説明

ショーケースの設定装置

【課題】設定作業の際に操作の利便性を向上させることのできるショーケースの設定装置を提供することにある。
【解決手段】ショーケースの設定項目のデータを設定するための設定手段と、該設定手段により設定した設定項目の操作履歴を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した操作履歴に基づき、設定項目の設定を行う第1の設定モードと、全設定項目に基づき、設定項目の設定を行う第2の設定モードとを切り換えるモード切換手段と、該モード切換手段により第2の設定モードに切り換え、前記設定手段にて全設定項目の中から設定した設定項目について、前記記憶手段の設定項目の操作履歴を変更可能とする制御手段とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店舗内のショーケースの運転条件を設定するための設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、従来、店舗に設置されているショーケースは、周知のとおり商品が陳列される庫内と冷気循環通路とが形成され、ファンにより冷却器を通して冷気循環通路及びケース本体の前面を循環する冷気にて庫内が所定の温度の保冷されている。なお、庫内には上下に数段の商品陳列棚が設けられ、その上に多数の商品が並べて展示されている。
【0003】
このショーケースの各種設定については、例えば、ショーケースに備えた表示部のキー入力手段(切換キー、送りキー、戻りキー)を用い、この切換キーを押すことにより、順次設定項目である温調の設定温度、除霜間隔、水切時間などを表示させ、前記送りキー、戻りキーを操作して各設定を行っている設定装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−145217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ショーケースによる設定では、よく使用する設定項目または最初に設定を行い、その後、殆ど設定を変更しない設定項目など様々であり、また、ショーケースの機種によっても設定項目は異なる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、切換キーによる設定項目の順次切換方式であるため、設定項目は、予め決められている順序で切り換わるだけであり、設定したい項目が必ずしも優先的に並んでおらず、また、ショーケースの機種によっても設定項目は異なるため、このような順次切換方式の設定手順では、目的の設定項目に切り換える操作が繁雑で操作性が悪いと問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、設定作業の際に操作の利便性を向上させることのできるショーケースの設定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のショーケースの設定装置は、ショーケースの設定項目のデータを設定するための設定手段と、該設定手段により設定した設定項目の操作履歴を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した操作履歴に基づき、設定項目の設定を行う第1の設定モードと、全設定項目に基づき、設定項目の設定を行う第2の設定モードとを切り換えるモード切換手段と、該モード切換手段により第2の設定モードに切り換え、前記設定手段にて全設定項目の中から設定した設定項目について、前記記憶手段の設定項目の操作履歴を変更可能とする制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記第2の設定モード時における前記記憶手段の設定項目の操作履歴の変更は、操作履歴の置換、追加、変更無しのいずれか1つの処理を選択し、選択された処理に基づき、前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予め設定されている設定項目に基づく第2の設定モードにて設定した設定項目を記憶手段に記憶させ、次回からは前記記憶手段に記憶させた設定項目に基づく第1の設定モードにて設定可能とすることで、ショーケースにおける設定を簡略化できる。
【0011】
また、第2の設定モードにて設定した設定項目について、追加、置換、変更無しのいずれかの設定を選択できるようにしたことで、一旦、設定した設定項目であっても、簡単に変更可能となり、設定に柔軟性を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の対象となる冷気循環形オープンショーケースの概略構成図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は正面図である。
【図2】本発明の図1に示す冷気循環形オープンショーケースの操作・表示部の概略拡大正面図である。
