説明

シャワーフェイス及びシャワーヘッド

【課題】エア流入シャワーを吐出可能としながらも一定以上の刺激感も有し、所定の節水効果をもたらすことのできるシャワーフェイス及びシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】互いに独立した第一散水孔36a,36bと第二散水孔64とが形成され、第一散水孔36a,36bはシャワーヘッド本体の第三流路6と連通し、第二散水孔64の一次側には、シャワーヘッド本体の第三流路6に連通可能な通水孔42と、通水孔42及び第二散水孔64に連通する空気混合室73が設けられ、空気混合室73にはシャワーフェイス1a外側に連通される空気孔45a,45cが設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャワーフェイス及びシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、節水効果や柔らかなシャワーの感触を得るために、散水内にエア(空気)を流入させて吐出させるエア流入シャワーヘッドが知られている(特許文献1参照)。このエア流入シャワーヘッドは以下のようにして散水内にエアを流入させる。この種のエア流入シャワーヘッドでは、シャワーフェイスの一次側近傍に、湯水が流通する流路と連通される空気混合室が設けられている。そして、この空気混合室にはヘッド本体の外部と連通するように形成された空気孔も連通されている。シャワー散水時には、シャワーフェイスの散水孔から吐出される湯水の負圧により空気孔から空気混合室にエアを引き込み、この空気混合室においてエアと湯水とを混合して散水孔から吐出させる。このようなエア流入シャワーヘッドでは、散水にエアを多く含ませることにより各散水のボリューム感を増すことができる。そして、シャワーのボリューム感を増したことにより、少ない流量のシャワーであっても使用者がシャワーの使用感を十分に感じることができるようにして節水効果をもたらすことができる。また、各散水にエアを多く含ませることができるので通常のシャワー散水よりも柔らかな使用感のシャワーを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−67273号報(第6図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のシャワーヘッドでは、以下のような問題があった。エアを流入させてシャワーのボリューム感を増してはいるが、一方では、エアが散水に流入され柔らかな使用感のシャワーとなるため、シャワーによる「刺激感」は薄れている。このため、石鹸類を洗い流す際など、使用者が強めのシャワーを欲する場合に、シャワーの散水時間が長めとなってしまったり、シャワーの流量を多めにするなどの対応を使用者が取ることがある。よって、結局は、シャワーのボリューム感をもたらすことによって想定していた十分な節水効果を得られない。
【0005】
本発明は前述した従来のシャワーフェイス及びシャワーヘッドの問題点を解決するものであり、エア流入シャワーを吐出可能としながらも一定以上の刺激感も有し、所定の節水効果をもたらすことのできるシャワーフェイス及びシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の手段は、
互いに独立した第一散水孔と第二散水孔とが形成され、前記第一散水孔はシャワーヘッド本体の流路と連通し、前記第二散水孔の一次側には、シャワーヘッド本体の流路に連通可能な通水孔と、前記通水孔及び前記第二散水孔に連通する空気混合室が設けられ、前記空気混合室には外気と連通する空気孔が設けられたことを特徴とするシャワーフェイスである。
【0007】
本発明においては、通水孔から流入される湯水が第二散水孔から吐出される際に、湯水の吐出によって空気孔に生ずる負圧により、空気孔から空気混合室へエアが混入される。よって、第二散水孔からはエアが流入された散水を吐出することができる。そして、このようにエアが流入された散水を吐出可能な第二散水孔と、エアが流入されない散水を吐出可能な第一散水孔とを、それぞれシャワーフェイスに備えている。よって、第二散水孔からの散水は、ボリューム感を持ち、優しい感触を保持しつつも、第一散水孔からの散水は通常の散水と同様の刺激感を得られる。したがって、本発明のシャワーフェイスによる散水は、一定以上の刺激感を保ちながらもエア流入による散水のボリューム感を得ることができるので、使用者が、散水の刺激感が薄いために散水時間を長めにしたり流量を多めにするなどとすることがなく、エア流入による所定の節水効果を得ることができる。
【0008】
また、本発明の第二の手段は、前述した第一の手段のシャワーフェイスであって、
