シャンク及びこれを有する履物
【課題】 靴底自体の構造を大きく変更すること無く、靴底形状の変更かつ保形を容易に為し得る、シャンク及びこれを有する履物を提供する。
【解決手段】 足の前部分に対応する前部3aと、前記前部3aに連続して形成され足の中央部分に対応する中部3bと、前記中部3bに連続して形成され足の後部分に対応する後部3cとを含み、前記中部3bは、前記前部3a及び前記後部3cに比して可塑性が高い、シャンク3及びこれを有する靴1を構成する。
【解決手段】 足の前部分に対応する前部3aと、前記前部3aに連続して形成され足の中央部分に対応する中部3bと、前記中部3bに連続して形成され足の後部分に対応する後部3cとを含み、前記中部3bは、前記前部3a及び前記後部3cに比して可塑性が高い、シャンク3及びこれを有する靴1を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関し、特に靴底構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、履き心地の良い、美しいデザインを有する履物が開発されてきた。履物の底面には、シャンクと呼ばれる補強材が内蔵されている。一般的に、シャンクとは、踏まず芯とも呼ばれ、履物の背骨ともいうべき、底面に歪みを生じさせないための底面補強部材であり、特にヒールのある靴の靴底構成に欠かせない部材である。図11に示す、従来の靴101におけるシャンク103は、足の土踏まずから踵にかけて長手方向に配置され、中底の下面に留められ、靴底部104を補強している。また、シャンク103の前方と後方にそれぞれ穴103d、103eが設けられている。穴103dは鳩目により中底に留められ、穴103eはねじによりハイヒール6に留められる。
【0003】
ヒール靴の中でも、特にハイヒール靴は、スタイルをより良く見せる効果があるため、ファッション性を重視する多くの女性から好まれる。しかしハイヒール靴では、長時間立ち歩きをする時には疲れやすく、凹凸のある場所ではバランスを崩して転倒する危険性が高い。そのため、これらの際には、機能性を重視して、ローヒール靴が好まれる。
【0004】
以上のように、ハイヒール靴はファッション性が高く、ローヒール靴は機能性が高い。しかし、ハイヒール靴とローヒール靴の両方を持ち歩くことは不便で非効率であり、どちらか一種類の靴の選択を強いられているのが一般的である。
【0005】
そこで、近年では、新たな履物の種類として、ヒールの高さを調整することにより、ハイヒールとローヒールのバリエーションを楽しむことができる様々な提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、低い踵を取り付けた靴に高い踵を着脱自在に取り付けた踵を交換できる靴が開示されている。
【0007】
特許文献2には、本底の後部下に、踵ヒール部が配された履物において、該ヒール部は、該本底の後部に対し磁力にて着脱可能であると共に、各種異なるタイプのものの中から選択使用されることを特徴とする履物が開示されている。
【0008】
特許文献3には、 靴本体の踵部の下面に、円弧状の係合溝を円の軌跡に沿って複数形成し、補助踵の上面に、複数の各係合溝に対応する係止杆を突設し、係止杆を係合溝に係脱させることにより、靴本体の踵部に補助踵を着脱可能にしてなる靴の踵が開示されている。
【0009】
特許文献4には、女性用シューズにおいて、ヒールの高さをハイヒールとローヒールに切換える構造を有することを特徴とするハイアンドロー・ヒール切換え式シューズと、ハイアンドロー・ヒール切換え式シューズにおいて、ヒール高の変化により生じる、靴底前方つま先から指の付け根までの部分と靴底中央土踏まず部分との角度変化に対応して伸縮する材質を、靴底前方と中央の境界部に使用することを特徴とするハイアンドロー・ヒール切換え式シューズが開示されている。
【0010】
さらに、特許文献5には、 伸縮性材料から一体に形成された内層を備え、内層が、可撓性を有するトップラインと、材料を支えるための踵補強材およびつま先補強材を備え、踵補強材およびつま先補強材が、組み立て部材の踵部とつま先部との間の相対角変動を可能とするために材料のヒンジ部により離間され、材料が相対角変動に適合するよう伸縮することを特徴とする、靴用の組み立て部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平1−131305号公報
【特許文献2】特開2006−247243号公報
【特許文献3】登録実用新案第3032266号公報
【特許文献4】特開2004−121765号公報
【特許文献5】特開2006−122718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
踵の高さを変更した場合には、これに伴い、履物の底における爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度の変更が必要となる。以上の特許文献に係る発明を実施する場合には、この角度変更に対応するために、履物自体にヒンジとなる部分を設けなければならない。例えば特許文献4には、ヒール高の変化により生じる、爪先と踵との角度変化に対応するために、靴底のうち前方と中央の間に、伸縮材料からなる境界部が設けられている。また、特許文献5には、組み立て部材として、伸縮性材料から成る内層と、これを支える補強材と、伸縮性材料のヒンジ部とが設けられている。以上のように複雑な底面構造を採用すると、ハイヒールとローヒールの両方に変化し得る靴の製造にあたり、靴全体の製造工程を特殊化する必要がある。従って、既存の製造工程を著しく変える必要があり、様々なデザインの靴への適用が極めて難しい。よって、ハイヒールとローヒールの両方を楽しめる靴は、デザイン数に富めず、ファッション面での要望を満たせない。また、特許文献4及び特許文献5では、履物の底における角度変更に対応するために、伸縮性部材を用いて底面の可撓性を発揮している。このような履物のみでは底面全体の形状を変更することはできても、形状を保つことができないため、歩行中に変形してしまう可能性がある。
【0013】
そこで本発明は、以上の点に鑑み、既存の履物の底面の製造工程を著しく変えることなく、底面を変形及び保形し得えるシャンク及びこれを有する履物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、本発明の構成によれば、履物に内蔵されるシャンクであって、足の前方に対応する前部と、前記前部に連続して形成され足の中央に対応する中部と、前記中部に連続して形成され足の後方に対応する後部とを含み、前記中部は前記前部及び前記後部に比して可塑性が高いシャンクにより、達成される。
【0015】
本発明によるシャンクは、前記前部と前記後部とは、前記中部に比して、厚みが大きいことを特徴とするものでもよい。
【0016】
本発明によるシャンクは、長手方向にビード加工が施されているものでもよい。
【0017】
本発明によるシャンクは、前記中部に、穴又は切り込みが設けられているものでもよい。
【0018】
本発明によるシャンクは、前記前部と前記後部は、前記中部に比して強度が高い素材より成るものでもよい。
【0019】
本発明によるシャンクは、履物に内蔵されるシャンクであって、足の前方に対応する前部と、前記前部に連続して形成され足の中央に対応する中部と、前記中部に連続して形成され足の後方に対応する後部とを含み、前記中部に、前後方向に折曲がり、かつ角度保持を可能にする、角度調整金具が設けられたものでもよい。
【0020】
