説明

シューズのソール構造体

【課題】 踵着地時に生じる踵中心周りの内旋モーメントを減少させて、歩行または走行時の直進性を向上させるとともに、スムーズな体重移動を実現する。
【解決手段】 シューズのソール構造体において、上側に配置された上部ミッドソール2と、下側に配置された下部ミッドソール3と、上下部ミッドソール2、3間に挿入された凹凸状シート4とを設ける。下部ミッドソール3の上面3aが、踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて配置された複数の隆起部30を有し、隆起部30の高さが踵部の内部に向かうにしたがい徐々に低くなるとともに、隆起部30の尾根の稜線Crが踵部の中央部領域Hcの周りを踵部の着地時の内旋方向Xと同じ向きに旋回する方向に配設されている。上部ミッドソール2の下面2aは、下部ミッドソール3の隆起部30と相補的形状を有し、隆起部30が嵌合する複数の凹部20を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズのソール構造体に関し、詳細には、歩行または走行時の直進性を向上させるためのソール構造体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
シューズのソール構造体として、例えば特開平11−346803号公報に示すものが本件出願人により提案されている。このソール構造体は、ミッドソール内の踵部分に波形シートを介在させるとともに、ミッドソールが波形シートと接触する個所に幅方向の複数の貫通孔を形成したものである。
【0003】
この場合には、ミッドソール内の踵部分に波形シートを介在させたことにより、踵着地時にミッドソールの踵部位が左右方向に横ずれ変形するのを防止して、踵着地時の安定性を確保している。また、この場合、ミッドソールが波形シートと接触する個所に貫通孔を形成したことにより、踵着地時のクッション性を向上させている。
【0004】
その一方、例えばランニングシューズやウォーキングシューズなどにおいて、よりスムーズな歩行または走行を実現するために、歩行時または走行時の直進性を向上させたいとする要請がある。
【0005】
ところが、多くの人は、歩行または走行の際の踵着地時に、シューズ最後端の踵後端から接地せずに、踵後端からやや外甲寄りの位置で接地する傾向のあることがこれまでの研究から分かっている。
【0006】
そこで、本願発明者らは、踵接地後、踵全面で着地していく際に、シューズ着用者の脚の下腿を外甲側から内甲側に向かって回旋させる内旋モーメントが発生していると考え、この内旋モーメントを抑制することができれば、歩行時または走行時の直進性を向上させることができるのではないかと仮説を立てた。また、この場合に、単純に内旋モーメントを抑制するだけではなく、スムーズな体重移動を実現することを考慮した。
【特許文献1】特開平11−346803号公報(図1および図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、踵着地時にシューズ着用者に生じる踵周りの内旋モーメントを減少させ、走行時の直進性を向上させるとともに、スムーズな体重移動を実現させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本願発明者らは、歩行中の下腿に発生するモーメントを測定することから始めた。図1(b)のシューズ(ここでは右足用)に示すように、踵中心Oの周りで足が外甲側から内甲側に回転する(ここでは反時計回りの)モーメントが内旋モーメントであり、踵中心Oの周りで足が内甲側から外甲側に回転する(ここでは時計回りの)モーメントが外旋モーメントである。ここでは、内旋モーメントを“−”の符号で表し、外旋モーメントを“+”の符号で表すことにした。
【0009】
被験者が時速5kmで歩行した際に、右足が接地して離地するまでの間の接地中におけるモーメントの変化を測定した。その測定結果を図1(a)に示している。なお、測定は、キスラー社(Kistler)製の型式9287Bのフォース・プレートを用いて、サンプリング周波数250Hzで行った。同図中、横軸は時間(sec)を、縦軸はモーメント(Nm)を表している。
【0010】
図1(a)に示すように、A点が踵接地時(つまりヒールストライク時)であり、C点がソール全面接地状態であるフットフラット時であって、その間のB点で最大モーメントを発生している。また、同図から明らかなように、接地してから離地するまでの間の接地中のほとんどの区間で、内旋モーメントを生じており、B点における最大モーメントも内旋モーメントであることが分かる。
【0011】
また、本願発明者らは、被験者が歩行する際に、被験者の右足の踵の外周に複数のマーカーを取り付けて歩行中の踵の外周位置が明確になるようにし、同様に上記フォース・プレートを用いて、歩行中の荷重中心の軌跡を求めた。その結果を図2の荷重経路線図に示す。同図中、mがマーカー位置を示し、W’が荷重中心の軌跡を示している。
【0012】
図2に示すように、上述した内旋モーメントの発生によって、軌跡のa’区間では、足の踵が内甲側に倒れ込むプロネーション(回内)が発生しており、その後、b’区間で荷重中心が外甲側に戻ろうとしているものの、前方の進行方向(同図上方)には向かっていないことが分かる。
【0013】
本願の請求項1の発明に係るシューズのソール構造体は、ソール構造体の上側に配置されかつ少なくとも踵部を有する上部ソールと、ソール構造体の下側に配置されかつ少なくとも踵部を有するとともに、上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備えている。下部ソールの上面は、踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、各隆起部の尾根の稜線は、踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。上部ソールの下面は、下部ソールの隆起部と相補的形状を有しかつ隆起部が嵌合する複数の凹部を有している。
