段であって、出力端子41との間に、コンデンサを設けてもよい。なお、このコンデンサは、回路素子として設けられていてもよいし、寄生容量として形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本願のシフトトランジスタは、液晶表示装置、電子ペーパーなどの表示装置の駆動回路の他に、読み書き速度が比較的遅い印刷メモリなどの各種のメモリ回路の一部として用いることができるアンケート解析や文書検出など文書データの解析及び文書データの検出のあらゆる分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
10、20 … 制御信号入力端子
100、200 … シフトレジスタ
110 … シフト回路ユニット
110 … 各シフト回路ユニット
111 … インバータ回路
112 … インバータ回路
113 … トランスファーゲート
114 … トランスファーゲート
115 … コンデンサ
119 … コンデンサ
200 … シフトレジスタ
210 … レベルシフト回路
300 … シフト回路ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された電圧パルス信号を順次シフトさせる複数のシフト回路ユニットを有するシフトレジスタであって、
前記各シフト回路ユニットが、
トランジスタから構成される第1インバータ回路と、
トランジスタから構成される第2インバータ回路と、
Von電圧がマイナスの値となるゲートを有し、前記第1インバータ回路と前記第2インバータ回路の間に接続されたn型の第1スイッチングトランジスタと、
Von電圧がマイナスの値となるゲートを有し、前記第2インバータ回路の後段に設けられるとともに後段のシフト回路ユニットと接続されたn型の第2スイッチングトランジスタと、
前記第1スイッチングトランジスタと前記第2インバータ回路の間に接続された第1コンデンサと、
前期第1インバータ回路の入力端子に接続された第2コンデンサと、
を備え、
前記第1スイッチングトランジスタのゲートには、前記第2スイッチングのゲートと位相が反転された電圧パルス信号が制御信号として印加されるとともに、当該制御信号の下限値が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタにおけるVon電圧の値よりも小さいことを特徴とするシフトレジスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のシフトレジスタにおいて、
前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのゲートにおける閾値電圧より大きい値と、前記Von電圧の値よりも小さい値との間で変位する電圧パルス信号である、シフトレジスタ。
【請求項3】
請求項2に記載のシフトレジスタにおいて、
前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧の値にゲートにおける閾値電圧を加算した値より大きい値と、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのソースに印加される電源電圧に前記Von電圧を加算した値よりも小さい値との間で変位する電圧パルス信号である、シフトレジスタ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のシフトレジスタにおいて、
前記コンデンサのコンデンサ容量が寄生容量によって形成されている、シフトレジスタ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のシフトレジスタにおいて、
0V以上の電圧レベルを有する前記制御信号の基になる電圧パルス信号が入力され、かつ、前記制御信号を出力する制御信号用レベルシフト回路ユニットを更に備える、シフトレジスタ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のシフトレジスタにおいて、
前記各シフト回路ユニットが、前記第1インバータ回路及び第2インバータ回路のそれぞれの前段に、各インバータ回路に入力される電圧レベルをシフトする入力調整用レベルシフト回路を更に備える、シフトレジスタ。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシフトレジスタにおいて、
前記各レベルシフト回路が、少なくともトランジスタによって構成されるとともに、当該トランジスタのソースに印加される電源電圧が、前記入力された電圧パルス信号における下限値の2倍以上の値である、シフトトランジスタ。
【請求項8】
入力された電圧パルス信号を順次シフトさせる複数のシフト回路ユニットを有するシフトレジスタであって、
前記各シフト回路ユニットが、
トランジスタから構成される第1インバータ回路と、
トランジスタから構成される第2インバータ回路と、
閾値電圧がプラスの値となるゲートを有し、前記第1インバータ回路と前記第2インバータ回路の間に接続されたp型の第1スイッチングトランジスタと、
閾値電圧がプラスの値となるゲートを有し、前記第2インバータ回路の後段に設けられるとともに後段のシフト回路ユニットと接続されたp型の第2スイッチングトランジスタと、
前記第1スイッチングトランジスタと前記第2インバータ回路の間に接続された第1コンデンサと、
前期第1インバータ回路の入力端子に接続された第2コンデンサと、
を備え、
前記第1スイッチングトランジスタのゲートには、前記第2スイッチングのゲートと位相が反転された電圧パルス信号が制御信号として印加されるとともに、当該制御信号の上限値が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧の値よりも大きいことを特徴とするシフトレジスタ。
【請求項9】
請求項8に記載のシフトレジスタにおいて、
前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧より大きい値と、当該第1スイッチングトランジスタ及び当該第2スイッチングトランジスタのゲートにおける閾値電圧より小さい値との間で変位する電圧パルス信号である、シフトレジスタ。
【請求項10】
請求項2に記載のシフトレジスタにおいて、
前記制御信号が、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのドレインに印加される電源電圧の値に前記Von電圧を加算した値より大きい値と、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第2スイッチングトランジスタのソースに印加される電源電圧に当該第1スイッチングトランジスタ及び当該第2スイッチングトランジスタのゲートにおける閾値電圧よりも小さい値との間で変位する電圧パルス信号である、シフトレジスタ。
【請求項11】
請求項8〜10の何れか一項に記載のシフトレジスタにおいて、
前記コンデンサのコンデンサ容量が寄生容量によって形成されている、シフトレジスタ。
【請求項12】
請求項8〜11の何れか一項に記載のシフトレジスタにおいて、
0V以上の電圧レベルを有する前記制御信号の基になる電圧パルス信号が入力され、かつ、前記制御信号を出力する制御信号用レベルシフト回路ユニットを更に備える、シフトレジスタ。
【請求項13】
請求項8〜13の何れか一項に記載のシフトレジスタにおいて、
前記各シフト回路ユニットが、前記第1インバータ回路及び第2インバータ回路のそれぞれの前段に、各インバータ回路に入力される電圧レベルをシフトする入力調整用レベルシフト回路を更に備える、シフトレジスタ。
【請求項14】
請求項12または13に記載のシフトレジスタにおいて、
前記各レベルシフト回路が、少なくともトランジスタによって構成されるとともに、当該トランジスタのソースに印加される電源電圧が、前記入力された電圧パルス信号における下限値の2倍以上の値である、シフトトランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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