説明

ショーケース

【課題】例えば超音波センサを水位検知装置として使用してドレン水受けに貯留したドレン水の満水を検知する場合に、ドレン水の水面に波が発生し内タイミングで水位検知装置と水面との距離を測定でき、正確な距離測定ができて測定精度を向上できるショーケースを得る。
【解決手段】送風ファンと、ショーケースで発生するドレン水を受けるドレン水受けと、ドレン水受けに溜まったドレン水の量を検出するドレン水検出装置とを設置したショーケースにおいて、前記送風ファンを停止した状態で前記ドレン水検出装置でドレン水の量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの店舗に設置されるオープンタイプの縦型冷凍冷蔵ショーケースは、図6に示すようにショーケース本体の下部に形成される機械室3内に凝縮器2や圧縮機(図示せず)などにより構成される冷凍装置を配設し、ショーケース本体の背面側に設置した冷却器で冷却した冷気で商品収納庫1内に収納した商品を冷却するもので、冷気は循環される。図中5は凝縮器冷却用のファン、6はドレン水を蒸発させるための蒸発板、7はショーケースコントローラ、8はドレン水の満水を報知する満水警報ランプを示す。
【0003】
冷気は前記のように庫内の空気が循環されるものであるが、商品収納庫1の全面が商品の出入口として開放されているため、ここから暖かい外気が流入し、これに含まれる湿気が冷却器で結露し霜となる。
【0004】
そして、この着霜により冷却器の能力が低下することを防ぐため、適宜除霜するが、除霜された水分がドレン水として発生する。
【0005】
このドレン水は、通常は排水用のパイプが接続されてこのパイプで店舗外の排水溝に導かれるが、パイプが固定されるとこの配管によってショーケースの設置位置が固定される。そこで、移動が容易なように圧縮機が組み込まれているショーケースでは、移動性が損われないようドレン水もショーケース内に設置したドレンタンクやドレンパンなどのドレン水受け4に貯留している。
【0006】
このようにドレン水受け4にドレン水を溜める場合、定期的に排水する必要が生じるが、ドレン水の発生量は天候や、ショーケースのサイズや温度帯、庫内に収納している商品の量などによって左右される。
【0007】
このため、ドレン水の貯留量を把握して溢水する前に排水する必要があり、機械的ではない非接触方式でドレン水の量を検出する方法として、例えば超音波センサを水位検知装置9として使用する方法があり、ドレン水受け4の上方に水位検知装置9を設置し、ここから水面に向けて発信した超音波が水面に反射して戻り受信されるまでの時間を計測して水位検知装置9と水面との距離、すなわち水位を計測するものである(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平3−195880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
超音波センサを使用する方法は、超音波センサのパルス発振部である送信回路部から発信されたパルス信号が水面で反射されて受信回路部に戻るまでの時間を計測し、この時間をもとに演算処理回路部で超音波センサと水面との距離、すなわち水位を算出するものである。
【0009】
ところが、ドレン水受け4が配設される機械室3内には、凝縮器2や圧縮機が設置され、凝縮器2の冷却用のファン5から発生する空冷用の風や、圧縮機の振動により、図7に示すようにドレン水受け4内のドレン水の水面には波が常時発生している。このため、波の角度によっては超音波の反射方向が変換され超音波センサの受信回路部に信号が戻らない場合があり、距離測定が不能な状態が発生する。
【0010】
ドレン水受け4内に図6に示すような蒸発板6を設置するタイプのショーケースでは、ドレン水受け4の方向に回り込むファン5からの風を積極的に利用してドレン水を蒸発させ、ドレン水の貯水量を減らそうとするもので、かかるタイプのショーケースではドレン水の水面に波が発生することを阻止することは困難である。
【0011】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、例えば超音波センサを水位検知装置として使用してドレン水受けに貯留したドレン水の満水を検知する場合に、ドレン水の水面に波が発生しないタイミングで水位検知装置と水面との距離を測定でき、正確な距離測定ができて測定精度を向上できるショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、送風ファンと、ショーケースで発生するドレン水を受けるドレン水受けと、ドレン水受けに溜まったドレン水の量を検出するドレン水検出装置とを設置したショーケースにおいて、前記送風ファンを停止した状態で前記ドレン水検出装置でドレン水の量を検出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように本発明のショーケースは、超音センサ等によるドレン水検出装置でドレン水量を測定する場合に、送風ファンを停止した状態で測定するから、ドレン水の水面が波の発生のない静止状態で測定でき、精度よく水位を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のショーケースの第1実施形態を示すフローチャートで、本発明が実施されるショーケースの全体構成は図6について説明したとおりであるからここでの詳細な説明は省略する。
【0015】
