説明

ショーケースの商品載置棚

【課題】ケース本体に対する取付作業の容易化を図ることができるショーケースの商品載置棚を提供すること。
【解決手段】ケース本体1の収納室2を画成する背面パネル10を支持するとともに上下方向に所定間隔で係止孔12が形成された支柱11に対し、自身の係止片311,331が所定の係止孔12に挿入されることで支柱11に支持される左右一対のブラケット30と、自身の横フレーム部43,44が左右のブラケット30間に架け渡されるよう配設された棚フレーム40と、棚フレーム40に配設され、かつ上面が収納対象である商品を載置するための商品載置面を構成する棚板50とを備え、収納室2に上下方向に沿って複数段設けられるショーケースの商品載置棚20において、棚フレーム40は、棚板50よりも上方となる部位において後方に突出する態様で設けられ、かつ係止孔12に進入可能なガイド443を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースの商品載置棚に関し、より詳細には、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置され、収納対象となる商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースの商品載置棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置され、収納対象となる商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースとして、次のようなものが知られている。
【0003】
前面に開口が形成されたケース本体の収納域に複数の商品載置棚が上下方向に沿って複数段設けられており、それぞれの商品載置棚に商品が載置されている。また、ケース本体内であって収納域外となる個所には、吸込口を通じて吸い込んだ収納域の内部の空気を冷却する冷却器が配設されており、この冷却器で冷却された空気が吹出口から収納域の内部に吹き出されることにより、商品載置棚に載置された商品が所望の温度状態に調整されることになる。
【0004】
かかるショーケースにおける商品載置棚には、固定式のものの他に、商品補充の利便性等を考慮したスライド式のものが知られている。このようなスライド式の商品載置棚は、ブラケット、棚フレーム及び棚板を備えて構成されている。
【0005】
ブラケットは、上記収納域を画成する背面パネルを支持するとともに上下方向に所定間隔で係止孔が形成された支柱に対し、自身の係止片が所定の係止孔に挿入されることで該支柱に支持される左右一対のものである。棚フレームは、ブラケットのそれぞれに対して前後方向に沿って移動可能となる態様で係合手段を介して係合しており、自身の横フレーム部が左右のブラケット間に架け渡されるよう配設されている。棚板は、棚フレームに配設されており、上面が収納対象である商品を載置するための商品載置面を構成している。
【0006】
このような商品載置棚は、ブラケットの係止片が支柱における所定の係止孔に挿入して該ブラケットが支柱に支持されることで、上述したように上下方向に沿って複数段設けられている。そして、係止孔に挿入される係止片は、ブラケットにおける棚板よりも下方となる部位において後方に突出する態様で設けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−299596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述したような特許文献1に提案されているようなショーケースの商品載置棚においては、ブラケットの係止片が棚板よりも下方となる部位において後方に突出する態様で設けられていたために、例えば商品載置棚の設置高さを変更するような付替作業を行う場合に次のような問題があった。すなわち、付替対象となる商品載置棚をケース本体(支柱)から一旦取り外して所望の高さ位置に取り付ける際に、作業者がブラケットや棚フレームにより係止片が所望の係止孔に挿入することを視認することが困難となり、結果的に作業が煩雑なものとなってしまう、という問題があった。尚、ここでは商品載置棚の付替作業について述べたが、新たな商品載置棚を所望の高さ位置に取り付ける作業においても同様の問題があることはいうまでもない。