説明

ショーケース

【課題】任意の商品載置棚の上方域を局所的に冷却することができるショーケースを提供すること。
【解決手段】ケース本体1の収納室2を画成する背面パネル3に上下方向に沿って複数段設けられた商品載置棚21〜27と、収納室2の内部と外部との間で空気を循環させる空気循環手段10と、空気循環手段10により循環される空気を冷却する蒸発器15とを備えたショーケースにおいて、任意の商品載置棚26,27の前端部に配設され、かつ該商品載置棚26,27の上方域を必要に応じて閉塞する前方閉塞部材40と、蒸発器15により冷却された空気の一部を背面パネル3に形成された導入口50より上方域に流入させる導入ファンF2と、商品載置棚26,27における前方閉塞部材40の配設個所近傍に設けられ、導入ファンF2により流入された空気を該上方域外部に吐出する吐出口411とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースに関し、より詳細には、収納対象となる商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収納対象となる商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースとして、次のようなものが知られている。例えば、前面に開口が形成されたケース本体の収納室に複数の商品載置棚が上下方向に沿って複数段設けられており、それぞれの商品載置棚に商品が載置されている。また、ケース本体内であって上記収納室外となる個所には、吸込口を通じて吸い込んだ収納室内部の空気を冷却する冷却器が配設されており、この冷却器で冷却された空気が吹出口から収納室内部に吹き出されることにより、商品載置棚に載置された商品が所望の温度状態に調整されることになる。
【0003】
かかるショーケースにおいては、任意の商品載置棚に収納ボックスが載置されたものが知られている。収納ボックスは、前方に商品取出口が前扉により開放、あるいは閉塞される態様で形成されるとともに、後方に後方開口部が形成されたものである。
【0004】
このようなショーケースでは、冷却器で冷却された空気の一部を、上記後方開口部を通じて収納ボックスに流入させ、一旦流入させた空気を後方開口部から流出させて該収納ボックスの上方域を通過させるようにして、該収納ボックスの内部を局所的に冷却させるようにしたものである(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−222290号公報
【特許文献2】特開2009−219621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に提案されているようなショーケースでは、後方開口部を通じて冷却器で冷却された空気の一部を収納ボックスの内部に流入させ、一旦流入させた空気を該後方開口部から流出させるようにしていたために、次のような問題があった。すなわち、同一の開口(後方側開口部)で空気の流入と流出とを行うこととなり、しかも収納ボックスの前方域は閉塞されていたために、該開口から流入した空気は、収納ボックスの前方域まで至らず、結果的に、収納ボックスの内部を十分に局所的に冷却させることが困難であり、これにより任意の商品載置棚の上方域を局所的に良好に冷却することができなかった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、任意の商品載置棚の上方域を局所的に冷却することができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るショーケースは、前面に開口が形成された断熱筐体のケース本体と、前記ケース本体の内部の収納室において該収納室を画成する背面パネルに上下方向に沿って複数段設けられ、かつ収納対象である商品を載置する商品載置棚と、前記収納室の内部と外部との間で空気を循環させる空気循環手段と、前記ケース本体内部における前記収納室外に配設され、前記空気循環手段により循環される空気を冷却する冷却手段とを備え、前記商品載置棚に載置された商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースにおいて、任意の商品載置棚の前端部に配設され、かつ該商品載置棚の上方域を必要に応じて閉塞する前方閉塞部材と、前記冷却手段により冷却された空気の一部を導入し、導入した空気を前記空気循環手段とは別個となる態様で前記背面パネルに形成された導入口を通じて前記上方域に流入させる冷気導入手段と、前記商品載置棚における前記前方閉塞部材の配設個所近傍に設けられ、前記冷気導入手段により流入された空気を該上方域外部に吐出する吐出口とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