説明

ショーケース

【課題】ナイトカバー装置を設けた場合でも、外観が損なわれることがなく、大型化を来すこともないショーケースを提供する。
【解決手段】ショーケースによれば、ナイトカバー装置13がショーケース本体10の外部に突出することがないので、ナイトカバー装置13を設けた場合でもショーケースの外観が損なわれることがなく、大型化を来すこともない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば店舗の営業時間の終了後等にショーケース本体の前面開口部を覆うナイトカバーを備えたショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の店舗に設置されているショーケースとしては、前面を開口したショーケース本体と、ショーケース本体内を冷却する冷却装置とを備え、冷却装置によってショーケース本体内に収納した冷蔵食品又は冷凍食品を冷却するものが知られている。このようなショーケースは、冷凍商品や冷蔵商品を収納している関係上、営業時間が終了した後にもショーケースの冷却運転を行う必要がある。営業時間が終了した後における冷却運転の冷却負荷をできるだけ小さくするために、ショーケース本体にナイトカバーを収納したナイトカバー装置を設置し、このナイトカバー装置から引き出されたナイトカバーによってショーケース本体の前面開口部を覆うようになっている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−269033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記ショーケースでは、ナイトカバー装置がショーケース本体の前面に突出して設けられているため、外観が損なわれて展示効果が低下するとともに、ショーケース本体の前面に突出した分だけショーケースが大型化するという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ナイトカバー装置を設けた場合でも、外観が損なわれることがなく、大型化を来すこともないショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のショーケースは、前面を開口したショーケース本体と、ショーケース本体の上面を覆う天板と、ショーケース本体の前面開口部を覆うためのナイトカバーと、ナイトカバーを引き出し及び巻き取り可能に支持するナイトカバー装置とを備えたショーケースにおいて、前記ナイトカバー装置を、天板の内側の収容位置と、ナイトカバーをショーケース本体の前面開口部側に引き出し可能な天板の外側位置とに移動可能に設けた構成となっている。
【0006】
このショーケースによれば、ナイトカバーによってショーケース本体の前面開口部を覆う場合には、ナイトカバー装置を天板の内側の収容位置から天板の外側位置まで移動させた後、ナイトカバー装置からナイトカバーを引き出してショーケース本体の前面開口部を覆う。また、ナイトカバーを使用しない場合には、天板の外側位置から天板の内側の収容位置にナイトカバー装置を移動させることにより、ナイトカバー装置が天板の内側に収容されることから、ナイトカバー装置がショーケース本体の外部に突出することがない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ナイトカバー装置がショーケース本体の外部に突出することがないので、ナイトカバー装置を設けた場合でもショーケースの外観が損なわれることがなく、大型化を来すこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図5は本発明の一実施形態を示すもので、図1はショーケースの全体斜視図、図2はショーケースの側面断面図、図3はショーケースの要部側面断面図、図4はショーケースの要部側面断面図、図5はショーケースの側面断面図である。
【0009】
このショーケースは、前面を開口したショーケース本体10と、ショーケース本体10の内側に形成された商品収納部20と、ショーケース本体10内の上面側、背面側及び底面側に沿って形成された通風路30と、背面側の通風路30内に配置された冷却器40と、底面側の通風路30内に配置された複数の送風機50とから構成されている。
【0010】
ショーケース本体10は、ショーケース本体10の上面側を覆う第1の断熱部材11aと、ショーケース本体10の背面側を覆う第2の断熱部材11bと、ショーケース本体10の底面側を覆う第3の断熱部材11cと、ショーケース本体10の上面を覆う天板12と、ショーケース本体10の両側面を覆う一対の側板14と、上面側通風路30の下方を覆う上面板15と、背面側通風路30の前方を覆う背面板16と、底面側通風路30の上方を覆う底板17とからなる。
【0011】
各断熱部材11a,11b,11cはそれぞれ単一の材料からなり、例えば予め発泡硬化された断熱材によって所定形状に成形されている。第1の断熱部材11aは上面側の通風路30の上面を覆うように形成され、第2の断熱部材11bはショーケース本体10の背面を覆うように形成され、また、第3の断熱部材11cは底面側の通風路30の前面、背面、下面及び両側面を覆うように形成されている。
【0012】
天板12は金属板からなり、天板12の前端に位置するシェード12aと、天板12の後方に位置する固定天板部12bと、シェード12aと固定天板部12bとの間に位置する可動天板部12cとから構成されている。シェード12aは下方に屈曲した光透過性の合成樹脂によって形成され、このシェード12a内にはショーケース本体10の前面開口部を照らす照明灯としての蛍光灯12dが取付けられている。固定天板部12bは、第1の断熱部材11aの上方に固定して設けられている。可動天板部12cは、図1に示すように、複数の蝶番13bによってシェード12aの後端側と連結している。また、可動天板部12cには、図2に示すように、ショーケース本体10の幅方向に延びるようにナイトカバー装置13が設けられている。
