説明

ショーケース

【課題】吸込口パネルを容易に着脱することができるとともに、製造コストの低減を図ることのできる冷凍ショーケースを提供する。
【解決手段】吸込口パネル40の下端側をショーケース本体10側に係合するとともに、各開度規制部材42をショーケース本体10側に係合するようにしたので、従来のように工具を必要とすることなくショーケース本体10に吸込口パネル40を着脱することができ、吸込口パネル40の清掃や交換を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置される冷凍または冷蔵の商品を収納するショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のショーケースとしては、ショーケース本体の下部に設けられた機械室と、機械室内に設けられた凝縮器と、凝縮器に空気を流通させる凝縮器用送風機と、ショーケース本体に下端側を回動自在に支持され、店舗内の空気を機械室内に流入させる吸込口パネルと、吸込口パネルの上端側の幅方向一端側または両端側に設けられ、吸込口パネルの回動を規制する開度規制部材と、吸込口パネルに着脱自在に設けられたフィルタとを備え、吸込口パネルを開放してフィルタを取り外し、フィルタに付着した塵埃を取り除くようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−35462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記ショーケースでは、吸込パネルの下端側がヒンジ等によって回動自在に支持されるとともに、開度規制部材がビス止め等によってショーケース本体及び吸込パネルに取付けられているため、吸込口パネルの表面に塵埃が付着したり、或いは商品の搬入または搬出の際に台車等が吸込口パネルに衝突して変形した場合など、吸込パネルの清掃または交換の必要が生じた際に、工具を用いなければ吸込口パネルを取外すことができず、吸込口パネルの着脱作業が煩雑になるという問題点があった。また、従来の開度規制部材はアーム状の部材をピンに摺動自在に係合した複雑な構造であるため、製造コストが高くなるという問題点があった。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸込口パネルを容易に着脱することができるとともに、製造コストの低減を図ることのできるショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、ショーケース本体の下部に設けられた機械室と、機械室内に設けられた凝縮器と、凝縮器に空気を流通させる凝縮器用送風機と、機械室内に外部の空気を流入させる通気孔が設けられた吸込口パネルと、吸込口パネルと凝縮器の空気吸入側との間に設けられたフィルタとを備え、吸込口パネルの下端側をショーケース本体に回動自在に支持するとともに、吸込口パネルの回動を開度規制部材によって所定角度に規制することにより、吸込口パネルを開閉するようにしたショーケースにおいて、前記吸込口パネルの下端側をショーケース本体側に着脱自在に係合するとともに、開度規制部材を吸込口パネルに設けてショーケース本体側に着脱自在に係合している。
【0006】
これにより、吸込口パネルの下端側及び開度規制部材がショーケース本体側に着脱自在に係合することから、工具を必要とすることなく吸込口パネルがショーケース本体側から着脱される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工具を必要とすることなく吸込口パネルを着脱することができるので、吸込口パネルの清掃や交換を極めて容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図13は本発明の一実施形態を示すもので、図1はショーケースの斜視図、図2はショーケースの側面断面図、図3はショーケースの要部斜視図、図4は吸込口パネルを開放した状態を示すショーケースの要部斜視図、図5は吸込口パネルを取り外した状態を示すショーケースの要部斜視図、図6は吸込口パネルの斜視図、図7は開度規制部材の斜視図、図8はパネル支持部材の斜視図、図9はショーケースの要部側面断面図、図10は吸込口パネルを開放した状態を示すショーケースの要部側面断面図、図11はショーケースの要部平面断面図、図12は吸込口パネルを開放した状態を示すショーケースの要部平面断面図、図13は吸込口パネルを取り外す動作を示すショーケースの要部平面断面図である。
【0009】
このショーケースは、上面を開口したショーケース本体10内に設けられた商品収納庫20と、ショーケース本体10の下部に設けられた機械室30と、機械室30の前面を開閉する吸込口パネル40とから構成されている。
【0010】
商品収納庫20は、前面側、左右両側面側、背面側及び底面側を断熱壁21によって形成され、その内部を仕切ることにより前面側、底面側及び背面側に沿って通風路22が形成されている。また、前面側に位置する通風路22の上端には空気吸込口22aが背面側に向かって設けられるとともに、背面側に位置する通風路22の上端には空気吐出口22bが前面側に向かって設けられている。更に、底面側に位置する通風路22内には蒸発器23が通風路22の幅方向に亘って設けられ、その前面側に通風路22の空気を流通させる蒸発器用送風機24が設けられている。
