説明

シュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体

【課題】本発明は、簡便な装置により作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できるシュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体を提供することにある。
【解決手段】端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みが存在する熱収縮性フィルムを用いて、被包装物を覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付することを特徴とするシュリンク包装体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体に関し、詳しくは、簡便な装置により作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できるシュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱収縮性フィルムおよびこれを用いた包装体が利用されており、その包装には種々の優れた包装方法が用いられている。このうち、ピローシュリンク包装は、原反から繰り出されたフィルムに針孔を開け、ゆったりと包装後、熱風トンネルを通過させることにより行われている方法であり、包装が美麗に仕上がるという特徴を有している。
【0003】
このピローシュリンク包装においては、シュリンクをさせるために、内部のエアー抜きが必要となる。エアー抜きをするためには、針孔を設けるが、その数が多すぎたり、孔が大きすぎたりすると、フィルムが十分に膨らまずシュリンク後の綺麗な仕上りが得られない。逆に針孔の数が少なすぎたり、孔が小さすぎたりすると、エアーが十分に抜けきらず、同様に綺麗な仕上りが得られない。針孔は、特に食品を包装する場合、外部からの虫の進入を防ぐために極力小さくすることが望ましい。
【0004】
従来から知られている易開封性付与方法を採用した包装体としては、例えば、特定形状に配列された一連の小透孔によるイージーオープン手段を備えたシュリンク包装体が開示されている(特許文献1及び2)。また、包装に際しての熱収縮フィルムの流れ方向に沿って、特定長の複数のノッチが特定の間隔を隔てて形成されたミシン目が連続してまたは間欠的に設けられている熱収縮フィルム包装物が開示されている(特許文献3)。また、熱収縮フィルムで被包装物が被覆された包装体であって、熱収縮フィルムが方形の開封孔を有することを特徴とする熱収縮フィルム包装体(特許文献4)が開示されている。
【0005】
しかしながら、従来のシュリンク包装体の製造方法では、大掛かりな装置が必要であったり、引裂き強度によっては包装途中でのフィルム破れが生じたり、被包装物とフィルムとの密着性が高い場合にはフィルムに設けた切り込み等が易開封に寄与しなかったり、美麗な包装を保てない、等の場合があった。
【特許文献1】特公平2−30945号公報
【特許文献2】特公平2−30946号公報
【特許文献3】特開平9−323755号公報
【特許文献4】特開2002−362621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡便な装置により作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できるシュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、以下の方式を採用することにより、以下の(1)〜(3)の利点を見出し、本発明の知見を得た。
即ち、原反から繰り出されたフィルムに、例えば、進行方向に対し直角に1〜2mmの長さのカミソリカット様のカットを入れる。このカット部分はピロー包装後、シュリンクさせるとアーモンド形状(またはラグビーボール形状)となり、その先端部が開封の起点となる。ラベルをカット部分に貼り付け、カット方向に対し直角方向に引き剥がし、フィルムを開封する。
【0008】
このような方法は以下の利点を有している。
(1) 既存のピロー包装装置に設けられている針及び針孔ホルダーを改造するだけでよく、大掛かりな装置が不要で簡便である。
(2) 従来知られた他の方式に比べ、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高い。また、開封に必要な力も少なくて済む。
(3) 美麗な包装が維持できる。
【0009】
即ち、本発明は、以下の各発明を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0010】
1.端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みが存在する熱収縮性フィルムを用いて、被包装物を覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付することを特徴とするシュリンク包装体の製造方法。
【0011】
2.熱収縮性フィルムに、端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みを形成し、供給される被包装物をこのフィルムで覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付することを特徴とするシュリンク包装体の製造方法。
【0012】
