説明

シャワー装置

【課題】通水時の水圧で連結部材が上昇してシャワー保持具から脱離するのを規制したシャワー装置を提供する。
【解決手段】シャワー装置100は、シャワーホース110とシャワーヘッド120とシャワーヘッドを脱着可能に保持するシャワー保持具140とを備え、シャワーヘッドは、その表面から突出した突出部131を有し、シャワー保持具140は、シャワーヘッドを取り付け可能な第1の状態と、シャワー保持具に保持されたシャワーヘッドの突出部と衝接することでシャワーヘッドのシャワー保持具からの脱離を規制できる第2の状態とに操作可能な脱離規制部材146を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などに設けられるシャワー装置に係り、特に、シャワーヘッドをシャワー保持具に保持した状態でシャワー装置に通水した際、水の勢いによってシャワーヘッドがシャワー保持具から脱離することを規制したシャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シャワー装置は、家庭の浴室、洗面室、キッチンなどに限らず、ホテルや公共施設など、屋内外の各種の施設で広く普及し利用に供されている。この種のシャワー装置500は、図11に示すように、シャワーホース510と、複数の吐出孔521を有するシャワーヘッド本体520と、シャワーヘッド本体520の端部に取り付けられシャワーホース510の先端部をシャワーヘッド本体520に連結する連結部材530と、浴室の壁面などに取り付けられシャワーヘッド本体520を保持するシャワー保持具540とを備えている。なお、図11では、吐出孔521の表示を簡略化して、一部だけを表している。シャワーヘッドは、シャワーヘッド本体520と、連結部材530とがそれぞれ別々に構成されていても、シャワーヘッド本体520と連結部材530とが一体に構成されていてもよい。
【0003】
連結部材530は、シャワーヘッド本体520よりも小径で且つシャワーホース510よりも大径の円筒状に形成されている。シャワー保持具540は断面C状のフックとして、前面側が切り欠かれてシャワーホース510の差込み口541を形成しており、この差込み口541からシャワーホース510を差し込んで連結部材530を保持するようになっている。シャワーホース510は例えば樹脂材にて屈曲可能に形成され、その先端に取り付けたシャワーヘッド本体520を任意の方向と位置に移動させることができる。
【0004】
このような構成のシャワー装置500では、浴室等の壁面に取り付けたシャワー保持具540の上方から連結部材530をシャワー保持具540に挿着することで、シャワーヘッド本体520と連結部材530との境界の段部でシャワー保持具540に掛止し、これによりシャワーヘッドを保持するようにしており、シャワーヘッドをシャワー保持具540に保持した状態で、使用者は吐出孔521から湯水を吐出させて体や髪を洗うことができる。なお、連結部材530を、シャワーヘッド側の外径を大きくしシャワーホース側の外径を小さくテーパー状に形成し、このテーパー面をシャワー保持具540に嵌合してシャワーヘッドを保持する構成も知られている。
【0005】
上述したようなシャワー装置は特許文献1〜3等に開示されている。
【特許文献1】特開2001−49706号公報
【特許文献2】特開2002−371605号公報
【特許文献3】特開2003−328410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、シャワーヘッド本体520をシャワー保持具540に保持した状態でシャワーヘッド本体520から湯水を吐出させる場合、吐出する水圧が高いと、シャワーホース510及びシャワーヘッドに水圧が作用して、シャワーヘッドがシャワー保持具の中で向き変えたり、シャワー保持具540から上昇して外れたりするおそれがある。この場合、湯水が予期しない周囲に飛散したり、また、シャワーヘッドが洗い場などに落下してしまうことも考えられる。
【0007】
本発明は以上の点に鑑み、通水時の高い水圧によっても、シャワーヘッドがシャワー保持具から脱離することが規制され、シャワーヘッドの一定姿勢を確実に保持し得るシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のシャワー装置は、シャワーホースと、シャワーヘッドと、シャワーヘッドを脱着可能に保持するシャワー保持具と、を備え、シャワーヘッドはその表面から突出した突出部を有し、シャワー保持具は、シャワーヘッドを取り付け可能な第1の状態と、シャワー保持具に保持されたシャワーヘッドの突出部と衝接することでシャワーヘッドのシャワー保持具からの脱離を規制できる第2の状態とに操作可能な脱離規制部材を備えることを特徴としている。