第一シャワーフェイスと第二シャワーフェイスとが、それぞれ別体に形成され、前記第一散水孔が前記第一シャワーフェイスに設けられ、前記第二散水孔が前記第二シャワーフェイスに設けられたことを特徴とするシャワーフェイスである。
【0009】
第一散水孔と第二散水孔とをそれぞれ別体の第一シャワーフェイスと第二シャワーフェイスとに設けることにより、両部品を組み付けることにより空気混合室を容易に形成できるなど、異なる散水態様を実施するのに必要なシャワーフェイスを容易に製造することができる。
【0010】
また、本発明の第三の手段は、前述した第一又は第二の手段のシャワーフェイスであって、
前記第一散水孔が底面視外側に、前記第二散水孔が底面視内側に配設されたことを特徴とするシャワーフェイスである。
【0011】
エアを流入した散水は、エアの破裂音により通常の散水よりも散水音が大きくなる傾向にある。本発明のように、第二散水孔を第一散水孔の内側に配設することにより、エアを流入した散水の散水音を通常の散水により遮蔽し、散水音を低減することができる。また、散水時において負圧が低下した際などに空気孔から湯水が漏れた場合にも、周りの第一散水孔からの通常の散水によって漏れを目視しにくくすることができる。
【0012】
また、本発明の第四の手段は、前述した第一又は第二のいずれかの手段のシャワーフェイスであって、
前記第二散水孔が底面視外側に、前記第一散水孔が底面視内側に配設されたことを特徴とするシャワーフェイスである。
【0013】
散水全体のうちの内側に通常の散水を行う第一散水孔を配置させることができるので、使用者が向けた散水位置の中央に刺激感の強い通常の散水を得ることができる。よって、使用者にとってよりシャワーの刺激感を感じさせることができる。
【0014】
また、本発明の第五の手段は、前述した第一から第四のいずれかの手段のシャワーフェイスであって、
前記空気孔の開口面積を可変可能にする可変手段を備えたことを特徴とするシャワーフェイスである。
【0015】
このような可変手段を設けることにより、空気孔の開口面積を変化させ、第二散水孔からの散水へのエアの混入量を調整可能とし、シャワーのボリューム感の変化や、散水の温度調整などを変更することができる。
【0016】
また、本発明の第六の手段は、
前記した第一から第五までのいずれかの手段のシャワーフェイスを備えたことを特徴とするシャワーヘッドである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシャワーフェイス及びシャワーヘッドは前述のように構成されているので、エアが流入されない散水を吐出可能な第一散水孔とエアが流入された散水を吐出可能な第二散水孔とをそれぞれシャワーフェイスに備え、通常の散水により一定以上の刺激感を保ちながらもエア流入による散水のボリューム感を得ることができるので、使用者が、散水の刺激感が薄いために散水時間を長めにしたり流量を多めにするなどとすることがなく、エア流入による所定の節水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のシャワーヘッドの側面視縦断面図である。
【図2】図1のシャワーヘッドの要部拡大縦断面図である。
【図3】図1のシャワーヘッドの一部底面図である。
【図4】図1のシャワーヘッドに用いるシャワーフェイスの分解斜視図である。
【図5】図4のシャワーフェイスのうちの第一シャワーフェイスの側面図である。
【図6】図5の第一シャワーフェイスの正面図である。
【図7】図6の第一シャワーフェイスのA−A線断面図である。
【図8】図4のシャワーフェイスのうちの第二シャワーフェイスの側面視断面図である。
【図9】本発明の別のシャワーヘッドの要部拡大縦断面図である。
【図10】本発明のさらに別のシャワーヘッドの要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を図を参考にして詳細に説明する。図1に示されるように、本実施の形態のシャワーヘッド1aは、基端側に細長形状の把持部2を備え、先端側に底面視円形の散水部3を有するシャワーヘッド本体10を備えるものである。また、図示は省略するが、本シャワーヘッド1aは、把持部2の基端側がシャワーホースを介して湯水混合水栓に接続され、使用者が手によって把持部2を保持して所望の部位に散水をすることが可能な手持ち式のシャワーヘッドである。また、本実施の形態においては、浴室内に設置されるシャワー装置に用いられるシャワーヘッドを想定している。
【0020】