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、ケース本体に対する取付作業の容易化を図ることができるショーケースの商品載置棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るショーケースの商品載置棚は、ケース本体の収納域を画成する背面パネルを支持するとともに上下方向に所定間隔で係止孔が形成された支柱に対し、自身の係止片が所定の係止孔に挿入されることで該支柱に支持される左右一対のブラケットと、自身の横フレーム部が左右のブラケット間に架け渡されるよう配設された棚フレームと、前記棚フレームに配設され、かつ上面が収納対象である商品を載置するための商品載置面を構成する棚板とを備え、前記収納域に上下方向に沿って複数段設けられるショーケースの商品載置棚において、前記棚フレームは、前記棚板よりも上方となる部位において後方に突出する態様で設けられ、かつ前記係止孔に進入可能なガイドを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るショーケースの商品載置棚は、上述した請求項1において、前記ガイドは、前記横フレーム部を構成し、かつ上方に向けて延在する垂上部の左右両端部を後方に屈曲させて形成したものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係るショーケースの商品載置棚は、上述した請求項1又は請求項2において、前記棚フレームは、前記ブラケットに対して前後方向に沿って移動可能となる態様で係合手段を介して係合して配設されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係るショーケースの商品載置棚は、上述した請求項3において、前記係合手段は、前記棚フレームに配設された第1滑動部材の進入を許容し、かつ進入した第1滑動部材を相対的に前後方向に沿って移動可能に支持する縦断面が略コ字状の棚レール部と、前記ブラケットに配設された第2滑動部材の進入を許容し、かつ進入した第2滑動部材を相対的に前後方向に沿って移動可能に支持する縦断面が略コ字状のブラケットレール部とが互いに背中合わせとなる態様で接合されて成り、前記棚フレームが前後方向に沿って移動することを許容すること特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、係止孔に進入可能なガイドが、棚フレームの棚板よりも上方となる部位において後方に突出する態様で設けられているので、商品載置棚の取付作業において、作業者が所定の係止孔に対する係止片の挿入をガイドを介して視認しながら行うことが可能になる。従って、ケース本体に対する取付作業の容易化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である商品載置棚が適用されたショーケースの内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。
【図2】図2は、図1に示した商品載置棚の1つを前方側の右側上方より見た場合を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示した商品載置棚の要部を示すものであり、左側のブラケット近傍の構成を前方側の左側上方より見た場合を示す拡大斜視図である。
【図4】図4は、図2に示した商品載置棚の要部を示すものであり、左側のブラケット近傍の構成を前方側の右側下方より見た場合を示す拡大斜視図である。
【図5】図5は、図2に示した商品載置棚の要部を示すものであり、左側のブラケット近傍の構成を前方側より見た場合を模式的に示す縦断面図である。
【図6】図6は、図2に示した商品載置棚の要部を示すものであり、右側のブラケット近傍の構成を前方側より見た場合を模式的に示す縦断面図である。
【図7】図7は、図3に示したガイド及びその周辺の構成を拡大して示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの商品載置棚の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態である商品載置棚が適用されたショーケースの内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。ここで例示するショーケースは、ケース本体1を備えている。
【0018】
ケース本体1は、前面に開口(前面開口)1aが形成された略直方状の断熱筐体であり、その内部には収納室(収納域)2が画成してあるとともに、空気循環手段3が設けてある。
【0019】