【図3】本発明の実施の形態による冷気循環形オープンショーケースの制御装置を示す制御ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態による設定項目を示す設定項目一覧図である。
【図5】本発明の実施の形態による設定操作一覧図を示し、図5(a)は設定操作内容図、図5(b)は操作履歴内容図である。
【図6】本発明の実施の形態による追加設定操作一覧図を示し、図6(a)は追加設定操作内容図、図6(b)は操作履歴内容図である。
【図7】本発明の実施の形態による置換設定操作一覧図を示し、図7(a)は置換設定操作内容図、図7(b)は操作履歴内容図である。
【図8】本発明の実施の形態による簡易設定項目登録に係わるフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態による簡易設定項目の追加登録に係わるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図9に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態の対象となる冷気循環形オープンショーケースを示すものであり、図1(a)は内部構造を側方から見た場合を示す概略側面図、図1(b)は概略正面図である。
【0015】
ショーケース本体1は、前面に開口2が形成された略直方状の断熱筐体であり、その内部には収納室3を構成し、収納室3の外周を囲むように冷気循環通路4が設けられている。
【0016】
収納室3は、上記開口2を臨むように画成された室であり、複数の商品陳列棚5が上下方向に沿って複数段に設けてある。商品陳列棚5は、それぞれ収納対象となる商品を陳列するためのものであり、前面に商品名、価格などを表示するプライスカードレール6を備えている。
【0017】
冷気循環通路4は、収納室3の外周を囲むように、下方ダクト4b、背面側にある背面ダクト4c、天井ダクト4dを互いに連通した態様で構成し、その下方ダクト4bの入口側にはエアカーテンの吸込口4a,天井ダクト4dの出口側にはエアカーテンの吹出口4eが設けられている。また、この冷気循環通路4の背面ダクト4c内にはファン7および蒸発器8が設けられている。
【0018】
蒸発器8は、図示しないが、圧縮機、凝縮器及び膨張弁とともに冷媒を循環させて収納室3の商品を保冷する冷気循環手段を構成する。これら圧縮機、凝縮器及び膨張弁は、ショーケース本体1の内部であって収納室3の下方域に画成された機械室9に設けられている。
【0019】
ショーケース本体1の前面上部には、操作・表示部(設定手段)10を備えている。
【0020】
この冷気循環形オープンショーケースの保冷運転時には、ファン7が駆動することにより蒸発器8を通して冷気循環通路4及びケース本体1の前面を循環する冷気にて収納室3が所定の温度に保冷され、庫内の商品陳列棚5に陳列した商品を保冷するものである。
【0021】
図2は、図1に示す操作・表示部10の概略拡大正面図を示す。
【0022】
操作・表示部10は、表示部10a、切換スイッチ(モード切換手段)10b、決定スイッチ10c、アップダウンキー10dから構成されている。
【0023】
表示部10aは、現在の温度、設定あるいは確認時におけるデータを表示するものである。
【0024】
切換スイッチ10bは、表示状態から設定モードに変更するときに押すスイッチであり、切換スイッチ10bを長押しすると全設定項目の設定を行う後述の詳細設定モード(第2の設定モード)に、短押しすると操作履歴に基づく設定を行う後述の簡易設定モード(第1の設定モード)にそれぞれ表示状態を変更する。
【0025】
また、切換スイッチ10bは、それぞれの設定モードにおいて設定項目を切り換えるためのスイッチを兼用している。
【0026】
決定スイッチ10cは、切換スイッチ10bにて切り換えた設定項目に関し、項目を設定する際および入力したデータを決定する際に操作する決定スイッチである。
【0027】
アップダウンキー10dは、設定時に表示部10aに表示されたデータをアップダウンするためのキーである。
【0028】
図3は、ショーケースの制御ブロック図を示すものであって、コントローラ部(制御手段)11は、ショーケース全体を統括して制御するものであり、ショーケース前面上部の操作・表示部10、温調用温度センサ、庫内温度表示用センサ、除霜用温度センサ、外気温度センサなどのショーケース本体1の所定位置に配置されている各種センサ12が接続されている。
【0029】
コントローラ部11は、プログラムを記憶する記憶部11a、設定項目、設定データ、操作履歴などを記憶する記憶部(記憶手段)11bを備えている。
【0030】
また、操作・表示部10を操作してデータの設定を行うものであり、切換スイッチ10bを長押しした詳細設定モードによる設定を行った際、コントローラ部11の記憶部11bに設定した設定項目を記憶させるために「追加・置換・無」の3種類の設定を可能とする。
【0031】
