説明

シャワーノズル

【課題】湯水の吐出が止水コックの作動と同時に行うことができて、無駄な止め直しを行う必要のないシャワーノズルを簡単な構成によって提供すること。
【解決手段】本体11の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッド10において、内部が湯水流路室13aとなる区画管13を本体11内に配置することにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成し、この区画管13の下端部内にオリフィス部材15を介装することにより、その後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成し、さらに、区画管13の上部に対応する本体11に空気の外側吸引口11aを形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー室において使用されるシャワーノズルに関し、特に、シャワー吐水に空気を混入させるようにしたシャワーノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室やシャワー室において使用されるシャワーノズルは種々なものが提案されてきているが、中でも、シャワー吐水に空気を混入させるようにしたシャワーノズルは、空気の混入によって吐水が途切れてこれが身体によい刺激になること、及び節水効果を果たすことから、例えば、特許文献1において提案されているものである。
【特許文献1】特開2002−119435号公報、要約、代表図、段落0009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1に記載されている「泡沫シャワー装置」は、「低水圧下でも確実に、吐水に空気を混入するエジェクター部から空気を混入することが出来る泡沫シャワー装置を提供する」ことを課題として、図5に示すように、「吐水に空気を混入するエジェクター部を有する泡沫シャワー装置において、前記エジェクターの空気吸引部に空気を補助的に供給する空気供給手段を備え付けた」ものである。これにより、「低水圧条件下でも充分な空気混入率が実現可能となり、水圧に対する設置の制約を著しく改善さできる」といった機能を有すると考えられる。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載されている「泡沫シャワー装置」では、図5に示したように、「湯水は、給水管2よりシャワーヘッド1内通水路途中に設けられた縮径されたノズル8に通水される。ノズル8の出口周壁には空気を吸入するための通気孔6が設けられる。シャワーヘッド1に供給された湯水は縮径されたノズル8を通過することにより湯水は流速を高められ、さらに縮径されたノズル8の吐水口付近に設けられた通気孔6より空気が引込まれ湯水に空気が混入されシャワーヘッド1先端部に備え付けられた散水板7より湯水が吐水される」(当該特許文献1の段落0009)ものであるため、次のような現象が発生する。
【0005】
すなわち、この特許文献1の「泡沫シャワー装置」では、「ノズル8の出口周壁には空気を吸入するための通気孔6が設けられる」のであり、この通気孔6は、図5に示したように、「縮径されたノズル8の吐水口付近に設けられ」ている。つまり、「散水板7」が図5の上部に位置していて「通気孔6」が下部に位置している状態のものであり、使用しているときも、この泡沫シャワー装置を壁にかけたときも、「通気孔6」が下部に位置することになる。
【0006】
このように、「通気孔6」が下部に位置すると、「泡沫シャワー装置」によるシャワーの吐出を停止させたとき、シャワーヘッド1内に残留していた湯水がこの「通気孔6」を通してポタポタと漏れ出ることになる。このことは、シャワーを止めたつもりなのに湯水が漏れ出るということを意味しているから結構気になり、つい、それが止まるまで止め直しを行う、という無駄なことを行わなければならない。
【0007】
そこで、本発明者等は、この種のシャワーノズルについて、湯水の吐出停止が瞬時に行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0008】
すなわち、本発明の目的とするところは、湯水の吐出が止水コックの作動と同時に行うことができて、無駄な止め直しを行う必要のないシャワーノズルを簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「本体11の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッド10において、
内部が湯水流路室13aとなる区画管13を本体11内に配置することにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成し、
この区画管13の下端部内にオリフィス部材15を介装することにより、その後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成し、さらに、区画管13の上部に対応する本体11に空気の外側吸引口11aを形成することにより、
オリフィス部材15内を湯水が通過したとき、外側吸引口11aからの空気を、減圧室13b内に開口した内側吸引口13cから区画管13の湯水流路室13a内に供給するようにしたことを特徴とするシャワーヘッド10」