3.前記端部間直線距離が0.5mmより長く、3mmより短いものであることを特徴とする、前記1又は2に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【0013】
4.前記端部間直線距離が3mm以上であり、10mmより短いものであることを特徴とする、前記1又は2に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【0014】
5.前記切込みの形状が、直線、V字、U字、S字の各状態から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記1乃至4の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【0015】
6.前記熱収縮性フィルムの熱収縮率が、フィルム流れ方向および幅方向ともに140℃で60%以上であることを特徴とする、前記1乃至5の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【0016】
7.前記熱収縮性フィルムが、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【0017】
8.前記1乃至7の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法によって得られるシュリンク包装体。
【0018】
9.被包装物と、その被包装物に密着して前記被包装物をピロー包装した熱収縮後の熱収縮性フィルムと、その熱収縮性フィルムに貼付されたラベルと、を備えるシュリンク包装体であって、前記熱収縮性フィルムには、端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みに由来する空隙部が形成され、前記ラベルが前記空隙部の少なくとも1つを覆うように添付されているシュリンク包装体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡便な装置により作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できるシュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
〔シュリンク包装体の製造方法〕
本発明に係るシュリンク包装体の製造方法は、既述のように、端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みが存在する熱収縮性フィルムを用いて、被包装物を覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付することを特徴とする。ここで、切込みの端部間直線距離は、単独の切込みにおける端部間を結んだ直線距離をいい、端部間を結ぶ直線は、単独の切込みにおける端部間を結ぶ直線をいう。
【0021】
本発明のシュリンク包装体の製造方法は、かかる構成からなるため、簡便な装置により包装体を作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できる。
【0022】
熱収縮性フィルムに形成される切込みが、その端部間直線距離が0.5mmより長ければ、当該フィルムによりピローシュリンク包装を行った際、当該切込みに由来して形成されるフィルムの空隙部が、フィルムを引裂くための有効な起点となり得る。
また、端部間直線距離が10mmより短く、かつ、その端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下であれば、フィルムを幅方向に引き伸ばして被包装物を包み込む等の包装途中において、当該切込みを起点としたフィルム破れが発生することを少なくできる。
【0023】
包装途中においてフィルムを幅方向に引き伸ばすのに従来採用されている引張強さでは、上記端部間直線距離が3mmより短ければ、切込みを起点としたフィルム破れが発生することを少なくすることができる。一方、フィルムの収縮不足による皺が発生する等の不具合を防ぐと共に、フィルムのシール性を確保するために必要な限りにおいて、その幅方向の引張強さを弱めることで、端部間直線距離が3mm以上であり、10mmより短い場合であっても、切込みを起点としたフィルム破れの発生を少なくすることができる。
【0024】
熱収縮性フィルムにこのような切り込みを入れることにより、簡便な装置により包装体を作製でき、フィルムの引裂き強度が、フィルムの流れ方向、幅方向ともに100mN以下のように小さくても、包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できる。
【0025】
本発明に係る熱収縮性フィルムにおいては、前記切込みの端部間直線距離が0.5mmより長く、3mmより短いと好ましく、1.0〜2.5mmであるとより好ましく、1.5〜2.0mmであると更に好ましい。また、前記切込みの端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度は、30°以下が好ましく、15°以下が更に好ましい。これらの範囲にあれば、本発明の効果をより向上させることができる。
【0026】
切込みは、フィルム上に複数設けることができ、例えば、連続的な等間隔で、好ましくは10〜15mmピッチの間隔で設けることができる。
【0027】