本発明による履物は、底内に前記シャンクが設けられたものでもよい。
【0021】
本発明による履物は、前記シャンクの上側に、前後方向への伸縮性を有する中敷が設けられたものでもよい。
【0022】
本発明による履物は、前記シャンクの上側に、袋状の外膜と前記外膜に内包される流動体とを有する中敷が設けられたものでもよい。
【発明の効果】
【0023】
上記構成のシャンクは、可撓性のある履物にこれを内蔵した場合、底面に体重をかけることにより、中部が前後方向に曲がる。この際シャンクが、どのような高さのヒールを装着した場合にも、底面における爪先から指の付け根に対応する部分と土踏まずから踵に対応する部分との成す角度の変化に応じて、適切に形状を変化し、保持することができる。また、既存のシャンクと差し替えることによって、既存の底面の製造工程を著しく変えることなく、底面を変形及び保形し得る履物を提供することができる。
【0024】
また、前部と後部とが、中部に比して厚みが大きいシャンクを採用することにより、前部と後部の強度が高まり、前記中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0025】
長手方向にビード加工が施されているシャンクを採用することにより、前部と後部の強度が高まり、中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0026】
中部に、穴又は切り込みが設けられているシャンクを採用することにより、中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0027】
前部と後部とが、中部に比して強度が高い素材より成るシャンクを採用することにより、前部と後部の強度が高まり、中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0028】
中部に、前後方向に折曲がり、かつ起立保持を可能にする、角度調整金具が設けられたシャンクによれば、後部が前部に傾倒可能となる。
【0029】
本発明によるシャンクを有する履物に、前後方向への伸縮性を有する中敷を設けることにより、底面が前後に湾曲する際に生じる、底層の外側が伸びる力と内側が縮む力とを吸収できる。
【0030】
本発明によるシャンクを有する履物に、袋状の外膜と前記外膜に内包される流動体とを有する中敷を設けることにより、底面が前後に湾曲する際に生じる、土踏まずと底面との隙間を埋めることができる。
【0031】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、容易に従来の底面の形状変更が可能で、従来の底面製造工程に適用され易いシャンク、及びこれを有する履物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の履物の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の履物の底を示すA−A’断面図である。
【図3】図1の履物のヒールを外した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の履物にローヒールを装着した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明のシャンクの第一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のシャンクの第二実施形態を示す図である。
【図7】本発明のシャンクの第三実施形態を示す図である。
【図8】本発明のシャンクの第四から第七実施形態を示す図である。
【図9】本発明の履物に内蔵される中敷の変形例を示す図である。
【図10】図9の履物にハイヒールを装着した状態を示す図である。
【図11】従来例の履物を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。従来例と同様の部材は、同一の符号を付す。
【0034】
図1は本発明による履物の実施形態を示す斜視図である。靴1は女性用の靴であって、靴底部4とその周囲から上部に立設される可撓性のあるアッパー部2と、踵部5と、それに装着されるハイヒール6とから構成されている。靴底部4は、図2に図1のA−A’断面図として示すように、上から順に、可撓性のある中敷4aと、可撓性のある中底4bと、シャンク3と、可撓性のあるクッション素材から成る中物4cと、革等の可撓性素材から成る本底4dとから構成されている。中敷4aについては後に詳しく述べる。
【0035】
シャンク3は、鉄から成る可塑性と保形性を有する板状部材であって、足の前部分、すなわち足の指から指の付け根までの部分に対応する前部3aと、前部に連続して形成される足の中央部分、すなわち指の付け根から土踏まずまでの部分に対応する中部3bと、中部に連続して形成される足の後部分、すなわち土踏まずから踵までに対応する後部3cとから成る。中部3bは前部3a及び後部3cに比して可塑性が高い。図1においてシャンク3の前部3aと後部3cの成す角度は150度程度である。前部3aの前方には丸い穴3dが、後部3cの後方には前後には穴3eが設けられている。穴3dには鳩目が入り中底4bに留められ、穴3eにはねじ7が入りハイヒール6に留められる。
【0036】
図11に示す従来例のシャンク103は、土踏まずから踵までに対応する部分に配置されるが、一方、シャンクを以て履物の形状変更を可能にする本発明では、シャンクは靴底部の足の前方から後方までに対応する部分に配置される。この様な足の指から踵までに配置される長いシャンク3を起用することによって、足の前後方向における、長い範囲を支えることができる。
【0037】
図3は、図1に示す靴1のヒールが外れた状態を示す斜視図である。踵部5は、ねじ7によりヒールの付け替えが可能となっている。ねじ7は、シャンク後部に位置する穴3eを通り、靴底部4を貫通して、ハイヒール6の上面に位置するねじ穴8に螺合する。
【0038】
図4は、図1に示す靴1の踵部5に、ローヒール6aを装着した状態を示す斜視図である。図1と比較すると、ハイヒール6の代わりにローヒール6aが装着されることにより、靴底部4において爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度が大きくなっている。これに伴いシャンクの中部3bが変形し、前部3aと後部3cのなす角度が大きくなっている。図4においてシャンク3の前部3aと後部3cの成す角度は170度程度である。
【0039】
靴1の使用方法について説明する。図1の靴1を履いて歩行すると、一般的なハイヒール靴と何ら変わらない。シャンク3は保形性があるので、靴1の形状は保たれる。次に、図3に示すように、ハイヒール6を踵部5から取り外して、図4に示すローヒール6aを装着する。この時点では、靴底部4における爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度が小さく、ローヒール6aを接地した状態では爪先が上を向いて反っているので、履物として不自然な形状である。平らな地面の上で、靴1に足を入れて靴底部4に体重をかけて立つことにより、シャンク3のうち可塑性の高い中部3bが塑性変形し、平坦になる。これに伴い、靴底部4において爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度が大きくなるように変形し、湾曲していた靴底部4aが戻って、反り上がっていた爪先が接地する。よって、靴1は図4に示すように、ローヒール靴として機能するようになる。シャンク3は保形性があるから、通常の歩行により変形してしまうことはない。
