説明

シャワー装置

【課題】快適な水圧でシャワーを吐出可能なシャワー装置を提供する。
【解決手段】本発明のシャワー装置は湯水を加圧してシャワーヘッド1の吐出口4から吐出させる充電式の湯水加圧手段9を備えたものである。そして、上記湯水加圧手段9の充電回路16はトランス17を有すると共に、上記トランス17の一次コイル20をシャワーヘッド1を保持するシャワーフック6の保持部の内部に配置し、上記トランス17の二次コイル21を上記シャワーヘッド1の内部に配置してある。更に、シャワーヘッド1をシャワーフック6に保持することで、上記一次コイル20のコアと上記二次コイル21のコアが環状に並び、一次コイル20と二次コイル21が非接触で電気的に接続されるものである。このようにしたことで、安全で且つ快適な水圧のシャワーをシャワーヘッド1の吐出口4から吐出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カランで吐出する湯水の水圧がシャワー装置で用いるには低い際に、浴槽に湯水を供給する給湯タンクやカラン用の温水配管から分岐した貯湯タンクにシャワー用の水圧に加圧して吸排するポンプを設けることで、シャワー使用に適した水圧の湯水をシャワー装置に供給している。
【0003】
また、シャワーヘッドに頭部マッサージ突起及び突起駆動部等の電動機構を設けて、電動機構によりマッサージ等を行い、シャワー装置によるシャワーをより快適にしたものもある。例えば、特許文献1のように、シャワーヘッドに超音波付与部を内蔵し、シャワーヘッドから吐出する湯水に超音波を付与して、シャワーによるマッサージ効果を向上させたものもある。詳しくは、シャワーヘッド内に二次電池等の充電電池部を有し、充電電池部を電源として超音波付与部を駆動させて湯水に超音波を付与してシャワーヘッドの吐出口から吐出するものである。そして、上記シャワーヘッドを保持するシャワーフックには充電電池部を充電する充電部が増設されており、シャワーヘッドをシャワーフックに支持させることで充電を行われるものである。上記充電部の電気回路とシャワーヘッド側の充電電池部を有する電気回路は非接触トランスによって非接触で電気的に接続されており、シャワーヘッドの電動機構と充電部や外部電源の間を繋ぐ配線や通電端子が浴室内に露出しないものとなっている。
【0004】
つまり、電動機構を充電式にすると共に、充電電池と充電装置の間をトランスで電気的に接続することで、電動機構用の電気配線がホース等に絡まってシャワーヘッドの取り回しを邪魔したりシャワーフックに引っ掛り断線したりすることを防止すると共に、充電用の電気端子が洗剤や湯水等の付着により短絡や腐食等を生じて故障する等の不具合や、露出した電気端子に使用者や洗剤・湯水等が触れて漏電する等の危険を生じる懼れがなく、充電動作の不具合の発生を予防すると共に高い安全性を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−174978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、給湯タンクや貯湯タンクにポンプを設けると、給湯タンクを小容量のものに交換したり、浴室内あるいは浴室外に貯湯タンクの配置スペースを形成したりする等の設置場所が調整や施工費用の増加の問題がある。そして、給湯タンクや貯湯タンクのポンプを操作する操作部を浴室内に設ける必要があり、浴室内壁に設けるとシャワー使用中に操作し難く、シャワーヘッドに操作部を設けると操作部とポンプを繋ぐ配線がホースの取り回しの邪魔になり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
また、特許文献1のように、非接触のトランスを用いてシャワーヘッド内の充電電池を充電するものでは、トランスの一次コイルを備えた充電部がシャワーフックの上面から突出して設けられている。そのため、鏡や収納棚を備えた浴室ではシャワーフックの設置位置を変更する等のレイアウトの制限や設置費用の増加が生じると共に、シャワーヘッドをシャワーフックから取り外す際に充電装置が把持の邪魔になる等の使い勝手が悪いものである。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて発明したものであり、シャワーヘッドに湯水加圧手段を設けると共に、湯水加圧手段を充電する充電装置をコンパクトで且つ湯水加圧手段に直に接触させずに電気的接続を行わせることで、使い勝手を向上させたシャワー装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のシャワー装置は、湯水を吐出する吐出口4を有するシャワーヘッド1と、シャワーヘッド1を着脱自在で保持する保持部を有するシャワーフック6と、からなるものである。