説明

シャワーホース収納構造

【課題】 シャワーホースが開口部からはみ出すことなくスムーズに収納させることのできるシャワーホース収納構造を提供する。
【解決手段】 シャワーヘッド6を掛止可能に上面2aが開口されたシャワーフック2の前面から下方に向かってスリット状の開口部3が形成され、この開口部3からシャワーホース7を奥側へ押し込んで収納できる収納構造において、開口部3の上端側に開口部を狭める凸部8a,8bを設け、この凸部8a,8b間を通過できる細管部7a,7bをシャワーホース7の一部に設けて、細管部7a,7bを凸部8a,8b間に通してシャワーホース7をシャワーフック2内に入れ、シャワーホース7を下方側へ押し込む際に凸部8a,8bでガイドさせるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーホースを収納する収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、垂直方向にシャワーホースを出し入れできて滑らせながらシャワーホースを収納ケース内に収納できるシャワーホースの収納構造が存在するが、このような構造では、シャワーホースを収納ケース内に入れる場合に水滴が付着していると入れ難いという問題点があった。
また、発明者らは、特願2004−27267および特願2005−61472として、シャワーヘッドを掛止可能に上面が開口されたシャワーフックの前面から下方に向かってスリット状の開口部が形成され、この開口部からシャワーホースを奥側へ押し込んで収納できるシャワーホースの収納構造を提案している。
【特許文献1】特開平9−177151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特願2004−27267および特願2005−61472で出願したように、前面にスリット状の開口部が形成されている場合、シャワーホースを開口部から奥側へ押し込む際に、シャワーホースが暴れて開口部からはみ出してしまうことがあり、手を添えないとシャワーホースを収納させづらいという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、手を添えなくても良好にシャワーホースを収納させることのできるシャワーホース収納構造を提供するものであり、その請求項1は、シャワーヘッドを掛止可能に上面が開口されたシャワーフックの前面から下方に向かってスリット状の開口部が形成され、該開口部からシャワーホースを奥側へ押し込んで収納できるシャワーホース収納構造において、前記開口部のスリット幅を狭めるか、または、塞ぐことができる手段を備えたことである。
【0005】
また請求項2は、前記シャワーホースの一部に、該シャワーホースの径より細い細管部を設けるとともに、前記シャワーフックには、前記細管部のみが通過できるスリット幅に前記開口部を狭める凸部を設けたことである。
【0006】
また請求項3は、前記シャワーフックに、通常はシャワーホースの径より狭いスリット幅に前記開口部を狭め、シャワーホースの通過時のみ開くことのできる凸部を設けたことである。
【0007】
また請求項4は、前記開口部に、該開口部のスリット幅を塞ぐことのできるスライド部材を上下動可能に設けたことである。
【0008】
また請求項5は、前記シャワーフックに嵌合して前記開口部のスリット幅を塞ぐことのできるアダプター部材を、前記シャワーヘッドの根元に着脱可能にシャワーホースに外装させたことである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、シャワーフックの前面から下方に向かってスリット状の開口部が形成され、開口部からシャワーホースを奥側へ押し込んで収納できるシャワーホース収納構造において、開口部のスリット幅を狭めるか、または、塞ぐことができる手段を備えたことにより、開口部からシャワーホースを奥側へ押し込んで収納する際に、開口部のスリット幅が狭められているか、または開口部が閉じられるため、シャワーホースが開口部からはみ出ることなく良好にガイドされて奥側へ押し込まれることとなり、シャワーホースの収納がし易いものとなる。
【0010】
また、シャワーホースの一部に、シャワーホースの径より細い細管部を設けるとともに、シャワーフックには、細管部のみが通過できるスリット幅に開口部を狭める凸部を設けたことにより、シャワーホースに形成されている細管部を凸部を通過させて前側から開口部内に入れることができ、その後、シャワーホースを奥側に押し込む際には、凸部が邪魔をしてシャワーホースが開口部からはみ出すことなく良好に凸部でガイドされて奥側へ移動されることとなり、シャワーホースの収納がし易いものとなる。
【0011】