【0040】
以上のような履物において、シャンク3を部位ごとに異なる可塑性とするための構成の具体例について以下説明する。第一実施形態と第二実施形態とは、前部と後部に強化加工が施されている。第三実施形態は部位ごとに強度の違う素材が用いられている。第四から第六実施形態は中部の弱化加工である。第七実施形態は、新部材の追加により角度変更を可能にする加工である。
【0041】
図5は、本発明のシャンクの第一実施形態を示す斜視図である。シャンク31は、足の指から指の付け根までに対応する前部31aと、前部に連続して形成され指の付け根から土踏まずまでに対応する中部31bと、中部に連続して形成され土踏まずから踵までに対応する後部31cとから構成される。前部31aと後部31cとは、中部31bに比して、厚みが2倍大きい。このため、前部31aと後部31cとは、中部31bに比して2倍程度の曲げ強度を有する。前部31aと後部31cにはそれぞれ穴31dと穴31eが設けられている。
【0042】
シャンク31における前部31aと中部31bと31cとの厚みが違うことによって、シャンク31に強く体重がかかると、可塑性の高い中部31bのみが適切な角度に曲げられる反面、厚みのある前部31aと後部31cとは靴底部4全体の形を保つ、すなわち補強機能を発揮する。
【0043】
図6(A)は、本発明によるシャンクの第二実施形態を示す斜視図である。シャンク32は、足の指から指の付け根までに対応する前部32aと、前部32aに連続して形成され指の付け根から土踏まずまでに対応する中部32bと、中部32bに連続して形成され土踏まずから踵までに対応する後部32cとから構成される。前部32aと後部32cとは、長手方向にビード加工が施されて成る補強ビード32fと32gを備えている。このため、前部32aと後部32cとは、中部32bに比して1.5倍から3倍程度の曲げ強度を有する。前部32aと後部32cにはそれぞれ穴32dと穴32eとが設けられている。
【0044】
図6(B)は、図6(A)に示すシャンク32の補強ビード32gのB−B’断面図である。前部32aの補強ビード32fにおける断面図も、これと同様である。この補強ビード32fと32gは、全体的には樋状になっており、断面で見ると、谷状になっている。
【0045】
シャンク32において、ビード加工が上述のように施されていることによって、シャンクに体重がかかると、補強ビードを有しない中部32bのみが適切な角度に曲げられ、補強されている前部32aと後部32cとで靴底部4全体の形を保つことができる。
【0046】
図7は、本発明のシャンクの第三実施形態を示す斜視図である。シャンク33は、足の指から指の付け根までに対応する前部33aと、前部33aに連続して形成され指の付け根から土踏まずまでに対応する中部33bと、中部33bに連続して形成され土踏まずから踵までに対応する後部33cとから構成される。前部33aと後部33cとは焼き入れが施され、中部33bと比して強度が高い素材になっている。前部33aと後部33cにはそれぞれ穴33dと穴33eが設けられている。
【0047】
シャンク33において、前部33aと後部33cを構成する素材は、中部33bと比較して強度が高い素材から成ることにより、シャンク33に強く体重がかかると、強度の低い中部33bのみが適切な角度に曲げられる反面、強度が高い前部33aと後部33cとは靴底部4全体の形を保つ、すなわち補強機能を発揮する。
【0048】
上記以外の方法で、シャンク3の中部の可塑性を高める方法を図8に示す。図8は、本発明のシャンク3の中部3bの拡大図である。図8(A)と(B)は本発明の第四実施形態のシャンク34の中部34bの拡大図であり、図8(C)と(D)は第五実施形態のシャンク35の中部35bの拡大図であり、図8(E)と(F)は第六実施形態のシャンク36の中部36bの拡大図であり、図8(G)と(H)と(I)は第七実施形態のシャンク37の中部37bの拡大図である。
【0049】
図8(A)は、第四実施形態の中部34bを示す平面図であり、図8(B)は中部34bのC−C’断面図である。中部34bは、打ち抜き加工によって、上下方向に貫通する二つの穴34fを有する。中部34bにおいて、穴34fを開けることにより、強度が低くなり、可塑性が高まる。
【0050】
図8(C)は第五実施形態の中部35bを示す平面図であり、図8(D)は中部35bのD−D’断面図である。中部35bは、上面と下面に二つずつの貫通しない穴35fを有する。中部35bにおいて、穴35bを有すことにより、強度が低くなり、可塑性が高まる。
【0051】
図8(E)は第六実施形態の中部36bの平面図であり、図8(F)は中部36bの側面図である。中部35bの両側面から、幅の三分の一にあたる長さを有する三本の平行な切り込み36fが設けられている。中部36bにおいて、側面に切り込み36fを入れることによって、強度が低くなり、可塑性が高まる。
【0052】
図8(G)は第七実施形態の中部37bの平面図であり、図8(H)と図8(I)は中部37bを示す斜視図である。中部37b中央に、角度調整金具37fが設けられている。 角度調整金具37fは、中部37bを前後方向に折り曲げ、かつ角度保持を可能にする機能を有する。そのため、踵部5にハイヒール6を装着したときは、ハイヒール靴における靴底部4の適切な角度が保持でき、踵部5にローヒール6aを装着したときは、ローヒール靴における靴底部4の適切な角度が保持できる。
【0053】
図2は中敷の一例を示すA−A’断面図である。可塑性のある中敷4aは前後方向への伸縮性を有する。靴底部4の角度が変わることによって、湾曲する層の外側が引っ張られ、内側がたるむ力が発生する。伸縮性部材から成る中敷4aを起用すると、シャンク3の角度調整に連動して伸縮するため、様々な角度に変化する際に生じ得る接足面の表面における弛緩や吊りを回避できる。
【0054】
ところで、ハイヒール靴を履いたときは、ローヒール靴を履いたときに比べて,爪先から指の付け根の部分と土踏まずから踵までの部分との成す角度が小さくなる、すなわち足の指が反り上がる。これによって土踏まずのアーチがより急な弓なりになる。そこで従来のハイヒール靴では、ローヒール靴に比べて、土踏まずに対応する部分の中敷の厚さがより厚く、若しくはシャンクの土踏まずに対応する部分がより急な弓なりになっている。従って、ハイヒールとローヒールを切り替えられる履物においては、それらの切換えにより変形する土踏まずアーチに順次適応する底面構造が設けられるのが好ましいが、従来技術においてこれは提示されていない。
【0055】
そこで、本発明における履物に内蔵される中敷の変形例には、空気を密閉したエアー充填構造を採用する。図9(A)はローヒール6aを装着した靴201に内蔵されるシャンク3と中敷204aを示す斜視図である。中敷204aは指の付け根に対応する前方部214aと、土踏まずに対応する後方部224aとから構成される。図9(B)は図9(A)の靴201の靴底204を示すE−E’断面図である。靴底部4と同様の部材は同一の符号が付されている。靴底204は、上から順に、中敷204aと、中底4bと、シャンク3と、中物4cと、本底4dとから構成されている。中敷204aは、袋状の外膜234aを有し、その内に流動体である空気が密閉されている。
【0056】
図10(A)は、ハイヒール6を装着した靴201内の中敷204aに体重がかかることにより変形した状態を示す斜視図である。この際、図9(A)と比較すると、前方部214aの厚みが小さく、後方部224aの厚みが大きい。図10(B)は図10(A)の靴201の靴底204を示すF−F’断面図である。