【0014】
請求項1の発明においては、シューズの踵部が着地すると、上部ソールの踵部が下部ソールの踵部の踵中心の回りに内旋しようとする。ところが、このとき、下部ソール上面の各隆起部がこれと相補的形状の上部ソール下面の各凹部に嵌合しており、しかも、この場合、各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。すなわち、内旋方向が反時計回りであれば、各稜線の旋回方向も反時計回りである。
【0015】
これにより、上部ソール踵部の内旋方向への動きに対して、下部ソール踵部の各隆起部の壁面がストッパ壁として作用するので、上部ソール踵部の内旋を防止できる。また、この場合、歩行中または走行中の荷重移動は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に向かって行われる。これは、隆起部の尾根の稜線方向と直交する方向の屈曲(つまり稜線に沿った屈曲)は容易であるが、隆起部の尾根の稜線方向の屈曲(つまり稜線と直交する線に沿った屈曲)は容易ではないからである。荷重の移動方向は、専ら隆起部の尾根の稜線方向と直交する方向の屈曲によって左右される。なお、荷重移動の際には、ソールが左右方向でせん断変形を起こすが、このようなせん断変形が荷重の移動方向に与える影響はほとんどない。したがって、踵部後端の外甲寄りの位置で接地すると、荷重中心は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に移動することになり、スムーズな体重移動が可能になる。
【0016】
このように請求項1の発明によれば、下部ソール上面の各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されるので、上部ソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる。
【0017】
ここで、本願発明によるシューズを3名の被験者が履いて実際に歩行を行ってもらい、接地して離地するまでの間の荷重およびモーメントを測定した。図3(a)ないし(c)は各被験者の測定結果を示している。なお、各図において、従来品とは、1層のソールのみから構成されたシューズを履いて歩行を行った場合を指しており、この最大モーメントを100とした場合の本発明品の最大モーメントの比較値を表している。
【0018】
図3(a)ないし(c)から明らかように、いずれの被験者の場合であっても、本発明によるシューズの方が、従来のシューズと比較して、歩行中の最大内旋モーメントが大きく減少していることが分かる。
【0019】
また、上記と同様の手法により、本発明品について歩行中の荷重中心の軌跡を求めた。その結果を図4の荷重経路線図に示す。同図中、mがマーカー位置を示し、Wが荷重中心の軌跡を示している。
【0020】
図4に示すように、内旋モーメントの減少によって、軌跡のa区間では、足の踵が内甲側に倒れ込むプロネーション(回内)が発生しておらず、その後、b区間で荷重中心がやや外甲寄りに移行しつつ、c区間で荷重中心は前方の進行方向(同図上方)に向かっていることが分かる。
【0021】
このことから、内旋モーメントを減少させることによって、プロネーションが防止され、これにより、歩行時の直進性が向上することが実証された。また、プロネーションの防止によって、シューズ着用者の足や膝への負担を軽減でき、長時間履いても疲れにくい理想的なウォーキングシューズを実現できる。
【0022】
ところで、上述した特開平11−346803号公報の図10および図11では、波形シートの稜線がシューズの踵部において中心OまたはO’から放射状に延びている例が示されているが、これらはいずれも、本願の請求項1の発明で説明しているところの「各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されており」とは異なる。
【0023】
その一方、特開2003−79402号公報には、外周面に螺旋状の複数本の溝が形成されたシューズ用の緩衝部について記載されている。この場合、シューズの着地時に圧縮荷重が作用したとき、緩衝部は、圧縮変形すると同時に、その内外周部が円周方向に沿って回転しつつ倒れるようにして剪断変形することにより、緩衝機能を発揮している。すなわち、上記公報に記載のものでは、緩衝部を積極的に変形(圧縮変形および剪断変形)させようとしており(このため緩衝部もシリコーンゲル等からなる)、この点で、踵部の内旋を防止するために、変形を規制しようとする本願発明とはその着眼点および作用効果が全く異なるものである。
【0024】
請求項2の発明では、請求項1において、各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りに平面視渦巻状に配設されている。
【0025】
請求項3の発明に係るシューズのソール構造体は、ソール構造体の上側に配置されかつ少なくとも踵部を有する上部ソールと、ソール構造体の下側に配置されかつ少なくとも踵部を有するとともに、上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備えている。上部ソールの下面は、踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、各隆起部の尾根の稜線は、踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。すなわち、内旋方向が反時計回りであれば、各稜線の旋回方向も反時計回りである。また、下部ソールの上面は、上部ソールの隆起部と相補的形状を有しかつ隆起部が嵌合する複数の凹部を有している。