である。
【0010】
すなわち、この請求項1に係るシャワーヘッド10は、図1に示すような外観を有するものであって、本体11の下端に、図示しない給湯器や湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水を吐水するものであるが、この吐水中に空気を混入させながらシャワー水を浴びることができるようにしたものである。
【0011】
また、このシャワーヘッド10では、図2に示すように、内部が湯水流路室13aとなる区画管13を本体11内に配置したものであり、これにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成したものである。
【0012】
さらに、このシャワーヘッド10では、図2に示すように、区画管13の下端部内にオリフィス部材15が介装してあり、このオリフィス部材15の後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成したものである。また、区画管13の上部に対応する本体11には、上述した空気の外側吸引口11aが形成してある。
【0013】
以上のように構成した本発明のシャワーヘッド10では、図示しない湯水混合栓等のコックを開いて当該シャワーヘッド10を使用しようとすると、ホース20から湯水が供給されてオリフィス部材15内を湯水が通過する。このとき、減圧室13bにては減圧状態が形成されるから、この減圧室13b内に開口した内側吸引口13cから空気流入室14内の空気または残留していた水が区画管13の湯水流路室13a内に供給される。勿論、空気流入室14内の空気または水が吸引されることによって、本体11に形成してある外側吸引口11aから外部の空気が吸引される。
【0014】
このとき、区画管13の湯水流路室13a内に供給されるのが「水」であるのは、先に当該シャワーヘッド10を使用したときにこれが残留していたからであり、この残留水が完全に吸引されてしまえば、次からは外部の空気がホース20から供給されてきた湯水中に泡となって吸引されることになる。
【0015】
以上の結果、当該シャワーヘッド10の使用時に、これを構成しているのノズル12の各ノズル穴12aからは、湯水と空気との混合物が泡沫シャワー水となって吐水されるのであり、使用者の身体に刺激を与えることになるのである。何故なら、このシャワーヘッド10を使用してシャワー水を浴びると、連続した湯水の流れが身体に当たるのではなく、途切れ途切れに湯水が当たるからである。しかも、この湯水を途切れさせている空気の分だけ、湯水の節約をしていることになり、一石二鳥の機能を発揮するのである。
【0016】
ここで、当該シャワーヘッド10の使用を止めると、ノズル12からの吐水が止まるとともに、外側吸引口11aよりも高い位置にある湯水は、その自重によって当該シャワーヘッド10の湯水流入室13a内を流れ落ちるが、この流れ落ちた湯水は、湯水流入室13aに開口していた内側吸引口13cから空気流入室14内に流れるのである。何故なら、当該シャワーヘッド10を使用している間は、空気流入室14内には空気しかなく残留水はないからである。このため、シャワーヘッド10の使用を止めれば、湯水流入室13a内を流れ落ちてきた湯水が、空気流入室14内の空気を外側吸引口11aから外部に押し出しながら空気流入室14内に流れ込むのである。
【0017】
つまり、当該シャワーヘッド10の使用を止めたときに、当該シャワーヘッド10内に残留していた湯水は、湯水流入室13a及び空気流入室14内に溜められるのであり、図5に示した従来例の場合のように、当該シャワーヘッド10の外に漏れ出ることはないのである。
【0018】
従って、この請求項1のシャワーヘッド10によれば、当該シャワーヘッド10への湯水の供給を止めたときに、残留水が外に漏れ出ることがなく、湯水混合栓について無駄な止め直しを行う必要がないものとなっているのである。
【0019】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のシャワーヘッド10について、
「空気流入室14の容積を、外側吸引口11aから上側になる本体11内の容積よりも多くなるようにしたこと」
である。
【0020】
すなわち、この請求項2のシャワーヘッド10では、止水したときに内部に残留していた湯水が、当該シャワーヘッド10内に完全に溜められるようにするものである。つまり、この請求項2のシャワーヘッド10は、外側吸引口11aから上側になる本体11内に残留していた湯水を、ホース20からの圧力がなくなったことによって流下しようとしたとき、その全部以上を空気流入室14内に戻すようにしたものである。
【0021】
従って、この請求項2のシャワーヘッド10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、シャワー水の止水を行ったときの残留水を確実に内部に保持することができるものとなっているのである。
【0022】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載のシャワーヘッド10について、