【0009】
シャワー保持具は、好ましくは、その内壁面の上端から下方へ所定長下がった位置まで凹設されて突出部を案内支持するガイド溝を有し、脱離規制部材は、少なくともこのガイド溝の上端を覆う開閉式の蓋体から成る。
シャワー保持具の内壁面に、ガイド溝下端においてさらにシャワーヘッドの向き可変用の回動用ガイド溝を連接して凹設してもよい。
シャワー保持具にバネなどで成る弾機手段を設け、この弾機手段により蓋体をシャワー保持具上面側に倒伏させる付勢力を与えておけば、シャワーホースに高い水圧が導入されても、シャワー保持具からシャワーヘッドが脱離することなく確実に保持される。
シャワーヘッドの突出部を、シャワーヘッドの表面に離間して複数個突設すると共に、シャワー保持具内壁面にはこれらの突出部に対応して複数のガイド溝を凹設すると、シャワーヘッドのシャワー保持具内での動きが効果的に規制されて、より確実に保持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、脱離規制部材を、シャワーヘッドをシャワーシャワー保持具に取り付け可能な第1の状態と、シャワー保持具に保持したシャワーヘッドの脱離を規制する第2の状態とに切り換えることができる。脱離規制部材が第2の状態にあるときに、シャワーヘッドをシャワー保持具に保持して通水すると、この通水によりシャワーホースからシャワーヘッド内へ流れ込む水圧によってシャワーヘッドが上昇し又は向きを変えようとしても、シャワーヘッドの外周面から突出した突出部が脱離規制部材に衝接することで、シャワーヘッドのシャワー保持具で向きを変えたり、脱離したりすることが規制される。
したがって、通水時において過度の水圧によってシャワーヘッドが左右に向きを変えたり、上昇してシャワー保持具から脱離しようとしても、突出部の動きが脱離規制部材によって規制されることで、シャワーヘッドのブレによる向きの変更や脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置100を設置した浴室10の外観図、図2はシャワー装置100を示す斜視図である。浴室10には洗い場20に隣接して浴槽30が設置されており、洗い場20と浴槽30との四方を囲むように壁パネル41〜43が組み付けられている。ただし、浴室ドアが設けられた一つの壁パネルは図示を省略している。これらの壁パネルの上方を覆うように天井50が組み付けられている。
【0012】
壁パネル42には、洗い場20に隣接してカウンター60が設置されている。このカウンター60の上方の壁パネル42には、切換部71と温度調節部72とを有する水栓70と、ミラー80と、洗面用具載置用の棚90と、シャワー装置100とが取り付けられている。浴槽30に隣接した壁パネル41には、滑り防止用の手摺り31が取り付けられている。
【0013】
水栓70には吐水口が設けられており、切換部71を操作することで水の吐水・止水の切り換えと、水を水栓70の吐水口から出すかシャワー装置100から出すかを切り換えることができるようになっている。また、水栓70の温度調節部72を操作して湯水の温度を設定することで、適温の湯水を水栓70或いはシャワー装置100から出すことができる。切換部71と温度調節部72は、例えば、水栓本体に回転可能に取り付けたノブを備えており、切換用ノブの回転位置に応じて水を出す対象を切り換えることができ、温度調節用ノブの回転位置に応じて水の温度を変えることができる。
【0014】
シャワー装置100は、図1及び図2に示すように、水栓70に基部を連結したシャワーホース110と、複数の吐出孔121を有するシャワーヘッド本体120と、このシャワーヘッド本体120の端部に取り付けられシャワーホース110の先端部をシャワーヘッド本体120に連結する連結部材130と、壁パネル42などの取付面に取り付けられ連結部材130を脱着可能に把持するシャワー保持具140と、で構成されている。なお図2では吐出孔121の表示を簡略化して、一部だけを表している。本実施形態に係るシャワーヘッドは、シャワーヘッド本体120と連結部材130とをそれぞれ別々に構成しているが、シャワーヘッド本体120と連結部材130とを一体に構成してもよい。
