説明

シャワー装置

【課題】温水と冷水とを交互に供給する温冷水モードを実行するシャワー装置に関し、温水又は冷水の供給状態を利用者に音声等により報知して、シャワー使用者の利便性を高めることにある。
【解決手段】加熱装置4で加熱した熱媒8との熱交換により温水を供給する給湯装置6、温水と冷水とを所定の設定温度に混合する混合手段(ミキシング弁24)、給湯実行の経過時間を計時する計時手段(タイマ54)、温水と冷水とを交互に供給する温冷水モードについて、温水を供給するほぐし時間、冷水を供給するひきしめ時間に応じて、報知を行う報知手段(音報知部66)を備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換により加熱した温水と冷水とを自動供給するシャワー装置に関し、特に、温水と冷水とを交互に供給する温冷水モードを実行し、温水又は冷水の供給状態を利用者に報知するシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器の用途には温水シャワーがある。従来から温水シャワーの湯温を所定パターンで変化させれば、そのシャワーによってマッサージ効果が得られることが知られている。
【0003】
このようなマッサージ効果を得る温水シャワーに関し、特許文献1には、給湯器のバーナの燃焼量を変化させることにより、シャワーヘッドの出湯温度を変化させ、設定温度にゆらぎを生じさせることや、そのゆらぎモードにおいて、出湯上限温度を設定し、その上限温度に応じて目標温度を変更し、その目標温度を制限する下限温度リミッタを備えることが開示されている。
【特許文献1】特開平4−302943号公報(要約、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のリモコンを備えた給湯器(特許文献1)では、シャワーにより温水と冷水とを供給するゆらぎ運転の表示を行う場合、ゆらぎ運転を指示するゆらぎ指示スイッチが設けられていないリモコンにでもゆらぎ運転を確認可能な機能を備えることが開示されているが、シャワー使用中にゆらぎ運転の実行状態を目視により確認する必要があり、また、上記のリモコン表示では、ゆらぎ運転の実行中か否かしか確認できないという課題がある。
【0005】
斯かる課題について、特許文献1にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、温冷水シャワーを供給するシャワー装置に関し、動作状態や動作モードの切替え等の確認を容易にし、シャワー使用者の利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、冷水と温水とを交互に供給するシャワー装置であって、温冷水モードの実行状態や、設定温度について、温水タイミングか冷水タイミングかを音声の種類を切り替えて報知することでシャワー使用者の利便性を高めることができ、上記目的を達成することができる。
【0008】
そこで、上記目的を達成するため、本発明は、温水と冷水とを交互に供給するシャワー装置であって、加熱された熱媒との熱交換により水を加熱させる熱交換手段と、加熱された前記水と非加熱の水とを混合する混合手段と、温水、冷水の供給経過時間を計時するタイマと、前記混合手段で混合する温水及び冷水の温度を設定し、該設定温度を前記タイマの計時時間に応じて切り替え、温水又は冷水の供給状態を表す報知情報を出力する制御部とを備える構成である。斯かる構成により、シャワーの利用者は、温水又は冷水の供給状態を認識することができ、上記目的を達成することができる。
【0009】
上記目的を達成するためには、上記シャワー装置において、好ましくは、前記制御部から報知情報を受けて報知する報知手段を備え、該報知手段は、前記制御部の設定温度の切替えに応じて報知音を変更する構成である。斯かる構成によっても上記目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0011】
(1) 本発明によれば、シャワー使用中にリモコン装置の表示画面を目視で確認せずに、温冷水シャワーの動作状態等を確認でき、利便性を高められる。
【0012】
(2) また、本発明によれば、温水、冷水の設定温度の変化に応じて報知音声を変化させることで、出湯温度の変化を容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1の実施の形態〕