【0057】
中敷204aには空気が密閉されているため、中敷204aの一部を圧迫した場合には他部に空気が移動する。具体的には、ハイヒール6を装着した靴201を履くと、指の付け根の部分に最も体重がかかり、付け根に位置する前方部214aが圧縮され、前方部214a内の空気が後方部224aに移動する。そこで空気の増えた後方部224aは膨らむ。このように土踏まずに対応する後方部224aが膨らむことにより、足と靴底の土踏まずに対応する部分との隙間を解消し、高いヒールを装着した際に生じる踏み心地の悪さを回避できる。一方、図○に示すようにハイヒール6をローヒール6aに付け替えた際は、前方部214aと後方部224aに均等に体重がかかるため、後方部224aに蓄積されていた空気が後方部224aに戻り、前方部214aと後方部224aの厚さが均等になる。
【0058】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。例えば、上述した履物の実施形態では、シャンク3は中底4bの下面に留められているが、これに限らずシャンク3は、靴底部4内に配置されていれば良い。
【0059】
上述した第一実施形態のシャンク31における前部31aと中部31bと31cとの厚みの違いは一例であり、中部31bに可塑性並びに可撓性を有し得る比率であれば良い。
シャンク32における前部32aと後部32cに施される補強加工は、上述した第二実施形態ビード加工に限らず、エンボス加工、その他のプレス加工でも良い。
【0060】
シャンク33において、前部33aと後部33cを構成する素材は、上述した第三実施形態の焼き入れによる強度の異なるものに限らない。前部33aと後部33cは例えば鉄、カーボン、銅、メッキ、ステンレス、チタン、鋼より構成される。中部33bは、前部33aと後部33cと比較して強度が低い素材、例えばアルミ、バネ材、プラスチック、革、ファイバー等より構成されるが、反復的に曲げられるのことを想定して、疲労性の少ない素材からなるものが好ましい。
【0061】
上述した第四、第五、第六実施形態のシャンク34、35、36において、穴34fと穴35fと切り込み36fは、大きさや深さや数は問わない。ただし、過度の加工は、強度が著しく低下し、中部34b、35b、36bの疲労破壊を引き起こす要因になりかねないので、好ましくない。
【0062】
上述した第七実施形態のシャンク37において、角度調節金具37fはリクライニング機構とも呼ばれる。この部材は、角度調整が容易に行え、かつ踏み心地の悪さを回避すべく厚みの薄い部品であれば、上述したリクライニング機構でなくても良い。
【0063】
シャンクは、第一から第七実施形態までの形態を複数同時に有しても良い。
【0064】
また、本発明の履物を実施する為には、履物が、ヒールの高さの変更が可能な踵部5の構造を有すること、もしくは、踵と爪先の相対的な高さが調整できる構造であることが必要である。ただし、上述した靴1の実施形態ではネジ7によるヒール付け替え構造を有しているが、踵部5の構造はこれに限らない。例えば、特許文献2に開示される、磁石を用いたヒールの付け替え構造や、特許文献4に開示される、ヒール部を回転させてハイヒールとローヒールとを切換える構造でも良い。
【0065】
上述した実施形態における中敷4aに、さらに、フェルトやスポンジから成る緩衝部材を用いると、シャンク3の、特に、前部3aにおける踏み心地の悪さが回避される。また、中敷4aのみならず、本底4dや中底4bにおいても、シャンク3の中部に相当する位置の部分に伸縮性部材や可塑性部材、若しくは可撓性部材等を用いると、靴底部4の角度変動による疲労破壊をも回避できる。
【0066】
上述した中敷の第二実施形態の中敷204aにおける充填構造については、上述した空気圧によるものに限らず、中敷204a内に流動性のある液状またはゲル状の物を起用しても良い。いずれにせよ、どのような高さのヒールを装着した際でも、足の土踏まずと靴底との密着程度が同じになるようにできる構造であれば良い。また、中敷は上述した第一実施形態と第二実施形態との特徴を兼ね備える構造でも良い。例えば、中敷は伸縮性部材からなる外膜とこれに内包される流動体とから構成され得る。
【0067】
中敷のみならず、履物のアッパー部も素材や形状を、シャンクの角度変更に適したものにすることができる。例えば、伸縮性のある素材を用いたものや、足の甲を覆う形状ではないアッパー部を起用しても良い。具体的には、サンダルのような履物における側面に隙間があるもの、例えばメッシュ状やひも状から成るアッパー部を起用すると、形状変更される際に生じる、アッパー部にかかる無理な弛緩や吊りが回避できる。
【0068】
以上述べたように、本発明は、ハイヒールとローヒールとを択一的に取り替え可能な履物において、シャンクの構造に着目している。本発明によれば、複雑な靴自体の製造工程を変更すること無く、シャンクを変更するだけで、底面の形状変更及び保持が容易にされ得る。よって、既存の様々なデザインの履物において、ヒールの高さの調節機構を持たせることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1,101,201 靴
2 アッパー部
3,31,32,33,34,35,36,37,103 シャンク
3a,31a,32a,33a 前部
3b,31b,32b,33b,34b,35b,36b,37b 中部
3c,31c,32c,33c 後部
3d,3e,31d,31e,32d,32e,33d,33e,34f,35f,103d,103e 穴
4,104,204 靴底部
4a,204a 中敷
4b 中底
4c 中物
4d 本底
5 踵部
6 ハイヒール
6a ローヒール
7 ねじ
8 ねじ穴
32f,32g 補強ビード
36f 切り込み
37f 角度調整金具
214a 前方部
224a 後方部
234a 外膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関し、特に靴底構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、履き心地の良い、美しいデザインを有する履物が開発されてきた。履物の底面には、シャンクと呼ばれる補強材が内蔵されている。一般的に、シャンクとは、踏まず芯とも呼ばれ、履物の背骨ともいうべき、底面に歪みを生じさせないための底面補強部材であり、特にヒールのある靴の靴底構成に欠かせない部材である。図11に示す、従来の靴101におけるシャンク103は、足の土踏まずから踵にかけて長手方向に配置され、中底の下面に留められ、靴底部104を補強している。また、シャンク103の前方と後方にそれぞれ穴103d、103eが設けられている。穴103dは鳩目により中底に留められ、穴103eはねじによりハイヒール6に留められる。
【0003】
ヒール靴の中でも、特にハイヒール靴は、スタイルをより良く見せる効果があるため、ファッション性を重視する多くの女性から好まれる。しかしハイヒール靴では、長時間立ち歩きをする時には疲れやすく、凹凸のある場所ではバランスを崩して転倒する危険性が高い。そのため、これらの際には、機能性を重視して、ローヒール靴が好まれる。
【0004】
以上のように、ハイヒール靴はファッション性が高く、ローヒール靴は機能性が高い。しかし、ハイヒール靴とローヒール靴の両方を持ち歩くことは不便で非効率であり、どちらか一種類の靴の選択を強いられているのが一般的である。
【0005】