【0026】
請求項3の発明においては、シューズの踵部が着地すると、上部ソールの踵部が下部ソールの踵部の踵中心の回りに内旋しようとする。ところが、このとき、上部ソール下面の各隆起部がこれと相補的形状の下部ソール上面の各凹部に嵌合しており、しかも、この場合、各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。
【0027】
これにより、上部ソール踵部の内旋方向への動きに対して、下部ソール踵部の各凹部の壁面がストッパ壁として作用するので、上部ソール踵部の内旋を防止できる。また、この場合、歩行中または走行中の体重移動は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に向かって行われる。これは、稜線方向と直交する方向のソール屈曲は容易であるが、稜線方向のソール屈曲は容易ではないためである。したがって、踵部後端の外甲寄りの位置で接地すると、荷重中心は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に移動することになり、スムーズな体重移動が可能になる。
【0028】
このように請求項3の発明によれば、上部ソール下面の各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されるので、上部ソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる。
【0029】
請求項4の発明では、請求項3において、隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りに底面視渦巻状に配設されている。
【0030】
請求項5の発明では、請求項1または3において、隆起部の高さが踵部の内部に向かうにしたがい徐々に低くなっている。
【0031】
この場合には、逆の言い方をすれば、各隆起部の高さが踵部外周に向かうにしたがい徐々に高くなっており、これにより、ソールの内旋方向の動きに抵抗する各ストッパ壁の抵抗モーメントに関して、抵抗モーメントの腕の長さが長くなる個所で大きな抵抗力が発生するようになるので、抵抗モーメントを効果的に発生させることができる。また、このように各隆起部の高さを踵部外周部で高くした場合には、踵部外周縁部で接地するウォーキングシューズに好適のソール構造体を実現できる。
【0032】
請求項6の発明では、請求項1または3において、踵部の外周縁部において、各隆起部の外形線が波状に形成されている。
【0033】
この場合、各隆起部の尾根の稜線は、踵部の外周縁部において、湾曲形状を有しており、これにより、踵部外周縁部の接着面積を増やすことができるので、踵部外周縁部において上下部ソールの剥離を防止でき、耐久性を向上できる。また、踵部外周縁部の美観が向上する。
【0034】
請求項7の発明では、請求項1または3において、踵部の中央部領域において、隆起部の高さが零になっている。
【0035】
この場合、踵部の中央部領域は、隆起部のない形状に形成されており、これにより、踵骨の最突出部分における足当りを向上できる。
【0036】
請求項8の発明に係るシューズのソール構造体は、ソール構造体の上側に配置されかつ少なくとも踵部を有する上部ソールと、ソール構造体の下側に配置されかつ少なくとも踵部を有するとともに、上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備えている。下部ソールの上面は、踵部の中央部領域に間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、各隆起部の尾根の稜線は、踵部の中央部領域から踵部の外周側に向かって延びており、踵部の外周側から中央側に向かう各稜線の方向が、踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。すなわち、内旋方向が反時計回りであれば、各稜線の旋回方向も反時計回りである。上部ソールの下面は、下部ソールの隆起部と相補的形状を有しかつ隆起部が嵌合する複数の凹部を有している。
【0037】
請求項8の発明においては、シューズの踵部が着地すると、上部ソールの踵部が下部ソールの踵部の踵中心の回りに内旋しようとする。ところが、このとき、下部ソール上面の各隆起部がこれと相補的形状の上部ソール下面の各凹部に嵌合しており、しかも、この場合、各隆起部の尾根の稜線が踵部の外周側から中央側に向かって踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。
【0038】
これにより、上部ソール踵部の内旋方向への動きに対して、下部ソール踵部の各隆起部の壁面がストッパ壁として作用するので、上部ソール踵部の内旋を防止できる。また、この場合、歩行中または走行中の体重移動は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に向かって行われる。したがって、踵部中央領域で接地した後、荷重中心は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に移動することになり、スムーズな体重移動が可能になる。
【0039】
このように請求項8の発明によれば、下部ソール上面の各隆起部の尾根の稜線が踵部の外周側から中央側に向かって踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されるので、上部ソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる。
【0040】
請求項9の発明では、請求項8において、隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域に平面視渦巻状に配設されている。