【0014】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施の形態に係るシャワー装置の構成を示す図である。図1に示すシャワー装置は一例であって、これに限定されるものではない。
【0015】
この温冷水シャワー装置2は、加熱された熱媒が持つ熱量によって温水加熱を行ういわゆる液液熱交換器を加熱手段に用いた給湯装置の一例であって、図1に示すように、加熱装置4及び給湯装置6を備えており、一定時間に所定のタイミングで、温水と冷水とを交互に出湯させる温冷水モードを備えている。
【0016】
加熱装置4は、給湯装置6に循環させる熱媒8を加熱する加熱手段であって、例えば、バーナの燃焼熱を熱媒8に熱交換する熱交換器で構成されている。この熱媒8には、例えば、液液熱交換を利用した暖房装置に用いる暖房用熱媒を利用してもよい。
【0017】
給湯装置6は、熱媒8の熱を用いて給水を加熱する給湯加熱手段であって、熱媒8の熱を上水Wに熱交換する熱交換手段として、例えばプレート熱交換器10を備えている。このプレート熱交換器10には加熱装置4から熱媒用管路12を通して熱媒8を循環させるとともに、給水口14から上水管路16に上水Wを循環させる。この上水管路16にはプレート熱交換器10より上流側に給水量センサ18、水制御弁20が設置されている。給水量センサ18は、上水管路16を通して給水及び給湯される流量の検出手段であるとともに、給湯中か否かを検出する手段であり、水制御弁20は、上水管路16に流れる上水Wの流量を制御する手段である。
【0018】
上水管路16のプレート熱交換器10の上流側にはバイパス管路22が分岐されており、このバイパス管路22の下流側と上水管路16との合流部には、ミキシング弁24が設置されている。バイパス管路22はプレート熱交換器10を通過させる前、即ち、加熱前の上水Wbと、プレート熱交換器10で熱交換した高温水HWaとを合流させる手段であり、ミキシング弁24は、上水Wbと高温水HWaとの混合割合を調整するための手段である。
【0019】
上水管路16上には、上水Wの温度検出手段である入水温センサ26、プレート熱交換器10で熱交換された高温水HWaの温度検出手段である出湯温センサ28、ミキシング弁24より下流側で上水Wbと高温水HWaとを混合した温水HWbの温度検出手段である混合温センサ30が設置されている。入水温センサ26、出湯温センサ28、混合温センサ30は、水の温度検出手段であり、例えば、サーミスタ温度計等を利用することができる。
【0020】
この給湯装置6には、制御手段として制御基板32が設置され、この制御基板32には制御部48(図2)が構成されている。この制御部48は、リモコン装置の一例である浴室リモコン装置34に接続されている。この浴室リモコン装置34は、給湯の温度制御や設定状態の表示等、遠隔操作をすることが可能となっている。
【0021】
上水管路16の下流側は、シャワー管路36及び給湯管路38に分岐されており、シャワー管路36には、給湯口としてシャワーヘッド40、給湯量調整手段として給湯栓42が設置されている。また、給湯管路38側には、給湯栓44が設置されている。
【0022】
次に、温冷水シャワー装置2の制御装置について、図2を参照する。図2は、温冷水シャワー装置の制御装置の構成を示す図である。なお、図2に挙げた構成は一例であって、これに限られない。また、図1と同一の構成については、同一符号を付している。
【0023】
この制御装置46は、制御基板32の構成例であって、マイクロコンピュータ等で構成された制御部48を備えている。
【0024】
この制御部48には、給水量センサ18、入水温センサ26、出湯温センサ28、混合温センサ30、また、その他のセンサ50から検出温度や検出流量等の検出信号が加えらる。そして、制御部48では、これらの検出信号に基づいて、設定された出湯量や温度等を制御するため、水制御弁20、ミキシング弁24、その他の機能部品52に制御指示を送信する。また、給湯の温度制御や設定状態の表示として、後述する温冷水モードにおいて、温水又は冷水の供給温度の指示や、温水又は冷水の供給状態を表す報知情報を出力する。
【0025】
また、制御装置46には、後述する温冷水モードの温水供給時間又は冷水供給時間や温冷水モードの設定からの経過時間等を計時するタイマ54や、温冷水シャワー運転時の温水と冷水の供給サイクルのサイクル数を計数する計数手段の一例として、サイクルカウンタ56が構成されており、温冷水シャワー運転処理では、タイマ54やサイクルカウンタ56の計時又は計数信号が制御部48に取り込まれる。