係るショーケースは、上述した請求項1において、前記導入口を必要に応じて閉成させるシャッタ機構を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係るショーケースは、上述した請求項1又は請求項2において、前記前方閉塞部材が設けられた商品載置棚の棚下に配設され、該商品載置棚に載置された商品を冷却する蓄冷材を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係るショーケースは、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記吐出口が空気の流れを整える整流部材により構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、任意の商品載置棚の前端部に配設された前方閉塞部材が該商品載置棚の上方域を必要に応じて閉塞し、冷気導入手段が、冷却手段により冷却された空気の一部を導入し、導入した空気を空気循環手段とは別個となる態様で背面パネルに形成された導入口を通じて上方域に流入させ、商品載置棚における前方閉塞部材の配設個所近傍に設けられた吐出口を通じて冷気導入手段により流入された空気を該上方域外部に吐出するようにしたので、当該上方域の全域に冷却手段で冷却された空気の一部を通過させることが可能になり、これにより当該商品載置棚の上方域を局所的に冷却することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1であるショーケースの内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。
【図2】図2は、図1に示した商品載置棚の要部を分解して示す分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示した商品載置棚の要部を模式的に示す断面側面図である。
【図4】図4は、図1に示したショーケースにおいて商品載置棚が引出操作された場合を示す断面側面図である。
【図5】図5は、図1に示したショーケースにおいてシャッタ機構が閉成した状態を示す断面側面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1であるショーケースの変形例を示すもので、棚板の下部に蓄冷材を設けられた状態を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2であるショーケースの内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。
【図8】図8は、図7に示した最上位の商品載置棚を拡大して示す説明図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2であるショーケースの変形例の内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1であるショーケースの内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。ここで例示するショーケースは、ケース本体1を備えている。
【0016】
ケース本体1は、前面に開口(前面開口)1aが形成された略直方状の断熱筐体であり、その内部には収納室2が画成してあるとともに、空気循環手段10が設けてある。
【0017】
収納室2は、上記前面開口1aを臨む態様で画成された域であり、複数(図示の例では7つ)の商品載置棚21〜27が上下方向に沿って複数段に並べて配設してある。商品載置棚21〜27は、それぞれ商品を載置するためのものである。かかる商品載置棚21〜27の構成については後述する。
【0018】
空気循環手段10は、空気通路11と循環ファンF1とを備えて構成してある。空気通路11は、吸込口12から吹出口13に至る空気の通路である。ここで、吸込口12は、収納室2の内部の空気を吸い込むための開口であり、収納室2の左右方向に沿って延設してある。この吸込口12は、収納室2の下側前方縁部、すなわちケース本体1の前面開口1a近傍の下部に配設してある。吹出口13は、図示の例では2つ設けてあり、収納室2の内部に空気を吹き出すための開口である。これら吹出口13は、それぞれが収納室2の左右方向に沿って延設してあって、収納室2の上側前方縁部、すなわちケース本体1の前面開口1a近傍の上部に前後に並ぶよう設けてある。
【0019】