【0041】
請求項10の発明に係るシューズのソール構造体は、ソール構造体の上側に配置されかつ少なくとも踵部を有する上部ソールと、ソール構造体の下側に配置されかつ少なくとも踵部を有するとともに、上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備えている。上部ソールの下面は、踵部の中央部領域に間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、各隆起部の尾根の稜線は、踵部の中央部領域から踵部の外周側に向かって延びており、踵部の外周側から中央側に向かう各稜線の方向が、踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。下部ソールの上面は、上部ソールの隆起部と相補的形状を有しかつ隆起部が嵌合する複数の凹部を有している。
【0042】
請求項10の発明においては、シューズの踵部が着地すると、上部ソールの踵部が下部ソールの踵部の踵中心の回りに内旋しようとする。ところが、このとき、上部ソール下面の各隆起部がこれと相補的形状の下部ソール上面の各凹部に嵌合しており、しかも、この場合、各隆起部の尾根の稜線が踵部の外周から中央側に向かって踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。
【0043】
これにより、上部ソール踵部の内旋方向への動きに対して、下部ソール踵部の各凹部の壁面がストッパ壁として作用するので、上部ソール踵部の内旋を防止できる。また、この場合、歩行中または走行中の体重移動は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に向かって行われる。したがって、踵部中央領域で接地した後、荷重中心は、各隆起部の各稜線と概ね直交する方向に沿って踵前方に移動することになり、スムーズな体重移動が可能になる。
【0044】
このように請求項10の発明によれば、上部ソール下面の各隆起部の尾根の稜線が踵部の外周側から中央側に向かって踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されるので、上部ソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる。
【0045】
請求項11の発明では、請求項10において、隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部に底面視渦巻状に配設されている。
【0046】
請求項12の発明では、請求項8または10において、踵部の外周縁部において、各隆起部の外形線が直線状に形成されている。
【0047】
請求項13の発明では、請求項1、3、8または10のいずれかにおいて、隆起部の尾根の稜線が螺旋状に延びている。
【0048】
請求項14の発明では、請求項1、3、8または10において、上部ソールの下面が、下部ソールの上面の相補的形状を有している。
【0049】
請求項15の発明では、請求項1、3、8または10において、上下部ソールの硬度が異なっている。
【0050】
請求項16の発明では、請求項1、3、8または10において、上下部ソール間には、上部ソールの下面および下部ソールの上面と相補的形状を有する凹凸状シートが装着されている。
【0051】
この場合には、上下部ソール間に凹凸状シートを介在させることで、上下部ソールの圧縮硬度(つまり圧縮変形のしにくさ)が増すので、上部ソール踵部の各隆起部の内旋方向への動きに対して、下部ソール踵部の各凹部の壁面がストッパ壁として効果的に作用して、上部ソール踵部の内旋を防止できる。
【発明の効果】
【0052】
以上のように、本発明の第1の発明に係るソール構造体によれば、下部ソール上面または上部ソール下面の外周縁部における各隆起部の尾根の稜線が踵部の中央部領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されるので、上部ソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる効果がある。
【0053】
本発明の第2の発明に係るソール構造体によれば、下部ソール上面または上部ソール下面の中央部領域における各隆起部の尾根の稜線が踵部の外周側から中央側に向かって踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されるので、上部ソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施例〕
図5ないし図11は本発明の第1の実施例によるソール構造体を説明するための図であって、図5(a)はソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の外甲側側面図、(c)はソール構造体の内甲側側面図、(d)はソール構造体の後端側端面図、図6はソール構造体を構成する下部ミッドソールの斜視平面図、図7は平面図、図8はソール構造体を構成する上部ミッドソールの斜視底面図、図9は底面図、図10(a)は下部ミッドソールの踵部の平面拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図、図11は足を内甲側から見た骨格図である。ここでは、右足用のシューズを例にとって説明する。
【0055】
図5に示すように、このソール構造体1は、上側に配置された上部ミッドソール2と、下側に配置された下部ミッドソール3と、上下部ミッドソール2、3間に挿入された凹凸状シート4とから構成されている。下部ミッドソール3の下面には、路面と接地するアウトソール5が設けられている。
【0056】