【0026】
制御部48に接続されたリモコン装置として、例えば、浴室に設置される浴室リモコン装置34が構成され、この浴室リモコン装置34は、制御部60、キースイッチ等で構成された操作部62、表示部64、音報知部66が構成されている。この制御部60は、マイクロコンピュータ等で構成され、温冷水シャワー装置2の使用者の操作により、操作部62から温度設定指示や運転モードの設定指示の信号を受け、制御装置46側へと送信する他、制御装置46側から現在の設定状態や運転情報等を受けて、表示部64や音報知部66で報知する。表示部64は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)素子等で構成されている。音報知部66は報知手段の一例であって、例えば、スピーカ等で構成されており、上記のように、制御装置46の制御部48で出力された報知情報を受け、後述の温冷水モードにおいて、音声、メロディー等により、温冷水モードに移行したことや、温水又は冷水の供給状態を報知する。この報知では、例えば、温水供給時と冷水供給時とを区別できるように報知音を変更して報知している。
【0027】
次に、温冷水の供給動作について、図3及び図4を参照する。図3は、温冷水の温度変化を示す図であり、図4は、設定モードテーブルを示す図である。なお、図3及び図4に示す設定温度や、その温度変化、設定モードの値等は一例であって、これに限定されない。
【0028】
温冷水モードでは、給湯栓42を開いたとき、シャワーヘッド40から、温水HWbと冷水(低温水)Wbとが交互に供給される温冷水シャワーなる。この内、図3に示すように、温水HWbが供給される時間をほぐし時間、冷水Wbが供給される時間をひきしめ時間と設定されている。供給される温水HWbの温度をほぐし温度とし、このほぐし温度は、ほぐし基準温度としての設定温度Tr〔℃〕に対し、所定温度として例えば、5〔℃〕だけ高い上限温度(Tr+5)〔℃〕が設定されている。ほぐし時間中に供給される温水HWbの温度は、例えば、設定温度Tr〔℃〕から上限温度(Tr+5)〔℃〕までの傾斜状態となるようにしている。
【0029】
図3において、Twは温冷水モードのひきしめ温度であり、温冷水の下限温度である。このひきしめ温度Twと設定温度Trとの関係は、Tw=Tr−ΔTで表すことができる。また、冷水Wbの温度をひきしめ温度Twの一例として設定している。この場合、設定温度Tr〔℃〕と所定の温度幅ΔTとして例えば、10〔℃〕以上の温度幅を持つ低い温度であればよい。
【0030】
温冷水モードは、図3に示すように、最初のほぐし時間で、給湯温度を浴室リモコン装置34の設定温度(給湯温度)Tr〔℃〕から徐々に上昇させ、その上昇温度の上限温度として例えば、(設定温度Tr〔℃〕+5〔℃〕)とする。この場合、設定温度Trが所定温度として例えば、42〔℃〕以上に設定されている場合、上限温度が42〔℃〕+5〔℃〕=47〔℃〕以上に達してしまうので、安全確保のため、設定温度Trは、温冷水モードの間は、上限を例えば、42〔℃〕とする。そして、タイマ54の計時により、ほぐし時間が経過すると、ひきしめ時間となり、設定温度をひきしめ温度に移行する。このひきしめ温度は例えば、ひきしめの度合として強弱の2段階の設定が可能であり、「強」では例えば20〔℃〕、「弱」では例えば、25〔℃〕が設定できる。
【0031】
温冷水モードでは、1回のほぐし時間+1回のひきしめ時間を1サイクルとして設定し、このサイクルを所定回数として例えば、10回繰り返す。この10サイクルが終了すると、温冷水モードを終了し、設定温度での連続給湯に移行する。
【0032】
ほぐし時間及びひきしめ時間のサイクル時間として、図4に示すように、設定モードテーブル70にある例えば、3段階の設定が可能である。
【0033】
「じっくり」モードでは、例えば、ほぐし時間:40〔秒〕、ひきしめ時間:20〔秒〕が設定されている。
【0034】
「ふつう」モードでは、例えば、ほぐし時間:30〔秒〕、ひきしめ時間:15〔秒〕が設定されている。
【0035】
「かるく」モードでは、例えば、ほぐし時間:20〔秒〕、ひきしめ時間:10〔秒〕が設定されている。
【0036】