シャワーヘッド1aの把持部2内には、シャワーホースと連通されて湯水が流通される第一流路4が形成されている。また、散水部3内には、この第一流路4と連通される第二流路5及び第三流路6が形成されている。図2に示されるように、散水部3の底面側には、内周面に雌ねじ7が刻設されて後述するシャワーフェイス20が螺着固定される開口部9が形成されている。前述した第二流路5は、把持部2内の第一流路4と連通するとともに、散水部3内において開口部9方向に向けて散水部3の軸心方向に沿って形成されている。そして、第三流路6は、この第二流路5の先端に連通されるとともに、ほぼ開口部9全体に渡って円盤状に形成され、シャワーフェイス20の裏面側に臨むようにして設けられている。
【0021】
次いでシャワーフェイス20について説明する。シャワーフェイス20は図3及び図4に示されるように、薄い円盤状の全体形状に形成され、別体に形成された大径の第一シャワーフェイス30と小径の第二シャワーフェイス60とから構成されている。
【0022】
図5から図7に示されるように、第一シャワーフェイス30には、外周面に雄ねじ31が刻設された雄ねじ部32と、雄ねじ部32の先端側に連接されるとともに雄ねじ部32よりも大径に形成されたフェイス部34と、フェイス部34の中心の先端側に突設された円柱状の突設部40とが備えられている。
【0023】
円筒状に形成された雄ねじ部32は、前述したシャワーヘッド本体10の散水部3に第一シャワーフェイス30を固定するためのものであり、開口部9内の雌ねじ7に螺着可能に構成されている。
【0024】
第一シャワーフェイス30のフェイス部34は、雄ねじ部31よりも大径に形成されている。また、フェイス部34の外周端の鍔部35は、シャワーヘッド本体10の開口部9よりも大径に形成されており、図2に示されるように、第一シャワーフェイス30を開口部9に螺着する作業の際に開口部9の開口端部8に係止されて、第一シャワーフェイス30の散水部3へのねじ込み量と位置決めを行うように構成されている。
【0025】
図4から図7に示されるように、フェイス部34には、裏面側から表面側にかけて多数の第一散水孔36が穿設されている。本例では、図3及び図4に示されるように、第一シャワーフェイス30の底面視において、中心寄りに15個の第一散水孔36aが、フェイス部34の中心軸回りの円周上に配置され、さらにこれらの第一散水孔36aの外側に20個の第一散水孔36bが、第一散水孔36aと同心円上に配置されている。しかしながら、本発明において、これらの第一散水孔36の数や配置に特に限定は無い。
【0026】
また、図4及び図7に示されるように、これらの第一散水孔36よりも内側には、フェイス部34の裏面側から突設部40の先端側にかけて多数の通水孔42が穿設されている。本例では、これらの通水孔42は、第一シャワーフェイス30の底面視において、フェイス部34の中心軸回りの円周上に8個等間隔で配設されている。しかしながら、本発明において、これらの通水孔42の数や配置に特に限定は無い。
【0027】
図5から図7に示されるように、第一シャワーフェイス30の突設部40は円柱状に形成されている。突設部40はフェイス部34の直径の約3分の1の直径に形成されている。また、突設部40の基端側には大径部44が、大径部44の先端側には大径部44よりも僅かに小径に形成された中径部46が、中径部46の先端側には中径部46よりもさらに僅かに小径に形成された小径部50が、それぞれ形成されている。
【0028】
第一シャワーフェイス30の大径部44には、図4から図6に示されるように、その外周面から中心軸方向に向かって、図示を一部省略するが外気と連通する4つの空気孔45a〜45dが形成されている。本例では、空気孔45a〜45dは小径部44の中心軸回りに90度ずつの均等角度をおいて配設されている。
【0029】
第一シャワーフェイス30の中径部46の外周面には、外周方向の所定の範囲に渡って半径外方向に向けて僅かに突設された突条部48が形成されている。本例では、二つの突条部48が中径部46の中心軸を挟んだ対向する部位に設けられている。これらの突条部48は、後述する第二シャワーフェイス60の凹溝68内に収容固定可能に構成され、第一シャワーフェイス30に対して第二シャワーフェイス60が回転可能に固定されるように設けられている。
【0030】
図4及び図7に示されるように、第一シャワーフェイス30の小径部50の外回りには、大径部44及び中径部46との間に、突設部40の先端方向から奥側に向けて、突設部40の底面視において周回状に凹設された周溝49が周設されている。この周溝49は、前述した空気孔45a〜45dに連通されている。そして、前述したように、小径部50の先端面には、フェイス部34の裏面側から穿設された通水孔42が開設されている。
【0031】