上部ミッドソール2は、ソール構造体1の少なくとも踵部に設けられており、同様に、下部ミッドソール3は、ソール構造体1の少なくとも踵部に設けられている。上部ミッドソール2の下面2aは、凹凸状シート4の上面と相補的形状を有しており、下部ミッドソール3の上面3aは、凹凸状シート4の下面と相補的形状を有している。
【0057】
上部ミッドソール2、3は、好ましくは弾性材料から構成されており、この弾性材料としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体などが用いられる。
【0058】
波形シート4は、例えば樹脂製材料から構成されており、この樹脂製材料としては、具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂等や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂などが用いられる。また、波形シート4は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)や布帛を用いて構成することも可能である。
【0059】
下部ソール3の上面3aは、踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて形成された複数(ここでは3つ)の隆起部30を有している(図6および図7参照)。踵部外周縁部は、これらの隆起部30の外形線が波状に現われている。各隆起部30の踵外周側から中央側に向かう尾根の稜線Crは、概略円形状の踵部中央領域Hcの周りを踵部の着地時の内旋方向(矢印X方向)と同じ向きに旋回する方向に配設されている。この右足のシューズ1では、内旋方向が反時計回りなので、稜線Crの旋回方向も反時計回りに設定されている。
【0060】
すなわち、図10(a)中の矢印に示すように、各隆起部30の尾根の稜線Cr〜Crは、踵部の外周縁部から踵部中央領域Hcの周縁部に向かって反時計回りに旋回している。これにより、各隆起部30の稜線Cr〜Crは、踵部の中央部領域Hcの周りに平面視渦巻状に配設されている。なお、同図中、曲線Tr〜Trは、各隆起部30の谷の線を表わしている。そして、各谷の線Tr〜Trとこれらに対応する各稜線Cr〜Crとでそれぞれ囲まれた斜線領域が、上部ミッドソール2の内旋時に上部ミッドソール2から押付力を受ける下部ミッドソール3側の受圧面となっている。
【0061】
各隆起部30の高さは、踵部の内部に向かうにしたがい徐々に低くなっている。この例では、踵部中央領域Hcにおいて、隆起部30の高さhが零になっている(図10(b)参照)。このように、各隆起部30の高さが踵部の内部に向かうにしたがい徐々に低くなっていることにより、各隆起部30の尾根の稜線Cr〜Crは、三次元的には螺旋状に形成されることになる。なお、隆起部30の高さhは、踵部の外周縁部から中央領域に至るまで一定の高さを有していてもよい。また、各隆起部30のそれぞれの稜線Cr〜Crに沿った断面形状は、この例に示すような三角形状には限定されず、四角形状やその他の多角形状でもよく、また一部に曲線を含む形状でもよい。
【0062】
踵部中央領域Hcは、踵中心Oを中心とする円形領域で表わされる。より詳細には、図11に示すように、踵中心Oは、足の踵骨Cの荷重中心Oと一致しており、これは、足の踵部後端からL(=足長×17%)の距離で表わされる。踵部中央領域Hcは、踵中心Oを中心として最大直径で踵骨直径dの領域を含んでいれば十分である。また、隆起部30が形成される領域は、踵後端からR(=L+d/2)の距離まで延在していれば十分である。これは、隆起部30によって踵中心Oの回りの内旋モーメントを減少させることを主眼としているからである。
【0063】
上部ミッドソール2の下面2aは、踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて形成された複数(ここでは3つ)の凹部20を有している(図8および図9参照)。これらの凹部20は、下部ソール3の隆起部30と相補的形状を有している。
【0064】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
シューズの踵部が着地すると、上部ミッドソール2の踵部が下部ミッドソール3の踵部の踵中心Oの回りに内旋しようとする。このとき、下部ミッドソール上面の各隆起部30がこれらと相補的形状の上部ミッドソール下面の各凹部20に嵌合しており、各隆起部30の尾根の稜線Crが踵部の中央部領域Hcの周りを踵部の着地時の内旋方向(図5中矢印X方向)と同じ向きに旋回する方向に配設されている。
【0065】
これにより、上部ミッドソール踵部の内旋方向への動きに対して、下部ミッドソール踵部の各隆起部30の壁面(図10(a)中斜線領域)がストッパ壁として作用するので、上部ミッドソール踵部の内旋を防止できる。また、この場合、歩行中または走行中の体重移動は、各隆起部30の各稜線Cr〜Crと概ね直交する方向に沿って踵前方に向かって行われる。これは、ソールの稜線方向と直交する方向の屈曲(つまりソールの稜線に沿った屈曲)は容易であるが、ソールの稜線方向の屈曲(つまりソールの稜線と直交する線に沿った屈曲)は容易ではなく、荷重の移動方向は、専らソール稜線方向と直交する方向の屈曲によって左右されるからである。したがって、図10(a)中のヒールストライク領域Stに示すように、踵部後端のやや外甲寄りの位置で接地すると、荷重中心は、各隆起部30の各稜線Cr〜Crと概ね直交する方向に沿って踵前方に移動することになり、これにより、スムーズな体重移動が可能になる。
【0066】
このように、下部ミッドソール上面の各隆起部30の尾根の稜線Cr〜Crが踵部の中央部領域Hcの周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されることにより、上部ミッドソール踵部の内旋を防止してシューズ着用者の下腿に生じる内旋モーメントを減少でき、走行時の直進性を向上できるとともに、スムーズな体重移動を実現できる。