そこで、近年では、新たな履物の種類として、ヒールの高さを調整することにより、ハイヒールとローヒールのバリエーションを楽しむことができる様々な提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、低い踵を取り付けた靴に高い踵を着脱自在に取り付けた踵を交換できる靴が開示されている。
【0007】
特許文献2には、本底の後部下に、踵ヒール部が配された履物において、該ヒール部は、該本底の後部に対し磁力にて着脱可能であると共に、各種異なるタイプのものの中から選択使用されることを特徴とする履物が開示されている。
【0008】
特許文献3には、 靴本体の踵部の下面に、円弧状の係合溝を円の軌跡に沿って複数形成し、補助踵の上面に、複数の各係合溝に対応する係止杆を突設し、係止杆を係合溝に係脱させることにより、靴本体の踵部に補助踵を着脱可能にしてなる靴の踵が開示されている。
【0009】
特許文献4には、女性用シューズにおいて、ヒールの高さをハイヒールとローヒールに切換える構造を有することを特徴とするハイアンドロー・ヒール切換え式シューズと、ハイアンドロー・ヒール切換え式シューズにおいて、ヒール高の変化により生じる、靴底前方つま先から指の付け根までの部分と靴底中央土踏まず部分との角度変化に対応して伸縮する材質を、靴底前方と中央の境界部に使用することを特徴とするハイアンドロー・ヒール切換え式シューズが開示されている。
【0010】
さらに、特許文献5には、 伸縮性材料から一体に形成された内層を備え、内層が、可撓性を有するトップラインと、材料を支えるための踵補強材およびつま先補強材を備え、踵補強材およびつま先補強材が、組み立て部材の踵部とつま先部との間の相対角変動を可能とするために材料のヒンジ部により離間され、材料が相対角変動に適合するよう伸縮することを特徴とする、靴用の組み立て部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平1−131305号公報
【特許文献2】特開2006−247243号公報
【特許文献3】登録実用新案第3032266号公報
【特許文献4】特開2004−121765号公報
【特許文献5】特開2006−122718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
踵の高さを変更した場合には、これに伴い、履物の底における爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度の変更が必要となる。以上の特許文献に係る発明を実施する場合には、この角度変更に対応するために、履物自体にヒンジとなる部分を設けなければならない。例えば特許文献4には、ヒール高の変化により生じる、爪先と踵との角度変化に対応するために、靴底のうち前方と中央の間に、伸縮材料からなる境界部が設けられている。また、特許文献5には、組み立て部材として、伸縮性材料から成る内層と、これを支える補強材と、伸縮性材料のヒンジ部とが設けられている。以上のように複雑な底面構造を採用すると、ハイヒールとローヒールの両方に変化し得る靴の製造にあたり、靴全体の製造工程を特殊化する必要がある。従って、既存の製造工程を著しく変える必要があり、様々なデザインの靴への適用が極めて難しい。よって、ハイヒールとローヒールの両方を楽しめる靴は、デザイン数に富めず、ファッション面での要望を満たせない。また、特許文献4及び特許文献5では、履物の底における角度変更に対応するために、伸縮性部材を用いて底面の可撓性を発揮している。このような履物のみでは底面全体の形状を変更することはできても、形状を保つことができないため、歩行中に変形してしまう可能性がある。
【0013】
そこで本発明は、以上の点に鑑み、既存の履物の底面の製造工程を著しく変えることなく、底面を変形及び保形し得えるシャンク及びこれを有する履物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、本発明の構成によれば、履物に内蔵されるシャンクであって、足の前方に対応する前部と、前記前部に連続して形成され足の中央に対応する中部と、前記中部に連続して形成され足の後方に対応する後部とを含み、前記中部は前記前部及び前記後部に比して可塑性が高いシャンクにより、達成される。
【0015】
本発明によるシャンクは、前記前部と前記後部とは、前記中部に比して、厚みが大きいことを特徴とするものでもよい。
【0016】
本発明によるシャンクは、長手方向にビード加工が施されているものでもよい。
【0017】
本発明によるシャンクは、前記中部に、穴又は切り込みが設けられているものでもよい。
【0018】
本発明によるシャンクは、前記前部と前記後部は、前記中部に比して強度が高い素材より成るものでもよい。
【0019】
本発明によるシャンクは、履物に内蔵されるシャンクであって、足の前方に対応する前部と、前記前部に連続して形成され足の中央に対応する中部と、前記中部に連続して形成され足の後方に対応する後部とを含み、前記中部に、前後方向に折曲がり、かつ角度保持を可能にする、角度調整金具が設けられたものでもよい。
【0020】
本発明による履物は、底内に前記シャンクが設けられたものでもよい。
【0021】
本発明による履物は、前記シャンクの上側に、前後方向への伸縮性を有する中敷が設けられたものでもよい。
【0022】
本発明による履物は、前記シャンクの上側に、袋状の外膜と前記外膜に内包される流動体とを有する中敷が設けられたものでもよい。
【発明の効果】
【0023】
上記構成のシャンクは、可撓性のある履物にこれを内蔵した場合、底面に体重をかけることにより、中部が前後方向に曲がる。この際シャンクが、どのような高さのヒールを装着した場合にも、底面における爪先から指の付け根に対応する部分と土踏まずから踵に対応する部分との成す角度の変化に応じて、適切に形状を変化し、保持することができる。また、既存のシャンクと差し替えることによって、既存の底面の製造工程を著しく変えることなく、底面を変形及び保形し得る履物を提供することができる。
【0024】
また、前部と後部とが、中部に比して厚みが大きいシャンクを採用することにより、前部と後部の強度が高まり、前記中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0025】
長手方向にビード加工が施されているシャンクを採用することにより、前部と後部の強度が高まり、中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0026】
中部に、穴又は切り込みが設けられているシャンクを採用することにより、中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0027】
前部と後部とが、中部に比して強度が高い素材より成るシャンクを採用することにより、前部と後部の強度が高まり、中部の強度が下がり可塑性が高まる。
【0028】
中部に、前後方向に折曲がり、かつ起立保持を可能にする、角度調整金具が設けられたシャンクによれば、後部が前部に傾倒可能となる。
【0029】
本発明によるシャンクを有する履物に、前後方向への伸縮性を有する中敷を設けることにより、底面が前後に湾曲する際に生じる、底層の外側が伸びる力と内側が縮む力とを吸収できる。
【0030】
本発明によるシャンクを有する履物に、袋状の外膜と前記外膜に内包される流動体とを有する中敷を設けることにより、底面が前後に湾曲する際に生じる、土踏まずと底面との隙間を埋めることができる。