このような空気通路11は、収納室2外であってその下方にある下方ダクト11aと、収納室2外であってその背面側にある背面ダクト11bと、収納室2外であってその上方にある上方ダクト11cとを互いに連通して構成されるものである。また、空気通路11は、下方ダクト11aの途中から2つに分かれており、外方通路14aが一方の吹出口13(以下、前側吹出口13aともいう)に通じ、内方通路14bが吹出口13(以下、後側吹出口13bともいう)に通じている。
【0020】
循環ファンF1は、空気を循環させるものであり、下方ダクト11aの所定部位に配設してある。本実施の形態1においては、循環ファンF1は下方ダクト11aの所定部位に配設してあるが、本発明では、循環ファンF1の配設位置は特に限定されるものではなく、後述する循環ファンF1の機能を発揮することができる個所であればどこに配設しても構わない。
【0021】
このような空気循環手段10においては、循環ファンF1が駆動することにより、収納室2の内部にある空気を吸込口12を通じて吸い込み、吸い込んだ空気が下方ダクト11aを通過して外方通路14a及び内方通路14bをそれぞれ通過する態様で該空気を吹出口13まで送出し、吹出口13を通じて送出した空気を収納室2の内部に吹き出すことにより、収納室2の内部と外部との間で空気を循環させるものである。
【0022】
上記空気通路11の内方通路14bには、蒸発器(冷却手段)15が設けてある。蒸発器15は、図には明示しないが、圧縮機、凝縮器及び膨張機構とともに冷媒を循環させる冷媒循環手段を構成する。ここで、圧縮機は、冷媒を圧縮するものであり、凝縮器は、圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させるものである。膨張機構は、凝縮器で凝縮させた冷媒を断熱膨張させて低温低圧の状態にさせるためのものである。
【0023】
蒸発器15は、循環ファンF1が駆動することにより下方から上方に向けて内方通路14bを通過する空気と、膨張機構で断熱膨張させた冷媒とを熱交換させるもの、より詳細には、冷媒を蒸発させることにより内方通路14bを通過する空気を冷却するものである。この蒸発器15で蒸発した冷媒は、再び圧縮機に戻り圧縮されることになる。
【0024】
上記商品載置棚21〜27のうち、上から6段目の商品載置棚26と最下段の商品載置棚27とは、次のような構成を有している。
【0025】
図2は、図1に示した商品載置棚26の要部を分解して示す分解斜視図である。尚、商品載置棚27も同様の構成を有しているため、ここでは商品載置棚26についてのみ説明する。この図2に示すように、上記商品載置棚26は、棚板28、ブラケット29及びレール部材30を備えて構成してある。
【0026】
棚板28は、例えば鋼板等を適宜屈曲させて形成した平板状をなすものである。この棚板28の上面281は、収納対象となる商品を載置する商品載置面を構成している。また、棚板28の両側部における下面には、鋼板等から形成された棚板補強材282がそれぞれ配設してあり、該棚板補強材282には、2つの棚板ローラ部材283が前後に並ぶ態様でネジ284等により固定してある。より詳細には、後方側の棚板ローラ部材283が前方側の棚板ローラ部材283よりもやや下方となる位置に固定してある。これら棚板ローラ部材283は、ネジ284の軸心回りに回転自在に配設してある。尚、図2は、商品載置棚26の左側部における要部を示しているが、商品載置棚26の右側部においても同様の構成要素を有しており、図示の例と左右反転した状態で構成されている。ここで本実施の形態1において、左側とは、ショーケースを正面から見た場合の左方を示し、右側とは、ショーケースを正面から見た場合の右方を示すものとする。
【0027】
ブラケット29は、例えば鋼板等を加工して形成され、左右一対となるものである。これらブラケット29は、前後方向が長手方向となる長尺板状部材であり、それぞれケース本体1の収納室2の背面を構成する背面パネル3に支持されて配設してある。より詳細には、各ブラケット29の後端部に配設された係合片291が、該背面パネル3に形成された係合孔(図示せず)に挿通することにより支持されて配設してある。
【0028】
このようなブラケット29においては、左側に配設されたブラケット29の右側面、並びに右側に配設されたブラケット29の左側面の前方側には、それぞれ2つのブラケットローラ部材292が前後に並ぶ態様でネジ293等により固定してある。より詳細には、後方側のブラケットローラ部材292が前方側のブラケットローラ部材292よりもやや下方となる位置に固定してある。これらブラケットローラ部材292は、ネジ293の軸心回りに回転自在に配設してある。
【0029】
レール部材30は、棚板レール部301とブラケットレール部302とが互いに接合されて構成したものである。
【0030】