【0067】
ここで、本実施例によるシューズを実際に3名の被験者が履いて歩行を行ってもらい、接地して離地するまでの間の最大内旋モーメントを測定した。図3(a)ないし(c)は各被験者の測定結果を示している。なお、各図において、従来品とは、1層のミッドソールのみから構成されたシューズを履いて歩行を行った場合を指しており、この最大内旋モーメントを100とした場合の本実施例品の最大内旋モーメントの比較値を表している。
【0068】
図3(a)ないし(c)から明らかように、いずれの被験者の場合であっても、本実施例によるシューズの方が、従来のシューズと比較して、歩行中の最大内旋モーメントが大きく減少していることが分かる。
【0069】
また、本実施例品について歩行中の荷重中心の軌跡を求めた。その結果を図4の荷重経路線図に示す。同図中、mがマーカー位置を示し、Wが荷重中心の軌跡を示している。
【0070】
図4に示すように、内旋モーメントの減少によって、軌跡のa区間では、足の踵が内甲側に倒れ込むプロネーション(回内)が発生しておらず、その後、b区間で荷重中心がやや外甲寄りに移行しつつ、c区間で荷重中心は前方の進行方向(同図上方)に向かっていることが分かる。
【0071】
このことから、内旋モーメントを減少させることによって、プロネーションが防止され、これにより、歩行時の直進性が向上することが実証された。また、プロネーションの防止によって、シューズ着用者の足や膝への負担を軽減でき、長時間履いても疲れにくい理想的なウォーキングシューズを実現できる。
【0072】
また、本実施例の場合、各隆起部30の高さが踵部外周に向かうにしたがい徐々に高くなっており、これにより、上部ミッドソール2の内旋方向の動きに抵抗する各隆起部壁面の抵抗モーメントに関して、抵抗モーメントの腕の長さが長くなる個所で大きな抵抗力が発生するようになるので、抵抗モーメントを効果的に発生させることができる。また、このように各隆起部の高さを踵部外周部で高くした場合には、踵部外周縁部で接地するウォーキングシューズに好適のソール構造体を実現できる。
【0073】
さらに、この場合には、踵部中央領域Hcの中心を踵骨中心Oと一致させたので、歩行中または走行中において最大内旋モーメントの中心が踵骨直下付近に現われるようなシューズ着用者に好適のシューズを実現できる。
【0074】
〔第2の実施例〕
前記第1の実施例では、下部ミッドソール3の踵部中央領域Hc内に隆起部が形成されていない例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。図12(a)は本発明の第2の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の後端側端面図である。なお、これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0075】
図12(a)に示すように、踵部外周縁部から踵部内部に延びる各隆起部30の各稜線Crは、踵部中央領域Hc内にまで延設されており、踵中心Oで互いに一致して収束している。この場合、各稜線Crは、例えばインボリュート曲線により構成されている。
【0076】
この場合においても、歩行中または走行中において最大内旋モーメントの中心が踵骨直下付近に現われるようなシューズ着用者に好適のシューズを実現できる。
【0077】
〔第3の実施例〕
前記第1および第2の実施例においては、踵部中央領域Hcの中心を踵骨中心Oと一致させた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図13(a)は本発明の第3の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の後端側端面図である。なお、これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0078】
図13(a)に示すように、踵部中央領域Hcの中心は、踵骨中心からやや外甲寄りの位置に偏倚している。また、この場合、前記第1の実施例と同様に、踵部中央領域Hc内に隆起部は形成されていない。ただし、この場合には、図13(b)に示すように、各隆起部30の踵外周面側から見た稜線が、ジグザグ状の直線から構成されている。
【0079】
この場合には、歩行中または走行中において最大内旋モーメントの中心が踵骨下方のやや外甲寄りの位置に現われるようなシューズ着用者に好適のシューズを実現できる。
【0080】
〔第4の実施例〕
図14(a)は本発明の第4の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の後端側端面図であって、これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0081】
この第4の実施例では、前記第3の実施例において、踵部中央領域Hc内に隆起部を形成したものである。
【0082】
この場合においても、歩行中または走行中において最大内旋モーメントの中心が踵骨下方のやや外甲寄りの位置に現われるようなシューズ着用者に好適のシューズを実現できる。
【0083】
〔他の実施例1〕
前記第1ないし第4の実施例では、下部ミッドソール側に複数の隆起部が形成され、上部ミッドソール側に、これらの隆起部と相補的形状を有する複数の凹部が形成された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0084】
前記各実施例とは逆に、上部ミッドソール側に複数の隆起部を形成し、下部ミッドソール側に、これらの隆起部と相補的形状を有する複数の凹部を形成するようにしてもよい。この場合、上部ミッドソールの各隆起部の尾根の稜線は、踵部中央領域の周りに底面視渦巻状に配設されている。また、各隆起部の尾根の稜線の旋回方向は、前記各実施例と同様に、踵部中央領域の周りを踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されている。