「湯水流路室13a内にネジ板材16を収納することにより、このネジ板材16の曲面によって、湯水流路室13a内に供給された空気が細かく分割されるようにしたこと」
である。
【0023】
すなわち、この請求項3のシャワーヘッド10では、図2に示すように、区画管13内にネジ板材16を収納したものであり、このネジ板材16の捻れた表面に沿って湯水と気泡が流れるようにしたものである。このネジ板材16は、区画管13の直径と同程度の幅を有した金属製の板材を捻ったものであり、その捻れ量は、6cm当たり1回〜3回程度であり、1.5回が最も好ましい。
【0024】
特に、この捻れたネジ板材16に沿って湯水と気泡が流れる際に乱流が生ずるから、この乱流によって気泡が細かく分割されることになる。細かい気泡が存在するということは、シャワー水も細かく分断されることになるから、シャワー水の身体に与える刺激は格段に柔らかくなるのである。
【0025】
従って、この請求項3に係るシャワーヘッド10は、請求項1または2のそれと同様な機構を発揮する他、シャワー水をより一層柔らかい刺激を与えるものとすることができるのである。
【発明の効果】
【0026】
以上の通り、本発明においては、
「本体11の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッド10において、
内部が湯水流路室13aとなる区画管13を本体11内に配置することにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成し、
この区画管13の下端部内にオリフィス部材15を介装することにより、その後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成し、さらに、区画管13の上部に対応する本体11に空気の外側吸引口11aを形成することにより、
オリフィス部材15内を湯水が通過したとき、外側吸引口11aからの空気を、減圧室13b内に開口した内側吸引口13cから区画管13の湯水流路室13a内に供給するようにしたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、湯水の吐出が止水コックの作動と同時に行うことができて、無駄な止め直しを行う必要のないシャワーノズル10を簡単な構成によって提供することができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態であるシャワーヘッド10について説明すると、図1には、本発明に係るシャワーヘッド10の斜視図が示してある。このシャワーヘッド10は、図1に示したように、外観は従来のそれと殆ど変わらないが、本体11の手で握る部分の少し上方に外側吸引口11aを開口させてある。勿論、このシャワーヘッド10は、図示しない湯水混合栓や給湯器等の湯水供給源に接続されるものであるから、その下端に湯水が供給されてくるホース20が連結されるのであり、湯水は、本体11の図示上端に設けてあるノズル12の各ノズル穴12aから吐水されるものである。
【0028】
本体11の内部には、図2に示したように、区画管13が収納してあり、この区画管13内が湯水流入室13aとなっているものである。この湯水流入室13aの下部に対しては、上述したホース20が連通しており、上部についてはノズル12の各ノズル穴12aが連通している。
【0029】
この区画管13の外側に形成した、本体11との間の隙間は、空気流入室14としてあり、この空気流入室14の容積は、外側吸引口11aから上側になる本体11内の容積よりも多くなるようにしてある。つまり、この空気流入室14によって、上述した外側吸引口11aより上方に位置している在留水を完全に貯留できるようにしてある。
【0030】
また、上述した区画管13とホース20との間には、図2に示したように、オリフィス部材15が介在させてある。このオリフィス部材15は、その湯水通路を途中で絞り込んだ断面形状を有するものとしたものであり、この絞り込み部分でホース20からの湯水の流速を早めながら圧力を落とすものである。そして、このオリフィス部材15は、その図示上部に位置している区画管13の下部、つまり減圧室13bに湯水を放出したとき、この減圧室13bでの減圧作用を発揮させるのである。
【0031】
この減圧室13bの周囲に位置する区画管13には内側吸引口13cが形成してあり、この内側吸引口13cは、空気流入室14を介して本体11側の外側吸引口11aに連通している。つまり、当該シャワーヘッド10内に湯水が流れるときには、減圧室13bにて減圧状態が形成されるのであり、この減圧状態によって外部の空気が、外側吸引口11a、空気流入室14そして内側吸引口13cを介して区画管13の湯水流入室13a内に吸引されることになるのである。
【0032】
また、本最良形態のシャワーヘッド10では、図2に示したように、区画管13の湯水流入室13a内にネジ板材16が収納してある。このネジ板材16は、区画管13の直径と同程度の幅を有する金属板を捻ったものであり、その捻れ量は、本最良形態の場合、ネジ板材16の長さ6cm当たり1回〜3回程度であり、1.5回が最も好ましいものである。
【0033】
このネジ板材16が存在することによって、湯水流入室13a内を流れる湯水及び吸引された空気は、ネジ板材16の捻れた曲面に沿って流れることになり、この捻れた流れによって空気は細かい気泡に分割されるのである。