棚板レール部301は、縦断面が略コ字状をなし、前後方向が長手方向となる長尺棒状体である。この棚板レール部301は、上下方向に沿って延在する基部3011と、基部3011の上端から水平方向に延在する上部水平延在部3012と、上部水平延在部3012の延在端部より下方に向けて僅かに延在する垂下部3013と、基部3011の下端から水平方向に延在する下部水平延在部3014と、下部水平延在部3014の延在端部より上方に向けて僅かに延在する垂上部3015とを有して構成してある。ここで上部水平延在部3012と下部水平延在部3014との離間距離は、棚板ローラ部材283が進入可能な大きさを有しており、進入した棚板ローラ部材283は、下部水平延在部3014の上面を転動面として前後方向に沿って相対的に移動することになる。また垂上部3015の延在長さは、上部水平延在部3012と下部水平延在部3014との間に進入した棚板ローラ部材283が左右方向に相対的に移動して抜け出すことを規制することができる大きさに調整してある。また、基部3011における前端部には、上部水平延在部3012の下方側であって、下部水平延在部3014の上方側となる領域に突出する態様で前方側規制片3016が配設してある。
【0031】
ブラケットレール部302は、縦断面が略コ字状をなし、前後方向が長手方向となる長尺棒状体である。このブラケットレール部302は、上下方向に沿って延在する基部3021と、基部3021の上端から水平方向に延在する上部水平延在部3022と、上部水平延在部3022の延在端部より下方に向けて僅かに延在する垂下部3023と、基部3021の下端から水平方向に延在する下部水平延在部3024と、下部水平延在部3024の延在端部より上方に向けて僅かに延在する垂上部3025とを有して構成してある。ここで上部水平延在部3022と下部水平延在部3024との離間距離は、ブラケットローラ部材292が進入可能な大きさを有しており、進入したブラケットローラ部材292は、下部水平延在部3024の上面を転動面として前後方向に沿って相対的に移動することになる。また垂下部3023の延在長さは、上部水平延在部3022と下部水平延在部3024との間に進入したブラケットローラ部材292が左右方向に相対的に移動して抜け出すことを規制することができる大きさに調整してある。また、基部3021における後端部には、上部水平延在部3022の下方側であって、下部水平延在部3024の上方側となる領域に突出する態様で後方側規制片3026が配設してある。
【0032】
また、ブラケットレール部302の上部水平延在部3022の後方側には、切欠部3022aが形成してある。この切欠部3022aは、ブラケットローラ部材292が通過することが可能な大きさを有している。
【0033】
これら棚板レール部301とブラケットレール部302とが、互いに背中合わせとなる態様で、すなわち互いの基部3011,3021どうしが接する態様で溶接接合されてレール部材30が構成してある。
【0034】
そして、レール部材30のブラケットレール部302における前方側開放端よりブラケットローラ部材292を進入させた後、レール部材30の棚板レール部301における後方側開放端より棚板ローラ部材283を進入させる。これにより棚板28がブラケット29にレール部材30を介在させて係合され、商品載置棚26が構成される。その後、棚板28を後方側に向けて移動させて収納位置に位置させると、商品載置棚26は、図1及び図3に示すように収納姿勢となる。ここで図3は、図1に示した商品載置棚26の要部を側方から見た場合を示す断面側面図である。この図3で示されるように、レール部材30は、棚板ローラ部材283及びブラケットローラ部材292の配設関係により、前方に向かうに連れて漸次上方に傾斜する姿勢となっている。
【0035】
商品載置棚26が収納姿勢にある状態から、棚板28を前方に向けて移動させると、棚板ローラ部材283が、棚板レール部301を前方に向けて相対的に移動する。そして前方側の棚板ローラ部材283が前方側規制片3016に当接すると、レール部材30(ブラケットレール部302)がブラケットローラ部材292に対して前方に向けて相対的に移動する。換言すると、ブラケットローラ部材292が、ブラケットレール部302を後方に向けて相対的に移動する。そして、図3の二点鎖線で示すように、後方側のブラケットローラ部材292が後方側規制片3026に当接すると、棚板28の前方に向けての移動が規制され、商品載置棚26は補充姿勢となる。
【0036】
このような補充姿勢となる商品載置棚26を上記収納姿勢にする場合には、棚板28をフリーな状態にさせればよい。フリーな状態になると、レール部材30が傾斜姿勢となっていることから、棚板28及び該棚板28に載置される商品の重量により後方側に向けて移動し、収納位置に位置することで、図3の実線で示すように、商品載置棚26が収納姿勢になる。
【0037】