本発明の第1実施形態は、図1のフローチャートに示すように、ドレン水の水量を検出するときは、ドレン水の水面の波立ちの原因となっている送風ファン5を停止するもので、ドレン水水面距離測定時間に達すると(ステップ1)、送風ファン5への通電を停止し(ステップ2)、その後、10秒間待機して送風ファンが完全に停止し、水面の波が消えるのをまつ(ステップ3)。
【0016】
そして、水面から波が消えた静止状態で超音波センサなどによる水位検知装置9により水面との距離を測定し(ステップ4)、水位を検出する。
【0017】
測定後、送風ファン5の運転を開始し(ステップ5)、水位検知装置9と水面との距離がドレン水受け4の上面より例えば10mm以内になったならば、満水に達したものと判断して満水警報ランプ8を点灯する(ステップ6)。
【0018】
ところで、第1実施形態における水位検知装置9による水面との距離測定はショーケースの運転開始からドレン水受け4が満水になるまでの間、間隔を置いて複数回実施されるが、冷却運転中、送風ファンは波の発生源であるとしても極力停止したくないので、水面測定の間隔は極力長く設定したい。
【0019】
そこで、最初の測定間隔は予め設定しておいた時間として、その間の水位上昇速度を判定し、報知する水量に達しない時間を算出し、その時間以内を次回の水量検出のタイミングとした。
【0020】
ドレン水受け4の面積が30cm×40cm=1200cm2とすると、0.5cm水位上昇するのに600mLのドレン水が必要になる。そして、満水警報はドレン水受け4の縁から5〜10mm以内の水位、すなわち、0.6L〜1.2Lの余裕を残して警報を発するようにしている。
【0021】
前記条件をもとに、第2実施形態ではドレン水の発生量が多くなるほど、すなわち水位上昇の速度が速いほど、測定間隔を短く設定して、満水警報を発するようにした。下記の表1は、ドレン水発生量と測定間隔時間との関係を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
第3実施形態は、第2実施形態と同様に、冷却運転中、送風ファンは波の発生源であるとしても極力停止したくないので、水面測定の間隔は極力長く設定したい。しかしながら、ドレン水が満水報知水位を超えてドレン水受け4から溢れては意味がないので、測定間隔を現在の水位に基いて満水報知水位に近づくにしたがい間隔を短くするようにした。
【0024】
すなわち、ドレン水受け4の縁に水面が近づいた状態に達してから、測定間隔を短くすればよいとしたものであり、この場合も
ドレン水受け4の面積が30cm×40cm=1200cm2とすると、0.5cm水位上昇するのに600mLのドレン水が必要になる。
ドレン水受け4の深さが4cm→体積は4.8L
そして、満水警報はドレン水受け4の縁から5〜10mm以内の水位、すなわち、0.6L〜1.2Lの余裕を残して警報を発するようにしており、通常おこりえる最大のドレン水発生量は60mL/分である。
【0025】
前記条件を踏まえて、下記の表2に示すようにドレン水の水量(体積)が増すにしたがい、測定時間間隔を短くした。
【0026】
【表2】

【0027】
図2、図3は第4実施形態を示し、図2に示すようにショーケースは庫内に収納する商品の種類により庫内温度に例えば10〜−25℃の幅があり、庫内温度が0℃以上のドリンクケースのように冷却器の温度が高い場合は、結露が水滴となって流れるため、冷却運転中にドレン水が多量に発生するが、0℃以下の冷凍領域で代表されるように冷却器温度が湿気を霜にする温度となっている場合は、冷却器に霜が発生し、冷却運転中にドレン水は発生せず、除霜開始後から除霜終了後までがドレン水の多く発生するときである。
【0028】
かかるドレン水の発生状況をもとに、図3のフローチャートについてドレン水量を測定するタイミングを説明すると、庫内の冷却温度が0℃以上であれば(ステップ1)、ドレン水測定は冷却運転中継続して行う(ステップ2)。
【0029】
これに対して、庫内温度が0℃以下の場合は(ステップ1)、ドレン水測定は、除霜運転によりドレン水が発生していると考えられる時間帯として、除霜開始から除霜終了後10分間の間にのみ連続して行う(ステップ3)。
【0030】
前記第1〜第4実施形態は、強制的に送風ファン5を停止してドレン水の水面に波が立たない静止状態にし、この状態で測定を行うようにしたが、第5実施形態は、運転中に送風ファン5を強制的に停止するのではなく、ショーケースの運転開始時、ドレン水に波を発生させる振動源である送風ファン5や圧縮機などのの駆動前の、ドレン水の水面が静止している状態のときに、ドレン水の量を検出するようにした。
【0031】
これにより、全ての稼動部品が停止している最も水面が安定している状態を利用してドレン水の量を測定でき、信頼性のある水量を得られる。
【0032】
図5は第6実施形態を示し、前記第5実施形態においてショーケースの運転開始の電源投入時にドレン水検知装置9でドレン水の水面との距離を測定し、測定の結果、水面距離がドレン水受け4の縁より10mm以上の余裕がなく、報知水位に達している場合は(ステップ1)、ドレン水が多いことの報知を満水報知ランプ8を点灯することで行う(ステップ2)。
【0033】
かかる場合は、現場に運転を開始させた作業員が存在するから、その者が直ちに排水作業することができる。そして、直ちに運転が開始しなくても冷却運転の運転初期は未だ庫内は冷えていないから不都合は生じない。
【0034】
排水により水面との距離がドレン水受け4の縁より10mm以上となれば(ステップ3)、縁まで余裕ができたものとして通常冷却運転が実施される(ステップ4)。