次に、温冷水供給を含む給湯制御について、図5を参照する。図5は、温冷水シャワー装置の給湯制御処理を示すフローチャートである。なお、図5は、給湯制御処理の一例を示したものであって、この構成のみに限定されない。
【0037】
電源を投入すると、制御装置46では、機種設定の読み込み、出力の初期化、イニシャルテスト等のイニシャライズ処理を実行する(ステップS11)。常時行う処理として、温冷水モード管理(ステップS12)が実行され、温冷水モードの切替えが判定される。給湯動作制御(ステップS13)では、給湯に関する制御を行う。この制御には、温冷水供給も含まれる。
【0038】
また、その他の制御として、凍結防止等の制御が実行され(ステップS14)、ステップS12に戻る。
【0039】
この処理手順において、各制御は、処理ループを繰り返しながら必要な制御を巡回して行い、各ステップの処理が完了した後、次のステップに移行することを意味するものでない。
【0040】
次に、温冷水モードによる給湯処理及び報知処理について、図6を参照する。図6は、温冷水モードでの動作処理を示すフローチャートである。なお、図6に示す処理内容、手順等は一例であって、これに限定されない。
【0041】
この温冷水動作処理では、温冷水モードが設定された場合、温水又は冷水の供給時に、例えば音声による報知を行う。また、この給湯報知では、温水供給と冷水供給とで報知する音を変えて、シャワー使用者に温水、又は冷水の何れが供給されるのかを認識させている。
【0042】
例えば、温冷水シャワー装置2の使用時に、浴室リモコン装置34の操作部62に対して、温冷水モードの設定がされると(ステップS21)、温冷水モードを開始する旨が浴室リモコン装置34の表示部64に表示され、又は、音報知部66から音声により報知されるとともに、温冷水動作を実行するための各種動作設定が行われる(ステップS22)。この設定動作として、例えば、温冷水モードのほぐし基準温度である設定温度Tr〔℃〕、ひきしめ温度Tw〔℃〕、ほぐし時間、ひきしめ時間を設定する。
【0043】
また、サイクルカウンタ56やタイマ54をリセットして(ステップS23)、温冷水モードの準備が完了する。
【0044】
次に、給湯中か否かの判断を行う(ステップS24)。この判断では、例えば、給水量センサ18による流量検知により行う。
【0045】
シャワーの給湯栓42が開状態で給湯が行われている場合(ステップS24のYES)、タイマ54による計時を開始し、温冷水の供給経過時間の計時を行う(ステップS25)。経過時間がほぐし時間以内か否かの判断を行う(ステップS26)。ほぐし時間以内、即ち、ほぐし時間中である場合(ステップS26のYES)、経過時間に応じて設定温度Tr〔℃〕から上限温度(Tr+5)〔℃〕となるように目標温度を上昇させる(ステップS27)。即ち、図3に示すように、ほぐし時間中は、給湯温度を設定温度Tr〔℃〕から上限温度(Tr+5)〔℃〕まで上昇させている。
【0046】
この目標温度の算出方法の一例として、例えば、ほぐし時間と経過時間との間で比を取り、ほぐし時間の経過時に+5〔℃〕となる温度を算出し、その温度と設定温度Tr〔℃〕とを足して求める。
【0047】
この場合、制御装置46では、ほぐし時間中で、かつ給湯実行中であることを浴室リモコン装置34側に通知する。そして、浴室リモコン装置34では、その通知を基に、ほぐし時間中であって、ほぐし温度で給湯中である旨の報知を行う(ステップS28)。
【0048】
また、この間、温水の供給では例えば、混合温センサ30に対して、算出した目標温度を設定し、この目標温度の出湯を行うようにミキシング弁24の開度調整を行う(ステップS29)。
【0049】
タイマ54による経過時間の計時により、その経過時間が(ほぐし時間+ひきしめ時間)以上となっているか否かの判断を行う(ステップS30)。上記の場合、ほぐし処理のみが行われているので、経過時間は(ほぐし時間+ひきしめ時間)未満であり(ステップS30のNO)、ステップS24の処理に戻る。
【0050】
そして、同様にステップS24及びステップS25の処理を行い、経過時間がほぐし時間を超えた場合には(ステップS26のNO)、冷水によるひきしめ時間に移行する。ひきしめ時間中は、設定されたひきしめ温度Twを目標温度として設定する(ステップS31)。このひきしめ時間中、浴室リモコン装置34は、ひきしめ温度Twでの給湯がされる旨の報知を行う(ステップS32)。