このような棚板28が前後方向に沿って移動可能な商品載置棚、すなわち上から6段目の商品載置棚26及び最下段の商品載置棚27には、水平前延部41を介して前方閉塞部材40が取り付けてある。前方閉塞部材40は、例えば透光性のある樹脂材から形成されるもので閉塞部42を備えている。
【0038】
水平前延部41は、商品載置棚26,27を構成し、棚板28の前端部から前方に向けて延在する部位であり、左右幅が棚板28の左右幅と等しい大きさを有している。この水平前延部41には、スリットが形成してあり、かかるスリットにより形成される開口が吐出口411を構成している。
【0039】
閉塞部42は、水平前延部41の延在端部、すなわち前端部から上下方向に沿って延在するものである。より詳細には、前方に向かうに連れて漸次後方に向けて傾斜し、下方に向かうに連れて漸次前方に向けて傾斜する態様で延在するものである。かかる閉塞部42の前面には、図には明示しないが把手部が設けてある。
【0040】
このような前方閉塞部材40は、上から6段目の商品載置棚26に取り付けたものでは、棚板28が収納位置に位置する場合に、自身の閉塞部42の上縁部が当該商品載置棚26の上方域に設けられた水平天板部43と接合して、該商品載置棚26の上方域を閉塞するものである(図1参照)。
【0041】
また、最下段の商品載置棚27に取り付けられた前方閉塞部材40は、棚板28が収納位置に位置する場合に、閉塞部42の上縁部が当該商品載置棚27の直上の商品載置棚26に取り付けられた前方閉塞部材40の閉塞部42の下縁部に接合して、該商品載置棚27の上方域を閉塞するものである(図1参照)。
【0042】
そして、このような前方閉塞部材40は、自身の閉塞部42の前面に設けられた把手部が把持されて前方に引き出されることにより、図4に示すように、棚板28とともに前方に向けて移動するものである。このように前方閉塞部材40が棚板28とともに前方に向けて移動すると、この前方閉塞部材40が取り付けられていた商品載置棚26,27の上方域は、開放状態になる。つまり、前方閉塞部材40は、必要に応じて自身が取り付けられた商品載置棚26,27の上方域を閉塞するものである。
【0043】
その後、把手部から手が離されると、前方閉塞部材40は棚板28とともにフリーな状態になる。このようにフリーな状態になると、前方閉塞部材40は棚板28とともに後方に向けて移動し、棚板28が収納位置に位置することにより、再び当該商品載置棚26,27の上方域を閉塞することになる。
【0044】
このような前方閉塞部材40により必要に応じて閉塞される上方域を臨む背面パネル3には、導入口50が設けてあるとともに、導入ファンF2が設けてある。導入口50は、空気通路11である内方通路14bに連通する開口である。導入ファンF2は、導入口50の前方側に配設してあり、自身が駆動することにより導入口50を通じて蒸発器15で冷却された空気(冷気)の一部を商品載置棚26,27の上方域に導入する冷気導入手段である。この導入ファンF2の前方側にはシャッタ機構51が付設してある。シャッタ機構51は、開閉可能なものであり、図1に示すように開成する場合には、導入口50を通じての冷気の導入を許容するものである一方、図5に示すように閉成する場合には、導入口50を通じての冷気の導入を規制するものである。
【0045】
上記ケース本体1においては、収納室2を画成する底壁4の前端部にはスリットが形成してあり、かかるスリットにより形成される開口でスリット型吸込口4aを構成している。かかるスリット型吸込口4aは、下方ダクト11aに連通するものである。
【0046】
以上のような構成を有するショーケースでは、循環ファンF1に指令を与えて駆動させることにより、各商品載置棚21〜27に載置された商品を所望の温度に保持することができる。
【0047】
循環ファンF1の駆動により、収納室2の内部の空気は、吸込口12を通じて吸い込まれ、下方ダクト11aを通過し、その途中から外方通路14a及び内方通路14bのいずれかに進入する。外方通路14aに進入した空気は、背面ダクト11b及び上方ダクト11cを通じて前側吹出口13aに至り、前側吹出口13aから吹き出される。この前側吹出口13aから吹き出された空気は、吸込口12に向けて流れ、前面開口1aからの外気の進入を遮断することになる。
【0048】
一方、下方ダクト11aの途中から内方通路14bに進入した空気は、蒸発器15を通過して冷却され、冷気となって背面ダクト11b及び上方ダクト11cを通過し、後側吹出口13bから吹き出される。この後側吹出口13bから吹き出された空気(冷気)は、吸込口12に向けて流れることにより、収納室2の内部にある商品、すなわち主に商品載置棚21〜25に載置された商品を冷却することになる。
【0049】