収納室2は、上記前面開口1aを臨む態様で画成された室であり、複数(図示の例では5つ)の商品載置棚20が上下方向に沿って複数段並べて配設してある。これら商品載置棚20の構成については後述する。
【0020】
空気循環手段3は、空気通路4と循環ファンFとを備えて構成してある。空気通路4は、吸込口5から吹出口6に至る空気の通路である。ここに吸込口5は、収納室2の内部の空気(内部雰囲気)を吸い込むための開口であり、収納室2の左右方向に沿って延設してある。この吸込口5は、収納室2の下側前方縁部、すなわちケース本体1の前面開口1a近傍の下部に配設してある。吹出口6は、収納室2の内部に空気を吹き出すための開口である。これら吹出口6は、収納室2の左右方向に延設してあって、収納室2の上側前方縁部、すなわちケース本体1の前面開口1a近傍の上部に前後に並設してある。
【0021】
このような空気通路4は、収納室2外であってその下方にある下方ダクト4aと、収納室2外であってその背面側にある背面ダクト4bと、収納室2外であってその上方にある上方ダクト4cとを互いに連通した態様で構成してある。
【0022】
循環ファンFは、空気を循環させるものであり、背面ダクト4bの所定部位に配設してある。本実施の形態においては、循環ファンFは背面ダクト4bの所定部位に配設してあるが、本発明では、循環ファンFの配設位置は特に限定されるものではなく、後述する循環ファンFの機能を発揮することができる個所であればどこに配設しても構わない。
【0023】
このような空気循環手段3においては、循環ファンFが駆動することにより吸込口5を通じて収納室2の内部空気を吸い込み、空気通路4を通過する態様で吸い込んだ空気を吹出口6まで送出し、吹出口6を通じて送出した空気を収納室2の内部に吹き出すことにより、ケース本体1の前面開口1aにエアカーテンを形成しながら収納室2の内部と外部との間で空気を循環させるものである。
【0024】
上記空気通路4の背面ダクト4bには蒸発器(冷却器)7が設けてある。蒸発器7は、図には明示しないが、圧縮機、凝縮器及び膨張機構とともに冷媒を循環させる冷媒循環手段を構成する。ここに圧縮機は、冷媒を圧縮するものであり、凝縮器は、圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させるものである。膨張機構は、凝縮器で凝縮された冷媒を断熱膨張させて低温低圧の状態にさせるものである
【0025】
蒸発器7は、循環ファンFが駆動することにより背面ダクト4bを下方から上方に向けて通過する空気と、膨張機構で断熱膨張された冷媒とを熱交換させるもの、より詳細には、冷媒を蒸発させることにより背面ダクト4b(空気通路4)を通過する空気を冷却するものである。この蒸発器7で蒸発した冷媒は、再び圧縮機に戻り圧縮されることになる。
【0026】
図2は、図1に示した商品載置棚の1つを前方側の右側上方より見た場合を示す斜視図である。ここでは、1つの商品載置棚20について説明するが、他の商品載置棚20も同様の構成を有している。尚、本実施の形態において右側とはショーケースを正面から見た場合の右方を示し、左側とはショーケースを正面から見た場合の左方を示している。
【0027】
この図2において符号10及び11は、背面パネル及び支柱である。背面パネル10は、収納室2を画成するもので、その背面を構成している。より詳細には、背面パネル10は、例えば鋼板等を加工して構成したもので、収納室2と背面ダクト4bとを区画するものである。この背面パネル10には、複数の開口10aが形成してあり、背面ダクト4bを通過する空気(冷却空気)が該開口10aを通じて収納室2に進入することを可能にしている。
【0028】
支柱11は、鋼板等を屈曲させて形成したものであり、背面パネル10の両側域に立設してある。これら支柱11(左支柱11L及び右支柱11R)は、背面パネル10を支持するものであり、更に背面ダクト4bの両側部を構成している。つまり背面ダクト4bは、前方側が背面パネル10、後方側がケース本体1の背面、左右側が支柱11によって区画してある。各支柱11の前面、すなわち収納室2を臨む面には、上下方向に沿って複数の矩形状の係止孔12が等間隔で形成してある。
【0029】
商品載置棚20は、図2に示すように、ブラケット30と、棚フレーム40と、棚板50とを備えて構成してある。
【0030】
ブラケット30は、鋼板等を加工して構成したものであり、それぞれの内面が対向する態様で支柱11に支持された左右一対のものである。
【0031】