【0015】
図示例では、シャワー保持具140は、異なる高さ位置で壁パネル42の二箇所に取り付けられているが、シャワー保持具140の数は1個でも又は必要に応じて3個以上であってもよい。また、取付面は壁パネルに限らず、シャワーホース長に応じて、壁面に取り付けたスライドバーや、カウンターなど取り扱いに便利な任意の箇所に取り付けることができる。
【0016】
連結部材130の外径は、シャワーヘッド本体120よりも小径で且つシャワーホース110よりも大径の円筒状に形成され、この円筒内にてシャワーヘッド本体120の接続部とシャワーホース先端とを漏水しないよう水密に連結する。シャワー保持具140は断面C状のフックとして、前面側が切り欠かれてシャワーホース110の差込み口141を形成しており、この差込み口141からシャワーホース110を差し込んで連結部材130を保持するようになっている。ただし、差込み口141の開口幅は、連結部材130の外径より狭く形成され、差込み口141の開口から連結部材130を直接挿入することはできないように設計されている。なお、シャワーホース110は例えば樹脂材にて屈曲又は湾曲可能に形成され、その先端に取り付けたシャワーヘッド本体120を任意の方向と位置に移動させることができる。
【0017】
上記構成のシャワー装置100では、浴室の適宜箇所に取り付けたシャワー保持具140の上方から連結部材130をシャワー保持具140に挿着することで、シャワーヘッド本体120と連結部材130との境界の段部125でシャワー保持具140に掛止し、これによりシャワーヘッド本体120が保持される。使用者は、シャワーヘッド本体120をシャワー保持具140に保持した状態で、吐出孔121から湯水を吐出させて身体の洗浄又は洗髪することができる。なお、連結部材130を、シャワーヘッド側の外径を大きくしシャワーホース側の外径を小さくテーパー状に形成して、このテーパー面をシャワー保持具140に嵌合してシャワーヘッド本体120を保持するようにしてもよい。
【0018】
以上の構成は従来のシャワー装置500と同様であるが、本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置100は、通水時の水圧によって連結部材130がシャワー保持具140から脱離したりブレにより向きを変えたりするのを規制したことを特徴としている。
【0019】
本実施形態に係る連結部材130は例えば硬質樹脂材で円筒形状に成形され、図2において、下端からシャワーホース110を上端からシャワーヘッド本体120を挿着してこれらを連結するようになっており、図2では、その外壁面から横方向に突出した突出部131が備えられている。図示の例では、二つの突出部131,131が連結部材130に互いに180度離間した左右に突設されている。なお、連結部材130がシャワーヘッド本体120と一体に構成されている場合には、突出部131はシャワーヘッドの表面から突出している。また、シャワーヘッド本体120と連結部材130とが別体に構成されている場合に、シャワーヘッド本体120の外周面に突出部131が設けられても良い。
図3は、図2に示す連結部材130の断面図であり、連結部材130の円筒軸Xと直交する直線上の対向する連結部材側壁の位置にそれぞれ突出部131が形成されている。これらの突出部131は、図3に示すように連結部材130と一体に形成されても、又は突出部131を個別に作製して連結部材130の外周に取り付けても良い。なお、突出部131の形状は、円柱状、円盤状などに限定されるものではなく、連結部材130の外壁面から突出した形状であれば良い。
【0020】
図4は図2に示すシャワー保持具140のA−A線断面図であり、シャワー保持具140にはその内壁面142に、連結部材130の突出部131を案内支持するガイド溝143が内壁面142の上端から下方へ所定長下がった位置まで形成されている。このガイド溝143は、シャワー保持具上面144からシャワー保持具の高さの半分程度下がった位置まで筋状の縦溝として凹設されている。本実施形態では、ガイド溝143は、連結部材130の二つの突出部131,131に対応して、内壁面142の対向する二ヶ所に形成されている。
【0021】