コントローラ部11は、この設定されているデータと各種センサ12からのデータとを対比して本実施形態の冷気循環形オープンショーケースの運転を制御する。
【0032】
この構成において、図4の設定項目一覧図、図5の設定操作一覧図、図6追加設定操作一覧図、図7は置換設定操作一覧図、図8,図9のフローチャートを用いて、以下の設定処理について説明する。
【0033】
待機状態において、操作・表示部10の切換スイッチ10bが押されると、この切換スイッチの押圧時間により、詳細設定モードと簡易設定モードとが切り換わるものである。
【0034】
図8のフローチャートを用い、簡易設定項目登録について説明する。
【0035】
まず、切換スイッチ10bを長押しすると(ステップS101,Yes)、詳細設定モードとなる(ステップS102)。
【0036】
この詳細設定モード状態において、切換スイッチ10bを短押しする毎に、図4の設定項目一覧図に示す設定項目が予め記憶されている順序に基づいて切り換わる。
【0037】
今、切換スイッチ10bを短押しして(S103,Yes)、設定したい項目(例えば「冷却温度」)を表示部10aに表示させた場合には(S104)、決定スイッチ10cを押し(S105)、表示部10aに表示されるデータを確認しながらアップダウンキー10dを操作して設定値を入力し(S106,Yes)、再度、決定スイッチ10cを押すと(S107)、コントローラ部10の記憶部11bの所定領域に設定データが記憶される(S108)。その後、切換スイッチ10bを短押しして(S109,Yes)、最終項目ではない場合には、次の設定項目表示(例えば「風量」、「除霜運転」)に順次切り換える(ステップS110,No)。このように、データの設定が全て完了するまでデータの設定作業を繰り返す。
【0038】
次に、切換スイッチ10bを短押しして(S109,Yes)、最終項目になると(ステップS110,Yes)、簡易設定項目登録となり、決定スイッチ10cを押し(ステップS111)、アップダウンキー10dを操作して(ステップS112)、「置換・追加・無し」の3つの設定からいずれかを選択する(ステップS113)。
【0039】
今回は、図5(a)の設定操作内容図に示すように、アップダウンキー10dを操作して(ステップS112)、「置換」を選択し(ステップS113,Yes)、再度、決定スイッチ10cを押すと(ステップS114,Yes)、今回設定した設定項目である「冷却温度・風量・除霜運転」が図5(b)の操作履歴内容図に示すようにコントローラ部11の記憶部11bの所定領域に操作履歴として記憶され(ステップS115)、次の切換スイッチ10bの短押し操作で(ステップS116)、設定モードから待機状態へ復帰する。
【0040】
このように、今回設定した設定項目が操作履歴として記憶部11bに記憶される。
【0041】
そこで、次回、設定データを変更するために、切換スイッチ10bを短押しすると(ステップS101,No)、簡易設定モードとなる(ステップS117)。
【0042】
次に、切換スイッチ10bを短押しする毎に、図5(b)の操作履歴内容図に示すように記憶部10bに記憶されている3つの設定項目を順番に呼び出し、操作履歴に記憶されている設定項目のみのデータが設定可能となる。なお、この場合には、簡易設定項目登録(「置換・追加・無し」)は表示されずに、記憶されている設定項目の入力が完了すると、次の切換スイッチ10bの操作で設定モードから待機状態へ復帰する。
【0043】
次に、図9のフローチャートを用い、記憶部11bに簡易設定として記憶されている設定項目に項目を追加する場合について説明する。
【0044】
まず、切換スイッチ10bを長押しすると(ステップS201,Yes)、詳細設定モードとなる(ステップS202)。
【0045】
この詳細設定モードにて(ステップS202)、切換スイッチ10bを短押しして(ステップS203,Yes)、例えば、追加した設定項目の「水切時間」を表示部10aに表示させて(ステップS204)、決定スイッチ10cを押し(ステップS205)、表示部10aに表示されるデータを確認しながらアップダウンキー10dを操作して設定値を入力し(ステップS206,Yes)、再度、決定スイッチ10cを押すと(ステップS207)、コントローラ部10の記憶部11bの所定領域に設定データが記憶される(S208)。その後、切換スイッチ10bを短押しして(S209,Yes)、最終項目ではない場合には、次の設定項目表示に切り換える(ステップS210,No)。
【0046】
次に、切換スイッチ10bを短押しして(S209,Yes)、最終項目になると(ステップS210,Yes)、簡易設定項目登録となり、決定スイッチ10cを押し(ステップS211)、アップダウンキー10dを操作して(ステップS212)、「置換・追加・無し」の3つの設定からいずれかを選択する(ステップS113)。
【0047】