図3〜図6は、それぞれ図2に示した商品載置棚の要部を示すものであり、図3は左側のブラケット近傍の構成を前方側の左側上方より見た場合を示す拡大斜視図であり、図4は左側のブラケット近傍の構成を前方側の右側下方より見た場合を示す拡大斜視図であり、図5は左側のブラケット近傍の構成を前方側より見た場合を模式的に示す縦断面図であり、図6は右側のブラケット近傍の構成を前方側より見た場合を模式的に示す縦断面図である。以下においては、これら図3〜図6を図2とともに適宜用いながら商品載置棚20の構成について説明する。
【0032】
左側のブラケット30(以下、左ブラケット30Lとも称する)は、左基部31と右延部32とを備えて構成してある。左基部31は、前後方向に沿って延在する長尺状部材である。この左基部31は、自身の中央部から前端部にかけては、上下幅が略等しいものであり、中央部から後端部にかけては、該後端部に向かうに連れて上下幅が大きくなる態様で下端部が下方に向けて湾曲している。この左基部31の後端部には、複数の係止片311が後方に突出する態様で配設してある。ここで係止片311は、図には明示していないが、左基部31の後端部より後方に向けて延在する後延部と、この後延部の後端より下方に向けて延在する下延部とを有するフック形状を成すものである。
【0033】
かかる係止片311が左支柱11Lの所定の係止孔12に挿入することで係止片311が該左支柱11Lと係止状態となり、これにより左基部31(左ブラケット30L)は該左支柱11Lに支持される。
【0034】
右延部32は、左基部31の上端部に連続しており、かかる上端部より右方に向けて延在するものである。
【0035】
右側のブラケット30(以下、右ブラケット30Rとも称する)は、右基部33と左延部34とを備えて構成してある。右基部33は、前後方向に沿って延在する長尺状部材である。この右基部33は、自身の中央部から前端部にかけては、上下幅が略等しいものであり、中央部から後端部にかけては、該後端部に向かうに連れて上下幅が大きくなる態様で下端部が下方に湾曲している。この右基部33の後端部には、複数の係止片331が後方に突出する態様で配設してある。ここで係止片331は、図には明示していないが、右基部33の後端部より後方に向けて延在する後延部と、この後延部の後端より下方に向けて延在する下延部とを有するフック形状を成すものである。
【0036】
かかる係止片331が右支柱11Rの所定の係止孔12に挿入することで係止片331が該右支柱11Rと係止状態となり、これにより右基部33(右ブラケット30R)は該右支柱11Rに支持される。
【0037】
左延部34は、右基部33の上端部に連続しており、かかる上端部より左方に向けて延在するものである。
【0038】
このようなブラケット30においては、それぞれの内面の前端部、すなわち左ブラケット30Lにおける左基部31の右側面及び右ブラケット30Rにおける右基部33の左側面の前端部に、複数のブラケットローラ(第2滑動部材)35が前後に並ぶ態様でネジ等により固定してある。これらブラケットローラ35は、ネジの軸心回りに回転自在に配設してある。
【0039】
棚フレーム40は、左縦フレーム部41、右縦フレーム部42、前方横フレーム部43及び後方横フレーム部44を備えて構成してある。
【0040】
左縦フレーム部41は、前後方向に沿って延在する長尺状部材であり、前方から見た場合にその縦断面が下方が開口したコ字状を成すもので、左水平延在部411、左垂下部412及び右係合基部413を備えて構成してある。
【0041】
左水平延在部411は、左ブラケット30Lの一部の上方域を覆う態様で水平方向に延在する部位である。左垂下部412は、左水平延在部411の左端部に連続しており、かかる左端部より下方に向けて垂下する部位である。
【0042】
右係合基部413は、左水平延在部411の右端部に連続しており、かかる右端部より下方に向けて延在する部位であり、左垂下部412よりも下方に向けての延在長さが大きくしてある。この右係合基部413の左側面には、複数(図示の例では3つ)の棚ローラ(第1滑動部材)45が前後に並ぶ態様でネジ等により固定してある。これら棚ローラ45は、ネジの軸心回りに回転自在に配設してある。
【0043】
このような左縦フレーム部41は、係合手段である左レール部材60を介して左ブラケット30Lに係合してある。
【0044】
左レール部材60は、左棚レール部61と左ブラケットレール部62とが互いに接合されて構成したものである。
【0045】