【0013】
ナイトカバー装置13には、ショーケース本体10の前面開口部を覆うためのナイトカバー13aがロール状に巻き回されて支持されている。また、ナイトカバー装置13は、ナイトカバー13aの引き出し及び巻き取りが可能なロールスクリーン状に形成されている。さらに、ナイトカバー装置13は、図2に示すように、ナイトカバー装置13を天板12の内側に収容する位置(以下、収容位置という)に配置している場合には、蛍光灯12dと後述する空気吐出口31との上方に位置するように設けられている。
【0014】
このナイトカバー装置13は、図4に示すように、蝶番13bを軸として可動天板部12cと共に、天板12の収容位置から、ナイトカバー13aがショーケース本体10の前面開口部側に引き出し可能な天板12の外側の位置(以下、外側位置という。)まで180°回動できるようになっている。このように、ナイトカバー装置13が可動天板部12cと共に、天板12の収容位置から天板12の外側位置まで回動した際には、可動天板部12cの前端部は、図4に示すように、シェード12aの前端よりも前方に突出するようになっている。また、ナイトカバー装置13は、蝶番13bを軸として可動天板部12cと共に、天板12の外側位置から天板12の収容位置まで回動できるようになっている。このように、ナイトカバー装置13が可動天板部12cと共に、天板12の外側位置から天板12の収容位置まで回動した際には、ナイトカバー装置13が天板12の内側に収容され、元の位置に容易に戻るようになっている。これにより、ナイトカバー装置13は、ショーケース本体10の前後方向、つまり、蝶番13bを軸として可動天板部12cと共に、天板12の収容位置と天板12の外側位置との間を回動自在になるように構成されている(図4の一点鎖線矢印参照)。
【0015】
また、ナイトカバー装置13を天板12の収容位置から天板12の外側位置まで回動した際に、可動天板部12cの前端部がシェード12aの前端よりも前方に突出することにより、ナイトカバー13aの引き出し位置Xがシェード12aの前端よりも前方に位置するようになっている。ここで、ナイトカバー13aの引き出し位置Xとは、図5に示すように、ナイトカバー装置13から引き出されたナイトカバー13aがショーケース本体10の前面開口部を覆った際におけるナイトカバー13aの位置のことである。
【0016】
ナイトカバー13aは、布又はビニール製の可撓性を有するシート材からなる。また、ナイトカバー13aの引き出し方向先端部には把持部13dが設けられ、この把持部13dを把持することにより、ナイトカバー装置13からナイトカバー13aの引き出し及び巻き取りを行うようになっている。
【0017】
各側板14、上面板15、背面板16及び底板17は金属板からなり、それぞれ所定形状に形成されている。各側板14は、それぞれ透明の側面ガラス14aを有し、側面ガラス14a以外の部分をショーケース本体10の側面に沿って略コ字状に形成されている。この場合、各側板14の周端部はショーケース本体10の内側に向かって屈曲している。上面板15は前端を下方に屈曲し、その両側端はそれぞれ上方に屈曲している。また、背面板16は下端を前方に屈曲し、底板17は両側端をそれぞれ下方に屈曲している。
【0018】
商品収納部20は、ショーケース本体10内に取付けられた上下複数段の商品棚21と、各商品棚21の前端側に設けられたプライスカード等を保持するカード保持部22を備えている。
【0019】
通風路30は、各断熱部材11a,11b,11cの各内側面と、各断熱部材11a,11b,11cと間隔をおいて設けられた上面板15、背面板16及び底板17との間に形成されている。また、ショーケース本体10の前面開口部上端に位置する通風路30の端部には空気吐出口31が幅方向に延びるように設けられ、その他端にはショーケース本体10の前面開口部下端に位置する空気吸入口32が設けられている。また、空気吐出口31にはハニカム状の通気構造を有する整流部材31aが取付けられ、通風路30の空気吸入口32には多数の通気孔を有する吸気口グリル33が取付けられている。
【0020】
冷却器40は冷媒用の銅製の配管及びフィンからなり、背面側の通風路30内に配置されている。また、冷却器40は、図示しない冷凍機に接続されている。
【0021】
送風機50は底面側の通風路30内に配置され、ファンダクト50aに取付けられている。
【0022】
以上のように構成されたショーケースにおいては、スーパーマーケット等の店舗に設置され、商品棚21に例えば冷蔵食品又は冷凍食品等を陳列して利用される。このとき、例えば店舗の営業時間においては、図1乃至図3に示すように、ナイトカバー装置13を天板12の収容位置に配置した状態で、ショーケース本体10の前面開口部下端の空気吸入口32から通風路30内に吸入された空気が冷却器40によって冷却され、前面開口部上端の空気吐出口31から吐出する。これにより、ショーケース本体10の前面開口部にエアカーテンが形成され、ショーケース本体10内が冷却されるとともに、商品棚21に陳列された冷蔵食品又は冷凍食品も冷却される。
【0023】
そして、例えば店舗の営業時間の終了後等においては、図4に示すように、ナイトカバー装置13を天板12の収容位置から天板12の外側位置まで回動させる。続いて、図5に示すように、ナイトカバー装置13からナイトカバー13aを引き出して、把持部13dをショーケース本体10の前面開口部の下端に設けられたフック13eに係止することにより、ショーケース本体10の前面開口部がナイトカバー13aで覆われる。ショーケース本体10の前面開口部がナイトカバー13aによって覆われた状態で、前面開口部下端の空気吸入口32から通風路30内に吸入された空気が冷却器40によって冷却され、前面開口部上端の空気吐出口31から吐出する。
【0024】