【0031】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、容易に従来の底面の形状変更が可能で、従来の底面製造工程に適用され易いシャンク、及びこれを有する履物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の履物の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の履物の底を示すA−A’断面図である。
【図3】図1の履物のヒールを外した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の履物にローヒールを装着した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明のシャンクの第一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のシャンクの第二実施形態を示す図である。
【図7】本発明のシャンクの第三実施形態を示す図である。
【図8】本発明のシャンクの第四から第七実施形態を示す図である。
【図9】本発明の履物に内蔵される中敷の変形例を示す図である。
【図10】図9の履物にハイヒールを装着した状態を示す図である。
【図11】従来例の履物を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。従来例と同様の部材は、同一の符号を付す。
【0034】
図1は本発明による履物の実施形態を示す斜視図である。靴1は女性用の靴であって、靴底部4とその周囲から上部に立設される可撓性のあるアッパー部2と、踵部5と、それに装着されるハイヒール6とから構成されている。靴底部4は、図2に図1のA−A’断面図として示すように、上から順に、可撓性のある中敷4aと、可撓性のある中底4bと、シャンク3と、可撓性のあるクッション素材から成る中物4cと、革等の可撓性素材から成る本底4dとから構成されている。中敷4aについては後に詳しく述べる。
【0035】
シャンク3は、鉄から成る可塑性と保形性を有する板状部材であって、足の前部分、すなわち足の指から指の付け根までの部分に対応する前部3aと、前部に連続して形成される足の中央部分、すなわち指の付け根から土踏まずまでの部分に対応する中部3bと、中部に連続して形成される足の後部分、すなわち土踏まずから踵までに対応する後部3cとから成る。中部3bは前部3a及び後部3cに比して可塑性が高い。図1においてシャンク3の前部3aと後部3cの成す角度は150度程度である。前部3aの前方には丸い穴3dが、後部3cの後方には前後には穴3eが設けられている。穴3dには鳩目が入り中底4bに留められ、穴3eにはねじ7が入りハイヒール6に留められる。
【0036】
図11に示す従来例のシャンク103は、土踏まずから踵までに対応する部分に配置されるが、一方、シャンクを以て履物の形状変更を可能にする本発明では、シャンクは靴底部の足の前方から後方までに対応する部分に配置される。この様な足の指から踵までに配置される長いシャンク3を起用することによって、足の前後方向における、長い範囲を支えることができる。
【0037】
図3は、図1に示す靴1のヒールが外れた状態を示す斜視図である。踵部5は、ねじ7によりヒールの付け替えが可能となっている。ねじ7は、シャンク後部に位置する穴3eを通り、靴底部4を貫通して、ハイヒール6の上面に位置するねじ穴8に螺合する。
【0038】
図4は、図1に示す靴1の踵部5に、ローヒール6aを装着した状態を示す斜視図である。図1と比較すると、ハイヒール6の代わりにローヒール6aが装着されることにより、靴底部4において爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度が大きくなっている。これに伴いシャンクの中部3bが変形し、前部3aと後部3cのなす角度が大きくなっている。図4においてシャンク3の前部3aと後部3cの成す角度は170度程度である。
【0039】
靴1の使用方法について説明する。図1の靴1を履いて歩行すると、一般的なハイヒール靴と何ら変わらない。シャンク3は保形性があるので、靴1の形状は保たれる。次に、図3に示すように、ハイヒール6を踵部5から取り外して、図4に示すローヒール6aを装着する。この時点では、靴底部4における爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度が小さく、ローヒール6aを接地した状態では爪先が上を向いて反っているので、履物として不自然な形状である。平らな地面の上で、靴1に足を入れて靴底部4に体重をかけて立つことにより、シャンク3のうち可塑性の高い中部3bが塑性変形し、平坦になる。これに伴い、靴底部4において爪先から指の付け根に対応する部分と、土踏まずから踵に対応する部分との成す角度が大きくなるように変形し、湾曲していた靴底部4aが戻って、反り上がっていた爪先が接地する。よって、靴1は図4に示すように、ローヒール靴として機能するようになる。シャンク3は保形性があるから、通常の歩行により変形してしまうことはない。
【0040】
以上のような履物において、シャンク3を部位ごとに異なる可塑性とするための構成の具体例について以下説明する。第一実施形態と第二実施形態とは、前部と後部に強化加工が施されている。第三実施形態は部位ごとに強度の違う素材が用いられている。第四から第六実施形態は中部の弱化加工である。第七実施形態は、新部材の追加により角度変更を可能にする加工である。
【0041】
図5は、本発明のシャンクの第一実施形態を示す斜視図である。シャンク31は、足の指から指の付け根までに対応する前部31aと、前部に連続して形成され指の付け根から土踏まずまでに対応する中部31bと、中部に連続して形成され土踏まずから踵までに対応する後部31cとから構成される。前部31aと後部31cとは、中部31bに比して、厚みが2倍大きい。このため、前部31aと後部31cとは、中部31bに比して2倍程度の曲げ強度を有する。前部31aと後部31cにはそれぞれ穴31dと穴31eが設けられている。
【0042】
シャンク31における前部31aと中部31bと31cとの厚みが違うことによって、シャンク31に強く体重がかかると、可塑性の高い中部31bのみが適切な角度に曲げられる反面、厚みのある前部31aと後部31cとは靴底部4全体の形を保つ、すなわち補強機能を発揮する。
【0043】
図6(A)は、本発明によるシャンクの第二実施形態を示す斜視図である。シャンク32は、足の指から指の付け根までに対応する前部32aと、前部32aに連続して形成され指の付け根から土踏まずまでに対応する中部32bと、中部32bに連続して形成され土踏まずから踵までに対応する後部32cとから構成される。前部32aと後部32cとは、長手方向にビード加工が施されて成る補強ビード32fと32gを備えている。このため、前部32aと後部32cとは、中部32bに比して1.5倍から3倍程度の曲げ強度を有する。前部32aと後部32cにはそれぞれ穴32dと穴32eとが設けられている。
【0044】
図6(B)は、図6(A)に示すシャンク32の補強ビード32gのB−B’断面図である。前部32aの補強ビード32fにおける断面図も、これと同様である。この補強ビード32fと32gは、全体的には樋状になっており、断面で見ると、谷状になっている。
【0045】
シャンク32において、ビード加工が上述のように施されていることによって、シャンクに体重がかかると、補強ビードを有しない中部32bのみが適切な角度に曲げられ、補強されている前部32aと後部32cとで靴底部4全体の形を保つことができる。