左棚レール部61は、縦断面が略コ字状をなし、前後方向が長手方向となる長尺棒状体である。この左棚レール部61は、上下方向に沿って延在する左棚レール基部611と、左棚レール基部611の上端から右方に向けて延在する左棚上部右延部612と、左棚上部右延部612の延在端部より下方に向けて僅かに傾斜する左棚右下傾斜部613と、左棚レール基部611の下端から右方に向けて延在する左棚下部右延部614と、左棚下部右延部614の延在端部より上方に向けて僅かに傾斜する左棚右上傾斜部615とを有して構成してある。ここで左棚上部右延部612と左棚下部右延部614との離間距離は、棚ローラ45が進入可能な大きさを有しており、進入した棚ローラ45は、左棚下部右延部614の上面を転動面として前後方向に沿って相対的に移動することになる。また左棚右上傾斜部615の傾斜延在長さは、左棚上部右延部612と左棚下部右延部614との間に進入した棚ローラ45が左右方向に相対的に移動して抜け出すことを規制することができる大きさに調整してある。また、左棚レール基部611における前端部には、左棚上部右延部612の下方側であって、左棚下部右延部614の上方側となる領域に突出する態様で左棚前方側規制片616が配設してある。
【0046】
左ブラケットレール部62は、縦断面が略コ字状をなし、前後方向が長手方向となる長尺棒状体である。この左ブラケットレール部62は、上下方向に沿って延在する左ブラケットレール基部621と、左ブラケットレール基部621の上端から左方に向けて延在する左ブラケット上部左延部622と、左ブラケット上部左延部622の延在端部より下方に向けて僅かに延在する左ブラケット左下傾斜部623と、左ブラケットレール基部621の下端から左方に向けて延在する左ブラケット下部左延部624と、左ブラケット下部左延部624の延在端部より上方に向けて僅かに延在する左ブラケット左上傾斜部625とを有して構成してある。ここで左ブラケット上部左延部622と左ブラケット下部左延部624との離間距離は、ブラケットローラ35が進入可能な大きさを有しており、進入したブラケットローラ35は、左ブラケット下部左延部624の上面を転動面として前後方向に沿って相対的に移動することになる。また左ブラケット左上傾斜部625の延在長さは、左ブラケット上部左延部622と左ブラケット下部左延部624との間に進入したブラケットローラ35が左右方向に相対的に移動して抜け出すことを規制することができる大きさに調整してある。また、左ブラケットレール基部621における後端部には、左ブラケット上部左延部622の下方側であって、左ブラケット下部左延部624の上方側となる領域に突出する態様で左ブラケット後方側規制片626が配設してある。
【0047】
また、左ブラケットレール部62の左ブラケット上部左延部622の後方側には、図示せぬ切欠部が形成してある。この切欠部は、ブラケットローラ35が通過することが可能な大きさを有している。
【0048】
これら左棚レール部61と左ブラケットレール部62とが、互いに背中合わせとなる態様で、すなわち互いの左棚レール基部611と左ブラケットレール基部621とが接する態様で溶接接合されて左レール部材60が構成してある。そして、左レール部材60の左ブラケットレール部62における前方側開放端よりブラケットローラ35を進入させた後、左レール部材60の左棚レール部61における後方側開放端より棚ローラ45を進入させる。これにより左縦フレーム部41が左ブラケット30Lに左レール部材60を介在して係合される。
【0049】
右縦フレーム部42は、左縦フレーム部41と左右が反転する以外は同様の構成を有するものであり、しかも左縦フレーム部41と同様に係合手段である右レール部材63を介して右ブラケット30Rに係合されている。以下においては、図6を用いながら右縦フレーム部42の構成について簡単に説明する。
【0050】
右縦フレーム部42は、前後方向に沿って延在する長尺状部材であり、前方から見た場合にその縦断面が下方が開口したコ字状を成すもので、右水平延在部421、右垂下部422及び左係合基部423を備えて構成してある。
【0051】
右水平延在部421は、右ブラケット30Rの一部の上方域を覆う態様で水平方向に延在する部位である。右垂下部422は、右水平延在部421の右端部に連続しており、かかる右端部より下方に向けて垂下する部位である。
【0052】
左係合基部423は、右水平延在部421の左端部に連続しており、かかる左端部より下方に向けて延在する部位であり、右垂下部422よりも下方に向けての延在長さが大きくしてある。この左係合基部423の右側面には、複数の棚ローラ(第1滑動部材)45が前後に並ぶ態様でネジ等により固定してある。これら棚ローラ45は、ネジの軸心回りに回転自在に配設してある。
【0053】