そして、上から6段目の商品載置棚26及び最下段の商品載置棚27の上方域は、次のようにして局所的に冷却される。循環ファンF1だけでなく導入ファンF2も駆動し、更にシャッタ機構51が開成されていると、蒸発器15を通過した空気の一部は、導入口50を通じて当該商品載置棚26,27の上方域に流入する。上方域に流入した空気は、前方に向けて通過し、吐出口411を通じて上方域外部に吐出される。ここで上から6段目の商品載置棚26の上方域を通過した空気は、吐出口411を通じて最下段の商品載置棚27の上方域に一旦流入し、その後に当該商品載置棚27に設けられた前方閉塞部材40の吐出口411を通じて外部に吐出される。このようにして吐出された空気は、その後にスリット型吸込口4aを通じて下方ダクト11aに進入し、循環ファンF1及び導入ファンF2の駆動により上記移動を繰り返す。これにより、上から6段目の商品載置棚26及び最下段の商品載置棚27の上方域は、前方閉塞部材40により閉塞されている場合には局所的に冷却される。
【0050】
その後、当該商品載置棚26に載置された商品を利用者が取り出す場合には、利用者が商品載置棚26に取り付けられた前方閉塞部材40の把手部を把持して、前方に向けて引き出すことになる。そうすると、図4に示したように、棚板28及び前方閉塞部材40が前方に向けて移動し、該商品載置棚26の上方域は開放状態になる。これにより利用者は、該商品載置棚26に載置された商品を取り出すことができる。所望の商品を取り出した利用者は、把手部から手を離すだけでよい。これにより棚板28及び前方閉塞部材40がフリーな状態になり、棚板28及び前方閉塞部材40は自身の自重等により後方に向けて移動し、図1に示したように、棚板28が収納位置に位置することにより、前方閉塞部材40が再び当該商品載置棚26の上方域を閉塞する。
【0051】
ところで、上記ショーケースにおいて蒸発器15に付着した霜を除去する除霜運転を行う場合には、図5に示すようにシャッタ機構51を閉成させればよい。これによって局所的に冷却した上から6段目の商品載置棚26及び最下段の商品載置棚27の上方域には、導入口50を通じて空気が流入することなく、当該上方域にある商品に損傷等を与えることを抑制することができる。
【0052】
以上のような構成を有する本実施の形態1であるショーケースによれば、任意の商品載置棚26,27の前端部に配設された前方閉塞部材40が、該商品載置棚26,27の上方域を必要に応じて閉塞し、導入ファンF2が駆動することにより蒸発器15により冷却された空気の一部を導入口50から上方域に流入させ、水平前延部41に設けられた吐出口411から導入ファンF2により流入された空気を該上方域外部に吐出させるので、当該上方域の全域に蒸発器15で冷却された空気の一部を通過させることが可能になり、これにより当該商品載置棚26,27の上方域を局所的に冷却することができる。
【0053】
上記ショーケースによれば、商品載置棚26,27を構成する棚板28が、前方へ引出操作された場合には前方に向けて移動する一方、フリーな状態となる場合には後方側への移動限界位置である収納位置に位置するので、利用者は、前方閉塞部材40の把手部を把持して引出操作だけすればよく、当該商品載置棚26,27に載置された商品を取り出した後は、前方閉塞部材40の把手部から手を離すだけで良い。これにより、当該商品載置棚26,27の上方域を局所的に冷却するとともに、該商品載置棚26,27に載置された商品の取り出しを良好なものとすることができる。
【0054】
また、上記ショーケースによれば、シャッタ機構51が開成、あるいは閉成することにより、導入口50を通じての冷気の導入を許容、あるいは規制するので、蒸発器15に付着した霜を取り除く除霜運転を行う場合には、霜を取り除くのに利用した暖気が商品載置棚26,27の上方域に流入することを防止し、当該上方域にある商品が損傷等してしまうことを抑制することができる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施の形態1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0056】
例えば、図6に示すように、上記棚板28の下部、すなわち棚下には、蓄冷材60を配置するようにしても良い。ここで図6中の符号61は、蓄冷材60を保持するための支持部材である。かかる蓄冷材60を配置することにより、上記棚板28の上面281に載置される商品を冷却することが可能になり、特に除霜運転を行っている場合に、該商品を良好に冷却することができる。
【0057】
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2であるショーケースの内部構造を側方から見た場合を示す断面側面図である。尚、上述した実施の形態1と同様の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0058】