【0046】
図7は、本発明のシャンクの第三実施形態を示す斜視図である。シャンク33は、足の指から指の付け根までに対応する前部33aと、前部33aに連続して形成され指の付け根から土踏まずまでに対応する中部33bと、中部33bに連続して形成され土踏まずから踵までに対応する後部33cとから構成される。前部33aと後部33cとは焼き入れが施され、中部33bと比して強度が高い素材になっている。前部33aと後部33cにはそれぞれ穴33dと穴33eが設けられている。
【0047】
シャンク33において、前部33aと後部33cを構成する素材は、中部33bと比較して強度が高い素材から成ることにより、シャンク33に強く体重がかかると、強度の低い中部33bのみが適切な角度に曲げられる反面、強度が高い前部33aと後部33cとは靴底部4全体の形を保つ、すなわち補強機能を発揮する。
【0048】
上記以外の方法で、シャンク3の中部の可塑性を高める方法を図8に示す。図8は、本発明のシャンク3の中部3bの拡大図である。図8(A)と(B)は本発明の第四実施形態のシャンク34の中部34bの拡大図であり、図8(C)と(D)は第五実施形態のシャンク35の中部35bの拡大図であり、図8(E)と(F)は第六実施形態のシャンク36の中部36bの拡大図であり、図8(G)と(H)と(I)は第七実施形態のシャンク37の中部37bの拡大図である。
【0049】
図8(A)は、第四実施形態の中部34bを示す平面図であり、図8(B)は中部34bのC−C’断面図である。中部34bは、打ち抜き加工によって、上下方向に貫通する二つの穴34fを有する。中部34bにおいて、穴34fを開けることにより、強度が低くなり、可塑性が高まる。
【0050】
図8(C)は第五実施形態の中部35bを示す平面図であり、図8(D)は中部35bのD−D’断面図である。中部35bは、上面と下面に二つずつの貫通しない穴35fを有する。中部35bにおいて、穴35bを有すことにより、強度が低くなり、可塑性が高まる。
【0051】
図8(E)は第六実施形態の中部36bの平面図であり、図8(F)は中部36bの側面図である。中部35bの両側面から、幅の三分の一にあたる長さを有する三本の平行な切り込み36fが設けられている。中部36bにおいて、側面に切り込み36fを入れることによって、強度が低くなり、可塑性が高まる。
【0052】
図8(G)は第七実施形態の中部37bの平面図であり、図8(H)と図8(I)は中部37bを示す斜視図である。中部37b中央に、角度調整金具37fが設けられている。 角度調整金具37fは、中部37bを前後方向に折り曲げ、かつ角度保持を可能にする機能を有する。そのため、踵部5にハイヒール6を装着したときは、ハイヒール靴における靴底部4の適切な角度が保持でき、踵部5にローヒール6aを装着したときは、ローヒール靴における靴底部4の適切な角度が保持できる。
【0053】
図2は中敷の一例を示すA−A’断面図である。可塑性のある中敷4aは前後方向への伸縮性を有する。靴底部4の角度が変わることによって、湾曲する層の外側が引っ張られ、内側がたるむ力が発生する。伸縮性部材から成る中敷4aを起用すると、シャンク3の角度調整に連動して伸縮するため、様々な角度に変化する際に生じ得る接足面の表面における弛緩や吊りを回避できる。
【0054】
ところで、ハイヒール靴を履いたときは、ローヒール靴を履いたときに比べて,爪先から指の付け根の部分と土踏まずから踵までの部分との成す角度が小さくなる、すなわち足の指が反り上がる。これによって土踏まずのアーチがより急な弓なりになる。そこで従来のハイヒール靴では、ローヒール靴に比べて、土踏まずに対応する部分の中敷の厚さがより厚く、若しくはシャンクの土踏まずに対応する部分がより急な弓なりになっている。従って、ハイヒールとローヒールを切り替えられる履物においては、それらの切換えにより変形する土踏まずアーチに順次適応する底面構造が設けられるのが好ましいが、従来技術においてこれは提示されていない。
【0055】
そこで、本発明における履物に内蔵される中敷の変形例には、空気を密閉したエアー充填構造を採用する。図9(A)はローヒール6aを装着した靴201に内蔵されるシャンク3と中敷204aを示す斜視図である。中敷204aは指の付け根に対応する前方部214aと、土踏まずに対応する後方部224aとから構成される。図9(B)は図9(A)の靴201の靴底204を示すE−E’断面図である。靴底部4と同様の部材は同一の符号が付されている。靴底204は、上から順に、中敷204aと、中底4bと、シャンク3と、中物4cと、本底4dとから構成されている。中敷204aは、袋状の外膜234aを有し、その内に流動体である空気が密閉されている。
【0056】
図10(A)は、ハイヒール6を装着した靴201内の中敷204aに体重がかかることにより変形した状態を示す斜視図である。この際、図9(A)と比較すると、前方部214aの厚みが小さく、後方部224aの厚みが大きい。図10(B)は図10(A)の靴201の靴底204を示すF−F’断面図である。
【0057】
中敷204aには空気が密閉されているため、中敷204aの一部を圧迫した場合には他部に空気が移動する。具体的には、ハイヒール6を装着した靴201を履くと、指の付け根の部分に最も体重がかかり、付け根に位置する前方部214aが圧縮され、前方部214a内の空気が後方部224aに移動する。そこで空気の増えた後方部224aは膨らむ。このように土踏まずに対応する後方部224aが膨らむことにより、足と靴底の土踏まずに対応する部分との隙間を解消し、高いヒールを装着した際に生じる踏み心地の悪さを回避できる。一方、図○に示すようにハイヒール6をローヒール6aに付け替えた際は、前方部214aと後方部224aに均等に体重がかかるため、後方部224aに蓄積されていた空気が後方部224aに戻り、前方部214aと後方部224aの厚さが均等になる。
【0058】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。例えば、上述した履物の実施形態では、シャンク3は中底4bの下面に留められているが、これに限らずシャンク3は、靴底部4内に配置されていれば良い。
【0059】
上述した第一実施形態のシャンク31における前部31aと中部31bと31cとの厚みの違いは一例であり、中部31bに可塑性並びに可撓性を有し得る比率であれば良い。
シャンク32における前部32aと後部32cに施される補強加工は、上述した第二実施形態ビード加工に限らず、エンボス加工、その他のプレス加工でも良い。
【0060】
シャンク33において、前部33aと後部33cを構成する素材は、上述した第三実施形態の焼き入れによる強度の異なるものに限らない。前部33aと後部33cは例えば鉄、カーボン、銅、メッキ、ステンレス、チタン、鋼より構成される。中部33bは、前部33aと後部33cと比較して強度が低い素材、例えばアルミ、バネ材、プラスチック、革、ファイバー等より構成されるが、反復的に曲げられるのことを想定して、疲労性の少ない素材からなるものが好ましい。
【0061】
上述した第四、第五、第六実施形態のシャンク34、35、36において、穴34fと穴35fと切り込み36fは、大きさや深さや数は問わない。ただし、過度の加工は、強度が著しく低下し、中部34b、35b、36bの疲労破壊を引き起こす要因になりかねないので、好ましくない。
【0062】
上述した第七実施形態のシャンク37において、角度調節金具37fはリクライニング機構とも呼ばれる。この部材は、角度調整が容易に行え、かつ踏み心地の悪さを回避すべく厚みの薄い部品であれば、上述したリクライニング機構でなくても良い。