このような右縦フレーム部42は、係合手段である右レール部材63を介して右ブラケット30Rに係合してある。右レール部材63は、右棚レール部64と右ブラケットレール部65とが互いに接合されて構成したものである。
【0054】
右棚レール部64は、縦断面が略コ字状をなし、前後方向が長手方向となる長尺棒状体である。この右棚レール部64は、上下方向に沿って延在する右棚レール基部641と、右棚レール基部641の上端から左方に向けて延在する右棚上部左延部642と、右棚上部左延部642の延在端部より下方に向けて僅かに傾斜する右棚左下傾斜部643と、右棚レール基部641の下端から左方に向けて延在する右棚下部左延部644と、右棚下部左延部644の延在端部より上方に向けて僅かに傾斜する右棚左上傾斜部645とを有して構成してある。ここで右棚上部左延部642と右棚下部左延部644との離間距離は、棚ローラ45が進入可能な大きさを有しており、進入した棚ローラ45は、右棚下部左延部644の上面を転動面として前後方向に沿って相対的に移動することになる。また右棚左上傾斜部645の傾斜延在長さは、右棚上部左延部642と右棚下部左延部644との間に進入した棚ローラ45が左右方向に相対的に移動して抜け出すことを規制することができる大きさに調整してある。また、右棚レール基部641における前端部には、図には明示しないが、右棚上部左延部642の下方側であって右棚下部左延部644の上方側となる領域に突出する態様で右棚前方側規制片が配設してある。
【0055】
右ブラケットレール部65は、縦断面が略コ字状をなし、前後方向が長手方向となる長尺棒状体である。この右ブラケットレール部65は、上下方向に沿って延在する右ブラケットレール基部651と、右ブラケットレール基部651の上端から右方に向けて延在する右ブラケット上部右延部652と、右ブラケット上部右延部652の延在端部より下方に向けて僅かに延在する右ブラケット右下傾斜部653と、右ブラケットレール基部651の下端から右方に向けて延在する右ブラケット下部右延部654と、右ブラケット下部右延部654の延在端部より上方に向けて僅かに延在する右ブラケット右上傾斜部655とを有して構成してある。ここで右ブラケット上部右延部652と右ブラケット下部右延部654との離間距離は、ブラケットローラ35が進入可能な大きさを有しており、進入したブラケットローラ35は、右ブラケット下部右延部654の上面を転動面として前後方向に沿って相対的に移動することになる。また右ブラケット右上傾斜部655の延在長さは、右ブラケット上部右延部652と右ブラケット下部右延部654との間に進入したブラケットローラ35が左右方向に相対的に移動して抜け出すことを規制することができる大きさに調整してある。また、右ブラケットレール基部651における後端部には、右ブラケット上部右延部652の下方側であって、右ブラケット下部右延部654の上方側となる領域に突出する態様で右ブラケット後方側規制片656が配設してある。
【0056】
これら右棚レール部64と右ブラケットレール部65とが、互いに背中合わせとなる態様で、すなわち互いの右棚レール基部641と右ブラケットレール基部651とが接する態様で溶接接合されて右レール部材63が構成してある。そして、右レール部材63の右ブラケットレール部65における前方側開放端よりブラケットローラ35を進入させた後、右レール部材63の右棚レール部64における後方側開放端より棚ローラ45を進入させる。これにより右縦フレーム部42が右ブラケット30Rに右レール部材63を介在して係合される。
【0057】
前方横フレーム部43は、左縦フレーム部41の前端部と、右縦フレーム部42の前端部とを連結する態様で左右方向に沿って延在する長尺状部材である。この前方横フレーム部43は、例えばリベット等で各縦フレーム部41,42に締結してあり、その前端部43aは、上方に屈曲させて起立させてある。
【0058】
後方横フレーム部44は、左縦フレーム部41の後端部と、右縦フレーム部42の後端部とを連結する態様で左右方向に沿って延在する長尺状部材である。この後方横フレーム部44は、例えばリベット等で各縦フレーム部41,42に締結してあり、水平基部441と後方垂上部442とを備えて構成してある。
【0059】
水平基部441は、左縦フレーム部41の左水平延在部411及び右縦フレーム部42の右水平延在部421の上面にリベット等で締結してあり、これら左水平延在部411と右水平延在部421とを跨ぐ態様で設けた部位である。この水平基部441の左端部441aは、左水平延在部411の左端と一致しており、上方に屈曲させてある。また、水平基部441の右端部441bは、右水平延在部421の右端と一致しており、上方に向けて屈曲させてある。