【0051】
ステップS28及びステップS32の浴室リモコン装置34による報知処理では、ほぐし温度での給湯を行う場合と、ひきしめ温度での給湯を行う場合とで、音を異ならせる。例えば、ほぐし時間中は「ピッピッピッ・・・」のリズム音を発し、ひきしめ時間中は「ピーピーピー・・・」の音を発し、音の長短、高低、音の種類を異ならせる等して、シャワー使用者が浴室リモコン装置34を目視で確認することなく、ほぐし時間か、ひきしめ時間かの判別ができるように報知を行う。
【0052】
そして、ステップS30において、(ほぐし時間+ひきしめ時間)が経過した場合には(ステップS30のYES)、1サイクルが終了したと判断し、サイクルカウンタ56では、サイクルカウントを+1し、同時に次のサイクルを開始するために、タイマ54をリセットする(ステップS33)。次に、サイクルカウンタ56の確認に移行し、設定されたサイクルとして、例えば10サイクルに達したか否かの判断を行う(ステップS34)。10サイクルに達していない場合には(ステップS34のNO)、再びステップS24に戻って温冷水モードを継続し、10サイクルに達している場合には(ステップS34のYES)、温冷水モードを解除して(ステップS35)、通常の給湯動作(ステップS13:図5)に移行する。
【0053】
また、温冷水モードが設定されたが、給湯が行われていない場合(ステップS24のNO)、既に、タイマ54による経過時間の計時を開始している場合は、タイマ54を停止させ、経過時間の計時を中止する(ステップS36)。そして、温冷水モードの選択後、所定時間以上一度も給湯が行われない場合(ステップS37のYES)や、所定時間以上中断している場合には(ステップS38のYES)、温冷水モードを解除して(ステップS35)、通常の給湯モードに移行する(ステップS13:図5)。
【0054】
この場合、温冷水モードの実行中や、所定時間以上の給湯がされない場合(ステップS37)、所定時間以上給湯が中断している場合(ステップS38)に、例えば、給湯を開始させるように促したり、又は、温冷水モードを終了させる旨を音報知部66による報知や表示部64に表示させて、報知するようにしてもよい。
【0055】
斯かる構成により、温冷水モードの実行中に音声等によって報知を行うことで、シャワー使用中にリモコン装置の表示画面を目視で確認せずに、温冷水シャワーの動作状態等を確認できる。また、ほぐし時間、ひきしめ時間でそれぞれ報知する音を変化させることで、出湯温度の変化を容易に認識することができる。その他、音声等で報知することで、シャワー使用者は聴覚によって運転状態が把握できるので、例えば、通常の温水シャワーを意図した利用者に対して、温冷水モードが実行中の場合、表示部64等で給湯設定温度や運転モード等を確認しなくても、直感的に温冷水モード実行中であることを認識することができる。
【0056】
〔その他の実施の形態〕
【0057】
(1) 上記実施の形態では、温水又は冷水の報知タイミングについて、タイマ54の計時により、ほぐし時間か、又はひきしめ時間かに応じて報知音を変更するようにしたが、例えば、混合温センサ30による測定温度結果により、給湯温度変化を検出して、給湯温度が上昇中か、又は下降中かに基づいて報知音を変更するようにしてもよい。即ち、給湯温度は、設定温度Trに対して、ほぐし時間経過時に(Tr+5)〔℃〕となるように制御しているので、ほぐし時間中は給湯温度が上昇状態となる。また、ひきしめ時間中は、(Tr+5)〔℃〕から冷水温度Tw〔℃〕まで給湯温度が下降状態となる。斯かる構成によっても、温冷水シャワーの使用者は、表示部64を確認せずに、ほぐし時間中か、ひきしめ時間中かを認識することができる。
【0058】
(2) 上記実施の形態では、音声報知を行うリモコン装置として、浴室リモコン装置34を示したが、これに限られず、例えば、運転状態の表示、音報知を台所リモコン装置等にも同時に表示や報知するようにしてもよい。斯かる構成によっても、上記目的を達成できる。
【実施例】
【0059】
次に、温冷水モードで給湯した場合の実施例について、図7を参照する。図7は、温冷水の温度変化の実施例を示す図である。なお、図7に示す温冷水の温度変化等は一例であって、これに限定されない。
【0060】