また、シャワーフックに、通常はシャワーホースの径より狭いスリット幅に開口部を狭め、シャワーホースの通過時のみ開くことのできる凸部を設けたことにより、前側よりシャワーホースを開口部内に嵌め込む際には凸部が開き、良好にシャワーホースが開口部内に入り、この状態で凸部が閉じて、シャワーホースを奥側へ押し込む際に凸部がガイドとなり、シャワーホースが開口部からはみ出すことなく良好にガイドされて収納されることとなり、シャワーホースの収納がし易いものとなる。
【0012】
また、開口部に、開口部のスリット幅を塞ぐことのできるスライド部材を上下動可能に設けたことにより、シャワーホースを収納させる際に、スライド部材を上方のシャワーフック側へ移動させると、スライド部材にガイドされてシャワーホースが開口部からはみ出すことなく良好に奥側へ押し込まれることとなり、シャワーホースの収納がし易いものとなる。
【0013】
また、 シャワーフックに嵌合して開口部のスリット幅を塞ぐことのできるアダプター部材を、シャワーヘッドの根元に着脱可能にシャワーホースに外装させたことにより、通常はアダプター部材をシャワーヘッドの根元に取り付けておき、シャワーホースを収納させる際に、アダプター部材をシャワーフックに嵌合させると、開口部が閉じられるため、シャワーホースが開口部からはみ出ることなく良好にアダプター部材でガイドされて奥側へ押し込まれることとなり、シャワーホースの収納がし易いものとなる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室内の壁面に設置された浴室用横長鏡1の正面概略構成図であり、浴室用横長鏡1は、左鏡1aと右鏡1bが前面に設けられて、この左鏡1aと右鏡1b間には、シャワーヘッド6を掛止可能にシャワーフック2が設けられ、このシャワーフック2の前面から下方側に向かってスリット状の開口部3が形成されており、この開口部3からシャワーホース7を押し込んで、左鏡1aの奥側に設けられているホースガイド4に沿わせてシャワーホース7を横方向に押し込むことができ、シャワーホース7は内部に設けられているホースストッパ5で無理な曲がりが生ずることなく良好に収納されるように構成されている。
【0015】
なお、図2は、シャワーヘッド6をシャワーフック2に掛止してシャワーホース7全体を左鏡1aの裏奥側へ収納させた状態図であり、また図3は、シャワーホース7の一部を開口部3から前側へ垂らして、シャワーヘッド6をシャワーフック2に掛止した状態図である。
この図3のように、シャワーホース7の一部を外側へ出しておけば、洗髪等を行う際に、逐一シャワーホース7を引き出す必要がなく、直ちにシャワーヘッド6が使用可能となる。このようにシャワーホース7の一部を外側へ出しておくために開口部3がシャワーフック2から連続して形成されているのである。
しかし、このような開口部3が形成されていると、シャワーホース7を収納する場合には、シャワーホース7を開口部3から奥側へ押し込む際に、シャワーホース7が暴れて開口部3からはみ出してしまうことがあり、シャワーフック2の部分に手を添えてガイドしないと良好にシャワーホース7を奥側へ収納できない事態が生ずるため、本発明の第1実施例では、図4の斜視図で、また図5の正面図で示すように、シャワーフック2の前面側の開口部3の上部部位に、開口部3のスリット幅を狭めることのできる凸部8a,8bを対向状に一体形成させたものである。
【0016】
なお、シャワーホース7のシャワーヘッド6の根元6aに接続される部分に細管部7aを形成させておき、その下方のシャワーホース7の一部にも細管部7bを形成させて構成しておく。
なお、凸部8aと8b間の開口隙間幅dは、細管部7a,7bの外径よりも大きく、シャワーホース7の外径よりも小さい寸法に設定されたものである。
【0017】
このような構成において、例えば図6に示すように、下側の細管部7bを凸部8a,8b間の隙間を通して前方側から開口部3内に入れ込むことができ、この状態でシャワーホース7は開口部3内に入り、図6の状態から図7に示すように、シャワーホース7を下方側へ押し込むと、凸部8a,8bにガイドされて良好にシャワーホース7が下方側に移動されてゆき、この時にシャワーホース7は開口部3から前側にはみ出すことがなく、良好に凸部8a,8bにガイドされて下方側へ押し込まれてゆくこととなる。
【0018】
また、別の方法として図8に示すように、シャワーホース7を開口部3から前方側へはみ出させた状態で、上方の細管部7aを凸部8a,8b間の隙間を通してシャワーフック2内に嵌め込み、この状態で図9に示すように、一旦、シャワーヘッド6とともにシャワーホース7を引き上げて一直線にした後、真直ぐにシャワーホース7を下方側へ押し込むことにより、シャワーホース7は凸部8a,8bにガイドされて良好に下方側へ押し込まれることとなり、シャワーホース7が開口部3から外れることがなく、スムーズに収納させることができるものとなる。