次いで第二シャワーフェイス60について説明する。図4及び図8に示されるように、第二シャワーフェイス60は有底円筒状の全体形状に形成されている。第二シャワーフェイス60の底部62には、多数の第二散水孔64が穿設されている。本例では、底面視において、第二シャワーフェイス60の中心軸回りの円周上に8つの第二散水孔64が配設されているが、これらの第二散水孔64は、第一シャワーフェイス30に設けられた通水孔42とそれぞれ同位置に対応する位置に設けられている。そして、後述するように、第二シャワーフェイス60が第一シャワーフェイス30に所定の位置で固定された場合には、各通水孔42に各第二散水孔64がそれぞれの軸心方向を揃える様にして配置されるように設けられている。
【0032】
また、第二シャワーフェイス60の内周面には、第二シャワーフェイス60を第一シャワーフェイス30に固定するために、その内周方向の所定の範囲に渡って凹溝68が凹設されている。本例では、二つの凹溝68が第二シャワーフェイス60の中心軸を挟んだ対向する部位に設けられている。凹溝68は、前述した第一シャワーフェイス30の突条部48とほぼ同一の幅に形成されており、第一シャワーフェイス30に第二シャワーフェイス60を固定する際に、凹溝68内に収容される突条部48が、幅方向において凹溝68内に摺接されることにより、第一シャワーフェイス30の軸心方向における第二シャワーフェイス60の位置決めかつ固定が可能に構成されている。また、凹溝68は、内部に突条部48をそれぞれ収容しながら、図8に示される突条部48の長さ方向端部47が凹溝68の長さ方向壁部69に当接するまでの所定の角度に渡って、第一シャワーフェイス30に対して第二シャワーフェイス60が回動可能に設けられている。
【0033】
また、図4及び図8に示されるように、第二シャワーフェイス60の内周面には、それぞれの凹溝68の長さ方向一端側と連設するとともに、第二シャワーフェイス60の開口端部に渡って第二シャワーフェイス60の半径方向外側に凹設される凹部70が設けられている。凹溝68は凹部70奥側において凹部70に連設されている。本例では、二つの凹部70が第二シャワーフェイス60の中心軸を挟んだ対向する部位に設けられている。対向する凹部70は、第二シャワーフェイス60の中心軸を挟んで、第一シャワーフェイス30の中心軸を挟んだ二つの突条部48の間隔よりも僅かに大きな間隔で形成され、かつ、それぞれの突条部48よりも長さ方向において長く形成されている。
【0034】
よって、第一シャワーフェイス30の突条部48を第二シャワーフェイス60の凹部70に位置合わせした上で第二シャワーフェイス60を第一シャワーフェイス30に向けて押し込んだ際には、凹部70奥まで突条部48が挿入可能とされている。そして、凹部70奥まで突条部48が位置するように押し込んだ状態で、第二シャワーフェイス60をその先端側からみて右回りに回転させると、突条部48が凹溝68内に嵌合されるように摺動されつつ収容され、さらに突条部48の長さ方向端部47が凹溝68の長さ方向壁部69に当接すると、第一シャワーフェイス30に対する第二シャワーフェイス60の周回りの正確な位置決めがなされる。この位置決めがなされた状態においては、前述の通り、通水孔42と第二散水孔64との位置がそれぞれ対応する正確な位置となるように構成されている。
【0035】
図2に示されるように、このように構成された第二シャワーフェイス60が第一シャワーフェイス30に固定された状態では、第二シャワーフェイス60の内側と第一シャワーフェイス30との間に、周溝49と連通される隙間72が形成される。隙間72は第二シャワーフェイス60の底部62の第二散水孔64にも連通される。本例では、周溝49と隙間72とが本発明にいう空気混合室73となる。
【0036】
このように構成されたシャワーヘッド1aにおいて散水を行う場合には、シャワーヘッド本体10の第一流路4、第二流路5、第三流路6を経て流通された湯水の一部は、第一シャワーフェイス30の第一散水孔36から吐出される。第一散水孔36から吐出される散水は、エアをほとんど含まない通常の散水である。
【0037】
一方、第三流路6まで至った湯水の一部は、通水孔42へと流入される。通水孔42から隙間72へと流れた湯水は、各第二散水孔64から吐出される。前述の通り、第二シャワーフェイス60が第一シャワーフェイス30に適切に位置決めされた場合には、各通水孔42と各第二散水孔64とがそれぞれ対応する位置に配置されるように構成されており、この場合には通水孔42から隙間72に流れた湯水が第二散水孔64から円滑に吐出されるように設けられている。
【0038】