この実施例では、温冷水モードの実行中に設定温度Trを変更する場合について説明する。図7に示すように、温冷水モードの実行状態として、例えば、1サイクルをT=60〔秒〕、冷水の設定温度をTw=25〔℃〕に設定されている。そして、温水の設定温度Trについて、時間の経過により、例えば、Tr1=40〔℃〕、Tr2=38〔℃〕、Tr3=37〔℃〕のように変更している。
【0061】
温冷水モードの実行中に温水側の設定温度を変更した場合にも、供給する温水の温度は、上記実施の形態に示すように、各設定温度Tr1、Tr2、Tr3〔℃〕に対して、ほぐし時間中に+5〔℃〕となるように制御を行う。そして、ほぐし温度とひきしめ温度とを交互に繰り返して、温水と冷水とを供給する温冷水モードを実行する。
【0062】
このように設定温度Trを変更した場合でも、上記実施の形態のように、ほぐし時間、又はひきしめ時間において、それぞれ異ならせた音により、給湯状態を知らせる報知を行う。
【0063】
なお、設定温度Trの変更指示については、例えば使用者が1サイクルの終了前に設定変更指示をした場合でも、温度制御はサイクル毎に行うようにすればよい。また、1サイクル中の場合でも、設定温度Trの変更により、測定温度が変更後の上限温度以上になるのを防止するため、例えば、1サイクル中の経過時間が所定時間以内であれば、設定温度Trの変更を実施可能にしてもよい。
【0064】
また、設定温度Tr1、Tr2、Tr3の変更について、使用者により任意に変更した場合について説明したが、これに限られず、例えば、温冷水モードの制御において、所定のサイクル毎に設定温度Trを自動的に変化させるように制御してもよい。
【0065】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、温水と冷水とを交互に供給する温冷水モードを実行し、温水又は冷水の供給状態を利用者に報知するシャワー装置に関し、温水を供給するほぐし時間と、冷水を供給するひきしめ時間とに応じて、区別して報知することで、温冷水シャワーの使用中にリモコン等の設定を目視で確認しなくても、聴覚によって運転状態を確認でき、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施の形態に係る温冷水シャワー装置を示す図である。
【図2】温冷水シャワー装置の制御装置の構成を示す図である。
【図3】温冷水の温度変化を示す図である。
【図4】設定モードテーブルを示す図である。
【図5】温冷水シャワー装置の給湯制御処理を示すフローチャートである。
【図6】温冷水モードでの動作処理を示すフローチャートである。
【図7】温冷水の温度変化の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
2 温冷水シャワー装置
4 加熱装置
6 給湯装置
8 熱媒
10 プレート熱交換器
12 熱媒用管路
16 上水管路
18 給水量センサ
20 水制御弁
22 バイパス管路
24 ミキシング弁
26 入水温センサ
28 出湯温センサ
30 混合温センサ
34 浴室リモコン装置
46 制御装置
54 タイマ
56 サイクルカウンタ
62 操作部
64 表示部
66 音報知部
70 設定モードテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水と冷水とを交互に供給するシャワー装置であって、
加熱された熱媒との熱交換により水を加熱させる熱交換手段と、
加熱された前記水と非加熱の水とを混合する混合手段と、
温水、冷水の供給経過時間を計時するタイマと、
前記混合手段で混合する温水及び冷水の温度を設定し、該設定温度を前記タイマの計時時間に応じて切り替え、温水又は冷水の供給状態を表す報知情報を出力する制御部と、
を備えたことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
請求項1のシャワー装置において、
前記制御部から報知情報を受けて報知する報知手段を備え、
該報知手段は、前記制御部の設定温度の切替えに応じて報知音を変更することを特徴とするシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−99123(P2010−99123A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270971(P2008−270971)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】