【0034】
なお、本最良形態のシャワーヘッド10では、図1及び図2に示すように、本体11の手で握る部分に滑り止め17が形成してあり、この滑り止め17によって当該本体11の掴みを滑ることなく行えるようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るシャワーヘッドの斜視図である。
【図2】同シャワーヘッドの縦断面図である。
【図3】同シャワーヘッドの外観を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は背面図である。
【図4】同シャワーヘッドの各部の様子を示すもので、(イ)は図2中の1−1線に沿ってみた横断面図、(ロ)は図2中の2−2線に沿ってみた横断面図、(ハ)は塔がいシャワーヘッドの底面図である。
【図5】従来の技術を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 シャワーヘッド
11 本体
11a 外側吸引口
12 ノズル
12a ノズル穴
13 区画管
13a 湯水流入室
13b 減圧室
13c 内側吸引口
14 空気流入室
15 オリフィス部材
16 ネジ板材
17 滑り止め
20 ホース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー室において使用されるシャワーノズルに関し、特に、シャワー吐水に空気を混入させるようにしたシャワーノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室やシャワー室において使用されるシャワーノズルは種々なものが提案されてきているが、中でも、シャワー吐水に空気を混入させるようにしたシャワーノズルは、空気の混入によって吐水が途切れてこれが身体によい刺激になること、及び節水効果を果たすことから、例えば、特許文献1において提案されているものである。
【特許文献1】特開2002−119435号公報、要約、代表図、段落0009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1に記載されている「泡沫シャワー装置」は、「低水圧下でも確実に、吐水に空気を混入するエジェクター部から空気を混入することが出来る泡沫シャワー装置を提供する」ことを課題として、図5に示すように、「吐水に空気を混入するエジェクター部を有する泡沫シャワー装置において、前記エジェクターの空気吸引部に空気を補助的に供給する空気供給手段を備え付けた」ものである。これにより、「低水圧条件下でも充分な空気混入率が実現可能となり、水圧に対する設置の制約を著しく改善さできる」といった機能を有すると考えられる。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載されている「泡沫シャワー装置」では、図5に示したように、「湯水は、給水管2よりシャワーヘッド1内通水路途中に設けられた縮径されたノズル8に通水される。ノズル8の出口周壁には空気を吸入するための通気孔6が設けられる。シャワーヘッド1に供給された湯水は縮径されたノズル8を通過することにより湯水は流速を高められ、さらに縮径されたノズル8の吐水口付近に設けられた通気孔6より空気が引込まれ湯水に空気が混入されシャワーヘッド1先端部に備え付けられた散水板7より湯水が吐水される」(当該特許文献1の段落0009)ものであるため、次のような現象が発生する。
【0005】
すなわち、この特許文献1の「泡沫シャワー装置」では、「ノズル8の出口周壁には空気を吸入するための通気孔6が設けられる」のであり、この通気孔6は、図5に示したように、「縮径されたノズル8の吐水口付近に設けられ」ている。つまり、「散水板7」が図5の上部に位置していて「通気孔6」が下部に位置している状態のものであり、使用しているときも、この泡沫シャワー装置を壁にかけたときも、「通気孔6」が下部に位置することになる。
【0006】
このように、「通気孔6」が下部に位置すると、「泡沫シャワー装置」によるシャワーの吐出を停止させたとき、シャワーヘッド1内に残留していた湯水がこの「通気孔6」を通してポタポタと漏れ出ることになる。このことは、シャワーを止めたつもりなのに湯水が漏れ出るということを意味しているから結構気になり、つい、それが止まるまで止め直しを行う、という無駄なことを行わなければならない。
【0007】
そこで、本発明者等は、この種のシャワーノズルについて、湯水の吐出停止が瞬時に行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0008】
すなわち、本発明の目的とするところは、湯水の吐出が止水コックの作動と同時に行うことができて、無駄な止め直しを行う必要のないシャワーノズルを簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「本体11の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッド10において、
内部が湯水流入室13aとなる区画管13を本体11内に配置することにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成し、