本発明に係る熱収縮性フィルムにおける前記切込みの形状は、特に制限されるものではないが、包装体とした後に包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果を高めることのできる形状であればよく、例えば、直線、V字、U字、S字の各状態から選ばれる1種以上であることが好ましい。これらの各状態は、実質的な形状(略直線、略V字、略U字、略S字)をいい、例えば、「直線」であれば若干の蛇行を含むものとする。
【0028】
また、本発明に係る熱収縮性フィルムは、より美しい包装体を得ることが可能となる点で、140℃で60%以上、好ましくは70%以上の熱収縮率を有するフィルムに切込みを設けたものであることが好ましい。
【0029】
本発明に係る熱収縮性フィルムは、その構成する樹脂の種類に制限されるものではないが、ピローシュリンク包装用途に求められる物性、例えばフィルムの強度や包装機適性等の観点から、例えば、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、及びポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるものが好ましい。さらに、本発明の熱収縮性フィルムは、これらの樹脂とともに、通常熱収縮性フィルムに用いられる公知の添加剤を含む樹脂組成物から形成されるものを使用することもできる。
【0030】
本発明の製造方法は、前述した切込みが存在する熱収縮性フィルムを用いて、被包装物を覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付する。
【0031】
また、本発明の包装体は、前述したシュリンク包装体の製造方法により得られることを特徴とする。本発明の包装体は、被包装物と、その被包装物に密着して上記被包装物をピロー包装した熱収縮後の熱収縮性フィルムと、その熱収縮性フィルムに貼付されたラベルと、を備えるシュリンク包装体であって、上記熱収縮性フィルムには、端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みに由来する空隙部が形成され、上記ラベルが上記空隙部の少なくとも1つを覆うように添付されているシュリンク包装体である。かかる包装体は、簡便な装置により作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できる。
【0032】
なお、空隙部が上記所定の切込みに由来するものであるか否かは、同種フィルムに任意の種々の形状及び寸法を有する切込みを形成し、シュリンク(熱収縮)させた後の形状を比較することで確認される。後述の表1〜4からも明らかなように、空隙部の形状及び寸法は、切込みの形状及び寸法を反映するため、上述のように比較することで上記所定の切込みに由来するか否かを確認することができる。
【0033】
以下、具体的な図面を示して、本発明のシュリンク包装体の製造方法及び包装体について、詳述する。
本発明の包装体の一実施形態を図1に示す。図1は、第1実施形態の包装体を示す斜視図である。
第1実施形態の包装体10は、前述した熱収縮性フィルムでピロー包装させるための被包装物として、蓋を被せた図1に示すような平面視形状が角に丸みを帯びたほぼ矩形の容器を用いている。被包装物としての容器としては、例えば、お弁当やお惣菜等の収容に用いられるプラスチック製のもの等が挙げられる。なお、被包装物は、特にこれに限定されるものではない。
【0034】
本実施形態の包装体10は、そのフィルム面1に存在する少なくとも一つの空隙部を覆うようにラベル(内容を示す表示用シール等)11が付されている。なお、空隙部は、通常注視しないと肉眼視できない程度の微細な孔であると好ましい。このようにすることで、ラベルと空隙部の相互作用により、少ない力で容易にフィルムを開封することができる。本実施形態では、ラベル11は、図1に示すようなつまみ部を有している。特に好ましくは、フィルムの空隙部の端部間を結ぶ直線に対して、引き剥がす方向が垂直になるようになるような、つまみ部を設けることにより、つまみ部と空隙部とが起点となって開封が一層容易となる。
【0035】
また、本実施形態の包装体10の前記空隙部は、前述した熱収縮性フィルムが有する切込みに由来するものである。この空隙部の形状は、例えば、フィルムの幅方向に対する角度が45°以下である直線状の切込みに由来する場合、アーモンド形状又はラグビーボール形状となり、V字状やU字状の切込みに由来する場合、ブーメラン形状のような幅を有するV字状又はU字状となる。空隙部の形状は尖った部分が2カ所以上あるものが好ましく、例えば、尖った部分が1カ所あるアーモンド形状と尖った部分が2カ所あるラグビーボール形状とでは、ラグビーボール形状の方が好ましい。
【0036】
蓋を被せた被包装物を熱収縮性フィルムでピロー包装させた本実施形態の包装体10は、図4に示すような工程を経たフィルムによって包装形成される。すなわち、装置100における原反101から複数のローラー102を介して繰り出されるフィルム103を用いる。
【0037】
切込み入り熱収縮性フィルムは、装置100における複数のローラー102のうち、例えば、所望の切込み形状になるような刃を有する治具を所定の位置、例えば、フィルム103の幅方向中央部に対応する位置に備えた治具ローラー102Aを用いて、ピローシュリンク包装機等により製造することができる。治具ローラー102Aは、図9に示すように、通常のローラー102におけるフィルム幅方向中央部に相当する部分に、切込みを形成する刃61を有する治具60(後述)が備えられている。刃61を有する治具60は、その一つ以上を備えることができ、例えば、刃61を有する治具60の複数からなるものを備えてもよい。また、例えば、図9に示すように、刃61を有する治具60と、針部を有する治具とを混在させて用いることもできる。