図2及び図4に示すように、シャワー保持具140の上縁部144Aには、回転軸145を介して脱離規制部材としての蓋体146が開閉式に取り付けられている。この蓋体146は、シャワー保持具上面144を覆うように、このシャワー保持具140の断面と同じC状に形成された硬質樹脂製のプレートから成っている。
【0022】
図5は、蓋体146をシャワー保持具140の上面144に倒伏させた状態を示す斜視図であり、被蓋状態ではガイド溝143の上端を含む上面144の全体が覆われるようになっている。ただし、蓋体146は本実施形態で示す形状に限らず、少なくともガイド溝143の上端を被蓋し得るようになっていれば、後述するように連結部材130の移動を抑止し得ることから十分に適用することができる。
【0023】
次に、第1の実施形態に係るシャワー装置100の作用について説明する。
シャワー保持具140にシャワーヘッド本体120を保持させる場合には、先ず、シャワー保持具上面144を覆っている蓋体146を上方へ開いて、シャワー保持具上面144とガイド溝143の上端を開放させ、シャワーホース110をシャワー保持具140の前面側に設けられた差込み口141に差し込む。そして、連結部材130の外周面から突出した突出部131をシャワー保持具140のガイド溝143に挿入して、連結部材130をガイド溝143に沿って下端まで摺動させることで、連結部材130をシャワー保持具140内で確実に保持させることができる。
【0024】
図6には、蓋体146を開いて連結部材130をシャワー保持具140に嵌着した状態が示されている。この図に示すように、連結部材130の突出部131をガイド溝143に案内支持して下方へ移動させ、ガイド溝143下端の底部に当接させたら、蓋体146を矢印α方向に倒伏させて被蓋する。
【0025】
図7は、連結部材130を収容してシャワー保持具140の蓋体146を閉じた状態の断面図である。ここで、被蓋状態で連結部材130を持ち上げようとすると、ガイド溝143の上端まで持ち上げると蓋体146に突出部131が衝接するので、連結部材130のシャワー保持具140からの脱離が規制される。
【0026】
図7に示すように、連結部材130をシャワー保持具140に保持し被蓋した状態で、水栓70の切換部71を操作してシャワー装置100に通水すると、シャワーホース110を介してシャワーヘッド本体120内に水が流れ込み、その水の勢いによってシャワーホース110,シャワーヘッド本体120及び連結部材130に力が作用する。特に、水の勢いが強いと、シャワーヘッド本体120の上昇により連結部材130が上昇する。この場合、ガイド溝143の上端が蓋体146で覆われているため、連結部材130が持ち上げられても、連結部材130の突出部131が蓋体146の下面に衝接し、連結部材130がシャワー保持具130から抜け出てしまうのが規制される。また、高い水圧で連結部材130がシャワー保持具130内でブレによって向きを変えようとしても、連結部材130の突出部131がガイド溝143内で係合しているため、左右への向きの変更又は上下方向のブレも防ぐことができる。
【0027】
このように、本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置100によれば、シャワー保持具140にシャワーヘッド本体120を保持した状態で通水したとき、たとえ水勢が強くても、連結部材130の突出部131が蓋体146と衝接し、且つガイド溝143内で突出部131との係合状態を維持することになるので、水圧によって連結部材130がシャワー保持具140から脱離することがない。よって、通水時において連結部材130がシャワー保持具140から外れてシャワーヘッド本体120が落下し、これが原因でシャワーヘッド本体120や洗い場20等が傷つくような事態も防止できる。また、連結部材130の突出部131がシャワー保持具140のガイド溝143に確実に係合されているので、水勢によるシャワーヘッド本体120の上下又は左右方向のブレも起こらず、シャワー水の周辺への飛散も防止できる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るシャワー装置200について説明する。