そして、上記シャワーヘッド1は湯水を加圧して吐出口4から吐出させる充電式の湯水加圧手段9を備えている。更に、上記湯水加圧手段9を充電する充電回路16は、外部電源25に接続されシャワーフック6に配置された一次回路16aと、上記湯水加圧手段9に接続されシャワーヘッド1に配置された二次回路16bと、上記一次回路16aと上記二次回路16bを非接触で電気的に接続するトランス17と、を有すると共に、上記トランス17の一次コイル20がシャワーフック6の保持部に内蔵され、上記トランス17の二次コイル21がシャワーヘッド1に内蔵されている。上記シャワーフック6による上記シャワーヘッド1保持時に上記一次コイル20のコアと上記二次コイル21のコアが環状に並び一次回路16aと二次回路16bを非接触で電気的に接続するものである。
【0010】
このような構成としたことで、湯水を加圧してシャワーヘッド1の吐出口4から吐出することができる。そして、湯水加圧手段9側の電気回路である二次回路16bと充電装置である一次回路16aの間をトランス17で電気的に接続したことで、電気配線や充電端子等の直に接触する部材が一次回路16aと二次回路16bの間で外部に露出することが防止できる。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、本発明のシャワー装置はシャワーヘッドに湯水加圧手段を設けたことで、貯湯タンクにシャワー用のポンプを増設あるいはシャワー用のポンプに変更しなくても加圧した湯水をシャワーヘッドの吐出口から吐出することができる。そして、一次回路をシャワーフックに内蔵したことで、湯水加圧手段を充電する充電装置の設置スペースを新たに設ける必要がなく、シャワー装置の設置スペースをコンパクトに抑えることができる。更に、着脱自在なシャワーヘッドとシャワーフックの間をトランスによって非接触で電気的に接続したことで、電気配線がホースに絡まることや、使用者やシャワー装置に付着した湯水や洗剤等による漏電の危険を防止できると共に、充電端子の短絡や腐食等の故障の発生を防止できて、安全性及び耐久性を向上することができる。また更に、トランスの一次コイルを保持部に内蔵したことで、シャワーヘッドをシャワーフックからの着脱する際に、充電回路が使用者による把持部の把持を邪魔せず、使い勝手の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例におけるシャワー装置の設置例の斜視図である。
【図2】同上の湯水加圧手段の説明図である。
【図3】同上の充電回路の回路図である。
【図4】同上のトランスの説明図であり、(a)一次コイル、(b)二次コイル、(c)一次コイルと二次コイルの導通状態である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明のシャワー装置の実施形態について説明する。
【0014】
本発明のシャワー装置は、図1に示すように、湯水を吐出する吐出口4を有するシャワーヘッド1と、浴室の壁面等にシャワーヘッド1を保持するシャワーフック6と、貯湯タンクに貯えられた湯水をシャワーヘッド1に導入するホース24と、からなるものである。
【0015】
上記シャワーヘッド1は内部に湯水が流動する流動管3を備え外周面を把持部2aとした筒形状を本体2としたものである。そして、上記本体2の筒の一端に流動管3から流動された湯水を吐出する吐出口4を備えると共に、筒の他端に流動管3に上記ホース24を連通させて取り付ける連結管5を備えている。更に、上記シャワーフック6は、上記連結管5の外周に内周面を当接してシャワーヘッド1を保持する平面視C字形状のフック部7と、上記フック部7を上記壁面等に固定する平面視矩形状の固定部8と、からなるものである。
【0016】
また、シャワーヘッド1は本体2と連結管5の間に湯水を加圧して吐出口4に導入する充電式の湯水加圧手段9が配置されている。そして、上記湯水加圧手段9は例えば、図2に示すように、内部に流動管3の貫通した充電式の回転加圧部9aであり、上記回転加圧部9aの回転駆動により流動管3内の湯水を加圧して吐出口4に導入するものである。
【0017】
詳しくは、駆動源であるモータ11と、流動管3内に配置されモータ11の回転駆動により流動管3内の湯水を加圧し吐出口4に導入する羽根車12と、モータ11の電力供給源である充電電池部10と、回転加圧部9aを制御する制御部13と、回転加圧部9aの動作を外部操作する操作部14と、からなるものである。そして、上記モータ11は例えばブラシレスモータであり、永久磁石を有し羽根車12に一体で形成されたロータ11bと、流動管3より外周に配置されロータ11bを回転させる電磁石を有したステータ11aと、からなるものである。更に、上記モータ11の電力供給源である充電電池部10は外部電源25により充電可能な二次電池等からなるものである。