【0063】
シャンクは、第一から第七実施形態までの形態を複数同時に有しても良い。
【0064】
また、本発明の履物を実施する為には、履物が、ヒールの高さの変更が可能な踵部5の構造を有すること、もしくは、踵と爪先の相対的な高さが調整できる構造であることが必要である。ただし、上述した靴1の実施形態ではネジ7によるヒール付け替え構造を有しているが、踵部5の構造はこれに限らない。例えば、特許文献2に開示される、磁石を用いたヒールの付け替え構造や、特許文献4に開示される、ヒール部を回転させてハイヒールとローヒールとを切換える構造でも良い。
【0065】
上述した実施形態における中敷4aに、さらに、フェルトやスポンジから成る緩衝部材を用いると、シャンク3の、特に、前部3aにおける踏み心地の悪さが回避される。また、中敷4aのみならず、本底4dや中底4bにおいても、シャンク3の中部に相当する位置の部分に伸縮性部材や可塑性部材、若しくは可撓性部材等を用いると、靴底部4の角度変動による疲労破壊をも回避できる。
【0066】
上述した中敷の第二実施形態の中敷204aにおける充填構造については、上述した空気圧によるものに限らず、中敷204a内に流動性のある液状またはゲル状の物を起用しても良い。いずれにせよ、どのような高さのヒールを装着した際でも、足の土踏まずと靴底との密着程度が同じになるようにできる構造であれば良い。また、中敷は上述した第一実施形態と第二実施形態との特徴を兼ね備える構造でも良い。例えば、中敷は伸縮性部材からなる外膜とこれに内包される流動体とから構成され得る。
【0067】
中敷のみならず、履物のアッパー部も素材や形状を、シャンクの角度変更に適したものにすることができる。例えば、伸縮性のある素材を用いたものや、足の甲を覆う形状ではないアッパー部を起用しても良い。具体的には、サンダルのような履物における側面に隙間があるもの、例えばメッシュ状やひも状から成るアッパー部を起用すると、形状変更される際に生じる、アッパー部にかかる無理な弛緩や吊りが回避できる。
【0068】
以上述べたように、本発明は、ハイヒールとローヒールとを択一的に取り替え可能な履物において、シャンクの構造に着目している。本発明によれば、複雑な靴自体の製造工程を変更すること無く、シャンクを変更するだけで、底面の形状変更及び保持が容易にされ得る。よって、既存の様々なデザインの履物において、ヒールの高さの調節機構を持たせることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1,101,201 靴
2 アッパー部
3,31,32,33,34,35,36,37,103 シャンク
3a,31a,32a,33a 前部
3b,31b,32b,33b,34b,35b,36b,37b 中部
3c,31c,32c,33c 後部
3d,3e,31d,31e,32d,32e,33d,33e,34f,35f,103d,103e 穴
4,104,204 靴底部
4a,204a 中敷
4b 中底
4c 中物
4d 本底
5 踵部
6 ハイヒール
6a ローヒール
7 ねじ
8 ねじ穴
32f,32g 補強ビード
36f 切り込み
37f 角度調整金具
214a 前方部
224a 後方部
234a 外膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の底に内蔵されるシャンクであって、
足の前部分に対応する前部と、
前記前部に連続して形成され足の中央部分に対応する中部と、
前記中部に連続して形成され足の後部分に対応する後部と
を含み、前記中部は、前記前部及び前記後部に比して可塑性が高い、シャンク。
【請求項2】
前記前部と前記後部とは、前記中部に比して厚みが大きい、請求項1に記載のシャンク。
【請求項3】
前記前部と前記後部とは、長手方向にビード加工が施されている、請求項1又は請求項2に記載のシャンク。
【請求項4】
前記中部に、穴又は切り込みが設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のシャンク。
【請求項5】
前記前部と前記後部とは、前記中部に比して強度が高い素材より成る、請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャンク。
【請求項6】
履物の底に内蔵されるシャンクであって、
足の前部分に対応する前部と、
前記前部に連続して形成され足の中央部分に対応する中部と、
前記中部に連続して形成され足の後部分に対応する後部と
を含み、前記中部に、前後方向に折曲がりかつ角度保持を可能にする角度調整金具が設けられた、シャンク。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のシャンクが底に内蔵された、履物。
【請求項8】
前記シャンクの上側に、前後方向への伸縮性を有する中敷が設けられた、請求項7に記載の履物。
【請求項9】
前記シャンクの上側に、袋状の外膜と前記外膜に内包される流動体とを有する中敷が設けられた、請求項7に記載の履物。
【請求項1】
履物の底に内蔵されるシャンクであって、
足の前部分に対応する前部と、
前記前部に連続して形成され足の中央部分に対応する中部と、
前記中部に連続して形成され足の後部分に対応する後部と
を含み、前記中部は、前記前部及び前記後部に比して可塑性が高い、シャンク。
【請求項2】
前記前部と前記後部とは、前記中部に比して厚みが大きい、請求項1に記載のシャンク。
【請求項3】
前記前部と前記後部とは、長手方向にビード加工が施されている、請求項1又は請求項2に記載のシャンク。
【請求項4】
前記中部に、穴又は切り込みが設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のシャンク。
【請求項5】
前記前部と前記後部とは、前記中部に比して強度が高い素材より成る、請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャンク。
【請求項6】
履物の底に内蔵されるシャンクであって、
足の前部分に対応する前部と、
前記前部に連続して形成され足の中央部分に対応する中部と、
前記中部に連続して形成され足の後部分に対応する後部と
を含み、前記中部に、前後方向に折曲がりかつ角度保持を可能にする角度調整金具が設けられた、シャンク。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のシャンクが底に内蔵された、履物。
【請求項8】
前記シャンクの上側に、前後方向への伸縮性を有する中敷が設けられた、請求項7に記載の履物。
【請求項9】
前記シャンクの上側に、袋状の外膜と前記外膜に内包される流動体とを有する中敷が設けられた、請求項7に記載の履物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−160975(P2011−160975A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26828(P2010−26828)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(510037514)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(510037514)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]