【0060】
後方垂上部442は、水平基部441の後端部に連続してあり、かかる後端部より上方に向けて延在する部位である。この後方垂上部442の左端部442a及び右端部442bは、切欠等により舌片状の形態を成している。そして、これら左端部442a及び右端部442bの所定個所を後方に向けて屈曲させることで各ブラケット30の係止片311,331の直上域にガイド443が形成してある。このようなガイド443は、係止孔12に進入可能な大きさを有している。そして、ガイド443は、図7に示すように係止片311(331)が所定の係止孔12に挿入される場合に、自身も対応する係止孔12に進入するよう、係止片331との離間距離が予め調整してある。
【0061】
このような棚フレーム40は、左縦フレーム部41、右縦フレーム部42、前方横フレーム部43及び後方横フレーム部44により四周枠を形成しており、横フレーム部43,44が左右のブラケット30間に架け渡されるよう配設してある。しかも、棚フレーム40は、左縦フレーム部41及び右縦フレーム部42が左レール部材60及び右レール部材63を介して左ブラケット30L及び右ブラケット30Rにそれぞれ係合されていることで、ブラケット30に対して前後方向に沿って移動可能となる態様で配設してある。
【0062】
棚板50は、例えばガラス等の透過性材料から形成された矩形状の板状部材であり、棚フレーム40に設置してある。この棚板50は、上面が商品を載置する商品載置面を構成しており、棚フレーム40における前方横フレーム部43の前端部43aにより前方への移動が規制され、後方横フレーム部44の左端部442a及び右端部442bにより左右方向への移動が規制され、該後方横フレーム部44の後方垂上部442により後方への移動が規制されている。
【0063】
以上のような構成を有する商品載置棚20においては、棚フレーム40の後方横フレーム部44における後方垂上部442の左右両端部442a,442bにガイド443が形成してあり、かかるガイド443は、棚フレーム40に設置される棚板50よりも上方となる部位にて後方に向けて突出している。
【0064】
これにより、かかる商品載置棚20をケース本体1に取り付ける場合に、作業者は、ガイド443を所望の係止孔12に位置合わせすることを目視にて行うことができ、かかるガイド443を該係止孔12に位置合わせすることで、該ガイド443の直下域にある係止片331をそれぞれ所定の係止孔12に挿入させることが可能になる。つまり、商品載置棚20の取付作業において、所定の係止孔12に対する係止片331の挿入をガイド443を介して視認しながら行うことが可能になる。
【0065】
よって、本実施の形態であるショーケースの商品載置棚20によれば、ケース本体1に対する取付作業の容易化を図ることができる。
【0066】
上記商品載置棚20によれば、棚フレーム40(後方横フレーム部44)にガイド443を形成したことにより、次のような作用効果を奏する。
【0067】
ブラケットにガイドを形成すると、ガイドを形成する分だけブラケットに対する棚フレームの取付位置が前方側へ移動することとなり、商品載置棚の前後長さが大きくなってしまう。このように商品載置棚の前後長さが大きくなってしまうと、商品載置棚の前端部がケース本体の前面開口に形成される空気の流れ(エアカーテン)を阻害してしまい冷却性能の低下を招来する虞れがある。一方、エアカーテンの阻害を回避するために商品載置棚の前後長さを小さくすれば、商品載置面の面積が縮小されることとなり、結果として商品載置数の低下を招来する虞れがある。これに対し、本実施の形態である商品載置棚20では、商品載置棚20の前後長さを大きくすることがないので、前端部でエアカーテンを阻害してしまうことがなく、冷却性能を良好に発揮させることができ、しかも商品載置面の面積を縮小させることもないので、商品載置数の低下を防止することができる。すなわち、本実施の形態である商品載置棚20によれば、棚フレーム40(後方横フレーム部44)にガイド443を形成したので、冷却性能の低下、並びに商品載置数の低下を防止することができる。
【0068】
また、ブラケットは段曲げ加工を施してあるので、ブラケットにガイドを形成すると、係止片とガイドとの間に左右の位置ずれが生ずる虞れがあるが、本実施の形態の商品載置棚20では、棚フレーム40にガイド443を形成してあるので、係止片311,331の直上域にガイド443を形成することが容易に可能で、これにより係止片311,331とガイド443との間で左右の位置ずれが生ずることを抑制することができ、ケース本体1への取り付けを容易なものとすることができる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0070】