この図7に例示するショーケースは、ケース本体1′を備えている。かかるケース本体1′における収納室2には、複数(図示の例では5つ)の商品載置棚71,22〜25が上下方向に沿って複数段に並べて配設してある。これら複数の商品載置棚71,22〜25のうち、最上位の商品載置棚71以外は、従来公知のものであるため、かかる商品載置棚22〜25の説明を割愛する。
【0059】
図8は、図7に示した最上位の商品載置棚71を拡大して示す説明図である。この商品載置棚71は、棚板72及び閉塞部74を備えて構成してある。
【0060】
棚板72は、例えば鋼板等を適宜屈曲させて形成した平板状をなすものである。この棚板72の上面は、収納対象となる商品を載置する商品載置面を構成している。この棚板72の後端部には係合片73が設けてあり、かかる係合片73が収納室2の背面を構成する背面パネル3に設けられた図示せぬ係止孔に挿入して背面パネル3に係合することにより棚板72が背面パネル3に支持される。
【0061】
閉塞部74は、例えば透光性のある樹脂材から形成されたものであり、該商品載置棚71の上方域を閉塞するものである。より詳細には、閉塞部74は、自身の前端部分が棚板72の前方に設けられた水平前延部76に接合することにより該商品載置棚71の上方域を閉塞するものである。
【0062】
このような閉塞部74の前方側には、前方の臨む開口74aが形成してあり、かかる開口74aは、前面扉75により開閉される。ここで前面扉75は、図8中の矢印方向に沿ってスライド移動可能に設けてあり、上方に向けて開動作する一方、下方に向けて閉動作するものである。つまり、前面扉75が閉動作して開口74aを閉成する場合には、商品載置棚71の上方域が閉塞部74に閉塞され、前面扉75が開動作して開口74aを開成する場合には、商品載置棚71の上方域の閉塞が解除される。
【0063】
上記棚板72の後方側には、導入ファンF3が設けてある。かかる導入ファンF3は、駆動することにより、背面パネル3に設けた図示せぬ導入口より蒸発器15で冷却された空気(冷気)の一部を商品載置棚71の上方域に導入する冷気導入手段である。
【0064】
水平前延部76は、棚板72の前端部から前方に向けて延在する部位であり、左右幅が棚板72の左右幅と等しい大きさを有している。この水平前延部76には、ハニカム構造を有する整流部材76aが設けられることにより吐出口が形成してある。整流部材76aは、吐出される空気の流れを整えるもので、より詳細には、吐出口を通過する空気を吸込口12に向けて吐出させるものである。
【0065】
以上のような構成を有するショーケースでは、循環ファンF1に指令を与えて駆動させることにより、各商品載置棚71,22〜25に載置された商品を所望の温度に保持することができる。
【0066】
循環ファンF1の駆動により、収納室2の内部の空気は、吸込口12を通じて吸い込まれ、下方ダクト11aを通過し、その途中から外方通路14a及び内方通路14bのいずれかに進入する。外方通路14aに進入した空気は、背面ダクト11b及び上方ダクト11cを通じて前側吹出口13aに至り、前側吹出口13aから吹き出される。この前側吹出口13aから吹き出された空気は、吸込口12に向けて流れ、前面開口1aからの外気の進入を遮断することになる。
【0067】
一方、下方ダクト11aの途中から内方通路14bに進入した空気は、蒸発器15を通過して冷却され、冷気となって背面ダクト11b及び上方ダクト11cを通過し、後側吹出口13bから吹き出される。この後側吹出口13bから吹き出された空気(冷気)は、吸込口12に向けて流れることにより、収納室2の内部にある商品、すなわち主に商品載置棚71,22〜25に載置された商品を冷却することになる。
【0068】
そして、最上位の商品載置棚71の上方域は、次のようにして局所的に冷却される。循環ファンF1だけでなく導入ファンF3も駆動していると、蒸発器15を通過した空気の一部は、導入口を通じて当該商品載置棚71の上方域に流入する。上方域に流入した空気は、前方に向けて通過し、整流部材76aにより流れが整えられて吐出口より上方域外部に吐出される。このように吐出口より吐出された空気は、吸込口12より下方ダクト11aに進入し、循環ファンF1及び導入ファンF3の駆動により上記移動を繰り返す。これにより、最上位の商品載置棚71の上方域は、前面扉75が閉動作して閉塞部74により閉塞されている場合には局所的に冷却される。
【0069】