その後、再び店舗の営業時間になった場合には、ナイトカバー装置13にナイトカバー13aを巻き戻した後、ナイトカバー装置13を天板12の外側位置から天板12の収容位置まで回動させる。これにより、ナイトカバー装置13が天板12の内側に収容され、元の収容位置に容易に戻ることから、ナイトカバー装置13がショーケース本体10の外部に突出することがない。
【0025】
このように、本実施形態のショーケースによれば、ナイトカバー装置13がショーケース本体10の外部に突出することがないので、ナイトカバー装置13を設けた場合でもショーケースの外観が損なわれることがなく、大型化を来すこともない。
【0026】
さらに、本実施形態のショーケースによれば、ナイトカバー装置13を天板12の収容位置から天板12の外側位置まで回動させることにより、ナイトカバー13aによってショーケース本体10の前面開口部を覆うことができるので、例えば店舗の営業時間の終了後等における冷却運転の冷却負荷をできるだけ小さくすることができる。
【0027】
また、本実施形態のショーケースによれば、天板12の外側位置に回動した際に、可動天板部12cの前端部がシェード12aの前端よりも前方に突出するようにしたので、ナイトカバー13aとショーケースの前面とが接触することなく、ナイトカバー装置13からナイトカバー13aの引き出し及び巻き取りを行うことができる。これにより、ナイトカバー13aやショーケースの前面の破損を防止することができる。
【0028】
さらに、本実施形態のショーケースによれば、ナイトカバー装置13を、蛍光灯12dと空気吐出口31との上方に位置するように設けたので、蛍光灯12dと空気吐出口31との間にナイトカバー装置13を設置するための空間を設ける必要がない。これにより、本実施形態のショーケースは、蛍光灯12dと空気吐出口31とを必要最小限の間隔をおいて配置することができるので、ショーケース本体10の前後方向の幅が大きくなることを抑制できる。
【0029】
また、本実施形態のショーケースによれば、ナイトカバー13aの引き出し方向先端部には把持部13dが設けられているので、ナイトカバー装置13からナイトカバー13aの引き出し及び巻き取りを容易に行うことができる。
【0030】
さらに、本実施形態のショーケースによれば、蛍光灯12dはシェード12a内に取り付けられ、且つ、蛍光灯12dから離れたところでナイトカバー13aの引き出し及び巻き取りを行うことができるので、蛍光灯12dの破損を防止することができるとともに、蛍光灯12dの割れ防止金具を設置する必要がないので、部品コストを低減することができる。
【0031】
尚、前記実施形態では、前面を開口したショーケースを示したが、本発明は上面を開口したショーケースや前面に開閉扉を有するショーケース等、他の構成からなるショーケースにも適用することができる。
【0032】
また、本実施形態のショーケースでは蝶番13bを複数備えたものを示したが、これに限られない。蝶番13bを少なくとも1つ設置した場合であっても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
さらに、前記実施形態ではナイトカバー装置13をショーケース本体10と一体に設けたものを示したが、ナイトカバー装置13をショーケース本体10とは別体として設け、取り外し可能にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るショーケースの全体斜視図
【図2】本発明の一実施形態に係るショーケースの側面断面図
【図3】本発明の一実施形態に係るショーケースの要部側面断面図
【図4】本発明の一実施形態に係るショーケースの要部側面断面図
【図5】本発明の一実施形態に係るショーケースの側面断面図
【符号の説明】
【0035】
10…ショーケース本体、12…天板、12a…シェード、12b…固定天板部、12c…可動天板部、13…ナイトカバー装置、13a…ナイトカバー、13b…蝶番、13d…把持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面を開口したショーケース本体と、ショーケース本体の上面を覆う天板と、ショーケース本体の前面開口部を覆うためのナイトカバーと、ナイトカバーを引き出し及び巻き取り可能に支持するナイトカバー装置とを備えたショーケースにおいて、
前記ナイトカバー装置を、天板の内側の収容位置と、ナイトカバーをショーケース本体の前面開口部側に引き出し可能な天板の外側位置とに移動可能に設けた
ことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記天板の一部を他の部分と分離して形成するとともに、ナイトカバー装置を天板の一部と共に天板の内側の収容位置と天板の外側位置とに移動可能に設けた
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記ナイトカバー装置を、ナイトカバーがショーケース本体の前面開口部側に引き出し可能な天板の外側位置に移動した際に、ナイトカバーの引き出し位置が天板の前端よりも前方に位置するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載のショーケース。
【請求項4】
前記ショーケース本体の前面開口部の上端側に設けられ、ショーケース本体内に空気を吐出する空気吐出口と、天板の内側に設けられ、ショーケース本体の前面開口部を照らす照明灯とを備え、
ナイトカバー装置を、空気吐出口及び照明灯の上方に位置するように設けた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項記載のショーケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−319502(P2007−319502A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154345(P2006−154345)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】