【0018】
つまり、上記モータ11により羽根車12が回転駆動することで、湯水加圧手段9内に配置された流動管3を流れる湯水が加圧されて、吐出口4へ導入されるものであり、湯水加圧手段9はシャワー装置用のポンプとなっている。そして、上記回転加圧部9aの下面には連結管5の外周に位置して突起部15が突設されており、上記突起部15はシャワーヘッド1をシャワーフック6に保持させた際にフック部7のC字形状の対向する端面の間の空間に位置して上記両端面に当接しフック部7による保持を補助している。更に、上記操作部14は、モータ11の回転のオンオフを操作するスイッチや、モータ11の回転速度を調整する調整つまみや、モータ11の回転のオンオフ及び回転速度の両方を兼ねたもの等である。なお、上記モータ11の回転のオンオフを操作する操作部14にオルタネイト動作型のスイッチを用いれば、湯水を加圧した状態を維持してシャワーヘッド1をシャワーフック6に保持できて、使い勝手をより向上して好ましい。
【0019】
また、上記回転加圧部9aの充電電池部10を充電するための充電回路16は、図3に示すように、シャワーフック6に内蔵された電気回路を充電装置としており、上記充電装置と充電電池部10の間をトランス17によって電気的に接続している。つまり、充電回路16は、トランス17の一次コイル20を備え商用電源等の外部電源25に電気配線等を介して接続された一次回路16aと、二次コイル21を備え充電電池部10に電気配線等を介して接続された二次回路16bと、に分割されている。
【0020】
上記一次回路16aはシャワーフック6に内蔵されており、外部電源25の電力を整流する一次整流部18と、上記一次コイル20と、整流した電力をスイッチングして一次コイル20に供給するスイッチング部19と、からなるものである。そして、上記二次回路16bはシャワーヘッド1に内蔵されており、上記二次コイル21と、二次コイル21に生じた電力を整流し充電電池部10に流す二次整流部22と、充電電池部10の充電動作を外部に報知するLED等の発光体23aを有する表示部23と、からなるものである。
【0021】
また、図4に示すように、トランス17は電気的接続時に一次コイル20の導線20bの巻かれたコアと二次コイル21の導線21bの巻かれたコアが略同一平面上に環状で並ぶものである。詳しくは、一次コイル20がシャワーフック6のフック部7の内部に配置されており、上記一次コイル20がフック部7から外部に露出していないものである。そして、上記一次コイル20のコアである一次側コア20aは円環の一部が切り欠かれた平面視略C字形状であり、上記一次側コア20aはフック部7と略同芯で配置されると共に、内径がフック部7の内周より大径で且つ外径がフック部7の外周より小径となっている。
【0022】
また、二次コイル21はシャワーヘッド1の突起部15の内部に配置されており、上記二次コイル21が突起部15から外部に露出していないものである。そして、上記二次コイル21のコアである二次側コア21aは上記一次側コア20aと略同径で且つ上記一次側コア20aの切り欠いた部位と略同形の円弧形状である。更に、上記二次側コア21aはシャワーヘッド1をシャワーフック6に保持させた際にフック部7と同芯で並ぶよう突起部15内に配置されている。
【0023】
そのため、上記突起部15をフック部7のC字の対向する端部間の空間に収めてシャワーヘッド1をシャワーフック6に保持させると、トランス17はフック部7及び突起部15の外装を間に介在して一次側コア20aと二次側コア21aが同一平面上で環状に並ぶものとなっている。そして、一次側コア20aと二次側コア21aが環状に並ぶことで、一次回路16aと二次回路16bが上記トランス17により直接接触することなく電気的に接続されて、充電回路16による充電電池部10の充電が行われるものとなっている。更に、一次側コア20aと二次側コア21aの円周方向の間にフック部7及び突起部15の外装が介在するため、一次側コア20a及び二次側コア21aの端部が外部に露出しておらず、充電回路16に浴室内の導電体、例えば使用者はもちろん、使用者やシャワー装置に付着した湯水や洗剤等が直に接触することがないものである。
【0024】
このように、シャワーヘッド1にシャワー使用時に湯水を加圧し吐出できる湯水加圧手段9を設けたことで、貯湯タンクにシャワー用のポンプが無くても快適にシャワーを使用することができる。そして、ポンプである湯水加圧手段9がシャワーヘッド1に設けられているため、湯水加圧手段9の操作部14を把持部2aに設けてもポンプと操作部14を繋ぐ電気配線がシャワー使用時に邪魔にならずに快適にシャワーを使用することができる。更に、シャワーヘッド1とシャワーフック6の間の電気的接続にトランス17を用いると共に、トランス17の一次側コア20a及び二次側コア21aをフック部7及び突起部15の外装で覆ったことで、充電端子等の電気的接続時に直に接触させる部材が外部に露出していない。