【0011】
機械室30内には、蒸発器23に接続された冷凍機器としての圧縮機31及び凝縮器32が設けられ、凝縮器32には機械室30外の空気を機械室30内に流通させ、その空気と凝縮器32を流通する冷媒とを熱交換させる凝縮器用送風機33が設けられている。また、凝縮器32の空気吸入側の幅方向両端側には冷媒と熱交換した空気が空気流入側に流通することを防止する遮蔽板32aがそれぞれ設けられている。
【0012】
吸込口パネル40は、ショーケース本体10の前面側の下部に設けられたパネル本体41と、パネル本体41の回動を所定角度に規制する幅方向一対の開度規制部材42と、パネル本体41を下方から支持する幅方向一対のパネル支持部材43と、吸込口パネル40の閉鎖した状態を保持する幅方向一対のパネル閉鎖部材44とを備えている。
【0013】
パネル本体41は、略四角形状の金属板の外縁部を背面側に屈曲することにより形成され、凝縮器32の空気吸入側となる前面側に位置するようになっている。また、パネル本体41には金属板を背面側に切り起こすことにより複数の通気孔41aが設けられ、通気孔41aから機械室30内に空気を流通させるようになっている。パネル本体41の上部前面側には幅方向一対の取手部41bが設けられ、取手部41bによってパネル本体41を開閉させるようになっている。また、パネル本体41下面の幅方向両端側には幅方向に延びる支持孔41cが設けられ、後述するパネル支持部材43の屈曲部が挿通されて支持されるようになっている。更に、パネル本体41の背面側には機械室30内に流入する空気中から塵埃を除去するフィルタ41dが設けられ、フィルタ41dを抜差可能に支持する幅方向一対のガイド部材41eがパネル本体41の幅方向両端側の上下方向に亘って設けられている。
【0014】
各開度規制部材42は前後方向に延びる可撓性の板状部材を屈曲することにより形成され、その前端側は各ガイド部材41eに固定されている。また、各開度規制部材42の後端側には幅方向内側に屈曲することにより係合部42aが設けられ、パネル本体41を開放して係合部42aが遮蔽板32aの幅方向外側に係合することによりパネル本体41の回動を所定角度に規制するようになっている。
【0015】
各パネル支持部材43は前後方向に延びる板状部材を屈曲することにより設けられ、その後端側は機械室30の底面前端側に位置するショーケース本体10に溶接等によって固定されている。また、パネル支持部材43の前端側には端部を上方に向かって屈曲することにより幅方向に延びる屈曲部43aが形成され、屈曲部43aをパネル本体41の支持孔41cに挿通することによりパネル本体41が下端側を軸に前後方向に回動するように支持されている。
【0016】
各パネル閉鎖部材44は遮蔽板32aの前面からパネル本体41に向かって設けられ、その前端側に設けられた磁石44aによってパネル本体41の背面側を吸着してパネル本体41の閉鎖状態を保持するようになっている。
【0017】
以上のように構成されたショーケースにおいて、フィルタ41dを清掃する場合は、各取手部41bに手を掛けてパネル本体41の上端側を前方に引き出すことにより吸込口パネル40を開放し、パネル本体41の上面からフィルタ41dを取り外すことが可能となる。このとき、パネル本体41は下端側を軸にして前方に回動し、開度規制部材42の係合部42aが遮蔽板32aと係合することによりパネル本体41の開放する角度が所定角度以上にならないように規制されている。フィルタ41dの清掃が終了した後、フィルタ41dをガイド部材41eに沿って上方から挿入してパネル本体41を後方に回動させると、パネル本体41はパネル閉鎖部材44に吸着されて閉鎖状態が保持される。
【0018】
また、吸込口パネル40に汚れが付着した場合や破損によって吸込口パネル40の交換が必要な場合には、各取手部41bに手を掛けてパネル本体41の上端側を前方に引き出すことにより吸込口パネル40を開放した後、各開度規制部材42をショーケースの幅方向外側に撓ませて遮蔽板32aとの係合を解除してパネル本体41を前方に引き出す。この状態でパネル本体41を上方に引き上げることにより、吸込口パネル40を取り外すことが可能となる。また、吸込口パネル40を取り付ける場合には、パネル本体41の各支持孔41cに各パネル支持部材43の屈曲部43aを挿通し、開度規制部材42をショーケースの幅方向外側に撓ませた状態でパネル本体41を後方に回動させることによりショーケース本体10に吸込口パネル40を取り付けることが可能となる。
【0019】
このように、本実施形態のショーケースによれば、吸込口パネル40の下端側をショーケース本体10側に係合するとともに、各開度規制部材42をショーケース本体10側に係合するようにしたので、従来のように工具を必要とすることなくショーケース本体10に吸込口パネル40を着脱することができ、吸込口パネル40の清掃や交換を容易に行うことができる。
【0020】
また、パネル本体41の上端側から後方に延びる可撓性の板状部材によって開度規制部材42を形成するとともに、開度規制部材42の後端側に遮蔽板32aに係合する係合部42aを設け、係合部42aを開度規制部材42をショーケース本体10の幅方向外側に撓ませることにより係合部42aと遮蔽板32aとの係合を解除可能に形成したので、簡単な部材によって開度規制部材42を構成することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