この区画管13の下端部内にオリフィス部材15を介装することにより、その後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成し、さらに、区画管13の上部に対応する本体11に空気の外側吸引口11aを形成することにより、
オリフィス部材15内を湯水が通過したとき、外側吸引口11aからの空気を、減圧室13b内に開口した内側吸引口13cから区画管13の湯水流入室13a内に供給するようにしたことを特徴とするシャワーヘッド10」
である。
【0010】
すなわち、この請求項1に係るシャワーヘッド10は、図1に示すような外観を有するものであって、本体11の下端に、図示しない給湯器や湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水を吐水するものであるが、この吐水中に空気を混入させながらシャワー水を浴びることができるようにしたものである。
【0011】
また、このシャワーヘッド10では、図2に示すように、内部が湯水流入室13aとなる区画管13を本体11内に配置したものであり、これにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成したものである。
【0012】
さらに、このシャワーヘッド10では、図2に示すように、区画管13の下端部内にオリフィス部材15が介装してあり、このオリフィス部材15の後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成したものである。また、区画管13の上部に対応する本体11には、上述した空気の外側吸引口11aが形成してある。
【0013】
以上のように構成した本発明のシャワーヘッド10では、図示しない湯水混合栓等のコックを開いて当該シャワーヘッド10を使用しようとすると、ホース20から湯水が供給されてオリフィス部材15内を湯水が通過する。このとき、減圧室13bにては減圧状態が形成されるから、この減圧室13b内に開口した内側吸引口13cから空気流入室14内の空気または残留していた水が区画管13の湯水流入室13a内に供給される。勿論、空気流入室14内の空気または水が吸引されることによって、本体11に形成してある外側吸引口11aから外部の空気が吸引される。
【0014】
このとき、区画管13の湯水流入室13a内に供給されるのが「水」であるのは、先に当該シャワーヘッド10を使用したときにこれが残留していたからであり、この残留水が完全に吸引されてしまえば、次からは外部の空気がホース20から供給されてきた湯水中に泡となって吸引されることになる。
【0015】
以上の結果、当該シャワーヘッド10の使用時に、これを構成しているノズル12の各ノズル穴12aからは、湯水と空気との混合物が泡沫シャワー水となって吐水されるのであり、使用者の身体に刺激を与えることになるのである。何故なら、このシャワーヘッド10を使用してシャワー水を浴びると、連続した湯水の流れが身体に当たるのではなく、途切れ途切れに湯水が当たるからである。しかも、この湯水を途切れさせている空気の分だけ、湯水の節約をしていることになり、一石二鳥の機能を発揮するのである。
【0016】
ここで、当該シャワーヘッド10の使用を止めると、ノズル12からの吐水が止まるとともに、外側吸引口11aよりも高い位置にある湯水は、その自重によって当該シャワーヘッド10の湯水流入室13a内を流れ落ちるが、この流れ落ちた湯水は、湯水流入室13aに開口していた内側吸引口13cから空気流入室14内に流れるのである。何故なら、当該シャワーヘッド10を使用している間は、空気流入室14内には空気しかなく残留水はないからである。このため、シャワーヘッド10の使用を止めれば、湯水流入室13a内を流れ落ちてきた湯水が、空気流入室14内の空気を外側吸引口11aから外部に押し出しながら空気流入室14内に流れ込むのである。
【0017】
つまり、当該シャワーヘッド10の使用を止めたときに、当該シャワーヘッド10内に残留していた湯水は、湯水流入室13a及び空気流入室14内に溜められるのであり、図5に示した従来例の場合のように、当該シャワーヘッド10の外に漏れ出ることはないのである。
【0018】
従って、この請求項1のシャワーヘッド10によれば、当該シャワーヘッド10への湯水の供給を止めたときに、残留水が外に漏れ出ることがなく、湯水混合栓について無駄な止め直しを行う必要がないものとなっているのである。
【0019】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のシャワーヘッド10について、
「空気流入室14の容積を、外側吸引口11aから上側になる本体11内の容積よりも多くなるようにしたこと」
である。
【0020】
すなわち、この請求項2のシャワーヘッド10では、止水したときに内部に残留していた湯水が、当該シャワーヘッド10内に完全に溜められるようにするものである。つまり、この請求項2のシャワーヘッド10は、外側吸引口11aから上側になる本体11内に残留していた湯水を、ホース20からの圧力がなくなったことによって流下しようとしたとき、その全部以上を空気流入室14内に戻すようにしたものである。
【0021】