【0025】
そして、トランス17を介して充電電池部10と充電装置である一次回路16aを電気的に接続したことで、充電電池部10と充電装置が直に接触することがない非接触となっており、充電回路16の一次回路16aと二次回路16bの接点が外部に露出することがなく、且つ両回路を繋ぐ電気配線がないものである。そのため、湯水や洗剤、使用者等が充電回路16に直に接触することがなく、充電回路16の短絡や腐食等による故障や浴室内あるいは使用者への漏電の発生を防止できて、故障や漏電等の不具合の発生を抑制した安全性及び耐久性の向上したものとなっている。
【0026】
また、一次回路16aをシャワーヘッド1を保持するシャワーフック6に内蔵したことで、充電電池部10を充電する充電装置を設置するスペースを室内に新たに設ける必要のないシャワー装置となっている。そして、一次側コア20aの形状をフック部7の保持面である内周面に沿った平面視C字形状としたことで、シャワーフック6のデットスペースであったフック部7の内部が一次コイル20の配置スペースとなり、シャワーフック6をよりコンパクトにできる。更に、把持部2aより下方に回転加圧部9a及び二次コイル21を有する突起部15を備えたことで、把持部2aの大型化等の形状変更を抑えてコンパクトにすることができる。そのため、シャワーヘッド1をシャワーフック6から着脱する際に、回転加圧部9aや充電回路16が使用者による把持部2aの把持を邪魔せず、使い勝手のよいものとなっている。
【0027】
また、本発明のシャワー装置は貯湯タンクがシャワー用のポンプを備えたものに取付けて湯水加圧手段9を貯湯タンクに備えたポンプで加圧した湯水を更に加圧する補助ポンプとして用いてもよい。つまり、設置位置の都合やシャワーヘッド1の吐出口4を噴射面積の広い大径のものに変更する等により貯湯タンクのポンプでシャワー使用時の湯水に十分な水圧を与えられない場合に、湯水加圧手段9で湯水を更に加圧して快適な水圧でシャワーを使用可能としたものである。
【0028】
更に、既存のシャワー装置で十分な水圧の湯水をシャワーの吐出口から吐出できる場合でも、本発明のシャワー装置を取り付けることで、貯湯タンクのポンプ等による既存の水圧より高い水圧にして使用者にシャワーによるマッサージ効果を与えるものや、湯水加圧手段9によりシャワーヘッド1の吐出口4から吐出する湯水の水圧を使用者が操作部14で調整可能としたもの等としてもよい。
【0029】
もちろん、湯水加圧手段9はロータ11bと別部材で湯水を加圧流動させるインペラやプロペラ等であってもよい。また、シャワー装置のない洗面台であってもカランをシャワー用のホース24を備えたものやシャワー用に湯水を分岐可能なものに変更して本発明を取り付けるだけで、洗面台本体の交換や洗面台の下部収納部に新たにポンプを設置しなくても、快適な水圧のシャワーを使用可能な洗面台に取り換えることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 シャワーヘッド
4 吐出口
6 シャワーフック
7 フック部
9 湯水加圧手段
16 充電回路
16a 一次回路
16b 二次回路
17 トランス
20 一次コイル
21 二次コイル
25 外部電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を吐出する吐出口を有するシャワーヘッドと、シャワーヘッドを着脱自在で保持する保持部を有するシャワーフックと、からなり、上記シャワーヘッドは湯水を加圧して吐出口から吐出させる充電式の湯水加圧手段を備え、上記湯水加圧手段を充電する充電回路は、外部電源に接続されシャワーフックに内蔵された一次回路と、上記湯水加圧手段に接続されシャワーヘッドに内蔵された二次回路と、上記一次回路と上記二次回路を非接触で電気的に接続するトランスと、を有すると共に、上記トランスの一次コイルがシャワーフックの保持部に内蔵され、上記トランスの二次コイルがシャワーヘッドに内蔵されており、上記シャワーフックによる上記シャワーヘッド保持時に上記一次コイルのコアと上記二次コイルのコアが環状に並び一次回路と二次回路を非接触で電気的に接続するものであることを特徴とするシャワー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−110168(P2011−110168A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268113(P2009−268113)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】