その後、当該商品載置棚71に載置された商品を利用者が取り出す場合には、利用者が前面扉75を開動作させればよい。そうすると、閉塞部74の開口74aが開成され、該商品載置棚71の上方域は開放状態になる。これにより利用者は、該商品載置棚71に載置された商品を取り出すことができる。所望の商品を取り出した利用者は、前面扉75を閉動作させれば、閉塞部74の開口74aが閉成されて、閉塞部74が再び当該商品載置棚71の上方域を閉塞する。
【0070】
以上のような構成を有する本実施の形態2であるショーケースによれば、商品載置棚71の上方域を必要に応じて閉塞し、導入ファンF3が駆動することにより蒸発器15により冷却された空気の一部を導入口から上方域に流入させ、水平前延部76に設けられた吐出口から導入ファンF3により流入された空気を該上方域外部に吐出させるので、当該上方域の全域に蒸発器15で冷却された空気の一部を通過させることが可能になり、これにより当該商品載置棚71の上方域を局所的に冷却することができる。
【0071】
特に棚板72の係合片73を背面パネル3の任意の係止孔に挿入して係合させることで棚板72を背面パネル3に支持させることができ、しかも吐出口を形成する整流部材76aが吐出される空気の流れを整えるので、商品載置棚71の取付位置は、最下位や最上位だけに限られず、図9に示すように上から4段目となる個所に取り付けても通過空気を吸込口に吐出させることができ、これにより任意の個所の取り付けることができる。つまり、既存のショーケースにも適用することができ、汎用性に優れたものとなる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施の形態2について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0073】
例えば、上述した実施の形態2では、整流部材76aとしてハニカム構造のものを適用したが、本発明においては、ベーン構造のもの等種々のものを整流部材76aとして適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係るショーケースは、収納対象となる商品を所望の温度状態に保持するのに有用である。
【符号の説明】
【0075】
1,1′ ケース本体
2 収納室
3 背面パネル
4 底壁
4a スリット型吸込口
10 空気循環手段
11 空気通路
12 吸込口
13 吹出口
15 蒸発器
21 商品載置棚
22 商品載置棚
23 商品載置棚
24 商品載置棚
25 商品載置棚
26 商品載置棚
27 商品載置棚
28 棚板
29 ブラケット
30 レール部材
40 前方閉塞部材
41 水平前延部
411 吐出口
42 閉塞部
43 水平天板部
50 導入口
51 シャッタ機構
60 蓄冷材
71 商品載置棚
72 棚板
73 係合片
74 閉塞部
74a 開口
75 前面扉
76 水平前延部
76a 整流部材
F1 循環ファンF1
F2 導入ファンF3
F3 導入ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成された断熱筐体のケース本体と、
前記ケース本体の内部の収納室において該収納室を画成する背面パネルに上下方向に沿って複数段設けられ、かつ収納対象である商品を載置する商品載置棚と、
前記収納室の内部と外部との間で空気を循環させる空気循環手段と、
前記ケース本体内部における前記収納室外に配設され、前記空気循環手段により循環される空気を冷却する冷却手段と
を備え、
前記商品載置棚に載置された商品を所望の温度状態に保持するようにしたショーケースにおいて、
任意の商品載置棚の前端部に配設され、かつ該商品載置棚の上方域を必要に応じて閉塞する前方閉塞部材と、
前記冷却手段により冷却された空気の一部を導入し、導入した空気を前記空気循環手段とは別個となる態様で前記背面パネルに形成された導入口を通じて前記上方域に流入させる冷気導入手段と、
前記商品載置棚における前記前方閉塞部材の配設個所近傍に設けられ、前記冷気導入手段により流入された空気を該上方域外部に吐出する吐出口と
を備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
必要に応じて前記導入口を通じての冷気の導入を許容、あるいは規制するシャッタ機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記前方閉塞部材が設けられた商品載置棚の棚下に配設され、該商品載置棚に載置された商品を冷却する蓄冷材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記吐出口が空気の流れを整える整流部材により構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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