【0038】
具体的には、フィルム幅方向中央に前記治具を設けたピローシュリンク包装機を用いて、原反101から繰り出されたフィルム103に治具の刃で切込みを入れる。包装体10は、得られる切込み入り熱収縮性フィルムで、供給される被包装物をピロー包装し、センターシール、シール及びカットをして、ゆったりと包装後、熱風トンネルを通過させ、シュリンクさせることにより製造できる。
【0039】
ここで、熱風トンネル内は、温度が好ましくは140〜160℃、暴露時間が好ましくは2〜3秒である。
【0040】
本実施形態で使用する、特定の切込みを有する熱収縮性フィルムを製造するための、ピローシュリンク包装機における、所定の刃を備えた中央の治具の一例を図6に示す。また、所望のカット形状になるような刃の例を図7に示す。各図の例では、先端が三角形状の刃61及び該刃61を複数備えた治具60を示している。このような治具60を用いると、刃を治具に対して垂直に立てた場合には、熱収縮性フィルムに略V字状の切込みを、刃を治具に対して若干寝かせて立てた場合には熱収縮性フィルムに直線状の切込みを入れることが可能となる。
治具60としては、例えば、図8に示すように、フィルムに孔を開けるフィルム幅方向中央に設けられた5列の針部を有する治具の内、中央の治具の針部を、所望のカット形状になるような刃61に交換したものが使用される。
【0041】
シュリンクさせるためには、図3に示すようなシュリンク前の状態のピロー包装体に、熱風トンネル等により熱を加える。熱を加えるとフィルムは徐々に収縮し、フィルムが占める空間に存在していたエアーが徐々に外部に抜けていくことで、仕上がりの綺麗な包装体を得ることができる。
【0042】
本発明においては、他の実施形態として、図2に示す包装体を提供することもできる。図2は、第2実施形態の包装体を示す斜視図である。第2実施形態の包装体20は、前述した熱収縮性フィルムでピロー包装させるための被包装物として、蓋を被せていない図2に示すような平面視形状が角に丸みを帯びたほぼ矩形の容器を用いている。第2実施形態の包装体20は、蓋のない容器をピローシュリンク包装させたフィルム2の面上で、容器の側面の位置に所望の形状をした少なくとも一つの空隙部及び該空隙部を覆うラベル21を有している。包装体20の容器に蓋を被せていない被包装物を用いている点、及び空隙部及びこれを覆うラベルを包装体の側面に有する以外は、前述した第1実施形態と同様のものであり、従って、第2実施形態の包装体は、第1実施形態で述べた前記の事項が適宜適用され、同様の効果が得られる。
【0043】
なお、蓋のない被包装物を熱収縮性フィルムでピロー包装する場合は、包装体20におけるフィルム2自体が蓋の役割をする。このため、例えば食品等の内容物を収容する場合、包装体20の状態で蓋に相当するフィルムの部分に空隙部があるのは好ましくないので、製造の際にフィルムの幅方向中央より外側に切込みを形成した熱収縮性フィルムを用いる。その他の工程は、第1実施形態の包装体10の作製法と同様である。このようにした場合には、切込みにより生じる空隙部はシュリンク包装体の側面もしくは底面に形成されることになる。
【0044】
第2実施形態の包装体20は、具体的には、図5に示す装置200を用いて包装体20が製造される。フィルムの幅方向中央より外側に切込みの穴をあける第2実施形態では、フィルムの中央に切込みの穴をあける第1実施形態の場合とは異なる治具ローラー202Aを使用する。なお、図5における原反201、ローラー202及びフィルム203は、それぞれ図4における101、102及び103と同様のものが用いられる。第2実施形態で用いられるローラー202Aは、図示しないが、実施形態1で用いた治具を備えたローラー102A(図9)のようにフィルムの幅方向中央部に位置するのではなく、フィルムの幅方向中央より両外側に相当する位置に治具を備えたものが用いられる。
【0045】
また、本発明においては、前述した実施形態のように、包装機にて、切り込みの無いフィルムに切込みを入れる工程と包装する工程を一連の流れ作業として行い、包装体を製造する以外に、本件規定の切込みを設けたフィルムを予め準備し、これを包装機にかけて包装体を製造することもできる。かかる実施形態によっても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例及び比較例を示してより詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって限定を受けるものではない。
【0047】
容器(平面視形状:図1又は図2に示す角に丸みを帯びたほぼ矩形、サイズ:130mm×110mm×40mm(h))の本体に重石として粘土(約50g)を入れ(重石が無いと熱風トンネル内で熱風に吹き飛ばされる)、蓋を被せたもの又は蓋を被せないものを被包装物として準備した。ピローシュリンク包装機においてフィルムに孔を開ける(切込みを形成する)フィルム幅方向中央に設けられた5列の針孔治具の内、中央の治具の針部を、表1及び表2に示す各種カット形状及びカット長(切込み形状及び端部間直線距離)になるような刃に交換し、フィルムに切込みを形成した。準備した被包装物を幅350mm、前後カット長205mmの切込み入りフィルムで各5個ずつピロー包装し、さらに熱風温度140℃、暴露時間約2秒の熱風トンネル内を通過させシュリンクさせた。シュリンク後の空隙部の形状の概略、同部のサイズ(単位:mm×mm)、包装状況、及び開封良否について測定・評価し、その結果を表1、表2、表3及び表4に示す。