従って、この請求項2のシャワーヘッド10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、シャワー水の止水を行ったときの残留水を確実に内部に保持することができるものとなっているのである。
【0022】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載のシャワーヘッド10について、
湯水流入室13a内にネジ板材16を収納することにより、このネジ板材16の曲面によって、湯水流入室13a内に供給された空気が細かく分割されるようにしたこと」
である。
【0023】
すなわち、この請求項3のシャワーヘッド10では、図2に示すように、区画管13内にネジ板材16を収納したものであり、このネジ板材16の捻れた表面に沿って湯水と気泡が流れるようにしたものである。このネジ板材16は、区画管13の直径と同程度の幅を有した金属製の板材を捻ったものであり、その捻れ量は、6cm当たり1回〜3回程度であり、1.5回が最も好ましい。
【0024】
特に、この捻れたネジ板材16に沿って湯水と気泡が流れる際に乱流が生ずるから、この乱流によって気泡が細かく分割されることになる。細かい気泡が存在するということは、シャワー水も細かく分断されることになるから、シャワー水の身体に与える刺激は格段に柔らかくなるのである。
【0025】
従って、この請求項3に係るシャワーヘッド10は、請求項1または2のそれと同様な機構を発揮する他、シャワー水をより一層柔らかい刺激を与えるものとすることができるのである。
【発明の効果】
【0026】
以上の通り、本発明においては、
「本体11の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホース20が接続されて、上部のノズル12からシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッド10において、
内部が湯水流入室13aとなる区画管13を本体11内に配置することにより、この区画管13と本体11との間に空気流入室14を形成し、
この区画管13の下端部内にオリフィス部材15を介装することにより、その後流側に減圧室13bを形成するとともに、この減圧室13bを囲む区画管13に空気の内側吸引口13cを形成し、さらに、区画管13の上部に対応する本体11に空気の外側吸引口11aを形成することにより、
オリフィス部材15内を湯水が通過したとき、外側吸引口11aからの空気を、減圧室13b内に開口した内側吸引口13cから区画管13の湯水流入室13a内に供給するようにしたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、湯水の吐出が止水コックの作動と同時に行うことができて、無駄な止め直しを行う必要のないシャワーノズル10を簡単な構成によって提供することができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態であるシャワーヘッド10について説明すると、図1には、本発明に係るシャワーヘッド10の斜視図が示してある。このシャワーヘッド10は、図1に示したように、外観は従来のそれと殆ど変わらないが、本体11の手で握る部分の少し上方に外側吸引口11aを開口させてある。勿論、このシャワーヘッド10は、図示しない湯水混合栓や給湯器等の湯水供給源に接続されるものであるから、その下端に湯水が供給されてくるホース20が連結されるのであり、湯水は、本体11の図示上端に設けてあるノズル12の各ノズル穴12aから吐水されるものである。
【0028】
本体11の内部には、図2に示したように、区画管13が収納してあり、この区画管13内が湯水流入室13aとなっているものである。この湯水流入室13aの下部に対しては、上述したホース20が連通しており、上部についてはノズル12の各ノズル穴12aが連通している。
【0029】
この区画管13の外側に形成した、本体11との間の隙間は、空気流入室14としてあり、この空気流入室14の容積は、外側吸引口11aから上側になる本体11内の容積よりも多くなるようにしてある。つまり、この空気流入室14によって、上述した外側吸引口11aより上方に位置している在留水を完全に貯留できるようにしてある。
【0030】
また、上述した区画管13とホース20との間には、図2に示したように、オリフィス部材15が介在させてある。このオリフィス部材15は、その湯水通路を途中で絞り込んだ断面形状を有するものとしたものであり、この絞り込み部分でホース20からの湯水の流速を早めながら圧力を落とすものである。そして、このオリフィス部材15は、その図示上部に位置している区画管13の下部、つまり減圧室13bに湯水を放出したとき、この減圧室13bでの減圧作用を発揮させるのである。
【0031】
この減圧室13bの周囲に位置する区画管13には内側吸引口13cが形成してあり、この内側吸引口13cは、空気流入室14を介して本体11側の外側吸引口11aに連通している。つまり、当該シャワーヘッド10内に湯水が流れるときには、減圧室13bにて減圧状態が形成されるのであり、この減圧状態によって外部の空気が、外側吸引口11a、空気流入室14そして内側吸引口13cを介して区画管13の湯水流入室13a内に吸引されることになるのである。