【0085】
〔他の実施例2〕
前記第1ないし第4の実施例ならびに前記他の実施例1においては、各隆起部の尾根の各稜線が渦巻状に配設された例を示したが、各稜線は、略直線状に配設するようにしてもよい。
【0086】
〔他の実施例3〕
前記第1ないし第4の実施例では、上下部ミッドソール間に凹凸状シートが挿入された例を示したが、本発明は、凹凸状シートを有しないものにも同様に適用可能である。この場合、上下部ミッドソールの界面が隆起部および凹部の組合せからなる互いに相補的形状の凹凸状面を有しており、上下部ミッドソールがこれらの凹凸状面を介して互いに接着されている。また、この場合、上下部ミッドソール間にある程度の厚みの接着剤層を形成するようにすれば、当該接着剤層が凹凸状シートと同様に機能するようになる。
【0087】
〔他の実施例4〕
前記第1ないし第4の実施例では、上部ミッドソールの下面全体が、下部ミッドソールの上面全体に対して相補的形状を有している場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。上下部ミッドソールのうちの一方のミッドソールの隆起部に対応する相補的形状の凹部を他方のミッドソールの凹部が有していれば十分である。
【0088】
〔他の実施例5〕
前記第1ないし第4の実施例において、上下部ミッドソールのそれぞれの硬度は、同一であってもまた異なっていてもよい。例えば、上部ミッドソールの硬度を低くしかつ下部ミッドソールの硬度を高くした場合には、内旋モーメントの抑制効果が向上でき、これと逆に、上部ミッドソールの硬度を高くしかつ下部ミッドソールの硬度を低くした場合には、シューズ着地時における初期の接地感を良好なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】(a)は歩行時における接地中のモーメントの時間的変化を測定したグラフであり、(b)は(a)の測定に使用したシューズに内旋モーメントおよび外旋モーメントの向きを書き加えた平面図である。
【図2】従来構造のシューズにおいて、歩行時の荷重中心の軌跡を示す荷重経路線図である。
【図3】3名の被験者の各々について、歩行時に発生する最大モーメントを従来品と本発明品とで相対比較した図である。
【図4】本発明構造のシューズにおいて、歩行時の荷重中心の軌跡を示す荷重経路線図である。
【図5】(a)は本発明の第1の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の外甲側側面図、(c)はソール構造体の内甲側側面図、(d)はソール構造体の後端側端面図である。
【図6】ソール構造体(図5)を構成する下部ミッドソールの斜視平面図である。
【図7】下部ミッドソール(図6)の平面図である。
【図8】ソール構造体(図5)を構成する上部ミッドソールの斜視底面図である。
【図9】上部ミッドソール(図8)の底面図である。
【図10】(a)は下部ミッドソールの踵部の平面拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図11】足を内甲側から見た骨格図である。
【図12】(a)は本発明の第2の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の後端側端面図である。
【図13】(a)は本発明の第3の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の後端側端面図である。
【図14】(a)は本発明の第4の実施例によるソール構造体の平面図、(b)はソール構造体の後端側端面図である。
【符号の説明】
【0090】
1: ソール構造体

2: 上部ミッドソール
2a: 下面
20: 凹部

3: 下部ミッドソール
3a: 上面
30: 隆起部

4: 凹凸状シート

O: 踵中心
Hc: 踵部中央領域
d: 踵骨直径
Cr: 稜線
X: 内旋方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズのソール構造体であって、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の上側に配置された上部ソールと、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の下側に配置され、前記上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備え、
前記下部ソールの前記上面が、前記踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、前記各隆起部の尾根の稜線が前記踵部の中央部領域の周りを前記踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されており、
前記上部ソールの前記下面は、前記下部ソールの前記隆起部と相補的形状を有しかつ前記隆起部が嵌合する複数の凹部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項2】
請求項1において、
前記各隆起部の尾根の稜線が前記踵部の前記中央部領域の周りに平面視渦巻状に配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項3】
シューズのソール構造体であって、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の上側に配置された上部ソールと、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の下側に配置され、前記上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備え、