なお、表中、「フィルム横方向」はフィルム幅方向と同義である。また、開封良否については、各種切込みを3つ覆うようにラベルを貼り、粘着力が十分に発現すると思われる1時間後にラベルを引き剥がすことによって判断した。
【0048】
開封良否判断基準:
○:EO性良好(5個中4〜5個にEO性発現)
△:EO性やや良好(5個中1〜3個にEO性発現)
×:EO性無し(5個全てEO性発現無し)
【0049】
ここで、EO性とは、ラベルがフィルムから全て剥がれることなく、付着したままの状態でフィルムが僅かな力で引裂かれることをいう。
【0050】
また、実施例1〜15、23〜25、参考例1、2及び比較例1〜10では、ピロー包装の際のフィルムの幅方向における引張強さを通常と同様にした。一方、実施例16〜22、26〜32、及び比較例11〜14では、ピロー包装の際のフィルムの幅方向における引張強さを、上記不具合(フィルムの収縮不足による皺の発生等)が生じず、シール性を確保できる範囲で通常よりも弱めた。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
なお、実施例及び比較例で使用した各熱収縮性フィルムの詳細は、表5に示すとおりである。
【0056】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、簡便な装置により作製でき、引裂き強度が小さいフィルムであっても包装途中でのフィルム破れが少なく、開封効果が高く、美麗な包装を維持できるシュリンク包装体の製造方法及びシュリンク包装体として、産業上利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の包装体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の包装体の第2実施形態を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の包装体を製造する際のシュリンク前の状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の包装体の製造工程の一部を示す概略断面図である。
【図5】第2実施形態の包装体の製造工程の一部を示す概略断面図である。
【図6】熱収縮性フィルムに切込みを開けるための治具の一例を示す斜視図である。
【図7】図6の治具から取り出した刃の一例を示す正面図である。
【図8】図6の治具を他の複数の治具とともに用いた状態を示す斜視図である。
【図9】図6の治具を含む複数の治具を備えたローラーを示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みが存在する熱収縮性フィルムを用いて、被包装物を覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付することを特徴とするシュリンク包装体の製造方法。
【請求項2】
熱収縮性フィルムに、端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みを形成し、供給される被包装物をこのフィルムで覆ってピロー包装をし、続いてフィルムを熱収縮させて被包装物に密着させた後、フィルムの切込みに由来して形成される空隙部の少なくとも1つを覆うようにフィルム上にラベルを貼付することを特徴とするシュリンク包装体の製造方法。
【請求項3】
前記端部間直線距離が0.5mmより長く、3mmより短いものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【請求項4】
前記端部間直線距離が3mm以上であり、10mmより短いものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【請求項5】
前記切込みの形状が、直線、V字、U字、S字の各状態から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【請求項6】
前記熱収縮性フィルムの熱収縮率が、フィルム流れ方向および幅方向ともに140℃で60%以上であることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【請求項7】
前記熱収縮性フィルムが、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシュリンク包装体の製造方法によって得られるシュリンク包装体。
【請求項9】
被包装物と、その被包装物に密着して前記被包装物をピロー包装した熱収縮後の熱収縮性フィルムと、その熱収縮性フィルムに貼付されたラベルと、を備えるシュリンク包装体であって、
前記熱収縮性フィルムには、端部間直線距離が0.5mmより長く、10mmより短いものであって、かつ、端部間を結ぶ直線とフィルムの幅方向とがなす角度が45°以下である切込みに由来する空隙部が形成され、
前記ラベルが前記空隙部の少なくとも1つを覆うように添付されているシュリンク包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−173340(P2009−173340A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124977(P2008−124977)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】