また、係合部を42aを開度規制部材42の後端側を屈曲することにより形成したので、開度規制部材42及び係合部42aを一体に形成することができ、部品点数の低減を図ることができる。
【0022】
また、ショーケース本体10から前方に延びるように形成したパネル支持部材43の前端側に上方に屈曲する屈曲部43aを形成するとともに、屈曲部43aを係合することにより吸込口パネル40をショーケース本体10に対して前後方向に回動自在に支持する支持孔41cをパネル本体41の下面に設けたので、簡単な構造によってパネル本体41をショーケース本体10に回動自在に支持することができ、部品点数の低減及び製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
尚、前記実施形態では、冷凍機内蔵型の平型オープンショーケースの吸込口パネルを示したが、前面が開口されたオープンショーケースやリーチインショーケース等の冷凍機内蔵型の冷凍機器の吸込口パネルに適用してもよい。
【0024】
また、前記実施形態では、パネル支持部材43の前端側に上方屈曲する屈曲部43aを形成し、屈曲部43aを係合することにより吸込口パネル40をショーケース本体10に回動自在に支持する支持孔41cをパネル本体41の下面設けたものを示したが、パネル支持部材43側に支持孔を設けるとともに、パネル本体41側に支持孔に係合する突起部を設けて吸込口パネルをショーケース本体に回動自在に支持するようにしてもよい。
【0025】
また、前記実施形態では、パネル閉鎖部材44を前端側に設けられた磁石44aによってパネル本体41を吸着して吸込口パネル40の閉鎖状態を保持するようにしたものを示したが、ラッチ等の装置によって吸込口パネル40の閉鎖状態を保持するようにしたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ショーケースの斜視図
【図2】ショーケースの側面断面図
【図3】ショーケースの要部斜視図
【図4】吸込口パネルを開放した状態を示すショーケースの要部斜視図
【図5】吸込口パネルを取外した状態を示すショーケースの要部斜視図
【図6】吸込口パネル斜視図
【図7】開度規制部材の斜視図
【図8】パネル支持部材の斜視図
【図9】ショーケースの要部側面断面図
【図10】吸込口パネルを開放した状態を示すショーケースの要部側面断面図
【図11】ショーケースの要部平面断面図
【図12】吸込口パネルを開放した状態を示すショーケースの要部平面断面図
【図13】吸込口パネルを取外す動作を示すショーケースの要部平面断面図
【符号の説明】
【0027】
10…ショーケース本体、30…機械室、31…圧縮機、32…凝縮器、33…凝縮器用送風機、40…吸込口パネル、41…パネル本体、42…開度規制部材、42a…係合部、43…パネル支持部材、43a…屈曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケース本体の下部に設けられた機械室と、機械室内に設けられた凝縮器と、凝縮器に空気を流通させる凝縮器用送風機と、機械室内に外部の空気を流入させる通気孔が設けられた吸込口パネルと、吸込口パネルと凝縮器の空気吸入側との間に設けられたフィルタとを備え、吸込口パネルの下端側をショーケース本体に回動自在に支持するとともに、吸込口パネルの回動を開度規制部材によって所定角度に規制することにより、吸込口パネルを開閉するようにしたショーケースにおいて、
前記吸込口パネルの下端側をショーケース本体側に着脱自在に係合するとともに、開度規制部材を吸込口パネルに設けてショーケース本体側に着脱自在に係合した
ことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記開度規制部材を吸込口パネルの上端から後方に延びる可撓性の板状部材によって形成するとともに、開度規制部材の後端側にショーケース本体側に係合する係合部を設け、
係合部を開度規制部材を所定方向に撓ませることによりショーケース本体側との係合を解除可能に形成した
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記係合部を開度規制部材の後端側を屈曲することにより形成した
ことを特徴とする請求項2記載のショーケース。
【請求項4】
前記ショーケース本体側に吸込口パネルを支持するパネル支持部材を設け、
パネル支持部材をショーケース本体から前方に延びるように形成するとともに、パネル支持部材の前端側に上方に屈曲する屈曲部を設け、
吸込口パネルの下端側には屈曲部を係合することにより吸込口パネルをショーケース本体に対して前後方向に回動自在に支持する支持孔を設けた
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−78023(P2006−78023A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260227(P2004−260227)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】