この実施形態に係るシャワー装置200は、図8に示すように、シャワーヘッド本体120の向きを左右に自在に変更可能なように、シャワー保持具にさらに回動用ガイド溝が設けられている。なお、第1の実施形態に係るシャワー装置100の構成部材と同じものには同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図8は第2の実施形態に係るシャワー保持具240に連結部材130を挿入し蓋体146を閉じた状態を示し、この図に示すように、シャワー保持具240の内壁面142には、ガイド溝143の下端において、回動用ガイド溝243がガイド溝143の下端と連通し、この下端から横方向に屈曲して凹設されている。この回動用ガイド溝243は、例えば、シャワー保持具上面144と平行に、即ち水平面内でU状に横溝として形成され、シャワーヘッド本体120の左右方向の向きを任意の角度で自由に変えることができるよう、ガイド溝143の底部を中心として左右に所定の長さで連接されている。なお、突出部131は、ガイド溝243に対してシャワーヘッド本体120の向きが水の勢いで変わらないように、取り付けられている。
【0030】
この構成のシャワー保持具240によれば、連結部材130の突出部131をシャワー保持具240のガイド溝243の底部に保持した状態で、さらに、連結部材130を左又は右方向に回転させて突出部131を回動用ガイド溝243内で摺動できるので、シャワーヘッド本体120の左右方向の向きを任意に変えることができる。これにより使用者はシャワーヘッド本体120をシャワー保持具240に保持した状態で、任意の角度位置から湯水を浴びることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
図9は本発明の第3の実施形態に係るシャワー保持具340を示している。このシャワー保持具340には、回転軸145の周りに弾機手段345が取り付けられていて、蓋体146をシャワー保持具上面144側に倒伏させる付勢力を与えている。その他の構成は第1の実施形態の構成部材と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0032】
弾機手段345としては、例えばコイル状のバネを用いることができる。この弾機手段345により、蓋体146がシャワー保持具上面144に押し付けられているので、シャワー装置300の通水時に過度の水圧で連結部材130が持ち上げられたとしても、シャワー保持具340から外れるのを防止できる。なお図示を省略するが、バネに代えて、脱離規制部材としての蓋体146とシャワー保持具144とを、爪片で掛止したり雌雄の嵌合手段などでロックするようにしてもよい。
【0033】
以上説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で様々な形態で実施をすることができる。本発明に係るシャワー装置は、家庭内の浴室、洗面室、キッチンなどのほか、ホテルや公共施設など、屋内外の各種の施設に配設され得ることは言うまでもない。
本発明のシャワー装置を例えば浴室に配設する場合において、シャワー保持具は壁パネルやカウンターなどの取付面に取り付けられる他、図10に示すように、壁パネル42にスライドバー95を固定し、このスライドバー95に沿ってシャワー保持具140Aを移動可能に取り付けることもできる。後者の場合は使用者の身長や使用状態によりシャワーヘッドの高さを任意に変更できる点で便宜である。
【0034】
本発明において、連結部材130の突出部131の数と配設位置は任意に設定でき、その数と配設位置に対応して、シャワー保持具140,240,340の内壁面142に凹設するガイド溝143の数と配設位置を選定すればよい。また、回動用ガイド溝243を、縦溝としてのガイド溝143に対してT状に形成することなく、鉤状、即ちL状に形成し、左右の何れか一方向に回動するようにしてもよい。
なお、図示の実施形態では、蓋体146がシャワー保持具上面144とガイド溝143の上端を覆う形状に形成されているが、脱離規制部材としての蓋体はこの形状に制限されることなく、シャワー保持具の少なくともガイド溝上端を覆うように構成されていればよい。
【0035】
シャワー保持具140の内壁面142にガイド溝143を設ける代わりに、脱離規制部材としての蓋体146の底面、即ち、シャワー保持具上面144と対向する面に突出部131を収納する凹部を設け、この凹部に突出部131が係合することで、シャワーヘッド本体120のシャワー保持具140からの脱離を規制するようにしてもよい。
【0036】