そして、この際に、隙間72及び周溝49内、すなわち空気混合室73の湯水が第二散水孔64から吐出される際の負圧によって、外気と連通する空気孔45a〜45dから空気混合室73内にエアが引き込まれ通水孔42から流入された湯水と混合される。よって、第二散水孔64からは細かなエアが混入された散水が吐出されることになる。本例では前述のように各通水孔42と各第二散水孔64との位置を適切に合わせて第二散水孔64から湯水が円滑に吐出されるようにしているので、空気孔45a〜45dに所定以上の負圧を生じさせ、エアの混入を適切に行うことができる。
【0039】
このシャワーヘッド1aにおいては、前述の通り、シャワーフェイス20の一部からは通常の散水を行い、別の部位からはエアを混入した散水を同時に行うことができる。よって、エアを混入した散水を得つつも、通常の散水によって一定以上のシャワーの刺激感を失うことが無い。したがって、本シャワーヘッド1aを使用する際には、刺激感を失うことからシャワーの散水時間が長めになったり、流量を多めとなるようハンドル操作するなどの使用者の使用傾向を抑制することを可能としながらも、エアを混入させることができるので、所定時間当たりの使用流量を抑えることができ、所定の節水効果を容易に得ることができる。
【0040】
また、通常は、湯水よりも混入されるエアの方が温度が低いため、特に外気温が低い冬場には、エアを混入することにより吐出される湯水の温度が低下するおそれがある。しかしながら、本シャワーヘッド1aでは、エアの混入量が少ないので湯水の温度の低下を抑えることができる。また、散水時には、空気孔45a〜45dの近傍において第一散水孔36から所定の湯温の通常の散水が行われているので、空気孔45a〜45dからは比較的暖かいままのエアが引き込まれる。よって、エア混入による第二散水孔64からの散水の湯温の低下を抑えることもできる。特に本シャワーヘッド1aでは通常の散水を行う第一散水孔36の内側に第二散水孔64が配設されているので、混入されるエアは第一散水孔36からの散水により温度の低下をより抑えることができるので、第二散水孔64からの散水の湯温の低下をより一層抑えることができる。また、空気孔45a〜45dをシャワーフェイス20に設けており、シャワーヘッド本体10に空気孔を設ける例と比較して、空気孔45a〜45d開口部から第二散水孔64までの距離を短くすることができる。よって、空気が混入されて低下される温度をより抑えることができるので、この点においても第二散水孔64からの湯水の温度の低下を抑えることができる。
【0041】
また、散水停止時等、空気混合室73の流水圧が低下した場合に空気孔45a〜45dの負圧が低下し、空気混合室73内の湯水が空気孔45a〜45dからシャワーヘッド1a外に漏れることがある。この場合にも、空気孔45a〜45dはシャワーフェイス20に設けられており、本来湯水が吐出される部位から一時的に漏れるだけなので、使用者が、シャワーヘッド1aが破損したなどの故障を生じたと誤認するおそれを少なくすることができる。また、本例においては、散水時において水漏れを生じた場合にも、外側の第一散水孔36により水漏れを隠ぺいすることができる。また、空気孔45a〜45dを第一シャワーフェイス30と第二シャワーフェイス60との間に配設しているので、シャワー散水時に空気孔45a〜45dから空気が吸い込まれる音を、散水音によって隠ぺいすることができる。
【0042】
ついで、本発明の別の実施の形態について説明する。図9に示されるように、本発明の別の実施の形態であるシャワーヘッド1bは、前述したシャワーヘッド1aと異なり、シャワーフェイス30の底面視外側からエアを混入した散水を行わせ、底面視内側からエアを混入しない通常の散水を行わせるものである。なお、以降の記載において、前述したシャワーヘッド1aと共通する構成については図面中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
本シャワーヘッド1bにおいては、シャワーヘッド10本体はシャワーヘッド1aのものと同一の構成を備えている。一方、シャワーフェイス80は散水部3に固定される第一シャワーフェイス82と、この第一シャワーフェイス82に固定される第二シャワーフェイス90とを備えている。
【0044】
第一シャワーフェイス82は有底円筒状に形成されており、外周面に雄ねじ31が刻設された雄ねじ部32と、雄ねじ部32の先端側に連接されるとともに雄ねじ部32よりも大径に形成された円盤状の通水孔部84と、通水孔部84の中心の先端側に突設された有底円筒状のフェイス部86とが備えられている。通水孔部84には多数の通水孔42が形成されている。また、フェイス部86の底部87には多数の第一散水孔36が形成されている。
【0045】