【0032】
また、本最良形態のシャワーヘッド10では、図2に示したように、区画管13の湯水流入室13a内にネジ板材16が収納してある。このネジ板材16は、区画管13の直径と同程度の幅を有する金属板を捻ったものであり、その捻れ量は、本最良形態の場合、ネジ板材16の長さ6cm当たり1回〜3回程度であり、1.5回が最も好ましいものである。
【0033】
このネジ板材16が存在することによって、湯水流入室13a内を流れる湯水及び吸引された空気は、ネジ板材16の捻れた曲面に沿って流れることになり、この捻れた流れによって空気は細かい気泡に分割されるのである。
【0034】
なお、本最良形態のシャワーヘッド10では、図1及び図2に示すように、本体11の手で握る部分に滑り止め17が形成してあり、この滑り止め17によって当該本体11の掴みを滑ることなく行えるようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るシャワーヘッドの斜視図である。
【図2】同シャワーヘッドの縦断面図である。
【図3】同シャワーヘッドの外観を示すもので、(イ)は正面図、(ロ)は背面図で ある。
【図4】同シャワーヘッドの各部の様子を示すもので、(イ)は図2中の1−1線に 沿ってみた横断面図、(ロ)は図2中の2−2線に沿ってみた横断面図、(ハ)は塔 がいシャワーヘッドの底面図である。
【図5】従来の技術を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 シャワーヘッド
11 本体
11a 外側吸引口
12 ノズル
12a ノズル穴
13 区画管
13a 湯水流入室
13b 減圧室
13c 内側吸引口
14 空気流入室
15 オリフィス部材
16 ネジ板材
17 滑り止め
20 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホースが接続されて、上部のノズルからシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッドにおいて、
内部が湯水流路室となる区画管を前記本体内に配置することにより、この区画管と前記本体との間に空気流入室を形成し、
この区画管の下端部内にオリフィス部材を介装することにより、その後流側に減圧室を形成するとともに、この減圧室を囲む前記区画管に空気の内側吸引口を形成し、さらに、前記区画管の上部に対応する前記本体に空気の外側吸引口を形成することにより、
前記オリフィス部材内を湯水が通過したとき、前記外側吸引口からの空気を、前記減圧室内に開口した内側吸引口から前記区画管の湯水流路室内に供給するようにしたことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記空気流入室の容積を、前記外側吸引口から上側になる本体内の容積よりも多くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記湯水流路室内にネジ板材を収納することにより、このネジ板材の曲面によって、前記湯水流路室内に供給された空気が細かく分割されるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシャワーヘッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の下端に湯水混合栓からの湯水を供給するホースが接続されて、上部のノズルからシャワー水が吐水されるシャワ−ヘッドにおいて、
内部が湯水流入室となる区画管を前記本体内に配置することにより、この区画管と前記本体との間に空気流入室を形成し、
この区画管の下端部内にオリフィス部材を介装することにより、その後流側に減圧室を形成するとともに、この減圧室を囲む前記区画管に空気の内側吸引口を形成し、さらに、前記区画管の上部に対応する前記本体に空気の外側吸引口を形成することにより、
前記オリフィス部材内を湯水が通過したとき、前記外側吸引口からの空気を、前記減圧室内に開口した内側吸引口から前記区画管の湯水流入室内に供給するようにしたことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記空気流入室の容積を、前記外側吸引口から上側になる本体内の容積よりも多くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記湯水流入室内にネジ板材を収納することにより、このネジ板材の曲面によって、前記湯水流入室内に供給された空気が細かく分割されるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−239106(P2006−239106A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58417(P2005−58417)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【特許番号】特許第3747323号(P3747323)
【特許公報発行日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(599166459)有限会社田中金属製作所 (7)
【Fターム(参考)】