説明

シャンプーボールに取付けられる頭部支持装置

【課題】 従来の被洗髪者の頭部を枕体で支持して洗髪を行うものにあっては、該枕体がシャンプーボールに固定されているため、頭部の形状における個人差を吸収できず、後頭部を枕体で支持した状態で頸部が首受け部から浮いた状態となって、その隙間から洗髪時の水が外部に流れ落ちることがあり、逆に、頸部が首受け部と密着しているが枕体が低い位置にあるため頸部を中心に後頭部が下がり過ぎて、頸部に圧迫感を与えるという問題があった。
【解決手段】 被施術者の後頭部を受ける頭部支持部材53と頸部を受ける頸部支持部材54をシャンプーボール1の凹部13に対して独立して回動可能なように取付けたシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーボールに仰臥姿勢で洗髪を行う(一般にはバックシャンプーと言われる)場合において、被洗髪者の頸部と頭部の2か所で支持すると共に前記頭部と頸部を支持する支持部材が独立して回動して安楽な姿勢で洗髪を受けることができるシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、理美容院において被施術者の洗髪を行う場合、椅子に座っている被施術者を仰臥姿勢にして、シャンプーボールの首受け(凹状部分)に被施術者の頸部を支持した状態で洗髪を行っていたが、頸部に痛みを与えたり、動脈を圧迫して気分が悪くなったりするといった問題があった。
【0003】
そこで、洗髪時に被洗髪者の頸部のみならず頭部をも支持して前記した問題を解決するものとして、例えば、特開2003−180440に開示されている発明がある。この発明は、シャンプーボール内に後頭部を支持する枕体を取付け、被洗髪者の頸部をシャンプーボールの首受けで支持し、後頭部を枕体で支持した構造のものである。
【特許文献1】特開2003−180440
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した公開公報の発明にあっては、被洗髪者の頸部と後頭部の2か所が支持されることから、前記した頸部に痛みを与えたり、動脈を圧迫して気分が悪くなるといった問題は解決できたが、枕体はシャンプーボールに固定されているため、頭部の形状における個人差を吸収できず、後頭部を枕体で支持した状態で頸部が首受け部から浮いた状態となって、その隙間から洗髪時の水が外部に流れ落ちることがあり、逆に、頸部が首受け部と密着しているが枕体が低い位置にあるため頸部を中心に後頭部が下がり過ぎて頸部に圧迫感を与えるという問題があった。
【0005】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、被洗髪者の首後ろ部を支持する頸部支持部と、後頭部を支持する頭部支持部材を独立して回動自在にシャンプーボールの首受け部に取付けたことにより、被施術者の頸部と頭部との高低差および形状における個人差を吸収して頸部を圧迫したり痛みを与えたりすることのないシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、被施術者の後頭部を受ける頭部支持部材と頸部を受ける頸部支持部材をシャンプーボールの凹部に対して独立して回動可能なように取付けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の手段は、シャンプーボールの切欠部に固定されるコの字状に形成された固定部材と、該固定部材の両側部に回動可能に軸支されたコの字状に形成された回動部材と、該回動部材における水平部の中央寄りの2ヵ所に上方に突出して形成された頭部支持部材と、前記回動部材における垂直部の両側において回動自在に軸支された頸部支持部材とから構成し、前記固定部材に対して回動部材に軸支された前記頭部支持部材が回動し、かつ、前記回動部材に対して頸部支持部材が回動するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の手段は、前記した請求項1または2において、前記頭部支持部材と前記頸部支持部材における被施術者の後頭部および頸部と当接する部分にジェルや発泡材等のクッション材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は前記したように、被施術者の後頭部を受ける頭部支持部材と頸部を受ける頸部支持部材をシャンプーボールの首受け部に対して独立して回動可能なように取付けたので、被施術者の頸部と頭部との高低差および形状における個人差があっても頭部支持部材と頸部支持部材とが独立して回動するので、被洗髪者の頸部が圧迫されて苦痛を与えることがない。
【0010】
また、前記頭部支持部材と前記頸部支持部材における被施術者の後頭部および頸部と当接する部分にジェルや発泡材等のクッション材を設けたことにより、被洗髪者の頭部に圧迫感を与えることがなく、かつ、長時間の洗髪にも局部的に痛みを与えることがない等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
理美容用のシャンプーボールにおける凹部に、被施術者の後頭部を受ける頭部支持部材と頸部を受ける頸部支持部材をシャンプーボールの凹部に対して独立して回動可能なように取付けたものである。
【実施例1】
【0012】
次に、本発明のシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置の実施例を図面と共に説明する。
図において、1はシャンプーボールにして、該シャンプーボール1の縁における内周面には略半周にわたって段部11が形成されている。2は前記段部11の中央11aにホースが引き出し自在に取付けられたシャワーヘッド、3は前記段部11の一方の端部11bに前記シャワーヘッド2に供給する湯の温度調節するための温度調節摘み、4は前記段部11の他方の端部cに前記シャワーヘッド2に湯を供給するための止水摘みにして、該止水摘み4と前記温度調節摘み3とはシャンプーボール1の左右位置に対向して配置されている。そして、前記シャワーヘッド2、温度調節摘み3および止水摘み4の上面はシャンプーボール1の縁より上方には突出しないように構成されている。なお、12は排水口である。