第二シャワーフェイス90は、その底部96の中心に挿通孔91が開口されている。また、外周部に外筒部92が、挿通孔91周りに内筒部94が、それぞれ立設され、全体として薄い有底円筒状に形成されている。底部96には多数の第二散水孔64が形成されており、これらの第二散水孔64は、第一シャワーフェイス82に対して第二シャワーフェイス90が適切に位置決めされた場合に、各通水孔42に対応する位置となるように配設されている。なお、第一シャワーフェイス82に対する第二シャワーフェイス90の位置決め及び固定については、シャワーヘッド1aと同様に、突条部48、凹部(図示省略)及び凹溝68によって行われる。
【0046】
第二シャワーフェイス90の底部96の中心に開口された挿通孔91は、内筒部94とともに第一散水孔36が形成されたフェイス部86が挿通可能な内径に形成されており、さらに、挿通孔91及び内筒部94の内周面と、フェイス部86との間に、空気が流通可能な所定間隔以上の隙間98が設けられる大きさに形成されている。また、内筒部94の先端面には、前述の隙間98と連通されるとともに、内筒部94と外筒部92との間の空間に連通されるさらに外気と連通する空気孔99が形成されている。なお、全ての空気孔99の図示は省略するが、空気孔99は内筒部94の軸心回りに90度ずつ等角度をおいて均等に4つ配設されている。そして、第一シャワーフェイス82に対して第二シャワーフェイス90が固定された状態において、第二シャワーフェイス90の外筒部92、内筒部94、底部96、及び第一シャワーフェイス82の通水孔部84により囲まれた空間が、通水孔42を介して第三流路6に連通されるとともに、空気孔99に連通される空気混合室100として形成される。
【0047】
このようにして構成されたシャワーヘッド1bのシャワーにおいては、刺激感を失うことなく所定量のエア混入による節水効果を容易に得ることができるほか、散水全体のうちの内側に通常の散水を吐出する第一散水孔36を配置させているので、使用者が向けた散水位置の中央に刺激感の強い通常の散水を得ることができる。よって、使用者にとってよりシャワーの刺激感を感じさせる散水とすることができる。
【0048】
次いで、図10を参照して、さらに別のシャワーヘッド1cについて説明する。本実施の形態はシャワーヘッド1aとは異なり、第一シャワーフェイス30に対して第二シャワーフェイス110を回動操作して空気孔45a〜45dの開口面積を変化させ、もってエアの混入量を調整可能とするものである。
【0049】
シャワーヘッド1cの第二シャワーフェイス110は有底円筒状の全体形状に形成されており、その周壁部112が外気と連通する空気孔45a〜45dを被覆可能な長さに形成されている。そして、周壁部112の一部には、第一シャワーフェイス30に対して第二シャワーフェイス110を回動操作することにより、これらの空気孔45a〜45dの一部ないし全部と重なって空気孔45a〜45dの開口面積を変化させることが可能な大きさ・形状に開口された開口114が設けられている。このように構成されたシャワーヘッド1cにおいては、前述の通り、第一シャワーフェイス30に対して第二シャワーフェイス110を回動操作して空気孔45a〜45dの開口面積を変化させ、エアの混入量を調整可能とし、シャワーのボリューム感の変化や、散水の温度調整などを変更することができる。なお、本実施の形態に限らず、前述の種々のシャワーヘッド1a,1b等において、空気孔の開口面積を変化させたり、空気混合室内の給水圧を変化させたりして、散水へのエアの混合量を変動調整する種々の遮蔽手段を用いることができる。例えば、シャワーヘッド1a,1bにおいて、通水孔42と第二散水孔64とがその位置を対応するように位置決め可能に構成しているが、この位置決めを意図してずらして、空気混合室73,100内の水圧を変化させることによりエアの混入量を低下させることも可能である。
【0050】
本発明は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の主旨の範囲内で種々の変更が可能である。また、前述して明示した技術的思想以外の技術的思想としては、例えば、互いに独立した第一散水孔と第二散水孔とが形成され、前記第一散水孔はシャワーヘッド本体の流路と連通し、前記第二散水孔の一次側には、シャワーヘッド本体の流路に連通可能な通水孔と、前記通水孔及び前記第二散水孔に連通する空気混合室が設けられ、前記空気混合室には外気と連通する空気孔が設けられたことを特徴とするシャワーフェイスであって、前記空気混合室内の散水時の水圧を可変可能にする可変手段を備えたことを特徴とするシャワーフェイス又はシャワーヘッドである。可変手段に限らず、水圧を変化させる手段全般によって空気孔からのエアの混入量を調整することができる。