【0019】
次に、図10〜図12は変更例を示すものである。
図10に示すように、シャワーフック2の上面開口2aの前部側に予め凸部孔2b,2bを開口形成させておき、この左右の凸部孔2b,2b内には、移動凸部9a,9bが嵌め込まれ、この左右の移動凸部9a,9bは、例えばバネ鋼や弾性樹脂材で形成された弾性部材10で連結されて、この弾性部材10はシャワーフック2内に内装されており、この弾性部材10を介して左右の移動凸部9a,9bは、図11から図12の状態に横方向に出没移動できるように構成されている。
【0020】
図11の通常の状態では、左右の移動凸部9a,9bは閉じられて、移動凸部9a,9b間の開口隙間幅dはシャワーホース7の外径よりも狭い寸法となっており、シャワーホース7を前側よりシャワーフック2の内部に嵌め込む際、即ちシャワーホース7が通過する時には、図12に示すように、左右の移動凸部9a,9bは外側へ広げられて開かれ、良好にシャワーホース7をシャワーフック2および開口部3内に入れ込むことができるように構成されている。
【0021】
このように、シャワーフック2内にシャワーホース7を前側より押し込むと、左右の移動凸部9a,9bが図12のように開いて良好にシャワーホース7を通過させて、シャワーホースがシャワーフック2の内部に嵌め込まれ、この状態でシャワーホース7を下方側へ押し込む時には、図11のように左右の移動凸部9a,9bは開口部3のスリット幅を狭めた状態となっており、良好にシャワーホース7をガイドすることができて、左右の移動凸部9a,9bにガイドされてスムーズにシャワーホース7は下方側へ押し込まれて収納されることとなり、シャワーホース7の収納がし易いものとなり、片手で容易にシャワーホース7を収納できるものとなる。
【0022】
次に、図13で示すものは別例であり、図13では、開口部3の側面に縦方向にスライドガイド溝3aが形成されて、このスライドガイド溝3aに沿って上下動可能なスライド部材11が開口部3の幅方向に横設されており、このスライド部材11で開口部3の前面を閉ざし、スリット幅を塞ぐことができるものであり、スライド部材11には、前方側へ突出して手で摘むことのできる摘み11aが形成されている。
【0023】
スライド部材11は、手を離した状態では開口部3の下方側に下がり、この状態では開口部3の前面は開放されているため、図3のように、良好にシャワーホース7を前側へ垂らして使用することができるものであり、シャワーホース7を収納する際に、スライド部材11を手で上方へ上げて開口部3の前面上部をスライド部材11で閉ざすと、シャワーホース7を下方側へ押し込む際に、シャワーホース7はスライド部材11にガイドされて良好に下方側へ移動することができ、シャワーホース7が開口部3の前面にはみ出すことがなく、スムーズにシャワーホース7を収納できるものとなる。
【0024】
なお、図14のように、スライド部材11の下部にバネ12を設けておき、このバネ12の付勢力により常にはスライド部材11が開口部3の前面上部位置にあるように構成しておくこともでき、シャワーホース7を下方側へ押し込んで収納させる際には、良好にこのスライド部材11にガイドされて、開口部3からはみ出ることなくスムーズにシャワーホース7は収納されるものとなる。
また、図3のように使用したい場合には、スライド部材11をバネ12の付勢力に抗して下方側へ移動させて使用することができるものである。
【0025】
次に、図15〜図20に示すものは更なる別例であり、本例では、シャワーフック2の上面開口2aに嵌合できるアダプター部材13を用いるものである。
このアダプター部材13は、図19に拡大して示すように、内側に縦方向のセレーション溝13cを有する大径部13aの下方に小径部13bが一体形成されており、予めシャワーホース7の外側に上下動可能に小径部13bが遊嵌されている。
【0026】
図16,図18に示すように、通常はシャワーヘッド6の下端の根元6aの外周にセレーション溝13cを当接させてアダプター部材13の大径部13aが着脱可能に取り付けられており、シャワーホース7を収納する際に、図17のように、アダプター部材13をシャワーヘッド6の根元6aから外して下方側へ移動させ、図15に示すように、アダプター部材13の小径部13bをシャワーフック2の上面開口2a内に嵌め込んで固定できるものであり、アダプター部材13をシャワーフック2に嵌合させた状態では、このアダプター部材13が開口部3の前面側を遮ってガイド部材となり、アダプター部材13にガイドさせてシャワーホース7を下方側へ押し込んでゆくことができ、スムーズにシャワーホース7を収納することができるものとなる。