例えば、上述した実施の形態では、後方横フレーム部44の左右両端部442a,442bにガイド443を形成したが、本発明においては、後方横フレーム部の左端部及び右端部のいずれか一方にガイドを形成したものであってもよいし、後方横フレーム部に限らず、設置される棚板よりも上方となる部位であればどこでも構わない。
【0071】
また、上述した実施の形態では、棚フレーム40は、ブラケット30に対して前後方向に沿って移動可能なものであったが、本発明では、ブラケットに固定され、前後方向に沿っての移動が規制されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明に係る商品載置棚は、収納対象となる商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースに有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 ケース本体
1a 前面開口
2 収納室(収納域)
10 背面パネル
11 支柱
11L 左支柱
11R 右支柱
12 係止孔
20 商品載置棚
30 ブラケット
30L 左ブラケット
30R 右ブラケット
31 左基部
311 係止片
33 右基部
331 係止片
35 ブラケットローラ(第2滑動部材)
40 棚フレーム
41 左縦フレーム部
411 左水平延在部
412 左垂下部
413 右係合基部
42 右縦フレーム部
421 右水平延在部
422 右垂下部
423 左係合基部
43 前方横フレーム部
44 後方横フレーム部
441 水平基部
442 後方垂上部
442a 左端部
442b 右端部
443 ガイド
45 棚ローラ(第1滑動部材)
50 棚板
60 左レール部材
61 左棚レール部
62 左ブラケットレール部
63 右レール部材
64 右棚レール部
65 右ブラケットレール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体の収納域を画成する背面パネルを支持するとともに上下方向に所定間隔で係止孔が形成された支柱に対し、自身の係止片が所定の係止孔に挿入されることで該支柱に支持される左右一対のブラケットと、
自身の横フレーム部が左右のブラケット間に架け渡されるよう配設された棚フレームと、
前記棚フレームに配設され、かつ上面が収納対象である商品を載置するための商品載置面を構成する棚板と
を備え、前記収納域に上下方向に沿って複数段設けられるショーケースの商品載置棚において、
前記棚フレームは、前記棚板よりも上方となる部位において後方に突出する態様で設けられ、かつ前記係止孔に進入可能なガイドを備えたことを特徴とするショーケースの商品載置棚。
【請求項2】
前記ガイドは、前記横フレーム部を構成し、かつ上方に向けて延在する垂上部の左右両端部を後方に屈曲させて形成したものであることを特徴とする請求項1に記載のショーケースの商品載置棚。
【請求項3】
前記棚フレームは、前記ブラケットに対して前後方向に沿って移動可能となる態様で係合手段を介して係合して配設されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のショーケースの商品載置棚。
【請求項4】
前記係合手段は、
前記棚フレームに配設された第1滑動部材の進入を許容し、かつ進入した第1滑動部材を相対的に前後方向に沿って移動可能に支持する縦断面が略コ字状の棚レール部と、
前記ブラケットに配設された第2滑動部材の進入を許容し、かつ進入した第2滑動部材を相対的に前後方向に沿って移動可能に支持する縦断面が略コ字状のブラケットレール部と
が互いに背中合わせとなる態様で接合されて成り、前記棚フレームが前後方向に沿って移動することを許容すること特徴とする請求項3に記載のショーケースの商品載置棚。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−161491(P2012−161491A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24345(P2011−24345)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】