今回は、図6(a)の追加設定操作内容図に示すように、アップダウンキー10dを操作して(ステップS212)、「追加」を選択し(ステップS213,Yes)、再度、決定スイッチ10cを押すと(ステップS214,Yes)、今回の操作では「水切時間」を追加設定したので、前回の操作履歴である「冷却温度・風量・除霜運転」に今回追加設定した「水切時間」を追加した設定項目が図6(b)の操作履歴内容図に示すようにコントローラ部11の記憶部11bの所定領域に操作履歴として記憶され(ステップS215)、次の切換スイッチ10bの短押し操作で(ステップS216)、設定モードから待機モードへ復帰する。
【0048】
そこで、次回、設定データを変更するために、切換スイッチ10bを短押しすると(ステップS201,No)、簡易設定モードとなる(ステップS217)。
【0049】
次に、切換スイッチ10bを短押しする毎に、図6(b)の操作履歴内容図に示すように、追加された項目も加えた4項目を記憶部11bから順番に呼び出し、操作履歴に記憶されている設定項目のみのデータが設定可能となる。なお、この場合には、簡易設定項目登録は表示されずに、記憶されている設定項目の入力が完了すると、次の切換スイッチ10bの操作で設定モードから待機状態へ復帰する。
【0050】
次に、図7の置換設定操作内容図を用い、簡易設定項目を新たな設定項目に置き換える場合について説明する。
【0051】
まず、切換スイッチ10bを長押しして、詳細設定モードとすると、この詳細設定モードにより、図7(a)の設定操作内容図に示すように、切換スイッチ10bを短押しして、例えば、冷却温度、水切時間、タイマ運転の起動時刻、停止時刻の各設定項目を表示部10aに表示させ、決定スイッチ10cとアップダウンキー10dにて設定を行う。
【0052】
その後、切換スイッチ10bを短押しして、最終項目である簡易設定項目登録となると、決定スイッチ10cを押し、アップダウンキー10dを操作して「置換」を選択し、再度、決定スイッチ10cを押すと、今回設定した5つの設定項目が図7(b)の操作履歴内容図に示すようにコントローラ部11の記憶部11bの所定領域に操作履歴として記憶され、次の切換スイッチ10bの短押し操作で、設定モードから待機状態へ復帰する。
【0053】
そこで、次回、設定データを変更するために、切換スイッチ10bを短押しすると、簡易設定モードとなり、切換スイッチ10bを短押しする毎に、図7(b)の操作履歴内容図に示すように、置き換えられた5項目を記憶部11bから順番に呼び出し、操作履歴に記憶されている項目のみのデータが設定可能となる。
【0054】
次に、設定データの変更として、1つの設定項目のみを変更する場合について説明すると、切換スイッチ10bを長押しして詳細設定モードとし、対象となる設定項目を読み出し、設定を行い、その後、最終項目である簡易設定項目登録となると、決定スイッチ10cを押し、アップダウンキー10dを操作して「無し」を選択すると、記憶部11bに記憶されている操作履歴の登録内容は変更されず、次の切換スイッチ10bの短押し操作で、設定モードから待機状態へ復帰する。
【0055】
なお、実施の形態においては、決定スイッチ10cを用いたが、切換スイッチ10bの操作にて兼用してもよい。
【0056】
このように、本実施の形態においては、前回設定した設定項目のみ呼出可能として、設定操作の簡略化を図るとともに、この設定項目について、設定項目の置換、追加、変更無しを選択できるようにして、設定項目の変更を容易にできる。
【符号の説明】
【0057】
1 ショーケース本体
10 操作・表示部
10a 表示部
10b 切換スイッチ
10c 決定スイッチ
10d アップダウンキー
11 コントローラ部
11a 記憶部
11b 記憶部
12 各種センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケースの設定項目のデータを設定するための設定手段と、該設定手段により設定した設定項目の操作履歴を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した操作履歴に基づき、設定項目の設定を行う第1の設定モードと、全設定項目に基づき、設定項目の設定を行う第2の設定モードとを切り換えるモード切換手段と、該モード切換手段により第2の設定モードに切り換え、前記設定手段にて全設定項目の中から設定した設定項目について、前記記憶手段の設定項目の操作履歴を変更可能とする制御手段とを備えたことを特徴とするショーケースの設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のショーケースの設定装置において、前記第2の設定モード時における前記記憶手段の設定項目の操作履歴の変更は、操作履歴の置換、追加、変更無のいずれか1つの処理を選択し、選択された処理に基づき、前記記憶手段に記憶することを特徴とするショーケースの設定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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