【0027】
なお、図20に示すように、アダプター部材13をシャワーフック2に嵌め込んだ状態で、開口部3から前方側へシャワーホース7を垂らして、シャンプー時等に良好に使用することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】浴室用横長鏡の正面構成図である。
【図2】シャワーホースを完全に収納させた状態でシャワーヘッドをシャワーフックに掛止させている斜視図である。
【図3】シャワーヘッドをシャワーフックに掛止させ、シャワーホースを開口部から前方側へ垂らして使用している使用状態図である。
【図4】シャワーフック側に凸部を設け、シャワーホース側に細管部を設けた構成のシャワーホースを引き出した状態の斜視構成図である。
【図5】図4の正面構成図である。
【図6】細管部を凸部間を通してシャワーフック内に入れた状態図である。
【図7】図6の状態からシャワーホースを下方側へ押し込んで収納する状態の作用説明図である。
【図8】シャワーホースを前方側へ出したまま細管部を凸部間を通してシャワーフック内に入れた状態図である。
【図9】図8の状態から一旦、一直線状にシャワーホースを引き出した後、真直ぐに押し込んで収納する状態の作用説明図である。
【図10】シャワーフックの前面側に凸部孔を形成させた拡大斜視図である。
【図11】左右の移動凸部が閉じている状態のシャワーフックの平面概略構成図である。
【図12】シャワーホースを通過させる際に左右の移動凸部が開いた状態のシャワーフックの平面概略構成図である。
【図13】開口部に上下動可能にスライド部材を設けた場合の拡大斜視図である。
【図14】更にスライド部材をバネで上方へ付勢した構成の拡大斜視図である。
【図15】アダプター部材をシャワーフックに嵌合させてシャワーホースを下方側へ押し込む状態の作業説明図である。
【図16】アダプター部材をシャワーヘッドの根元に取り付けた状態の斜視図である。
【図17】図16の状態からアダプター部材を下方側へ移動させている状態の斜視構成図である。
【図18】シャワーヘッドの根元にアダプター部材が被さった状態の断面拡大構成図である。
【図19】アダプター部材の斜視構成図である。
【図20】アダプター部材をシャワーフックに嵌め込んで、シャワーホースを開口部から前方側へ出して使用している使用状態図である。
【符号の説明】
【0029】
1 浴室用横長鏡
2 シャワーフック
2a 上面開口
2b 凸部孔
3 開口部
3a スライドガイド溝
4 ホースガイド
6 シャワーヘッド
6a 根元
7 シャワーホース
7a,7b 細管部
8a,8b 凸部
9a,9b 移動凸部
10 弾性部材
11 スライド部材
11a 摘み
12 バネ
13 アダプター部材
13a 大径部
13b 小径部
13c セレーション溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドを掛止可能に上面が開口されたシャワーフックの前面から下方に向かってスリット状の開口部が形成され、該開口部からシャワーホースを奥側へ押し込んで収納できるシャワーホース収納構造において、前記開口部のスリット幅を狭めるか、または、塞ぐことができる手段を備えたことを特徴とするシャワーホース収納構造。
【請求項2】
前記シャワーホースの一部に、該シャワーホースの径より細い細管部を設けるとともに、前記シャワーフックには、前記細管部のみが通過できるスリット幅に前記開口部を狭める凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーホース収納構造。
【請求項3】
前記シャワーフックに、通常はシャワーホースの径より狭いスリット幅に前記開口部を狭め、シャワーホースの通過時のみ開くことのできる凸部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーホース収納構造。
【請求項4】
前記開口部に、該開口部のスリット幅を塞ぐことのできるスライド部材を上下動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーホース収納構造。
【請求項5】
前記シャワーフックに嵌合して前記開口部のスリット幅を塞ぐことのできるアダプター部材を、前記シャワーヘッドの根元に着脱可能にシャワーホースに外装させたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーホース収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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