前記上部ソールの前記下面が、前記踵部の外周縁部に沿って間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、前記各隆起部の尾根の稜線が前記踵部の中央部領域の周りを前記踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されており、
前記下部ソールの前記上面は、前記上部ソールの前記隆起部と相補的形状を有しかつ前記隆起部が嵌合する複数の凹部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項4】
請求項3において、
前記隆起部の尾根の稜線が前記踵部の前記中央部領域の周りに底面視渦巻状に配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項5】
請求項1または3において、
前記隆起部の高さが前記踵部の内部に向かうにしたがい徐々に低くなっている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項6】
請求項1または3において、
前記踵部の前記外周縁部において、前記各隆起部の外形線が波状に形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項7】
請求項1または3において、
前記踵部の前記中央部領域において、前記隆起部の高さが零になっている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項8】
シューズのソール構造体であって、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の上側に配置された上部ソールと、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の下側に配置され、前記上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備え、
前記下部ソールの前記上面が、前記踵部の中央部領域に間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、前記各隆起部の尾根の稜線が前記踵部の前記中央部領域から前記踵部の外周側に向かって延びており、前記踵部の外周側から中央側に向かう各稜線の方向が、前記踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されており、
前記上部ソールの前記下面が、前記下部ソールの前記隆起部と相補的形状を有しかつ前記隆起部が嵌合する複数の凹部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項9】
請求項8において、
前記隆起部の尾根の稜線が前記踵部の前記中央部領域に平面視渦巻状に配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項10】
シューズのソール構造体であって、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の上側に配置された上部ソールと、
少なくとも踵部を有し、前記ソール構造体の下側に配置され、前記上部ソールの下面に接合される上面を有する下部ソールとを備え、
前記上部ソールの前記下面が、前記踵部の中央部領域に間隔を隔てて配置された複数の隆起部を有し、前記各隆起部の尾根の稜線が前記踵部の前記中央部領域から前記踵部の外周側に向かって延びており、前記踵部の外周側から中央側に向かう各稜線の方向が、前記踵部の着地時の内旋方向と同じ向きに旋回する方向に配設されており、
前記下部ソールの前記上面が、前記上部ソールの前記隆起部と相補的形状を有しかつ前記隆起部が嵌合する複数の凹部を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項11】
請求項10において、
前記隆起部の尾根の稜線が前記踵部の前記中央部に底面視渦巻状に配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項12】
請求項8または10において、
前記踵部の前記外周縁部において、前記各隆起部の外形線が直線状に形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項13】
請求項1、3、8または10のいずれかにおいて、
前記隆起部の尾根の稜線が螺旋状に延びている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項14】
請求項1、3、8または10において、
前記上部ソールの前記下面が、前記下部ソールの前記上面の相補的形状を有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項15】
請求項1、3、8または10において、
前記上下部ソールの硬度が異なっている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項16】
請求項1、3、8または10において、
前記上下部ソール間には、前記上部ソールの下面および前記下部ソールの上面と相補的形状を有する凹凸状シートが装着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−240584(P2009−240584A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91638(P2008−91638)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】