【0035】
なお、(ステップ1)の段階で水面距離がドレン水受け4の縁より10mm以上の余裕があれば、そのまま通常冷却運転が実施される(ステップ4)。
【0036】
送風ファン5を停止するタイミングとして、冷却運転中に行うことは影響が生じるので可能な限り回避したいものである。そこで、第7実施形態として、ショーケースが運転行程において自発的に送風ファン5を停止するタイミングを利用してこの間に水面距離を測定するようにした。
【0037】
かかる動作を図4のグラフについて説明する。すなわち、通常、庫内循環空気が目標温度に達すると、圧縮機を停止して冷却運転を中断する。この間は、凝縮器の送風ファン5も停止することができるため、ドレン水の水面状態としては最も波の立ちにくい状態になる。
【0038】
よって、この間を利用することで冷却運転中に強制的に送風ファン5を止めての水位測定を極力排除することが可能となる。
【0039】
送風ファン5を停止した状態でドレン水の量を検出する測定タイミングは、具体的には、ショーケースの庫内温度が目標値以下になって冷却運転が停止したとき、または除霜運転したときで、送風ファンを停止して測定する。
【0040】
ただし、前記第2実施形態、第3実施形態で設定した所定時間内にショーケースの庫内温度が目標値以下になって冷却運転が停止しない場合、または除霜運転が開始しない場合は、送風ファン5を強制的に停止して測定する。
【0041】
なお、本発明のショーケースは縦型の冷凍冷蔵ショーケースに限定されるものではなく、上面が開口する平型のものや、冷凍専門、冷蔵専門のショーケースにも実施可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のショーケースの第1実施形態を示すフローチャートである。
【図2】本発明のショーケースの第4実施形態を示すグラフである。
【図3】本発明のショーケースの第4実施形態を示すフローチャートである。
【図4】本発明のショーケースの第7実施形態を示すグラフある。
【図5】本発明のショーケースの第6実施形態を示すフローチャートである。
【図6】ショーケースの斜視図である。
【図7】水位検知装置とドレン水受けと送風ファンの正面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 商品収納庫 2 凝縮器
3 機械室 4 ドレン水受け
5 ファン 6 蒸発板
7 ショーケースコントローラ 8 満水警報ランプ
9 水位検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンと、ショーケースで発生するドレン水を受けるドレン水受けと、ドレン水受けに溜まったドレン水の量を検出するドレン水検出装置とを設置したショーケースにおいて、前記送風ファンを停止した状態で前記ドレン水検出装置でドレン水の量を検出することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記ドレン水検出装置は、前記ドレン水の量の測定は間隔をおいて複数回実施され、測定開始時からの測定データにより水位上昇速度を算出し、この水位上昇速度に基いて次回の測定までの間隔を決定することを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記ドレン水の量の測定は間隔をおいて複数回実施され、測定開始時から現在まで測定したドレン水量のデータにより、報知水量に達するまでの容量を算出し、この容量によって次回の測定までの間隔を決定することを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項4】
ショーケースで発生するドレン水を受けるドレン水受けと、ドレン水受けに溜まったドレン水の量を検出するドレン水検出装置とを設置したショーケースにおいて、ドレン水の量を測定するタイミングは、ショーケース毎に設定される庫内温度により可変的に設定されることを特徴とするショーケース。
【請求項5】
ショーケースで発生するドレン水を受けるドレン水受けと、ドレン水受けに溜まったドレン水の量を検出するドレン水検出装置とを設置したショーケースにおいて、ショーケースの運転開始時、ドレン水に波を発生させる振動源の駆動前に、ドレン水の量を検出することを特徴とするショーケース。
【請求項6】
前記ショーケースの運転開始時、ドレン水量が報知水量以上に達していた場合は、冷却運転を開始しないことを特徴とする請求項5記載のショーケース。
【請求項7】
前記送風ファンを停止した状態で前記ドレン水検出装置でドレン水の量を検出する測定タイミングは、
ショーケースの庫内温度が目標値以下になって冷却運転が停止したとき、または除霜運転したときで、送風ファンを停止して測定する請求項1記載のショーケース。
【請求項8】
前記送風ファンを停止した状態で前記ドレン水検出装置でドレン水の量を検出する測定タイミングは、
ショーケースの庫内温度が目標値以下になって冷却運転が停止しない場合、または除霜運転が開始しない場合は、送風ファンを強制的に停止して測定する請求項1記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−45833(P2008−45833A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223150(P2006−223150)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】