また、互いに独立した第一散水孔と第二散水孔とが形成され、前記第一散水孔はシャワーヘッド本体の流路と連通し、前記第二散水孔の一次側には、シャワーヘッド本体の流路に連通可能な通水孔と、前記通水孔及び前記第二散水孔に連通する空気混合室が設けられ、前記空気混合室には外気と連通する空気孔が設けられたことを特徴とするシャワーフェイスであって、前記第一散水孔からの散水と前記第二散水孔からの散水とを選択的に吐出可能な散水切り換え手段を併せて備えることを特徴とするシャワーフェイス又はシャワーヘッドである。このような散水切り換え手段を併せて備えることにより、必要に応じて、通常の散水のみ、エア流入散水のみの散水も使用することができる。また、互いに独立した第一散水孔と第二散水孔とが形成され、前記第一散水孔はシャワーヘッド本体の流路と連通し、前記第二散水孔の一次側には、シャワーヘッド本体の流路に連通可能な通水孔と、前記通水孔及び前記第二散水孔に連通する空気混合室が設けられ、前記空気混合室には外側に連通される空気孔が設けられたことを特徴とするシャワーフェイスであって、前記第一散水孔と前記第二散水孔とを、前記シャワーフェイスの底面視において混在させて配置させることを特徴とするシャワーフェイス又はシャワーヘッドである。このように第一散水孔と第二散水孔とを、シャワーフェイスの底面視において混在させて配置させることにより、通常の散水とエア流入散水とを混ぜた特殊な感触の散水を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、種々の給水栓に用いられるシャワーヘッド及びこれに用いられるシャワーフェイスに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1a〜1c;シャワーヘッド、2;把持部、3;散水部、4;第一流路、5;第二流路、6;第三流路、7;雌ねじ、8;開口端部、9;開口部、10;シャワーヘッド本体、20;シャワーフェイス、30;第一シャワーフェイス、31;雄ねじ、32;雄ねじ部、34;フェイス部、35;鍔部、36,36a,36b;第一散水孔、40;突設部、42;通水孔、44;大径部、45a〜45d;空気孔、46;中径部、47;長さ方向端部、48;突条部、49;周溝、50;小径部、60;第二シャワーフェイス、62;底部、64;第二散水孔、68;凹溝、69;長さ方向壁部、70;凹部、72;隙間、73;空気混合室、80;シャワーフェイス、82;第一シャワーフェイス、84;通水孔部、86;フェイス部、87;底部、90;第二シャワーフェイス、91;挿通孔、92;外筒部、94;内筒部、96;底部、98;隙間、99;空気孔、100;空気混合室、110;第二シャワーフェイス、112;周壁部、114;開口。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立した第一散水孔と第二散水孔とが形成され、前記第一散水孔はシャワーヘッド本体の流路と連通し、前記第二散水孔の一次側には、シャワーヘッド本体の流路に連通可能な通水孔と、前記通水孔及び前記第二散水孔に連通する空気混合室が設けられ、前記空気混合室には外気と連通する空気孔が設けられたことを特徴とするシャワーフェイス。
【請求項2】
第一シャワーフェイスと第二シャワーフェイスとが、それぞれ別体に形成され、前記第一散水孔が前記第一シャワーフェイスに設けられ、前記第二散水孔が前記第二シャワーフェイスに設けられたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーフェイス。
【請求項3】
前記第一散水孔が底面視外側に、前記第二散水孔が底面視内側に配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャワーフェイス。
【請求項4】
前記第二散水孔が底面視外側に、前記第一散水孔が底面視内側に配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャワーフェイス。
【請求項5】
前記空気孔の開口面積を可変可能にする可変を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャワーフェイス。
【請求項6】
前記した請求項1から請求項5のいずれかに記載のシャワーフェイスを備えたことを特徴とするシャワーヘッド。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−43069(P2013−43069A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185336(P2011−185336)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】