【0013】
5は本発明に係る頭部支持装置にして、前記シャンプーボール1の前記シャワーヘッド2と対向する位置に形成された凹部13に固定されるコの字状に形成された固定部材51と、該固定部材51の下部側における両側部において回動自在に軸支されたコの字状に形成された回動部材52と、該回動部材52における水平部の中央寄りの2ヵ所に上方に突出して一体的に形成された頭部支持部材53と、前記回転部材52の垂直部の上端両側から突出している軸52aに対して上部において回動自在に軸支された頸部支持部材54とから構成されている。
【0014】
前記回転部材52が固定部材51に当接して図6の側面視において反時計方向に所定の角度以上回転するのを防止するためのゴム等の弾性体によるストッパ突起51bが前記固定部材51に取付けられ、また、回転部材52が時計方向に所定角度以上回転するのを防止するための回転部材52の垂直部と当接する爪51cが固定部材51と一体的に形成されている。
【0015】
なお、前記頭部支持部材53の被施術者の頭部と当接する部分および前記頸部支持部材54の被施術者の頸部と当接する部分には、ジェルや発泡材等のクッション材をウレタン等ので覆った頭部受け53a、頸部受け54aが取付けられている。そして、頭部受け53aは頭部支持部材53に対して着脱自在に、また、頸部受け54aは頸部支持部材54に対して該頸部支持部材54を表皮で覆った状態で表皮の裏面どうしを適宜手段で一体化することで取付けられている。従って、頭部受け53aおよび頸部受け54aが汚損したり破損した場合には交換が可能なようになっている。
【0016】
このように構成した頭部支持装置5にあっては、椅子の背凭れを伏倒して被施術者の頭部を頭部支持装置5に位置させると、被施術者の後頭部は頭部支持部材53に当接し、また、被施術者の首後ろ部は頸部支持部材54に載置される。この時、被施術者の後頭部と首後ろ部との高低差あるいは形状における個人差があった場合には、頭部支持部材53と頸部支持部材54とが独立して回動するので、前記高低差や個人差があっても頭部支持部材53は後頭部にフィットし、また、頸部支持部材54は首後ろ部にフィットした状態となるので、被施術者が不快感や苦痛を感じることなく快適な洗髪姿勢で洗髪を受けることが可能となる。
【0017】
また、頭部支持部材53は被施術者における後頭部の中央部分の一部を支持しているので、シャワーヘッド2よりの温水を後頭部の殆ど全体に当てることができ、かつ、施術者の手も届くので洗髪作業を容易に行うことができる。さらに、被施術者の後頭部や首後ろ部に当接する頭部支持部材53や頸部支持部材54の当接部分にクッション材53a,54aを設けることで、より被施術者は局部的な苦痛を感じることがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る頭部支持装置をシャンプーボールに取付けた状態の斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】初期状態の頭部支持装置の斜視図である。
【図4】同上の短手方向の中央断面図である。
【図5】図3において頭部支持部材のみが回動した状態の斜視図である。
【図6】同上の短手方向の中央断面図である。
【図7】図5において頸部支持部材も回動した状態の斜視図である。
【図8】同上の短手方向の中央断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 シャンプーボール
13 凹部
2 シャワーホース
3 温度調節栓
4 止水栓
5 頭部支持装置
51 固定部材
52 回動部材
53 頭部支持部材
54 頸部支持部材
53a クッション材
54a クッション材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の後頭部を受ける頭部支持部材と頸部を受ける頸部支持部材をシャンプーボールの凹部に対して独立して回動可能なように取付けたことを特徴とするシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置。
【請求項2】
シャンプーボールの切欠部に固定されるコの字状に形成された固定部材と、該固定部材の両側部に回動可能に軸支されたコの字状に形成された回動部材と、該回動部材における水平部の中央寄りの2ヵ所に上方に突出して形成された頭部支持部材と、前記回動部材における垂直部の両側において回動自在に軸支された頸部支持部材とから構成し、前記固定部材に対して回動部材に軸支された前記頭部支持部材が回動し、かつ、前記回動部材に対して頸部支持部材が回動するようにしたことを特徴とするシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置。
【請求項3】
前記頭部支持部材と前記頸部支持部材における被施術者の後頭部および頸部と当接する部分にジェルや発泡材等のクッション材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のシャンプーボールに取付けられる頭部支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−159673(P2007−159673A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357012(P2005−357012)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】