本発明において、脱離規制部材は、例えばシャワー保持具上面144を覆うように、シャワー保持具の上面144に対して摺動可能に取り付けられてもよく、或いは折り畳み式に構成されてもよい。或いは、突出部131の移動軌跡上に配置される棒状等の部材として形成されてもよい。これらの場合も、通水によりシャワーホースからシャワーヘッド内へ流れ込む水圧によってシャワーヘッドが上昇し又は向きを変えようとしても、シャワーヘッドの外周面から突出した突出部が脱離規制部材に衝接することで、シャワーヘッドのシャワー保持具での向きの変更や脱離を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置を設置した浴室を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るシャワー装置を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る連結部材の拡大断面図である。
【図4】図2に示すシャワー保持具のA−A線断面図である。
【図5】第1の実施形態に係るシャワー保持具を示す斜視図である。
【図6】図5に示すシャワー保持具に連結部材を挿入した状態の断面図である。
【図7】図5に示すシャワー保持具に連結部材を挿入し、蓋体を閉じた状態の断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るシャワー保持具に連結部材を挿入し、蓋体を閉じた状態の断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るシャワー保持具を示す斜視図である。
【図10】本発明のシャワー装置を設置した他の浴室を示す斜視図である。
【図11】従来のシャワー装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 浴室
20 洗い場
30 浴槽
31 手摺り
41〜43 壁パネル
50 天井
60 カウンター
70 水栓
71 切換部
72 温度調節部
80 ミラー
90 棚
100,200,300 シャワー装置
110 シャワーホース
120 シャワーヘッド本体
121 吐出孔
130 連結部材
131 突出部
140,140A,240,340 シャワー保持具
141 溝部
142 内壁面
143 ガイド溝
144 シャワー保持具上面
144A シャワー保持具縁部
145 回転軸
146 蓋体
243 回動用ガイド溝
345 弾機手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーホースと、シャワーヘッドと、上記シャワーヘッドを脱着可能に保持するシャワー保持具と、を備えたシャワー装置であって、
上記シャワーヘッドは、その表面から突出した突出部を有し、
上記シャワー保持具は、上記シャワーヘッドを取り付け可能な第1の状態と、上記シャワー保持具に保持されたシャワーヘッドの突出部と衝接することで上記シャワーヘッドのシャワー保持具からの脱離を規制できる第2の状態とに操作可能な脱離規制部材を備えることを特徴とする、シャワー装置。
【請求項2】
前記シャワー保持具は、その内壁面の上端から下方へ所定長下がった位置まで凹設されて上記突出部を案内支持するガイド溝を有し、
前記脱離規制部材が、少なくともこのガイド溝の上端を覆う開閉式の蓋体から成ることを特徴とする、請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記シャワー保持具内壁面の前記ガイド溝下端にて、さらに前記シャワーヘッドの向き可変用の回動用ガイド溝が連接して凹設されていることを特徴とする、請求項2に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記シャワー保持具が弾機手段を備え、該弾機手段により前記蓋体をシャワー保持具上面側に倒伏させる付勢力を与えることを特徴とする、請求項2に記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記突出部が前記シャワーヘッドの表面に離間して複数個突設されると共に、前記シャワー保持具内壁面に上記突出部と対応して複数のガイド溝が凹設されていることを特徴とする、請求項2に記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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